保育所の耐震化促進を 衆院地方特委 宮本岳氏が要求 (しんぶん赤旗)
保育所の耐震化促進を (動画)
第190回国会 地方創生に関する特別委員会 第8号
平成二十八年四月十五日(金曜日)
午前九時三十三分開議
出席委員
委員長 山本 幸三君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 寺田 稔君
理事 山口 俊一君 理事 篠原 豪君
理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君
あべ 俊子君 伊藤 忠彦君
伊藤 達也君 池田 道孝君
江藤 拓君 大塚 高司君
大野敬太郎君 勝俣 孝明君
神山 佐市君 菅家 一郎君
小泉進次郎君 小林 史明君
國場幸之助君 菅原 一秀君
鈴木 馨祐君 田中 英之君
谷川 とむ君 中谷 真一君
野中 厚君 鳩山 邦夫君
福田 達夫君 牧島かれん君
宮川 典子君 宗清 皇一君
八木 哲也君 山田 賢司君
青柳陽一郎君 緒方林太郎君
落合 貴之君 吉良 州司君
寺田 学君 西村智奈美君
福田 昭夫君 角田 秀穂君
樋口 尚也君 堀内 照文君
宮本 岳志君 椎木 保君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(まち・ひと・しごと創生担当) 石破 茂君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
経済産業大臣政務官 星野 剛士君
政府参考人
(内閣府大臣官房参事官) 米津 雅史君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局長) 佐々木 基君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 末宗 徹郎君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 中尾 泰久君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 間宮 淑夫君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 原田 淳志君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 内藤 尚志君
政府参考人
(文部科学省大臣官房技術参事官) 山崎 雅男君
政府参考人
(スポーツ庁スポーツ総括官) 平井 明成君
政府参考人
(文化庁文化財部長) 村田 善則君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉本 明子君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 藤木 俊光君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 加藤 庸之君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 佐々木勝実君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
福井 照君 山口 俊一君
同月二十八日
辞任 補欠選任
村岡 敏英君 青柳陽一郎君
四月十五日
辞任 補欠選任
菅原 一秀君 國場幸之助君
鈴木 馨祐君 あべ 俊子君
平井たくや君 小林 史明君
福田 達夫君 大塚 高司君
宮川 典子君 宗清 皇一君
柿沢 未途君 落合 貴之君
佐々木隆博君 西村智奈美君
田村 貴昭君 堀内 照文君
同日
辞任 補欠選任
あべ 俊子君 鈴木 馨祐君
大塚 高司君 福田 達夫君
小林 史明君 平井たくや君
國場幸之助君 伊藤 忠彦君
宗清 皇一君 神山 佐市君
落合 貴之君 柿沢 未途君
西村智奈美君 佐々木隆博君
堀内 照文君 田村 貴昭君
同日
辞任 補欠選任
伊藤 忠彦君 菅原 一秀君
神山 佐市君 八木 哲也君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 宮川 典子君
同日
理事福井照君三月二十四日委員辞任につき、その補欠として山口俊一君が理事に当選した。
―――――――――――――
四月十四日
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
連合審査会開会に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
地方創生の総合的対策に関する件
――――◇―――――
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず冒頭、昨夜、熊本県を震源とする強い地震がありました。既に九人の方の死亡が確認をされております。心から哀悼の意を表するとともに、御遺族に心からのお悔やみを申し上げます。また、負傷者は七百七十八名、三万三千人が避難されているという状況であります。政府には被害者の救出や救援に全力を挙げることを求めるとともに、被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
