大阪・住吉病院問題/統廃合破綻、医療に穴/宮本氏、厚労省ただす/衆院特
日本共産党の宮本岳志議員は12日の衆院地方創生特別委員会で、大阪市立住吉市民病院の強引な統廃合計画をとりあげ、医療空白が生じるのを許さないために厚生労働省も責任を果たすよう求めました。
住吉市民病院は「二重行政のムダ」だとして府立病院と統廃合する計画をめぐっては、市が市民病院跡地に誘致した民間病院の開院が遅れ、周辺地域の小児・周産期医療に穴が開く事態となっています。
宮本氏は、大阪府医療審議会で反対多数の意見書が付された異例の再編計画に、塩崎恭久厚労相が同意したと指摘。「計画の破綻は明瞭だ」として、厚労省の対応をただしました。
同省の椎葉茂樹審議官は「大阪府・市から計画変更が必要な状況だと聞いている。よく話を聞き、必要に応じて助言等を行う」と答弁。再編計画をめぐる「厚労省、100床廃止検討」との報道(「産経」3月28日付)については「こうした事実はない。取材も受けていない」と述べました。
宮本氏は、府立病院に移管する分を除いた100床を、住吉市民病院の建て替えで現地に残すなど、「計画を抜本的に見直すべきだ」と述べ、厚労省から府・市への適切な助言を求めました。
動画 https://www.youtube.com/watch?v=JO8y3B8zztA
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、昨年四月二十六日、当委員会で、三重県伊賀市の伊賀市意育教育特区というものを取り上げて質問いたしました。
この伊賀市意育教育特区は、それまでは禁じられていた株式会社による学校経営を特区にのみ可能とする二〇〇二年施行の構造改革特区法に基づいて、内閣府及び文部科学省の認定を受けて設立をされました。ここに株式会社立広域通信制高校として二〇〇五年九月に開校したのが、ウィッツ青山学園高等学校であります。
昨年の質疑でも、この学校が高等学校就学支援金に関する詐欺容疑で東京地検特捜部の捜索を受けたことを紹介いたしましたけれども、ことし三月十日、東京地裁は、この学校の運営会社ウィッツの元監査役に対して、懲役二年六カ月、執行猶予五年の有罪判決を言い渡しました。
文部科学省は、これを承知しておりますね。
○義家副大臣 承知しております。
○宮本(岳)委員 資料一に新聞記事をつけております。
判決では、被告は、学校関係者らと共謀して、二〇一五年一月、高校既卒者など受給資格がない生徒十四人分の就学支援金約二百五十一万円を国に申請してだまし取ったことが認定されました。東京地裁の室橋雅仁裁判長は、教育機会の均等を図る制度の趣旨に反する悪質な犯行で責任は重い、こう指摘をしております。
昨年の私の質問は、山本大臣も委員長としてお聞きになられたと思います。当時の石破大臣は、聞けば聞くほどひどい話で、委員がおっしゃるように教育はやり直しがきかないので、誰が一番の被害者かといえば、それは子供たちが一番の被害者であることは間違いないと述べられるとともに、実態を文科省においてきちんと把握していただき、是正すべき点は是正をしなければならないと答弁をされました。
そこで文科省、その後、この学校はどのようになったか、簡単に御説明いただけますか。
○義家副大臣 お答えいたします。
ウィッツ青山高等学校において違法、不適切な学校運営が行われていたことは極めて遺憾でありまして、平成二十八年三月以降、伊賀市を通じて、生徒に面接指導を改めて実施することや、違法状態の是正を累次にわたって指導してきたところでございます。
また、同年八月には、内閣総理大臣及び文部科学大臣の連名で、伊賀市に対して構造改革特区法に基づく措置要求を行い、学習指導要領に基づく教育の実施等を求めました。また、同年九月には、この措置要求への対応として、伊賀市から、このまま株式会社ウィッツに学校を継続させることは不適当であり、学校法人等の適切な教育を行い得るほかの運営主体により学校教育が継続されるよう検討するとの報告がございました。
その後、伊賀市において、特区学校審議会の審議を経て、同年十二月、学校法人神村学園が新たな運営主体として選定されたところでございます。
○宮本(岳)委員 私は、昨年八月二十五、二十六の両日、三重県伊賀市のウィッツ青山学園高校の現地を訪ねて、学校長から説明を受けるとともに、伊賀市教育委員会からもお話を伺い、岡本栄市長ともお会いをしてまいりました。当時、同校の生徒たちは単位取得のための補習授業に取り組んでおりました。
私からは、学校にも、伊賀市にも、最後の一人まで生徒に責任を果たしてほしいと申し上げたわけでありますけれども、これは最終的にどのようになりましたか。
○義家副大臣 私も回復措置等に参加し、また教員免許も更新して、私自身も実際に回復措置を行わせていただきましたけれども、数人、本人の希望により回復措置を受けなかった生徒はおりますけれども、大半の生徒はこの回復措置を受けた上で卒業の資格は得られたものというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 岡本栄伊賀市長は私との懇談で、国の助言も受けながら、しっかりと所轄庁としても責任を果たしたいと語っておられました。
