地域の活性化で提起 宮本岳氏「地方自治体支援を」
衆院地方創生特別委員会は22日、地方大学振興法案と地域再生法改定案を採決し、与党などの賛成で可決しました。日本共産党は反対しました。
採決に先立つ質疑で、宮本岳志議員は「地域の活性化をいうなら地方自治体の取り組みを支援すべきだ」と指摘。梶山弘志地方創生相は「現場の意見を取り入れるのが一番だ」と認めました。
宮本氏は、地域再生法改定案で創設される「地域再生エリアマネジメント負担金制度」の先進事例としてJR大阪駅北側の大規模複合施設が挙げられていることを指摘。同施設は大企業のもうけのための巨大開発だとして「大企業の要望に応えるために同制度を創設するのか」とただしました。内閣府の青柳一郎審議官は「大企業もあれば、小さいところもある」と弁明しました。
宮本氏は、地方大学振興法案が東京23区内の大学の定員抑制を定める一方、23区内の大学にも交付金が支出される矛盾した制度で「政策が支離滅裂だ」と批判。「地域振興は所在地にこだわらず、『オールジャパン』で知恵を出し合うべきだ」と提起しました。(赤旗2018/3/25)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=bRV66-4QHvw&t=0s&index=49&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、前回に引き続き、地方大学振興、若者雇用促進法案について、今度は東京二十三区の大学の定員抑制について聞きたいと思います。
本法案では、一部例外を除き、東京二十三区内の大学の定員抑制を定めております。先日の当委員会でも自民党の委員に対して答弁があったと思うんですが、改めてその必要性について御答弁いただけますか、大臣。
○梶山国務大臣 前回も申し上げたと思いますが、二〇〇〇年から二〇一五年までの間で、十五歳から二十九歳までの地方の若者が五百三十二万人減少しております。また、東京圏への転入超過数は近年十万人を超える規模で推移をし、そのほとんどが若者であるということであります。地方創生の開始から三年がたちますが、この流れに歯どめをかけられていないのは現実として受けとめております。
今後、十八歳人口が大幅に減少していく、二〇一六年に百二十万人、そして二〇四〇年には先ほど申しましたように八十八万人になろうという推計が出ておりますけれども、現実に、昨年生まれた出生数というのは九十四万人ということですから、もう一つずつ階段をおりている、上っているというよりもおりているということだと思います。
そういったこともしっかりと考えながら、今後も条件の有利な東京二十三区の定員が進み続けると、東京一極集中がますます加速をする、さらにまた、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じて、地域間での高等教育の就学機会の格差が生じかねない、このような状況を踏まえて、本法律案において、特定地域における大学の学部等の定員抑制を講じることとしているところであります。
○宮本(岳)委員 要するに、若年層の東京圏への流出に歯どめがかからないために、法律で東京二十三区内の大学の定員増を禁止しようということであります。
地方大学の振興のために東京の大学を痛めつけるかのような政策に、東京都から、東京対地方という構図をいたずらにあおる理不尽かつ不合理な規制と、厳しい反対の声が上がるのも当然のことだと私は思います。
ところが、一方で、一昨日議論した地域における大学振興・若者雇用創出推進会議、つまり、地方大学の振興と地方の雇用創出のためのコンソーシアムでありますけれども、ここに東京二十三区内の大学が入って交付金を受けることは排除されないという説明を受けましたが、これは内閣府、そのとおりですね。
〔委員長退席、加藤(寛)委員長代理着席〕
○末宗政府参考人 お答えいたします。
東京圏、二十三区の大学でありましても、例えば、地方圏のコンソーシアムを組んで農業振興とかをやるような場合に、東京圏でそういった部分の知見を持った大学が参画するということはあり得ると考えております。
○宮本(岳)委員 驚きを禁じ得ないわけですね。
これは、私は先ほど東京都の話を、東京対地方という構図をいたずらにあおるというふうに東京は言っておられますが、そんなものでもないと。一方で、支援する地方のコンソーシアムに東京二十三区内の大学が加わるということは認めているわけです。この政策は支離滅裂だと私どもは言わざるを得ないと思うんですね。
