軽減税率 小業者廃業も 宮本岳志氏 消費税増税やめよ(しんぶん赤旗)
第190回国会 財務金融委員会 第5号
平成二十八年二月二十三日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
井上 貴博君 井林 辰憲君
越智 隆雄君 大岡 敏孝君
勝俣 孝明君 木内 均君
木村 弥生君 國場幸之助君
島田 佳和君 助田 重義君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
田野瀬太道君 竹本 直一君
冨樫 博之君 中山 展宏君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 福山 守君
古田 圭一君 宮川 典子君
宮路 拓馬君 務台 俊介君
宗清 皇一君 山田 賢司君
若狭 勝君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 鈴木 克昌君
玉木雄一郎君 前原 誠司君
宮崎 岳志君 鷲尾英一郎君
上田 勇君 斉藤 鉄夫君
宮本 岳志君 宮本 徹君
丸山 穂高君 小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
財務副大臣 坂井 学君
財務大臣政務官 大岡 敏孝君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 広瀬 直君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 井野 靖久君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 籠宮 信雄君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 田和 宏君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 原 敏弘君
政府参考人
(金融庁監督局長) 遠藤 俊英君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大橋 秀行君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 渡辺 克也君
政府参考人
(財務省主計局次長) 美並 義人君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(財務省理財局長) 迫田 英典君
政府参考人
(国税庁次長) 星野 次彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 武田 俊彦君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 保坂 伸君
政府参考人
(中小企業庁長官) 豊永 厚志君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
参考人
(日本銀行副総裁) 岩田規久男君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十三日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 木村 弥生君
勝俣 孝明君 若狭 勝君
田野瀬太道君 宮路 拓馬君
務台 俊介君 木内 均君
宗清 皇一君 古田 圭一君
玄葉光一郎君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
木内 均君 瀬戸 隆一君
木村 弥生君 冨樫 博之君
古田 圭一君 宗清 皇一君
宮路 拓馬君 田野瀬太道君
若狭 勝君 勝俣 孝明君
玉木雄一郎君 玄葉光一郎君
同日
辞任 補欠選任
瀬戸 隆一君 務台 俊介君
冨樫 博之君 福山 守君
同日
辞任 補欠選任
福山 守君 島田 佳和君
同日
辞任 補欠選任
島田 佳和君 宮川 典子君
同日
辞任 補欠選任
宮川 典子君 大野敬太郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
○宮下委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、先日の予算委員会でも、軽減税率というものはまやかしであって、痛税感は緩和されるかもしれないが逆進性は解消されないこと、それどころか、むしろ痛税感の緩和を利用して、さらなる税率アップをしやすくするものであることを指摘いたしました。
きょうは、この軽減税率に伴うインボイス方式の導入についてただしたいと思います。
まずは大臣に確認いたしますが、なぜ今回、インボイス方式を採用するんですか。
○麻生国務大臣 複数税率というもののもとでは、適正な税というものの確保というものをきちんとするためには、この制度の導入が必要だというのがまず第一です。
