地方切り捨てやめよ 衆院地方創生委 宮本岳志氏迫る(しんぶん赤旗)
地方切り捨てやめよ(動画)
第190回国会 地方創生に関する特別委員会 第3号
平成二十八年三月九日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 山本 幸三君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 寺田 稔君
理事 福井 照君 理事 篠原 豪君
理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君
秋本 真利君 伊藤 達也君
池田 道孝君 江藤 拓君
小田原 潔君 越智 隆雄君
大野敬太郎君 勝俣 孝明君
菅家 一郎君 小林 鷹之君
新谷 正義君 菅原 一秀君
助田 重義君 鈴木 馨祐君
田中 英之君 谷川 とむ君
中谷 真一君 野中 厚君
鳩山 邦夫君 平井たくや君
福田 達夫君 牧島かれん君
宮川 典子君 宗清 皇一君
山田 賢司君 緒方林太郎君
柿沢 未途君 吉良 州司君
佐々木隆博君 寺田 学君
福田 昭夫君 角田 秀穂君
樋口 尚也君 田村 貴昭君
宮本 岳志君 椎木 保君
重徳 和彦君 村岡 敏英君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
内閣府副大臣 福岡 資麿君
総務副大臣 土屋 正忠君
文部科学副大臣 義家 弘介君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
総務大臣政務官 輿水 恵一君
総務大臣政務官 森屋 宏君
文部科学大臣政務官 堂故 茂君
国土交通大臣政務官 宮内 秀樹君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 広瀬 直君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井 毅君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室次長) 池田 憲治君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室長) 佐々木 基君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 中尾 泰久君
政府参考人
(総務省統計局統計調査部長) 千野 雅人君
政府参考人
(文化庁長官官房審議官) 磯谷 桂介君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 梅田 珠実君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 和彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 浜谷 浩樹君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長) 福田 祐典君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次長) 苧谷 秀信君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局雇用開発部長) 広畑 義久君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総括審議官) 田村 計君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 杉藤 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 清水喜代志君
政府参考人
(国土交通省鉄道局次長) 志村 務君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 佐々木勝実君
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委員の異動
三月九日
辞任 補欠選任
小泉進次郎君 助田 重義君
菅原 一秀君 越智 隆雄君
谷川 とむ君 宗清 皇一君
村岡 敏英君 重徳 和彦君
同日
辞任 補欠選任
越智 隆雄君 菅原 一秀君
助田 重義君 小田原 潔君
宗清 皇一君 谷川 とむ君
重徳 和彦君 村岡 敏英君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 新谷 正義君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 小林 鷹之君
同日
辞任 補欠選任
小林 鷹之君 秋本 真利君
同日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 小泉進次郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方創生の総合的対策に関する件
