日本共産党議員の国会質問 土地所有者権利奪う 宮本岳氏、特措法案に反対 衆院委で可決
衆院国土交通委員会は23日、所有者不明の土地利用を進める特別措置法案を賛成多数で可決しました。日本共産党は、憲法29条の財産権に基づく土地所有者の手続保障の権利が不当に奪われるとして反対しました。
同法案は、道路などの公共事業の際に行う土地収用法の手続きを簡素化し、収用委員会による裁決を都道府県知事の裁定に代える特例などを盛り込んでいます。
宮本岳志議員は、法案の目的が公共事業を進めるコストと時間を省くことだと指摘。住民合意のない公共事業で、安易に所有者不明土地とされる危惧があると批判しました。
宮本氏は、事業者である都道府県知事が裁定者になった場合、客観性が保てないとただしました。国交省土地・建設産業局の田村計局長は「事業の担当と異なる部署が裁定を担当することで一定の客観性・中立性が担保される」と答弁。宮本氏は、担保にならないと反論しました。
22日の参考人質疑では、公共事業改革市民会議の橋本良仁代表が、事業者と裁定者が知事である場合について「左手で答案用紙をつくって右手で解答を出してパスさせる、これでは何でもありとなる。極論だがそういう危険性がある」と述べています。
( 赤旗2018/5/29)
日本共産党議員の国会質問 暴走政治と対決、国民の暮らし守る UR家賃の減免制度を 宮本岳氏、機構に検討迫る
宮本岳志議員は23日の衆院国土交通委員会で、低所得者や被災者などに住宅を確保する住宅セーフティネットについて質問しました。
国交省の伊藤明子住宅局長は、昨年10月施行の改正住宅セーフティネット法に基づく登録住宅の確保(21日現在)が全国で707戸、うち住宅確保要配慮者の専用住宅は281戸、家賃補助の実績(2017年度分)は1自治体14世帯と答えました。
宮本氏が「これで仕組みづくりが順調だということか」とただしたのに対して、石井啓一国交相は「今の状況で満足しているわけでは決してない」と施策の遅れを認めました。
宮本氏は、都市再生機構法でUR賃貸住宅の入居者が家賃の支払いが困難になった場合に「家賃を減免することができる」と定めているにもかかわらず、減免の申請用紙すらない実態を示し、継続入居者への家賃減免は行われているのかと質問しました。
UR都市機構の伊藤治理事は、現在の入居者に家賃の減免制度は設けていないと説明。宮本氏は減免制度の検討を求めました。
( 赤旗2018/5/28)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=TX7NQCS5A_w&index=135&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&t=0s (所有者不明土地)
https://www.youtube.com/watch?v=xfh3SdvoQ-I&t=0s&index=141&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4 (UR家賃減免)
議事録
所有者不明土地
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
本法案は、相続の機会に相続登記がされないなどのさまざまな事情により、不動産登記簿では所有者の所在が確認できない土地が全国でふえているために対策が必要だという背景をもって出されてきた法案であります。
まず大臣に基本的な確認をしておきたいと思うんですけれども、今回の法案は、所有者不明土地が今後も生まれ、増加し続けることを国交省として容認し、それは仕方がないことだという立場でつくられた法案でございますでしょうか。
○石井国務大臣 本法案は、所有者不明土地に関する対策といたしまして、まずは所有者不明土地の利用の円滑化を図るものであります。ただ、政府として、所有者不明土地が今後もふえ続けることを容認するものではございません。
所有者不明土地の発生抑制や解消に向けた抜本的な対策につきましては、登記制度や土地所有のあり方等と深く関連するため、政府一体となって検討することが必要でありまして、国土交通省といたしましても、登記制度を所管する法務省など関係省と連携しつつ、引き続き、土地所有に関する基本制度の見直しについて検討を深めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 容認するものではないという御答弁でありましたけれども、では政府参考人にお伺いいたしますけれども、所有者不明土地を円滑に利用する仕組み、今回の中に、所有者不明土地の発生を抑制し、解消するための条文があるかどうか。これは事実を確認させていただけますか。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
本法案における所有者不明土地を円滑に利用する仕組みにつきましては、所有者不明土地の利用の円滑化を図ることを目的としているものでございまして、所有者不明土地の発生抑制、解消を直接の目的としているというものではございません。
○宮本(岳)委員 条文にはないんですね。
先ほど大臣の方から、関係閣僚会議を開催をしているという話もございました。これは大臣も参加されていると思いますけれども、政府はこの問題で関係閣僚会議を開催をして、大臣、結論は出たのでございましょうか。
○石井国務大臣 政府におきましては、所有者不明土地の発生抑制や解消に向けた抜本的な対策を含めまして所有者不明土地対策を総合的に推進するため、所有者不明土地対策の推進のための関係閣僚会議を開催をしたところであります。
