森友疑惑 8億円値引きありき 国交省も一体で 宮本氏が追及 衆院国交委
日本共産党の宮本岳志議員は25日の衆院国土交通委員会で、新たに開示された学校法人「森友学園」との国有地取引に関する交渉記録を元に、約8・2億円値引きありきの地中ゴミの積算をめぐる国交省の関与・責任をただしました。
宮本氏は、950㌻余に上る交渉記録のうち、2016年3月30日、同4月5日の応接記録(表、ともに財務省近畿財務局作成)を元に追及。学園側が国に「新たなゴミ」が出たと報告し、対応を協議していた時期です。学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=は、安倍晋三首相の妻、昭恵氏との親密さを誇示し、「新たなゴミ」が原因で工事が遅れ、翌年4月の小学校開校に間に合わなければ損害賠償請求すると迫っていました。
宮本氏は、交渉記録で16年3月30日に国交省大阪航空局が「状況は認識した」と述べていると指摘。「航空局は、訴訟を避けるためには『売却額から減額』、すなわち大幅値引きして売り払う以外にないと認識したのだな」と追及しました。
国交省の蝦名邦晴航空局長は「調査中だ」と述べるにとどまりました。
宮本氏は、同日、「財務局・航空局」連名の発言として「財務局と航空局で協議して検討を進めたい」と記載されているとも指摘。「大幅値引きのための、つじつま合わせのゴミの積算は財務局と航空局一体で進めたということだ」と強調しました。
さらに、4月5日の工事業者の発言とみられる記載(表)は、すでに財務省が認めている音声データでの「3㍍より下から出てきたかどうかは分からない」「9㍍というのは分からない」などの業者の発言と重なると指摘。値引きありきの地中ゴミの積算を、航空局も一体で行った疑いがいよいよ濃厚だとして「国交省も職員の手控え、個人のパソコン端末なども含めて洗いざらい調査し、国会に提出すべきだ」と求めました。
( 赤旗2018/5/26)
動画 https://www.youtube.com/watch?v=1OcLd1Dmdgo&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&index=154&t=0s
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず法案について聞きます。
本法案は、二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約、略称シップリサイクル条約の国内法整備の法案であります。船舶をリサイクルのために解体する際に海洋汚濁などから環境を保護し、労働者の安全確保を図ることは当然であり、我が党は条約承認にも賛成をいたしました。
しかし、船舶の売買、解体、資源のリサイクル市場への売買、再資源化というサイクルの中で、利潤のみを追求すれば、おのずとコストが安く、再資源化市場の活発な開発途上国へ売船することにならざるを得ないと思うんです。
そこで大臣にお伺いいたしますけれども、船舶の海外での解体は公害の輸出に該当する、こういう意見もあると思うんですが、それについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 途上国の劣悪な施設での船舶の解体は公害の輸出に該当するのではないかとの指摘が、国際NGO等からなされていることは承知をしております。
そのような指摘が出ていることも踏まえまして、我が国の海運業者は、解体に当たりましては、インド、中国等主たる解体国のうち、シップリサイクル条約で求められております環境汚染防止対策、労働災害対策が自主的にとられている施設を選ぶように取組を強化をしていると承知をしております。
今回御審議いただいております本法律案及びシップリサイクル条約では、海外であっても適切に管理された施設でのみ船舶の解体を承認する仕組みとなっておりますので、この仕組みを強力に推進することによりまして、船舶の解体による途上国等での環境汚染の防止及び労働災害の減少に寄与するものと考えております。
○宮本(岳)委員 外務委員会の質疑でも、我が党の穀田委員が、そういう開発途上国で危険な作業をやらせるやり方について、自主規制するくらいのことを指導するのは当たり前だと指摘をいたしました。その上で、この条約に加わる以上、国内法の整備は当然であり、我が党も賛成をいたします。
さて、残された時間を使って、この間私が一貫して聞いてきた森友学園への国有地売却問題にかかわる国土交通省の対応についてただしたいと思います。
先ほど大臣は、この間の私たちの調査要求に対して、依然として調査中だという御答弁をされました。
けさ、麻生財務大臣は森友文書の廃棄を謝罪し、佐川氏らを処分する考えを示したと報じられております。きょうは理財局次長に来ていただいておりますが、これは事実でございましょうか。
