認可保育所増設こそ 宮本岳志氏 待機児童対策を追及 (しんぶん赤旗)
認可保育所増設こそ 待機児童対策を追及 (動画)
第190回国会 地方創生に関する特別委員会 第10号
平成二十八年四月二十日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 山本 幸三君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 寺田 稔君
理事 山口 俊一君 理事 篠原 豪君
理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君
井林 辰憲君 伊藤 達也君
池田 道孝君 江藤 拓君
大野敬太郎君 勝俣 孝明君
菅家 一郎君 小泉進次郎君
菅原 一秀君 鈴木 馨祐君
田中 英之君 田畑 裕明君
谷川 とむ君 中谷 真一君
野中 厚君 鳩山 邦夫君
平井たくや君 福田 達夫君
牧島かれん君 八木 哲也君
山田 賢司君 青柳陽一郎君
井坂 信彦君 吉良 州司君
佐々木隆博君 高井 崇志君
武正 公一君 寺田 学君
福田 昭夫君 角田 秀穂君
中野 洋昌君 樋口 尚也君
田村 貴昭君 宮本 岳志君
伊東 信久君 椎木 保君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(まち・ひと・しごと創生担当) 石破 茂君
内閣府副大臣 福岡 資麿君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
厚生労働大臣政務官 太田 房江君
政府参考人
(内閣府大臣官房参事官) 中村裕一郎君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室次長) 池田 憲治君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部審議官) 中島 誠君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 亀水 晋君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 樽見 英樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 和彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉本 明子君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 生田 正之君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 青木 由行君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 佐々木勝実君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 井林 辰憲君
中谷 真一君 田畑 裕明君
宮川 典子君 八木 哲也君
緒方林太郎君 井坂 信彦君
柿沢 未途君 武正 公一君
樋口 尚也君 中野 洋昌君
椎木 保君 伊東 信久君
同日
辞任 補欠選任
井林 辰憲君 勝俣 孝明君
田畑 裕明君 中谷 真一君
八木 哲也君 宮川 典子君
井坂 信彦君 緒方林太郎君
武正 公一君 高井 崇志君
中野 洋昌君 樋口 尚也君
伊東 信久君 椎木 保君
同日
辞任 補欠選任
高井 崇志君 柿沢 未途君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)
――――◇―――――
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
地方分権一括法案について質問いたします。
私は、先日の一般質問で、地方分権推進委員会での議論を経ての二〇〇〇年の地方分権一括法成立と、その後の三位一体改革を初めとする政府の地方分権改革なるものの問題点を明らかにいたしました。しかし、そのようなやり方は第四次一括法をもってついに行き詰まり、第五次一括法以降は地方自治体や地方団体等からの提案募集方式というやり方で進められてまいりました。本法案は、これまでの自民党流地方分権政策の総括も反省もないまま、昨年の第五次一括法に引き続き、提案募集方式によって、真の地方分権とはほど遠い、あなた方の地方分権なるものを進めようとするものであります。
まず聞きますけれども、平成二十七年の市町村の提案団体数はどれだけございましたか。
〔委員長退席、佐藤(ゆ)委員長代理着席〕
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十七年の提案募集におきます市町村の提案団体数は、三十九市町村でございます。
○宮本(岳)委員 全国千七百十八市町村のわずか二・二七%であります。