閣僚会議におきましては、「土地所有権や登記制度の在り方など財産権の基本的な在り方に立ち返って、土地に関する基本制度についての根本的な検討を行う」ことが確認をされたところであります。
引き続き、関係閣僚会議を中心として、総合的に対策を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 この関係閣僚会議、ようやく一回目を開催したところでありますけれども、問題の発生源について対策がまだ明確になっていない。問題の発生源についての対策が明確にならないうちにまずは利用円滑化というのは、私は、少し話の筋が逆ではないのかというふうに思います。
所有者不明土地がなぜ生じるのか、今空き地となっている所有者不明土地をどう管理し、治安などを守っていくのか、相続登記がなされないことや土地所有権放棄が認められていない問題をどうするのかなど、関係閣僚会議でもまだ議論しているようなこういう状況のもとで、なぜ原因の対処法も確立しないまま利用の円滑化ばかり急ぐのか。これは政府参考人にお答えいただけますか。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
この所有者不明土地の問題、非常にいろいろな要因の中で起きているものでございまして、一朝一夕にはなかなか片づかない。関係省庁も多くございますし、原因も複雑でございます。
そういった中で当面まずやるべきこととして、実際に既に所有者不明土地になっている土地が、いろいろな地域におきまして外部不経済をもたらしたり公共事業の円滑な執行を妨げる要因になっているということで、そういった所有者不明土地を原因として発生しているそういった困った状況に対してまず対処するべきということでこの法案を提出したものでございまして、引き続き総合的な対策を、先ほどの閣僚会議を中心にいたしまして検討を続けていくということでございます。
○宮本(岳)委員 結局は今度の法案は、公共事業を進める上で支障となっている土地収用のためのコストと時間を省こうというものであります。
しかし、今進められている公共事業の中には、住民合意のない事業もございます。しかも、利用のための手続を現行法よりも簡素化するというわけですから、安易に所有者不明土地と認定してしまう方向に流れかねない、こういう危惧、不安があるということを指摘しておきたいと思います。
次に、憲法二十九条の財産権保障と土地収用の関係についてお伺いをしたいと思います。
手続保障の面、住民意思の反映の面、この二つの面から確認をいたします。
まず、これも事務方でいいですけれども、土地収用法第一条の目的規定を読んでいただけますか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
土地収用法第一条におきましては、法律の目的といたしまして、「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」と定められております。
○宮本(岳)委員 公共の利益の増進と私有財産との調整を図るのが土地収用法だということであります。
私有財産というのは、言うまでもなく、憲法二十九条で基本的人権として保障された財産権のことであります。
では、土地収用法は、憲法の財産権を保障するため、現行法では地権者に対してどのような手続保障を定めているのか、ごくかいつまんで御説明をいただきたいと思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
土地収用法は、公共の利益となります事業の実施における公共の利益の増進と私有財産との調整方法をルール化したものでございます。
内容としては、大きく分けて、事業認定の手続と収用裁決手続という二つの手続を規定しております。
まず、事業認定の手続でございます。
国土交通大臣等の事業認定庁が、申請事業が土地を収用する公益上の必要性を有することを認定するという手続になっております。
具体的な手続の流れでございます。
まず、起業者において事前説明会を開催をいたします。その後、起業者から事業認定庁に事業認定の申請をいたします。申請がなされた後、市町村長が、申請書類の写しを二週間、公衆の縦覧に供します。その間、利害関係人は意見書を提出することが可能であります。事業認定に対して異議がある旨の意見が提出された場合には、事業認定庁は、第三者機関の意見を聴取するということとされております。また、公聴会の開催請求があった場合には、事業認定庁において公聴会を開催をいたします。
このような手続を経まして事業認定庁は、申請をされました事業が土地収用法の第三条各号の一に掲げるものに関するものであること、起業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有する者であること、事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること、土地を収用し又は使用する公益上の必要があるものであることの全てに適合すると判断する場合に事業認定を行うこととなっております。
次に、収用の裁決手続でございます。
収用の裁決手続は、都道府県に設置されます収用委員会が土地所有者等に対する適切な補償内容を決定をいたします手続でございます。
具体的な手続の流れでございますが、まず、起業者において土地や物件の現況等を記載した調書を作成をいたしまして、それを添付して収用委員会に裁決申請をいたします。申請がなされた後、市町村長が申請書類あるいはその写しを二週間公衆の縦覧に供します。その間に土地所有者等は意見書を提出することが可能でございます。収用委員会におきましては、原則として公開により審理を行いまして、意見を述べることを希望する土地所有者等がいればその意見を聴取の上、権利取得裁決及び明渡し裁決において補償内容について裁決を行うこととなっております。