しかし、同時に、それは当然のことであって、そもそも東京の大学が地域の振興に役立っていないかといえば、決してそうではありません。地域振興というのは、所在地にこだわらず、オール日本で知恵を出し合うべき課題であることはもう言うまでもないことであって、そういう本質からいえば、どこどこの定員を抑制してどこどこを応援すればうまくいくというようなものでないことはもう一目瞭然だと思うんですが、大臣もそのことはお認めになりますね。
○梶山国務大臣 地方創生の政策、東京も含めたオール・ジャパンというか、日本全体で考えるべき課題であると思っております。
○宮本(岳)委員 当然のことなんですね。東京と地方を対立させる考え方そのものがナンセンスだと言わなければなりません。
つまり、あなた方は、みずからの誤った地方創生策がうまくいっていないから、それを大学のせいにして、東京対地方というような単純な構図で責任転嫁を試みました。しかし、その結果、みずから構築した制度は、東京二十三区の大学も地方のコンソーシアムに加わって交付金を受け取れるというような代物となっております。
真に東京一極集中というものを是正したければ、東京を世界一の国際ビジネス拠点とする東京圏特区というようなものこそ見直すべきだと言わなければなりません。それを放置したまま東京の大学の定員抑制に走るなど、愚かきわまりない、不真面目な政策であるということを私は指摘しておきたいと思います。
次に、地域再生法についてお伺いしたいと思います。
今度の法改正は、町のにぎわいづくりや商店街の活性化を図るために、地域再生エリアマネジメント負担金制度と商店街活性化促進事業を創設しようというものであります。
そこで、まず確認したいんですが、町のにぎわいづくりや商店街の活性化にとって、地域住民の参加というものは不可欠だと思うんですね。大臣もその認識は持っていただいておりますでしょうか。
○梶山国務大臣 委員と同じ認識でありまして、住民の参加は不可欠であります。
○宮本(岳)委員 では、地域再生エリアマネジメント負担金制度というものについて聞きたいと思うんですね。
法案では、エリアマネジメント団体が地域来訪者等利便増進活動計画というものを作成することになっておりますけれども、この地域来訪者等利便増進活動計画作成段階で、エリアの住民の参加は保障されておりますか。
〔加藤(寛)委員長代理退席、委員長着席〕
○青柳政府参考人 お答えいたします。
今回の地域再生エリアマネジメント負担金制度ですけれども、エリアマネジメント活動により経済的利益を受ける事業者から負担金を徴収する制度でございますので、経済的利益を受けない一般的なエリアの住民の参加については、法律上は位置づけてはおりません。
制度上、市町村による地域再生等利便増進計画の認定に際して、市民の代表である市町村議会の議決を経ることを要件としているところでございます。
一方で、実際に地域再生エリアマネジメント制度を活用する上では、エリアマネジメント活動によって影響を受けるような地域住民の方々、こういった方々に対して、説明会の開催などを通じて地域住民の理解と協力を得ながら進めることが望ましいと考えております。
こうした考え方については、ガイドライン等を通じましてエリアマネジメント団体や市町村に周知してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 地域住民の参加というのは非常に大事な視点なんですね。
私は、地元の商店街の方々から話もお伺いをしてまいりました。商店街を元気にしようと思ったら、その地域に住んでいる住民が、この町を活気あるものにしようと、みずから知恵も出し、それから積極的にまちづくりに参加していくこと、これが一番大事なことだ、皆さんからそういう声がありました。よそからコンサルタント会社などがやってきて、住民そっちのけで勝手に絵を描いて押しつけていっても、それはもう決してうまくいかない、地元の商店街の方々は口をそろえてそうおっしゃっております。
そこで、少し具体的に聞くんですけれども、今度の負担金制度を開設するに当たって、皆さん方の「エリアマネジメント」という内閣府、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局のつくったパンフなどを見ますと、大阪版BID制度として大阪のグランフロント大阪を先進事例として紹介をしておられます。これは間違いないですね。
○梶山国務大臣 間違いございません。
