消費税増税中止求める 衆院委で参考人 宮本徹・宮本岳志議員が質問(しんぶん赤旗)
第190回国会 財務金融委員会 第9号
平成二十八年二月二十九日(月曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井林 辰憲君
岩田 和親君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 大串 正樹君
大野敬太郎君 大見 正君
勝俣 孝明君 神山 佐市君
工藤 彰三君 國場幸之助君
新谷 正義君 助田 重義君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
高橋ひなこ君 武井 俊輔君
中山 展宏君 長尾 敬君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 宮川 典子君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
階 猛君 鈴木 克昌君
前原 誠司君 宮崎 岳志君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
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財務大臣政務官 大岡 敏孝君
参考人
(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員) 片岡 剛士君
参考人
(静岡大学名誉教授) 安藤 実君
参考人
(慶應義塾大学経済学部教授) 竹森 俊平君
参考人
(中央大学法科大学院教授) 森信 茂樹君
参考人
(全国商工団体連合会副会長) 太田 義郎君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
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委員の異動
二月二十九日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 高橋ひなこ君
越智 隆雄君 青山 周平君
國場幸之助君 神山 佐市君
田野瀬太道君 大串 正樹君
竹本 直一君 武井 俊輔君
鈴木 克昌君 小宮山泰子君
宮崎 岳志君 階 猛君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 岩田 和親君
大串 正樹君 長尾 敬君
神山 佐市君 國場幸之助君
高橋ひなこ君 宮川 典子君
武井 俊輔君 竹本 直一君
小宮山泰子君 鈴木 克昌君
階 猛君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 越智 隆雄君
長尾 敬君 大見 正君
宮川 典子君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
大見 正君 新谷 正義君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 田野瀬太道君
瀬戸 隆一君 井上 貴博君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
○宮下委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、三人の参考人の先生方、まことにありがとうございます。私の方からもお礼を申し上げたいと思います。
今回の、先ほどから軽減税率という議論も交わされているわけですが、これはもちろん、来年四月から消費税を一〇%に引き上げる、こういうことを前提にした議論なわけですね。
それで、昨年十―十二月期のGDP、これは速報がこの前出ましたけれども、御承知のとおり、二期ぶりのマイナスということが明らかになりました。
先日、この委員会でも議論が交わされましたが、本田悦朗内閣官房参与も、来年の消費税増税は絶対にすべきではない、こういう御発言をされておられます。
本日、午前中の議論でも、実は、参考人でお招きをした片岡参考人は、来年四月の消費税増税は凍結すべきだ、むしろ消費税は八%から六%に減税すべきではないか、これだけ消費が落ち込んでいるときに、こういうお話もございました。
私は、このまま消費税を増税すると、やはり日本の経済に重大な打撃をもたらすのではないか、こういうふうに思いますけれども、これは三人の参考人の方々、全ての皆さんにひとつ御意見をお伺いしたいと思っております。竹森参考人から順番にどうぞ。
○竹森参考人 どうもありがとうございます。
現在の経済の状況については先ほど申し上げまして、今、日本の経済というのは、どんどんどんどん対外的な依存度が強くなっておりまして、思ったほど輸出が伸びていないということはあります。ただ、崩れるというほどまでは、大崩れとまではいっていないので、非常に不安定が広がっている、これから中国はどうするんだろうなという様子見があるんだろうと思います。
ですから、私は、この段階の予算で消費税をストップするというのは余り考えられないのであって、ただ、景気の状況というのはいつも見なければいけないので、その点については柔軟な判断がされるということを期待しております。
○森信参考人 お答え申し上げます。
私は、消費税の税率の引き上げは必要だというふうに思っております。