裁決後は、起業者が決定された補償内容に基づいて補償金の支払い等を行うことによって土地を取得することが可能となる。
以上のような手続になっているところでございます。
○宮本(岳)委員 これらの手続は、先日の参考人の橋本氏も指摘されたようにまだまだ不十分でありますけれども、憲法二十九条が保障する財産権を最終的に取り上げることを可能とする法律だからこそ、一定の手続を必要としてきたわけです。
ところが今度の法律は、所有者不明土地について特則でこの手続を簡素化するということです。土地所有者に対し公開の審理を保障してきた収用委員会を知事の裁定にかえるということになっております。財産権保障にとって重大な変更だと思うんです。
所有者不明土地とはいえ、土地収用後に本来の所有権者が名乗り出る可能性はゼロではありません。公開の収用委員会の審理手続をなくして知事の裁定にかえ、不明とはいえ、存在する土地所有者の手続保障の機会をなくすことについて、憲法二十九条の財産権保障との関係で検討はしたのですか。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
本法案の土地収用法の特例は、御指摘のように、収用委員会の裁決ではなく、都道府県知事の裁定によりまして、審理手続を経ずして所有者不明土地を取得できることとするものでございます。
これは、まず、本特例の対象となる土地を、所有者不明土地ということで法令に定められた探索をまず行った上で所有者が明らかでない土地という中で、さらに、簡易なものを除きまして建築物が存在せず、利用されていない特定の所有者不明土地に限定をしているため、個別性の強い建築物の補償や移転料、営業補償の算定が不要となりますので、収用委員会並みの補償算定に関する専門的知識は不要であること、それから、明示的に反対する権利者がいないことを手続的に担保する条文も設けてございます。そういった公告縦覧を行った上で、権利者が異議を申し立てた場合には申請を却下するとしていることから、審理手続による権利者の意見聴取は不要であることを勘案したものでございます。
このため、本法案の土地収用法の特例は、現行の土地収用法と比べて財産権の保障を何ら弱めるものではなく、憲法二十九条の関係で問題はないものと考えております。
○宮本(岳)委員 私、少し国土審議会土地政策分科会特別部会のワーキンググループでの議論というのも見せていただいたんですけれども、「財産権の制限や収用には相応の理由が必要であるが、権利の社会的な拘束性と制限の程度の均衡が重要である。その意味で、権利を奪う収用については公共性が厳しく求められるが、私権との調整が行いやすい場面で簡素化した公共事業に関する措置を検討し、権利制限の程度が弱い場合については公共的事業に関する措置を検討するという切り分け自体は合理的。」と議事要旨にはそう書かれているんですけれども、これは、「切り分け自体は合理的。」と言っているだけでありまして、財産権との検討がされたとは言いがたいと私は読んだんです。
先ほどの答弁も、現行の手続の中で省略できるものを列挙したわけでありますけれども、それでは聞きますけれども、所有者不明土地に対して、現行制度にはない新たな財産権保障の手続を今回一つでも追加したものがありますか。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
まず入り口といたしまして、この特例の対象となる土地を、探索を尽くしても所有者が確知できない所有者不明土地であり、かつ、先ほど申しましたような、簡易なものを除いて建築物が存在せず、利用されていない所有者不明土地に限定しているということでございまして、まず入り口を絞っておりますし、それから、そういった土地についてこの今回の特例の申請があった場合、裁定の申請があった場合につきましては、確知されている所有者にあらかじめ周知を図った上で公告縦覧を行いまして、権利者が異議を申し出る機会を担保しております。さらに、そういった異議を申し立てた場合につきましては、申請を却下するということが明文化されております。
このような条文上の措置をとっているということでございます。
○宮本(岳)委員 入り口を絞ろうがどうしようが、新たに財産権保障の手続というものは、条文上は追加したものはないわけですよ。土地収用についていかに簡素化するかが先にあって、憲法の財産権保障を制度上いかに担保していくのかというそういう問題意識は希薄だと言わざるを得ないと思います。
結局、時間、労力、費用というコストをできるだけ省いて公共事業を推し進めたいという事業者側の立場を優先したもので、地権者の財産権をないがしろにするものではないかということを指摘をしておきたいと思います。
次に、法案では改正の対象となっていない事業認定手続についてただしたいと思います。
昨日の参考人質疑で橋本参考人が、「土地収用法の事業認定に至る手続は、公聴会を開催して第三者機関の意見聴取をすることになっております。しかし、この第三者機関というのは、国土交通省の社会資本整備審議会であり、主に審議するところは土地収用部会であります。この委員は、起業推進をする国土交通大臣がその責任者であり、その審査をするところも国土交通省の事業認定庁である。」と述べられました。
これは大臣にと思ったんですが、昨日、大臣ではなく参考人という話もありましたが、どちらでも結構です。この指摘をどのように受けとめられましたか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
