レオパレス任せにするな 違法建築全容調査を 宮本岳議員 衆院委
日本共産党の宮本岳志議員は19日、衆院国土交通委員会で、サブリース業界大手レオパレス21による違法建築の実態について、国土交通省に全容解明を求めました。
同社は、販売したアパートの各住戸を仕切る「界壁」に施工不良のものがあり、建築基準法の要件を満たさない疑いがあると発表しています。
宮本氏は、同社のアパートには界壁がそもそもないものがあると指摘。遮音性、防火性の両面から「違法建築であることは明らかだ」と告発しました。その上で、宮本氏が国交省として違法建築を何件確認したのかただすと、伊藤明子住宅局長は9自治体17棟で確認したと答弁しました。
宮本氏は、同社による調査でも5月末現在で206棟に違法建築の疑いが強いと認めていると強調。同社のアパートは3万7000棟以上あることから「今後空前の違法建築事件になりかねない」と警告しました。地方自治体やレオパレス任せにせず、国交省が一刻も早く全容を調査すべきだと求めました。
石井啓一国交相は、「建築基準法違反であることの特定や、違反建築物の是正について、必要な安全性の確保にむけ迅速に対応する」と答弁しました。
(赤旗2018/6/21)
動画 https://youtu.be/MwKsvk24uKw
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
冒頭、大臣からも報告がありましたけれども、昨日午前七時五十八分ごろ、大阪府北部を震源とする、最大震度六弱の地震が発生いたしました。昨夜、高槻市で二人目の犠牲者が報告され、とうとい命を落とされた方が四人となりました。負傷者も、二府四県で計三百七十六人と発表されております。
私は、犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
我が党は、地震発災を受けて、直ちに山下芳生参議院議員を本部長とする対策本部を立ち上げ、私が本部長代理を仰せつかりました。昨日、二人で直ちに大阪に入り、大阪府庁、大阪市役所で被災状況の説明を受けるとともに、被害が甚大であった高槻市にも入り、倒れたプールのブロック塀の下敷きになって四年生の三宅璃奈さんが幼い命を落とした市立寿栄小学校の現場にも行ってまいりました。
配付資料の一を見ていただきたい。昨日、私が寿栄小学校で撮ってきた写真であります。
上の写真、下に絵が残っているのがもともとのプールの基礎部分で、一・九メートルございます。この上に、目隠しのためと思われますけれども、新たにコンクリートブロックを、八段組み、約一・六メートル積み上げていたわけであります。合計すると三・五メートルにもなるわけですけれども、建築基準法施行令ではブロック塀の高さは何メートル以下と定められているか、お答えいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
補強コンクリートブロック造の塀に関する規定でございますが、「高さは、二・二メートル以下とする」ということになっております。
○宮本(岳)委員 これは明確な違法状態だったわけであります。
昨日、高槻市も違法状態だったことを認め、市の責任は免れないと考えていると語りましたけれども、市の担当者は、事故が起きるまで違法性を認識していなかったとも語りました。専門家はこのブロック塀を一目見て、支えの壁、控え壁がなく極めて危険、子供ばかりでなく、一般の人でもブロック塀に近づかず、離れて歩くことが基本だと指摘をしております。
しかし、返す返すも無念で胸が潰れそうなのは、犠牲になった璃奈さんであります。
きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、昨日、璃奈さんはなぜ朝早く一人で登校していたんですか。
○山崎(雅)政府参考人 済みません。文科省でございます。
報道ベースでございますけれども、通学の見回りですか、をやるために早く通学したというふうに報道では承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 挨拶運動なんです。高槻市教委によると、璃奈さんは児童会の代議員を務め、十一日から二週間の予定で朝の挨拶運動の当番でありました。先に学校に行き、登校してくる児童に朝の挨拶をするためだったといいます。
配付資料の一の下の写真を見ていただきたい。倒れたブロック塀の下にグリーンベルトが見えております。右側通行ということで、学校はこのブロック塀の真下のグリーンベルトを歩くように指導しておりました。璃奈さんは、この学校の規則をきちんと守ったがゆえに、違法建築のブロック塀の下敷きになってとうとい命を落としたわけであります。
文部科学省に聞きますけれども、こんな理不尽なことがあっていいのかと私は思いますが、いかがですか。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃったように、文科省としましても、本来最も安全であるべき学校施設の被害によりとうとい人命が失われたことは極めて重大なことであると受けとめております。