○山本委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
先日の石破大臣の所信を受けて質問いたします。
大臣は所信の冒頭で、今のままなら日本人は二百年後に千四百万人、三百年後にはわずか四百万人になるという試算をお示しになって、国家そのものが持続可能性を失うと強烈な危機感を表明されました。
言うまでもなく、地方創生の取り組みは、人口減少社会の到来と地方消滅、こういう増田レポートというものも一つきっかけにして、二〇一四年秋の臨時国会に当委員会が設置をされ、そして地方創生関連法が制定されたところから始まっております。東京一極集中を是正し、疲弊が進む地方を活性化し、人口減少に歯どめをかける、こういう形で既に国の総合戦略も策定されました。
先ほどの田村議員の少しおさらいになるんですが、総合戦略では、二〇二〇年に地方、東京圏の転出入を均衡させるということで、二〇一五年から二〇一九年の五年間で、二〇一四年時点での東京圏四都県の人口転入超過数、つまり約十一万人を解消する、こういう計画を立てておられます。でも、五年間で十一万人ですから、単純計算すれば、年二万人程度縮小していかなければなりません。
そこで、総務省に事実を確認しますが、住民基本台帳人口移動報告によると、二〇一五年、昨年の東京圏四都県の人口転出入超過数はどれだけだったか、そして前年比で増減がどうだったか、お答えいただけますか。
○千野政府参考人 お答えいたします。
二〇一五年の東京圏の転出入超過数は、十一万九千三百五十七人の転入超過となっております。これは、前年に比べまして九千九百四十九人の増加となっております。
○宮本(岳)委員 約二万人の縮小が必要というんですけれども、減るどころか逆に、前年比で一万人もふえ続けたと。
東京圏の人口がふえ続けているこの要因は何か、大臣、どうお考えになりますか。
○石破国務大臣 繰り返しで恐縮であります。
十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳が転入超過の過半を占めております以上は、それはやはり、東京の学校で学びたい、高校を卒業した後、大学でありあるいは専門学校であり、東京で学びたいという人が多い。逆に申し上げれば、地方において、高校を卒業した方々を受け入れるだけのキャパがないということもあるのだと思います。
もう一つは、大学を出た後、地方の大学を出て就職をするときに、やはり東京の職場の方に選択が行われるということがある。それは二面ありまして、地方に職場がないのか、あるいは職場はあるけれども東京の方が給与が高いのか等々。
いずれにいたしましても、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳が転入超過数の大半を占めておりますので、そこに対して有効な対策というものを考えていかなければこれは解決をしないと考えております。
○宮本(岳)委員 大臣も所信で、「現状は依然として厳しい状況にあります。」とお認めになりました。東京一極集中に歯どめがかかっておりませんと、現状と目指すべき目標との乖離をお認めになったわけですね。
私は、今るるおっしゃったような理由というのは、そういうことから取り組みを始めたわけでありますから、そこから前に進めようというのが前に進まない、むしろ後ろに下がっているということでありますから、今あなた方が進めている地方創生の政策というのはやはり当たっていないんじゃないか、間違っているんじゃないか、こういう問題意識をお持ちにならないか。そういう問題意識はございませんか。
○石破国務大臣 それは、自分たちが全面的に正しいと言うほどおこがましい気持ちは持っていないのであります。
ただ、私が思いますに、その地域、例えば和歌山なら和歌山で、あるいは岡山なら岡山で、香川なら香川で、どこでもいいんですけれども、その地域をどうするかはそこでお考えくださいというのがやはり基本ではないかと思うのです。同じように道路をつくり、同じように公共建造物をつくり、家電であるとか自動車であるとか、そういうようなビジネスが全国に展開していたときは、それは同じでよかったんだと思います。ですけれども、では、和歌山なら和歌山の特性を最大限生かしてどうするのか、福島なら福島の特性を最大限生かしてどうするのか、岡山なら岡山をどうするのかということは、そこでお考えいただかないとわからぬのです。そこは私は間違っていると思っていません。
それ以外に、地域における労働生産性を上げ、所得を上げ、雇用を安定させ、そこにおいて大学を出たけれども、そこに就職したいという子たちはふえないのではないかと思っています。
例えば、広島県というのを見たときに、オンリーワンの企業というのはいっぱいあるんですよね。世界でトップシェアを持っている企業はたくさんあるんですけれども、広島に行ってお話を聞くと、ううん、広島にはいっぱい大学はあるんだけれども、その卒業生が就職してくれないというような話をよく聞くところであります。