国土交通大臣が行おうとする事業認定に対しまして異議がある旨の意見が提出された場合には、委員御指摘のとおり、社会資本整備審議会の意見を聞き、その意見を尊重しなければならないこととなっております。
審議を行います社会資本整備審議会公共用地分科会の委員につきましては、こうした制度が導入されました平成十三年の土地収用法の一部改正に当たりまして、衆参両院で附帯決議が付されております。
その内容は、委員が特定の分野に偏ることなく、法学界、法曹界、都市計画、環境、マスコミ、経済界などの分野からバランスよく人選するとともに、事業を推進する立場である中央省庁のOBを加えないことということで事業認定の中立性、公正性等の確保に努めることという附帯決議がなされております。
現在の委員は、この附帯決議に従いまして、特定の分野に偏ることなく、今申し上げましたような広い分野からバランスよく人選をされているということになっているものでございます。
○宮本(岳)委員 手続は適正に行われているとの御答弁ですけれども、橋本参考人も昨日指摘をしておりました。土地収用部会での議事録を住民が要求しても開示されたものは全て黒塗りの議事録、昨日そこで皆さんに示してお見せになっておりましたけれども、事業の公共性を担保するためにもこういう黒塗りということでは困るのでありまして、土地収用部会での議論が公開されるのは当然だと思いますが、いかがですか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
社会資本整備審議会公共用地分科会の個別の議事録でございます。
議事録につきましては、その公開により委員の意見等が公になれば、個別の議論を捉えて個別の委員に対する非難等がなされるおそれがございます。こうした事態は委員の自由かつ率直な意見の表明等に影響を及ぼしかねず、土地収用法の事業認定に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、審議や議事録は非公開という取扱いをいたしております。
また、そのような理由から、議事録について情報公開請求がなされました場合に、委員による意見の表明、交換、判断等に係る情報が含まれている部分は不開示とさせていただいております。
なお、この不開示処分に対して不服審査請求も出ておりますが、総務省の情報公開・個人情報保護審査会より、不開示とすることを妥当とするという答申もいただいているところでございます。
ただし、議論の内容や結論につきましては、発言者が個別には特定されない形で議事要旨を公表しているところでございます。
○宮本(岳)委員 適正にやっていると幾ら答えていただいても、適正かどうかを確認するすべはない。黒塗りのものしか見ることはできない。特定されない形で要旨がというだけだというのでは、胸を張っておっしゃるんだけれども、なかなか確証がないと思うんです。
橋本参考人は、知事が事業認定をして知事がこの案件では裁決もできるとなると、「左手で答案用紙を自分でつくって右手でサインをする、オーケーです、こういうことになるのではないか」と指摘をされ、関係住民の皆さんたちはこの問題に大変疑問を呈していると警鐘を鳴らしておりました。
土地収用手続が住民置き去りにならないようにこうした声に真摯に向き合うべきであることを指摘をし、さらに、今申し上げた知事の裁定にかえるという法案の問題についてお聞きをしたいと思います。
まず確認したいんですが、現行の土地収用法でも不明裁決制度を活用して所有者不明土地の収用ができると思うんですが、これはそうですね、事実ですね。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
土地収用法に基づく収用裁決の申請に当たり、過失なくして権利者を確知できない場合には、裁決申請書に当該権利者を記載せずに裁決申請をすることが可能です。
この場合、収用委員会が、収用手続を行った上で、補償を受けるべき権利者を不明としたまま裁決することとなり、起業者は、補償金を供託した上で土地を取得することが可能となります。これを不明裁決と呼んでおります。
このような不明裁決により、これまでも所有者不明土地の取得が行われてまいりましたが、所有者不明土地は、建築物が存在せず、利用されていないものが多く、このような土地はその補償額の算定が容易でもあるにもかかわらず、収用委員会の裁決を求めなければならないこと、所有者不明土地は共有地が多く、判明している権利者は一切反対していないのにもかかわらず、一人でも不明所有者が存在する場合には審理手続を行わなければならないことといった、実質的に意義に乏しい手続を行わなければならないという課題がございます。
このため、今般、建築物が存在せず、利用されていない所有者不明土地に限りまして、反対する権利者がいない場合には、収用委員会ではなく、都道府県知事の判断によりまして、審理手続を経ず土地を取得できることとする特例措置を講じたものでございます。
○宮本(岳)委員 今回の法案は、所有者不明土地の収用手続に、現行の収用委員会の裁定を知事の裁定にかえるというものがございます。その理由は今答弁があったとおりですけれども、これは憲法上の財産権保障との関係で問題があるということは私が指摘したとおりであります。
それだけではありません。十八日の当委員会で谷川とむ議員が、「事業実施主体と裁定主体が同じになる場合も想定されると思います。このような場合は、裁定申請事項の確認や裁定において適切な判断が行われるためにはどのような措置が講じられることになるのか」と質問されました。これに対して田村局長は、御指摘のような都道府県が事業を実施する場合につきましては、「直接事業を担当する部局とは別の部局が確認や裁定を担当することをこの法律の基本方針等におきまして定めることとしております。」こう答弁をされました。
