統計みても低迷深刻 日銀分析を批判 (動画あり)
第190回国会 財務金融委員会 第19号
平成二十八年五月二十五日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 赤枝 恒雄君
穴見 陽一君 安藤 裕君
井上 貴博君 井林 辰憲君
越智 隆雄君 大野敬太郎君
岡下 昌平君 勝俣 孝明君
國場幸之助君 助田 重義君
鈴木 隼人君 田中 英之君
田野瀬太道君 田畑 裕明君
竹本 直一君 中山 展宏君
根本 幸典君 野中 厚君
橋本 英教君 福田 達夫君
務台 俊介君 宗清 皇一君
八木 哲也君 山田 賢司君
井出 庸生君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 鈴木 克昌君
福島 伸享君 前原 誠司君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
宮本 岳志君 宮本 徹君
丸山 穂高君 小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 高鳥 修一君
内閣府副大臣 福岡 資麿君
財務副大臣 坂井 学君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
政府参考人
(金融庁総務企画局長) 池田 唯一君
政府参考人
(金融庁監督局長) 遠藤 俊英君
政府参考人
(金融庁公認会計士・監査審査会事務局長) 天谷 知子君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 中川 真君
政府参考人
(財務省主税局長) 佐藤 慎一君
政府参考人
(財務省理財局長) 迫田 英典君
政府参考人
(国税庁次長) 星野 次彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 学君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
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委員の異動
五月二十五日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 岡下 昌平君
國場幸之助君 安藤 裕君
田野瀬太道君 橋本 英教君
中山 展宏君 田中 英之君
宮崎 岳志君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 赤枝 恒雄君
岡下 昌平君 穴見 陽一君
田中 英之君 八木 哲也君
橋本 英教君 田野瀬太道君
福島 伸享君 井出 庸生君
同日
辞任 補欠選任
赤枝 恒雄君 田畑 裕明君
穴見 陽一君 青山 周平君
八木 哲也君 中山 展宏君
井出 庸生君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 大岡 敏孝君
田畑 裕明君 國場幸之助君
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五月二十四日
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(斉藤和子君紹介)(第二四八三号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第三一七一号)
同(池内さおり君紹介)(第三一七二号)
同(梅村さえこ君紹介)(第三一七三号)
同(大平喜信君紹介)(第三一七四号)
同(笠井亮君紹介)(第三一七五号)
同(穀田恵二君紹介)(第三一七六号)
同(斉藤和子君紹介)(第三一七七号)
同(志位和夫君紹介)(第三一七八号)
同(清水忠史君紹介)(第三一七九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三一八〇号)
同(島津幸広君紹介)(第三一八一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三一八二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三一八三号)
同(畑野君枝君紹介)(第三一八四号)
同(畠山和也君紹介)(第三一八五号)
同(藤野保史君紹介)(第三一八六号)
同(堀内照文君紹介)(第三一八七号)
同(真島省三君紹介)(第三一八八号)
同(宮本岳志君紹介)(第三一八九号)
同(宮本徹君紹介)(第三一九〇号)
同(本村伸子君紹介)(第三一九一号)
消費税の増税反対に関する請願(斉藤和子君紹介)(第二四八四号)