そのため、プールの塀の倒壊も含め、より詳細な被害状況の把握のため、本日、文科省の担当官及び専門家を現地に派遣したところです。
今後とも引き続き、関係機関との連絡を密にしまして被害状況の収集を行うとともに、最大限必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 おっしゃるとおり、学校というところは子供たちにとって一番安全で、一番命が守られる場所でなければなりません。私たちはそういう思いで国庫補助のかさ上げもし、学校の耐震化一〇〇%を目指して取り組んでまいりました。
文部科学省の昨年四月一日時点の公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査の結果によりますと、公立小中学校の構造体の耐震化率は、前年度から〇・七ポイント上昇し、九八・八%となりました。また、「全国の九割近くの設置者が耐震化を完了した。」と報告されております。設置者別の調査結果を見ますと、高槻市は非木造も木造もともに一〇〇%、耐震化完了自治体となっております。
文部科学省に聞きますけれども、この調査の対象に、プールの外壁、今回のような外壁は入っておりますか。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
これまで文科省が行っていた公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査につきましては、児童生徒が一日の大半を過ごす校舎や体育館などの学校施設の耐震化対策を最優先で行っているということから、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律に規定されているいわゆる建物に対象を限定したところでございます。
今回のようなブロック塀等の囲障は、建物以外の工作物であるため、対象に含まれておりませんでした。
○宮本(岳)委員 決して文部科学省を責めようというわけではないんですよ。もちろん、校舎や体育館など構造体の耐震化を急いで完了させるのは当然のことです。
問題は、我々も含めて、そこで安心してしまったことだと思うんです。これが盲点となって今回の悲劇が起こったと私は受けとめました。
大臣も冒頭、小中学校の塀の安全点検に言及されましたけれども、これは文部科学省に重ねて聞きますけれども、今回の痛ましい事故を教訓に、改めて、学校のブロック塀の強度の点検、調査や、ブロック塀の真下の通学路など学校の危険箇所を総点検すべきだと私は思いますけれども、いかがですか、文部科学省。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事案につきまして大阪府教育委員会を通じて確認したところ、高槻市の見解では、倒壊したブロック塀については、高さの基準を超え、若しくは補強のための控え壁が設置されていないことなど、現行の建築基準法に適合していなかったということでございます。
さらに、ブロック塀の設置経緯等については現在調査中とのことであり、法律違反であればまことに遺憾であるというふうに思いますが、文科省としては、先生が御指摘のとおり、今回の事故を受け、昨日の総理からの指示を踏まえまして、全国の学校設置者に対して、小中学校のブロック塀等に関する点検を改めて緊急的に行うよう、本日、要請文を発出することとしております。
○宮本(岳)委員 林大臣からも指示がなされたと報じられております。
余りにも理不尽な状況でとうとい命を落とさざるを得なかった三宅璃奈さんの心の叫びを受けとめる決意で、一刻を争って取り組んでいただきたいと思います。
高槻では、今既に定められている建築基準法施行令でさえ守られず、悲劇を生みました。建築基準行政は人の命に直結する問題だけに、我が党は、安易な安全性にかかわる規制緩和には反対であります。
今回の改正には、建築物の界壁に関する規制の合理化という内容がございます。界壁とは、共同住宅において各住戸の間を仕切る壁のことでありますけれども、現行の建築基準法は、「界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとする」と規定しております。本法案は、この規制を緩和して、遮音性能に関し、政令等が定める技術的基準等を満たすように天井を強化すれば、界壁が小屋裏又は天井裏に達しなくてもよいということにするものであります。
しかし、界壁には遮音性能だけでなく防火性能もあると思いますが、間違いないですね。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正は、御指摘のとおり、小屋裏又は天井裏を回り込む音を含めた生活音の伝搬を防止するため、共同住宅や長屋における各戸の界壁について、一定の遮音性能を求めるとともに、小屋裏又は天井裏に達することを求めているのに対して、小屋裏等の音の回り込みを含めて生活音の伝搬防止を、現行の制度と同様に性能を有するものについては、界壁が小屋裏等に達することを要しない方式を追加することとしております。
なお、界壁につきましては、御指摘のとおり、遮音のみならず、防火についても同様の規定がございます。