しかし、これは、事業主体たる知事の意思決定に対して都道府県の部局がその是非を判断するというものであります。都道府県の部局に果たしてそのような権限があるのか。法令上の根拠をお示しいただけますか。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
土地収用法の特例におきまして、御指摘のように、事業主体と裁定主体がともに都道府県知事となる場合はあり得ます。
このような場合につきましては、例えば、道路整備を担当する部署などの事業を直接担当する部署とは異なる部署が裁定の事務を担当することを基本方針等において定めること、それから、補償金額について収用委員会の意見を聞くこと等の措置を講ずることによりまして、一定の客観性や中立性が担保されるものと考えております。
○宮本(岳)委員 いやいや、そんな、県の職員が知事の意思決定と異なる確認や裁定をすることはあり得ないと申し上げておかなければなりません。何の担保にもなりません。事業を実施するのも都道府県知事、裁定するのも知事というのでは、自分の事業について自分で裁定を行ってゴーサインを出すことになります。まさに自作自演だと指摘をしなくてはなりません。
次にただしたいのは、リニア中央新幹線建設事業と法案との関係です。
この事業にかかわって沿線で多数の所有者不明土地が存在している、これは事実ですね。
○田村(計)政府参考人 リニア中央新幹線の事業に係りますところにつきまして所有者不明土地がどのように所在しているか、していないかということについては、把握をしてございません。
○宮本(岳)委員 では、リニア事業で所有者不明土地、これを活用したいという場合も、この土地収用法の特則は使えますね。
○田村(計)政府参考人 お答えいたします。
土地収用法の特例制度の対象は、土地収用法の収用適格事業の対象と同一でございます。
リニア中央新幹線に係る事業につきましては、土地収用法第三条第七号に規定する、鉄道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設に該当いたします。
このため、リニア中央新幹線に係る事業が土地収用法に基づく事業認定を受けた上で、対象の土地が特定所有者不明土地に該当し、当該土地の取得について反対する権利者がいない等の一定の要件を満たす場合には、本法案の土地収用法の特例の対象になり得ます。
○宮本(岳)委員 なり得るという答弁でした。
リニア中央新幹線事業では、沿線で多数の所有者不明土地の存在が判明しております。JR東海が土地の取得に苦慮しているという運動団体の報告もあります。JR東海は土地収用を行うこともあると地権者に公言しており、これをおどしと受け取っている方もおられます。財産権を取り上げるぞとおどしているようなものです。
運動団体からは、本法案は、タイミング的にもリニア推進のために出されてきたという指摘もございます。リニアに三兆円もの公的資金を投入するだけでなく、土地収用についても政府はJR東海に対して至れり尽くせりだと言わざるを得ないと思うんです。土地収用法の特則については決して認められないということを改めて指摘しておきたいと思います。
最後ですけれども、昨日の参考人質疑で、本法案に賛成の立場で出席をしておられた国土審議会の土地政策分科会分科会長の山野目章夫参考人も、今まででも、不動産登記の事務、人権擁護、供託、戸籍にかかわる事務をするのに手いっぱいの状態だと述べられ、そこに所有者不明土地問題や相続登記の推進という新しい課題に立ち向かわなければならない、法務局の職員を減らすのをやめていただきたいと語られました。
国会でも、毎年、衆参の法務委員会で、法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願が全会派一致で採択をされております。
きょうは法務省に来ていただいておりますけれども、最後に、所有者不明土地問題の解決を進める上でこの法務局の定員の増員こそ必要だと私は思うんですけれども、法務省の所見をお伺いをして質問を終わります。
○筒井政府参考人 法務局がその機能を十分に果たし国民や社会の期待に応えるためには、所要の体制の整備に取り組んでいく必要があると考えております。
今回の特別措置法案第四十条の規定に基づく新たな登記官の業務を始めといたしまして、法務局に対するさまざまな新しい社会的要請に的確に対応するためには、体制の整備を行うことが重要であると考えておりまして、平成三十年度におきましては、所有者不明土地問題への対応に必要な要員として、登記官二百二十三名の増員が措置されたところでございます。
今後とも、必要な人員の確保に向けて、私どもとしても最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 終わります。
UR家賃減免
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、住宅問題について質問をいたします。
まず、改正住宅セーフティーネット法についてお聞きします。
この法改正は、昨年の通常国会で参考人質疑も経て全会一致で成立し、十月二十五日に施行されました。単身の高齢者や生活保護の受給者に対し民間賃貸住宅の大家さんの拒否感が高いことや、総務省の調査でも、六十五歳以上の高齢者世帯のうち、民間借家に居住する世帯の約六割が年収二百万未満の低収入であることなど、住宅困窮者対策が求められる中、増加する空き家の対策とあわせてつくられた制度であります。