いわゆる複数税率のもとでは、売り手は軽減税率で申告し、買い手は標準税率で仕入れ税額控除をするといった事態が発生するということがないように、売り手である課税業者がみずからの申告する税額また税率を記載したいわゆる内容証明、インボイスを発行して、これに基づいて買い手が仕入れ税額控除を行うという、事業者間の相互の牽制を確保するという仕組みが必要だというのが基本的なところであります。
○宮本(岳)委員 このインボイス方式には、消費税導入時からさまざまな問題点が指摘をされてきました。
国税庁の税務大学校のウエブサイトには、研究活動として税大論叢という冊子が掲載されておりますけれども、その四十二号、二〇〇三年六月三十日発行の分に、「消費税の複数税率化を巡る諸問題」という望月俊浩研究部教育官の論考が掲載されております。
この論考によりますと、インボイス方式には、一つ、「事業者にとってはインボイスの発行及び保管、課税庁にとっては課税事業者の管理といった事務負担が増大する、」二つ、「免税事業者からの仕入れが控除できないために免税事業者が取引から排除されるおそれがあるという問題点がある。」こう指摘をされております。
そういうふうに、これは国税庁のウエブサイトにも掲げてあるわけですけれども、これは事実か。この二つがインボイス方式の問題点であるということを財務省も認めるか。これは主税局長、いかがですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
今の先生御指摘の税務大学校の論文でございますが、それは確かに存在するところでございまして、それはまさに個人の見解で述べているという立場で書かれているものですから、それはそういうものとして受けとめておるということでございます。
一方で、これとは別でございますが、よくしばしば、インボイス制度についての懸念というか、そういうことが言われることがあるんだろうと思います。きょういろいろ御議論がこの場でもありましたとおり、例えば、免税事業者が取引から排除されるのではないかとか、あるいは、課税事業者に免税事業者が転換するということになれば新たな事務負担が生じるんじゃないだろうか、そういうふうな御懸念があるということは十分承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 ここに、参議院の調査室が発行している「立法と調査」の三百七十三号、これはことし一月号です。参議院の調査室が出しているものですが、財政金融をめぐる諸問題、参議院財政金融委員会調査室の村田和彦さんの論文というのが載っていますけれども、私の紹介したこの二点が指摘をされてこの望月さんの論文が引用されていますから、今回、院で、参議院ですけれども、議論してくれというときの情報提供にもやはり引用されている論文だということは申し上げておきたいと思うんです。
私がきょう聞きたいのは、この二点、事業者の事務負担が増大する、免税事業者が取引から排除されるおそれがある、この二つの問題点はどのように解消されるのかということであります。
今回インボイス方式を導入するというわけですから、この問題点は解決できるということですか、財務大臣。
○麻生国務大臣 複数税率と言われるもののもとでは、適正な課税というものを確保していくためには、いわゆるインボイスと言われる、適格請求書等保存方式とか、訳すとそういうことになりますので、みんなインボイスと言うことになりますので、片仮名は余り使いたくないんですけれども、こういった言葉が今はやっておりますので、インボイスというのが何となくみんなわかったようなことを言われますけれども、余りインボイス自体がわかっておられぬ方の方が多いので、これは、言っている本人に、言っている意味がわかっているのといつも聞くんですけれども。よく国会議員の中でおられますので、インボイス、インボイスとか言われる方ほどわかっておられぬなと、いつもそう思うので。
どうしてもこれは適格請求書などを保存しておかないかぬというところが一番手間のかかることだというふうに理解されているんだと思いますが、御指摘のように、この制度を導入いたしますと、免税事業者からの仕入れというものにつきましては、仕入れ控除ができない、いわゆる仕入れ税額の控除ができないということになりますので、免税業者が取引から排除されるとの声があるということはもう承知をいたしております。
また、免税事業者が課税を選択した場合には、他の課税事業者と同様に、この制度、インボイスの発行や納付税額の計算等々につきましても、対応をいただくという必要があろうと存じます。
こうしたことを踏まえまして、免税事業者が課税事業者へ転換ということをやるかやらないかを見きわめながら、しっかり準備ができる期間というものを確保しておかないかぬと思っておりますので、この制度の導入は平成三十三年四月、約四年間の準備期間を設けるということにいたしております。