大臣自身、三月十五日の閣議後記者会見で、平成二十七年は市町村の提案団体数が低調であったことが課題として挙げられます、提案団体数が三十九でございましたと率直に語っておられます。会見では記者からも、二十七年度が低調だったのはそもそも地方からのニーズが出がらしているのではないかと、この提案募集方式自体のあり方に対する疑問が出されました。
この会見の翌日、三月十六日には、地方分権改革有識者会議・提案募集検討専門部会合同会議で、低調だった二十七年の総括とことしの提案募集の進め方を議論したということでありますけれども、どのような総括になりましたか。
○池田政府参考人 有識者会議、それから部会の合同会議におきまして平成二十七年の提案募集の取り組みの総括を行ったわけでございますけれども、その際には、まず成果が上がった主な要因といたしましては、提案のための準備、検討の充実を行ったことがまず第一に挙げられます。
具体的には、提案募集時期の前倒しを行ったこと、事前相談を必ず行っていただくようにお願いしたこと、そして、地方分権改革有識者会議の専門部会で調査審議を行う事柄のメルクマールの整理をしたということがございました。
また、第二の要因といたしましては、地方側の実現に向けた努力があったということが挙げられます。
具体的には、単なる趣旨賛同ではなくて、個々の支障事例や地域の実情を積み重ねた共同提案をしていただいた。また、ハローワークについては、ハローワーク特区ですとか一体的実施を検証の上提案していただくなど、自治体みずからが検証を行って提案をしていただいたということがございました。
また、専門部会でも、時間をかけた議論を行って、制度改正につながらなくても実際の支障に即した解決方法を探りました。
また、二十八年に向けた課題でございますけれども、今御指摘がございましたような市町村の提案団体数が少ないということが挙げられまして、二十八年の進め方につきましても、二十七年の進め方を基本的に踏襲するんですが、提案団体には引き続き事前相談を行っていただくことを依頼する、それから市町村からの提案の掘り起こしを行う、その際、近隣自治体との連携を促進していくなどを行うこととしているところでございます。
○宮本(岳)委員 提案募集方式が低調なのは、ただ単なる説明不足というようなものではありません。
地方分権改革有識者会議が二〇一四年六月二十四日に公表した「個性を活かし自立した地方をつくる 地方分権改革の総括と展望」、ここでは、これまでの国主導による集中的な取り組みから地方の発意に根差した息の長い取り組みへと述べて、地方からの提案募集方式を採用いたしました。しかし、その総括と展望が掲げる財政的な自主自立性の確立などというようなものは、何の保証もないんですね。
前回の一般質疑で指摘したように、地方分権改革などといっても、括弧つきの権限や仕事はふえるばかりで、お金はさっぱり地方に来ない。それどころか、この前の大臣の御答弁のように、地方は極めて財政難だ、しかし一方、国も恐ろしい財政難であるなどと言って、この先まだ削られかねないというのであれば、地方が意欲的に、もっと仕事をくれ、もっと権限をくれという話にはなりようがないと私は思います。大臣、そうじゃありませんか。
○石破国務大臣 それは私は否定しません。そういうことはあります。
ただ、先ほども申し上げましたが、財源をお渡ししたときにきちんと財政民主主義が機能しなければならないのであって、そこにおいて、何が一番ふさわしい事業なんだろうか。
これは、コンパクトシティーって何だろうかということを考えたときに、伸び切ったというんですかね、そんな市街地をコンパクトにしていくということを考えたときに、今までとは発想が逆になるわけでございます。そういうところのいろいろな道路でありますとか、下水道でありますとか、そういうものの維持は非常に厳しいのだということになりますと、どうやってそこの町を設計していくか、そこにおいてどのような事業が必要であり、どのような財源がふさわしいのかというお話もあわせてしていただかなければなりません。
それから、私どもは、もちろん、権限も財源も行かなければ分権だけされても困るという総論はそのとおりだと思っております。
これから先、自治体の経営というものがいかにあるべきか、コンパクトシティーでありますとか、あるいは小さな拠点でありますとか、そういうことをそれぞれの自治体において徹底的に御議論いただき、どのような権限が必要であり、それにはどのようなお金がかかるのであり、それをどのようにして工面するかというお話もあわせて御提案をいただきたいと思っております。
地方も厳しいが国はもっと厳しいというのは数字にあらわれているとおりでございますが、国も地方も、どっちが持つんだみたいな話ではなくて、お互いに何ができるんだいというお話は、さらに地方六団体の方々ともいたしてまいります。
○宮本(岳)委員 地方のこういう財政的な困窮を放置して提案募集方式をやれば、結局、ますます苦しくなる地方財政の歳出カットのために、守るべき基準を緩めてくれ、重荷になるようなナショナルミニマムを手放させてくれ、こういう提案が来るに決まっているわけですね。