二〇二〇年度末までに十七・五万戸、年間五万戸相当の登録住宅を確保する目標で開始いたしましたけれども、法案の審議当時から、規模が小さ過ぎるという意見もございました。家賃低廉化措置の予算も一七年度はわずか三億円で、桁が違うという指摘が法案審議の過程でも上がりましたけれども、新たな住宅セーフティーネットへの期待は非常に大きいものがございます。
そこで聞くわけですけれども、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録数は何戸であるのか。総登録戸数と要配慮者専用住宅の戸数を答えていただきたい。また、改正法施行の後で住宅確保要配慮者の方が何世帯入居されたか、把握しておられますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十月に施行された改正住宅セーフティーネット法に基づく住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅につきましては、五月二十一日現在で七百七戸が登録されたほか、千四百十四戸が受け付け審査中となっております。
なお、登録済み住宅のうち、要配慮者専用のものは二百八十一戸というふうになっております。
それから、そのうちの要配慮者の数でございますが、まず、要配慮者専用のものは当然その要配慮者がお入りになられて、それから、入居を拒まない賃貸住宅につきましては全てが住宅確保要配慮者という形にはなっていない、こういう状況でございます。
○宮本(岳)委員 改正法施行の後の入居数はわかりますか。
○伊藤政府参考人 セーフティーネット住宅で入居中のものは四百七十四戸でございまして、入居者属性のわかる二百八十八戸のうち、住宅確保要配慮者が入居しているものは百八十二戸となっております。
また、そのうち、要配慮者専用住宅というのは百六十二戸という形になっております。
○宮本(岳)委員 いずれにせよ、極めて少ないわけです。
では改めて聞きますけれども、昨年度三億円の予算がついた家賃低廉化措置は適用されているのか。自治体数、世帯数、低廉化された金額を答えていただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
家賃低廉化補助の平成二十九年度の実績についてでございますが、改正法が施行されたのが昨年の十月ということもございまして、まだ間もないことから、静岡県の長泉町において、ことし二月から三月までの間、十四戸に対して計六十八万戸の補助を行ったという状況でございます。
○宮本(岳)委員 六十八万戸とおっしゃいましたけれども、六十八万円ですね。訂正してくださいね。
○伊藤政府参考人 大変申しわけありませんでした。
十四戸に対して計六十八万円の補助ということでございます。大変失礼申し上げました。
○宮本(岳)委員 聞けば聞くほど寂しい数字なんです。
私の選挙区の近畿では、滋賀県、奈良県、和歌山県では、登録住宅そのものがゼロです。年間五万戸相当という政府の登録目標からすれば、ことしの三月末までに二万五千戸の登録がされていなければならない計算になりますが、遠く及ばない。
そこで聞くんですけれども、国交省は、住宅セーフティーネットの開始として、これで十分だ、仕組みづくりが順調に進んでいる、こうお考えでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図るためには、今後、より多くのセーフティーネット住宅を確保していく必要があるというふうに考えております。
現時点でセーフティーネット住宅が少ない原因でございますが、制度が創設されて半年ということもございまして、賃貸住宅の所有者に制度が十分知られていないことがある、それから、公共団体が、地域の実情に応じて要配慮者の追加等を行うことができる、賃貸住宅供給促進計画の策定にやや時間を要していることなどが考えられるほか、事業者団体からは、登録に当たっての申請の事務などの負担が非常に大きいという御指摘をいただいているところでございます。
国土交通省としては、こういう状況を踏まえ、今後もセーフティーネット住宅の登録を促進するため、地方公共団体、事業者団体等と協力して説明会やセミナー等による制度の周知を進めること、それから、地方公共団体に対して賃貸住宅供給促進計画の策定や補助制度の創設を働きかけることとしておりますが、あわせまして、七月上旬をめどに、登録の際の申請書の記載事項や添付書類の簡素化を予定しておりまして、さらに、事業者等が有する既存の物件データをそのままちゃんと入れることができるといったような簡便化をすることで、登録申請に係るデータ入力の手間を縮減するためのシステム改修も進めているところでございます。
こうした形で事業者団体とも連携いたしまして、セーフティーネット住宅の登録促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 さすがに相当言いわけをされなければ、到底まずい到達点だというふうにお感じになっているんだと思いますけれども、大臣、念のために、一層スピードアップして進めるその御決意を一言お聞かせいただきたい。
○石井国務大臣 私どもも今の状況で満足しているわけでは決してございません。今後とも、事業者団体と連携をして、セーフティーネット住宅の登録の促進に努めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 次に、UR賃貸住宅について聞きたいと思います。
