学童保育、処遇改善こそ 職員配置基準緩和を批判 衆院委・宮本岳氏
日本共産党の宮本岳志議員は16日、衆院地方創生に関する特別委員会で、学童保育職員の配置基準緩和の動きについてただし、基準緩和ではなく専門職にふさわしい処遇改善で制度を充実させるよう求めました。
学童保育の設置・運営基準は超党派の議員連盟や関係者の長年の運動により定められましたが、政府は「地方分権改革」と称して職員の配置基準を「従うべき基準」から「参酌基準」への緩和を検討するとしています。
宮本氏は、厚生労働省も職員の配置基準は、質の担保や安全性の確保のために不可欠なものであり、現在も専門委員会で議論中であると指摘。それを地方分権の議論の場に移し緩和を検討するのは「子どもの安全などどうでもよいということか」と迫りました。
梶山弘志地方創生相は、一定の質と安全性の確保は当然としながらも、「硬直的な基準により放課後児童健全育成事業の円滑な運営に支障が生じている」として緩和の必要性を主張。宮本氏は「検討されているのは子どもの安全にかかわる問題だ。緩和によって生まれる支障は、命を落としたり、大けがをする支障であり、他の問題とは質が違う」と批判しました。
宮本氏は「人手不足の最大の原因は賃金の低さ、労働条件の悪さにある」と強調。「専門職にふさわしい処遇に引き上げることこそ人手不足解消、ひいては制度の充実につながる」と指摘しました。(赤旗2018/3/17)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=znrksV0o4tU&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&index=75&t=0s
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
大臣の所信表明に対して質問をさせていただきます。
大臣は、先日の所信表明で、地方分権改革については、地方からの提案を踏まえ、地方創生や子ども・子育て支援に資するよう、地方への権限移譲、地方に係る規制の見直し等を内容とする第八次地方分権一括法案を提出すると述べられました。
我が党は、地方分権を語るのであれば、憲法の地方自治の本旨に立ち返って、地方自治体の役割を拡充し、地域の活性化に取り組む財源を保障することこそ大事だと考えております。
ところが、先日、公的責任における放課後児童クラブの抜本的拡充を目指す議員連盟、これは超党派の議員連盟でありますけれども、この総会に出て驚きました。
私たち超党派議員連盟と学童保育関係者の長年の運動により、ようやく児童福祉法が改正され、学童保育の設備や運営について、省令で定める基準を踏まえ、市町村が条例で基準を定めることとなりました。そして、これを受けて、厚生労働省令平成二十六年第六十三号というものによって定められた従うべき基準というのがあるんですけれども、これを地方分権改革の名のもとに廃止又は参酌化しようという動きがあるということが語られました。
きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、厚生労働省令平成二十六年六十三号は学童保育の設置運営基準を定めたものでありますけれども、第一条二項及び三項にはどのように書かれてありますか。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準では、第一条第二項において、「設備運営基準は、市町村長の監督に属する放課後児童健全育成事業を利用している児童が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の支援により、心身ともに健やかに育成されることを保障するものとする。」と規定されております。
また、同条第三項におきましては、「厚生労働大臣は、設備運営基準を常に向上させるように努めるものとする。」と規定されているところでございます。
○宮本(岳)委員 お配りした資料一を見ていただきたい。「放課後児童クラブの設備運営基準について」という厚生労働省が作成した資料であります。基準のほとんどが参酌すべき基準となっている中で、職員については従うべき基準となっております。
これは、この省令をつくった厚生労働省にお伺いするわけですけれども、なぜ、他の基準は参酌基準にしたにもかかわらず、職員だけは従うべき基準としているのでしょうか。
○成田政府参考人 放課後児童クラブに関する従うべき基準につきましては、児童福祉法第三十四条の八の二第二項において、放課後児童支援員の置くべき人数と従事する者の要件が従うべき基準とされております。
具体的には、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準において、放課後児童支援員の置くべき人数については、支援の単位ごとに二人以上とすること、従事する者の要件については、保育士や教諭となる資格を有する者や、高等学校卒業者のうち児童福祉事業等に従事した者で、都道府県知事が行う研修を修了したものであることなどを規定しております。
