赤字国債穴埋め批判 消費税増税 宮本氏中止を主張 (しんぶん赤旗)
消費税増税 赤字国債穴埋め批判 (動画)
第192回国会 財務金融委員会 第6号
平成二十八年十一月一日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 井上 信治君 理事 土井 亨君
理事 藤丸 敏君 理事 宮下 一郎君
理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君
理事 伴野 豊君 理事 伊藤 渉君
池田 佳隆君 石崎 徹君
尾身 朝子君 大岡 敏孝君
大隈 和英君 大野敬太郎君
大見 正君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 神田 憲次君
工藤 彰三君 國場幸之助君
斎藤 洋明君 坂井 学君
助田 重義君 鈴木 隼人君
竹本 直一君 津島 淳君
中山 展宏君 古田 圭一君
牧島かれん君 宗清 皇一君
村井 英樹君 山田 美樹君
和田 義明君 重徳 和彦君
古川 元久君 古本伸一郎君
前原 誠司君 本村賢太郎君
横山 博幸君 上田 勇君
浜地 雅一君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
財務副大臣 木原 稔君
政府参考人
(財務省主計局次長) 可部 哲生君
政府参考人
(財務省主計局次長) 藤井 健志君
政府参考人
(財務省主税局長) 星野 次彦君
政府参考人
(財務省理財局長) 佐川 宣寿君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
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委員の異動
十一月一日
辞任 補欠選任
大見 正君 工藤 彰三君
斎藤 洋明君 尾身 朝子君
竹本 直一君 國場幸之助君
津島 淳君 池田 佳隆君
福田 達夫君 和田 義明君
宗清 皇一君 古田 圭一君
今井 雅人君 横山 博幸君
鷲尾英一郎君 本村賢太郎君
同日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 津島 淳君
尾身 朝子君 大隈 和英君
工藤 彰三君 大見 正君
國場幸之助君 竹本 直一君
古田 圭一君 宗清 皇一君
和田 義明君 牧島かれん君
本村賢太郎君 鷲尾英一郎君
横山 博幸君 今井 雅人君
同日
辞任 補欠選任
大隈 和英君 斎藤 洋明君
牧島かれん君 福田 達夫君
―――――――――――――
十一月一日
金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
――――◇―――――
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
現在の個人消費が冷え込んだ経済状況で消費税の増税など、もちろんやめるべきであります。しかし、単なる延期では、やがて消費税増税を行うことに変わりはなく、その逆進性により国民の所得格差は拡大をする。結局、個人消費を停滞させることになると思います。
我が党は、消費税の増税は、延期ではなくきっぱり中止すべきだ、こう考えております。
本法案では、消費税一〇%の引き上げ時期を三十カ月延期して、二〇一九年十月一日といたしました。安倍首相は六月一日の記者会見で、二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持する上でこれがぎりぎりのタイミングだと述べております。
そこで、改めて大臣に確認いたしますけれども、消費税率の引き上げは、財政健全化のために行うのか、それとも社会保障の充実のために行うのか。大臣、どちらですか。
○麻生国務大臣 我々は、消費税率の一〇%の引き上げは、御記憶かと思いますが、社会保障と税の一体改革というのを三党合意のときに申し上げたとおりなんであって、少子高齢化がさらに進んでいく昨今の状況の中にあって、少なくとも、社会保障の伸びというものが引き続き今後とも見込まれます。
そういった中にあって、社会保障の充実によって、いわゆる安定財源というのを確保しておくというのは、これは絶対に必要なことだと思いますし、また同時に、我々は今、プライマリーバランス、基礎的財政収支の半減目標というのを一応達成するということになりますが、我々としては、二〇二〇年度までに基礎的財政収支をきちんとゼロにしておくというところまではしておかないと、基本的に今後とも日本の国として、国の社会保障はもちろんのこと、安全保障を含めましていろいろなことができなくなりますので、消費税は、御存じのように、税収としては法人税とか所得税と違ってかなり安定したものでもありますので、また、勤労世代とかそういった特定の世代に対して負担が集中していないといった特徴もありますので、そういった意味からして、我々としては、広く受益する社会保障の費用が、あらゆる局面で広く公平に分かち合うという観点からこの財源を必要とすることであって、この社会保障の充実が一丁目一番地というのが今回の消費税率の引き上げの最大の目的というふうに理解しております。