○宮本(岳)委員 間違いないと確認をされました。
では、このグランフロント大阪のエリアマネジメント団体、これは何と呼ばれているかというと、グランフロント大阪TMOというものでありますけれども、これは一体どういう企業で構成されているか、内閣府、お答えいただけますか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
グランフロント大阪、御案内のとおり、JRの大阪駅の北側の、梅田の北ヤードという操車場跡地を開発いたしたところでございます。
一般社団法人のグランフロント大阪TMOというのは、開発事業者十二社によって設立をされているところでございまして、三菱地所、阪急電鉄等々の企業が構成員ということになっております。
○宮本(岳)委員 三菱地所、阪急電鉄と、名立たる大企業ばかりでありますけれども、こういうものが地方の活性化や商店街の振興の参考になるはずがないのではないかと私は言わざるを得ません。
そもそも、大阪の今おっしゃった、うめきた開発、グランフロント大阪というものは、地域再生とは全く無関係の代物であります。住民参加など、みじんもありません。大企業のもうけのために行っている巨大開発だと言わざるを得ないと思うんです。
あなた方は、こうした大企業の要求に応えるために、今回のこの地域再生マネジメント負担金制度というものを創設しようとしているんですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
今回のエリアマネジメント制度でございますけれども、地域の稼ぐ力を向上させるということで、さまざまなエリアマネジメント活動を通じて来訪者をふやし、また売り上げを上昇させる。これは、各地域地域において取組の主体また形態というのもさまざまなものがあろうかと思います。
委員御指摘のグランフロントについては、梅田の大規模開発ということで、大企業中心ということでございますけれども、私ども、エリアマネジメント活動、これは全国の団体もございますけれども、いろいろな、大企業中心のものもあれば小さいところもございまして、そういった全国各地のエリアマネジメント活動を全体として底上げをしていきたいということで、今回の制度を設けようとしているところでございます。
○宮本(岳)委員 そうおっしゃるんだけれども、先ほど十一社と。阪急電鉄と三菱地所、二社だけ名前をおっしゃいました。残りの九社というのはどういうものか。NTT都市開発、大林組、オリックス不動産、関電不動産、新日鉄都市開発、積水ハウス、竹中工務店、東京建物、日本土地建物。どこからどこまで見ても、全部が大規模開発を進める大企業なんですね。
現在、これは、第一期の開発が終わって、二期区域の開発事業というものが始まろうとしております。うめきた二期という開発が進められるとしております。この法案が通りますと、このうめきた二期のエリアマネジメント団体には中小企業が入ることになるんですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
うめきた二期、うめきた地区の第二期の開発事業、現在、事業者の募集の段階だというふうに承っております。まだ開発事業者が選定されておりませんので、エリアマネジメント活動についても、現在のグランフロントのTMO法人との関係がどのようなものになるのか、また、エリアマネジメント団体がどういった事業者から構成されるのかということについては、私どもはまだ承知しておりません。
○宮本(岳)委員 まだ決まっていないということでありますけれども、しかし、入りようがないんですよ。
うめきた二期のまちづくり目標というものを私は調べてきましたけれども、このまちづくり目標には、新たな国際競争力を獲得し、世界をリードするイノベーションの拠点となっておりまして、つまり、稼ぐ力のある大企業にもうけの拠点を整備しようというのが、このうめきた二期のまちづくり目標なんです。そんなところに中小企業が続々と入ってくるとか、あり得ない話なんですね。
そもそも私は、二〇〇六年、うめきたの開発計画、つまり北ヤード開発というものが持ち上がった段階で、「梅田北ヤード開発を考える」というシンポジウムを大阪で主催したことがございます。この計画は、このときに随分研究しましたけれども、大阪の表玄関にふさわしい大阪駅前のまちづくりという観点からの真剣な検討など、ほとんどされた形跡はありませんでした。
