カジノ法案強行採決 衆院委で自公維 野党は一致して抗議 担当相不信任案は否決 宮本岳議員賛成討論
違法な民間賭博場・カジノを解禁するカジノ実施法案は15日、衆院内閣委員会で、自民党、公明党、日本維新の会が強行採決しました。(関連3・15面)
わずか1分間の強行劇でした。委員会の冒頭、立憲民主党の森山浩行議員が「審議継続の動議を提出します」と発言。山際大志郎委員長はそれには取り合わず、自民党議員の合図で与党と維新の議員が3回、起立と着席を繰り返しました。野党議員の抗議の声で何も聞き取れないなか、山際委員長は退席。直後に、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党の野党4党1会派の委員は、山際委員長に質疑続行を申し入れました。日本共産党の塩川鉄也議員は「重大な問題点のある法案の徹底審議は国民の声だ」と求めました。
これに先立つ衆院本会議では、野党5党1会派が提出したカジノ法案担当の石井啓一大臣(公明)に対する不信任決議案が議題となり、自民、公明、維新などの反対で否決されました。
日本共産党の宮本岳志議員は賛成討論で、石井担当相の下で提出されたカジノ実施法案は「日本の歴史が始まって以来初めて民間賭博を合法化しようとするものだ」と指摘。ギャンブル依存症の増加など解禁による数々の悪影響をあげました。
石井氏が国民の理解が得られていないと認めながら、法案成立後に全国キャラバンを行うと言い訳していることを「国民を愚弄するもの」と批判。石井氏が国土交通相としても森友疑惑隠ぺいの先頭に立っていることに言及し、「もはや一日たりとも大臣の職にとどまることは許されない」と強調しました。
同法案は2016年12月の国会で自民、公明、維新が強行採決させたカジノ解禁推進法を受け、政府の責任でカジノの運営解禁を定めるものです。
( 赤旗2018/6/16)
動画 https://youtu.be/SXpm-JZ2wi4
議事録
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました石井啓一カジノ担当大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
賛成理由の第一は、石井カジノ担当大臣のもとで提出されたカジノ実施法案が、日本の歴史始まって以来、初めて民間賭博を合法化しようとするものだからであります。
カジノは賭博であり、刑法で禁じられた犯罪行為です。利益の一部を社会還元すれば賭博の違法性が阻却されるなどとは、詭弁以外の何物でもありません。この法案が成立すれば、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害し、国民経済の機能に重大な障害を与えることになるわけであります。
審議を通じて、公営ギャンブルでは認められていない、客への金の貸付けがカジノ事業者には認められること、カジノ施設面積の上限規制が外されたこと、カジノを管理すべきカジノ管理委員会の金も人もカジノ事業者に依存することなど、重大な問題点が次々と明らかになりました。
そもそも、カジノ事業者の利益はかけ金の負け額であり、他人の不幸を利益にするビジネスです。ギャンブル依存症や多重債務者の増加、治安悪化等、カジノ解禁による社会的コストの増大ははかり知れません。
石井カジノ担当大臣は、法案の危険な内容を国民に知らせることもなく、わずか十八時間の審議で強行しようとしています。憲政史上に重大な汚点を残すものであり、断じて認められません。
第二は、石井カジノ担当大臣がカジノ実施法案の説明義務を果たしていないことです。
国民の多数はカジノ解禁に反対です。ところが、その理由をただしても、石井大臣は、カジノ担当大臣でありながら、質問にはまともに答えず、論点そらしを続け、質問時間を浪費させました。
そのあげく、国民の理解が得られていないことを事実上認め、法案成立後に全国キャラバンを実施し、説明するなどと言いわけしたのであります。これほど国民を愚弄する態度はないではありませんか。
国民は、刑法違反の民間賭博を解禁することに大きな疑問、懸念を抱いています。法案を推進する立場である石井カジノ担当大臣は、この疑問に答える義務があります。その最低限の説明義務すら果たさない石井カジノ担当大臣に大臣の資格はないと言わねばなりません。
さらに、もう一つ言わなければならないのは、石井大臣が森友疑惑を隠蔽する先頭に立っていることです。
森友疑惑の核心は、国民の財産である国有地がただ同然で森友学園に売却されたことであり、その背後には安倍昭恵氏の影響があることは、いよいよ明瞭となりました。
この疑惑を隠すために、安倍政権のもとで、公文書の改ざん、隠蔽、虚偽答弁という前代未聞の異常事態が起こりました。これら全てが安倍総理を守るために行われたことは明らかであります。
ところが、石井大臣は、国土交通省の決裁文書の改ざん依頼に関する調査結果で、改ざんの依頼を受けた職員はいなかったなどと結論づけました。しかも、その説明は、実に荒唐無稽なものであります。
我が党は、昨年九月七日に行われた、航空局長と理財局長との意見交換概要という文書を明らかにいたしました。ところが、石井大臣は、文書を廃棄したとするパソコンの復元を拒否するなど、疑惑隠しにきゅうきゅうとしているのであります。
民間賭博実施を推し進め、疑惑隠しに終始する石井カジノ担当大臣は、もはや一日たりとも大臣の職にとどまることは許されないことを厳しく指摘して、私の賛成討論といたします。(拍手)