○宮本(岳)委員 財政健全化目標のタイミングに合わせて増税する、こういうわけですから、同時にとかいろいろ言いましたけれども、消費税の増税で赤字国債の発行を減らすのだと語っているのも同然であります。
これまで政府は、先ほどの大臣のように、消費税増税による税収は全額社会保障財源化すると説明をしてまいりました。しかし、実際は、赤字国債の発行を削減したいというのが本音だと言わなければなりません。
そこで聞くんですけれども、延期された消費税増税二%相当の税収、約五・六兆円でありますけれども、これの使い道です。
社会保障審議会に提示された資料、きょうは資料一につけておきました。これによれば、五・六兆円のうち、社会保障充実分は一・二から一・三兆円であります。これは役所でいいんですけれども、残りの約四・四兆円を何に使うんですか。
○可部政府参考人 お答えいたします。
消費税率を八%から一〇%に引き上げることで得られる国、地方の消費税収のうち、社会保障の充実に充てられるものを除いた分は、後代の負担のツケ回しの軽減や消費税率引き上げに伴う社会保障四経費の増などの社会保障の安定化に充てられることとなっております。
○宮本(岳)委員 配付資料の二を見ていただきたい。消費税二%増のうち、社会保障の充実を除いた約四・四兆円のほとんどが、薄緑の部分、後代への負担のツケ回しの軽減に使われます。
後代への負担のツケ回しの軽減というのは、具体的に何を意味しているのか。これは結局のところ、赤字国債の発行を減らすという意味ではないですか。
○可部政府参考人 御指摘の後代への負担のツケ回しの軽減とは、社会保障四経費に係る国、地方の歳出のうちで、国、地方の消費税収では不足している部分で赤字公債が充てられている部分を削減することによりまして、公債発行額を減らし、将来世代の債務負担を軽減するということを意味しております。
○宮本(岳)委員 結局、消費税増収分を全て社会保障財源にすると言うんですけれども、今度の二%増税による税収約五・六兆円のうち、四・三兆円、約七七%を赤字国債発行の埋め合わせに使うということであります。
ことし十月四日の財政制度審議会財政制度分科会に財務省が出した資料、配付資料の三を見ていただきたい。
社会保障・税一体改革を織り込んだ姿で社会保障四経費は、国と地方合わせて四十四・五兆円となります。消費税増税後に全て社会保障財源化したとしても、十九・三兆円の差額が残る。右上に赤く囲んで「差額十九・三兆円」とありますね。この十九・三兆円も後代への負担のツケ回しになるんですか。
○可部政府参考人 今御指摘のございました差額十九・三兆円、これは、平成二十五年度におきまして平成二十九年度の社会保障四経費等を推計したものでございます。
社会保障四経費と社会保障四経費に充てられる消費税収との差額は十九・三兆円となっておりますけれども、この十九・三兆円をどのように手当てするかということにつきましては、まずは、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化を目指して、経済・財政再生計画の枠組みのもと、改革工程表に基づき、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出改革を継続していくこと、また、二〇一九年十月に消費税率を一〇%に確実に引き上げることによりその実現の目標に向けて取り組むこととしておりまして、まずは、二〇一九年十月の消費税率の一〇%への引き上げが可能な環境を確実に整えることに万全を期すことが重要と考えております。
○宮本(岳)委員 現在、この十九・三兆円はどこから財源を充てておりますか。
○可部政府参考人 現時点では、ただいま申し上げましたように、社会保障四経費の歳出と社会保障四経費に充てられる消費税収との差額というのは、財源的な手当てが税収等ではなされていないということになります。
○宮本(岳)委員 結局、赤字国債、こういうことになるんですね。
社会保障と税の一体改革では、消費税増税により社会保障制度の持続可能性を高めると言ってまいりました。消費税は税収のぶれが少ない安定財源だと大臣が答弁されたとおりでありますよ。その政府の言い分に照らせば、いずれこの十九・三兆円の不足分も消費税増税によって穴埋めできなければ、社会保障制度は維持できないということになります。つまり、消費税一〇%への増税後もさらに消費税率を上げる必要がある、こういうことですか。
○可部政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、政府といたしましては、まずは、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化を目指しており、その後の点につきましては、その後検討すべきことと考えております。
