こども園問題追及 宮本氏「阪南市計画は拙速 (しんぶん赤旗)
こども園問題追及「阪南市計画は拙速」 (動画)
第190回国会 地方創生に関する特別委員会 第6号
平成二十八年三月十七日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 山本 幸三君
理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君
理事 新藤 義孝君 理事 寺田 稔君
理事 福井 照君 理事 篠原 豪君
理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君
青山 周平君 伊藤 達也君
池田 道孝君 江藤 拓君
大野敬太郎君 勝俣 孝明君
菅家 一郎君 小泉進次郎君
菅原 一秀君 鈴木 馨祐君
田中 英之君 田畑 裕明君
谷川 とむ君 中谷 真一君
野中 厚君 鳩山 邦夫君
平井たくや君 福田 達夫君
古田 圭一君 牧島かれん君
宮川 典子君 山田 賢司君
緒方林太郎君 柿沢 未途君
吉良 州司君 佐々木隆博君
寺田 学君 福田 昭夫君
角田 秀穂君 樋口 尚也君
田村 貴昭君 宮本 岳志君
椎木 保君 村岡 敏英君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当) 石破 茂君
内閣府大臣政務官 牧島かれん君
会計検査院事務総局第五局長 斎藤信一郎君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 伊藤 明子君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)
(内閣府地方創生推進室次長) 末宗 徹郎君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室長) 佐々木 基君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 麦島 健志君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部審議官) 中島 誠君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤原 章夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉本 明子君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 清水喜代志君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 野村 正史君
政府参考人
(国土交通省鉄道局次長) 志村 務君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 佐々木勝実君
―――――――――――――
委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
菅家 一郎君 古田 圭一君
小泉進次郎君 田畑 裕明君
中谷 真一君 青山 周平君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 中谷 真一君
田畑 裕明君 小泉進次郎君
古田 圭一君 菅家 一郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
――――◇―――――
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
地域再生法改正案について質問いたします。
地域再生制度は、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、地域が行う自主的かつ自立的な取り組みを国が支援するものと説明されております。ところが、現場ではどのような実態になっているのか。
きょうは、ことし一月二十日に第三十五回認定が行われた、私の地元阪南市における「阪南 こども子育て みらい計画」というものを取り上げて、大臣と議論したいと思います。
資料の一を見ていただきたい。これは、内閣府が認定したペーパーであります。
この計画は、現在市内七カ所に分散している公立幼稚園四園と公立保育所三園を認定こども園として一カ所に集め、市内六百三十人の子供たちを、資料左下に写真が載っている、大手家電量販店ヤマダ電機が撤退した空き店舗に詰め込もうという計画であります。
資料二を見ていただきたい。
黒字で示した四つの幼稚園、赤字で示した三つの保育所を、青で示したこども館一カ所に集める計画になっております。
内閣府、これは間違いないですね。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
先生の御指摘のとおり、間違いございません。
○宮本(岳)委員 この計画が十二月八日の市議会全員協議会に示され、十二月末発行の市の広報誌に掲載されて以来、市民、とりわけ子供を幼稚園や保育所に通わせる保護者の間で、通園、通所ができなくなる、六百三十人もの子供を一カ所に詰め込んで感染症など大丈夫なのか、どうしてこんなに性急に進めるのか等々、一気に不安の声が沸き上がりました。