○富山政府参考人 お答え申し上げます。
私ちょっと今御指摘のあった点については、別の業務をやっておりましたので確認がとれておりません。申しわけございません。
○宮本(岳)委員 けさのことですので通告が間に合っていなかったようでありますが、報道で確かにけさ麻生大臣は謝罪をされたというふうにお伺いいたしました。
四月四日、前回、私が大臣とこの問題を議論したときに、大臣は私に、財務省において調査が進められているので、財務省の調査の状況も見きわめながら、丁寧に調査を進めると答弁をされました。そして、その財務省は、三千ページに及ぶ決裁文書の原本、九百四十五ページに及ぶ交渉記録、合計四千ページを超える資料を国会に提出をいたしました。
これを受けて、当然、国土交通省も間もなく調査結果を出すということで大臣よろしいですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
決裁文書の改ざんを依頼したということにつきましては、今現在、職員への聞き取りなどを行っておるところでございます。
大阪地検による捜査が進められている中で、財務省において引き続き調査が進められているところでございますので、正確性を期すためにも、財務省で行われております調査の状況も見きわめながら、丁寧に進める必要があると考えておりますけれども、できるだけ早期に確認を進めてまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 報道では、改ざんの依頼があったということとあわせて、工事業者が地下埋設物についての計算にかかわって虚偽の報告をさせられたと語っているという報道、それから、一度航空局が出した見積りについて近畿財務局が更に額を増額するように要請した、こういう報道、それぞれあったわけでありまして、それぞれ調査を要求していると思いますが、いかがですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のございました、近畿財務局が見積りを八億円ほどとするように持ちかけたとの点などにつきましては、大臣からの御指示に基づきまして調査を進めているところでございます。
現在、大臣官房立会いのもとで、本省航空局におきまして、当時、本件見積作業にかかわったと考えられております大阪航空局の職員を中心に聞き取りなどを行っているところでございますけれども、本件見積りにつきましては、二年以上も前の事案でございまして、既に本件の担当を離れ、別の部局で業務に当たっている者もいる中で、当時の大阪航空局の職員一人一人の記憶を繰り返し丁寧にたどっていかなければならないというようなこともございまして、現時点におきまして、調査結果をお示しするに至っていないところでございます。
いずれにいたしましても、委員の御指摘も踏まえまして、可能な限り早期に調査結果をお示しできるよう作業を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 前のことだとおっしゃるんだ。財務省と国土交通省で時期が違うわけがなくて、まさに財務省が今回これだけのものを出したのも、同じ時期のものを同じように調査をして出しているわけです。
いずれにしても、財務省からは、このたび九百四十五ページに上るこの交渉記録が提出されました。そして、この交渉記録を見ると、私が四月四日に指摘したとおり、交渉や契約の折々に大阪航空局が近畿財務局と一緒に協議してきた事実がはっきりと示されております。
きょうは、その交渉記録のうち二つのものを配付資料としてお配りをいたしました。
一つは、平成二十八年三月三十日午前十一時から十三時まで、大阪航空局の補償課長と課長補佐が近畿財務局の二人の職員とともに森友学園を訪問して行われた交渉についての応接記録であります。
実は、この会合は、この前日に大阪航空局の職員四名と近畿財務局の職員二名が森友学園の当時の顧問弁護士の弁護士事務所を訪問し、打合せを行った上で持たれた会合であります。
これは、理財局、間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
三月三十日の前日、平成二十八年三月二十九日に今御指摘のような会合が持たれたのは、交渉記録の上では確認ができております。
○宮本(岳)委員 この前日、三月二十九日の応接記録を見ますと、弁護士はまずこう切り出しております。
本件を収束させる方法として、国側において廃棄物埋設の実態や様々な事情を勘案した売払価格を出していただき、学園が土地を買い取ることにより問題解決を行いたいと考えている。その場合、今後の損害賠償請求は行わないという整理をしたい。
本件には複雑な問題が多すぎて状況を打開するにはこれしかないと考えるところ。