昨年十月に関西公団住宅自治会協議会が集計した第十一回団地の生活と住まいアンケート調査によれば、公団賃貸住宅に長く住み続けたいとの回答が七四・二%ある一方で、不安、不満として、家賃値上げや収入減少で家賃が払えなくなるとの回答が六一・三%もございました。七十五歳以上の世帯が三八・三%、世帯収入が二百万円未満の世帯が三八・四%と、世帯の高齢化と低所得化が進んでおります。
UR賃貸住宅は、こういう実態を踏まえて、安心して住み続けられる住宅セーフティーネットの一翼を担わなければならないと思います。
そこで、URにきょうは来ていただいていますので、UR賃貸住宅の家賃の減免について聞きたいと思います。
都市再生機構法二十五条四項には、「機構は、第一項又は第二項の規定にかかわらず、居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者でこれらの規定による家賃を支払うことが困難であると認められるものである場合又は賃貸住宅に災害その他の特別の事由が生じた場合においては、家賃を減免することができる。」と書いてございます。
この二十五条四項に基づいた家賃の減免は実際にやられておりますか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
都市再生機構法二十五条四項の規定に基づく家賃減額措置につきましては、配付資料に記載のとおりではございますが、平成二十八年度におきまして、高齢者向け優良賃貸住宅に係る減額措置、これが約二万二千二百世帯、高齢者世帯向け地域優良賃貸住宅減額措置、こちらが百世帯、子育て世帯向け地域優良賃貸住宅に係る減額措置、約千九百世帯、近居促進に係る減額措置が約五千四百世帯、ストック再生・再編に係る減額措置、こちらが約一万五千七百世帯、家賃改定に係る減額措置が約二万八千三百世帯、合計約七万四千世帯に対しまして家賃減額措置を講じているところでございます。
○宮本(岳)委員 きょうは、お手元に今おっしゃったものの一覧表を、これはURから出していただいたものを配付してございます。
では聞くんですけれども、これらの制度は全て、UR賃貸住宅に継続して住み続けている方が入居中に家賃の減免申請をできる制度になっておりますか。いかがですか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
先ほど御紹介いたしました減額措置のうち、資料で申しますと下の二つのカテゴリーでございます。ストック再生・再編に伴う減額措置、それから家賃改定の減額措置、これは特別措置とも言っておりますけれども、これらの制度につきましては既存の居住者の方を対象としたものでございまして、七万四千のうち約四万四千がこちらのカテゴリーとなってございます。
○宮本(岳)委員 逆に言うと、上から四つは、住み続けている方には適用されない。新規の方でなければ適用されないということです。
ちなみに、この家賃改定に係る減額措置というのは、家賃が上がったときに据え置くという制度だと思いますが、今の家賃より下がるということはあるんですか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
家賃をお支払いいただく側の皆様から見ますと単なる据置きではないか、こういうことになろうかとは思いますけれども、私どもの考え方といたしましては、家賃は、その改定日におきまして引上げ後の額に変更されておるという考え方でございます。
ただし、その改定された額のお支払いをいただくことを免除いたしまして、引上げ前の家賃までにとどめておくということで、私どもの考え方としては減額だというふうに理解をしております。
それから、先生御指摘になりました、現にお住まいになっていらっしゃる方々がお支払いになっている家賃、それよりも更にその額を名目上も引き下げるようなそういう改定を行う減額制度は設けておらないところでございます。
○宮本(岳)委員 設けておらないんですよ。ないんですよ。
私のところへこういう話が届きました。関東地方のUR賃貸住宅の入居者でありますけれども、機構法二十五条四項の規定による賃貸住宅家賃の減免申請を受けたいと、八十代の女性で要支援二の認定、病院が必要だが歩行も困難、生活保護を受給していたが、突然保護を廃止されて家賃の支払いが困難になったからだということで、個人情報ですからお見せできませんが、それらの書類も全部私の手元に来ております。
申請書というものがないんです、大体。減額の申請書というのはないんですよ、これは。それで、御自分で申請書を自作して届けた。一カ月以上待たされたあげくに、そのような減免の制度はないという回答が返ってきた、こういう話なんです。
実は、二〇一六年十一月二十一日、衆議院の決算行政監視委員会の第四分科会で我が党の宮本徹議員がこの減免制度の適用をされているのかと聞いたら、やはり先ほどのずらずらっというのが出て、やっています、こういう話なんですが、実は、現に今住んでいて経済的困難に立ち至った人が今よりも家賃を減免してほしいということについてはまさに制度もない。申請書すらない。無理やり自分でつくって届けても、そんな制度はありませんといって返ってくる。こういう現状なんです。
これでは本当にそういう方々は救われないんじゃないですか。いかがですか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
お住まいの方々が、それぞれの経済条件が変わったことを理由に機構に対して家賃の減額を求めることができる、そういう制度の御要望があることは承知をいたしております。