このたび、きちんとした学校法人に学校設置者が交代し、神村学園高等部伊賀分校となったことは、ひとまずよかったと思っております。問題は、この事件からどのような教訓を引き出し、他にもまだ残されている、構造改革特区の学校設置会社による学校設置事業によって開校している学校とその所轄庁に生かしていくかということが大事だと思うんですね。
きょうは、資料二に「株式会社立学校制度の改善について」という概要ペーパーをつけておきましたけれども、内閣府、この事件を受けて制度をどのように改善しましたか。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの伊賀市での一連の事案でございますけれども、就学支援金の不正受給の発覚や不適切な教育活動等、悪質で特殊な事例であるとは承知してございます。
ただ、認定地方公共団体が実態を把握していない等、指導監督体制が脆弱であり、学校評価、情報公開等の運用も適切に機能していなかったことを踏まえまして、今般、運営改善を行ったところでございます。具体的には、構造改革特区基本方針の改正を、去る一月の二十七日に閣議決定すること等により実施したところでございます。
本日、先生の御配付の資料の中身にもあるところでございますけれども、そのポイントは、もともと本特例措置において機能することが予定されている外部有識者から成る審議会の専門的意見とチェック機能を最大限活用しつつ、必要に応じて都道府県のサポートも仰ぎつつ、PDCAサイクルに基づく認定地方公共団体の指導監督体制の整備、特に学校設置会社の役員や経営実態についてのチェック体制を整備するものでございます。
加えまして、本年二月、認定地方公共団体を対象とした会議を文部科学省と共催で開催をいたしまして、今後の運用改善を周知するとともに、適正な指導監督の徹底を求めたところでございます。
今後とも、株式会社立学校制度が円滑かつ適正に実施されるよう、文部科学省と連携し、認定地方公共団体への助言指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○宮本(岳)委員 株式会社立の高等学校は、昨年は十九校あったんです。このウィッツ青山学園高校を含めて二校が学校法人立に移行し、一校は廃校して、ことしは十六校へと減っております。
そこで大臣にお伺いするんですが、大臣は、この間、市場の失敗という言葉も口にされます。そもそも、学校経営はそんなにはもうからないから、国公立か学校法人立でやっているわけですね。無理にもうけようとすればウィッツ青山学園のようなことになりかねないわけでありまして、逆に、真っ当にやれば、もうかるもんじゃないんですよ、学校なんというのは。株式会社は、もうからなければ、株主を初めとするステークホルダーに対する責任が問われることになるんですね。
大臣、これはまさに本質的な矛盾なんですよ。私は市場の失敗だと思うんですね、学校ということにこういうものを入れたことが。構造改革特区制度における政策判断の一つ誤りだったのではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○山本(幸)国務大臣 ちょっと、市場の失敗についての理解が少し違うと思いますが。
株式会社立学校制度は、地域の特性を生かした教育の実施や地域産業を担う人材の育成、その他特別の事情に対応するための教育の実施を狙いとして措置されたものでございます。
株式会社立学校におきましては、英語教育、情報通信技術の活用、不登校の受け入れ等、教育の多様化、生徒の地域行事への参加や世代間交流による地域活性化、スクーリングで訪れる関係者による宿泊事業等の増加、地元人材の雇用創出等の効果が報告されているところでございまして、株式会社立学校制度には一定の意義もあるものと考えております。
一方で、伊賀市の事案を踏まえまして、認定地方公共団体の指導監督体制の確保等の再発防止策について、内閣府として、文部科学省と連携し、今般の運用改善策を取りまとめたところであり、その周知徹底を図り、認定地方公共団体の責任ある対応を確保してまいる所存であります。
しっかりとした監督指導体制のもとでそうした制度を生かすことは可能ではないかと考えております。また、内閣府として、文部科学省に協力し、広域通信制高校の点検、調査を行っているところであり、さらなる実態把握に努めて、必要に応じて適切に対応してまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 私、実情を聞きましたけれども、要するに、単位取得のためのさまざまな教室を開いたり講師をお願いしたりした、その分のお金も一旦は伊賀市が立てかえたわけでありますけれども、そのお金は戻っていないんですね、まだ自治体に返っていないんです。