副園長は事業を中止して損害賠償請求に打って出たいようである。その場合、学校用地として借受けている用地が、現状のままでは学校用地で使えないことに対する債務不履行の責任など、訴訟提起する切り口は沢山あるが、事業中止・損害賠償請求に進むと学園も国も相当の負担が生じるし、泥沼になると考えている。
理事長は事業を進めたい意向を持っており、私の提案について理解を示しているため、土地を買受けることで事業を中止することなく問題解決を図りたいと考えている。
当然、国が提示する金額次第では、合意できずに訴訟にならざるを得ないが、私はできる限り土地の買取りでの問題解決に向けて理事長・副園長を説得しようと考えている。
その後、幾らかのやりとりがありますけれども、最後は、近畿財務局と大阪航空局がそろって「よろしくお願いする。」と弁護士の提案に乗っております。
理財局、これも間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今委員が御指摘になったとおりでございます。
○宮本(岳)委員 こういうシナリオをつくった上での三月三十日の訪問でありました。
資料一を見ていただきたい。弁護士が「本当の理屈は、国がいますぐトラックを出して処理できれば問題のないことであるが、それが難しいと言うことですね。」と水を向けると、航空局は「困難である。」と。「では、学園が撤去するとして、所要額をすぐに支払っていただけるのか。」と聞くと、航空局は「予算が確保できていないため、今回の有益費の支払いと同様に次の年度の予算になる可能性がある。」と答えております。そうすると、弁護士が、一番下の箇所、「それは国の都合であり、全く理由にならない。実際にもう撤去を始めなければ開校できない状況。予算がない、いつ支払えるかわからないということであれば、これを解決するための最も合理的な方法は売却価格から減額することである。 それができないのであれば、学園側で撤去した上で損害賠償請求となるざるを得ない。」と述べ、資料二に行きますけれども、籠池氏が「六月の棟上げ式には首相夫人を招待するスケジュールを組んでいる。やらざるを得ない。これができなければ、私は切腹する覚悟。」とまで述べて、そして弁護士は、損害賠償請求となれば、私は利息も含めて請求するつもりだと畳みかけます。
そこで文書を見ていただきたい。財務局が航空局に対して、「認識されたい。」こう言います。すると航空局は、「状況は認識した。」と出てまいります。
これは航空局長に聞きますけれども、これは、訴訟を避けるためには売却価格から減額する、すなわち、大幅値引きをして売り払う以外にないということを認識したということでありますね、航空局長。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
三月三十日に近畿財務局から見積りの依頼があったことを受けまして、近畿財務局と協議、調整をしながら見積作業を行っております。
委員御指摘の応接記録におきましては、くい掘削工事の過程で出てきたごみへの対応をめぐりまして、相手方が損害賠償について言及するなど、厳しいやりとりがなされているということは事実でございますが、見積りは、既存の調査あるいは職員などの現地確認など、当時の検証可能な材料を根拠に行っているというものでございます。
いずれにいたしましても、現在さまざまな調査を進めているところでもございますので、そうしたことの結果をお示しした上で丁寧に御説明していきたいというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 その後を見ていただきたい。「財務局・航空局」、まさに両者一体で、「ここで国が何もしないとして立ち止まるわけにはいかないと考えている。解決策がある限りは検討したい。打合せをお願いする。」ということで、四月五日の現地打合せが決まっております。
そして資料三、最後の結論。これまた「財務局・航空局」両者一体で、「今、考えられる唯一の解決策であることは認識しているため、財務局と航空局で協議して検討を進めたい。」となっています。
航空局に聞きますけれども、八億二千万円の大幅値引きと、そのつじつま合わせのためのごみの積算は、こうして財務局と航空局一体で進めてきたことではないんですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたように、三月三十日に近畿財務局からの見積りの依頼を受けて、近畿財務局と協議、調整をしながら見積作業というのは行ってきております。
今の、四月五日の応接記録を見てみますと……(宮本(岳)委員「いや、三月三十だよ、今のは。今は三月三十だよ」と呼ぶ)あっ、三月三十、はい。三月三十日は、そういう協議、調整をしながら見積りを行ってきておりまして、先ほど申しましたように、くい掘削工事の過程で出てきたごみへの対応をめぐりまして、何らかの対応をしなければいけないということを認識しておりまして、そのために、さまざまな資料を提供を受けて、既存の調査や職員の現地確認なども経て、検証可能な材料を根拠にして見積りを行っていたということでございます。