二〇一一年に成立した第一次一括法、さらには第二次一括法や第三次一括法にも、附則に、「国の行政機関の長が定める基準の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定があります。
なぜこういう規定が置かれているんですか。
○池田政府参考人 メルクマールといたしまして、従うべき基準、あるいは参酌基準、そしてまた標準と、国が示す基準について幾つかの分類があるわけでございますけれども、従うべき基準につきましては、やはり、実際の事務の執行の中で、従うべき基準というのはできるだけ少なくすべきだというのが地方分権の基本的な考え方でございまして、できるだけ地方団体の裁量というものを重んずるということから、それを適宜見直すということを附則においても書いているものでございます。
〔佐藤(ゆ)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本(岳)委員 二〇一三年六月六日、衆議院総務委員会で我が党の塩川鉄也衆議院議員が、第三次一括法案の質疑で当時の新藤義孝総務大臣に質問いたしました。
国が定める従うべき基準というものは、国民の生命あるいは健康に直結をするという意味での基準である、それは国民のナショナルミニマムに深くかかわる基準であって、義務づけ、枠づけの見直しなどといってこれを後退させるような見直しは間違っていると指摘をいたしました。
このときの新藤総務大臣の答弁は、国民がひとしく健康な生活を送る、そしてまた国は国民の命を守る、これは基本、そういうミニマムを実現するための制度というものがあって、それを保障するのは国が行う、これは見直しを行うに当たっても極めて慎重に行わなければいけないし、かつ、従うべき基準を限定しているというのは、そこに精神があるというものでありました。
このやりとり、間違いないですね。
○池田政府参考人 新藤大臣がそのように答弁されております。
○宮本(岳)委員 このとき、塩川議員は、こういう従うべき基準というのは、国が地方を縛るということではないのだ、憲法の規定に基づいて国民が国を縛り、自治体や行政を縛る基準なのだと指摘をいたしました。全くそのとおりだと思うんですね。なぜなら、それらは国民や子供たちの命にもかかわる基準だからであります。
そこで、内閣府に確認しますけれども、この第一次一括法から第三次一括法まで附則に置かれた見直し条項は今も生きていますね。
○池田政府参考人 はい、そのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 厚生労働省、この附則で言う国の行政機関の長が定める基準、従うべき基準には、保育所の人員配置基準や面積基準も含まれますね。
○吉本政府参考人 児童福祉施設の設備、運営に関しましては、児童福祉法四十五条の一項によりまして、条例で基準を定めなければならないと規定しているところでございまして、条例を定めるに当たりましては、児童福祉施設に配置する従業員、その員数、それから居室、病室の床面積等については厚生労働省令で定める基準に従い定め、その他の事項については参酌すると。
したがいまして、ただいまの保育所の人員配置基準、面積基準は、従うべき基準に分類されるところでございます。
○宮本(岳)委員 私は、二〇一二年五月二十八日、衆議院社会保障と税一体改革特別委員会で、当時の小宮山洋子厚生労働大臣と、子ども・子育て新システムについて、とりわけ保育所の面積基準の緩和と子供の死亡事故を取り上げて論戦をいたしました。それは、子ども・子育て新システムでは、地域型保育事業については面積基準を、従うべき基準ではなく参酌すべき基準として条例で定めるとしたからであります。
そのような緩和を行ったのは、内閣府、事実ですね。
○中島政府参考人 そうでございます。
○宮本(岳)委員 私は、このとき、第一次一括法により改正された児童福祉法の特例措置を使い、待機児童対策のための保育所面積基準の弾力化を行った大阪市の事例を取り上げました。
資料一を見ていただきたい。第十四回地方分権改革有識者会議での配付資料であります。
背景・目的にはこうあります。「大阪市では、保育所の認可基準のうち、乳児室の面積を従前から一人当たり五平米以上として運用していた。しかし、保育所待機児童は二百人以上存在しており、その認可基準を割り込むことのみをもって保育所への入所を断るのではなく、児童の安全性や受入体制を考慮して市長が適当と認める場合に、弾力的に運用し、ひとりでも多くの待機児童が保育所に入所できる措置を取ることを方針とした。」
そして、下線部、匍匐室のゼロ歳児の基準を見ていただきたい。それまで大阪市では、国基準三・三平米を上回る、子供一人当たり五平米という基準を定めてまいりました。それを一気に、待機児童が多いと認めた地域の保育所の場合は国基準の半分、一・六五平米まで引き下げ、子供を保育所に詰め込むことにしてしまったわけです。
