入管法改定案先取りの制度 〝暴力など相談ある〟 国交省答弁
日本共産党の宮本岳志議員は30日、衆院国土交通委員会で外国人建設労働者の実態を告発しました。
建設業では、外国人技能実習制度と「外国人就労者受け入れ事業」(特例制度)で、外国人労働者を受け入れています。
特例制度は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた人手不足を理由に、外国人労働者を受け入れます。外国人技能実習を3年間修了した人が対象。出入国管理法改定案で新設する在留資格「特定技能1号」を先取りするものです。
宮本氏は「週50時間働いて月給9万円。光熱費など3万円が控除され、6万円しか手元に残らない」「暴力と強制帰国を理由に7カ月で失踪」など、建設関係実習生の実態を例示。その上で、国交省が「技能実習制度を上回る水準の管理」とする特例制度で行われている母国語相談ホットラインについて聞きました。
国交省の野村正史土地・建設産業局長は「暴言や暴力を受けている。転職したい」「休暇を取りたいが認められない」などの相談があると答えました。
宮本氏は「どこが技能実習を上回る水準の管理か。実態は実習制度と変わらない」と批判。特例制度が適正に行われているかどうかを示す資料の提出と、新制度の徹底した国会審議を求めました。
( 赤旗2018年12月01日)
森友8億円値引き売却直後、13億円の不動産鑑定評価 宮本岳氏追及 衆院委
日本共産党の宮本岳志議員は11月30日の衆院国土交通委員会で、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐって、国が8億円を値引きし1億3000万円で国有地を売却した直後、同じ土地に13億円の不動産鑑定評価が出されていたことを独自資料から明らかにしました。
宮本氏は、森友学園への国有地売却からわずか50日後の2016年8月10日、株式会社「財産プランニング研究所」から森友学園が受け取った不動産鑑定評価書の一部を提示。森友学園は、その後、ある都市銀行から10億円の借り入れ枠の設定をし、その事実を近畿財務局も確認していたことを応接記録から明らかにして認識をただしました。
財務省の富山一成理財局次長は「(森友学園の小学校建設の)具体的な資金繰り計画について近畿財務局として何らかの判断をしたものではない」などと答弁。宮本氏は、森友学園に売却された土地に13億円の不動産鑑定評価を出した同研究所の不動産鑑定士は、森友学園に8億円の値引きで国有地を売却することを承認した国有財産近畿地方審議会の委員をつとめていた熊澤一郎氏だとして、「この土地は、本当はいくらの土地なのか」と追及しました。
富山理財局次長は「専門家である不動産鑑定士がその責任において鑑定評価を行ったもの」としか答えませんでした。
( 赤旗 2018年12月02日)
ユニバーサル社会法案、衆院委可決 LGBT対象明示を 宮本岳氏が強調
衆院国土交通委員会は11月30日、自民党など6会派が共同提案した「ユニバーサル社会推進法」案を全会一致で可決しました。同法案は、ユニバーサル社会を「障害の有無等にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する社会」と規定。同社会の実現に向け、障害者基本法などに基づく施策を総合的一体的に推進するものです。
採決に先立ち、日本共産党の宮本岳志議員が発言し、法案が性的少数者(LGBT)を対象として明示していない問題を指摘。提案者は「構成員に含む」と答弁しました。宮本氏は、東京都中野区でユニバーサルデザイン推進条例を策定した際、審議会で「どういう人が含まれるか分かるよう、対象を具体的に列記する必要がある」などの意見が出されたとして、「LGBTが対象となるのは当然だ」と強調しました。
宮本氏は、中央省庁で明らかとなった障害者雇用の水増し問題に法案がどうかかわるか質問。提案者の小宮山泰子議員(国民民主党)は、法案は「障害者等の多様な就業の機会を確保すること」を留意事項に定めていると答弁しました。
宮本氏は「施策を規定する個別法を充実させてこそ、本法案も実効性のあるものになる」と強調しました。
( 赤旗 2018年12月03日)
動画
https://www.youtube.com/watch?v=DZo_k71unfM&index=35&t=0s&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4
https://www.youtube.com/watch?v=neqN9VGzIGE&list=PL3M7AtnZgh3UwBngS4JL1lVJplHH5b_A4&t=0s&index=38
(ユニバーサル社会法案)
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、先日の与党による入管法の衆議院強行通過に強く抗議いたします。
配付資料一を見ていただきたい。
