文科省天下り/補助金獲得に元局長関与/宮本岳議員が追及/衆院予算委(赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020801_02_1.html
法相、共謀罪で質疑封じ/文書を作成・配布/「不適切」認め撤回、謝罪/共産党が辞任求める(赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020801_03_1.html
動画 https://www.youtube.com/watch?v=0wxGi3eyr-M
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず冒頭、法務大臣にお伺いをいたします。
昨日、法務省の記者クラブに「予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑について」という文書が配られました。
この文書には、基本的な政策判断にかかわるものであれ、具体的な法律論にかかわるものであれ、成案を得た後に議論を行うことが審議の実を高める、成案を得て国会に提出した後、所管の法務委員会においてしっかりと議論を重ねていくべきものなどと書かれてございます。
予算委員会は、それこそ基本的な政策判断について政府の見解あるいは姿勢をただす場であり、具体的な法律論であっても、国民の生活と権利に重大なかかわりを持つあらゆることを議論する場であります。それを、法案が出てくるまでは審議をするな、予算委員会でなく法務委員会で行え、こう言わんばかりの、あからさまな国会審議へのあり方に関する介入だと言わざるを得ません。
法務大臣はこの文書については撤回されたというわけですが、これが国会審議に対する金田大臣の本音だということですね。
○金田国務大臣 お答えをいたします。
ただいま御指摘がありましたその文書につきましては、予算委員会で私がこれまで答弁をしてまいりましたことを整理しまして、自分自身に向けた思いを法曹記者クラブの記者の皆さんに理解してもらうためにしたためたものであります。
決して、これにつきましては、この文書をもって、国会に対し、その審議のあり方を示唆するようなものと受けとめられかねないものであるという点で不適切な点がございましたので、当該文書を撤回させていただきますとともに、おわびを申し上げる次第であります。
○宮本(岳)委員 大臣の会見での釈明文書を見ましても、あのメモは自分自身に向けたもので、私がそういう考えでいるんだということを自分自身に理解させるものだと述べているわけですね。まさに、みずからの考えだと認めているわけですよ。国会と行政府の関係もわきまえないと言わざるを得ません。法務大臣としての資質が問われる重大問題だということを指摘しておきたいと思うんです。
加えて、このような大臣のもとで共謀罪法案を提出するなど到底許されないということをまず申し上げて、きょうの本題のテーマに入りたいと思います。
さて、総理は国家公務員の再就職について、再就職全部がいけないわけではない、再就職した公務員OBのもとの職場への口ききや、予算や権限を背景とした再就職のあっせん、押しつけが問題なのだという答弁を繰り返してまいりました。
しかし、今回の事件は、大学の許認可権限や補助金の交付決定の権限を持つ文科省の吉田大輔高等教育局長がわずか二カ月後に早稲田大学教授に再就職したことが事件発覚の発端となったわけであります。
総理は、官僚がどんなに密接な利害関係のある企業等に再就職しても、あっせんや押しつけ、口ききさえなければ何の問題もない、そういう立場ですか。
○安倍内閣総理大臣 第一次安倍政権のときの公務員制度改革というのは、それまでの外形の基準をいわば行為基準に変えたものであります。
それをなぜ変えたかといえば、それまでは、それまで五年間関係の部署にいなければ、二年を経過した後はということであったわけでございますが、我々のこの改正によって、そのときはまさに役所ぐるみで、直接その会社にかかわりのない部署にいたとしても、役所ぐるみで、権限や予算を背景として、人事の一環としていわゆる天下りを行っておりますから、そこに当然、ひもが切れていないわけでありまして、さらにその先の就職までずっと続いていくという大きな問題があったということにおいて、結果として、まさに役所とひもの切れていない人がそこに行くことによって当然役所との癒着は進んでいくという問題がありましたので、一切あっせんを禁止するという手段をとったわけでございます。
一方、さまざまな経験や知識を生かしていただくということは私は問題がないだろうと思います。ですから、二年以内の場合は、それを全部、全てつまびらかにし、オープンにし、かつ、それを監視委員会が一つ一つちゃんとチェックして、行為上問題がないかということをチェックするという仕組みになっていたわけでございます。