これらの職員に関する基準につきましては、異年齢の児童を同時かつ継続的に育成支援する放課後児童クラブの特性等を踏まえ、児童の安全管理など、支援の質の確保といった観点から全国一律で行われる必要があるため、従うべき基準とされたものであると承知しております。
○宮本(岳)委員 この事業の特性を踏まえて、質の確保を全国一律でする必要がある、厚労省が職員について従うべき基準としているのにはそういう理由があるわけです。それは、学童保育の職員が特別の専門性が求められるということでもございます。
私は、二〇一〇年二月二十六日、衆議院予算委員会第五分科会で、当時の長妻厚生労働大臣及び山井厚生労働大臣政務官とこの学童保育指導員の専門性ということについて議論をいたしました。このとき、当時の長妻大臣は、非常に専門的な知識も必要だ、大変な仕事だと思いますと述べ、山井政務官は、ある意味で学校の先生にまさるとも劣らない専門性というのがこれから必要になってくると答弁をされました。
これも厚労省に確認します。この答弁は今日でも引き継がれている、こう受けとめてよろしいですね。
○成田政府参考人 放課後児童支援員の職務に伴う専門性につきましては、平成二十七年三月に定めました放課後児童クラブ運営指針におきまして、「放課後児童支援員は、豊かな人間性と倫理観を備え、常に自己研鑽に励みながら必要な知識及び技能をもって育成支援に当たる役割を担うとともに、関係機関と連携して子どもにとって適切な養育環境が得られるよう支援する役割を担う」と整理しているように、放課後児童支援員に専門性が必要であるとの認識に変わりはございません。
これを踏まえ、放課後児童支援員に必要とされる専門性を身につけられるよう、従うべき基準として研修の実施を義務づけているところでございます。
○宮本(岳)委員 基本的には、その精神は引き継いでいるという御答弁だったと思います。
こういう専門性を持つ職員が求められているからこそ、学童保育の基準については、社会保障審議会放課後児童対策に関する専門委員会、こういうところで議論をされてまいりました。
この専門委員会でありますけれども、最終報告が出たのか、今、この進捗状況、どういう状況か、厚労省、お答えいただけますか。
○成田政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、女性就業率の上昇に伴い利用児童数が増加している中で、そのニーズへの対応が課題となっております。こうした状況を踏まえ、今後の放課後児童クラブのあり方を含め、放課後児童対策について検討するため、社会保障審議会児童部会に放課後児童対策に関する専門委員会を設置したところでございます。
本専門委員会におきましては、放課後児童クラブの量の拡充のほか、子供の育ちという観点から放課後児童対策を考える中で、放課後児童クラブが果たす役割や期待される活動内容など今後の対策のあり方について検討しているところであり、本年六月をめどに中間的な取りまとめをしていきたいと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 これは、本年六月をめどに中間取りまとめということですから、もちろん最終報告は出ておりません。中間取りまとめもまだこれから六月ということであります。
ところが、先般の超党派の議連なんです、会長は馳浩さんだったと思いますけれども、この議連で、昨年末の閣議決定、平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針では、この学童保育の基準に係る従うべき基準というものを廃止又は参酌化するということが提案されているということが報告されました。
これは大臣でも内閣府の事務方でもいいんですが、これは一体どういうことなのか、御説明いただけますか。
○大村政府参考人 お答えをいたします。
現在、地方分権につきましては、地方からの提案を踏まえまして、それについて、地方分権の改革の場で議論をし、また各省庁と真摯な議論をしていくというような形で、その提案についての対応を決めているところでございます。
この従うべき基準、放課後児童クラブの関係につきましては、今回の提案の中で、例えば高等学校を卒業していない方につきまして、長年にわたり学童保育に従事し、経験豊富な方でありましても、現行の基準では放課後児童支援員になることができない、そういった中で、今年度地方から提案がありまして、一定の実務経験について考慮したらどうかというようなことが方針として出てきたわけでございます。
こういった一つ一つの課題について、地域差がある中で、そういった地域差を反映していくですとか、いろいろ細かい基準について、現場の状況において見直すべき点があればそれを一つ一つ見直していくということは当然あるわけでございますが、そもそも地方側からは、この放課後児童クラブの従うべき基準につきましては、従来から、より実態の方に、柔軟な運用ができるように見直しをいただきたいということが提案としてございましたので、そういう中で、今回の地方分権改革の提案の中でこういった閣議決定をさせていただいたということでございます。この間に厚労省とも十分に協議しております。
