日本共産党議員の国会質問 「移動の権利」保障を バリアフリー化で宮本氏
日本共産党の宮本岳志議員は18日の衆院国土交通委員会で、バリアフリー・ユニバーサルデザイン政策を進めるカギとして、「移動の権利」の保障を位置づけるよう強く主張しました。
国交省の検討会では、受益者負担原則のもと鉄道のバリアフリー化対策を進めようとしています。宮本氏は、同検討会の「中間とりまとめ」では、エレベーターの容量拡大やエスカレーター・ホームドアのいっそうの普及などを「より高い水準のバリアフリー化」として、受益者負担原則に位置づけていることを指摘。なぜ、ナショナルミニマム(必要最低限の生活水準)としての補助制度の対象ではないのか、とただしました。国交省の藤井直樹鉄道局長は「整備に伴う費用の増大が見込まれるからだ」などと答えました。
宮本氏は、「中間とりまとめ」に消費者団体のアンケート結果から、利用者負担に一定の理解があると記しながら、アンケート自体が公表されていないことを指摘。入手したアンケート結果によると、利用者負担を含まない選択が多いことが示されており、「これをもって、利用者に一定の理解があると結論づけるのは我田引水だ」と批判しました。
石井啓一国交相は「中間のとりまとめであって、最終的なものではない。今後、利用者等の意見を聴取し、適切に検討していく」と答えました。
( 赤旗2018/4/25)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=bPMwPhuV6mA&index=225&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&t=0s
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
バリアフリー法は、二〇〇〇年五月九日、参議院交通・情報通信委員会で、全会一致、可決、成立いたしました。私は当時参議院議員で、このとき、日本共産党を代表して修正案を提案いたしました。修正案の内容は次の六点でございました。
第一に、目的、理念に移動の自由と安全は基本的人権と明記すること、第二に、国の基本方針で全ての施設等を対象に整備計画と目標を明確にすること、第三に、地方公共団体もバリアフリー化対策の計画を策定することにすること、第四に、交通事業者が講ずべき責務を明確にすること、第五に、利用者、障害者等の積極的参加を保障するための制度化を図ること、第六に、バリアフリー化されても移動困難な人のための代替輸送の確保をするというものでございました。
あれから十八年、地方自治体の計画策定や障害者等の積極的参加を保障する制度など、今回の改正でようやく実現するものもございます。しかし、十八年たってなお、私がイの一番に提案した移動の自由と安全は基本的権利ということが書かれておりません。
そこで大臣にお伺いいたしますけれども、障害者権利条約でも明確にされている移動の権利の保障をなぜ今回も書かなかったのか、お答えいただけますでしょうか。
○石井国務大臣 移動権を法律上規定することにつきましては、平成十九年の障害者権利条約の署名や平成二十三年の障害者基本法の改正などと時期を同じくして平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われたところであります。
この中では、権利として規定する以上、個々人の多様なニーズを踏まえた上で、どのような目的の移動について誰にどこまで保障するのか、保障する責務を有するのは誰か、権利内容を裏打ちするための仕組みや財源をどう確保するのかといったさまざまな点を明らかにする必要があるとされたところであります。
その上で、こうした点について、実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとして、移動権を法定化することは時期尚早とされたところであります。
本法案の立案に際して開催をいたしました検討会においても議論がありましたが、こうした状況は現在においてもなお変わっていないと考えております。
交通は、利用者、事業者等の関係者が共通の理念のもとでよりよいものをつくり上げていくべきものであることから、今回の法改正において、そのための基本理念として、社会的障壁の除去及び共生社会の実現について定めることとしたところであります。
今後、この基本理念のもとで、今回充実することとしておりますバリアフリーの施策などを着実に推進することによりまして、全国のバリアフリー化を一層推進してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 当委員会で四月十三日に行われた参考人質疑でも、三星参考人は憲法二十五条を根拠に、竹下参考人は憲法二十二条を引いて移動の自由の保障は権利だと明言されるなど、参考人全員が移動の権利には異論がございませんでした。
大臣が今御答弁になったように、バリアフリー法をつくって十八年、それでもなお時期尚早と言うのであれば、一体いつまで待てというのかというのが障害者の皆さんの思いだと思います。
しかしながら、時期尚早とおっしゃる大臣の言葉には、時期はまだ早いがやがてはというニュアンスがあるように私は思います。
大臣に重ねて聞くんですけれども、少なくとも、やがては移動の権利は基本的人権だと書き込むときがやってくることは望ましいことだ、こういう認識は大臣もお持ちかどうか、お答えいただけますか。