地域再生計画の作成基準として解説をしたこの地域再生計画申請マニュアル、総論では、地域のニーズを把握することとされております。
内閣府に聞きますが、地域のニーズの把握なしに計画を進めることは許されておりますか。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
地域の活性化に向けた取り組み、いろいろな取り組みを地域で取り組まれておられますけれども、いずれにいたしましても、地域の方々の御理解、地域の方々のニーズを前提としたような取り組みということが前提でございます。
○宮本(岳)委員 認定地域再生計画をしっかり公表して、地域住民にわかりやすく内容を知らせるのは当然のことだと思うんですね。
そこで、きょうは会計検査院に来ていただいております。
二〇一五年十月に会計検査院が発表した、地域再生法に基づく事業の実施状況等についての報告書、要旨の二ページでは、地域再生計画の作成及び認定状況等について、そのウとしてどのような指摘がなされておりますか。
○斎藤会計検査院当局者 お答え申し上げます。
先生がただいまおっしゃっていただきましたとおり、会計検査院は、地域再生法に基づく事業の実施状況等について検査を実施し、その状況を取りまとめまして、二十七年十月に、会計検査院法第三十条の二の規定に基づき、国会及び内閣に対して報告をしております。
お尋ねいただきました認定地域再生計画の公表状況等について御説明をいたしますと、検査に当たって対象とした千七百五十六計画から二十六年度末に認定を受けて間もないものを除いた千五百八十七計画について、認定地方公共団体における公表状況を見ると、みずからは公表していないとしているものは七百六十一計画で、千五百八十七計画の四七・九%となっておりました。また、公表していない理由を見ると、認定地域再生計画の実施内容について公表する必要がないと考えたためとしているものが二百六十計画で、七百六十一計画の三四・一%などとなっておりました。
○宮本(岳)委員 何と、認定地域再生計画の半数近くは公表すらされておりません。しかも、その三分の一の自治体では、地域再生計画を公表する必要すらないと答えております。
会計検査院は、この報告書で、「内閣府は、地方公共団体に対して、地域のニーズを十分把握するとともに、地方公共団体間の調整及び連携を十分に図った上で地域再生計画の認定を申請するよう助言する。また、認定地方公共団体に対して、認定地域再生計画については、適時に公表することが望ましいことを助言する。」と指摘しております。
大臣、この会計検査院の指摘をどう受けとめますか。
○石破国務大臣 会計検査院の指摘でありますから、私どもとして、それは謙虚に、虚心坦懐に承らねばならない、そういうものだと認識をしております。
○宮本(岳)委員 ところが、この阪南市の認定地域再生計画は全然そうなっておりません。
会計検査院は、地域のニーズを十分把握した上で申請せよ、こう言っているのに、統廃合されるそれぞれの保育所や幼稚園で初めて保護者に説明を始めたのは、市内二カ所の保育所で一月十七日、一月二十日の認定の三日前。それ以外の五つの幼稚園、保育所は、保護者への説明会すら認定された後でありました。
もう一度会計検査院に確認いたします。
会計検査院が昨年十月に指摘したこの報告書の要旨は、申請の前にニーズを十分把握せよということで、認定の前にニーズを把握すればよいということではない、ましてや認定を受けてからニーズを把握すればよいということではありませんね。
○斎藤会計検査院当局者 お答え申し上げます。
お尋ねのございました件につきましては、地方公共団体が地方公共団体間の調整及び連携を図る必要があるのは、地域再生計画を内閣府に申請する前の作成段階でございまして、委員の御説明されたことに相違ございません。
○宮本(岳)委員 認定の前ではありません。申請の前であります。しかし、阪南市は認定日の三日前に初めて保護者に説明し、五つの幼稚園、保育所は全て認定後、市民説明会はさらにその後でありました。
内閣府に聞きますけれども、この会計検査院の報告書は既に昨年十月に出ておりますけれども、これを内閣府はどう受けとめたのか。地域のニーズを把握するどころか、保護者の意見さえ聞いていないような計画を一月二十日に第三十五回で認定したということは、会計検査院の指摘など聞く気はないということでありますか。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
今回のプランにつきましては、我々、市から聞いております部分につきましては、この七つの園の保護者の皆様に関しては、先生御指摘の一月十七日というものの御説明の前に、十二月二十一日と二十四日に七つの園の保護者会の役員会で御説明をされたというふうに承っております。
地域の声の吸い上げ方はいろいろなやり方があろうと思いますが、私ども聞いておりますのは、例えば議会との関係でいきますと、昨年十二月の上旬に全員協議会等々で御説明をされているというふうに聞いてございます。
いずれにいたしましても、我々も、申請の段階また認定をするまでの段階で地域のニーズを十分に吸い上げるということは重要だと思ってございます。
