国民の利子奪う政策 宮本岳志氏 マイナス金利中止を(しんぶん赤旗)
国民の利子奪う政策 マイナス金利中止を (動画)
第190回国会 財務金融委員会 第11号
平成二十八年三月十六日(水曜日)
午前八時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井上 貴博君
井林 辰憲君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 大野敬太郎君
勝俣 孝明君 國場幸之助君
助田 重義君 鈴木 隼人君
瀬戸 隆一君 田野瀬太道君
竹本 直一君 武部 新君
中山 展宏君 根本 幸典君
野中 厚君 福田 達夫君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 鈴木 克昌君
前原 誠司君 宮崎 岳志君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
財務副大臣 坂井 学君
厚生労働副大臣 竹内 譲君
内閣府大臣政務官 高木 宏壽君
財務大臣政務官 大岡 敏孝君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 田和 宏君
政府参考人
(財務省関税局長) 佐川 宣寿君
政府参考人
(財務省理財局長) 迫田 英典君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 伊原 和人君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 中山 隆志君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
参考人
(日本銀行副総裁) 岩田規久男君
参考人
(日本銀行理事) 雨宮 正佳君
参考人
(日本銀行理事) 櫛田 誠希君
参考人
(日本銀行理事) 武田 知久君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 瀬戸 隆一君
福田 達夫君 武部 新君
同日
辞任 補欠選任
瀬戸 隆一君 井上 貴博君
武部 新君 青山 周平君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 福田 達夫君
―――――――――――――
三月十五日
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
同月三日
消費税一〇%再増税、インボイス導入中止に関する請願(清水忠史君紹介)(第五〇六号)
同(真島省三君紹介)(第六〇五号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(堀内照文君紹介)(第五三三号)
同(清水忠史君紹介)(第五三九号)
同(吉川元君紹介)(第五五九号)
同(穀田恵二君紹介)(第六五八号)
同(志位和夫君紹介)(第六五九号)
消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(真島省三君紹介)(第五四〇号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第七〇三号)
同(池内さおり君紹介)(第七〇四号)
同(梅村さえこ君紹介)(第七〇五号)
同(大平喜信君紹介)(第七〇六号)
同(笠井亮君紹介)(第七〇七号)
同(穀田恵二君紹介)(第七〇八号)
同(斉藤和子君紹介)(第七〇九号)
同(志位和夫君紹介)(第七一〇号)
同(清水忠史君紹介)(第七一一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第七一二号)
同(島津幸広君紹介)(第七一三号)
同(田村貴昭君紹介)(第七一四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第七一五号)
同(畑野君枝君紹介)(第七一六号)
同(畠山和也君紹介)(第七一七号)
同(藤野保史君紹介)(第七一八号)
同(堀内照文君紹介)(第七一九号)
同(真島省三君紹介)(第七二〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第七二一号)
同(宮本徹君紹介)(第七二二号)
同(本村伸子君紹介)(第七二三号)
消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第五六〇号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第六六〇号)
同(池内さおり君紹介)(第六六一号)
同(梅村さえこ君紹介)(第六六二号)
同(大平喜信君紹介)(第六六三号)
同(笠井亮君紹介)(第六六四号)
同(穀田恵二君紹介)(第六六五号)
同(斉藤和子君紹介)(第六六六号)