こういう災害を前にいたしますと、改めて防災、とりわけ幼稚園や保育所の耐震化を一刻を争って進めることの重要性を痛感させられます。
私は去る三月十七日、当委員会で、私の地元阪南市の地域再生計画を取り上げました。
阪南市では、市内七つの公立幼稚園、保育所のうち一つを除いて耐震化がなされておらず、公立保育所の耐震化の補助については原則として一般財源化され、なくなっているということが公立保育所の耐震化の障害になっております。
まず、事実関係を確認したい。
厚生労働省、公立保育所の施設整備補助金を原則として一般財源化して、なくしてしまったのはいつのことでありましたか。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
公立保育園の施設整備費につきましては、地方六団体の提案による三位一体改革の結果といたしまして、平成十八年度に一般財源化されておりまして、それ以降、地方財政措置が講じられており、その整備に当たりましては、各自治体において地域の実情に応じて御対応いただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 小泉内閣の三位一体改革というものは二〇〇四年度から二〇〇六年にかけて行われました。
事の発端は、小泉内閣が骨太の方針二〇〇三で、国の補助金を二〇〇六年度までにおおむね四兆円削ること、そのかわり、税源移譲で義務的経費の全額とその他の経費の八割程度を地方に移譲すること、地方交付税の規模を二〇〇六年度までに縮小することを打ち出したことでありました。
初年度、二〇〇四年度は、小泉首相から補助金一兆円削減の指示が出されました。厚生労働省は公立保育所運営費などの国庫補助負担金を二千四百四十億円削減するわけですけれども、しかし、これはもちろん今後も継続が必要とされる事業でありますから、所得譲与税で二千百九十八億円の財源措置がなされた、こういうことであります。
これは、総務省、間違いないですね。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇〇四年度、平成十六年度におきまして、公立保育所運営費等の国庫補助負担金二千四百四十億円を一般財源化いたしまして、それに対応して、所得譲与税により二千百九十八億円を税源移譲したところでございます。
○宮本(岳)委員 当たり前なんですね。保育所が今後継続の必要がない事業だなどと言えば、その瞬間に三位一体改革は吹き飛んでいたんですよ。そんな話なら、与党も含めて、国会を通るはずがない。国庫補助負担金ではなくすが、その相当額を所得譲与税で地方に渡すという約束でありました。
国庫補助金、地方交付税、そして税源移譲、この三つを一体に改革するという建前で、小泉政権はこれを三位一体改革と呼んだわけであります。もちろん、与党が三位一体改革と呼んだということと、本当にその三位が一体であったかどうかは別のことであります。
小泉内閣が三位一体改革なるものを初めて国会に持ち出した二〇〇四年の通常国会、私はまだ大阪選出の参議院議員で、参議院総務委員でありました。当時の総務大臣は麻生さんです。
三月十一日の参議院予算委員会で議論したことをきのうのことのように覚えております。
私は質疑で、麻生大臣は、三位一体改革で地方が元気になるとか自主財源が拡充するとか自由度を拡大するとか言うが、実際は、補助金を約一兆円削り、地方交付税を一・二兆円削り、臨時財政対策債を一・七兆円削り、総額で三・九兆円も地方の収入を減らす一方、税源移譲はたったの四千五百億円、削減額のわずか一二%にすぎない、これでは三位一体改革ではなく三位ばらばらの改悪ではないかと追及いたしました。
当時の麻生大臣の答弁は、補助金という形で出ていた分を、所得税を住民税に切りかえることによって間違いなく自由度がふえる、少なくとも公立保育園の約二千億については、それは明らかに自由度がふえたというものでありました。
総務省、こういうやりとりがあったのは事実ですね。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十六年三月十一日の参議院予算委員会におきまして、委員御指摘のような三位一体改革につきましての質疑があったものと承知いたしております。
○宮本(岳)委員 では、このとき、税源移譲で地方が自由に使える財源はふえたのかどうかということであります。
総務省に聞きます。
二〇〇四年度の地方財政計画で一般財源はどれだけでしたか。それは前年度比でどのようになっておりますか。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十六年度の地方財政計画におけます一般財源総額は五十六・五兆円でございまして、平成十五年度に比べて二・一兆円の減でございます。
○宮本(岳)委員 地方一般財源総額は二兆円も減っているわけですね。何が自主財源を拡充して自由度を拡大するだと言わなければなりません。地方は元気になるどころか、一層、財政的に疲弊したわけであります。
もう一つ確認しておきたい。
このとき、二千五百億円の補助金削減を求められた厚生労働省は、当初、生活保護の国庫負担率を引き下げようとし、これに批判が高まると、今度は公立保育所の運営費負担金で二千億円程度削ることにいたしました。