内閣府、これは当初、平成二十六年度までの特例措置ということでありましたね。
○吉本政府参考人 二十六年度までの措置ということでございました。
○宮本(岳)委員 当初は二〇一四年度までの特例措置ということでありました。しかし、その後、五年間延長されて、二〇一九年度までとなっております。
このペーパーには、児童の安全性や受け入れ体制を考慮してとなっております。しかし、実際に大阪市で起こったことは何だったか。この間、大阪市では、認可外保育所での乳児の死亡事故が頻発をしております。
私は、四年前の社会保障と税一体改革特の質疑でも、二〇〇九年十一月に大阪市の認可外保育施設で生後四カ月の棚橋幸誠君がうつ伏せ状態で発見され、亡くなった事故を取り上げました。御両親は認可保育所への入所を希望していたが、かなわず、この認可外施設に入所して一週間後の事故でありました。この日、施設では、保育士資格のない職員二人が乳幼児十八人を見ており、一人が給食の準備に入り、一人は他児の世話に追われるなどしていたことから、この子がいつうつ伏せになったのかもわからないという状況でありました。
大臣、これは政治家として率直に大臣にお伺いするんですけれども、義務づけ、枠づけの見直しなどといって、その結果が子供が死ぬような基準の緩和になってはならない、これは当然だと思うんですが、いかがですか。
○石破国務大臣 当然のことでございます。
ですから、どのようなものであっても従うべき基準なるものを参酌すべき基準に見直すということは、全然適当ではないものでございます。
ですから、それは何でも大事なんですけれども、子供たちの命や健康にかかわるというものを何でもかんでも見直すということは決して適当なことではないと私自身、認識をいたしておるところであります。
○宮本(岳)委員 この事故は、その後、御両親が損害賠償請求を提起されまして、昨年十一月、大阪高裁は、幸誠君は寝返りをしてうつ伏せになったことで鼻や口が塞がり窒息死に至ったと推認できるとして、保育園の運営会社に五千万円余りの賠償を命じました。勝利判決を受けて幸誠君のお父さんは、うれしい気持ちと悔しい気持ちがまじっていると語り、お母さんは、幸ちゃんにはもう二度と会えない、心の底からうれしいとは言えないが、保育がよくなる第一歩になればいいと語られました。
ところが、配付資料二を見ていただきたい。ことし四月四日、同じく大阪市淀川区東三国の認可外保育施設たんぽぽの国で発生した一歳の男の子の死亡事故の報告書であります。
この認可外施設は、ベルサンテスタッフという人材派遣会社が設置した企業内保育施設です。大阪市の報告によると、この日、一歳四人、二歳五人を含む十一人の子供を二人のスタッフで見ていたが、保育士は一名だけでありました。
厚生労働省、二〇〇九年十一月の幸誠君の教訓は全く生かされていないということではありませんか。
○吉本政府参考人 これまでも、保育施設におきます死亡事故はあってはならないことだというふうに考えておりまして、そうした事故があった場合には、都道府県を通じて、私ども、きちんと把握をいたしまして、その原因の分析、再発防止に努めてきているところでございます。
またさらに、今般、昨年度から新制度がスタートいたしましたので、内閣府の方で取りまとめて、教育、保育施設等における事故防止、事故発生時の対応のためのガイドラインを定めるなどいたしております。こうしたことによりまして再発防止を徹底してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 詳細報告というのをいつも求めているんですね。私が二〇一二年五月に質問したとき、私は、厚生労働省に提出された幸誠君の事故の詳細報告書を委員会に配付いたしました。そこには、きっちり十分置きに幸誠君の様子を見ていた、こういうことになっておりました。しかし、昨年五月二十一日、大阪高裁に証人として出廷した施設で唯一の有資格者であった元保育士は、午睡チェックもベッドルームをのぞくだけ、赤ちゃんは薄暗いベッドルームで一日の大半を過ごしていたという衝撃的な証言を行ったわけです。
待機児解消の名のもとに、これまでも子供の詰め込みが進められてまいりました。また、保育所に落ちた保護者の切実な怒りの声に恐れをなした政府は、認可保育所の増設ではなく、認可外を初め一層の子供の詰め込みで急場をしのごうとしております。その一方でふえ続けているのが幸誠君のような痛ましい子供の死亡事故であります。
内閣府、去る四月十八日に発表した、平成二十七年の教育、保育施設等における事故報告集計で、子供の死亡事故は全国で何件報告されておりますか。また、認可保育所、認可外保育施設、それぞれ何件報告されておりますか。
○中島政府参考人 御答弁申し上げます。
平成二十七年中に御報告をいただいた、大変残念なことでございますけれども、教育、保育施設等での死亡事故については十四件ということになってございます。そして、その死亡事故の中で認可保育所につきましては二件、そして認可外保育所については、地方単独保育施設も含めまして十件ということになってございます。