ただし、家賃につきましては、市場価格と申しましょうか、近傍同種家賃とするという都市再生機構法の趣旨を踏まえますと、全ての御要望に沿うことはなかなか難しいかなと思っております。
先生御指摘の、お答えに時間がかかったというケースにつきましては、個別に承知しておりませんが、おわびを申し上げたいと思います。
そんな中で、URとしましても、住宅セーフティーネットとしての役割を持続的に果たしていこう、こういう気持ちがございまして、国費等の支援もいただきながら、高優賃を始めとする各種減額制度、これも順次拡大して講じてまいりました結果の現状でありますことは御理解をいただきたいと思います。
なお、現にお住まいの方が収入等で一定の要件を満たしていらっしゃる場合には、高優賃等の減額措置がある住宅にURの中で住みかえ、転居していただくということは可能でございます。そういった御案内もしてまいりたいと思っております。
以上です。
○宮本(岳)委員 二十五条四項は「家賃を減免することができる。」と書いてあるわけですから、そうしち面倒くさい話じゃないんですよ。法律に照らせばみんなできるんだろうと思っているわけです。そういう制度がないという方が、えっ、何でなんだということになっているんです。
そこで、今御説明のあった話なんですよ。かといってURは全くそういうものがないかというと、高優賃はあるんです、二万二千二百世帯。
今お話しあったように、ここへ新たに越せば家賃が下がるんですよ。この高優賃というのは、今あるUR住宅の中であいたところにそういう整備をしているものですから、高優賃の住宅に、その部屋に越せば、理論上は、たとえ隣の部屋であっても引っ越せば下がるんですよ。しかし、今住んでいるところにいると制度はないんですよ。そういうことですね。そうでしょう、事実は。
○伊藤参考人 御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 おかしいじゃないですか、こんなの。それが可能なら、今のところにお住まいになりながら減免する制度をやはり検討するのは当たり前だというふうに思うんです。
年をとって年金生活になる、家族を亡くしてひとり暮らしになる、非常に家賃の支払いが困難になるというのは誰もがあることでありまして、そうなると、引っ越しなんというのはなかなか大変なんですよ。では、八十を超えたこういう方に引っ越せと言ったって、いかないわけですから。
UR機構は、今お住まいの方は今お住まいのままで機構法二十五条四項の減免をやるべきだ。今の冷たい施策を転換して、今お住まいの居住者の声に応えてそういう制度を検討すべきだと思いますが、いかがですか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
私の御説明がやや言葉足らずでございましたけれども、高優賃等の制度を活用した住宅、これは国費も入れていただいておりまして、そのような住宅として補助をいただいて整備をいたしますと、そのお客様については公募をして決めさせていただくということでございますので、任意の方が、私の住宅を高優賃にしてくれと言われて、そこでそれが実現するというものではないものでございます。ここをちょっと先ほどお話しし忘れました。
しかしながら、高齢者の方々の住まいの安定ということに寄与していくこともURの重要な使命と思っておりますので、引き続き、さまざまな制度、国の御支援もいただきながら検討してまいりたいと思っております。
以上です。
○宮本(岳)委員 そのとおりなんです。高優賃の整備というのはもちろんそういう制度の枠でやっていまして、例えば、今お住まいの高齢者の方がURにお願いしますと、確かに、高齢化された場合に、手すりをつけたりとかということをやっていただけるというんですけれども、高優賃で整備された住宅というのは、そんな手すりどころじゃない、もっときちっと整備されたものですよ。そういうものもやらねばならぬ、やろうじゃないかと言ってやっておられるURだけに、現に今お住まいの方々もどんどん高齢化されて、そのニーズに応えなきゃならない。
そのときに、高優賃で整備されたところに新たに入居される方はそういう扱いになっていて、自分たちは長年暮らしてきて減免の制度すらない。これではやりきれないというのは、私は、誰が考えたってそうだと思うんです。
時間が来ましたので最後に大臣に、やはりこういった問題にきちっと応えていくということは私非常に大事だと思うんですが、大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○石井国務大臣 UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など民間市場では制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。
一方、URは、多額の有利子負債を抱える中、適切な賃貸住宅管理により、健全な経営の確保も求められております。
このような中で、UR賃貸住宅におきましては、都市再生機構法第二十五条第四項に基づき、高齢者向け優良賃貸住宅に居住する世帯への家賃減額措置や、既存の居住者に対しては、建てかえ時や家賃改定時に家賃上昇を抑制するための家賃減額措置などを講じているところであります。
今後とも、住宅セーフティーネットの役割と健全な経営の両立を図っていけるよう、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額措置を講じてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 ぜひ御検討いただきたいということを申し上げて、時間ですので終わります。