○宮本(岳)委員 これまで、界壁があれば遮音性能も防火性能も確保できるということで建築行政が行われてきました。防火性能について結論も出さないまま界壁の規制を緩和するのは、建築物の安全性を軽視することになると言わなければなりません。
この界壁にかかわって今大問題になっているのが、サブリース大手レオパレス21の違法建築問題であります。
まず確認いたしますけれども、建築基準法等の法令では、界壁の遮音性能や防火性能を発揮させるために、どういった素材を使い、どのくらいの厚さで使うべきと規定されているか、具体例をお示しいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
共同住宅の界壁については、遮音の観点からは、小屋裏又は天井裏を回り込む音も含めた生活音の伝播を防止するため、小屋裏又は天井裏に達することに加えまして、一定の遮音性能として、例えば、下地等を有する場合には、界壁の両面に厚さが一・二センチ以上の石こうボードを二枚以上張ることとともに、界壁の厚さを十センチ以上とし、その内部に一定の吸音材を張るといった仕様を定めております。
また、防火の観点からは、火災時における住戸間の延焼防止を図るために、その界壁を、小屋裏又は天井裏に達することに加え、準耐火構造とし、例えば、界壁の両面に一・五センチの石こうボードを張るといった仕様を求めております。
○宮本(岳)委員 レオパレス21社は、違法建築にかかわって、ことし四月二十七日と五月二十九日にニュースリリースを出し、記者会見を行いました。
資料を見ていただきたい。いずれも、レオパレス21の物件を一級建築士などが独自に調査した際の写真であります。資料二は、界壁部分がベニヤ板のような木材であります。石こうボードなど全く張られておりません。資料三は共同住宅の天井裏でありますけれども、そもそも界壁がありません。先ほどの答弁からすれば、違法建築であることは明らかであります。
レオパレス21のサブリース契約の問題点については、私は、二〇一三年四月十五日の衆議院予算委員会第一分科会以来、繰り返し警鐘を乱打してまいりました。これらの問題はまだ解決しておりません。その中で同社は違法建築まであったと認めたわけでありますから、事態は深刻だと言わなければなりません。
国土交通省に聞きますけれども、レオパレス21社による今回の違法建築問題について、国交省として何件調査して、そのうち、建築基準法違反が何件確認されましたか。お示しいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省はレオパレス21に同社が施工した物件リストを提出させ、当該リストを特定行政庁に提供し、建築基準法への適合性の確認等を依頼したところであります。
五月一日には九百十五棟のリストを特定行政庁に提出したところでありまして、六月十五日現在、九特定行政庁において十七件の建築基準法への違反が確認されたとの報告を受けております。
また、六月八日には、さきの九百十五棟を含む同社が施工した全ての物件三万七千八百六十一棟のリストを特定行政庁に提出し、さらなる調査を依頼したところであります。
○宮本(岳)委員 レオパレス21自身が四月から調査対象にしてきた二種類の物件について、五月二十六日時点で、百八十四棟調査して百六十八棟に界壁がなかった。九割以上が違法建築の疑いが強いと認めております。
加えて、これまで調査対象にしてこなかった六種類一万三千七百九十一棟のアパートでも、二百九十棟調査したうち、三十八棟、約一三%が界壁がないか施工不備だったというのですから、合計二百六棟で既に違法建築の疑いが強いわけであります。
レオパレス21のアパートは三万七千八百五十三棟あると言われております。仮に一割が違法建築だとしても、三千七百棟を超える空前の違法建築事件になりかねないわけであります。
石井大臣は、五月二十五日の閣議後記者会見でレオパレス21社の違法建築について、「仮に特定行政庁が違反と判断した場合には、必要な防火性能等を欠いており、問題がある」「違反であることが判明した物件については、行政庁が違反状態を速やかに解消するよう指導し、必要に応じ、免許権者である国又は都道府県が建築士を処分する」と述べました。
その四日後の五月二十九日、レオパレスの二度目のニュースリリースで、被害の拡大が明らかになりました。その中で同社は、来年六月までに三万七千棟を超える建物の全棟調査を実施するとしております。一年で三万七千を調査しようとすれば、毎月三千棟以上調査しなければならない計算になります。
大臣に聞きますけれども、違反状態を解消するのであれば、特定行政庁やレオパレス任せにするのではなく、国交省として一刻も早く被害の全容を調査し、原因を究明するべきだと思うんです。そして、オーナーの意向も聞いて、修繕させることは当然だと思います。大臣の御決意をお聞かせいただきたい。
○石井国務大臣 レオパレス21が供給をした共同住宅で建築基準法に違反する疑いがあることが判明をし、同社施工物件全てを調査することを報道発表したことは承知をしております。
本事案が建築基準法に違反しているか否かは、個別物件ごとに特定行政庁が判断していくものでありますが、現在、同社から提出された物件リスト等を国土交通省が情報提供をし、特定行政庁において、現地調査も含めて、早急に事実確認を行っているところであります。