○石井国務大臣 実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られることが望ましいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 そういうことが望ましいというお答えでございました。
なぜ私がこの理念にこだわるか。まさにここが、バリアフリー及びユニバーサルデザイン政策を進める上で鍵を握るからであります。この基本的人権という理念がなければ、仏をつくって魂入れず、まさに似て非なるものになりかねません。
そこで聞くんですけれども、ことし二月に、鉄道局のもとに置いた、都市鉄道における利用者ニーズの高度化等に対応した施設整備促進に関する検討会というものが中間取りまとめというものを公表いたしました。概要を見ますと、「利用者ニーズの高度化に対応したバリアフリー整備に係る受益者負担の検討の必要性」という文言が掲げられております。
鉄道局に聞きますが、ここに言う「より高い水準のバリアフリー化」というものにはどのような対象設備が掲げられているか、お答えいただけますか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
先ほど委員が御指摘になりました検討会において、いわゆる高度化されたバリアフリーのニーズ、そういうものに対する利用者負担というものは可能かどうかという議論を行ったわけですけれども、その高度化されたバリアフリーのニーズ、具体的に掲げられているものとしましては、複数のバリアフリールートの整備、それに伴うエレベーターの設置、あるいはエレベーターの大型化、さらにはホームドア、そういったものが対象として認識をされているものと考えております。
○宮本(岳)委員 「複数ルートや乗換えルートの段差解消、エレベーターの容量の拡大、エスカレーター・ホームドアの一層の普及等」が例示されております。つまり、ワンルートの段差解消と、それを上回る整備との間に一線を引いて、後者には受益者負担原則を導入するという検討を行っているわけです。
では逆に、鉄道局に聞きますけれども、なぜワンルートの段差解消等には受益者負担原則はなじまないと考えているのか、お答えいただけますか。
○藤井政府参考人 現在、バリアフリー法に基づく基本方針においては、二〇二〇年度までに、一日の利用者三千人以上の駅について、原則として全ての駅でワンルートの段差解消等を実現することが目標とされているため、国としてもその整備に対して優先的に支援を行っているところでございます。
この目標の達成は、高齢者、障害者の方々が鉄道を利用する際の最低限のアクセスの確保にとって重要であると認識しており、二〇二〇年度に向けて、引き続き、国や自治体の支援のもと、鉄道事業者が取組を進めていくことが必要と考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 最低限だという言葉が出ました。ナショナルミニマムであって、補助制度等によって進めるべき課題だと言うんですね。
ということは、複数ルートや乗りかえルート、エレベーターの容量の拡大、エスカレーター、ホームドア、こういうものはナショナルミニマムとは言えないぜいたくな要求だ、こういうことですか。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
複数ルートの段差解消やエレベーターの大型化等のより高い水準のバリアフリー化につきましては、より一層安全で快適な移動に資する一方で、この整備に伴う費用の増大というようなことが見込まれることから、検討会においては、その迅速かつ確実な整備の推進のためには、従来の補助制度に加えて、利用者に一定の負担を求めることができる仕組みの検討が必要ではないかという議論がなされたものと承知をしております。
○宮本(岳)委員 私は、こういう検討をすること自体が問題だと思うんです。
大体、ナショナルミニマム、保障されるべき最低限の権利というものは、時代の進歩と経済状態に応じて変化するものであります。二〇〇〇年当時は、せめてワンルートだけでもというのが確かにナショナルミニマムであったわけでありますけれども、今ではそれは当然の前提であって、それでよしというふうにするわけにはまいりません。
一方で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、この「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」というものが組織委員会から示されました。これは、国際パラリンピック委員会の基準、IPC基準というものに沿ったものになっております。
これを受けて、ユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議、これが開かれて、昨年二月二十日、このユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画が決定されました。そこでは公共交通分野のバリアフリー水準の底上げが掲げられ、国土交通省はことしの三月三十日、バリアフリー整備ガイドラインの改定を行いました。
この流れに間違いないですね。
○藤井政府参考人 バリアフリー全体について私はお答えする立場にございませんけれども、鉄道に関するバリアフリーにつきましては、先ほど申し上げたような、ニーズが高度化をしてきている。その中でそれをどうやって整備していくかということについてのルールでありますバリアフリー基準、さらに、それに伴うガイドライン、それを、そういったニーズに合う形でその整備を促進するように見直しを行ったということは認識しております。