事前に理事の皆さんにはお見せをいたしましたけれども、この間、法務省が発表し、野党が聴取票の公表を求めてきた、失踪した技能実習生からの聴取結果の職業別集計表を私の事務所でグラフにしたものであります。
二〇一六年九月に統計をとり始めてから、ことし六月まで、総数一万三千百七十七名中、建設が四千九百十三名、実に全体の三七%を占めております。
法務省、間違いありませんね。
○佐々木政府参考人 御指摘の数値に間違いはございません。
○宮本(岳)委員 建設業は紛れもなく国交省の所管事業であります。だからこそ、野党は一貫して、出入国管理法案審議に当たっては、当委員会として法務委員会に連合審査を申し入れるよう繰り返し求めてまいりました。ところが、与党は、その我々の要求に耳もかさず、わずか十五時間にも満たない委員会審議で採決を強行いたしました。
しかも、国土交通省では、技能実習制度だけではなく、外国人就労者受入事業というものも、東京五輪に向けた、外国人の緊急雇用という形で先取り的に行われてまいりました。
技能実習生の厳しい現実については、法務省の聴取票からも明瞭であります。建設関係のある実習生は、解体作業に従事し、週五十時間働いているが、給与は月九万円、時給換算で四百五十円。しかも、そこから光熱費など三万円が控除され、手元には六万円しか残らない。送り出し機関に支払った二十万円は借金で、帰国後、一括返還を迫られるということであります。別の建設技能実習生は、暴力と帰国の強制を理由に、七カ月で失踪いたしました。
では、技能実習を終えた者を対象とした、今申し上げた国交省所管の外国人建設就労者受入事業はどうか。
二〇一四年四月四日の建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議取りまとめでは、「技能実習制度を上回る水準の監理」と書かれてございます。さらには、「国土交通省等許可部局が建設業法に基づき受入企業を直接、検査・監督」するとも書かれてあります。
つまり、この事業は、国交省が検査監督して、技能実習制度を上回る水準の監理がされる制度ということでよろしいでしょうか、土地・建設産業局長。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
外国人建設就労者受入事業においては、外国人技能実習に関して、過去五年間に不正行為を行ったことがないなどの監理団体や受入れ企業に限定して受入れを認めるなど、技能実習制度を上回る基準を設けております。
○宮本(岳)委員 この建設就労者受入事業については、ことし三月、国交省の委託先の国際建設技能振興機構が出した外国人建設就労者受入事業に係る制度推進事業実施報告書に、外国人の建設就労者からの母国語ホットライン相談の内容が記載されております。
その相談内容のうち、報告書百十五ページの相談四十二番と百十六ページの相談五十番の相談内容の概要を紹介していただけますか。
○野村政府参考人 今委員御指摘の報告書の該当箇所でございますけれども、まず、四十二番にはおおむねこのような記述があります。暴言や暴力を受け、転職をしたい、年末まで状況が変わらなければ、年始に全ての情報を提供するという記述でございます。それから、五十番につきましては、休暇をとりたいと伝えたが認められない、転職できないなら一年で帰国するつもりといった相談内容が報告されております。
○宮本(岳)委員 そういうものを見ますと、どこが技能実習制度を上回る水準の監理と言えるのかと思うんですね。
建設就労者は、暴言、暴力を受け、休暇もとれていないという現状があります。幾ら国交省が直接検査監督するのだと言っても、実態はほとんど技能実習生と変わっておりません。
石井大臣は、先日の所信的挨拶で、「新たな制度による外国人材の受入れについて、建設業、造船業、宿泊業等の対応を検討します。」と述べられました。入管法改定案は、枠組みだけで中身がすかすか、具体的にはこれから、対応策はこれからというものでありますけれども、建設業、造船業、宿泊業などにおける具体的受入れ策の検討もこれからだと思うんです。
私は、国交省に、外国人就労者受入事業にかかわって、事業執行の適正性に関する資料を要求してきましたけれども、いまだに精査中との理由で提出がありません。当然の前提として、資料は直ちに出していただきたい。そして、大臣が対応を検討するとおっしゃるのならば、それも国会でしっかりと今後とも議論すべきだということを申し上げて、次の森友問題に移りたいと思います。
私は、昨年二月十五日に衆議院財務金融委員会で森友学園問題を初めて取り上げて以来、一年十カ月にわたってこの事件の追及と解明に当たってまいりました。しかし、さきの通常国会でも、野党が当委員会で森友問題での集中審議を繰り返し求めてきたにもかかわらず、与党は、六月十九日以来、一般質問さえ拒否し続けてきたわけであります。