そこにおいてどうやってマッチングを行っていくか等々、できることはたくさんあると思っておりますので、私は、もちろん過てる点、足らざる点は直していかねばなりませんが、あなたの政策は間違いではないかと言われると、そうでございますと言う気は全くないのでございます。
○宮本(岳)委員 私は、二〇一四年の臨時国会、地方創生関連法案に対する反対討論で、「そもそも、農業破壊や中小企業切り捨て、市町村合併などにより地方の産業と雇用を壊し、地方から魅力と活力を奪い、大型再開発のための規制緩和策で東京一極集中をつくり出したのは、自民党政治そのもの」、こう指摘をし、「その総括も反省も全くないまま、財界、大企業が主導して策定した骨太方針や日本再興戦略改訂版、規制改革実施計画を実現するために集約と活性化を押しつけ、安倍内閣の成長戦略のための地方の構造改革を進めるなどというのは、本末転倒も甚だしい」、こう申し上げました。
地方衰退の原因ははっきりしております。輸入自由化により農林水産業を潰した、大店法廃止による商店街潰し、地方再生の名による都市再開発、東京一極集中の政策、そして、小泉改革で、地方交付税を削減し、平成の大合併へと地方自治体を追い立てたことだと思うんですね。
これらは全て、私も当時反対しましたけれども、我が党の反対を押し切って、大臣、自民党がやってきたことではありませんか。
○石破国務大臣 かつて地方にもにぎわいがあった時期がありましたということを何度かこの場でも申し上げました。
それは、私の鳥取でも、今や人口五十八万を切りましたが、人口六十二万だった時期があるのです。それは昭和四十五年ぐらいから昭和五十五年ぐらいまでの十年間でした。
そこにおいては、押しなべて地方と言われるところはみんなそうだったと思います。人口もふえ、駅前もにぎやかで、シャッター通りもなく、観光客もいっぱい来てという十年は、一体何でそんな十年があったんだろうといえば、やはり私は公共事業と企業誘致だったと思っています。
それにかわるものを見出さないままに、ある意味で地方と農林水産業と次の時代にしわ寄せを押しつける形で国家を運営してきたのではないだろうかという反省を少なくとも私自身は持っておるところでございます。それは、私も政調会長や幹事長をやっておりましたし、農林水産大臣もやっておりましたから、人を批判するのではなくて、私自身、反省をしていかねばならないことだと思っております。
そうでありますがゆえに、その地域地域の農業なら農業、漁業なら漁業、林業なら林業はなぜこんなになったのか。日本というのは農業と漁業と林業に世界一向いた国に決まっているのであって、土と光と水と温度の産業である農業、世界で第六位の排他的経済水域を持つ日本、そして国土の八割、七割が森林である日本で、何で農林水産業はこんなことになったのかという原因をきちんと究明していかねばならない。
それは、私は、全てがTPPと自由化が原因だと思っていません。どうやって付加価値を上げ、どうやってコストを下げるかというマインドが決して十分じゃなかった点が多々あろうと思っています。
観光客にいたしましても、ようやっと二千万に届こうとしていますが、本当に外国からお客さんを迎えようとしてきただろうか、日本の農産物を外国に出そうとしてきただろうかといえば、それはもう、論理は一貫して一つのものだと思っております。
私どもとして反省すべき点は多々ありますが、反省ばかりしていても仕方がないのでありまして、そこをどう直し、これから先どうしていくかということについて地域の皆様方と真剣に話し合いながら、地域の創意工夫を最大限応援するという地方創生でありたいと考えております。
○宮本(岳)委員 私は、昨年五月二十日、当委員会で大臣に、全国町村会からも国の合併推進策の問題点がるる指摘されているということを申し上げて、平成の大合併の失敗を潔く認めるべきだ、こう申し上げました。大臣は、口が裂けても失敗とは言えないという態度を変えなかったわけであります。
今、何から何までよかったと言うつもりはない、反省点も大臣自身はないわけではないとおっしゃったけれども、本当に政策の中身一つ一つを掘り下げて、なぜこうなったのかということをしっかり反省するところから始めなければ、地方創生はおぼつかないというふうに私は思うんですね。
そこで、中身に入りたいと思うんです。
安倍首相は、去る三月三日、参議院予算委員会で、我が党の小池晃議員に対して、消費税八%の増税による消費の冷え込みについて問われて、予想以上に落ち込み、予想以上に長引いていると答弁されました。
内閣府が昨日発表した二〇一五年十―十二月期のGDP改定値では年率で一・一%のマイナスですから、個人消費はさらに悪化をしております。
そこで、石破大臣にもまず確認するんですけれども、地域経済においても消費税率引き上げの影響がやはり大きく響いている、この現状認識はお持ちですか。