同時に、インボイス制度の導入から六年間というものの措置として、その間に課税事業者への転換の可否を御自分で判断をしていただくようにするために、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるということにいたしておりまして、仕入れから八〇%とか六〇%とかいろいろなやり方があろうかと思いますが、今のところ、税額控除の可能性を、最初の三年間で八〇、その後五〇というように一応考えておるんです。
免税事業者が課税事業者へ転換をするという場合に、新たに生じます事務負担、これも事業者にとってまちまちなんだと思っておりますので、BツーBでやっておられる方とBツーCでやっておられる方は大分違うと思いますので、個々の事業者にどのような準備が必要か、これはよく考えていただく必要があろうと思いますので、まずは、免税業者を含めましてこの制度の周知徹底というものを図っていくのは、これが一番だと思っております。
いずれにしても、今般の税制改正法案の附則におきまして、政府としては、この制度の導入によります事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証しつつ、かつ必要な対応を行うということとさせていただいておりまして、しっかりかつ丁寧にこれは対応していかないと要らぬ混乱を招くということを、私どもとしては断固避けたいと思っております。
○宮本(岳)委員 そんなことで本当に問題が解決するのかということをきょうは取り上げたいんです。
私は、一昨日、大阪で業者の皆さんから直接話を伺ってまいりました。
印刷デザインの会社を経営している年配の経営者は、インボイスが始まったら課税業者を選ぶ人もいるだろうが、消費税は身銭を切って赤字でも払わなくてはいけない。後継者もいないし、そうなったら商売をやめる。こう言っておりました。
アイスが人気の大阪のゼー六というお店があるんですが、ここのアイスはうまくて人気です。店の前でアイスを売りながら、店の中で喫茶店もやり、中ではコーヒーも飲み、アイスも食べられます。大阪でも有名な店であります。
ここの店主は、消費税率が八%になったとき、一個百円のアイスもなかの値段を据え置きました。牛乳や材料の値段は上がっているので、利益を出そうと思えばその消費税分も転嫁しないといけないんですけれども、これはできなかったと。それでも大阪のお客さんは、笑い話ですけれども、ちょっと小さくなったんちゃうか、あるいは消費税の分、味が薄くなったんちゃうかと言わはると。
その方が言うには、お客の反応で価格が決まるんだ。我々業者は、店に来てくれるか来てくれないかを肌で感じながら値段を決めるんです。業者というのは、働き分だって削って商売をやっているんですよ。最賃で換算したら時給二百円ぐらいですよ。こうも言っておられました。うちはもなかの持ち帰りもやっているが、八%と一〇%になったら中用と外用とレジを分けなきゃいけない。持ち帰りは八%らしいけれども、持ち帰るためのビニールや資材は一〇%だ。持ち帰りされた方が原価が上がると。
そば屋さんは、八%になると出前がふえるだろう。しかし、出前をするために人を一人雇わぬといかぬ。麻生さんは出前料を取ったらええなんて言うたけれども、そんなことを大阪の商売でやっているところはない。できるのは大手の宅配ピザとか一部のことだ。大体、大阪市内は駐車もできない。すぐ駐車禁止のステッカーを張られて反則金だ。こういうようなことでございました。
大臣、これが業者の実態だと思うんですよ。混乱することはもう明瞭です。そして、最初の印刷デザイン会社の人のように、そんなややこしいことになるんやったらもうやめやということになるのは、火を見るより明らかではありませんか。
○麻生国務大臣 これは繰り返しになるかもしれませんけれども、複数税率というものをやろうと思いますと、適正な課税を確保するためには、いわゆるインボイスというものの導入というのは、これは必要なんだと思っております。
他方、今いろいろ言われましたように、この導入に当たりましてはいろいろな影響が出るということはもう重々承知をしておりますが、しっかり丁寧に業者に対応を行っていくという、これは重要、これもはっきりしていると思います。
したがいまして、今般の法案の附則において、政府におきましては、インボイス制度の導入にかかわりますいわゆる事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証しつつ、必要な対応を行うということにいたしておるところであって、この方針に沿ってしっかりと事業者へ説明等々を行っていかねばならぬのですが、おっしゃるように、今さまざまな御意見というのは、筑豊でも似たような話がいっぱい出たことは確かですが、出前のところは少し違っておりましたけれども、私の聞いたそば屋さんは二軒しかありませんので、ちょっとそこのところは大阪とは違っているのかもしれません。