当時の厚生労働大臣は公明党の坂口力大臣でありました。私が参議院予算委員会で、公立保育所の運営費の負担金を国が責任を持たなくていいとした理由は何か、こう聞きますと、当時の坂口大臣は、いや、それは持たなくていいと思ったわけではありませんと言い、所得譲与税等でこれは負担していただいていると答弁されました。
厚生労働省、このようなやりとりがあったことも事実ですね。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
当時、議員からの御質問に対しまして、坂口元厚生労働大臣がそのように答弁を申し上げていることは承知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 その後、二〇〇六年度には、冒頭聞いたように、運営費負担金だけでなく保育所の施設整備の補助についても一般財源化され、補助金がなくなりました。しかし、それも同じく、最終的には総額三兆円の税源移譲で手当てされたということになっております。私が三月十七日の質疑で、補助金はないとしか語らない厚労省の吉本大臣官房審議官の答弁に激怒したのは、このやりとりがあったからであります。
三位一体改革による公立保育所補助金の一般財源化というものは、それまで国庫補助負担金として出していたものを税源移譲し、一般財源として渡すことによって自治体の自由度を高めるという建前で行われたものであります。私は、そうはならない、政府は削減分を全額一般財源で渡していないと指摘をして、反対をいたしました。公明党の坂口さんや自民党の麻生さんが、いやいや、そんなことはありません、ちゃんとお渡していますと言って進めたんじゃありませんか。
あれから十年たって、この議論には決着がつきました。十年たてば、阪南市の市長は、公立保育所の耐震化や老朽化改修の補助金は一切ないと言い、耐震化や改修をしようと思ったら、与党衆議院議員の仲立ちで内閣府に泣きついて国から地域再生戦略交付金をとってくるしかないかのような説明をしております。
ここで石破大臣に聞きたい。
三位一体改革の結果は、あなた方の説明とは裏腹に、見事に、十二年前私が指摘したとおりの結果になったのではありませんか。
○石破国務大臣 それは、何でも光と影というものがございます。三位一体改革ということは、国の、中央政府の財政事情というのは極めて悪いわけであって、それは相対論の比較でございますが、地方において改革というものを促すという意味合いもあったと記憶をいたしておるところでございます。
ただ、三位一体改革で、委員が御指摘になったように、その地域の雇用でありますとか、景気でありますとか、あるいは人口構成、出生率等々、そういうものに影響が出るということ、そこには当然相当の因果関係がなければなりませんが、そういうことがないように私どもとしてこれから配意していかねばならない。
同時に、地方において、この地方創生というのはなべてそういうことなのでございますが、稼ぐ力というふうに申し上げております。その地域においていかにして経済というものを活性化し、国の財政支援というものからの脱却とは申しません、もちろん国として財政支援をしていかねばならないのは当然のことでございますが、その地域地域の経済というものを活性化させるということによって、この国の財政、トータルの財政というものの健全化を図っていかねばならないことだと思っております。
○宮本(岳)委員 今でも、ひもつき補助金などといいまして、国庫補助負担金を全て悪く言う議論があります。これは大間違いだと思うんです。補助金には、むしろひもをつけておかなければならない補助金があります。子供たちの安心、安全にかかわるようなもの、あるいは義務教育などには国がきちんと責任を持つのは当たり前のことであります。そういう点で、三位一体改革なるものは、一般財源化をやってはならないものまで一般財源化する結果になりました。
そして、今では、阪南市のように、議会や市民に説明する前に真っ先に内閣府にはせ参じて交付金をもらうために国にお伺いを立て、そのとおりに制度設計するという、それこそ、地方にとっては何の自由度もない、最悪のひもつき交付金に頼らざるを得なくなってしまっている。愚かにもほどがあると言わなければなりません。
では、本当に公立幼稚園や公立保育所の耐震化を進める国の支援制度は一切なくなってしまったのかを議論いたしましょう。
まず最初に、文科省と厚労省に現状を聞きます。直近の全国の公立幼稚園の耐震化率と公立保育所の耐震化率を答えていただけますか、それぞれ。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
公立幼稚園の耐震化率は、平成二十七年四月一日現在で八六・七%となっているところでございます。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十六年十月一日現在の公立保育園一万七百六十棟のうち、全体の八〇・八%に当たる八千六百九十二棟が耐震性があるということでございます。