ちなみに、会計検査院の御指摘のお話がございました公表の問題でございますが、公表に関して言うと、我々、内閣総理大臣が地域再生計画の認定をさせていただいてございますが、国は認定をした際に公示するということが義務づけられておりますので、これを徹底しております。
地域の自治体の公表に関して言えば、やや地域主権との関係がございますが、いずれにいたしましても、我々、会計検査院の指摘を真摯に受けとめておりまして、今回、三月末に、この地域再生法を執行していくに当たりましての政府全体の基本的な方針、基本方針というのを改定する予定にしてございますが、ここにおきましては、地域再生計画の公表が望ましい旨、きっちりと位置づけたいというふうに思ってございます。
○宮本(岳)委員 十二月八日に市議会全員協議会を開いて、そこで報告をしたことは重々わかっております。役員に対して以前にやったということが今出ましたけれども、間違いなく全ての保護者は集まってくれということで説明が始まったのは認定の直前、五つの幼稚園、保育所では全て認定後の話でありました。
それで、その阪南市議会は、去る三月十日、この地域再生計画を踏まえて、資料一に画像が載っております、撤退した家電量販店の建物を約四億円で購入する議決を行いました。我が党の二人と無所属一人の三人が反対しましたが、賛成多数で可決をいたしました。
市の説明は、今年度中に決めなければ国の交付金が受け取れないというものでありましたけれども、市議会でも、余りに拙速である、市民への説明や意見聴取が十分ではない、こういう声が続出したのは当然のことであります。
資料三を見ていただきたいんです。その三月十日に阪南市議会において、一般会計予算のうち、公立幼稚園、公立保育所を一極集中し、総合こども館とするための建物購入費に関してつけられた議会の附帯決議であります。三項目め、「国の交付金、補助金交渉の影響にもよるが、余りに拙速であり、市民、関係者への説明や意見聴取が充分なされていないように考える。」、国の交付金、補助金交渉の影響だと議会が附帯決議で言っております。
内閣府に聞きますけれども、この、三月までに事業を決め、事業が終了しなければ受け取れない交付金というのは一体何ですか。
○麦島政府参考人 先生お尋ねの交付金の関係でございますが、二十七年度、今年度私どもが執行しております交付金は、地域再生戦略交付金という交付金でございます。この交付金は、当初予算でいきますと、今年度創設をいたしたものでございますが、経緯からいきますと、この地域再生戦略交付金につきましては、来年度から、今回法案でも御議論を賜っておりますが、地方創生推進交付金に再編をいたすという形にいたしておるところでございます。
いずれにいたしましても、この附帯決議の「影響」というのがどういうことを意味しているのか、やや定かではないと思いますけれども、我々、この戦略交付金は今年度の措置として、来年度からは結果といたしまして再編をいたすわけでございますが、別にこの交付金がなくなるとか終了するということを申し上げたことはないということでございます。
○宮本(岳)委員 この地域再生戦略交付金、平成二十七年度限りの事業でありますから、これについては三月末ということになる。しかし、別に全てなくなるわけじゃない、新型の交付金ということもあるので、それも使えるという話が今あったかと思います。
私は、一応、市議会全員協議会の議事録も住民説明会の記録も、市が公表しているものを全て読ませていただきました。
昨年十二月八日の全員協議会で初めて市議会に説明され、ことし一月から二月に保護者や市民向けの説明会が開かれているが、そんなに急ぐ理由は何か、なぜもっとじっくり議論を尽くさないのか、地域再生とか地方創生と言うが、住民の意見など全く置いてきぼりではないのかとの批判や意見に対する答えは、三月に市議会が建物の買い取りを議決しなければその地域再生戦略交付金がもらえない、この一点張りであります。
大臣は答弁で繰り返し、地方創生や地域再生は、上から型にはめるようなものではなく、あくまで地域の自主性、主体的な取り組みを支援するものだ、こうおっしゃってまいりました。しかし、実際に地域再生計画の名において現場でやられていることは、国の補助金、交付金で誘導し、期日まで切って地方を型にはめるような結果になっている。これでは相も変わらぬ補助金行政ではありませんか、大臣。
○石破国務大臣 経緯は担当次長がお答えさせていただいたとおりであります。
このことにつきましては、私どもも、市からお話があって、はいはい、わかりましたなぞということを言ったわけではなくて、阪南市との間で、御理解というのを得る努力をしましたか、あるいは議会の方の理解は進んでいますかということを何度も確認して、それなりの時間をかけて今日に至っておるものでございます。
ここは難しくて、型にはめるとかそういうものではございません。であらばこそ、こんなものが出てきている。かなりユニークなものだと思っております。これは、今の既存の施設が老朽化をしたとか、あるいは災害に耐えられないとかそういう配慮もある。あるいは、市の財政もあるのかもしれません。全てつまびらかに存じておるわけではありませんが、そういうような状況の中で一カ所にまとめるというかなりユニークな取り組みだと承知をいたしております。