○宮本(岳)委員 先ほどの一枚目に示した資料でも、何から何まで従うべき基準になっているわけでもないんですよ。大半は参酌すべき基準ですから、自治体がそれぞれ参酌して決めることができるようになっているんですよね。
なぜ職員というところだけ従うべき基準にしているかといえば、厚生労働省の答弁にあるとおり、質の確保、これについては全国一律で確保する必要があるから、ここを従うべき基準というふうに定めたと先ほど答弁がございましたよね。各自治体ごとのさまざまな条件があるとはいうけれども、だからといって、全国一律で守らなければならない質が確保できなくてよいということには当然なりません。
今お話しになっている地方分権改革有識者会議と提案募集検討専門部会の合同会議の議事録というものを読ませていただきました。この資料の二につけているのはその会議に提出された資料でございます。下の段、「放課後児童健全育成事業に係る「従うべき基準」等の見直し」というところを見ていただきたい。その右に「提案団体」、その次に「提案の概要」、設置運営基準の人員資格や人員配置について、従うべき基準の参酌化が書かれております。
これに対して、厚生労働省の第一次回答はどのようなものであったか、厚生労働省、お答えいただけますか。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十九年度の地方分権改革に関する提案募集によりいただいた放課後児童健全育成事業の設備及び運営基準に関する基準に係る従うべき基準の廃止又は参酌化の御提案に対し、厚生労働省といたしましては、第一次回答では、放課後児童支援員の員数に関する従うべき基準は、子供の安全性の確保のため不可欠である、また、研修の実施は、昨今の子供をめぐる課題を把握し、一定のレベルを備えた支援員を養成することで、支援員のさらなる処遇につなげ、質を確保するものとして必要といった内容のお答えをしているところでございます。
○宮本(岳)委員 まさに、子供の安全性の確保のため不可欠である、こう答えているんですね。したがって、学童保育のあり方が地域ごとにさまざまなバリエーションがあって悪いわけじゃない。条件に合わせて進める必要があります。
しかし、子供の安全性の確保のために不可欠なものを崩すということは許されないわけであって、ところが、この次についている再検討の視点、これは内閣府の側が、その今の厚労省の第一次意見に対して述べたことですよ。これに対して、放課後児童クラブの人員不足や支援員の人材不足、また面積基準の方は、実態を考慮して参酌基準にされたではないか、この人員配置基準も同様に参酌基準でいいではないか、プログラムの工夫等によってサービスの提供は可能ではないかというような形で、再検討の視点が突きつけられております。
大臣、厚労省が子供の安全性の確保のために不可欠だと言っているものに対して、これは一体どういうことなのか。子供の安全などどうでもよい、こういうことなんですか。
○梶山国務大臣 対象となる子供さんの安全というのはまず第一に考えなければならないというのは、これは当たり前のことであります。
就学児童に対する保育ニーズが急速に高まっている昨今、硬直的な基準により放課後児童健全育成事業の円滑な事業に支障が生じているという切実な問題意識から、地方三団体が基準の見直しについて提案をしてきたものだと思っております。
例えば、高等学校を卒業していない者は、長年にわたり学童保育に従事し経験豊富な方であっても、現行の基準では放課後児童支援員になることができません。
ただ、本来の支援員と同等の経験、見識を持ち合わせるには、やはり五年以上の実務経験をしている方であればそれが可能であるのかどうかということも含めて市町村長が判断をした上で、そういう者が支援員となることができるよう今年度中に厚生省が省令を改正することとしたところでもあります。
地方は、こうした点も含めて運営のあり方について参酌化を求めているところでありますが、もとより、学童保育の安全性の確保等一定の質の担保は当然であります。地域の実情を踏まえた柔軟な対応により、放課後児童健全育成事業が地域で円滑に行えるように検討してまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 支障が生じているとおっしゃるんだけれども、事は子供の安全性の確保のための議論ですからね。緩める方が、崩す方が支障が生じると私は言わなきゃならぬと思うんですね。
中学卒の方が職員として働けないという問題はお伺いいたしました。それは別に、学歴の問題でハードルになってやれないということは、それはきちっと、その方の経験だとかその方の熱意だとかあるいは知識だとか、そういうものを勘案して、学歴にかかわらずついていただけるようにするということは、それはそれとしてあっていいことだと思うんですね。ただ、そういうことを一つの一例にして、従うべき基準を参酌基準にしてしまうというこの話が、やはり私は大変問題だと。