○宮本(岳)委員 では、全体について答えていただける総合政策局長に聞きましょう。
この「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」の一の六ページには、「このガイドラインの背景にある基本原則は、IPCガイドが基本原則として掲げる「公平」、「尊厳」、「機能性」の三つである。」としております。
その「公平」には何と書いてございますか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」において、背景にある三つの基本原則、そのうちの「公平」についての部分、読み上げさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
「すべての人々が、個人の身体的・機能的な状態に関係なく、同じ水準のサービスを受けられることを保障する。 適切な会場等の設計・改修、大会運営に関わる諸計画の整備、トレーニングを受けたスタッフ・ボランティア等により、大会参加者はすべて同じ水準の体験を共有し、同等のレベルでプライバシーが守られ、安全が確保される。」
以上でございます。
○宮本(岳)委員 国際水準はそんな、ワンルートさえ確保できればよい、あとはぜいたくだ、やってほしければ受益者が負担せよなどという話にはなっていないんです。全ての人々が、個人の身体的、機能的な状態に関係なく、同じ水準のサービスを受けられることを保障せよと言っているわけであります。
そこで、この都市鉄道における利用者ニーズの高度化等に対応した施設整備促進に関する検討会というものでありますけれども、委員の中に利用者の代表はおりますか、鉄道局長。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
この検討会に、メンバーとしては、鉄道事業者、有識者及び行政関係者がメンバーとなっているところでございます。
なお、利用者の意見を反映する観点から、消費者団体出身者にオブザーバーとして御参加をいただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 委員名簿を見ましたけれども、研究者二人、国土交通省鉄道局長、あなた自身です、民営鉄道協会、JR本州三社、私鉄三社、唯一オブザーバーに消費者団体の代表が入っているだけですが、違いますか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げたとおり、オブザーバーとして消費者団体の出身者の方にお入りをいただいております。
○宮本(岳)委員 オブザーバーとして、河野康子一般財団法人日本消費者協会理事、全国消費者団体連絡会前事務局長が出席しておりますが、毎回ではありません。九回開催された検討会のうち、何回出席しましたか。
○藤井政府参考人 今の点、御通告ございませんでしたので、今確認をした上で、わかる範囲でお答えをしたいと思います。
○宮本(岳)委員 きのう申し上げましたけれども、もういいですよ。第四回、第五回、第七回、わずか三回であります。
この検討会の中間取りまとめの十ページには、「消費者団体のアンケート結果から、バリアフリー化による受益を負担することについて、利用者に一定の理解があることが示された。」という記述がございます。しかし、その肝心の消費者団体のアンケート結果というものが資料として公表されておりませんでした。なぜですか。
○藤井政府参考人 このアンケートは、オブザーバーとして御参加をいただいている消費者団体の代表者の方、この方が、この案件、先ほど三回というお話がありましたけれども、非常に熱心に御議論に参加いただいたと思っております。その中で、その団体の代表者の方が、御自身の発意で、限られた人数でありますけれどもアンケートをとってみましたということで御紹介をいただいたというものでございます。
そういったこともありまして、結局は、全体としてやったとかそういうものではありませんので、特に公表とかはしていないということでございます。
○宮本(岳)委員 おかしいですね。この中間取りまとめの十ページに、「消費者団体のアンケート結果から、バリアフリー化による受益を負担することについて、利用者に一定の理解があることが示された。」いやいや、この方が勝手に提出したものじゃないですよ。その後、それを使ってそのように中間取りまとめに書いているから私は聞いているんですよ。
昨日いただきました。私は、この中間取りまとめの十ページの最終行から十一ページにかけてのこの「消費者団体からは、アンケート調査の結果、バリアフリー化費用については、事業者、国・自治体、利用者の三者が応分に負担すべきとの意見が一番多かった」というくだりに違和感を覚えたんです。消費者団体のアンケートで、まるで自分たちも負担したいという意見が一番多かったかのようにここには書いているからですよ。提出されたアンケート結果を見て腑に落ちました。
配付資料一を見ていただきたい。「バリアフリー化促進のためのコスト負担について アンケートから見えてきた消費者の受け止め3」というものであります。左の箱の中が設問、右の「鉄道事業者(利益)」から「その他」まで、八つの選択肢から選ばせております。そうすると、なるほど、事業者プラス国・自治体プラス利用者という棒グラフが二十一人と一番多いです。
しかし、その内訳は、配付資料二を見ていただきたい。利用者負担を含まない選択肢、つまり、黒丸で示したものの合計が四十一人、利用者負担を含む選択肢、三角で示したものの合計が二十五人。圧倒的に利用者負担を含まない選択をした人の方が多いんです。