○宮本(岳)委員 実態は本当にさまざまで、意見を聞いてもらいたい、こういうことですよ。先ほどのゼー六の御主人は、麻生大臣にも聞いてもらいたい、国会議員の先生方にぜひ話を聞いてもらいたい、こういうふうにおっしゃっておりました。私は、財務金融委員会でも理事会では参考人質疑や公聴会もやろうという声も出ておるので、その際には真っ先にお声をおかけします、こういうふうに言っておきました。
ここで委員長にお願いがあるんです。こういう声に応えるためにも、参考人質疑あるいは公聴会が必要だと私は考えます。この間の理事懇談会での合意の方向を踏まえて、ぜひとも開催していただきたい。
○宮下委員長 理事会で協議をさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 では、具体的に聞きたいと思います。
財務大臣、一四年四月に消費税が八%に引き上げられたとき、規模が小さな事業者も、その引き上げ分、三%分、消費税の価格転嫁はきちんとできたという御認識ですか。
○麻生国務大臣 消費税率の八%への引き上げ時における引き上げ分の価格転嫁につきましては、ことしの一月、中小企業庁が実施したアンケート調査があります。
これによると、全て転嫁できていると回答した事業者が、事業者間取引で八五・八%、消費者向け取引で七一・八%おられました一方で、全く転嫁できていないと回答された事業者が、業者間取引で三・四%、消費者向け取引でも五・四%おられたものと承知をいたしております。
いずれにしても、事業者の方々が転嫁ができずに消費税の負担を自分でのみ込むといったような状況にならないようにするために、引き続きこれは政府としては一丸となって対策に取り組んでいくということで、あのときも随分いろいろな形で、それまでやるのはやり過ぎじゃないか等々御意見がありましたけれども、強引にやらせていただいて結構その対応はできたので、あれをしていなかったらもっと多かったかなと思わないでもないんですけれども、いずれにしても、かなりいろいろな努力が必要だ、私どももそう思います。
○宮本(岳)委員 きょうは公正取引委員会にも来ていただいております。
公正取引委員会の調査では、転嫁の状況はどうなっていますか。
○原政府参考人 お答えいたします。
消費税の転嫁拒否行為に対しましては、迅速かつ厳正に対処しているところでございます。
消費税転嫁対策特別措置法が施行された平成二十五年十月から平成二十八年一月までに、公正取引委員会及び中小企業庁において二千四百四十七件の指導を行っており、また、重大な転嫁拒否行為に対しては、公正取引委員会において三十二件の勧告を行っているところでございます。
今後とも、消費税の転換拒否行為について、未然防止と迅速かつ厳正な対応を努めてまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 そういうのは本当に氷山の一角なんですよ。実態はそんな、大方いけているなんという状況では全くないですよ。
私が一昨日に話を聞いてきた、難波の駅前でスナックを経営しているマスターの話でありますが、簡易課税で計算すると、売り上げ一千万円で税額は三十二万円になる。仕入れ値も上がっているし、不況で客足も本当に遠のいているという話でありました。客から三千円ぽっきりでと言われますと、その金額の中でやるしかない。中には三千円でビールを五本も十本も飲む人もいるけれども、消費税を上乗せするどころか、まけて自腹を切っている。断ったらお客に来てもらえなくなる。利益なんか出ていないですよ。消費税額三十二万円が丸々自腹ということになる。消費税は紛れもなく営業破壊税だ。こうその方はおっしゃっておりました。
ゼー六さんがおっしゃるように、売り値は需要と供給で決まるんです。お客さんの顔色で決まるんです。激しい価格競争がある。しかも、そこに軽減税率が導入されて、インボイスが発行できなければ取引から外れるということになれば、免税業者はまさにどんどん取引から排除されていくのではないか。
財務大臣、それは明瞭じゃありませんか。大臣、排除されるんじゃありませんか。
○麻生国務大臣 これはたびたび御答弁を申し上げているように、BツーBの間で起きる可能性というのはこれは十分にあり得るんだと思っておりますので、消費者との直接の場合よりBツーBの間で起きる可能性が高いという点は、もう宮本先生がおっしゃるとおりなんだと思っておりますので、先ほども申し上げましたように、いろいろな形での支援というものと、時間をかけてやっていくということをやっていかないかぬのだと思っております。
○宮本(岳)委員 この免税業者の排除問題というのは、これは、決して一握りの、少数の業者の話ではないんです、おわかりだと思いますけれども。日本の伝統的な産業構造または商慣行に基づいて、我が国には何層にもわたる分厚い中小零細業者が存在します。ですから、大臣がおっしゃるBツーBというものが、零細な業者がそのBツーBの中に入り込んでいるというのが日本の特徴なんです。