実は、私どものシンポジウムに、大阪市都市計画審議会の委員で、そのうめきた、北ヤード開発の都計審の計画決定をやったときの委員として参加された学者の方が、シンポジウムの時点ではもうそれをおりておられた、前委員だったという方でありますけれども、出席をしてくださいまして、随分その中身についても私たちはお伺いをいたしました。
有識者からは、大阪駅前の空間をこんなふうにビルで埋めていいのか、もっと何か空間的広がりがとか、これは大体、どんなふうな埋まりぐあいになるか検討したのかとかいう意見が出ているんですけれども、このとき大阪市は、大丈夫ですといって押し切った。だから、もっとちゃんと、駅前をどういうふうにするかということを住民参加で考えねばならぬのではないかということを、随分このシンポジウムで徹底議論したことをきのうのことのように覚えております。
こういうものを先進事例として地域活性化を語るなんというのは、まさに不真面目きわまりないと私は思いますけれども、大臣、そうじゃないですか。
○梶山国務大臣 海外で始まった制度でありますけれども、日本でこれに似た形で取り入れているのは、まだまだごくわずかでありますので、そういった中で、この大阪のうめきたの例というのは、非常に卑近な例として取り上げさせていただきました。
○宮本(岳)委員 私が申し上げたように、商店街の活性化とか地域の活性化という議論にこれを先進例として持ってくるというのは全く場違いであって、重ねて、不真面目きわまりないと言わざるを得ないと思います。
ならば、どう進めるか。共産党は反対ばかりかと言われたら困りますから。
例えば、商店街の活性化促進事業というものでありますけれども、これは、空き店舗の所有者にその利活用を促すために、指導や助言や勧告の手続を整備しようというものであります。国は、しかし、これまで、商店街の活性化や空き店舗対策に幾つもの対策を既にとってこられております。それでもこういう法律をまた改めて出してきたということは、これまでの施策は余りうまくいっていない、失敗だとお認めになったということですか、大臣。
○梶山国務大臣 商店街の活性化につきましては、これまでも中小企業庁を中心に、商店街組織が取り組む事業の支援を行ってきたところであります。支援がなされた商店街の六割から七割で売上高、来訪者数の増加などにつながり、商店街を囲む厳しい状況の中でも一定の成果を得ているものと思っております。
ただ、時代の進展とともに新たな課題が出てきているということでもあり、また、新たな課題に対応するための施策として今回の法律を取り上げたということであります。
○宮本(岳)委員 一定の成果が上がり、うまくいっているというのであれば、それを拡充すればいいわけであります。
そもそも予算は、三十件程度の適用分しか確保されておりません。しかも、その予算は毎年減っておりまして、予算が減っていることを取り繕うために、国の方で勝手に重点化と称して使える商店街を選別しているわけであります。
全国に商店街というのは一万件あると言われているんですよ。一万件もある商店街が、こんな程度の制度で元気になるわけがないと私は思いますが、違いますか。
○梶山国務大臣 国の支援のあり方として、やはりしっかりとその地域で議論をしていただいて、計画を練っていただく、それに対してでき得る限りの応援をしていく、限られた予算ではありますけれども、そういう応援の仕方をしているものと承知しております。
○宮本(岳)委員 国の支援のあり方として、地域でしっかり議論をしていただく、それを国は応援していく、おっしゃることは正しいんですけれども、これまでやってきたことはそうなっていないんですよ。国の側でこういう仕組みをつくって、それに当てはめるようなものをやれと。先進例としてグランフロント大阪みたいなものまで持ち出して、これでいけと。だから、うまくいかないということを言っているわけですね。
なぜうまくいっている制度から学ばないのか。
私は、二〇一五年三月二十七日、当委員会で住宅リフォーム助成制度というものを取り上げさせていただきました。二年前のその時点でこの制度を整備している地方自治体は、全都道府県と、全市区町村千七百四十二のうち千五百五十九の市区町村で整備をされておりました。直近の数字というのはわかっておりませんが、そこから更に進んでいることだと思います。
大臣の地元の茨城県常陸太田市でも、高齢者、重度障害者、空き家を対象とした住宅リフォームの助成制度を実施しておられます。
大臣、地域の活性化を言うのであれば、こうした地方自治体の取組を国として支援する、これが一番効果的であって、一番値打ちがあると思うんですが、違いますか。