昨年十一月八日に開催された社会保障審議会の第一回放課後児童対策に関する専門委員会では、事務局の川鍋子育て支援課長が、従うべき基準は、そもそも子供の安全性の確保や一定の質を確保するということで、平成二十七年の子ども・子育て支援新制度の施行に合わせて最低基準として作成されたものであり、これを緩和するということについては慎重に考えていくべきと発言をしております。
委員会の報告もさっき言った専門家会議の報告も中間取りまとめさえ出ていない段階で、なぜ、放課後児童クラブに関する従うべき基準の参酌化を地方分権の場において検討し、平成三十年度中に結論を得るなどということを閣議決定したのか。私は、これは余りにも筋が違うと思うんですが、大臣、いかがですか。
○梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、放課後児童クラブの運営に支障が生じているような地域において、市町村長が認めた方、先ほど申しました、ある一定の経験を踏まえて、安全上も十分に担保できるというような条件の中で、これは可能ではないかということであります。
○宮本(岳)委員 今、大臣がおっしゃる支障というのは、入れない子供たちが生まれるとかそういう支障だと思うんですよ。ただ、ここで、厚生労働省を含めて、私が、従うべき基準にしているのはなぜかという議論でやっているのは、まさに子供の安全性の確保にかかわる問題でありますから、緩めることによって生まれる支障というのは、入れないとかいう支障じゃなくて、命を落とすとか大けがをするという支障になる。だから、ほかの問題とは違って、この従うべき基準は大事だということを申し上げているわけですね。
専門家の意見を聞いてやっていくのは当たり前であって、両方並び立っているというんだったらまだわかるんですよ。専門家は専門家で社会保障審議会をやっている、地方分権は地方分権で地方分権の観点から議論している、これが両方あって、やがて意見が違ったらまた何か意見の出し合いをするというんだったらわかるんだけれども、なぜ閣議決定で、もうこちらでやらなくてよろしい、地方分権の場でやるんだと。これを閣議決定したことを、私は、余りにもやり過ぎだ、おかしいということを申し上げているわけですね。
資料の三を見てください、皆さん。
第四回社会保障審議会児童部会の放課後児童対策に関する専門委員会に提出された資料ですよ。これはまさに社会保障審議会の側に出された資料ですよ。下から四行目、「参酌基準化による地域の実情等を踏まえた対策等の促進」というところに米印が打たれまして、これに関する論点は、平成二十九年十二月二十六日の閣議決定に基づき地方分権の議論の場で検討となっている。
これはつまり、あんたらはこれはもう議論しなくてよろしい、このことについては地方分権の場で検討することになっているから検討から外しなさい、そういうことになりますね、大臣。そういうことでしょう。
○大村政府参考人 御答弁申し上げます。
提案募集方式につきましては、地方分権改革において受けた提案でございますので、全般に地方分権の議論の場において議論をし、対応方針を決定することといたしております。
その際、提案を受けられました関係府省におきましては、対応を検討するに当たり、必要に応じて、関係する審議会等の御意見を考慮して検討を行っていただいておりまして、内閣府として関係府省の審議会等の御議論を排除するというようなことは仕組みとして従来からございません。
また、今回の放課後児童健全育成事業につきましては、もともと地方公共団体独自で実施されてきた経緯の中で国の方で事業化したという経緯ですとか、それから地方三団体からこういった参酌化を求める意見が繰り返し表明されたということを踏まえまして、地方分権の議論の場でしっかりと地方公共団体の意見を踏まえて検討するということを確認的に明記したというものでございます。
○宮本(岳)委員 地方団体から出ている声は、人手不足というものももちろん出ています。学童保育の指導員が慢性的な人手不足であることは、もちろん私も関係者から聞いてよく知っております。担い手がふえないことから、今働いている職員が展望を持てずにやめていくという悪循環になっているということも聞きます。笑えない話ですけれども、ある地域では、募集をかけても若者の応募がなくて、七十歳を超えた新規採用がふえているなんという地域もありました。
第三十一回地方分権改革有識者会議では、人づくりとか医療とか福祉の関係で参酌化が提案されております。個別の論点として、人員配置基準の緩和ということが言われていますね。この配置基準の緩和をやれば受皿の拡大につながるという何か根拠があるんでしょうか、大臣。御説明いただけますか。