○石破国務大臣 消費が拡大しないのは、それは暖冬であったとか、いろいろな理由もございますが、賃金が物価の上昇に追いついていない地域があるということも、それは数字が数字として物語っていることだと思っております。
ですから、賃金が物価上昇に追いつくようにしていかなければならない。それが生産性を上げるということであり、政府として、経営者の方々に、賃金を上げてくださいというお願いをずっとしておるわけでございます。
あわせまして、消費税が上がったということもございましょう。
さらには、「三丁目の夕日」の世界みたいに、あの映画の中で展開したのは、テレビが来たね、冷蔵庫が来たね、うれしかったねという、我々昭和三十年代に生まれた者はみんなわくわくしたものでございますが、そういう本当に欲しいものというものが世の中にもっともっと提供されてしかるべきではないだろうか。食べるものと着るものはある程度充足してきたけれども、では、住むところはどうなのだろうかという、国民のいろいろなニーズに対応した商品の提示の仕方というものも、政府として、民間の方々とともに考えていかねばならないことです。
消費税の増税だけが理由ではございませんで、ほかにもいろいろな理由はあろうかと思いますが、消費が上がっていかなければこの国の経済の回復がないというのは、認識を一にするところでございます。
○宮本(岳)委員 地域経済の疲弊というときに、消費税の増税の影響は地方にとりわけ深刻にあらわれていると思うんですね。
いわゆるアベノミクスというものは、大企業が一時的にもうける効果はあるわけですけれども、地域の中小企業、農業、福祉などを衰退させる結果をもたらすものだ。だからこそ、あなた方も、アベノミクス第二ステージの中で、未来投資による生産性革命の実現とあわせて、ローカルアベノミクスは車の両輪だ、こう言わざるを得なくなったんだと思うんですよ。
昨年、この地方創生で、地域消費喚起・生活支援型交付金が交付されました。政府の例示に沿ったプレミアム商品券、ふるさと名物商品券、旅行券等々が圧倒的でありましたけれども、これは、経済効果は限定的、一時的という評価が多いです。大臣もそういう御認識をお持ちですか。
○石破国務大臣 これは、限定的、一時的でないように、地域における創意工夫をお願いいたしました。一律に二割引きであるとか三割引きであるとかいうことであれば、それは限定的、一時的なものに終わりますが、その地域において新たな需要を創出する。
今まではその地域の人しか買ってくれなかった、その地域の人しか来てくれなかったのに、例えば鳥取だとすれば、今まで関西圏の人しか来ていただけなかったのに、東京から来ていただけるようになりました、あるいは、ある地域によっては、一回しか来てもらえなかったのに、リピートして来ていただけるようになりました、あるいは年代が違う方に来ていただけるようになりました等々、宿泊にいたしましても、観光にいたしましても、あるいは物品の消費にいたしましても、今までと違うお客様、今までと違う消費形態というものが生まれているというふうに考えております。
いずれにいたしましても、これはきちんと集計をして、分析をして、さらによりよきを期していきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 限定的、一時的であってはならないというわけでありますけれども、本当に地域の経済の再生、活性化ということを考えれば、これはやはり、安定した雇用と社会保障をしっかり地域にどう保障していくかということに向かわなければなりません。
ただ、ローカルアベノミクスというものが、本当にそういう真剣な反省の上に立った取り組みになっているかといいますと、私は、この間、一月二十五日の産業競争力会議に提出された今後の検討方針というペーパーを見せていただきました。きょうは内閣官房に来ていただいていますけれども、この今後の検討方針の中で、ローカルアベノミクスの推進というのは一体どこに位置づけられておりますか。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御質問ございました成長戦略の進化のための今後の検討方針におきましては、名目GDP六百兆円という希望を生み出す強い経済の実現に向けまして、生産性革命を実現する仕掛け、あるいは成長を担う人材の創出など、五つの大きな柱で検討項目が列記されております。その五つの柱の中で、ローカルアベノミクスの推進につきましては、戦略的成長市場の拡大戦略と並ぶ重要な検討項目として位置づけられているところでございます。
○宮本(岳)委員 ペーパーを見ましたけれども、GDP六百兆円に向けた戦略的成長市場の拡大、ここにローカルアベノミクスが位置づけられているわけですよ。つまり、結局、新三本の矢に掲げられたGDP六百兆円という目標がそのままローカルアベノミクスの目標となっている。こういうやり方で本当にいくのかということを私は問わなきゃならないと思うんですね。