同(志位和夫君紹介)(第六六七号)
同(清水忠史君紹介)(第六六八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六六九号)
同(島津幸広君紹介)(第六七〇号)
同(田村貴昭君紹介)(第六七一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第六七二号)
同(畑野君枝君紹介)(第六七三号)
同(畠山和也君紹介)(第六七四号)
同(藤野保史君紹介)(第六七五号)
同(堀内照文君紹介)(第六七六号)
同(真島省三君紹介)(第六七七号)
同(宮本岳志君紹介)(第六七八号)
同(宮本徹君紹介)(第六七九号)
同(本村伸子君紹介)(第六八〇号)
中小企業増税とインボイス方式導入をしないことに関する請願(真島省三君紹介)(第六〇四号)
消費税の増税反対に関する請願(真島省三君紹介)(第六八一号)
消費税増税の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六八二号)
同(池内さおり君紹介)(第六八三号)
同(梅村さえこ君紹介)(第六八四号)
同(大平喜信君紹介)(第六八五号)
同(笠井亮君紹介)(第六八六号)
同(穀田恵二君紹介)(第六八七号)
同(斉藤和子君紹介)(第六八八号)
同(志位和夫君紹介)(第六八九号)
同(清水忠史君紹介)(第六九〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六九一号)
同(島津幸広君紹介)(第六九二号)
同(田村貴昭君紹介)(第六九三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第六九四号)
同(畑野君枝君紹介)(第六九五号)
同(畠山和也君紹介)(第六九六号)
同(藤野保史君紹介)(第六九七号)
同(堀内照文君紹介)(第六九八号)
同(真島省三君紹介)(第六九九号)
同(宮本岳志君紹介)(第七〇〇号)
同(宮本徹君紹介)(第七〇一号)
同(本村伸子君紹介)(第七〇二号)
同月九日
消費税増税の中止、税の集め方の抜本的見直しに関する請願(池内さおり君紹介)(第七三五号)
同(梅村さえこ君紹介)(第七三六号)
同(志位和夫君紹介)(第七三七号)
同(清水忠史君紹介)(第七三八号)
同(島津幸広君紹介)(第七三九号)
同(田村貴昭君紹介)(第七四〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第七四一号)
同(宮本徹君紹介)(第七四二号)
同(本村伸子君紹介)(第七四三号)
同(志位和夫君紹介)(第八一〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第八一一号)
消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第七四四号)
消費税の増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第八〇五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第八〇六号)
同(宮本徹君紹介)(第八〇七号)
消費税増税の中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第八〇八号)
同(宮本徹君紹介)(第八〇九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
一部の報道で、総裁の不動産の購入が取り上げられております。きょうは最初に、これに関連して幾つか質問したいと思うんです。
三月四日の日刊ゲンダイデジタルによれば、総裁は、昨年十二月に、世田谷にマンションを購入したと報じられております。地元不動産業者は、「〇九年に分譲された九十一平方メートルの中古物件ですが、今でも軽く一億円は超えるでしょうね」と答えております。また、住宅ローンは借りずに支払った、こういうふうに報じられているんですね。
黒田総裁にまず確認しますけれども、総裁は、役員の金融取引等に関する特則という日銀の内規を御存じですか。
○黒田参考人 存じております。
○宮本(岳)委員 では、資料一を見ていただきたいんです。
日本銀行は、福井総裁が村上ファンドに一千万円の投資をしたことが社会問題になって、このような内規を定めました。この内規には、「一部の金融商品を除き、金融取引を原則禁止。」「第三者の名義を使った取引も禁止。」「規制の対象は、金融商品に限らず、投資目的の不動産も含む。」こういう非常に厳しいものであります。
不動産については、自家用目的以外の不動産の購入は禁止されておりますので、このマンションは自家用目的なのだ、こう思うんですけれども、この不動産を自家用以外で利用するということは決してないですね。
○黒田参考人 ございません。