それは、一つは、今、竹森先生からもお話ありましたように、日本のそもそも潜在成長力というのは一%弱だと思うんですね。したがって、ちょっと何かあればマイナスになるというのは、それほど不況が、経済の底が抜けるというふうな感じではないと認識しております。
そういう中では、アベノミクスにやはり足りないのは、分配、社会保障政策だというふうに思います。つまり、異次元の金融緩和と適切な財政政策といいますが、この二つは、結局、時間を稼ぐだけの政策だというふうに思います。抜本的な成長戦略が打たれている状況ではありませんから、むしろ必要なのは、ワーキングプアとか非正規雇用とか、そういった人々への手厚い支援だと思うんですね。
そういう意味から考えて、消費税率を引き上げて、既に子供、子育て等々に予算の配分が決まっているわけですから、そこをしっかりやっていくことこそ景気対策になるのではないかというふうに今思っております。
それから、莫大な借金を抱えている中で、財政がこれ以上悪くなることは、やはり不測のリスクを日本国経済にもたらすのではないかということもつけ加えておきたいと思います。
以上です。
○太田参考人 今の景気動向を考えて、やめるべきだというふうに思います。
理由は、とにかく、日本の中小企業、全体で八百万を超えるわけですけれども、そこの大体七割近くが赤字決算を出しているんですね。ところが、では日本経済全体がそんなものかというとそうじゃなくて、大企業ではかなり内部留保もふえているし、利益は上がっている。問題は、大企業の利益というのが国民全体に、下請や多くの国民にいわば滴り落ちてこないという現実がやはり問題だろうというふうに思うんです。
それが証拠に、預貯金ゼロという人が三一%になっているんですね。それで、格差はどんどん広がって、二百万の収入しかないというワーキングプアがどんどんふえている。若い人にあっては、実に五割近くの人たちが非正規労働しかない、正社員になれない。ということは、若い人たちが嫁さんをもらって、あるいは嫁に行って、若夫婦が二人生活するというのが大変難しい時代になって、子育ても難しくなっている。
したがって、こういう状況の中で国民全体が豊かになるような政策を政治は行って、全体の格差を縮めてやるべきだ、したがって、来年の導入については延期をすべきだというふうに思っております。
以上です。
○宮本(岳)委員 ありがとうございます。少しこの評価が割れたわけであります。
今、ちょうど太田参考人から、大企業は随分もうけが上がっているんだけれども、それが滴り落ちていないというお話がございました。竹森参考人も、業績は上がっている、これが新たな設備投資に本当に回っていくかが鍵だと。もちろん、お話の中では、設備投資だけじゃなくて賃金に回って消費が喚起される、これが回っていかなければというお話があったと思うんです。
私、国会で大臣の方々と議論していても、そこがなかなかいっていないんだと。これは政府もお認めなわけですね。では、なぜ滴り落ちないのか、どこに問題があるのか。これは竹森参考人、どうお考えになりますか。
○竹森参考人 まず、大企業がよくて中小企業がそれほどではないというのは確かだと思うんです。
一つは、大企業の方は輸出企業が多いからで、最初に申しましたように、今、円安のメリットを受けて、八十円が百二十円になれば五〇%収益が上がるということがあります。中小企業の場合、輸出を単体でやっているという企業は少ないということから、影響が少ないと思うんです。
問題は、その大企業の利益がどうやって中小企業に滴り落ちるかですが、これは、欧米の国を見ても、なかなか滴り落ちない。問題があることは確かであります。
ただし、私は、日本の場合は、滴り落ちないのはまだ十分水がたまっていないからだ、要するに、まだ滴り落ちるほどの前向きな気持ちになっていないからだというふうに見ていて、したがって、景気がよくなるような円安はまだしばらく続いていただく必要があるのであろうと思っております。
○宮本(岳)委員 大企業の内部留保というのは、麻生大臣も明確に答弁されていますけれども、三百五十兆になんなんとする史上最高のたまりぐあいでありますから、私たちは、やはり現場で起こっていることというのはなかなか深刻なんじゃないかというふうに思っているんですね。
それで、こうして議論してみても、実際現場でどうなのかというのは随分やはり認識が違うと思うんですよ。私は、この間、本当に小売の方々の生の声もお伺いをしてきて、この場でも御紹介を申し上げました。そして、ぜひ、参考人質疑にも業者の代表の方に来ていただいて、現場ではそんな甘い状況じゃないよということをお聞かせいただくことが大事だということを申し上げてきたわけであります。
消費税の転嫁を一つとっても、これは現場ではなかなかそんな簡単な話じゃないと思うんですね。先ほど来、要するに、益税とかいいかげんなことになっているんじゃないかという議論もされるわけですけれども、現場ではむしろ転嫁できないという現状が広くあるというふうに私はお伺いをいたしました。
太田参考人の方から、少しそういう実情についてお話しいただければありがたいと思います。
○太田参考人 私どもが組織をしております事業者というのは、一千万以下の売り上げしかないというところが圧倒的に多いんですね。したがって、現実問題として、転嫁というような高尚な話ができるような状態ではないんです。突っ込み価格を幾らにしてくれるという相対取引なんです。そうすると、例えば一定の事業規模なら価格には今でいえば八%消費税をつけるのが当然だという認識があります。従業員を例えば十五人、二十人抱えているところとの取引でいえば、自動的に消費税八%を転嫁する、これは当たり前になります。