しかし、この問題は時間がたてばやがて立ち消えになるといった問題ではありません。去る十一月二十二日には、会計検査院から、昨年十一月報告に係るその後の検査についてと題した再調査結果が報告されました。表面的な評価に終始とか、疑惑解明にはほど遠いなど、メディアは辛口の評価でありますが、新たな事実も幾つか明らかになっております。
資料二を見ていただきたい。
左側の図表六は会計検査院報告書の二十一ページに掲載されたものでありまして、注を見ていただくと、財務省がことし五月二十三日に公表した交渉記録の中で、平成二十七年九月四日に実施された対策工事に関する打合せについて、左側は、近畿財務局が作成した交渉記録に記載されていた内容、右側には、対策工事業者が作成した打合せ記録に記載されていた内容であります。この資料二の右側に掲載した打合せ記録こそ、私が、昨年二月二十四日、予算委員会の場で突きつけた打合せ記録そのものであります。
財務省に聞きますけれども、これまで財務省は、この打合せ記録を始め、全て廃棄した、知らぬ存ぜぬという態度を繰り返してきたわけですが、この打合せ記録の存在については、今となっては、もちろん認めますね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
平成二十八年三月に籠池氏が財務省を訪問した際の面談の内容につきましては、音声データも公開されておりましたことから、国有財産審理室長に確認をした上で、先方二人が、これまでの経緯や地下埋設物などについて一方的に話をされ、趣旨がよくわからない発言が多かったこともあり、九月四日のメモのことについては、記憶に残っていないといった答弁をしてきたところでございます。
一方、森友学園の交渉記録につきまして、手控えとして職員が紙媒体で保管していたり、個人のパソコン端末に残されていたりしたものなどがあることがわかりまして、押収されていた文書の写しを入手するなど、捜査当局の協力も得て、五月二十三日に国会に提出をさせていただいたところでございますが、その交渉記録の中には、九月四日のメモを受け取っている記載も含まれているところでございます。
このように、事実と異なっていたことについて、これまでも、国会で訂正し、おわびを申し上げてきているところではございますが、改めておわびを申し上げます。
○宮本(岳)委員 謝罪は当然です。存在が確認されました。
では、会計検査院に聞くんですが、図表六の右側には、近畿財務局が、建築に支障ある産廃及び汚染土は瑕疵に当たるため、費用負担義務が生じるが、通常の十倍では到底予算はつかないが、借り主との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いすると述べたという打合せ記録の内容を掲載しております。
報告書を見ますと、これを併記した上で、記載内容の食い違いを解消できなかったと述べておりますけれども、どちらがうそで、どちらが本当だとも書いてはおりません。
ということは、会計検査院は、この九月四日打合せ記録の内容は、左側記載の近畿財務局の交渉記録と同じ重みを持ってここに、右側の打合せ記録が書き込まれているというふうに受けとめてよろしいですね。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
委員御指摘の点につきましては、どちらの方が重みがあるかという点につきましては、会計検査院といたしましては、なかなか判断が難しいというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 つまり、同じ重みを持っているということですね。
財務省に聞きますが、今回の会計検査院報告書の中身を重く受けとめ、尊重いたしますね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今回の会計検査院による検査の結果におきましては、改ざんされた決裁文書を会計検査院に提出したことなどにつきまして、会計検査院法第二十六条の規定に違反する旨も指摘されており、指摘は重く受けとめる必要があると考えております。
○宮本(岳)委員 ならば、この中身についても、これまでのような知らぬ存ぜぬという態度はもはや通らないということを申し上げておきたいと思います。
さて、そこで国土交通省であります。
石井大臣は、十一月二十六日の参議院予算委員会で、我が党の辰巳孝太郎議員が、国土交通省が八億二千万円という値引きの計算根拠にした工事業者の写真について、その電子データを入手した上でデジタル解析を行い、違う穴であるはずのものが同じ穴を撮った写真である事実を突きつけました。大臣は、委員の指摘のように、同じ写真である可能性はあると思いますと答弁されました。
大臣、これは事実ですね。
○石井国務大臣 十一月二十六日の参議院予算委員会におけます質疑におきまして、試掘報告書におけます工事写真ナンバー七とナンバー十一につきまして、同じ写真の可能性はあると思います、ただ、私どもが資料を作成したわけではありませんので、断言することはできませんと答弁をしたところであります。
○宮本(岳)委員 資料三を見ていただきたい。これも会計検査院の再調査報告書です。