○宮本(岳)委員 現在、日銀は、不動産投資信託、いわゆるJ―REITを金融緩和を進めるための資産の一つとして、年間九百億円のペースで購入しておられます。この内規が定められた当時には、これはなかったことなんですね。また、現在日銀が行っているマイナス金利つき量的・質的金融緩和政策は、貸出残高とともに住宅ローン残高をふやし、不動産市場の活性化を目指そうというものであります。
この服務規定が日本銀行の金融政策に疑いを与えないためにあるとすれば、運用目的の不動産だけでなく、不動産の購入そのものも自粛するのが当然だと思うんですが、総裁、そうではありませんか。
○武田参考人 私からお答えします。
現在の内規は、外部の有識者による諮問会議の答申を踏まえまして策定しております。委員御指摘のように、定期性または一定額を超える外貨預金、個人向け国債を除く債券、株式、投資信託、それに不動産につきましては、投資目的のものにつきましては禁止しております。その一方で、日常生活に当たって必要な金融商品等の取引、あるいは商品性から見て公務の公正性に関し疑念を抱くおそれのない金融商品等の取引については、規制の対象外といたしております。
今回購入されました不動産については居住用ということでありますので、内規で禁止されている取引には当たらないということであります。
○宮本(岳)委員 私、一応登記も確認をさせていただきましたけれども、この物件は、前所有者が少なくとも一億円を超える抵当権を設定したことのある物件なんですね。
総裁には、就任時と退任時の資産公開が義務づけられております。二〇一三年に就任されたときに資産公開された黒田総裁の資産は、一千万円以下の定期預金のみということでありました。報道によれば、住宅ローンもないということであります。
一億円前後の物件を住宅ローンを借りずに購入するための資金は、資産公開ではちょっと見当たらないんですけれども、どのように調達いたしましたか。
○黒田参考人 資金調達の仕方についてお答えするのは適切でないと思いますが、資産公開の際に十分内規に従って公開しております。
○宮本(岳)委員 現金でお持ちであったということなのかな、黒田総裁の経歴からすればそれだけの資産があるのかなというふうに思うんですけれども。
そうしますと、資産公開の意味がないんじゃないですか、総裁。
○武田参考人 私からお答えします。
内規では、取引または保有が禁止された金融商品につきまして、その規制の実効性を担保するために資産公開という制度を導入しております。就任後、退任後、三カ月ということであります。
その規制の対象外の金融商品等につきましては、資産公開の対象外になっているということであります。
○宮本(岳)委員 いやいや、一千万円以下の定期預金のみしかないという報告であるにもかかわらず、一億円を超える物件をどこからか調達したお金で買えるわけですから、資産公開の意味がないと私は思いますね。
報道によれば、岩田規久男副総裁も昨年の五月に横浜に不動産を購入したということであります。就任時に公開された資産によれば、岩田副総裁は、東京都に土地と建物、静岡に建物を投資目的不動産として所有しておられます。こちらは投資目的で所有しているとなっております。最終的には、横浜に購入した不動産を自家用住居とするのかもしれませんけれども、それまでに住居として使っていた建物を貸し出せば、これは投資目的と言われても仕方がない、そういうことじゃないですか。総裁、いかがですか。
○武田参考人 私から申し上げます。
投資目的の不動産については規制の対象になっておりまして、したがいまして、資産公開の対象になっているということでございます。目的が変わってくると、またそれは資産公開の対象になるということであります。
居住のものについては規制の対象外でございますので、資産公開の対象外ということでございます。
○宮本(岳)委員 いろいろ言いわけをされるわけですけれども、J―REITを日本銀行が直接購入したり、マイナス金利つき量的・質的緩和政策で住宅ローン貸し出しをふやして不動産市場を活発にしようとしている、まさにそのときに、総裁と副総裁がそろって不動産の購入をしている。このことは、国民感情から見れば強い違和感があるのは当然だと私は思いますよ。それを指摘して、きょうはここまででこれはとどめて、次の質問に移りたいと思います。
マイナス金利の政策効果について聞きたい。
昨日も総裁は、国民各層に幅広くプラスの影響をもたらすと述べられました。三月七日の読売国際経済懇話会の講演で、黒田総裁は、金融緩和政策の政策効果について、次のように説明をいたしました。
強く明確なコミットメントと大規模な長期国債の買い入れ等の結果、実質金利が低下します、実質金利の低下は、企業向け貸し出しや住宅ローン金利の低下などを通じて設備投資や住宅投資を活発にします、また、金融資本市場では株高や円安方向の動きが生じ、企業利益を押し上げ、雇用や賃金の改善をもたらします、マイナス金利というのは、このルートをさらに強力に追求する仕組みと説明されております。