ところが、町のうどん屋さんやラーメン屋さん、あるいは小さな御商売をやってみえる町工場、そういうようなところでは、消費税は込みだというのが当然の認識としてあります。したがって、幾らにしてくれるのという話なんです。先ほどちょっと紹介しました大阪の事業者の場合は、数億円の事業規模ですから、ここは確実に八%常にもらっているそうです。でも、価格交渉、本体価格のときにどうなのかといったら、幾ら幾らと言って提示をして、価格が高いと思ったら、もうそこからは注文が来ないし、よそへ行く。したがって、怖くてなかなか、仕事を受注しなきゃいかぬから、価格はなるべく下げて、本体の価格を下げて、これぐらいでどうだろうという話をしていくわけです。
したがって、問題は、それは利益に食い込んで価格を下げるということに現実にはなるわけですね。その売り上げに対して八%というのはいただける。いただけるのなら、ちゃんとそんな滞納もなしにやれるはずじゃないのかというのが世間、普通の常識だと思うんですね。ところが、先ほども私が言ったように、小売や卸や何かでは、粗利益を含めてそんな二割も三割も、卸でいったら二割も粗利益があるというような商売は聞いたことがありません。そうすると、結局、身銭を切ってということになるわけです。
したがって、一千万以下の小さな御商売をやってみえるいわば生業層、これが五百二十万近くあるわけですけれども、ここでは六七%の人が現実には消費税を転嫁できていないという回答が出てきているんです。それが現状だというふうに思います。
○宮本(岳)委員 軽減税率を入れて、そして消費税を引き上げたということをやった場合に、要するに、インボイス方式が導入されようとしているわけであります。先ほど、森信参考人の方からも、これの効果といいますか、よい面というお話もありました。
ただ、御承知のとおり、インボイス方式というものはずっと長い議論があって、私もこの委員会の場で税務大学校の望月俊浩さんの論文というのを紹介したんですけれども、インボイス方式には二つ大きな問題がある、一つは事務負担の増大、もう一つは、免税事業者からの仕入れが控除されないために免税事業者が取引から排除される、これを入れた場合には、望月さんは、この問題をやむを得ないものと割り切ることになる、こういうふうにおっしゃっているわけですね。
ですから、これが入ると、免税業者が、結局、課税業者になるか、あるいはもう免税業者のままで、やっていけなくなってやめざるを得ないか、こういうことになるということが私たちは非常に危惧されるわけでありますけれども、このことについて、森信参考人と、それから、もちろん、現場でこのことに本当に直面されている太田参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○森信参考人 お答え申し上げます。
今の第一点の事務負担の増大という問題ですが、私は、先ほども申し上げたんですが、事務負担が増大するのは、複数税率にする、つまり、軽減税率を導入することが事務負担の増大を招くんだと思います。
インボイスは、その増大する事務負担を軽減するために考え出されたヨーロッパの一つの知恵だというふうに考えております。したがって、インボイスそのものが事務負担を増大させるという論理にはちょっと私は賛成しかねるというふうに思っております。現実問題、インボイスさえ集めておけば、消費税の計算は楽になるわけですから。しかし、複数税率になることに伴う事業者の手間は大変だと思います。
それから、第二点ですが、これもちょっと宮本先生のお考えとは違うと思いますが、私は、ヨーロッパの実態を見ておりますと、免税事業者も、課税選択をした方が自分たちも仕入れに係る税額控除ができるから得だなという意識がやはりあるようです。
フランスで聞いたんですが、フランスの税務当局が言っておりましたのは、本当に免税選択をしているのは、ブキニスト、これはセーヌ川でテントみたいなものを張って古本を売っている人たちのことらしいですが、そういった人ぐらいで、中小の事業者の方も免税という特権をむしろ使わずに課税選択をしていると。
それはなぜかと申しますと、結局、自分たちの仕入れには全部消費税がかかっているわけですね。免税事業者でも、小さな商店でも、自分の消費税申告は義務が免除されますが、仕入れには当然消費税負担がかかっているわけで、それがそのままたまってしまう。むしろ、これこそが、先ほどからおっしゃっておりますような損税というんでしょうか、自分のマージンの中から仕入れに係る消費税負担をせざるを得なくなる状況が続いているということだと思うんですね。
それを避けるためには、課税選択をすることによって、例えば日本の個人タクシーの方も、今はほとんど免税だと思いますが、むしろ、法人タクシーと同じように消費税率をお客さんに転嫁することによって、自分たちの仕入れに、つまり、ガソリン代とか修理代とかにかかっております消費税額が控除される、そういうことで利益を受けるのではないかというふうに思います。
ちょっとこれは、単に頭の中の体操だというふうに言われればそうかもしれませんが、現実にフランスではそういうふうなことが行われているし、その手間は、インボイスというものがあるから手間をかけずにそういう課税選択ができるというふうにも言っておりましたので、私もそうかなというふうに思っております。