消費税増税の中止に関する請願(斉藤和子君紹介)(第二四八五号)
同月二十五日
消費税の増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二八四号)
同(池内さおり君紹介)(第三二八五号)
同(梅村さえこ君紹介)(第三二八六号)
同(大平喜信君紹介)(第三二八七号)
同(笠井亮君紹介)(第三二八八号)
同(穀田恵二君紹介)(第三二八九号)
同(斉藤和子君紹介)(第三二九〇号)
同(志位和夫君紹介)(第三二九一号)
同(清水忠史君紹介)(第三二九二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三二九三号)
同(島津幸広君紹介)(第三二九四号)
同(田村貴昭君紹介)(第三二九五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三二九六号)
同(畑野君枝君紹介)(第三二九七号)
同(畠山和也君紹介)(第三二九八号)
同(藤野保史君紹介)(第三二九九号)
同(堀内照文君紹介)(第三三〇〇号)
同(真島省三君紹介)(第三三〇一号)
同(宮本岳志君紹介)(第三三〇二号)
同(宮本徹君紹介)(第三三〇三号)
同(本村伸子君紹介)(第三三〇四号)
消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三九四号)
同(池内さおり君紹介)(第三三九五号)
同(梅村さえこ君紹介)(第三三九六号)
同(大平喜信君紹介)(第三三九七号)
同(笠井亮君紹介)(第三三九八号)
同(穀田恵二君紹介)(第三三九九号)
同(斉藤和子君紹介)(第三四〇〇号)
同(志位和夫君紹介)(第三四〇一号)
同(清水忠史君紹介)(第三四〇二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三四〇三号)
同(島津幸広君紹介)(第三四〇四号)
同(田村貴昭君紹介)(第三四〇五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三四〇六号)
同(畑野君枝君紹介)(第三四〇七号)
同(畠山和也君紹介)(第三四〇八号)
同(藤野保史君紹介)(第三四〇九号)
同(堀内照文君紹介)(第三四一〇号)
同(真島省三君紹介)(第三四一一号)
同(宮本岳志君紹介)(第三四一二号)
同(宮本徹君紹介)(第三四一三号)
同(本村伸子君紹介)(第三四一四号)
同(田嶋要君紹介)(第三四八三号)
同(宮本岳志君紹介)(第三六五四号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(田嶋要君紹介)(第三四八一号)
同(宮本岳志君紹介)(第三六五二号)
消費税増税の中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第三四八二号)
消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第三六五三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)
財政及び金融に関する件
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○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まずは、G7に関連して麻生大臣にお伺いをいたします。
先日のG7の議長国会見で、消費税増税についてアメリカの財務長官との会談で、私の方からは日本としては予定どおりという話を申し上げている、こう答えられましたけれども、どのような文脈で消費税増税の話となったのか。大臣から切り出して、来年の消費税増税の実施を約束した、こういうことでございますか。
○麻生国務大臣 御存じのように、この種の話は相手側がどう言ったとかいう話は一切外に出せないことになっておりますので、具体的なやりとりについてはお答えを差し控えさせていただきます。
常日ごろから、これは各国との財政政策というものを担当している主に財務大臣等々と意見を交換する中での話でもありますけれども、来年の四月、日本としてはこの話をという話は、日本の財政のバランス、出動に関しては、日本は、財政出動よりは財政の健全化というものをどういうぐあいに考えているんだとか、財政というものに関しては今先進七カ国の中で一応財政支出は最も悪い形になっておりますから、そういった点との関連とかいうような話がやりとりされている中で、私どもとしてはきちんとこういったものも考えております、ちゃんと予算も最大の予算を組みましたけれども、同時に、新規国債もこれだけ減らしているというような話もし、今後の流れとしてという一環の中での話だったと記憶をします。