それで、この学校を経営していた株式会社というのは、そのウィッツという会社自身にはお金は皆無でありまして、親会社がありまして、東理ホールディングスというところがありまして、そこがやがて渡すというんですけれども、それも渡っていない。だから、私はやはり、これは株式会社立ということでやっていると、もともとウィッツというのは別に子会社だったわけじゃないんだけれども、後に東理ホールディングスの子会社になっちゃったわけですよ。
内閣府の答弁がちょっと続きましたから、義家副大臣に、義家副大臣のお気持ちもひとつ聞かせていただけますか。
○義家副大臣 この間、委員におかれましては、さまざまな心配もしていただき、実際に現地にも行っていただき、市長、教育委員会、さらにはウィッツ青山の学校長を初めとした職員にも実際会ってもらって、さまざまな御助言もいただいているところでございます。
まず我々がしっかりと認識しなければならないのが、認定地方自治体の監督指導体制が極めて脆弱であるという問題点が明らかにあったこと。当時は専任の担当というのがいませんでした。一方で、ウィッツ青山は全国四十カ所以上の民間施設にほぼ全ての教育を丸投げして実施していて、定員が千名を超えていたわけでありまして、その職員が、どこにサポート校があって、何人の生徒がいて、どのような指導が行われているかということを全く把握できる体制になかったわけでございます。
そういった意味で、このたび、まずは本年一月、構造改革特区基本方針の改正を閣議決定し、基本方針において、文部科学大臣の同意の要件を新たに追加し、地方公共団体が適切な指導監督体制を確保していることや、学校設置会社が資産及び役員に係る要件を満たしていることなどを文部科学大臣が主体的に確認できる仕組みとした次第であります。
いずれにしましても、一番被害をこうむるのは子供でございまして、やめましたと言えば、子供の履歴書に高校名が複数出ていく。その一つ一つの履歴書は子供たち、これからを担っていく若者たちの大きな荷物になっていくわけですから、学校である以上、しっかりとした責任を果たす体制をつくらねばならないと思っております。
○宮本(岳)委員 私は、残る十六校も学校法人に移行するべきだと考えます。
さて、次に、私は二年前の二〇一五年五月の十五日、当委員会で、当時、大阪都構想をめぐって、大阪で喧伝されておりました二重行政の無駄というものについて、これも質問いたしました。質問では、大阪府立大学と大阪市立大学、府立図書館と市立図書館、府立体育館と市立体育館等々について、二重行政でも何でもないということを明らかにいたしました。
最近大阪で問題になっている住吉市民病院問題というものも、実は大阪府立の急性期・総合医療センターと大阪市立の住吉市民病院が二重行政だ、二重行政の無駄を省くのだ、こういう理屈から始まっております。
そこで、まず大臣にお伺いするんですが、大臣の地元福岡県、そして政令指定都市である北九州市には、福岡県立精神医療センター太宰府病院と、北九州市立の三つの病院がございます。大臣の地元で、これが二重行政である、二重なのは無駄だからどちらか一方をなくそう、こういう議論を耳にされたことはございますか。
○山本(幸)国務大臣 私の地元であります福岡県の北九州市においては、市立病院がありますけれども、県立病院は立地しておりません。そういう意味では、そういう問題を聞いたことはございません。
いずれにしても、各地方公共団体の判断に基づいて、地域の実情に応じた形で、効率的かつ効果的に住民サービスが提供されることが最も大事だというように認識しております。
○宮本(岳)委員 それぞれに重要な役割があるのは当たり前でありまして、厚生労働省に確認します。
大阪府と大阪市以外に、都道府県立病院と政令市立病院が両方あるのは二重行政で無駄だ、こういう議論をしている都道府県がありますか。
○椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。
厚労省としては、医療提供体制の観点からは、それぞれの医療機関が担う役割や、それから機能を踏まえまして、適切な連携体制を構築していくことが重要だというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 当然ですね。
資料三につけておきましたが、「住吉市民病院 やっぱり二重行政ではなかった」と。これは我が党のビラではありません。JiMiNSiMiNという、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団の市政報告であります。自民党がおっしゃっているわけですから、大臣も御納得いただけると思うんですね。
昨年三月十日の参議院厚生労働委員会で、我が党の辰巳孝太郎参議院議員も質問で取り上げましたけれども、住吉市民病院がある地域は、小児科、産科がもともと不足している地域であり、地域周産期母子医療センターの認定を受けたこの病院が、小児、周産期医療に中核的な役割を果たしてまいりました。また、未受診や飛び込みによる出産を積極的に受け入れている病院でもあり、二〇一三年は大阪府下で四番目に多かった病院なんですね。さらには、児童虐待被害児の一時保護の受け入れを積極的に行ってきた病院でもあります。この病院を廃止するというのは愚の骨頂だと言わなければなりません。