これも、きょうは中小企業庁に来ていただいております。改めて確認いたしますけれども、分厚い中小零細業者が存在すること、それが幾層にもわたって間に介在しているということは、我が国にとっては非常に重要なことであって、我が国経済の強みだと私は思いますが、そうですね。
○豊永政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業、小規模事業者は、物づくりから卸、小売業やサービス業といった広範な業種に及び、産業活動や国民生活に必要な多様な製品やサービスを提供する役割を担っていると認識しております。
また、この中小企業、小規模事業者は、事業者数では九九・七%を占め、雇用者数で約七割を担っております。
このように、中小企業、小規模事業者は、多種多様な活動を通じて地域の経済や雇用を支える重要な存在であると認識しております。
○宮本(岳)委員 答弁のとおりです。既に小規模企業振興基本法というものもつくられて、そこでもしっかり位置づけられているわけです。
そこでお伺いします。これは財務省ですけれども、平成二十六年度で課税事業者数、免税事業者数の推計はそれぞれどのようになっておりますか、主税局長。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
課税事業者数でございますけれども、国税庁の二十六年度の統計年報によりますと、申告ベースで約三百十二万社、個人、法人を入れてでございます。
それから免税事業者数でございますが、消費税の申告をいたしませんので正確な数字を把握することが難しゅうございますけれども、総務省の国勢調査等をもとに機械的に試算をいたしますと、約五百十三万社程度と推計しております。
○宮本(岳)委員 課税事業者三百十二万、免税事業者数五百十三万、合計八百二十五万事業者のうち免税事業者が五百十三万ということですから、六割以上を占める事業者、この六割以上を占める事業者にかかわる大問題なんですね。
冒頭に紹介した望月俊浩研究部教育官の論考では、紹介した二つの問題点を指摘した上で、「特に免税事業者の取引排除の問題はインボイス方式の大きな問題点である。インボイス方式を採用する場合はこの問題をやむを得ないものと割り切ることとなる。」という指摘がこの論文の中に出てまいります。
今回、二〇二一年度からインボイスを導入するということについて言えば、まさに望月さんが言うとおり、この問題を、取引排除が起こってもやむを得ないということで割り切る、つまり、免税業者はもう潰れてもよいと割り切るということになるのではありませんか、財務大臣。
○佐藤政府参考人 今御指摘の論文でございますけれども、論文の中には「割り切る」という記述があるようでございますが、先ほど申し上げましたように、個人的な御見解であるというふうに思います。
一方で、インボイス制度というのは、複数税率制度のもとで、適正課税を行うためになくてはならないものであるということでございます。
ただし、それが、今まで御議論ありましたように、取引排除の懸念とかといったような問題を含めまして、免税事業者の事業に大きな影響を与えるということも十分肝に銘じなければならないということで、それに対応した制度設計、あるいは運用での対応といったものもきちんと丁寧にやっていく必要があるものだろうと認識してございます。
○宮本(岳)委員 私は余りまた聞きをしたくない方なんですが、では聞きますけれども、今おっしゃった取引排除の懸念、これは一体、具体的にどのように解消されるのか。どうするんですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
さまざまなケースがあると思いますけれども、一つは、今、排除されるということですから、仮にインボイス的なものが出せないということであれば、取引をやめますよとかいうようなこともひょっとして起こるのかもしれません。いろいろなケースが想定されるんだろうと思いますが、一つの例として申し上げます。
○宮本(岳)委員 いやいや、だからそういうことが起こる懸念がある、それを解決するのにどういう策があるんですかと僕は聞いたんですが。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
そういう懸念があるということでございますので、やはりしっかり時間をかけて、しっかり、インボイス導入までの間の準備あるいはそれの後の仕入れ税額控除に伴う一定の特例措置というようなものも工夫しながらそうしたものに対応していくというふうに、制度設計として提案申し上げているところでございます。
○宮本(岳)委員 昨日も維新の党の井坂議員が質問していました。免税事業者の排除というこの問題は、経過時間、準備時間があれば解決するという問題ではありません。