ですから、その意味におきまして、両方がそろった後は、その後も起こっていることは大変残念ではありますが、このように摘発をされている、こういうことではないかと思います。
○宮本(岳)委員 だからだめなんですね。そんな、高等教育局長、まさに大学を所管する局長が大学に天下れば、押しつけがなくても、また、もとの職場に直接口ききなどしなくても、問題があるのはもう当たり前なんですよ。
このパネルを見ていただきたいんです。
私立大学における経常的経費と経常費補助金の推移という、これは文部科学省のグラフでありますけれども、昭和五十五年、一九八〇年に三割だった私学助成金の補助割合は、年々減り続けまして、二〇一五年にはついに一割を切りました。
少子化による学生数の減少が問題になる中、どんどん小さくなっていくパイをめぐって、今、各大学は生き残りをかけた熾烈な助成金の争奪戦をしております。そういうもとでは、天下りを無理やり押しつけたりしなくても、資金獲得で有利になるように大学側が文科省OBを喜んで受け入れる構図ができているんですね。
そこで、文部科学大臣に聞くんですけれども、内閣人事局の国家公務員法等に基づく再就職状況の公表で、この制度が始まった二〇〇九年一月一日以降、昨年九月三十日までの累計で、文科省から大学への再就職は、国立大学、公立大学、私立大学、それぞれ延べで何人になりますか。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員法に基づく再就職状況の届け出件数によれば、二〇〇九年一月一日、平成二十一年の一月一日でございますが、これから平成二十八年九月三十日までの間に、文部科学省から大学等への再就職者数は、国立大学十四名、公立大学五名、私立大学等、これには短期大学、専門学校も含めますが、これが百十四名、延べ百三十三名となります。
○宮本(岳)委員 国公立で十九人、私学では百十四人にも上っております。
我々のところで数えてみたんですけれども、天下り後の役職は、学長と副学長が八人、事務局長などが四十二人、理事、参与、顧問などが二十四人、教授、特任教授、講師などが四十二人となっております。
さらに、国公立大学には、届け出の必要な再就職以外にも、現職の、現役のままで二百四十一人も出向していることが既に明らかになっております。これを図示するとこのパネル二のようになるわけですね。
総理、ここに示されているのは、まさに資金獲得で有利になるように大学側が文科省OBを喜んで受け入れているという構図ではありませんか。
○松野国務大臣 大学に対する私学助成を初めとした経費また補助金等に関しては、これも一定の算出式、学生数、教授数等々を含めた算出式で出しております。また、補助金等に関しても、外部有識者による審査を経て行われておりますので、再就職と各大学、高等教育機関に対する補助が関連性があるとは承知をしておりませんが、しかし、今回の事案の上でも、国民の皆さんがそういった関係があるのではないかという疑念を持たれるのは当然かと思いますので、そのこともあわせて、しっかりと今回の調査の中において解明をしてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 なるほど、経常的経費というものは、大部分は学生数や教員数で決まっております。
パネル三を見ていただきたい。
これは、私学事業団が説明のために使っているイメージ図であります。基盤的資金、下の四角い部分は大体決まっております。私学助成金は早稲田で九十億円となっておりまして、大体そういう額なんですね。そこで、この屋根の部分、三角形のところ、この競争的資金をめぐって、国公私立が入り乱れて資金獲得に躍起になっております。ここに赤線を引いておきましたが、スーパーグローバル大学等事業とあることに御注意をいただきたいと思うんです。
そこで、早稲田大学の補助金なんです。
早稲田大学がホームページに公表している決算書を見ますと、経常費補助金、いわゆる私学助成金は、多少の上下はあっても九十億円程度で推移をしております。一方、教育事業関係補助金というものが二〇一四年度からふえて、二〇一六年度予算で九億六千万円と大きな部分を占めております。この補助金は、まさに先ほどのこの図の競争的資金、この屋根の部分に当たるものですけれども、この補助金、どういう中身であるかということについて、早稲田は、二〇一五年度決算では、スーパーグローバル大学創成支援事業による補助金等と例示をいたしております。
文科大臣、この事業の目的はどういうものですか。
○常盤政府参考人 お答え申し上げます。
スーパーグローバル大学創成支援事業でございますが、この事業は、我が国の高等教育の国際競争力の向上及びグローバルに活躍できる人材の育成を図るために、世界トップレベルの大学との交流、連携を実現、加速するための新たな取り組みや、人事・教務システムの改革など、国際化を徹底して進める大学を重点支援するというものでございます。