事実、そうじゃないですか、鉄道局長。
○藤井政府参考人 この資料につきましては、先ほど委員が御指摘になりましたけれども、費用負担についてのアンケート、非常に限られた数の中ですけれども、その中で、事業者、国・自治体、利用者、これを選択した人が一番多いということを述べたということだと認識をしております。
○宮本(岳)委員 いや、答弁になっていないですよ。
まずは、この中にそれが引用されて、この中間取りまとめをつくる上で活用されているんですよ。だから私は腑に落ちない。何でそのアンケートがついていないのかといって出していただいた。出していただいた結果をきょうは資料一と資料二という形でお示しをした。棒グラフは、なるほど、二十一人、一番長いですけれども、利用者負担を認める人と認めない人なら、圧倒的に認めない人の方が多いんです。消費者団体が利用者負担ありがたいと言うわけがないんですよ、絶対。中身を見ていただいたら、例えば事業者プラス利用者というのを選んだ人でも、「判断の理由」のところには、「利用者は税負担しているので二重負担となる恐れもある」、こういう意見も出ております。
少なくとも、このアンケート調査結果から、中間取りまとめが言うような、「バリアフリー化による受益を負担することについて、利用者に一定の理解がある」などと結論づけるのは、余りにも我田引水だと私は思いますが、そうお感じになりませんか、大臣。
○石井国務大臣 中間取りまとめは中間の取りまとめでありますから、最終取りまとめではございません。今後、利用者等の意見を幅広く聴取をしまして、適切に検討していきたいというふうに考えています。
○宮本(岳)委員 本当にぜひとも適切に検討していただきたいと思うんです。
関係閣僚会議が出したユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画では、「過去において、障害のある人が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視は共生社会においてはあってはならないものである。また、障害のある人はかわいそうであり、一方的に助けられるべき存在といったステレオタイプの理解も誤りである。障害のある人もない人も基本的人権を享有し、スポーツ活動や文化活動を含め社会生活を営む存在である。」まさに、閣僚会議、大臣の皆さんが集まって高らかにうたっておられます。
オリンピック・パラリンピックに向けて、世界に向かっては基本的人権とはっきり掲げながら、国内的な整備と財政負担の検討は受益者負担原則で進めようなどということは、羊頭を掲げて狗肉を売ると言わなければならないと思います。
改めて鉄道局長にも確認しますが、この中間取りまとめは結論ではなく、最終取りまとめに向けて利用者や障害者や高齢者など当事者に幅広く意見を聞き、適切に反映すると。よろしいですね。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からお答えさせていただきましたとおり、これ自体は中間取りまとめということでございます。
先ほどのオブザーバーの消費者団体の代表者の方々、その方からは、バリアフリーに係る鉄道事業者の投資内容について、利用者が負担を納得できる意義やその説明が重要である、そういった御指摘もいただいているところでございます。
私どもは、こういった中間取りまとめにおける御議論も踏まえた上で、利用者の納得を得られる制度を構築するために必要な事項を整理する観点から、今後、利用者に対するアンケート調査等の実施を行っていった上で、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 鉄道局長は、昨日、我が党宮本徹議員の質問に、第二次補正で、鉄道事業者のホームドアの設置やバリアフリー化工事を支援するために、政投銀に五百億円の財投を行っていると胸を張って答弁をされました。宮本徹議員は、リニアに三兆円も投入するなら、ホームドアやバリアフリーにこそ思い切って財投を投入すべきだと指摘しましたが、まさにそのとおりだと思うんです。金がないからなどと言って、受益者負担の検討をするなどということほど情けないことはないと申し上げておきたいと思います。
残された時間で二つのことを提案したい。
先日の参考人質疑でDPI日本会議事務局長の佐藤聡参考人は、昨年行ったアメリカではほとんどの店舗で車椅子で入店できたという体験に触れて、食べたいもので自由にお店を選ぶことができ、人間とは本来こんなに自由なものなのかと初めて気づかされたと語り、日本の店舗は二千平米以上の大規模店舗しかバリアフリーの整備義務がなく、極めておくれていると指摘をされました。日本の店舗のうちバリアフリー化されて入店できるお店は一体何%あるか、その実態の把握さえされていないということが語られました。
総合政策局長に聞きますけれども、この今の実情、これは認識しておられますか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
突然の御指名でございますので、詳しいデータ等手元に持っているわけではございませんが、アメリカにおきましては、たしかADA法というのが制定をされて、それに基づいて、恐らく公民権運動を背景としてアメリカに脈々と培われてきている、まさにそうしたバリアフリーあるいはユニバーサルデザイン、そうしたものに対する取組がきっちりとして行われてきているということは私も承知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 二千平米という基準は、一九九四年のハートビル法から変わっていないんです。ぜひ実態を把握して、それより小さな店舗についても整備目標を持って進める必要があると私は思います。