大臣、まず地方の働く場をきちっとつくる、それから小規模企業がしっかり事業を継続できるようにする、そういう施策こそ、私はもっと真面目に愚直に進める必要があると思うんですけれども、それこそ大事なんじゃないでしょうか。いかがですか。
○石破国務大臣 私ども、今の日本においてトリクルダウンの理論というのは当てはまらない部分が多いだろうと思っておりますし、政府としてトリクルダウンということを申し上げたことはございません。
また、世界を相手に商売するグローバルな経済とローカルな経済というのは、重複するところもございますが、今の時代はかなりそこがセパレートされてきたものだという認識を持っております。
子細に見てみましたときに、地方において雇用の多くを占めておりますサービス業、その生産性はかなり低いのだと思っております。アメリカのみならずヨーロッパ諸国に対しても低いということを考えた場合に、まさしく愚直に、そこにおける生産性を、労働強化とか労働者に対する首切りとかそういう形ではないやり方で労働生産性を上げることが、今であれば可能だと思っております。
ただ、そこまでしなくてもというような気分をお持ちの経営者もいらっしゃって、もう自分の代で終わるのだ、息子にこの仕事をやらせるつもりはないのだという方も多いので、そこにおいて生産性を上げてくださいよと言っても、余計なお世話だみたいなところもあるわけですね。そこにどうやってその気になっていただくかということは、私どもとしていろいろな工夫が必要だろうというふうに思っております。
さあ皆さん方が頑張ってくださいだけでどうにかなるんだったら誰も苦労しないのでありまして、地域の方々の疲弊しちゃった諦観みたいなもの、諦めの気持ちみたいなものをどうやってもう一度活性化していただくかということについて、さらに誠心誠意努力をしなければいけないと考えております。
○宮本(岳)委員 おっしゃるとおりで、後継者不足というのは本当に、後継者難が一つの鍵になっていまして、中小企業庁が行った引退後の事業継続の意向調査というのを見ても、事業をやめたいという経営者の五割超が後継者難をその理由に挙げている。後継者がいないというのがやはり一番の原因なんですね。
ただ、それは商売に展望がないからでありまして、最大の問題は、これまでの自民党の経済政策が中小業者にとって展望を奪うものになってきたと思うんですよ。
私は財務金融委員会もやっておるんですけれども、来年からの消費税増税に伴う軽減税率に伴って、二〇二一年度からインボイス方式の導入ということが決められようとしております。
インボイスが入りますと、大半は零細な業者ですけれども、全国で五百万を超える免税事業者を事業者間取引から排除するという結果になる。どれだけこの五百万が減っていくだろうかという議論も随分やりました。
ただ、私が現場で聞くと、インボイスの導入など待たずに、来年消費税が一〇%に上がれば廃業する、こういう声がもう圧倒的なんですね。ここに本当に手を打たなければ、そういう業者を潰すような政策を切りかえなければ、幾ら地方に働き場所をといっても済まない。これはもう聞かずに、御指摘を申し上げたいと思います。
また、農家の後継者不足も深刻です。TPPをやられたら農業をやめる、こういう声が列島に渦巻いております。
きょうは配付資料をおつけいたしました。大臣の地元、鳥取県農業会議が平成二十三年二月に行った「農業・農村の現場からTPP問題を考える」というアンケート調査結果の概要であります。恐らく大臣もこれはごらんになったことがあるかと思います。
中を見ていただくと、約八割の人がTPP参加に反対や慎重な姿勢、こう述べた上で、TPP参加の影響について、回答者の八割が、農業が壊滅し、地域社会が崩壊する、こう予測しております。
大臣、TPPに参加したら鳥取の農業人口はふえると思いますか。ふえるというのであれば、その根拠をお聞かせいただけますか。
○石破国務大臣 私は、そこに明確な因果関係が存在すると思っておりません。TPPに参加したらふえるとか、しなかったらばふえるとか、そういう問題だと思っていないのです。
むしろ、私自身は、これは農林水産副大臣のときからずっと思っていることなのですが、TPPに参加しようがしまいが、この国の基幹的農業従事者の平均年齢というのは、二十年前は四十五で、十年前は五十五で、今は六十五です。要は同じ世代の方がずっと基幹的農業従事者でやっているわけで、人間は不老不死ではありませんから、基幹的農業従事者の方がある日突然どんといなくなるという事態が起こるはずなのです。
それでも二種兼業が残るからいいさという議論もあったんですけれども、今、二種兼業農家が一番減っているわけですね。それは、三反でも四反でもやろうと思えば、稲作の場合ですが、七百万ぐらい初期投資が要るのでとても間尺に合わないということで、若い方々は、もう二種兼業でもやめたという方が続出をしておるわけであります。
これから先、人口は急減するわけですから、だとしたら、そこにおいて、日本の農業者はどこにマーケットを求めていったらいいのだろうかということを考えていかなければなりません。