○宮本(岳)委員 まずは、二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化だ、その後はさまざまな検討をする。まあ、さまざまな財源を検討するんでしょう。
一体改革における消費税一〇%時の後代への負担のツケ回しの軽減分七・三兆円程度は、今回、消費税を財源としなければならない、こう言って、七・三兆円は是が非でも上げなきゃならないと言うわけですね。そう言っておきながら、残りの十九・三兆円の後代への負担のツケ回しの軽減分については、さまざまな財源をまた検討するとおっしゃる。それなら、今回の七・三兆円も残りの十九・三兆円も、同じ後代への負担のツケ回しの軽減なわけですから、違いはありません。ならば、今回も消費税増税だけに求めず、所得税や法人税などさまざまな財源で対処すべきではありませんか。
○可部政府参考人 先ほど大臣から答弁がございましたように、社会保障と税の一体改革とは、社会保障の充実と安定化を図ることで、社会保障の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成しようとするものでございます。
そのための財源としては、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、特定の人に負担が集中しないことといった特徴を有しております消費税が、国民が広く受益する社会保障の費用、あらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点からふさわしいと考えております。
しかしながら、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実につきましても、消費税財源に加えまして、社会保障改革プログラム法に基づく重点化、効率化による財源も充てることとされております。
また、社会保障と税の一体改革とは別の、一億総活躍プランにおける保育士、介護職員などの処遇改善などの取り組みについては、アベノミクスの成果の活用を含め、財源を確保することとしております。
そのような観点から、可能な財源を検討しているところでございます。
○宮本(岳)委員 今の答弁は、社会保障の削減をこれからやって経費を減らすことは考えるが、いずれにせよ、後代へのツケ回しを解決しようと思えば、消費税は一〇%でとどまらず、消費税率はますます引き上げざるを得なくなる。十九・三兆を消費税で手当てすれば七%ですよ。一七%まで引き上げる計算になりかねません。消費税増税ありきでこういうふうに進めることには断固反対です。根本から考え方を改めることを強く求めておきたいと思います。
財源問題について、政府の主張はさらに混乱をいたしております。そもそも安倍首相は、アベノミクスにより二十一兆円もの財源を新たに生み出したと、参議院選挙でもその成果を語りました。アベノミクスの二十一兆円の成果について、財務大臣も同じ認識でありますか。
○麻生国務大臣 御存じのように、平成二十八年度の予算というのを、国、地方というのの税収を見ますと、政権交代前の平成二十四年度の予算に比べて約二十一兆円増加をしておるというのは事実であります。このうち、消費税率の値上げ三%による値上げは約八兆円あったと存じますので、所得税、個人住民税の税収が約五兆円、また、法人税、地方法人の二税というのの税収が約五兆というように、それぞれ増加をしておるというのが事実であります。そのほかにも相続税とか固定資産税とか約一兆円ぐらいある、いろいろ足しますが。
いずれにいたしましても、少なくともGDPが名目で三十三兆円ぐらいふえましたし、企業収益は過去最高となってみたり、また、有効求人倍率が一・三八とかいうようなものになってきておりますので、投資や消費というものがいろいろな意味でそういったものに結びついていくと、これがさらに経済の好循環というものに結びついていく、そういったものの拡大が大いに反映されたものの結果だと思っております。
○宮本(岳)委員 仮にそれだけの成果が生み出されていると言うのであれば、消費税のさらなる増税はやめて、その成果を社会保障の充実分の財源に回してくれればいいではないかと国民はみんな思うのは当たり前であります。
七月十一日の記者会見で安倍首相は、これまでの成長の果実を子育て支援など必要な分配政策に大胆に投入することにより、次なる成長を確かなものとする、成長と分配の好循環をつくり上げるために一億総活躍社会に向けた未来への投資を加速していく、こう述べました。
八月二日に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策には、子育て、介護などの環境整備、当然必要な内容が含まれておりますけれども、これらの措置も恒久財源が当然必要なものであります。
未来への投資に位置づけた社会保障制度には二十一兆円の果実を分配する一方で、今議論になっている一体改革では、安定財源である消費税増税がなければ社会保障制度の充実は実施しない、しかも、その増税の税収のほとんどは結局赤字国債発行を削減するために活用するというものであります。