ですから、そういうユニークな取り組みでも可能にするという観点から見れば、別に開き直るわけじゃありませんが、かなり地方のそういう事情を反映したものも使えるということであります。
ですから、私どもがこういう制度を用意しているので独創的なものが実現したのではないか、そういう因果関係に立つとは私は考えておりません。
○宮本(岳)委員 では、その阪南市の「こども子育て みらい計画」の内容について議論したいと思うんですね。
私は、はっきり言って、これはむちゃくちゃな計画だと思います。
今回、阪南市が総合こども館の場所に予定しているヤマダ電機は、全国で郊外型大型家電量販店を展開してまいりました。二〇一三年七月、ヤマダ電機は阪南市でも、一体なぜこんなところにと多くの市民が首をかしげるようなところに地権者と二十年間の定期借地権を設定して、毎月二百七十万円もの借地料を支払う契約で出店をいたしました。
ところが、昨年五月末、二年もたたずに早々と撤退することになり、借地料を阪南市が十年間肩がわりし、三億二千万円を支払った後、十年後には土地そのものを時価、市の説明では約五億円と言っておりますが、これで購入をする。さらに、店舗も、市がヤマダ電機から先ほどの四億円で購入し、総合こども館に八億円かけて大規模改修するという計画であります。
私は、この計画の経緯を市議会議員に初めて説明した昨年十二月八日の市議会全員協議会の議事録、会議録を全て読みましたけれども、つまり、現存の幼稚園や保育所の耐震化が一カ所を除いてできておらず老朽化している、これをどうするか頭を悩ませてきたが、五月末にヤマダ電機が撤退を発表した、それに飛びついて、昨年六月二十九日には群馬県高崎市のヤマダ電機本社を副市長らが訪問し、協議を開始しております。地権者との協議も、正式に七月十六日に始めております。
ところが、同時に、文部科学省や内閣府との接触は、さる与党衆議院議員の仲立ちで、ヤマダ電機や地権者よりも早い六月二十二日から始まっております。
資料四の一ページ目を見ていただきたい。これが阪南市のホームページで公表している市議会全員協議会の議事録であります。
昨年六月二十二日、文科省へ行った後、内閣府で、副市長以下三名が内閣府子ども・子育て本部の参事官、子ども・子育て本部認定こども園担当の参事官補佐と会った。参事官から、子ども・子育て本部はハード整備の予算は持っていないことから、交付金等についてはまち・ひと・しごと創生本部と協議したらどうかと助言されたと書いてあります。
子ども・子育て本部に聞きますけれども、これはつまり、阪南市は真っ先にハード整備の予算、交付金等の相談に来たということですね。
○中島政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十七年の六月二十二日に阪南市の副市長さん以下三名が私どもの認定こども園担当者の方に訪問されたということは事実でございます。
私ども内閣府子ども・子育て本部といたしましては、認定こども園に係る施設整備費については予算を有しておりませんので、その際、例えば子育て支援を軸にしたまちづくりということであれば、地方創生の関係で交付金があるかもしれないので、地方創生の担当部局の方に確認してみてはどうかというサジェスチョンはさせていただいたところでございます。
○宮本(岳)委員 ですから、私は、今の話を聞いて、認定こども園の中身、ましてや今議論になっている一カ所に集める中身を相談に来たというよりは、交付金、要するにハードの整備の予算についての御相談が先にあったというふうに受けとめたんですね。
子ども・子育て支援法は、第二条で基本理念として、「子ども・子育て支援の内容及び水準は、全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない。」「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援は、地域の実情に応じて、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。」としているわけですね。
そう定めている以上、七つの幼稚園、保育所を一カ所にまとめて六百三十人の子ども館をつくるなどという計画は、まず、それが子ども・子育て支援法の基本理念に照らしてふさわしいかどうかということから検討しなければならないと思うんですが、子ども・子育て本部、これは検討したんですか。
○中島政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、六月二十二日に副市長さん以下三名に来ていただいてお話は伺っておりますが、その際には、いわゆる保育所、幼稚園、七カ所でしたかを統合して六百人超の定員を持つ認定こども園をつくりたいんだという話でありまして、具体的な詳細について御相談を受けたというわけではなく、交付金その他、国からの支援というのはどのようなものがあるんだろうかということのお尋ねがあったということでございます。
いずれにいたしましても、今委員の方から御指摘がございましたように、認定こども園の整備に当たっては、地域の実情に応じて、保護者の教育、保育ニーズを満たしつつ、子供さんが適切な教育や保育を受けられるような環境整備を進めていくことは当然のことながら重要だと考えておるところでございます。