○宮本(岳)委員 では、聞きますけれども、このスーパーグローバル大学創成支援事業、これは何年何月に公募が始まり、何月何日に採択をされたか、そのときの高等教育局長は一体誰でしたか。
○常盤政府参考人 スーパーグローバル大学創成支援事業につきましては、平成二十六年の四月十五日に公募を開始いたしました。第三者による審査を実施いたしまして、その上で、同年、平成二十六年九月二十六日に採択を行っております。
当時の高等教育局長は吉田大輔氏でございます。
○宮本(岳)委員 この事業を立ち上げたときの高等教育局長こそ、まさに吉田大輔氏でありました。
この事業にはタイプAとタイプBというのがありまして、早稲田大学はタイプAで採択をされております。このタイプA、トップ型というのは一体どういうものか、また、このタイプAには何大学が公募し、何大学が選ばれたのか、また、公募時に、本事業において支援できる補助金の年間上限額は幾らと定められておりましたか。
○常盤政府参考人 この事業のタイプA、トップ型でございますが、世界ランキングトップ百を目指す力のある、世界レベルの教育研究を行うトップ大学を対象としたものでございます。
国立の十三大学、公立一大学、私立の二大学の合計十六大学が応募をいたしました。国立の十一大学と私立の二大学が選ばれております。
また、この事業において支援できる上限額でございますけれども、タイプAで年間五億円となっております。
○宮本(岳)委員 そこで、パネル四を見ていただきたいんですね。
二〇一四年、この事業の事業申請時に各大学が提出した構想調書という書類に書き込まれた事業規模の一覧であります。早稲田大学は他大学を圧倒的にしのぐ百億円を構想しております。
このスーパーグローバル大学創成支援事業というものは、今後十年間に世界大学ランキングトップ百に我が国の大学を十校入れる、これが目標ですから、この事業は十年間の事業なんですね。上限五億円で十年間といえば、五十億円規模になります。百億円という早稲田大学の構想は、上限目いっぱい受け取ろうという極めて野心的な構想であります。
しかも、この制度は支援開始から四年目のことしと七年目の二〇二〇年度に中間評価が行われ、目標達成が困難と判断されれば、事業の中止、補助金の減額、こういうことがされることになっております。
この補助金を今後も確保する上で、まさにこの制度をつくり、高等教育局長として公募し、採択時も局長だった吉田大輔氏を教員として迎えることは、早稲田大学にとっては何よりも心強いことだったんじゃないですか、大臣。
○松野国務大臣 こちらのスーパーグローバル大学創成支援事業に関しましては、その審査の経過といたしまして、日本学術振興会に依頼をして設置したプログラム委員会審査部会において、書面審査、面接審査等を実施しております。外部有識者の方々に公平に評価をいただいて選んでいただいているということでございますし、委員から御紹介いただきましたとおり、事業開始四年目、七年目に行われる中間評価においても、これは外部の評価を公平に受けた上で実施されていると承知しております。
しかし、先ほども申し上げましたとおり、実際問題として、当時の高等局長の吉田さんが早稲田大学に再就職をしたという案件、この案件自体が違法でありますが、再就職をしていたという事実がこれらの採択に関して何らかの影響を与えたのではないかという疑念があるということも、国民の目から見て当然そういった疑惑が出るんだろうというふうに考えております。
その点にもしっかり対応し、その再就職とこの事業がどのような関係であったか、公平性が保たれていたかについてもしっかりと解明をしてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 もちろん、この制度は吉田さん一人でつくったものじゃありません。世界と競うスーパーグローバル大学を創設し、世界大学ランキングトップ百に我が国の大学が十校以上入ることを目指すというのは、第二次安倍内閣が二〇一三年六月十四日に閣議決定した日本再興戦略に出てくる安倍内閣としての方針なんですね。
しかし、それもまた突然降って湧いたものじゃないんです。その前段には、二〇一三年四月十五日の第六回教育再生実行会議、五月八日第七回、五月二十二日第八回と、わずか一カ月余りの間に三回の会議を開いて、大学教育とグローバル人材の育成について議論をして、第三次提言「これからの大学教育等の在り方について」、これをまとめた教育再生実行会議の動きがありました。ここには、「国際化を断行する大学(「スーパーグローバル大学」(仮称))を重点的に支援する。」、今後十年間で世界ランキングトップ百に十校以上をとはっきり出てまいります。