○宮本(岳)委員 その財政出動との関係でも、私ちょっと疑問に思うんです。
ゴールデンウイーク中の安倍首相の外遊でも、日本政府は各国首脳に対して景気後退を懸念して財政出動を要請した、こう報じられております。今回のG7の仙台の会議でも、協調して財政出動することを働きかけたけれども、各国の事情があることを確認するにとどまった、こう報じられているわけです。
しかしながら、日本政府が財政出動を各国に要請する一方で、日本国内では消費税増税を予定どおり実施するというのは、消費への影響を考えるとこれは矛盾した効果になるのではないか。何かこの消費税増税をさらに上回るような規模の財政出動でもお考えなわけですか。
○麻生国務大臣 私どもとしては、基本的に、今世界じゅうで何が足りないかといえば、金ではありません。金は余っておるんであって、むしろ需要がない。需要を喚起するというのが最大の問題、これは各国全部一致しております。
したがいまして、それに対応するのにどうしていくか。需要をつくっていくに当たって、構造改革、財政出動、いろいろな方法があると思いますけれども、私どもとしては、研究開発やら何やらいろいろなことをやっておりますけれども、目先、G7の中でも、デフレーションによる不況というものを、インフレではなくてデフレでやったのは日本だけでありますから、その意味では日本は他国とは事情が違う、そういったこともこの三年間よく言ってありますので、今度の予算においては、九十七兆円という予算を組みます。その中で、きちんと財政出動みたいな形でやっていきます。
傍ら、予算の中で、消費税等々のものを考えて、私ども、その上がった分で、構造改革と言われるものの中で、少子高齢化というのは避けて通れぬ大きな問題が目の前に控えていますので、この問題を長期的に考えるときにおいては、やはりきちんと、子育てとか子ども手当とか介護とか、いろいろなものをやらねばならぬ。その点の財源というものはきちんと恒久財源で充てる必要があるということから、きちんとした対応をしていくためには消費税というのは我々としては避けて通れぬものだと思っております。
○宮本(岳)委員 お金がないわけじゃなくて需要がない、まさにそのとおりだと思うんですね。需要がない背景にあるのが、やはり個人消費の冷え込みだと思うんです。
それで、安倍総理は、二〇一四年四月の消費税増税の個人消費への影響ということについて、ことし三月三日の参議院予算委員会でも、我が党の小池晃議員の質問に対して、確かに予想以上に落ち込んだのは事実であり、また、予想以上に長引いているのも事実である、こう率直にお認めになりました。
そこで、これは黒田日銀総裁にお伺いするんですけれども、この総理の見解、確かに予想以上に落ち込んだのは事実であり、また、予想以上に長引いているのも事実である、この認識は、総理と日銀総裁は同様の認識ですか。
○黒田参考人 二〇一四年四月の消費税率引き上げ後の個人消費の落ち込みが事前の予想を上回り、かつ長期化したということは、そのとおりだと思っております。
具体的には、事前には私どもも日銀の中で推計しておりましたけれども、消費税率の引き上げは、二〇一三年度の実質GDP成長率を駆け込みで〇・三%ポイント押し上げ、二〇一四年度には〇・七%ポイント下押しするというふうに見ておりましたけれども、実績を踏まえました直近の展望レポートにおける推計あるいは試算では、二〇一三年度に〇・八%ポイント押し上げ、二〇一四年度には一・三%ポイント下押ししていたというふうに判断をしております。
また、実質GDPの水準に与えた影響も、事前に想定していたよりもかなり長期に及んだというふうに評価しております。
○宮本(岳)委員 そうお認めになりましたけれども、では、予想以上に長引いているのはなぜか、その原因についてどうお考えですか。
○黒田参考人 先ほども申し上げましたとおり、二〇一四年四月の消費税率引き上げ後の個人消費の落ち込みが予想以上に大きく、長期化した背景には、自動車などの耐久消費財を中心に、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要が事前の予想よりも大きく、その結果として反動減も大きくなったということが指摘できるのではないかと思います。
○宮本(岳)委員 安倍首相はそう述べ、今、日銀総裁もお認めになりましたけれども、予想以上に長引いているわけでありますけれども、日本銀行の展望レポート等々を見ますと、個人消費は底がたく推移、こう一貫して説明しているわけですね。