社会保障制度の充実、改善のためだと言うなら、どちらも、成長の果実、二十一兆円の分配で実施すればいいではありませんか。大臣、そうじゃありませんか。
○麻生国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、消費税率一〇%への引き上げというものは、そもそも社会保障と税の一体改革の中において、日本の人口構成が少子高齢化に進んでいくのを背景にして社会保障費の伸びというものが今後とも見込まれる、そういった中にあって、社会保障の充実とか安定化といったもののためには安定財源というものを確保しておく必要があります。
加えて、二〇二〇年度に基礎的財政収支の黒字化を実現するという財政健全化目標というのをきちんと掲げて進んでいかないと、我々はこういった今のような状況を後世に引き継げないということになろうと存じます。
したがいまして、今御指摘のありましたように、安倍総理の話の中にもありましたように、三本の矢等々の政策によって、少なくとも国、地方の税収は約二十一兆円ぐらい増加をしておりますが、これらの税収増のほかに、消費税率一〇%の引き上げ分も織り込んだ、足元の内閣府のいわゆる中長期試算では、経済再生ケースでも二〇二〇年度には五・五兆円の基礎的財政収支がまだバランスしない、赤字が残るという見込みになっております。
したがって、これは強い経済の実現を目指した取り組みをするとともに、同時に、歳出を削減するとか歳入等々、両面から財政健全化というものに取り組んでいかなきゃならぬ必要がありますので、社会保障制度という、これは世界に冠たるものだと思いますが、この保障制度を次世代に引き渡していくというためには、私どもとしては国に対する信頼というものをきちんと確保しておく必要があろうと存じます。そのためにも、財政の健全化というのは避けて通れないところでありまして、そういった意味では消費税率一〇%という引き上げは極めて必要不可欠なものではないか、そのように考えております。
○宮本(岳)委員 プライマリーバランス黒字化の話をされればされるほど、結局、赤字国債の発行を削減する必要があるから上げなきゃならないという議論を繰り返しているにすぎないわけですよ。社会保障財源の話じゃないんですよ。今回一〇%に上げて、社会保障財源で充実に使われるのは一・二兆から一・三兆ですから。だから、二十一兆円の果実があるんだったらやれるんですよ、これぐらいのことは。そこを私は指摘しているわけです。
もう一つ、重大な財源問題を問いましょう。それは軽減税率導入のための財源であります。
今回の増税延期法案では、やはり、消費税率の一〇%への増税時期に合わせて軽減税率制度の導入時期も延期をいたしました。前回の法案審議の際に、この軽減税率導入に係る減収分一兆円をどうするかという議論を随分やりましたけれども、財務省、この財源はどうなっておりますか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
軽減税率制度の財源確保につきましては、与党及び政府の平成二十八年度税制改正大綱におきまして、「財政健全化目標を堅持するとともに、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って安定的な恒久財源を確保する」こととされまして、これを踏まえて、平成二十八年度税制改正法において、「歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる」と明記したところでございます。
政府としては、こうした方針のもと、与党とも御相談しながら、歳入歳出両面にわたって検討を行い、安定的な恒久財源の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 一兆円の恒久財源の確保に取り組むんですね。
先ほども指摘しました、消費税率一〇%段階で実施する予定の社会保障充実分は一・二兆から一・三兆円なんですよ。軽減税率制度のために約一兆円の財源がつくれる、安定財源が。今、つくれるという答弁ですよ。つくれるのならば、その財源を使えば、一〇%に上げたときに充てるべき一・二兆や一・三兆はやれるんですよ。そして、上げなければ、軽減税率を導入する必要はないんです。その一兆円を使ってやればいいんじゃないですか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
軽減税率の財源確保を図っていくということは必要だと考えておりまして、平成三十一年十月の消費税率一〇%引き上げの際に制度が導入されることを踏まえれば、平成三十一年度予算編成の際に結論を得れば、消費税率一〇%引き上げ以降の社会保障の充実の財源に不足が生じることがないように、平成三十年度末を期限とし、この一兆円の財源の確保を検討していきたいということでございまして、軽減税率制度の財源確保は確保として行っていく必要があると考えております。