免税事業者が準備期間を経て免税事業者でなくなるとすれば、レジなどを導入して課税業者になるか、最初に紹介した大阪の業者のように廃業するか、どちらかであります。免税業者が免税業者である限り、インボイスは発行できません。そのインボイスが発行されなければ、そこから仕入れた事業者は仕入れ税額控除が受けられないわけですから、その免税事業者は取引から排除されます。
これは、準備時間を置こうが経過期間を置こうが、インボイスを発行できる課税業者になる以外に解決しようがないんですよ。あるいは、競争の中で淘汰される以外ないんですよ。
財務大臣、この制度のこの問題点というのは、まさに、我が国八百万事業者のうち六割以上を占める中小零細の免税業者にかかわる問題ですけれども、結局はこれは、強制的に課税業者になるか、あとはもうやめるか、こういうことになるんじゃないですか。時間で解決しますか。
○佐藤政府参考人 答えさせていただきます。
一般的に、やはりそういう排除の問題とかいろいろな問題は出てくるんだろうと思いますけれども、実際、それでは個々の免税事業者がどういう形の人たちを想定するかということもあるんだろうと思います。BツーBであるのかBツーCであるのか、そういう事業かどうかによっても影響してくるんだろうと思います。BツーBだと比較的そういう問題が起こりやすいかもしれませんけれども、BツーCだとそういうものとは違う局面があるかもしれませんし、あるいは取引相手がどのような事業者であるかとか、いろいろな事情があるんだろうと思います。
ただ、我々といたしましては、こういう制度を新しく導入することを提案しているという以上、やはり事業者が、インボイスについて自分の事業にどのような影響を与えるのかというものをちゃんと見きわめる、それから、課税転換する場合、本当にそれが必要なのかどうかを判断する、それから、課税転換が必要と判断した場合には、区分経理に伴う準備がどういうものが必要かということをしっかりと考えていただくというようなことが生じてくるということは、制度変更でございますので、やむを得ざることとしては起こりますので、それに対してしっかりと対応していただけるような経過措置なり、あるいは制度の周知徹底というものに最大限努めていくという立場でございます。
○麻生国務大臣 先ほど言われた三百万社、五百万社、合計八百万社のうち、払っていない方の方が五百万社というところですけれども、これは、一番の問題はその中の内容で、BツーBの人がその五百万のうち何百万社いるかであって、BツーCの方にとっては、これは基本的には免税業者のままでいるという選択だとか十分あり得るんだと思っておりますので、その内容の詰めがちょっとよくわかりませんので、五百のうちの内訳がBツーCかBツーBかというところがちょっとわからぬなという感じがしますけれども、いずれにしてもBツーBの方々にとっては、そういったことは十分にあり得ると思っております。
○宮本(岳)委員 この議論をずっとやっていきますと、結局、だから、主税局長の答弁を聞いても、準備期間を置いて、そして課税業者になるための準備期間は十分とっていますという話であって、免税のままでいける具体的な手だてというものは何らないわけですよ。BツーCなら大丈夫でしょうという話以外ないわけですよ。
それで、今回、法律の附則百七十一条二項、消費税の軽減税率制度の導入後三年を目途に検証して、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずる、こういう一文が入っているからということも言われました。
では、この必要な措置というのは、免税業者をインボイス導入により廃業や課税業者に強制的に追いやるということがないようにするための措置を講じるというふうに考えていいんですか、大臣。そういうように理解していいですか。
○麻生国務大臣 これは現実問題として、その三年なり四年なりの時間の間にどういったことがいろいろ起こるのか、ちょっとまだ私どもとして全部が全部予測できているわけではありませんけれども、そういった意味で私どもとしては、なるべくそういった形で、強制的にやらされる、そんなに一千万も売れていないのに課税業者にされるというのはちょっと納得できないというところもいっぱいおられると思いますので、そういったところをどうするかというのは、ちょっと別の問題として考えなきゃいかぬと思います。
○宮本(岳)委員 時間ですから終わりますが、絶対に、インボイスの導入によって廃業したり、その意に反して無理やり課税業者にならざるを得ないといった状況を生んではならないと思うんです。しかし、そういう方法がそんなに簡単にあるぐらいなら最初からやれということになるわけです。
時間を置こうが、徐々にやろうが、免税事業者として必死に頑張っている五百万の小規模事業者を切り捨てることにつながるインボイス方式はきっぱり撤回する。何よりも、軽減税率の導入などではなく、消費税の増税こそ中止することを強く求めて、私の質問を終わります。