○梶山国務大臣 やはり現場には現場の意見がありまして、それを取り入れるのが一番であると思っておりますし、私も地元の常陸太田市の取組も承知しておりますし、その人たちともよく話をしているつもりであります。
○宮本(岳)委員 そうなんですね。こうした自治体の取組は更に進化していっているわけですよ。
住宅リフォームの方はこうやって行き渡ってきた。今度は、商店版リフォーム助成制度というものが始まっておりまして、群馬県高崎市でありますけれども、住宅リフォームの商店版として、まちなか商店リニューアル助成事業というものに取り組んでおられます。これは、店舗の改装やエアコンなどの設備にかかった費用の半分を助成する事業でありまして、商店の方々から大変歓迎されている。このように、地方自治体では、活性化のためにいろいろな知恵を出しているわけです。
大臣、こういう制度こそ大いに応援すべきだと思いますが、いかがですか。
○梶山国務大臣 現場の声が多いもの、またさらには成果を上げているものに関しては、しっかりと継続も含めて考えていくのが本来の政策のあり方であると思っております。
○宮本(岳)委員 地方自治体は、地域の活性化、町のにぎわいのために、知恵も工夫も凝らしながら頑張っております。町のにぎわいづくり、商店街の活性化は、こうした地域の取組に学んで、国はあくまでそれを支援することこそ必要だと思うんですね。国が上から絵を描いて押しつけてきたから、これまでことごとく失敗してきたと言わざるを得ません。
そのことを私は厳しく指摘をして、本日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
反対討論
○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法一部改正案に反対の討論を行います。
まず、地方大学振興、若者雇用促進法案についてです。
第一は、創設される交付金制度が、安倍政権が求める産業競争力強化のための大学改革を進める役割を果たすことです。
基本指針に沿った十カ所程度の認定を想定していますが、内閣交付金七十億円には傾斜がかけられており、政府の成長戦略に沿った最先端技術の開発を競わせるよう誘導するものにほかなりません。
第二は、文科省計上分二十五億円の配分の問題です。
地方大学・地域産業創生交付金等が交付される事業計画を担う地方大学には、国立大学法人運営費交付金、私立大学等改革総合支援事業のうちから二十五億円が配分、交付されます。しかし、次年度分の運営費交付金の予算額は据え置かれており、配分も確定していることから、厳しい財政の中から当該事業の費用を捻出せざるを得ない事態を招くことになりかねません。
第三は、東京二十三区の定員増の抑制の問題です。
定員増抑制は、流入人口の抑制効果が期待できない不真面目な対症療法にすぎません。東京一極集中の是正のためには、世界じゅうから資金、人材、企業を集める国際的ビジネス拠点をつくる東京圏特区などを根本的に見直し、ストップすべきです。
地方大学は、国公私立問わず資金難、人材難が蔓延しており、不足分を競争的資金で調達せざるを得ない事態となっています。地方大学の振興と言うなら、日常的運営に必要な経費の増額を図り、じっくりと教育、研究ができるよう条件整備を進めるべきです。
次に、地域再生法改正案についてです。
地域再生エリアマネジメント負担金制度の先進事例とされるグランフロント大阪のエリアマネジメント団体が名立たる大企業ばかりであり、本制度が一部の大企業の巨大開発、もうけのために利用され得ることが質疑を通じて明らかになりました。
地域の活性化にとって、住民の参加は不可欠であります。ところが、本制度には住民参加の保障がないことも明らかとなりました。
地域の事業者は、これまでもみずからの知恵と工夫でイベントなどを行っており、その際に必要な資金も工面してきております。国は、地域が自主的に取り組んでいる事業への支援こそ手厚く行うべきであり、こうした制度の導入は必要ありません。
商店街活性化促進事業についても同様です。空き店舗の活用に限らず、地方自治体や地域の商店会などは、商店街の活性化のためにさまざまに努力しています。質疑で紹介した住宅リフォーム助成制度、そして、この制度からヒントを得て事業化した高崎市の商店版リフォーム助成制度、これらは地元業者に大変歓迎されています。
町のにぎわいづくり、商店街の活性化は、こうした地域の取組に学び、国はそれを支援することこそ必要だということを指摘して、反対討論といたします。