○太田参考人 私は、先ほどの発言の中で、山梨県の笛吹市の電気工事業の人のお話をいたしました。
結局、商売を続けようと思うと、課税業者になる、それで商売を続けるという道と、課税業者はやめて、したがって、ということは、流通から、大手のところや公的な機関からの仕事というのは全部なくなりますよ、当然それは、三割のそういう公的なところやインボイスが要るところのお客さんがある場合は、売り上げが三割減るということになります。
そうすると、三割減っては大変だということで、課税業者になる。そうすると、事務の煩雑さと同時に、非常に極端な言い方をすると、今まで免税業者である特典で、安い価格で、うちは税金はかけていませんよ、消費税八%をいただきませんよといって商売をやっておった小さなお店屋さんが、結局、税金を含んだ高い価格にせざるを得ない。そういうことになると、今まで安かったのに何で高くなるのという話になって、結局は売り上げが落ち込む。
したがって、免税業者になるのか、課税業者になるのかというのは、小さな商売屋にとってみると大変難しい、どちらを選んでもやはり大変な税の状況だというのが今の現状だというふうに思います。
以上です。
○宮本(岳)委員 重ねて太田参考人に聞きたいんですけれども、そういうことが起こるんじゃないのかという議論をここでやりますと、経過措置を設けたと。四年間の間は簡易なやり方で、それから、導入されてからも、結局インボイスは最初は八割、次は五割で六年間控除を見るというような、時間を置いたという話が出てくるんですよ。
なかなか、時間を置けば何とかなる問題ではなかろうと私は思うんですけれども、そのあたりはいかがですか、経過措置について。
○太田参考人 これは時間の問題ではないと思います。
言ってみるなら、日本の商習慣の問題が強い。例えば、ヨーロッパなんかとの比較についていえば、中小業者の社会的地位の低さだとか等々を含めた非常に歴史的、伝統的な商習慣、そして粗利益率の問題、それから、地域で生まれて育って地域貢献をしている、地域コミュニティーの中で商売をやっている。
そういう中でいえば、極端な言い方をすると、請求書も口約束で、幾らぐらいかかるよ、うん、大体そのぐらいだねと言って商売を現実には電気工事なんかでいえばやっておるのがかなりあるんです。それで、何、あんた、五万円だと言ったがねとなるわけね。いや、実はあんたがこっちの工事が追加だとかこっちを言ったので五万五千円かかった、ごめんねと言って、それで通用していくような社会の現実というのはやはりあるわけですね。
そうすると、何もかも書類に基づいて、インボイスに基づいてというのは、なかなか日本の商習慣に現実問題としてはなじまないのではないのか。ただし、それは生業層の五百十五万者ぐらいのところでの話であって、そこの中でちゃんとした企業化しているところ、事業として企業になっているところについては、インボイスだとかそういうのは簡単にやはり移行できるのではないのかというふうに思います。
いずれにしても、多くの人がこの問題で困難を抱えることは事実だ、時間の問題ではないのではないかというふうに思います。
○宮本(岳)委員 先ほど森信参考人の方から、ヨーロッパの状況、軽減税率でイートインと持って帰るのと混乱しているという話が詳しく随分ありましたけれども、太田さんも、ヨーロッパの現場を見てそういうことを調査されてきたと冒頭のお話でもございました。まさに、日本の目の前の商慣行に通じているだけでなく、ヨーロッパやカナダのやっている現場も見てこられた、そういう立場から、少し、海外についてどうお感じになったか、太田参考人にお話しいただきたいと思います。
○太田参考人 先ほど森信先生の話からあったように、もう全くそのとおりで、私は、カナダへ行ったときには、調査団ですから十五人ぐらいで行ったんですけれども、パンは食料品になるのかならないのかということで、パンの中でも、あんパンから食パンから、いろいろなパンがあるんですね。それも、一つの場合はどうなのか、五つの場合はどうか、十買ったときはどうなのか。朝からあんパンを食べる人もおれば、食べない人もいる。
そうすると、それの食料品との区別はどこに境界線があるのか、結局、通訳を介してもなかなかわかりませんので、パンを五つ、あんパンを買ってきたり、いろいろのことをやるんです。結果、わかったのは、あんパンの場合に、上にゴマが振りかけてあるかどうかが基準だということがわかりました。
ことほどさように、食料品、この区別というのは、ヨーロッパでもカナダでも、消費税が高くなればなるほど非常に混乱をし、現場ではあの手この手で安い税率に向けて考える人が出てくるというのが現状ではないか。いずれにしても、大変混乱をするのではないのかというのが私の感想です。
○宮本(岳)委員 我が党は、軽減税率の導入などというようなことではなくて、消費税の増税そのものをやめなさいということを繰り返し申し上げてまいりました。
それは、業者の方々の大変な負担ということもありますけれども、冒頭、先生方と論じたように、日本経済の現状で本当にそういうことをやって、八%に上げたときの消費の落ち込みをいまだに引きずっていると、この前、総理がそこで、いまだにその影響が続いているとおっしゃるわけですから、そこへさらに一〇%をかければ、日本経済そのものが大変な打撃を受ける。日本共産党は、断固、この増税中止を求めて頑張ってまいりたいと思っております。
本日は、大変貴重な御意見、まことにありがとうございました。