そこで提案なんですけれども、配付資料三を見ていただきたい。これは、二〇一三年七月十九日に住宅局が公表した、地方公共団体における住宅リフォームに係る支援状況調査の結果であります。
五年前のこの時点で住宅のリフォーム支援制度を有している自治体は、都道府県では全てであり、市区町村でも、全千七百四十二自治体中千四百八十五自治体で行われておりまして、八五%を超えておりました。「リフォーム支援の分類」を見ていただくと、千四百二自治体がバリアフリー化となっております。ただし、この年の調査は耐震化というのが除かれておりまして、実は耐震化が一番多いということはお断り申し上げておきたいと思います。
いずれにせよ、住宅リフォーム支援では、障害者や高齢者に対応するバリアフリー化が一つのインセンティブになって全都道府県に広がったことは事実だと思うんです。今、住宅リフォーム支援制度についてはほぼ全自治体に行き渡ったことを受けて、群馬県高崎市などでは、店舗リニューアルに助成制度をつくり、好評を博している。既に五十五自治体に広がり始めているとお聞きをいたしました。
そこでこれは住宅局長に聞くんですけれども、店舗のバリアフリー化についても自治体での助成制度などを大いに支援していくべきではないかと私は考えますけれども、住宅局長の御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御紹介いただいた住宅リフォームの調査でございますが、これは国土交通省が支援しているものも、それから、当然公共団体が独自でやられているものもあるというふうに承知しております。
先ほどの群馬県のリフォームをちょっとどの部局が御担当されているかよくわからないんですけれども、建築物の助成につきましては、一般的には、住宅については私ども住宅局が中心になり、例えばホテル、旅館につきましては観光庁が、あるいは学校ですと文部科学省が、それから店舗でありますと、小規模事業者の事業の支援という観点から中小企業庁において、バリアフリー改修も含めた補助をお持ちだというふうに承知しております。
いずれにしましても、ただ、バリアフリーの支援は非常に重要でありますので、そういう群馬県などの取組などにつきましても御紹介をほかのところでさせていただきたいというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 総合政策局長に聞いた方がよかったのかもわかりませんが、では、次の問いもあわせて総合政策局長にお答えいただきたいと思うんです。
もう一つの提案なんです。スペシャル・トランスポート・サービス、略してSTSと言われるものでありますけれども、冒頭に述べた二〇〇〇年の修正案の第六に私は「バリアフリー化されても移動困難な人のための代替輸送の確保」ということを提案をいたしましたが、これがSTSであります。
STSは、駅から駅までのバリアフリーにとどまらず、ドア・ツー・ドアで移動手段を確保するというものでありますけれども、その二〇〇〇年の時点では、駅のバリアフリーすらできていないのに、ドア・ツー・ドアで移動の自由を保障するというのは現実的ではないという空気でございました。
しかし、今では、全国でローカル線や路線バスの廃止、高齢者の運転免許の返納などが進行するもとで、最後の足を守るために、自治体がデマンドバスやデマンドタクシーを走らせたり、高齢者にタクシーチケットを配付するなど、自治体独自の補助を行っているところも相当数に上っております。これを障害者にも広げるならば、STSの保障も決して非現実的ではなくなっていると思うんです。
こういう精神で自治体がマスタープランの中に障害を持つ人にドア・ツー・ドアのサービスを位置づけるということも大いに検討すべきだと私は思いますが、自治体でそういうことを積極的に取り入れることを含めて総合政策局長にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
御紹介いただいたSTS、ドア・ツー・ドアでの交通でございます。
これは、一方で公共交通が特に地域において大変厳しい状況にあるということの中で、例えばディマンドを選択をされる、あるいは福祉の観点から、福祉輸送サービスを行うようないわゆる福祉タクシーを選択される、いろいろな取組があろうかと思います。
そうした取組と、まさに今回改正をお願いしておりますバリアフリー法、ここに基づく市町村の例えば基本構想、こういったものへの位置づけがどうなんだろう、そういう観点からのお尋ねだというふうに受けとめさせていただいて、そういった位置づけについては、例えば基本構想の中の事業といたしまして、このスペシャル・トランスポート・サービスを市町村の判断で位置づけるということは特段問題ないと申しますか、可能であるというふうに思います。
また、基本構想の作成の中に協議会の仕組みがございますということを御紹介しておりますが、そうした協議会の中でもそうした議論を行っていただくということも、まさに、地域の今後の交通のあり方を議論する上では大変有効だというふうに考えておりますので、地域の実情に応じて、それぞれ市町村が独自の、あるいは有効な取組をぜひ続けていっていただきたいものだというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 終わります。ありがとうございました。