そこで、総務省に確認いたしますが、平成二十七年度の国勢調査によりますと、大阪府の人口はどのようになっておりますか。
○千野政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年国勢調査による大阪府の人口は八百八十三万九千四百六十九人となってございます。前回調査の平成二十二年と比べますと、二万五千七百七十六人の減少、〇・三%の減少となってございまして、戦後初めて人口増加から人口減少へと転じたところでございます。
○宮本(岳)委員 三大都市圏では大阪府が真っ先に初の人口減少に転じたことが大きな衝撃を与えております。
松井知事も、インタビューに答えて、施策を集中し、さまざまなことをやって、どこかの時点で人口がふえていく形をつくらなければならない、いかに子育てをしやすい日本をつくっていくかというところになると語っております。
そのようなときに、まさに子供を産み育てる地域の拠点病院が失われようとしているという問題なんですね。
厚生労働省に確認いたしますが、大阪市立住吉市民病院廃止に伴う病院(医療機能)再編計画というものはどのようなものか、かいつまんで御説明ください。
○椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。
まず、大阪府の計画でございますけれども、再編前は、大阪府の急性期医療総合センターと大阪市立市民病院それから民間病院の三者がございましたが、このうち大阪市立市民病院の方、一般病床が百九十八床ありますが、これを廃止いたしまして、そして、一般病床九十七床を大阪府立急性期・総合医療センターの方に移管する、また、残りの一般病床百床を民間病院の方に移管する、一床を削減し、そして、移管する大阪府急性期医療総合センターの方には高度急性期の新生児や周産期の方をやっていただきまして、そして民間の方には正常分娩等をやっていただく、そういった分担を図るという計画でございました。
○宮本(岳)委員 病院の現地存続を求める七万人を超える署名も顧みることなく、二〇一三年三月二十九日、当時の橋下徹大阪市長が市議会に提出した住吉市民病院の廃止条例案が、本会議で、日本共産党以外の会派の賛成で可決をされました。市長与党の維新の会だけではなく、当初反対を表明されていた公明党や自民党の皆さんも、民間病院の早期誘致実施の附帯決議をつけて賛成に回りました。
今つけた資料の最後に恐らくついている、最後のページになりますが、資料六を少し見ていただきたいと思うんですね。
左側の三つの箱の真ん中、市立住吉市民病院の百九十八床を廃止し、上の府立急性期・総合医療センターに九十七床、下の民間病院、南港病院に百床を移管し、合計で一床を削減するというものであります。
この再編計画は、医療法施行規則第三十条の三十二第二号、複数の病院の再編統合に向けた医療計画制度の特例に基づき、厚生労働大臣の同意が必要だと思いますけれども、厚労省、この計画にいつ同意を与えましたか。
○椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。
医療法におきましては、都道府県が、病床過剰地域でありましても特別な事情がある場合には医療機関の病床数の変更を認めることができることとされておりまして、特例とする病床数につきまして、厚生労働大臣に協議をし同意を得ることとされているところでございます。
委員御指摘の住吉市民病院に係る再編計画に関しましては、平成二十七年十二月に大阪府より協議の申請書が提出され、これに対し、平成二十八年二月に厚生労働大臣より同意を行っているところでございます。
○宮本(岳)委員 辰巳議員がその直後の三月十日、参議院厚生労働委員会で指摘したように、この同意は極めて異例なものでございました。
この再編計画には大阪府の医療審議会の意見書が付されてありますけれども、賛成した委員が一名、反対が十二名、賛否を保留した委員が四名となっております。
塩崎厚労大臣も、再編統合による特例の協議は平成十七年の一月以来二十三件あったが、本件以前に反対多数の意見が付された例はないと答弁しております。
厚生労働大臣は、なぜ反対多数の意見書が付されたような再編計画に同意を与えたんですか。
○椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。
大阪府から提出された申請書を確認したところ、医療法施行令第五条の三第二項の要件に該当すると認められたことから同意を行ったものでございます。
○宮本(岳)委員 塩崎大臣は、大阪府医療審議会の意見書に反対意見が多数を占めている事実も、大阪市南部医療協議会が反対していることも知っていると言いながら、丁寧な説明を行っていただいて再編計画が円滑に進むようにしていただきたいと大阪府知事に要請したなどと言うばかりで、この再編計画がうまくいかない場合でも撤回するとは言いませんでした。
しかし、一年たって、この再編計画は、もはや破綻は明瞭になっております。