○大村政府参考人 今回の従うべき基準の見直し自体が直接的に受皿の拡大につながるかどうかということは、これは、総合的に自治体の方で施策を打っていく中でまた含まれてくることになるかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、受皿の確保のためには、各自治体がそれぞれの持っている政策ツール、安全性の確保を含めました政策ツール全体を考慮して柔軟に対応していくということが必要であろうというのがこういった分権の場での議論でございまして、その中に、当然、安全性の確保ということは前提として入っているわけでございます。
安全性の確保ということを前提としながら、地方公共団体がそういった全体的なツールを使っていくことによって、受皿の確保をよりつくっていこうということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 御理解はいただけませんよ。
それで、人手不足の理由ははっきりしているんですよ。それは、学童保育指導員の労働条件の劣悪さ、これを指摘しないわけにはいきません。
厚生労働省、学童保育指導員の低賃金の実態というものをつかんでおりますか。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十八年度に調査研究事業として実施いたしました放課後児童クラブの経営状況等に関する調査によりますと、職員の一人当たり給与は、月給払いのもので年額二百七十万円となっております。この背景には、放課後児童クラブの職員の約七割程度を非常勤職員、パート、アルバイトが占めていることがあるものと考えております。
こうした状況を踏まえまして、平成二十九年度予算におきましては、人件費単価の増額や、勤続年数や研修実績等に応じた新たな処遇改善の仕組みの導入などを行い、職員の処遇改善に取り組んでいるところでございます。
○宮本(岳)委員 今、職員について、従うべき基準という、いわばこれを緩めてほしい、これがきつ過ぎると言うているもとで、学童保育指導員の大半は今お話あったようにパート、アルバイト、非常勤。年収二百七十万で、すぐにやめざるを得なかったり、なかなか若い人が集まってこなかったりしているわけですよ。これを自治体で決められるようになったら、あるいは参酌基準に引き下げれば、どんどんどんどん安上がりに、もうお金がないので何とかつじつまをということになりかねないわけですよ。
私、首長、自治体の判断でというふうに内閣府も大臣もおっしゃるわけだけれども、自治体の判断というのは、では、それほど、どこでも本当に健全なのか、どこでも確かなのかというのは随分疑問なんですね。
私、前回の、二〇一〇年二月の予算分科会でも、私の地元大阪市で、いきいきクラブと呼ばれる学童保育の事業と、全児童対象の文科省のやっているいきいき活動というのを一緒くたに一体的に運営している問題を取り上げました。
厚生労働省に確認しますけれども、厚生労働省も会議などで、一体化にならないよう各事業を進めるよう説明している、一体化と見られるような事業をしている場合には、それはきちっと性格を分けてくださいよということを確認しているというふうに聞いたんですが、間違いないですね。
○成田政府参考人 いわゆる一体化の取組につきましては、放課後児童クラブのニーズがあるにもかかわらず、児童が安心して生活できる場としての放課後児童クラブではなく、全ての児童に一律の居場所を提供する取組のことを指すものと承知しております。
これにつきましては、市町村が条例で定める基準を満たしておらず、本来ならば放課後児童クラブにおいて対象となる児童に確保されるべき、日常生活に必要となる基本的な生活習慣を習得し、発達段階に応じた主体的な遊びや生活ができる環境が確保されないおそれもあることから、十分御留意いただきたいと全国児童福祉主管課長会議等の場において周知しているところでございます。
また、自治体から、一体化の取組に関して、放課後児童クラブの運営について問合せがあった際は、基準の適切な運用がなされるよう丁寧に説明をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 今お話があったように、そういうことだって、厚生労働省からこういうことですよと言わないと、本当に理解されていない自治体がいっぱいあるわけですね。そういうところから、やらせてくれ、厚生労働省が言うようなかたい基準でやっていたら間尺に合わないんだと言うからといって、何から何まで参酌にしちゃうと、崩されることは明瞭だと思うんですね。
専門委員会の柏女委員長は、学童保育は子供の成長と権利擁護に重要な役割、機能を果たす場であり、その基準は改正児童福祉法に規定する子供の最善の利益にかなうものでなければならない、支援の根幹である支援員の人数と資格要件を従うべき基準から除外する提案は、児童福祉法の理念に反するものと言わざるを得ない、こう意見を述べておられます。
専門職にふさわしい処遇に引き上げることこそ、人手不足解消、ひいては制度の拡充につながるということを大臣に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。