前回の委員会でも答弁していただいたわけですけれども、マイナス金利政策の導入後、民間銀行の貸出金利や住宅ローン金利は引き下げられました。
では、銀行からの貸し出しはどのように変化したのか。二月に銀行の貸し出しがふえて設備投資や住宅投資が活発になる兆しが起こっているのか。黒田総裁、いかがですか。
○黒田参考人 銀行貸し出しの動向を見ますと、もちろん、銀行貸出残高というのは季節性がございますので、常に前年同月比で見ているわけでございますけれども、二〇一五年十二月はプラス二・二%、二〇一六年一月はプラス二・三%、同二月はプラス二・二%となっておりまして、二月の銀行貸し出しは緩やかな増加を続けているということでございます。
○宮本(岳)委員 マイナス金利の導入以降、銀行の住宅ローンの金利あるいは企業への貸出金利は確かに低下をいたしました。ところが、貸し出しについては顕著な伸びはあらわれておりません。
今お話があったように、三月八日に日銀が公表した貸出・預金動向の速報によれば、銀行、信金の合計の貸し出しは、前年同月比では今お話にあったようにふえたんですけれども、伸び率は、一月の二・四%増から二月は二・二%増に低下、二月の貸出金の残高は、一月の残高四百九十八・五兆円から四百九十七兆円へと、逆に約一兆五千億円減っております。特に、都市銀行等の貸出残高は前年同月比一%増だが、一月との比較で見れば一兆二千億円も減少しております。マイナス金利後の二月の貸し出しは、先月比では減少しているということなんですね。
全銀協の預金・貸出金速報を見ても、平成二十八年二月末の全銀行百十六行の貸出金月末残高は、前年同月末比で見れば、約十一兆九千六百二十九億円、二・六%の増でありますけれども、前月末比では、二兆三百八十二億円、〇・四%の減なんです。全銀行の貸出金の四割を占める都市銀行でも、前月末比で一兆二千四百七十六億円、〇・七%も貸し出しは減少している。
少なくとも、マイナス金利政策が導入された以降の二月末の残高を見れば、貸し出しは減少したということではありませんか。
○黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、銀行の貸出残高というのは季節性がございますので、季節性を無視した議論は余り意味がないと思います。季節性を排除するために、前年同月比で見るということでございます。ちなみに、消費者物価につきましても前年同月比で見ております。
なお、大手行の貸し出しの場合には、一月から二月にかけて、銀行の貸し出しの平残が二・三%から二・二%、若干下がっておりますけれども、中身を見ますと、これは全て外貨建てのものの換算レートの影響でございまして、貸し出しの実態は全く同様な伸びになっております。
○宮本(岳)委員 いや、総裁がそう言うだろうと思って、私、一昨年と昨年の一月、二月の推移を見たんですけれども、別に季節性というのはないんですよね。一昨年は一月から二月に向けてふえているので、前年比で比べなければ比べられないということはない。現に、これは減っていることは事実だと思うんですね。
住宅ローンについてもどうか。さまざまな問題が指摘されております。例えば、住宅業界からは、マイナス金利が導入されたとしても、これまでも超低金利だったので、ここからあとコンマ数ポイント下がっても影響は限られるだろう、こういう声が上がっております。
結果として、二月末の住宅ローンはどれだけふえましたか。
○雨宮参考人 お答え申し上げます。
住宅ローンにつきましては、私どもが作成しております貸出先別貸出金統計において、これは四半期末ごとの残高を公表するという扱いになっておりまして、直近に公表した数字が昨年十二月末の数字でございますので、まだ二月末の数字は出ておりません、次は三月末の計数までお待ちいただきたいと存じます。
ちなみに、昨年一年間、十二月末の前年同期比は二・三%の増加ではございました。
○宮本(岳)委員 一月にマイナス金利政策に移ったんですから、昨年の十二月の話をされてもよくわからないんですが。ふえるであろうという話であって、今のは、数として現にふえたという話は出てこないわけですね。三月末まで待たなきゃならない。
報道によりますと、借りかえの相談が激増しているということであります。新規の住宅ローン残高がふえずに、借りかえの住宅ローンがふえた場合、貸出残高は増加しないのだから、マイナス金利政策は効果があったとは言えません。むしろ金融機関の利益が減るだけだと言わなければなりません。
黒田総裁にこれは確認しますけれども、そもそも、マイナス金利をやれば、住宅ローンの借りかえが増加するということを想定しておりましたか。
○黒田参考人 まず、住宅ローン金利の低下ということは、住宅投資に対する需要を喚起するということで、住宅投資にも当然プラスの効果をもたらすと考えております。
借りかえがふえるであろうということは、当然予想しておりました。なお、借りかえの場合であっても、借り手の利払い負担の減少を通じて可処分所得が増加するために、消費などにもプラスの効果があるというふうに考えております。