○宮本(岳)委員 今のでよくわかりますね。
では、子ども・子育て本部から協議を振られたまち・ひと・しごと創生本部はどうしたか。
もう一度配付資料の議事録に戻っていただきたい。
八日後の昨年六月三十日、また同じ現職衆議院議員の御尽力で、副市長以下三名は、内閣審議官、内閣府地方創生推進室次長、内閣参事官と面会したとなっております。
もう一枚めくってもらった資料四の二枚目ですね。二と書いたもの。
審議官からは、幼保連携というのは国の流れであり、アイデアとしてはおもしろいと。また、その次の下線部、参事官から、アイデア次第だが、単に建物購入だけというのではなく、まちづくり全体に相乗効果が出るという仕組みが描けるのなら、私なら交付金をつけるとのお言葉をいただいた、さらに審議官からも、そういった全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトを内閣府としては全力で支援したいとのお言葉もいただいた次第と。これははっきり字になって出ておりますね。
この審議官というのは内閣府地方創生推進室の麦島次長だと思いますが、きょうは来ていただいておりますが、このように語ったんですか。そして、麦島審議官は、この阪南市の計画を全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトだと評価しているんですか。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
六月三十日に、副市長以下、市の職員の方が見えられました。お会いしたのは私でございます。
それで、そのときのお話は、まだ全体の事業の概要ということではなくて、先ほども御答弁がございましたけれども、市が考えるプランを進めていくに当たって、国の制度としてどういう使えるものがあるかなというのを検討されているような会合でございました。
私ども、おおむねここに書いてあるようなやりとりをしたというふうに記憶してございますが、少なくとも、私がここで、手本となるリーディングプロジェクトとして支援していきたいというのは、この阪南市のプロジェクトについては具体的な絵姿もまだできていなかったという状況でございますので、これは正直申し上げまして、一般論といたしまして、地方創生、地域活性化の取り組みの中でほかの自治体のモデルとなるような、そういうプロジェクトについては、内閣府として積極的に支援をし、一緒にやっていきたいということを申し上げたということでございます。
○宮本(岳)委員 このような赤裸々な国の官僚と市の理事者のやりとりを克明に記録した文書というのを見るのは、私も初めてであります。
いつ、どこで、誰と会ったかまで書いてあるし、衆議院議員については、ここでは名前は言いませんが、皆さんのお手元の資料、議事録には与党議員の実名が出ております。しかし、これは阪南市議会の議事録でありますから、ホームページで公表されているものでありますから、逃れようはありません。私は、改めて、こんなふうに自治体の地域再生計画というようなものはつくられているのだなと納得した次第であります。
重ねて麦島審議官、地方創生推進室次長に聞くんですが、認定こども園の計画でありますから、まずは子ども・子育て本部に、六百三十人もの子供を一カ所に集める認定こども園の計画が子供にとってどういう影響があるか、よりよい保育環境になるのか、協議に行ってくれ、こういうふうに言うのが筋だと思うんですが、言ったんですか。また、そういう子供の保育環境については検討や検証をしましたか。
○麦島政府参考人 お答えを申し上げます。
六月三十日の時点で、今先生がおっしゃられたようなことは、私は発言をしてございません。
いずれにいたしましても、このプラン、その後、九回ほどいろいろ調整をさせていただいてきてございますが、その過程で、市が考えておられるプランを進めていくに当たって必要な、例えば関係各省庁との調整等々は当然行うものという前提で作業をしてきているということでございます。
この六月三十日の時点で、そういうようなアドバイスを私の方ではしてございません。
○宮本(岳)委員 では、この計画の、六百三十人の子供たちを一カ所に集めるというのがどういうことであるか、議論をしたいと思います。
きょうは、厚生労働省と文部科学省に来ていただいております。
順番に聞きますけれども、厚生労働省、直近の社会福祉施設等調査で、定員三百人を超える公立保育所というものが全国にございますか。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
直近の社会福祉施設等調査によりますと、平成二十六年十月一日現在で、定員二百人以上という区分でとっておりますけれども、その規模の公営保育所は百八十二カ所、全体の二%ということでございます。(宮本(岳)委員「三百」と呼ぶ)
恐れ入ります。それ以上の区分は通常の調査におきましてはとっておりませんけれども、平成二十三年に特別集計をしたものがございます。それによりますと、公営保育所ですと三百人以上の規模のものはございません。
○宮本(岳)委員 六百人どころか、三百人を超えるような公立保育所は全国に一つとしてありません。