もちろん、私は自給率という言葉は余り使いませんが、自給力も上げていかなければならないでしょう。同時に、海外のマーケットに対してどうやって打って出るかということを考えたときに、私が議員になったころは、日本の米みたいに水分が多くて粘り気の多いものは絶対東南アジアじゃ売れないと言われました。今や東南アジアで、日本の米は麻薬、つまり、一回食べたらやめられないと言われているようなものになりました。私は、海外において市場を開拓し、そこにおいて農業者の人口を確保し、あわせて日本の農地の減少を食いとめるということも考えていかねばならないことだと思っております。
TPPにおいて、私どもが国民に対しまして重要五品目の維持というものはやるんだと言うのは、スローガンで申し上げたわけではなくて、農業者の人口と農地というものをどうやってこれからの人口減少期において確保するかというような考えに基づいたものだと承知をいたしております。
○宮本(岳)委員 後継者がいない、つまり、四十五歳、五十五歳、六十五歳と進んでいっているのは、私は、やはり農業で食べていく展望が見えないからだと思うんですね。そこに本当に展望を開かなければ、幾らそう言ったって、衰退の一途をたどることは明瞭ですよ。そして、TPPというものがそういう不安を農家の間に広げていることは事実でありますから、そこに何ら回答はまだ示されていないということだと思うんですね。
大臣は所信で、道州制についても触れられました。「国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。」こうおっしゃったわけですね。この道州制もそうなんです。道州制も、実は全国町村会、全国町村議会議長会が、道州制の導入により市町村合併がさらに強制されれば、農山漁村の住民自治は衰退の一途をたどり、ひいては国の崩壊につながっていくと、断固反対の決議を繰り返し上げております。大臣はもちろん御存じだと思うんですけれども、それでもこれは進めるんですか。
○石破国務大臣 私は道州制担当大臣でもございますが、これはまず国会において、道州制はどうなのだろうかと。
前の御議論でも、これは憲法改正を必要とするんだとおっしゃる論者の方もおられます。我が党としては、憲法を改正しなくても道州制の導入は可能だという立場でございます。
ですから、道州制導入について賛否両論あるんですけれども、私は長くこの議論を聞いていて、どうも交わらないんですよね。道州制導入の方々は、これをやらないと国が潰れるとおっしゃり、反対の方々は、これをやったらば国が滅びるとおっしゃり、どっちも国が滅びるという結論だけ一緒で、論理構成が全然違っているので、そこを少しでも近づける努力をするのは、まさしく議論の場たる国会の責務ではないかと思っております。
実際、道州制を導入したときに、では国会の権能というのはどうなるんでしょう。外交と安全保障と財政だけやればいいということになったらば、国会議員の仕事とか数とかいうのはかなり変わってくるはずですし、では農林水産省設置法はどのように変わり、あるいは国土交通省設置法はどのように変わっていくのか等々、その各論が全くないままに、そういう論を唱える人間はとんでもないやつだみたいな感情論の応酬をやっていると、この話は前に進まないと思っています。
私は、中央政府は外交、安全保障、財政、通貨、そういうものにかなり特化すべきだというふうに考えておりまして、ニア・イズ・ベターという考え方には共感するものでございますが、政府としてこうだということを申し上げるというよりは、まさしく国会の場においてそういう議論をちょうちょうはっし展開していただいて、少しでも前向きに進めていただきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、全国町村議会議長会は、「道州制の導入には断固反対」と題したパンフレットで、「我々は意見や問題提起をしてきたが、その都度与党の自由民主党からは、道州制の導入が前提であるかのごとく、すれ違いの表面的な回答しかもらえないのが現状である。」こう強い憤りを示しておられます。
今、全国の町村議会で七百二十一町村議会、全体の七七・五%の議会で、道州制導入に反対する意見書というのが採択されているわけですよ。八割弱ですよ。
道州制は、まさに大臣がおっしゃったとおり、国の仕事を外交、軍事などに限定し、社会保障や教育などを守る国の責任を投げ捨てる、国家制度の大改変計画だと言わなければなりません。市町村も再編され、住民から一層遠くなり、住民サービスも危うくなるなど、地方自治の変質、破壊そのものだ。あなた方の掲げる地方創生とも相入れません。全国町村会や全国町村議長会が反対するのは当然だと思うんです。
こういう方向ではなく、本当に住民と自治体の総意を酌み上げて、これを応援する地方創生の施策の立場に転換することを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○山本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。