二〇一五年五月の展望レポートでは、足元では、ガソリン安や賃上げ期待などを背景に消費者マインドは持ち直しつつあり、年金支給額の増額や電気代の下落も予想されるなどの要因を理由に、「先行きの個人消費は、二〇一五年度から二〇一六年度にかけて底堅く推移し、」こう分析しておりますし、先月の展望レポートでも、「個人消費は、一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善に加え、エネルギー価格下落による実質購買力の改善にも支えられて、底堅く推移している。」こう述べています。
消費税増税による落ち込みが回復しなくても、底がたく推移していると。これは一体、総裁、どういうふうに理解すればいいんですか。
○黒田参考人 最新の展望レポート等でも指摘しておりますとおり、本年入り後の個人消費の動向を見ますと、暖冬による冬物衣料販売の不振、あるいは、株価の下落などを受けた消費者マインドの慎重化といった一時的な要因もあって、一部に弱目の動きが見られていることは確かでございます。
もっとも、やや長い目で見ますと、耐久消費財の駆け込みの反動減は長引いたわけでございますけれども、外食、旅行などのサービス収支はしっかりと推移しておりますほか、スーパーやコンビニエンスストアなどの売上高も増加基調で推移をしております。
また、御案内のとおり、多くの企業において三年連続でベースアップが実現し、雇用者数も増加しているなど、雇用・所得環境は着実に改善しております。
こうしたことを踏まえまして、個人消費は底がたく推移しているというふうに判断しているところでございます。
○宮本(岳)委員 予想が外れるとさまざまな短期的な要因を並べて、ただ、それを除けば底がたく推移、こう説明されるわけですけれども、それでは個人消費の中期的な傾向を説明できないのではないかと思うんです。
個人消費の低迷は深刻であります。きょうは配付資料を皆さんにお配りしてありますけれども、資料一は、五月十八日の諮問会議に提出されたGDP速報の資料であります。
右下の折れ線グラフ、名目の個人消費の動きを見ていただいても、消費税増税前の駆け込み需要の反動で、二〇一四年四月―六月四半期に大きく落ち込んでから、回復するのではなくて、むしろ緩やかに個人消費は落ち込んでおります。内閣府も、速報で「個人消費の改善には遅れがみられている。」と書かざるを得ませんでした。
第一生命経済研究所の定例経済指標レポートは、二〇一六年一―三月期四半期別GDP速報について、個人消費は前期比プラス〇・五%と二四半期ぶりに増加した。ただし、うるう年要因によって〇・五%程度押し上げられていると見られ、実態としては前期比で横ばい程度と考えられる。一五年十―十二月期に前期比マイナス〇・八%と大幅に落ち込んだ後にもかかわらず、実態としては反発は全く見られておらず、消費が依然として停滞を続けていることが示されている、こう分析をしております。
資料二を見ていただきたい。
消費支出も、四半期ごとに前期比で増加したり減少したりを繰り返しておりますけれども、落ち込みの規模の方が大きいです。当然ですが、GDP速報の図を見ても、レポートどおりであります。
個人消費は底がたく推移しているのではなく、むしろ改善はおくれ、停滞を続けているというのは明瞭だと思うんです。
消費の低迷を示す指標はほかにもあります。
先週十七日に公表された家計調査報告の二〇一六年一―三月期平均速報、これは資料三につけておりますけれども、ぜひ資料三を見ていただきたい。
上の折れ線グラフでありますけれども、消費支出の推移を季節調整済み実質指数で見てみると、総世帯、二人以上世帯、単身世帯とも、消費税増税の駆け込み需要の反動が出る二〇一四年の四―六月期以降、一〇〇を割った状態でずっと推移しております。傾向とすれば、消費税増税の一年後の二〇一五年四―六月期からさらに消費支出が落ち込んでいるというのがはっきりと見てとれるわけです。
供給サイドから見た先ほどのGDP一次速報値と需要サイドから見た家計調査の結果が全く同じ傾向を示している。
暖冬の影響とか製鉄所の事故とか、いろいろ短期的な原因があるわけですけれども、個人消費は消費税増税の反動減で大きく落ち込んだ後も低迷を続けていることはもう明白であると私は思いますけれども、黒田総裁は、これだけ統計が並んでも、個人消費は底がたい、こうおっしゃるんですか。
○黒田参考人 先ほど申し上げたとおりのことでありまして、個人消費は底がたく推移しているというふうに判断をいたしております。
なお、個人消費については、月次の統計として家計調査があるわけですけれども、この統計につきましては、政府の統計委員会などにおきまして調査対象となっているサンプルに偏りがある可能性が指摘されておりまして、月々の振れが大きいという問題もございます。