この結果、複数の特定行政庁において、建築基準法違反であるとの報告を受けたところであります。
国土交通省といたしましては、レオパレス21社に対して、物件が所在する特定行政庁への早急な説明、是正工事の迅速かつ円滑な実施を指示するとともに、賃借人及び賃貸人に対して状況を速やかに説明し、誠実に対応するよう指導しているところであります。
今後も、建築基準法違反であることの特定や違反建築物の是正について、特定行政庁と連携をして、必要な安全性の確保に向け、迅速に対応してまいります。
○宮本(岳)委員 ぜひ厳しく対処していただきたい。きちっとやっていただきたいと思うんです。
今、このレオパレス21の違法建築をめぐってオーナーや入居者には、火災などの災害の際にどうなるのか、不安が広がっております。
きょうは金融庁にお越しいただきましたけれども、オーナーの方々は、もし火災などのトラブルがあった場合、違法建築を理由に火災保険の保険金がおりなくなるのではと大変心配されております。
今度のレオパレス21社の事案のように、オーナー側に責められるべき事由がないにもかかわらず、違法建築を理由に、加入している火災保険の保険金がおりなくなってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○栗田(照)政府参考人 お答え申し上げます。
個別の契約において火災保険が支払われるかどうかにつきましては、保険約款の定めによりまして当事者間で判断されるものでありますので、この場で個別の案件についてお答えすることは困難であることは御理解いただきたいと存じます。
その上で一般論として申し上げれば、各損害保険会社の保険約款におきましては、一般に免責事由の一つといたしまして、保険契約者、被保険者又はこれらの者の法定代理人の故意若しくは重大な過失又は法令違反があった場合が定められております。
このため、仮に、保険契約者、被保険者等に故意若しくは重大な過失又は法令違反がない場合には、この免責事由には該当しない、保険が払われるということになると考えております。
○宮本(岳)委員 ぜひ、落ち度のないオーナーの方が火災保険の心配までしなくてもよいようにしていただきたいと思います。
サブリース規制に関して、ことし二月十五日、日弁連が意見書を出しました。意見書では、国土交通省に対し、今ある賃貸住宅管理業者登録制度を、任意の登録ではなく、義務的登録制度とする法整備をするべきこととともに、将来の家賃収入は保証されたものでないこと等、リスクの説明を法令上の義務としてサブリース業者等に義務づけることを求めております。当然の意見だと思います。
そして、現在の制度の運用においては、借地借家法上のサブリース事業者の扱いが、一般の借家人と同列に扱われているという大問題があります。サブリース契約では、事業者は家主に対して情報量でも交渉力でも圧倒的優位に立っており、特別な法的保護の必要などありません。逆に、サブリース契約では、日弁連意見書が指摘するように、免責条項、家賃改定条項、中途解約条項など、サブリース事業者に有利な条項が組み込まれてさえおります。
このような運用こそ改めることを求めて、私の質問を終わります。
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○宮本(岳)委員 日本共産党を代表して、建築基準法改正案に反対の討論を行います。
本法案には、大規模物流倉庫を念頭に、建築物の維持保全計画の作成、提出を義務づけ、延べ面積百五十平米以上の重層長屋について条例による接道規制を可能とするなど、積極的に評価できる部分があります。
しかし、次に述べるとおり、建築物の安全性にかかわる看過できない規制緩和が含まれます。
第一に、既存ストックの用途変更による活用を名目に、建築確認や防火、耐火性を緩和する点です。
空き家等の既存建築ストックを活用する必要性は否定しません。しかし、建築確認制度や防火、耐火規制は、居住者、利用者の生命身体の安全を守るための規制であり、福祉施設や商業施設に用途変更する需要があるからといって規制を緩めるべきではありません。
耐火規制の緩和は転用例に限られず、新築の場合も含まれます。新たに求めるという警報設備等の設置は所有者、管理者任せであり、三階建てであれば短時間で避難できるという根拠も不十分です。
多くの人が命を落とす火災が各地で相次ぐ中、必要な防火、耐火対策の徹底こそが求められますが、本法案には安全性確保の担保があるとは言えません。
第二に、本法案が、木材利用の推進のために防火、耐火規制の基準を緩和し、その対象建築物の拡大を内容としている点です。
木造建築の推進は、我が党も賛成して成立した公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき進められていますが、建築基準法上は木造三階建ての学校等について準耐火構造等でよいとする規制緩和を行ったばかりです。その検証もなく、現段階でのさらなる規制緩和は時期尚早と言わなければなりません。
以上指摘をし、反対討論といたします。