○宮本(岳)委員 公立の小中学校が既に九五%を超えております。それに比べて格段におくれているわけですね。しかし、これを進めるのに、あっちでもこっちでも地域再生戦略交付金とか地方創生推進交付金とかいうものをとってこなければ進められないのだったら、日本じゅうえらいことになりますよ。
三月末、我が党も提案者に加わって、全会派一致で、地震防災対策特別措置法を五年間延長する改正が行われました。この法律は、地震防災対策のための施設整備に係る国庫補助率をかさ上げするものであり、公立幼稚園にも適用されるものであります。
内閣府に聞きますけれども、この法律に基づいて市町村が公立幼稚園の耐震改修を行った場合、どれだけの補助が出て、残った市町村負担分についてどのような地方債の起債と元利償還についての交付税措置がありますか。
○米津政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の地震防災対策特別措置法に基づきまして、公立幼稚園に係る国庫補助率につきましては、地震による倒壊の危険性が高いものの改築の場合は二分の一、補強の場合は三分の二とされております。残りの地方負担分のうち九〇%が起債対象とされておりまして、その元利償還金の六六・七%が交付税措置されることとなっております。
○宮本(岳)委員 耐震補強ならば市町村負担は三分の一で、その三分の二が交付税で返ってくるのですから、実質負担率は一三・三%の計算になります。
今、阪南市では、あたかも一極集中のこども館が唯一の耐震化の方策であるかのように言い、反対する者は地震が来て子供が死んでもいいのかとまで言う人がいるようでありますけれども、とんでもない話です。こども館計画は、完成が二〇一八年度であり、この二年間に万一大地震が来たら間に合いません。昨夜の熊本地震を見ても、そんな悠長なことは言っておられません。この延長された地震防災対策特別措置法を使って直ちに耐震化を強力に推進すべきだと私どもは思います。
しかし、公立保育所にはこの制度は使えません。これは、先ほど議論したように、保育所の施設整備の補助金が一般財源化されてしまっているからであります。
では、何もないか。そんなことはありません。
本日配付した資料一をごらんいただきたい。この資料は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局がことし二月二十三日に開催した全国児童福祉主管課長会議で配付した保育課関係の説明資料の三百六十二ページ、該当箇所であります。
厚生労働省、ここには公立保育所の施設整備について、耐震化の推進についてどう書かれてありますか。
○吉本政府参考人 ただいまお話のございました全国児童福祉主管課長会議においてお示ししました資料の中身でございますけれども、公立保育園の施設整備につきましては、先ほど申し上げましたように一般財源化をしていることを前提といたしまして、総務省の緊急防災・減災事業費の対象に災害時要援護者対策のための社会福祉施設の耐震化が盛り込まれておりまして、公立保育園の耐震化工事も対象となっていること、また、緊急防災・減災事業債を事業費の一〇〇%に充当可能といたしまして、元利償還金についてその七〇%を基準財政需要額に算入することとしていること、この措置は平成二十八年度まで、これらを御説明し、保育園の耐震化に向けた早期の取り組みをお願い申し上げたところでございます。
○宮本(岳)委員 当然、公立保育所も耐震化を急ぐように厚生労働省は要請をしております。総務省の緊急防災・減災事業費の対象に災害時要援護者対策のための社会福祉施設の耐震化が盛り込まれていることを紹介し、活用を呼びかけているわけであります。
配付資料二を見ていただきたい。まさにこれが緊急防災・減災事業費についてという総務省のペーパーであります。
下の二、財政措置、ここでは、地方債の充当率が一〇〇%であること、そして、その元利償還金についてその七割を基準財政需要額に算入すると書かれてあります。これを使えば一〇〇%地方債、借金でやることができ、直ちに耐震補強工事がやれます。七割は国が交付税措置してくれることになります。
総務省に聞きますけれども、この事業に今年度予算では一体幾らの予算が計上されておりますか。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十八年度地方債計画におきまして、緊急防災・減災事業に五千億円計上しているところでございます。
○宮本(岳)委員 五千億円という予算が積み上げられているわけですね。これを大いに活用すれば、こども館がオープンする二〇一八年度まで待つことなく、直ちに公立保育所の耐震化は進められるわけであります。
二十八年度限りの事業なので急いでくれと言っているわけですから、それこそ一気にことしの予算で進めていただきたいと思うんですが、仮に二十八年度までに間に合わなかった場合、つまり、二十九年度以降どうするのかということが問題になります。
総務省に重ねて聞きますけれども、この事業の事業年度、二〇一四年度から今年度までのその後、来年度以降は一体どのようになりますか。