資料四を見ていただきたい。
ことし三月二十九日付朝日の記事でありますけれども、そもそも大阪市は、来年三月閉鎖予定の住吉市民病院の跡地北側に産婦人科と小児科を含む二百九床の民間病院、南港病院をつくる予定でありましたけれども、建築計画が建築基準法の日影規制にかかることが判明し、開業を、来年四月から二年延期せざるを得なくなりました。
これは大阪市も過失を認めておりますけれども、厚生労働省、報告を受けておりますか。
○椎葉政府参考人 委員御指摘の件につきましては、四月五日に聞いております。
○宮本(岳)委員 その二年の延期のために、先ほどの自民党・市民クラブ市会議員団の市政報告の中にも出てきますけれども、七千万円の改修費、及び平成三十年度の十一億円の支援スキームそのものが住民訴訟の対象となってきていますと述べられております。
大阪市は、住吉市民病院の現地建てかえ案と、府立急性期・総合医療センターに機能統合する今回の案を比較検討して、現地建てかえより機能がアップする、診療体制の充実による医師等の勤務環境の向上、イニシャル及びランニングコストの抑制を図ることができるなどのメリットがあると説明してまいりました。しかし、既に、コスト削減どころか、むしろ大変なコストが生じることが明らかになっております。
先ほどの資料四、朝日の記事にあるように、大阪市議会は、三月二十八日、二〇一七年度一般会計当初予算案から、新病院が開業するまで南港病院が市民病院の施設を暫定利用するための改修費七千万円を削除し、予算の修正案を可決いたしました。これで市の再編計画は完全に頓挫することになります。
厚労省、このことについて、大阪市及び大阪府から四月五日に報告を受けたと聞いておりますけれども、どのような報告でございましたか。
○椎葉政府参考人 恐縮でございます、先ほど答弁しました四月五日という答弁でございますが、初めて聞いたのは二十八年の十月でございました。
そして、四月五日ですけれども、大阪府、市の担当職員が厚労省に参りまして、今回の住吉市民病院に係る再編計画について、新たな病棟建設について計画変更が必要な状況となっているというふうに伺っております。そのため、そのときには、大阪府、市において責任を持って関係者との協議を進め、対応いただきたいというふうに助言しているところでございます。
○宮本(岳)委員 資料の五というものを見ていただきたい。
三月二十八日付産経の記事であります。「大阪府市 医療再編計画 厚労省、百床廃止検討」という大見出しが躍っております。
厚労省、これは事実ですか。
○椎葉政府参考人 御指摘の記事でございますけれども、厚労省として、こういった事実はございません。また、取材も受けておりません。
○宮本(岳)委員 これは事実ではない、取材も受けていないということでありました。
そうしたら、百床移動の時期を平成三十二年四月にずらすということは可能なのか。また、あわせて、ここまで来たら、新たな条例をつくって、府立急性期・総合医療センターに九十七床を移管した上で、住吉市民病院を百床残して建てかえるということは可能でございましょうか、厚労省。
○椎葉政府参考人 再編計画につきましては、計画変更が必要な状況となっているふうに、大阪府、市から伺っているところでございます。このため、大阪府、市におきまして、責任を持って関係者との協議も進め、対応していただきたいと考えているところでございます。
厚労省としても、大阪府、市からよく話を伺い、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 いずれにせよ、抜本的に見直すべき段階に来ていると思うんですね。
私はやはり、医療審議会も圧倒的に反対するようなものを進めるのではなくて、しっかり住民の皆さんの声を聞いて、また専門家の声も聞いて、改めて、かけがえのない公的病院を守るという立場で、もう一度議論をする必要があるというふうに思っております。
最後になるんですけれども、小児、周産期医療の提供の強化や、地域でなお不足する医療機能の充実を図ることを目的に、この再編計画というものは出されてきたわけでありますけれども、その再編計画が逆に地域の医療空白を生んだのでは本末転倒も甚だしい、これはもう明らかだと思います。
厚生労働省として、医療空白を生じないようにちゃんとやってくださいと、これをはっきりお伝えいただくことはできますか。
○椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。
厚労省としても、大阪府、市からよく話を伺い、いろいろと助言を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 しっかりやってくださいよ、本当に。同じ答弁が続きますけれども。
私たちは、広範な市民の皆さんとともに、大阪市に対して、破綻済みの再編計画を撤回し、条例を変えて住吉市民病院を復活させよう、しっかり残せと要求していく決意であります。
国においても、医療空白など許さないように適切に助言するよう強く求めて、私の質問を終わります。