○宮本(岳)委員 答弁になっていないじゃないですか。一兆円の財源確保ができると。恒久財源の確保ができるという答弁なんですよ。だったら、その一兆円で社会保障充実分に充てればいいじゃないですか。そうしたら上げなくて済むんですから、上げなければ軽減税率は必要ないんですから。
そうじゃないですか。大臣、いかがですか。
○麻生国務大臣 充実させる分と安定させる分と両方考えないかぬのだと思いますけれども、今の言われた話で、一兆円を、そのとおりかもしれませんが、少なくとも軽減税率というような形で、きちんと安定させたものと充実させたもの、両方考えねばならぬということでしょう。
したがいまして、今のようなことになっているんだと思います。
○宮本(岳)委員 充実と安定と両方考える。つまり、安定と言う方は今赤字国債で充てているものを減らしたいということであって、結局、赤字国債の削減のために増税していると言っているようなものなんですよ。とんでもない御都合主義だと言わなければなりません。
不公平税制を是正してきちんと取るべきところから取れば、消費税増税は、延期するのではなくきっぱり中止できる、このことをはっきり指摘しておきたいというふうに思っております。
では次に、二次補正で約三兆円の追加を行った財政投融資について質問いたします。
二〇〇一年の財投改革以降、財投の規模は毎年大きく引き下げてまいりました。小泉内閣最後の基本方針二〇〇六、いわゆる骨太方針では、財政融資資金貸付金について、財投改革の継続に加えて、今後十年以内で合わせて百三十兆円超の圧縮を実現する、こういう方針を掲げました。
その二〇〇六年九月に第一次安倍内閣が誕生いたしました。麻生さんもこの内閣の外務大臣だったと思います。もちろん、この第一次安倍内閣はこの基本方針二〇〇六を引き継いだと思うんですが、間違いないですね、大臣。
○麻生国務大臣 御指摘の話は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六、これは平成十八年の七月に閣議決定をされておりますけれども、財政融資資金貸付金というものは、今後十年以内で合わせて百三十兆円超の圧縮を実現する、そういうお話ですね。
この内容につきましては、その後、変更などの閣議決定はされておりません。したがいまして、現内閣においても当然のこととして引き継がれておると考えるのが筋だと思っております。
財政投融資につきましては、平成十三年度の財政投融資改革以降どうなっているかといえば、間違いなく、負債の圧縮を図るということで、民業補完の原則のもとで、対象事業の重点化、効率化に取り組んでおりまして、その結果、財政投融資貸付残高は、平成十七年度末から二十七年度末にかけて約百二十七兆円圧縮をされております。したがって、おおむね百三十兆円の圧縮というのはなされていたというように理解しております。
○宮本(岳)委員 二〇〇六年度末の財投の残高は二百七十五・五兆であります。二〇一五年度末では百五十四・三兆。手元に、配付資料四にグラフをつけております。なるほど、この九年間で百二十一・二兆、ちょっと先ほどの数字と食い違いますが、このグラフで読みますと、百二十一兆二千億圧縮したことになります。
今年度末でちょうど十年目を迎えると思うんですが、残りの八・八兆円は今年度中に圧縮されることになりますか、理財局。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
まず冒頭、大臣のお答えは、骨太の方針に従うと十七年度末から二十七年度末の十年間ということでございまして、約百二十七兆円の縮減ということでお答えさせていただいてございます。
それから、今御質問のありました本年度の年度末の残高でございますが、二十七年度末時点、これは財政融資だけではなくて財投全体でございますが、百五十四兆円でございます、二十七年度で。
今年度末につきましては、毎年実は貸付金の回収金の額等いろいろ不明な点もございますので、現在、確たること、増減についてはお答えできない状況でございます。
○宮本(岳)委員 既に八・八兆、あるいは今の三兆でも、ことし減る見通しはないんですよ。今年度の財投債発行額は補正後で既に十九・六兆円です。昨年は十四兆円でしたから。それはいろいろまだ未確定な面があるでしょうが、ふえこそすれ、そんな何兆円も減るということはもうないんです。
ということは、今日の安倍内閣は、これまではやってきたけれども、いよいよことしからこの方針は投げ捨てる、放棄する、大臣、そういうことですか。
○麻生国務大臣 基本的に、今理財局長の方から答弁がありましたように、この十年間の間に、リーマン・ショックの話が一つ、もう一つは東日本大震災と、二つ大きな予想外の話があったという点もこれは考慮しておかないとならぬというのが、我々財政を運営する立場からいえば当然です。
もう一点、これは私どもとしていろいろな意味で、金利がこれだけ安いという状況にあります。御存じ、ほぼゼロですから。そういった状況の中において私どもとしては、少なくとも、税金ではなくて、国債というものを調達するにかかります必要経費、簡単に言えば金利ですけれども、必要経費を上回るリターンが期待できる公共工事というようなものに関しましては、これは一切納税者に負担はかかりませんから、そういった意味では、金利が低いという状況は大いに活用されてしかるべきものだ、基本的にはその考え方はあります。