きょうは文部科学省にも来ていただいております。
直近の学校基本調査で、全国に定員五百五十人を超えるような公立幼稚園は存在いたしますか。
○藤原政府参考人 お答えいたします。
文部科学省の平成二十七年度学校基本調査報告書によりますと、これは百人ごとで区分をしておるわけでございますけれども、在園者数が六百人を超える公立幼稚園はないという数字でございます。また、その下に下がってまいりますと、三百一人から四百人の区分が公立幼稚園では一つございます。四百一人以上の区分については、ないというふうな状況でございます。
○宮本(岳)委員 ないんですね。公立ではもちろんこんな規模のものはありません。それから、保育所は、私立を含めても四百五十人を超えるような保育所というものは我が国には存在いたしません。
厚生労働省に聞きます。
これは、子供たちの数がふえればふえるほど、災害時の避難や感染症対策など、子供たちの保育にとってやはり難しい面が出てくる、負担が大きくなるということを示しているんじゃありませんか。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
保育所の施設の規模の大小にかかわらず、その保育の質をきちんと確保していくということは当然のことでございまして、厚生労働省といたしましては、児童福祉施設の設備、運営に関する基準、また保育所保育指針、さらに今お話がございました安全面、衛生面、感染症対策ガイドラインなどによりまして、きちんと保育が行われるように、それにのっとってやっていただくようにということが重要だというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 今回の計画は、三十六平方キロを超える面積を持つ阪南市という町に、公立の保育施設が一カ所になるという計画であります。市ではバスで送迎するというわけでありますけれども、市の説明でも、ゼロから二歳児の送迎は困難、就労されている保護者の個別の時間帯に合わせた運行は難しい、はっきりそう説明しておられます。
厚生労働省に聞きますけれども、保育所の場合、就労している親にとって送迎に支障が出る、こういうことがあっていいんですか。
○吉本政府参考人 保育所における子供の送迎でございますけれども、日々行うことが必要なものでございますので、一般的には、身近な地域におきまして保育園を希望される保護者の方が多いというのが現状だというふうに思っております。
その送迎の時間の長短というのはございますが、保護者の方にとりましても子供にとりましても、ともに過ごす貴重な時間というような見方もできますので、長短のみをもってその是非を判断することはなかなか難しいのかなというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 徒歩とか自転車で近くの保育所に送迎していたという人は一カ所に集められると行けませんので、それでバスが出るというんですが、ゼロから二歳のバスは、はっきり、送迎は困難、こう言っております。だから、今の状況よりも条件は悪くなると思うんですが、これは問題ないんですか。
○吉本政府参考人 個別の状況について個々には承知をしておりませんけれども、それぞれの実情に応じまして保護者の方の保育ニーズというのがございますので、それをきちんと満たしつつ、かつ、子供が適切な保育を受けられるような環境整備が必要だというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 就労に支障が出るようなことで、何が一億総活躍だと言わなければなりません。
文部科学省にきょう来ていただいております。
幼稚園設置基準の第七条には何と定められておりますか。
○藤原政府参考人 お答えいたします。
幼稚園設置基準の第七条では、第一項で「幼稚園の位置は、幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境にこれを定めなければならない。」、また第二項では「幼稚園の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなければならない。」というふうに規定をされているところでございます。
○宮本(岳)委員 幼稚園の位置は、そういう場所に定めなければならないと。
もう一度資料一の内閣府のペーパーを見てもらったら、画像のこの建物はもともと家電量販店なんですね。みんな車で買いに来ることを想定しておりまして、国道二十六号線に面しております。もともとそういう場所につくるのが当たり前であって、隣は紡績工場。これのどこが「幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境」なのかと、私は非常に疑問に思うんですね。
きょうは国土交通省にも来ていただいております。これも確認したいと思うんですね。
もう一度資料四の議事録の二枚目に戻っていただきたい。
阪南市は、国交省についても、同じ衆議院議員同席のもとで、昨年七月七日、都市局都市計画課土地利用調整官並びに、ことしの三月まで近畿地方整備局の都市計画課長をしていたという市街地整備課課長補佐と会っております。