○宮本(岳)委員 ではどういうことをやったか。まさに、先ほど出てきた四月五日の現地打合せ。
その次の資料は、その四月五日現地打合せの面接記録であります。私の示した音声データでも、工事業者は盛んに、我々の方から三メートルより深いところから新たなごみが出てきたと言った覚えはないと抵抗しておりましたけれども、この文書でもそれがうかがえます。
資料五の中ほど、工事業者が、
グランド側においても深度三メートル程度からゴミ等が含まれている層は確認されている。ただその層がどこまでかは確認できていないし、写真・資料など残していない。改めて掘削するしかないが、掘削しても廃棄物層の範囲・深さの推定は困難なもの。
国が求めている廃棄物の推定埋設量の算出は難しいので、国で判断していただけないか。掘削自体は行って、国に確認いただける状況は用意する。
と述べ、航空局が「どの深さまで掘削できるか。」「九メートルまでは可能か。」と聞くと、「それほど深くまでは無理。三メートル程度が限度。」と答えております。
航空局に聞きますけれども、国が求めている廃棄物の推定埋設量の算出、これは一体何のことなんですか。
○蝦名政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。
記載内容の詳細は近畿財務局の作成でございますので、詳細を御説明することはちょっと難しい部分もありますのでその点は御理解いただきたいと思いますが、その上で申し上げますと、この当該文書も示しながら当時の状況について職員にも確認をいたしておりますけれども、大阪航空局といたしましては、三月三十日に見積りの依頼を受けて以降、御指摘の四月五日の応接記録に添付されております、きょうは添付がされておりませんけれども、この四月五日の添付文書には、「提供を依頼する書類」という一覧がございまして、当時、地下埋設物の数量の見積りをするためにどんな資料を提供していただきたいかというリストがついておりまして、そういうことのお願いをしているという状況でございまして、地下埋設物の数量の見積りのための資料というものをこの打合せの際に出していただきたいということをお願いをしているという記録だというふうに理解をしています。
○宮本(岳)委員 資料六を見ていただきたい。「項目「オ.確認させていただきたい内容」について」というところが出てまいります。弁護士が一般論を述べた上で「口頭で構わないか。」と尋ね、航空局は「口頭による回答で構わない。」と答えております。
これは理財局に聞きますけれども、この項目オというのは、まさにこの面接記録に添付された、先ほど航空局が答弁した「提供を依頼する書類」の中に出てくるわけでありますけれども、二項目書いてありますけれども、このオというものはどういうものでありますか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
「提供を依頼する書類」という表題のリストの中には、ア、イ、ウ、エ、オと五項目ございます。このオで「確認させていただきたい内容」とございまして、二つ内容がございます。一つは、「杭打ちに伴い発生した廃棄物混在土壌はどの範囲に存在していたと推測されますか? また、場外搬出する概算土量はどの程度ですか?」。もう一点が「グラウンド側に存在する黒い土の層は、地表からどのあたりに存在していると推測されますか(範囲・深度)?」というものでございます。
○宮本(岳)委員 まさにこれが口頭なのは、これこそ、私が示した音声データで、口裏合わせを行った項目だからだと思うんです。
それで、そもそも航空局はこの間、この見積りは決してごみの量を見積もったものではなく、「どれだけ価格を下げておくべきかということを地下埋設物の撤去処分費用という形で見積もった」、こう答弁されております、佐藤航空局長が。
これはつまり、ごみの量の形をとりながら、どれだけ価格を下げておくべきかを見積もった。航空局長、そういうことでいいですね。
○蝦名政府参考人 三月三十日に御依頼を受けまして、四月十四日に見積りの結果を出してまいりまして、その後、鑑定評価によって売却の手続に入ってまいりますけれども、この見積りは、その土地のいわば価値といいますか、それをどういうふうに見るかということで見積りを行っているということでございます。
○宮本(岳)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私は改めて、当然、大阪航空局や国土交通省も、財務省と同じく、職員の手控え、個人のパソコンの端末なども含め、洗いざらい調査して国会に提出する必要があると考えます。
委員長、ひとつ、理事会でそのことをお諮りいただきたいと思います。
○西村委員長 理事会で協議いたします。
○宮本(岳)委員 時間が参りましたので、以上で私の質問を終わります。