そこで、聞くんですが、この会議は総理も出席をされております。また、首相官邸四階会議室で開かれてきたわけでありますから総理に確認いたしますが、教育再生実行会議の座長というのは一体どなたでしたか。
○松野国務大臣 教育再生実行会議座長は鎌田薫早稲田大学総長でございまして、座長就任期間は平成二十五年一月から現在まででございます。
鎌田氏につきましては、人格もすばらしく、高い見識、豊かな経験をお持ちである、大学行政を初めとした教育全般に精通をしている等の理由から、教育再生実行会議発足から座長をお務めいただいております。
○宮本(岳)委員 何が人格もすばらしくですか。驚きました。
二〇一三年、早稲田大学の鎌田薫総長は、みずから教育再生実行会議の座長としてスーパーグローバル大学構想なるものをまとめ上げました。直後にそれは日本再興戦略の中に書き込まれ、安倍総理の手で閣議決定となりました。
翌二〇一四年一月、吉田大輔氏が高等教育局長に就任するや、吉田局長のもとでスーパーグローバル大学創成支援事業なるものが立ち上がり、早稲田大学は補助金上限いっぱいの百億円の事業規模の構想を提出いたします。吉田局長は、早稲田大学を含むタイプA、十三大学を採択し、その制度をつくり上げた上で、局長本人がまさにその早稲田大学の大学総合研究センターに天下っていく。
総理、こんなものはどこからどう見ても癒着以外の何物でもないと言わなければならないんじゃありませんか。
○松野国務大臣 今回の事案につきまして、文部科学省が早稲田大学に対し、再就職等規制に抵触しない等の誤った説明を行い、また、委員会調査に関して隠蔽工作をお願いする等を持ちかけたことに関し、早稲田大学に多大な御迷惑をおかけしたと考えておりまして、私の方から、一月二十五日に鎌田氏に対し、おわびを申し上げたところであります。
今回の再就職等規制違反に対する事案と教育再生実行会議における議論とは連動しない問題であると考えております。
○宮本(岳)委員 何でそんなことが言えるんですか。
それだけじゃありません。二〇一四年一月に吉田大輔氏が高等教育局長に就任したその直後、二月一日には、鎌田総長の早稲田大学は、今回吉田氏が天下った大学総合研究センターというものを設立しております。
この早稲田大学の大学総合研究センターというものはいかなるものか。パネル五を見ていただきたい。これは、早稲田大学がスーパーグローバル大学創成支援事業に応募、申請したときの構想調書に添付されていた、構想実現のための体制構築概念図というものであります。赤線部、スーパーグローバル大学事業推進のために助言する役割がこの大学総合研究センターに与えられております。
吉田氏の在職中、大学総合研究センターのホームページには、吉田大輔氏の役割について、文部科学省等の各種事業関係に関する連絡調整等への関与(大学への助言)を行う、こう書かれていたんですね。
きょうは前川前事務次官も参考人でお見えですけれども、早稲田大学で吉田前局長が文部科学省等の各種事業関係に関する連絡調整等への関与という仕事をしていたことをあなたは知っておりましたか。また、吉田氏が早稲田の大学総合研究センターに再就職して以降、あなたは吉田氏から連絡を受けたことがあるのではありませんか。
○前川参考人 吉田前高等教育局長が早稲田大学の大学総合研究センターに在籍しているということは承知しておりました。ただ、吉田前局長から、高等教育政策あるいは早稲田大学にかかわる案件について、私に直接何かお話があったということは一切ございませんでした。
○宮本(岳)委員 総理、これは再就職の仕方の問題なんかじゃないんですよ。履歴書をいつ届けようが、誰が届けようが、直接口ききなどしなくても、高等教育局長が大学に天下ることなど許されるわけがないと思うんです。
やはり、退職した官僚がみずから所属した役所と密接な関係のある業界や団体などに再就職すること自体を禁止しなければ、癒着は決して防げないのではありませんか、総理。
○山本(幸)国務大臣 国家公務員の再就職につきましては、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があると考えております。
一方、公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等は、官民の癒着につながりかねず、根絶しなければならないと思っているところであります。
現行制度による厳格な監視が機能したからこそ今回の文部科学省の事案が明らかになったものではありますが、このような事案は国民の信頼を揺るがすものであり、あってはならないことであります。