報告書三十八ページでは、平成二十八年四月十二日に、近畿財務局内で、近畿財務局と大阪航空局の間で地下埋設物撤去処分費用の見積りに関する打合せが行われたこと、大阪航空局がこの時点における見積り途上の金額六億七千七百三十四万余円を近畿財務局に伝えたこと、これがなぜ最終的に八億二千万円にまで引き上げられたのかについても聞き取りを行っております。
会計検査院、大阪航空局職員はどのような根拠で見積りの対象範囲を拡大したと報告書三十九ページに記述しておりますか。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
会計検査院は、大阪航空局が行った地下埋設物撤去処分費用に係る見積りの変更につきまして、大阪航空局職員から聞き取りを行いました。
そして、十一月二十二日に参議院予算委員会理事懇談会に説明した資料におきまして、お尋ねの点につきまして、「見積りを見直すに当たっては、過去の調査報告書や地歴等の資料、工事関係者から送付された資料等の根拠を積み上げながら行ったとしていて、実際に工事関係者から送付された試掘調査資料等に基づいて対象範囲の拡大を行うなど」していたことを記述しているところでございます。
○宮本(岳)委員 四十ページの部分を読んでいただきましたが、三十九ページには、「工事関係者から送付された写真を改めて確認したところ、対象範囲の拡大を指示された部分の試掘箇所についてもごみが写り込んでいたので、それをもって対象範囲を拡大する根拠とした。」となっておりまして、そして四十ページには、今御答弁のあった、「実際に工事関係者から送付された試掘調査資料等に基づいて対象範囲の拡大を行うなど」したとなっております。これは間違いないと思うんですね。
そうなりますと、石井大臣が十一月二十六日に認めたように、同じ写真の使い回しである可能性があるならば、私どもが資料を作成したわけではないので断言はできないなどと言っている場合ではないんですよ。工事業者が提出したいいかげんな写真にだまされて一億四千万円も増額したというようなことであれば重大です。大臣、そうじゃないですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
大阪航空局が平成二十八年四月十二日に近畿財務局に提示したその時点のたたき台の試算は、大阪航空局という組織で決裁を経た正式なものではございませんので、詳細に御説明できない部分があることは御理解いただければと思います。
その上で、大阪航空局の当時の担当職員から聞き取りをした結果を御説明申し上げますと、大阪航空局が平成二十八年四月十二日に近畿財務局に提示したその時点のたたき台の試算では、平成二十二年の地下構造物状況調査でごみが確認された箇所と、くい掘削工事の過程において新たなごみが出たとされる校舎建築部分を対象としておりました。
一方で、四月十四日付の決裁文書にて提出した見積りについて、深さや混入率といった点は四月十二日時点のたたき台とは変わりはございませんけれども、対象範囲につきまして、工事関係者からの報告書や地歴に係る調査結果を踏まえまして、グラウンドの一部を含めることといたしたということでございます。
ここの部分につきましては、先般、会計検査院の検査報告書におきましても、今検査院の方からもございましたけれども、大阪航空局が近畿財務局から見積りの増量を依頼をされたとの報道のあった件についてはということで、大阪航空局の職員は、試掘調査資料等を踏まえ、見積りのたたき台からグラウンド部分の一部を見積り対象に追加とした上で近畿財務局への本件見積りを提出しておりますが、このような過程について、「見積金額を増額するような作為があったとは認められなかった。」と記載されているものと承知しております。
○宮本(岳)委員 いや、地歴資料とか過去の調査結果というのは最初からあるんですよ。最初からそれはあなた方は持って、六億七千万というときだって、それはもう見ているんですね。でも、専ら対象面積を広げるときに、まさにこの業者の写真を見て広げたというんですから、この写真がでたらめだったら、一億四千万の増額の根拠というのはなくなるわけですよ。だから私は申し上げているんですね。
大体、この土地は一体幾らの土地なのか、きょうはそこが最大の問題だと思っています。
そもそも、土地の適正な価格の形成について、不動産の鑑定評価に関する法律で不動産鑑定業や不動産鑑定士について定めるとともに、まさにあなた方国土交通省は不動産鑑定評価基準というものを定めております。
土地・建設産業局に聞きますけれども、不動産の鑑定評価に関する法律第五条では、不動産鑑定士の責務についてどのように定めておりますか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価に関する法律に基づき、良心に従い、誠実に鑑定評価等業務を行うこととされております。