○宮本(岳)委員 昨年十四名の子供がとうとい命を落としました。
配付資料三を見ていただきたい。
二〇〇四年以来、毎年二桁の子供たちが命を落とし続けております。しかも、圧倒的に認可外保育施設で死亡事故が発生しております。
配付資料四のグラフを見ていただきたい。内閣府の事故報告集計をもとに、子供百万人当たりの死亡事故の発生率を比べたものであります。
認可保育所で死亡事故二件といっても、二〇一五年四月一日時点で、認可保育所には二百十五万九千三百五十七人の子供が預けられております。認可外保育施設は二十七万五千三百二十二人です。それを子供百万人当たりの死亡事故件数に換算すると、認可保育所は〇・九二六件、一件を割っております。一方、認可外保育施設では、実に三十六・三二件、四十倍も差があるわけですね。
大臣、これはもう一目瞭然ですよ。子供の命は何よりも第一という観点からは余りにも違いが明白だということではないでしょうか。
○石破国務大臣 この数字は、明らかに委員の御指摘のとおりのことを示しているということであります。
ですから、今後、従うべき基準を見直すわけでございますが、この見直しに当たりましては、勧告の趣旨というものをよく踏まえながら、実態を把握しながらやっていかねばならない。こういうことが起こらないように、先ほどの御両親のお話にもありましたが、もう亡くなった子は帰ってきませんので、そういうことがないようにしていかねばならぬ。それは担当官庁において勧告の趣旨を踏まえながら行われるべきものであって、何でもかんでも見直せばいいということではないということは認識をしておるところであります。
○宮本(岳)委員 では、認定こども園というものはこれまで以上に安全な場所と言えるかということであります。
子ども・子育て新システムはまさに昨年度から始まりました。始まった初年度から、残念ながら死亡事故はゼロではありませんでした。幼保連携型認定こども園で一件、小規模保育事業でも一件、子供の死亡事故が報告されております。
内閣府に聞きますけれども、平成二十七年の幼保連携型認定こども園の在籍園児数は何人ですか。
○中島政府参考人 ちょっとお時間をいただいて、御通告がなかったものですから……(宮本(岳)委員「いや、資料請求したよ」と呼ぶ)そうでございますか。済みません。申しわけございません。
幼保連携型認定こども園の数につきましては、千九百三十一でございます。それから、利用状況でございますけれども、約二十八万人のお子さんが利用していただいているということでございます。申しわけございません。
○宮本(岳)委員 二十七万九千四百七人ですよ。
これを同じく子供百万人当たりの死亡事故件数に換算すると、三・五八人となります。先ほど配付したグラフを見てもらえば、認可外保育施設のようなことはないですけれども、認可保育所の四倍となっています。
四月一日の衆議院内閣委員会で我が党の池内さおり議員は、加藤勝信一億総活躍担当大臣に、最低基準を上回っているところは、最低基準があるからといってその水準まで引き下げてはならないという児童福祉法第四十五条に基づく児童福祉施設の設備及び運営に関する基準も示して、詰め込みをあおる政府の緊急対策を批判し、認可保育所の増設を要求いたしました。
加藤大臣の答弁は、根本的な対応はやはり必要な保育所をしっかりと整備していくと言いながら、今多くの待機児童を抱えているところでは、緊急的にどう対応していくか各市町村に判断していただく、こういうものでありました。
しかし、待機児が多い地域の特例措置だ、緊急措置だといって始まった大阪市の面積基準の緩和は、期限の二〇一四年度が来ても、二〇一九年度まで既に五年間も延長されました。二〇〇九年には幸誠君が幼い命を落とし、ことしまた、何の改善もなく一歳の子供が命を落としても、見直そうともしておりません。それどころか、四月十八日に厚生労働省が開いた待機児童対策会議に参加した吉村洋文大阪市長は、二〇一九年以降も面積基準の緩和を継続するように求めたと報じられております。
厚生労働省、これは事実ですね。
○吉本政府参考人 当日の意見交換の中でそのような御要望があったことは事実でございます。
○宮本(岳)委員 義務づけ、枠づけの見直しなどといって何でも地方に任せることが決してよいわけではありません。
私は、きょう、累次の地方分権一括法であなた方が進めてきたことは子供たちの命まで脅かす結果になってきたことを明らかにいたしました。待機児解消などといって、これ以上子供を詰め込むようなことはきっぱりやめて、ちゃんと認可保育所をふやすことであります。待機児解消を口実に子供の命と安全、発達を保障するための保育所の面積基準を緩和したり、地方任せにするのは大きな間違いだと指摘しなければなりません。この際、地方分権一括法の附則に置かれた見直し条項はきっぱり削除することを求めて、私の質問を終わります。