これは、どのくらいの借りかえが行われて、どのくらいの利払いの負担が減少するかというのは、いろいろなモデルで計算しないとわかりませんが、数百万円単位で利払い負担が減るというケースもあるようでございます。
○宮本(岳)委員 いや、僕は、コンマ数ポイント下がっても、それでおっしゃるように不動産が次々売れるというふうになるのかどうか、これはまだ確たるものはないと。現に、不動産を買った方は、総裁のようにローンを組まずに買っている人は幾らもいるわけでありますから。マイナス金利を導入したものの、実質金利が低下するばかりで、貸し出しや住宅ローンの増加には今のところ効果があらわれていないと見ざるを得ないと思うんです。
前回も指摘しましたけれども、都市銀行各行でマイナス金利による付利の減少額、これは私の計算では、ざっと三十億円程度の減収では大きな影響はないだろうと思うんですね。結局、金利が高いから需要がふえないのではなくて、需要そのものがないことが一番の問題なのではありませんか、総裁。
○黒田参考人 金融政策の役割といたしましては、従来から申し上げているとおり、量的・質的金融緩和であれ、マイナス金利つきの量的・質的金融緩和であれ、一方で、二%の物価安定目標に対する強いコミットメントを通じて予想物価上昇率の引き上げを図ると同時に、大量の国債の買い入れ、さらには、今回、マイナス金利というものをつけて、イールドカーブ全体を引き下げ、貸出金利を引き下げるということを通じて、経済にプラスの影響を与えようというものでございます。
そういった意味で、今回のマイナス金利つき量的・質的金融緩和というものも、従来の量的・質的金融緩和をさらに強化するというものでありまして、その経済に与える影響の主たる波及経路というのは、先ほど来申し上げておりますように、実質金利の低下を通じて企業、家計の経済活動をサポートするということであります。
その上で、おっしゃるように需要を直接的に引き上げるほかのいろいろな措置があるではないかということは、それは、よく言われておりますように、財政政策であれ、需要創出的な規制緩和であれ、いろいろなものがあると思いますが、やはり金融政策も、今申し上げたようなことを通じて消費や投資を刺激して経済をサポートするという大きな役割があるというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 本当にそういう効果になるかどうかを少し議論してみたいと思うんですね。
ことしの二月十六日、日銀は業態別の日銀当座預金残高二〇一六年一月分を公表いたしました。
配付資料二を見ていただきたい。
前回も指摘をしましたけれども、日本銀行が導入したマイナス金利政策の結果、都市銀行、メガバンクですけれども、都市銀行は、これまでなら得ることができた付利がわずか百三十億円減収になるだけであります。五行で単純に割れば、たった二十六億円。億の給与を役員に支払うメガバンクにとって、二十六億円など微々たるものだと言わなければなりません。
一方で、都市銀行の五行は普通預金金利を〇・〇二%から〇・〇〇一%へと二十分の一に引き下げました。住宅購入などを考えない多くの国民にとっては、マイナス金利政策により預金の利子は二十分の一に下がったわけであります。
普通預金金利の引き下げにより、都市銀行、三メガバンク、りそな銀行、埼玉りそなはどれだけ預金利息を払わずに済むことになるか、日銀、わかりますか。
○雨宮参考人 御質問の五行の昨年九月末時点の普通預金残高、これが百七十四兆八千億円でございましたので、これを前提に、普通預金金利が〇・〇二%から〇・〇〇一%に低下したことに伴いますこの五行の普通預金の支払い利息の減少額を計算いたしますと、年間三百三十二億円となる計算でございます。
○宮本(岳)委員 三百三十二億円、預金利息を払わずに済む、こういうことですね。
○雨宮参考人 さようでございます。
○宮本(岳)委員 こういう三百三十二億円も預金利息を払わずに済むわけでありますから、マイナス金利で付利が仮に減少するといっても、百三十億円程度減少する一方で、国民の預金に対する支払い利息は三百三十二億円、実は浮くということになる。これはつまり、マイナス金利政策によってメガバンクなどは焼け太りしているということになるのではありませんか。
○黒田参考人 そういうことにはならないと思います。
先ほど来申し上げておりますとおり、企業向け貸し出しの基準金利も下がっておりますし、住宅ローンの金利も〇・二五%ほど下がっておりますので、それに伴う貸出金利収入はかなり減少すると思います。
○宮本(岳)委員 企業向けや住宅ローンの話をされますけれども、一般国民の預金について言えば、三百三十二億円も利子が減らされてしまった。