国民の疑念を払拭するため、全力を挙げて調査を行い、その結果を踏まえて、どのような対策をとればよいか、実効の上がる対策がとれるか、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 二〇〇七年に総理がつくられた法律ですから、先ほど手を挙げておられましたから、総理から御答弁をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 いわゆる天下りの問題点というのは先ほど申し上げたわけでございまして、我々はまさに、行為規制に変える中において、二年以内に関係のある企業あるいは大学に行った場合は、その経緯等についてしっかりとつまびらかにする、かつ監視委員会がしっかりとそれを調査するということにしているわけでございます。しかし、その調査にかからなくても全てだめではないかというのが宮本委員の御指摘であろう、このように思うわけでございます。
今回の文部科学省の再就職違反の事案により国民の疑念が生じるのは、これは当然だろう、こう思います。今後、早稲田大学を初めとして、監視委員会から指摘されている大学との関係に関し、文部科学省において徹底した調査を進めてもらう、このように考えております。
○宮本(岳)委員 高等教育局長が大学に天下れば国民が疑念を持つのは当たり前であって、再就職の仕方じゃないんですね。
委員長、私は、この問題の真相の解明が必要だと思います。そのためには、吉田大輔前高等教育局長を当委員会に証人として招致する必要があると考えますが、ぜひ御協議を願いたいと思います。
○浜田委員長 理事会で協議いたします。
○宮本(岳)委員 私は、さらに、この問題の背景には政財官の癒着があるということを指摘しなければなりません。
このスーパーグローバル大学事業というものの震源地は、紛れもなく財界であります。
パネル六を見ていただきたい。この政策が、先ほどの閣議決定、日本再興戦略に決定されるまでの流れを年表にいたしました。
二〇一二年三月二十六日、経済同友会が、産業界にとってグローバルに活躍できる人材のニーズは増加しているにもかかわらず、我が国の大学はその役割を十分に果たしているとは言えないという提言を発表いたしました。
第二次安倍政権は成立から一カ月もたたずに産業競争力会議を設置いたしましたけれども、ここには、民間議員として、その経済同友会の長谷川閑史氏も経団連会長の榊原定征氏も入っておりました。
そして、財界トップみずから官邸に乗り込んで、二〇一三年三月十五日、首相官邸四階会議室で開催された第四回産業競争力会議、この中に、長谷川閑史経済同友会代表幹事が一枚のペーパーを提出しております。その「人材力強化・雇用制度改革について」という長谷川ペーパーの中に、世界大学ランキングトップ百に十年で十校という、この数値目標が初めて登場するんですね。そしてそれが、先ほど論じた教育再生実行会議を経て、六月十四日にはいよいよ閣議決定、政府方針となるんです。
総理、これはまさに、財界の言うままに、財界の要求する人材づくり、グローバル人材の育成とそのための大学改革なるものを、政治の力と補助金の誘導で大学に上から押しつけたということではありませんか。
○安倍内閣総理大臣 グローバル化への対応というのは、これは経済界だけではなくて、まさに我々もその問題意識を共有していたわけでございますし、そしてまた、教育再生実行会議の中においても随分議論になったわけでございますが、その必要性が指摘をされたわけでございます。
グローバルな経済の中で日本も生きているわけでございまして、その中で、グローバルな経済に対応する上においてグローバルな人材を育成していくことは当然必要であろう、このように私は考えるわけでございます。その中において、経済界からも要請され、また我々も、経済界から言われたからやるというよりも、これはまさに我々もそういう意識を持っている中において経済界からも要請された。そういうことも踏まえまして、平成二十五年に閣議決定した日本再興戦略において、人材・教育システムのグローバル化による世界トップレベルの大学群の形成を柱の一つと掲げたところでございます。
○宮本(岳)委員 経済界が望んだ。しかし、それ以外、私はいろいろ話を聞きましたけれども、現場の教員の中では、英語化が押しつけられて大変だという声も、悲鳴も上がっている。あるいは、早稲田大学は、政経学部においては四万一千円も授業料が値上げされている。こういう実態もあるわけですね。
今回の文部科学省の天下りあっせん事件の背後には、文科官僚と大学との癒着があります。しかし、その背後には、財界の求めるグローバル人材の育成とそのための大学改革というゆがんだ大学政策が横たわっていると思うんです。いわゆるOBルートももちろん問題ですけれども、一番の問題は政財官の癒着にこそあります。
運営費交付金や私学助成など基盤的な経費を削って競争的資金に切りかえて、大学を際限ない競争に追い立てて、天下りを受け入れざるを得ないようなところへ大学を追いやっていく、そういうゆがんだ大学政策は直ちに中止すべきことを強く求めて、私の質問を終わります。