○宮本(岳)委員 リーマン・ショックも東日本大震災も既に何年も前のことでありまして、順調にその間も減ってきているわけです。
我が党は、決して財投計画は単純に減ればいいと考えるものではありません。中小企業融資や奨学金など、国民生活を支援するものはより充実するべきだと考えております。ただ、大企業の支援や無駄な公共事業のための財源とすることには断固反対だと申し上げなくてはなりません。
二〇〇一年財投改革を受けてみずから決めた基本方針二〇〇六の量の面からの財投圧縮目標について、既に安倍内閣は捨て去って、いよいよこれからふやすということははっきりしたと思います。
もう一つ、財投改革では、過去の反省を踏まえて、民業の補完性、償還の確実性、そして政策的必要性、大臣が先ほど答弁された。これを原則として強調いたしました。現在の財投計画に反映されております。
本日は、とりわけ重視される償還確実性の精査について取り上げたいと思うんです。
これは理財局でいいんですが、財務省理財局発行の財政投融資リポート二〇一六には償還確実性の精査についてどのように書いてあるか、紹介していただけますか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねの財投リポートのコラムの話でございますが、償還確実性の精査の件、先生おっしゃいましたこの三パラだとございます。
ただ、中小企業に対する政策金融のように、個々の財投機関が貸倒れなどの各種の事業リスクを抱えていることは事実です。この点については、毎年度の財政投融資編成の際に、財投機関において、信用リスクなどを勘案した金利設定を行っているか、財政投融資対象事業の収益性がきちんと確保されているか、貸付先の財務状況を適切にモニタリングしているか、などを精査し、政策コスト分析の手法も活用しながら、財投機関の償還確実性の精査に努めています。
○宮本(岳)委員 つまり、償還確実性の精査とは、財政投融資対象事業の収益性がきちんと確保されているか等を精査することだと書かれてあります。理財局のこの冊子の中にそう書いてあります。
二次補正で、リニア事業への三兆円のうち一・五兆円を財投計画に追加することが決まりました。財政審の財政投融資分科会で償還確実性の精査を行ったとされるんですけれども、急を要するということで持ち回り審査で済まし、議事録すら残されておりません。それでも持ち回り審査会でこの事業には償還確実性があると判断をした、こういうことでいいんですね。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
今先生おっしゃいましたように、八月二日の対策の閣議決定から二十四日の補正予算の閣議決定まで、お盆も挟みまして、大変期間が短うございます。委員が一堂に会することは日程的に困難でございましたので、議事規則にのっとりまして持ち回りにより分科会を開催し、全委員の意見聴取を行ったところでございます。
意見聴取に当たりましては、補正額の案などをお示しした上で、全国新幹線鉄道整備法、いわゆる全幹法に基づきまして、交通政策審議会において、JR東海が収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うことで、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとの答申がなされたことなどから、償還確実性に問題がないと考えることなどにつきまして、必要に応じまして委員に説明を行いまして、意見聴取を行ったところでございます。
なお、先生、議事要旨もないとおっしゃられましたが、その後、我々、ホームページに議事概要というものは載せておりまして、それぞれ委員の先生方から、「ALMに留意してほしい。」等々の御意見は載せているところでございます。
○宮本(岳)委員 知っているんですよ。議事録がない。議事概要しか出ていないんです。
では、確実性を確認したと言うんですから改めて確認しますけれども、理財局の職員は、リニア事業に関してどのような資料をもって審議委員に説明したんですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
委員に対する説明は、リニアも含めた今回の財投の補正追加全体の説明をしてございます。
その中で、今先生リニアの資料だということだと思いますが、リニアにつきましては、具体的には、二十八年度二次補正予算における財投の活用により全線開業を最大八年間前倒しするとの目的、あるいは、財投の追加規模一・五兆円、鉄道・運輸機構を通じた財投の融資スキームといった内容を含む資料を提示しておりまして、それらに加えまして、先ほど答弁申し上げましたが、全幹法に基づく交通政策審議会における償還確実性に問題がないという答申につきまして必要に応じ委員に対しまして御説明を申し上げ、御意見を聴取したところでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、八年間前倒しする目的等々が説明されていることは重々わかっているわけですけれども、このリニア事業は、単体で見るならば、JR東海の社長みずからがリニアだけでは絶対にペイしないと記者会見で二〇一三年九月に公言しているわけです。ですから、財政投融資の対象事業、つまり、リニア事業単体の収益性が確保されているかをきちんと判断できる資料を示さなくてはなりません。