なお、GDPの四半期の速報はこの家計調査に基づいて個人消費を推計しておりますので、家計調査とGDPの速報の消費がパラレルに動いているのはそのとおりでございますけれども、先ほど申し上げたようなさまざまな状況から見ますと、個人消費が底がたく推移しているという判断に変わりはございません。
○宮本(岳)委員 家計調査はサンプルに偏りがある、今そういう話でありました。
それをとにかく補正、排除するために、日本銀行は五月から、消費活動指数という新たな指標で消費活動の実勢を知るための試算を始めました。
先ほどの第一生命経済研究所のレポートでも、日銀の消費活動指数、これについて論じております。消費活動指数を見ても一―三月期は前月比マイナス〇・一%と、十―十二月期の同マイナス〇・四%に続いて二四半期連続の減少である、海外からの旅行者の消費、いわゆるインバウンド消費を除きアウトバウンド消費を含んだ旅行収支調整済みの消費活動指数の値で見ても、一―二月の平均の値は十―十二月期を〇・二ポイント下回る、こういうふうに指摘をされております。
配付資料の四を見ていただきたいんです。これが消費活動指数であります。その傾向がこれまた消費活動指数にもくっきりとあらわれております。旅行客などが爆買いをする、その国内消費の影響を除いた太い線で見ていただけば、消費税引き上げ後に個人消費が水準を下げ、その後はずっと底ばい状態が続いている。これは、GDP速報や家計調査の結果と全く同じであります。
増税後の個人消費が停滞を続けているという事態は、そういうサンプルの偏りを補正した日銀の統計指数で見ても、何の違いもないのではありませんか。
○黒田参考人 配付された資料でも見られますとおり、家計調査の指数の方がずっと弱目に出ております。
私どもの試算による消費活動指数で見ますと、全体として底がたく推移しているというふうに思っております。
ただ、この消費活動指数で見ても、個人消費の足元が明確に増加するには至っておりません。この背景には、先ほど申し上げましたような天候要因あるいは年初来の株価下落による消費マインドの慎重化がマイナスに作用していることなども挙げられると思います。
もっとも、雇用・所得環境が着実に改善を続けるもとで個人消費は基調的に底がたく推移しているというふうに判断しているわけでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、このグラフを見ても、駆け込み需要前にも全く復帰していない、ずっと横ばいのまま低迷しているということは明らかだと思うんです。
それで、私は、この際、消費の低迷ということをきっぱりと認めて、底がたいなどと言わずに、これはやはり消費税の増税ということについては考え直すべきだと思うんです。
駆け込み需要の反動減の影響は徐々に戻ると言ったものが戻っていないわけですから、これは、さらに同じように来年四月に一〇%に引き上げれば、また同じく駆け込み需要が手前であるかもしれませんが、その後の反動減、これでさらに落ち込むということはもう明確でありまして、そういう見通しの間違いをきっぱりと認めるべきじゃありませんか、黒田総裁。
○黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、二〇一四年四月の消費税率三%引き上げの影響につきましては事前に予想しておりました。ちなみに、これは日本銀行だけでなくてほかのいろいろな民間のエコノミストもそう予想しておったわけでございますけれども、実際には、その予想以上に大きな駆け込みがあり、その駆け込みの反動も予想以上に大きく、また、長引いたということであったと思います。
その上で、今回の二〇一七年四月に予定されております消費税率の二%引き上げ、そして、その中で食料品については税率を引き上げない、八%で軽減税率として据え置くということを踏まえまして、そういった消費税率引き上げの影響も織り込んで経済・物価見通しを作成しております。
そのもとで、我が国の経済は二〇一六年度にプラス一・二%、二〇一七年度にプラス〇・一%、二〇一八年度にプラス一%の成長を遂げるという見通しになっておりまして、基調として潜在成長率を上回る成長が持続できるというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 いや、今までの見通しはとっくに外れているわけですから、そんな見通しには何の根拠もない。
総裁も大臣も、僕は消費に対する認識が楽観的過ぎると思うんですね。いろいろ短期的な要因を取り上げて個人消費は底がたいなどという強弁をするのではなくて、統計や国民の実感を真摯に受けとめて、来年四月の消費税増税はきっぱり中止すべきだ、このことを申し上げて、今国会最後の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。