昨日、私はこの課長補佐本人に会い、本人もこの面談を認めておりました。
この課長補佐は都市再構築戦略交付金についてるる説明した上で、資料四の二枚目、下から十二行目、課長補佐からは、事業と補助の組み合わせで結果的にたくさん交付金がとれる方策を考えたらということで、近畿地整で相談されたしと助言しております。
国土交通省は、与党国会議員が尽力すれば、一部の自治体に事業と補助の組み合わせで結果的にたくさん交付金がとれる方策を考えてやっているんですか。
○清水政府参考人 お答えいたします。
昨年七月に国土交通省都市局の職員が、今おっしゃった職員でございますけれども、阪南市と打ち合わせを行っておりまして、阪南市からの相談に乗っております。当日は、国土交通省の職員から、交付金等さまざまな支援策を適切に選択することをアドバイスし、近畿地方整備局でも相談に乗る旨を伝えたものと認識しております。
我々は、地方の実情を把握し、それからまた我々の目指しておりますような政策がきちんとできますように、そういった面からの助言ができる機会というのを非常に重要だと考えております。
○宮本(岳)委員 結局、この「阪南 こども子育て みらい計画」なるものは、現在の公立幼稚園、保育所の建物が未耐震で老朽化が進み防災の対応が必要になる中、既存施設の建てかえはコストが高くつくので、国の補助金、交付金をとってきて、市の負担が少なく済むように、六百三十人の子供を一極集中させようというものだと思います。子供にとってよりよい保育とかよりよい幼児教育などを検討した形跡も見られないと私は思います。
説明会には多くの父母が詰めかけました。なぜ今通っている施設を耐震補強してくれないのかと訴えました。市長は、公立保育所整備について一切国の補助制度はない、こう繰り返し議会で答弁しております。
私は、念のために、近隣であります私の住む大阪府岸和田市の保育所の耐震化について聞いてみました。岸和田市では、既に全保育所の耐震化が終了しております。耐震化工事に当たっては、国の補助が出たということでありました。
厚生労働省に聞きますけれども、かつては出していた保育所の耐震補強の補助金は今は全部なくしてしまった、小中学校は手厚い補助金を出して全国的にほぼ一〇〇%耐震化をやりましたが、未就学の学校に入るまでの子供は地震で死んでも構わないということですか、厚生労働省。
○吉本政府参考人 お答え申し上げます。
公立保育所のハード、施設整備の補助に関しましては、原則といたしまして一般財源化しておりまして、地方交付税による対応ということで、それ以外の補助はしていないところでございます。
○宮本(岳)委員 こうなっているんですよ。三位一体のときにそういうことをやりましたね。
つまり、一般財源化したということは、ここでもよく議論がありましたよね、ミシン目がついていないから、これですということにならないから、ないのも同然だという議論をよく議員の側からされておりますが、なくなっちゃったということですか。
○吉本政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、一般的な公営保育所に対するハードの補助金は、一般財源化により、なくなっております。
○宮本(岳)委員 その議論のときも私はおりましたからよく覚えておりますが、一般財源化するというのは、補助金はなくすが、そういうものについてのお金がなくなるんじゃないんだと。一般財源化するんだと言ったから、国会を通っているんでしょう。そうでしょう。取り上げてもう渡さないんだという議論だったら、通らないだろう。子供たちの命を守る、そんな予算をなくしちゃって、もう一切なくなっちゃうんだから諦めろという話なんかあるわけないじゃないですか。でも、なるほど、補助金の制度がなくなった。あなたはそう御答弁する。それはそうでしょうよ。
現場では、一切ないんだ、この交付金をとらなきゃやれないんだ、これに反対する者は子供は死んでいいと言うのかという議論がやられているわけですよ。そういう議論までされているわけですよ。私は、本当にこれはひどい話だと言わなければなりません。
文部科学省に聞きましょう。
学校施設整備指針では、幼稚園などの施設の老朽化対策として長寿命化改修を打ち出しておりますけれども、これはなぜですか、文部科学省。
○藤原政府参考人 お答えいたします。
突然のお尋ねでございますので、ちょっと詳細はお答えできませんけれども、公立幼稚園につきましては、その施設の新増築あるいは耐震の補強などにつきまして補助を行っているという状況でございます。
○宮本(岳)委員 学校施設整備指針の主な改正内容というのを持ってきましたけれども、「改築より工事費を抑えながら改築と同等の教育環境を確保でき、排出する廃棄物も少ない長寿命化改修を積極的に取り入れていくことが重要」だ、こういう文書も出ているわけですよね。
市が一月二十日に地域再生計画の認定を受けてから開いた幼稚園、保育所単位の保護者説明会、大分時間がかかりましたが、私もこれを全部読ませていただきました。お母さんたちの切実な怒りと不安の声がどっと出されております。