配付資料五につけましたけれども、財務省のホームページに掲載されているこのときの財投分科会の配付資料一覧には、そのような資料は何ら含まれておりません。それを提示せずに、財政審の財投分科会は一体何を判断したんですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたように、我々は、基本的には、法律、全幹法に基づきます交通政策審議会における答申、いわゆる事業の収益性があって償還確実性があるということを踏まえた上で、償還確実性の議論を委員に御説明したわけでございますが、その審議会の中で、JR東海が収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うことで、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとの答申がなされておりますので、そういう御説明をしております。
○宮本(岳)委員 要するに、リニアについて、それ自身の収益の確実性というのは議論されていないと。漫然と、JR東海が優良企業だからとりあえず金を貸そうという話じゃないんですよ。財政投融資の対象事業はあくまでリニア事業なんですよ。
麻生大臣は、二言目には、JR東海は利益も潤沢にある企業だから償還確実だと繰り返し答弁をされます。しかし、これまた財投分科会の持ち回り審査では、JR東海の財務諸表も含め、今後四十年間にわたる企業収益や将来見込みなどが判断できる資料は何一つ配付されておりません。償還確実性を精査すると言いながら、なぜ企業の収益構造を判断する資料が一切配付されていないんですか。
○佐川政府参考人 リニア新幹線の収益性のお話でございますが、今先生おっしゃいましたように、JR東海個社の財務諸表や企業収益などの資料を提示しているわけではございません。
ただ、リニア中央新幹線につきましては、先ほど申しました交通政策審議会におきまして詳細な需要予測等もしておりまして、例えば、将来の推計人口におきましては、国立社会保障・人口問題研究所の推計に基づきまして、中央新幹線開業後も人口が減少することを前提として行いながら需要拡大が見込まれる。あるいは、JR東海の経営状況に関する長期試算見通しの検証でございますが、経済成長率がゼロ%という最も厳しい状況での需要予測に基づいて試算を行っておる。そういう中で、大阪開業後のリニア中央新幹線及び東海道新幹線による営業収益で着実に返済ができることが確認されたということでございますので、そうした答申を踏まえた上で議論させていただいております。
○宮本(岳)委員 いやいや、そもそも、JR東海に三兆円の財投融資を行えば最大八年間前倒しできるというその根拠、それについての説明資料もこの中には見当たらないんですよ。三兆円を超長期、低利、固定融資の好条件で資金調達できれば、それはJRの資金調達はかなり良好になるでしょう。しかし、事業の収益性を精査するというのであれば、具体的に、三兆円の投融資でJR東海の資金繰りがどう改善して、どれくらい負担が軽減され、最大八年間前倒しできるのかを推計し、審議会で検討するのが当然の話ですよ。そういう資料は示されているんですか。
○佐川政府参考人 最大八年間の前倒しの話でございますが、それは先ほど申しましたように、交通政策審議会でずっと議論したときには、JR東海自身は、そもそも財投を入れる前であれば、財投なしのケースでは、名古屋開業後八年間の経営体力回復期間を置いて、みずから資金調達をして大阪開業に入る、こういうことでございました。そういうことでございましたが、今回、我々財政投融資を三兆円入れることによりまして、この八年間の経営体力回復期間をなくして大阪開業を早めるということが全体の政策でございます。
そういう中で、そういう経緯につきましてはもちろん財投の委員の先生方にも説明しておるところでございますが、そもそも、その八年前倒しにつきましては、平成二十三年の交通政策審議会答申の「付帯意見」におきまして、「名古屋・大阪間の整備については、」「早期整備・開業のための具体策を検討すべき」というふうにされておりまして、こうしたことも踏まえまして、国土交通省におきましては、沿線地域の要望あるいは国会における御議論なども踏まえながら、全線早期開業のための検討はずっと行ってきたものというふうに承知してございます。
今般の財投の活用でございますが、そうした全線開業前倒しの方針につきまして、六月二日に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針を踏まえまして、国交省を中心に関係者間で具体的な調整を進めて、八月に閣議決定されたものでございます。