○宮本(岳)委員 良心に従い、誠実に業務を行い、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。だからこそ、不当な鑑定評価を行えば、第四十条以下で、免許取消しに至るまでの懲戒処分も定められております。
そこで、奇妙なのは、この土地の不動産評価なんですね。
平成二十八年六月二十日、この豊中の国有地は、不動産鑑定価格九億五千六百万円から大阪航空局が積算した地下埋設物の撤去処分費用約八億二千万円を差し引いて、わずか一億三千万円余りで森友学園に売却されました。
ところが、そのわずか五十日後の八月十日には、籠池氏は、株式会社財産プランニング研究所という不動産鑑定士から、鑑定評価額十三億円という不動産鑑定評価書を受け取った事実を私は独自につかみました。資料四と五がその鑑定評価書の一部であります。
そして、九月に入りますと、平成二十八年九月十五日には、さる都市銀行、R銀行が、森友学園に融資する際の担保として、国がこの森友の土地を買い戻す場合の返還金の請求権に質権を設定したいという相談に近畿財務局を訪れます。その際の応接記録が資料六であります。
そして、資料七と八。十月十七日に再びR銀行が近畿財務局を来訪し、近畿財務局の統括官や大阪航空局の職員と質権設定承認手続の詰めの相談を行った際の応接記録。
財務省に聞きます。これはいずれも財務省が公表した応接記録ですね。
○富山政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 認めました。つまり、R銀行は、近畿財務局と繰り返し相談しながらこの質権の設定ということを進めてきたわけであります。
そして、資料九。十月十四日付の質権設定承認申請書。赤線部、借入債務明細には金額十億円とあります。十月十二日付で、使途、建物建設資金として、R銀行との間で、森友学園は十億円限度の金銭消費貸借契約証書が作成されております。資料十は、その質権設定契約証書。これらの文書は、いずれも国土交通省提出の文書であって、間違いなく真正なものであります。右側には十月二十五日付で干山大阪航空局長の承認印が押されております。
さらに、資料十一は、その質権の設定承認について、つまり航空局長が質権設定を承認するに当たって作成された決裁文書。資料十二の「質権設定の承諾理由について」という文書が添付されております。この文書では、下の赤線部、近畿財務局に照会し、法律面から問題ないことについて近畿財務局弁護士の確認を得たことや、国土交通省本省の航空局環境・地域振興課にも問題がないことを確認したとなっております。
航空局、これらの文書も、いずれも私は国土交通省から受け取ったものでありますけれども、もちろん真正なものですね。
○蝦名政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 さて、そうなると、この土地は、資料四にお示しをした、八月十日に財産プランニング研究所の熊沢一郎不動産鑑定士が鑑定評価を行った十三億円というのが八月一日時点の土地の正常価格ではないのか。国がこの森友の土地を買い戻す場合の返還金に質権を設定したといっても、一億三千万円で買った土地の返還金は、最大一億三千万ですよ。十億円という融資額、金消契約の担保には遠く及びません。
この土地に十三億の不動産鑑定評価がついたからこそ、R銀行は森友学園と校舎建設費のための十億円の金銭消費貸借契約を結んだのではないですか、財務省。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今委員御指摘の、いわゆる質権設定といった流れについて、当時の近畿財務局の方と先生御指摘の第三者とのやりとりがあるわけでございますが、当時の担当者にも確認をいたしましたところ、まず、この売買契約上、指定期日である平成二十九年三月三十一日までに必要な工事を完了し、指定用途に供さなければならないというふうにされておりますので、指定用途である小学校に供するための資金計画の内容の変更が小学校開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があったということから、この第三者からの御相談に応じていたというものでございまして、具体的な資金計画あるいは質権設定といったような内容について、近畿財務局として何らかの判断をした、そういうものではございません。
○宮本(岳)委員 近畿財務局の応接記録、改めて資料の六、七、八というところを見ていただけばわかるんですけれども、例えば資料七を見ていただくと、一番下に赤線、当初、何々に融資実行を行う予定と聞いていたが、何月何日となった理由について、差し支えない範囲で教えてほしいと。
十億円の融資をいつ実行するかについてまで近畿財務局は聞いて、資金計画そのものにコミット、相談に乗っているわけですよね。この十億円という融資、これが間違いなく校舎建設費用を意味するものであることは明らかであります。