私は今の保育所に自転車で子供を乗せていっている、保育所の前におばあちゃんが住んでいるので、仕事で午後七時半になっても迎えにいってくれるから何とか働いている、この保育所がなくなり、ヤマダ跡になれば仕事はやめなくてはならないし、保育時間を延長してもらえるのかとか、私は近くに歩いて行ける保育所があるからここに引っ越してきたのに、あんな遠いところにできたら行けなくなる、こういう声とか、ただ単に施設をつくって詰め込めばいいということではない、この計画は民間施設の活用ありき、国の補助金獲得ありきの発想しかない、一人一人の子供たちに行き届いた保育、教育を保障するという考え方がすっぽり抜け落ちている等々の声が出されております。
大体、子供六百三十人ともなりますと、一度に運動会も生活発表会もできなくなります。この説明会での市の説明を見ておりますと、阪南市の説明会では、運動会を園庭で実施するのは難しいため、例えば市の中央グラウンドや総合体育館などを使って開催する方法などを検討していく、また音楽会などは、一度に全園児が実施することは難しいので、日を変えたり時間を変えたりすることで対応していく、こう説明するわけですね。
大臣、本当に大臣としての認識をお伺いしたいんです。こんな計画を内閣府地方創生推進室が、この内容まで含んで言ったわけじゃないとさっき答弁がありましたけれども、全国の見本、手本となるリーディングプロジェクトなどといって進めるのは、余りにもおかしいんじゃないですか。いかがですか、大臣。
○石破国務大臣 これがリーディングプロジェクトになるかどうか。それは、委員がおっしゃいますように、運動会は園庭ではできませんとか音楽会は何度にも分けて行わねばなりません、それをどういうふうにして考えるかということだと思います。
普通に考えれば、少し小さな規模で、お母さんが送迎しやすい場所で行われるということが一つの価値観だと思いますが、では、そういう形に移行したからといって子供の健全な保育が損なわれるかといえば、そうではないこともある。つまり、お母さん方のいろいろな御負担を軽減するために市としても考えられる限りの対策を講じている、そうでなければ議会の理解なんか得られないと思っております。
地域の方々の御理解また議会の御理解を得るに当たって市としても最大限の努力をしておると思いますし、内閣府として、それがそういうものであるかどうか、よく住民の方々、実際に利用されるのは住民の方々ですから、そういう方々とよくお話をしてくださいということは何度も申し上げてきたところでございます。これから先、この事業がさらに子供たちあるいは保護者の方々の利便に供するように、私どもとしてもよく見ていかなければなりません。
ただ、何度も御指摘がありますように、国のお金が切れるので、望ましくもないのだが、そうなっては困るのでやったのだという御説明をされたとしたらば、それは我々の意図するところとは相当に異なるものでございます。
○宮本(岳)委員 そういう説明で、三月十日の市議会で建物購入の予算が可決をされました。
附帯決議では、言っているように、議会としてももっとじっくり議論したいところだが、国との補助金や交付金の交渉の影響でいたし方ない、議決をしたという表現になっているわけですよ。それは、そういう形でやられました。
そのことを受けて、阪南市では、まるで、これですべて決まってしまった、ああ、これはもうそうするしかないんだという誤解が現にございます。
しかし、現時点で決まったのは、今申し上げたように、撤退したヤマダ電機の建物を市が四億円以内で買い取るということであって、その先の計画はこれから、今後、施設整備、送迎アクセス、交通や感染症の問題、災害や自然環境の問題、保育、教育の課題、とりわけ幼児、乳児一人一人の心身の適切な発達の保障、こういう点について計画もし、議論もし、計画を練り上げていくということになると思うんですね。また、その都度、市民の議論と納得、議会の議決が必要となる。何も全て決まってしまったわけじゃないというふうに思うんですが、内閣府、これは間違いないですね。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
先生がおっしゃるとおりに考えてございます。
○宮本(岳)委員 もちろん、そういう議論が積み重なってこの地域再生計画をぜひ変更したいということになれば、所要の手続を経て変更することは可能ですね。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
可能でございます。
○宮本(岳)委員 石破大臣は、本改正案の提案理由説明で、地方公共団体の自主的、主体的な事業で先導的なものを支援する、こう述べましたけれども、現実にあなた方がやってきたことは、この事例でいうと、そんなものではないと私は思います。
議会や保護者、住民に一切知らせないまま、国会議員の仲立ちで早くから自治体とすり合わせ、どうやれば目いっぱい交付金がとれるかを相談し、国のめがねにかなうような地域再生計画をつくらせる。その要件をクリアするためには、議会の拙速との声にも、住民の不安や批判にも耳をかさない。そして、とにかく早くしなければ金がもらえない、これを決まり文句にしているわけです。こんなもののどこが地域再生計画なのかと言わなければなりません。
相も変わらぬ交付金による愚かな政策誘導をきっぱりやめて、真に自主的、主体的な自治体の努力をしっかり支援することを求めて、私の質問を終わります。