それは、マイナス金利で損するからだと都市銀行、メガバンクは言うけれども、実は銀行にとって、大半の部分は付利はこれまでどおり〇・一つくわけですね。それを今回、マイナスにする分はごくわずかなわけでありますから、減る分というのはわずか百三十億だという議論をやったわけですよ。差し引きしたって、むしろ支払い利子が下がる方が大きい。今まさにそういう結果になっているわけですから、一般国民にとったら、まさにそういう焼け太りした、銀行はこれを口実に我々の利子から三百三十二億円も取り上げたという事態になることは明らかではありませんか。
次に、日銀トレードと言われるものについて聞きたいと思うんです。
一月二十九日の政策決定会合の後公表されたマイナス金利つき量的・質的金融緩和に関するQアンドAというものがあります。問い二に、長期国債の買い入れが困難になるのではないかという質問に対して、「マイナス金利分だけ買入れ価格が上昇することで釣り合うので、買入れは可能と考えられる。」との答えが掲載されております。
これは理事さんでいいんですが、間違いないですね。
○雨宮参考人 そういう御説明は申し上げております。
具体的には、当座預金のマイナス金利分だけ買い入れ価格が上昇、あるいは金利が低下することでつり合うので、買い入れは可能である、欧州中央銀行でも、マイナス金利と長期国債の買い入れを両立している、こう御説明申し上げております。
○宮本(岳)委員 簡単に言えば、金融機関にとっては、国債を日本銀行に売却すれば、マイナス金利が導入されたとしても利ざやを稼ぐことができるということです。
日経三月九日付によれば、証券会社は、財務省の入札で国債を調達し、より高い価格で日銀に国債を転売すれば、金利が下がり続ける限りもうかる。これを日銀トレードと呼ぶそうでありますけれども、マイナス金利導入以降、このような事態が現に起こっているんじゃありませんか。
○黒田参考人 国債市場ではさまざまな取引が行われておりまして、御指摘のような取引は、別にマイナス金利導入後に起こったということではなくて、前から起こっております。
いずれにいたしましても、日本銀行が行っている金融緩和政策は、こうした取引も含めて、長期、短期の国債金利を全体として低下させるということを通じて、貸し出し、社債、CPなど、全面的に金利を引き下げて金融環境を緩和して、民間需要を刺激する、それによって経済活動を活発にするということで効果があるわけでございます。
なお、先ほどの委員の御指摘の個人と金融機関との取引関係云々という点で申し上げましても、住宅ローン金利の引き下げ等がかなり大幅でございますし、預金金利の引き下げというのは、もともと預金金利が低金利環境のもとで低いところにございましたので、そこの影響よりもはるかに個人にとってもプラスだと思います。
いずれにせよ、金融機関と個人、あるいは金融機関と企業との相対取引のプラスマイナスよりも、経済全体にどのように影響が出て、それが個人や企業にとってプラスになるかどうかということが一番重要ではないかというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 それは〇・〇二が〇・〇〇一ということでいうと、まさに二十分の一ですから、これまでも十分低かったから大したことないという話じゃないんですよ。受取利息は明確に二十分の一に減ったというわけですからね。
最初に指摘しましたけれども、貸し出しや住宅ローンがふえずに、日銀トレードよりも利回りが高い運用先がなくなれば、結局銀行は、日銀にある当座預金のマイナス金利が適用される部分の資金を引きおろし、国債を購入した上で、日銀にまた売って利ざやを稼ぐ、これが日銀トレードと言われるものでありますけれども、こういう方向に走るにすぎないというふうに思いますね。
政府、銀行、日銀、この三者の間を国債と金がぐるぐる回っているだけでは何の経済対策にもなりません。そうではありませんか。
○黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、量的・質的金融緩和であれマイナス金利つき量的・質的金融緩和であれ、国債のイールドカーブ全体を引き下げて実質金利を引き下げ、貸出金利その他について、より低利で有利な条件で借り入れができるという形にすることを通じて経済全体にプラスの影響を及ぼそうというものでありまして、これは、量的・質的金融緩和であれマイナス金利つき量的・質的金融緩和であれ、あるいは従来の伝統的な金融緩和であれ、全て同様でございます。
○宮本(岳)委員 そのように進めたいと思っておられることはよくわかるんですけれども、不動産にしても住宅ローンにしても住宅の販売にしても、確たる結果はまだわからないか、数字も出ないわけであります。大体、物価安定目標二%ということで、そうさせたいと思ってあなた方はやってきたけれども、その思いどおりにいっていないというのが現状なんですね。
結局、設備投資や住宅ローンにも回らず、金利低下で国民の預貯金から利子を奪い、焼け太りの銀行に日銀トレードで利ざやを稼がせる、こういう邪道ともいうべき金融政策は直ちに転換することを求めて、私の質問を終わります。