所得税法等改正案 反対討論
動画 https://www.youtube.com/watch?v=FLnfjh-Q1mo
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党を代表して、所得税法等改正案への反対討論を行います。
本法案は、二〇一七年度予算案と一体となる歳入のための唯一の法案であります。本来であるならば、赤字国債の発行を承認する特例公債法案とともに審議されるべきですが、昨年の特例公債法の改悪でことしの承認は必要なくなり、国税法案のみとなりました。国会も財政法も軽視する手法であり、改めて見直しを要求します。
法案に反対する理由は、大企業優遇の法人課税制度を維持、拡充する点です。
昨年の法改正で、法人実効税率を二段階で三七・〇〇%から二九・七四%へ引き下げるなど、安倍政権下のたび重なる減税により法人課税は空洞化し、多くの大企業が過去最高の収益を上げているにもかかわらず、国の法人税収はほとんどふえておりません。
本法案では、減税額約六千億円のうち、約九割も大企業に集中する研究開発減税を抜本的に見直そうともせず、減税額の上限を維持したまま制度の拡充を図っています。とりわけ、研究開発費が売り上げに対して高い企業に減税する高水準型では、資本金百億円超の企業、たった十五社が減税総額の八六%を占め、しかも、製薬会社にその減税が集中するなど、一部の業界を優遇する不公平税制ぶりは際立っており、三月末の期限をもって廃止すべきであります。
また、所得課税の改正案も問題です。
総理は、配偶者特別控除等の改正で百三万円の壁を取り払い、税による就業調整をなくすと言いますが、本気で就業調整の壁を取り除くなら、社会保険料や配偶者本人の所得税課税などの要因も検討しなければなりません。さらに、本質的には、女性も男性も働きやすい労働環境の整備もあわせて必要であり、非正規労働者をふやしてきたことを棚に上げ、税制改正でごまかす安倍内閣の姿勢は言語道断であります。一部の世帯には減税となりますが、今回の措置で、配偶者とその他の扶養親族とで所得控除の範囲に不平等が生じることも問題であり、賛成できません。また、積立型NISAの創設は、株式投資ができる資産保有層を優遇するものであり、預貯金金利などとの不公平を残した優遇制度にほかなりません。
その他、国税犯則取締法を国税通則法に取り込む改正案にも、税務行政の実態から見れば、国税通則法の任意調査と国税犯則取締法の強制調査との垣根を低くする懸念があり、賛成できません。
なお、国外財産に関する相続税等の納税義務の見直しや、中小企業向けの租税特別措置など、賛成できる内容も盛り込まれていますが、上記の理由から総合的に判断し、本法案には反対といたします。(拍手)