○宮本(岳)委員 そういう検討をやっていないんですよ。
二〇一〇年十一月二十四日開催された国土交通省交通政策審議会中央新幹線小委員会に提出された資料というものを、きょう皆さん方のお手元、資料六におつけしておきました。これは、JR東海独自の試算と国土交通省の試算が比較されております。しかし、これは、三兆円財投を投入する前の二〇一〇年の試算なんです。
ですから、三兆円入れればこれがどういうふうになるのか。例えば、名古屋開業前年で四・九三兆円の長期債務になる、大阪開業年には四・四五兆円になる。これが三兆円の投融資をすればどう変化するのかというそんな試算すらしていないではないかということが問題になってきたんですが、昨日、我が党の本村伸子議員のところへシミュレーションなるものが出てまいりまして、やっと今ごろその計算をやったようであります。
財投の金利を〇・六%と仮定して、民間借り入れ金利を三・〇%として、先ほどの配付資料につけたものに加味して改めてシミュレーションをした。JR東海はこれまで、五兆円超の長期債務を抱えるのは困難だとしてきたんですが、私の手元に来た資料によると、大阪開業時には五・五兆円の債務を背負うということになります。ただ、それが財投の金ですから、五・五兆背負っても大丈夫だという判断のようでありますが。
きのう出てきているんですから、こんなものは全然検討していないですね。そうでしょう。
○佐川政府参考人 先生今お示しの資料につきましては、多分国交省がお出しになったものだと思いますが、先ほど申しましたように、ずっと全線開業については国交省の方で議論をしていたわけでございまして、そういう意味では、閣議決定以降、そういうJR東海あるいは鉄運機構、国土交通省の間の関係機関の調整によって、八年間の前倒しが最大限できるということをもって閣議決定に至ったということだと思います。
○宮本(岳)委員 国土交通省が言うんだから大丈夫だという判断をしたというだけのことじゃないですか、それは。
例えば、日本政策金融公庫が中小企業に融資する際には、融資が本当に収益性向上につながるのか、資金繰りがどの程度改善されるのかなど、何度も何度も資料提出を求められる。中小企業のオーナーは、資料作成に困るほどですよ。大臣、大臣も経営者だった。
三兆円もの財投を融資するのにその程度の検証をするのは当たり前だと私は思いますが、いかがですか。
○麻生国務大臣 御指摘の財投のリポートなんだと思いますけれども、基本的には、財政投融資というのを行う場合におきましては、対象事業というのに対する収益性とかいろいろなことを言うんですが、今般のリニアに係る貸し付けの場合は、これはもう宮本先生よくおわかりのとおり、我々は、鉄道・運輸機構からJR東海のリニア新幹線事業への貸し付けということになります。
収益性ということにつきましては、これは、JR東海から鉄道・運輸機構に対して、貸し付けた資金について金利を付して償還されるということを指しております。JR東海とこっちと直接やるわけじゃありませんから。
そういった意味で、今般のリニア中央新幹線に係る貸し付けというのは、これはJR東海というものは、東海道新幹線を含みます会社全体の収益から償還を行うというのは当然のことだと思いますが、財務省としては、交通政策審議会等々の答申に加えまして、JR東海の高い格付、たしかJR東海の会社の格付は、ムーディーズなんかは日本の国債の格付より高いと思いますけれども、そういった高い格付なので、私ども、償還確実性というものを考えた場合に、やはり、JRの場合は去年平成二十七年の経常は四千九百億ぐらい出ていたと思いますし、純利益でも三千五、六百億円出ていたと思いますので、そういった意味では極めて償還というものに関しては、鉄道・運輸機構もその点に関しては、全体で考えるのであれば当然という意識を持ってやっているんだと理解しております。
○宮本(岳)委員 四千九百億、四千九百億と言うんですけれども、それだけ優良で格付も高いんだったら、民間で調達すればいいんですよ。金を幾らでも借りられるでしょうよ。そこに財投を入れる議論になっているから私は言っている。結局は、国交省、機構が大丈夫だと言ったから大丈夫なんだろう、それだけの話なんですよ。
八月十八日―二十三日の持ち回り財政投融資分科会の議事要旨によれば、「財政規律の維持が重要な現在において財投計画の編成・執行には十分慎重にのぞむべき。」「今回の補正追加のうち、特に新しいスキームのものについては、財投の償還確実性の観点から厳格な執行管理に努めて頂きたい。」との意見が出されております。
これだけではリニア事業のことかどうかはわかりませんけれども、精査したという審議委員ですら確証を持てていないということであります。余りにもずさんな償還確実性の精査であったことは明白です。
このような無責任な財政投融資計画は今からでも中止すべきであり、少なくとももう一度、財政審で真面目に審査すべきだと指摘して、私の質問を終わります。