○内藤政府参考人 お尋ねの平成二十九年度以降の取り扱いにつきましてでございますけれども、事業の実施状況等を踏まえつつ、地方団体の御意見をお聞きしながら、今後しっかり検討してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 二十九年度以降の取り扱いについては事業の実施状況等を踏まえて検討ということは、もちろんこれはもう今年度中に、先ほど小中学校はほぼ九五%を超えるところまで来ていると言いましたから、少なくともその水準まで行こうじゃないかと。万々々が一そうでなかった場合、これはもうしようがない、取りやめるということじゃなくて、地方の意見も聞きながら検討するというふうに理解してよろしいですね。
○内藤政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、地方公共団体の御意見をよくお伺いして、しっかり検討してまいります。
○宮本(岳)委員 事は子供たちの命にかかわる重大な問題です。必ず一〇〇%に達するまで事業を継続していただきたい、この機会に心から求めておきたいと思います。
私は、そもそも、三位一体改革なるものは到底改革の名に値しない、地方財政の改悪であったと思います。一九九五年以来の地方分権推進委員会での議論を経て、二〇〇〇年には地方分権一括法が成立いたしました。機関委任事務が廃止され、仕事と括弧つきの権限が地方に移されましたが、それに見合った財源が地方に渡されず、財政面における分権が課題として残されたわけであります。
地方から税源の移譲と自主財源の拡充を求める声が上がった。しかし、それを逆手にとって小泉政権が打ち出したのがこの三位一体改革なるものでありました。それは地方にとって自主財源の拡充にはならず、国庫補助負担金と地方交付税がばっさり減らされ、それに見合った税源移譲はなされなかった。だから我が党は反対したわけであります。
今国会にも地方分権一括法案が提出されております。ここでもまた問われているのは、これまでの自民党政治の総括と反省があるのかということではないかと思うんですね。
石破大臣、三位一体改革の結果は、地方の自主財源の拡充どころか、一層地方を財政難に追いやる結果になった、そのことぐらいはお認めになりますか。
○石破国務大臣 それは私の選挙区もそうです。地方は極めて財政難であります。しかし一方、国も恐ろしい財政難であるということも我々は認識をしていかねばならないのであって、先ほど日本全体で考えてどうでしょうかということを申し上げたのは、そういう意味でございます。
ですから、地方財政につきましては、所管ではございませんが、よく総務省とお話をしながら、特に、地方交付税のあり方というものをいかにしていくかということは極めて重要な課題であると認識をいたしております。
あわせまして、今私どもは地方創生で取り組んでおります。先ほど申し上げました、それぞれの地域が補助金に頼ることなくやっていけるような、それを目指していくというのも重要なことだと思っております。
国の財政支援の重要性は、よく認識はいたしております。
○宮本(岳)委員 今の御答弁をお伺いして、また参議院議員時代のことを思い出したわけであります。
かつて、臨時財政対策債というものに交付税を振りかえるという議論を総務委員会でやったことがあります。総務大臣は片山虎之助総務大臣でありました。本来、交付税特会に国が借り入れて渡すべきものを何で地方の借金に押しつけるんだというやりとりをしましたら、そのとき片山総務大臣の答弁は、国だってやっていけないんですよ、地方がやっていけないじゃないかと言われれば、国もやっていけないんだ、こういう言い方ですね。私は、そういう言い方で地方をどんどんどんどん財政的な困窮に追い込んできた、その責任はやはり認めなければならぬと思うんですね。
今、地方創生ということを議論するわけですけれども、やはりまずイの一番にしなければならないのは、地方が本当に自主的にさまざまなことを創意あふれてやれるだけの財政の拡充をやるべきであって、そこをないがしろにしたまま幾ら絵を描いてみたって、それは地方はやりようがない。先ほど来、阪南市が例に出ていますけれども、そういう事態になってしまうわけであって、しっかり地方財政基盤の拡充こそ求められているんじゃないですか、大臣。
○石破国務大臣 総論としてはそのとおりでございます。
ただ、私どもとして、もっといろいろな考え方ができないだろうかと。例えばふるさと納税、これもいろいろな御議論があることはよく承知をいたしておりますが、今度、企業版ふるさと納税というのがスタートするわけでございます。どのような形でそれぞれの地域が創意工夫に基づいていろいろな財政的な基盤というものをつくっていくか、それは税の世界においていろいろな工夫をさせていただいておるところでございます。
申し上げましたように、地方の財政が困窮をし、かえって地方の活力をそぐというようなことがないように考えていかねばなりません。そうすると何のために改革をしたのだという話になりますから、そこは、状況がどのようにして推移をしていったかということは虚心坦懐によく見ていかねばならないと考えております。
○宮本(岳)委員 あなた方の地方分権や地方創生が結局かけ声倒れに終わる最大の要因は、私が一貫して指摘してきたように、これまでの自民党政治に対する総括も反省もないというところにあります。過去のみずからの政策の失敗から目をそらすことなく直視することを求めて、私の質問を終わります。