誰が聞いても理解に苦しむのは、わずか五十日前には一億三千万で売り買いした土地が、五十日たったら十億円の融資のいわばよりどころになった、十三億円という不動産鑑定書が出たと。十三億円の土地だと言っているわけですよ、この熊沢さんという不動産鑑定士は。
不動産鑑定士は、いいかげんな鑑定をしてはなりません。いいかげんな鑑定をすれば、先ほどの法律四十条で懲戒されてしまいます。ですから、十三億円です、この土地は。
十三億円のものを一億三千万で売っておいて、この干山さんという航空局長はなぜ承認印を押しているのか。いかがですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の質権の設定につきましては、森友学園と金融機関の二者間で行われたものでございますけれども、具体的には、森友学園との本件土地の売買契約締結後の平成二十八年十月十二日に、森友学園が金融機関から建物建設費用として限度額十億円を、当時の時点では三億一千百万円ということのようでございますけれども、を借り入れる契約を結んだことを受けまして、国が売買契約の解除や買戻し権を行使した場合の、最大でも約一・三億円である売買代金の返還金の請求権について、借入れの担保として森友学園が質権を平成二十八年十月十四日付で設定したことにつきまして、返還金を支払う相手方が森友学園から金融機関にかわるために、十月十四日付で第三者である国の承認を求められて、十月二十五日付で承認を行ったものであります。
土地そのものに質権が設定されているわけではございませんで、この質権により担保されている額は、金融機関等の第三者の土地の評価額とは関係がなくて、最大でも売買代金である約一・三億円でございます。
更に申し上げますと、この債権に質権を設定する場合に、当該債権の債務者にとっては、弁済先がかわることになるので、これを債務者に承認してもらう必要があるわけでございまして、大阪航空局の行った承認といいますのは、森友学園が大阪航空局に対して有する売買代金の返還請求権という債権の弁済先が森友学園から金融機関にかわるということについての承認でございます。
したがいまして、みずからの債務の弁済先が変更されることを承認したものでございまして、森友学園が本件債権を担保として金融機関から借入れを行うことを承認したわけではないということでございます。
○宮本(岳)委員 時間ですよ。時間ですから、また次回に譲りますけれどもね。
ちなみに、一つだけ聞きましょう。
財産プランニング研究所の熊沢一郎不動産鑑定士という人はどういう人かといえば、資料十三及び十四につけております。
この方は、この国有地を森友学園に定期借地契約で貸し付け、最終的に約一億三千万円で売却した、そのスキームを審議し、承認した第百二十三回国有財産近畿地方審議会の委員なんですよ。当人なんですよ。これは事実ですね、財務省。これで終わりますけれども。
○谷委員長 財務省富山理財局次長、答弁は簡潔に願います。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
財務局にはそれぞれ国有財産地方審議会が設置されておりまして、その委員については、学識経験のある者を任命しているところであります。
熊沢一郎氏は、不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長等を歴任されているということで、平成二十五年九月から平成二十九年九月まで約四年間、近畿地方審議会の委員をお願いしているところでございますが、いずれにしても、鑑定評価でございますので、森友学園が依頼したものにつきまして、専門職業家である不動産鑑定士がその責任において鑑定評価を行ったものであると考えております。
○宮本(岳)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この熊沢委員という人が、では、その審議会でどのように発言したか、この土地は本当は一体幾らの土地なのか、きょうは時間が来たので終わりますが、次回に譲って、私の質問を終わります。
(ユニバーサル社会法案)
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
ユニバーサル社会推進法案を起草したいとのお話を伺ってから、私も、障害者団体、高齢者団体、LGBTの団体、それからユニバーサルデザイン推進条例をつくった中野区の審議会の委員を務められた方などからいろいろと御意見を伺いました。その上で、幾つか確認をしたいと思います。
本法案は、障害者基本法やバリアフリー法などに基づく施策を、ユニバーサル社会の実現に向けた施策として総合的、一体的に推進しようというものだと理解しております。
そうであれば、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが必要で、実際、障害者団体などからもそうした要望が出ております。
例えば、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会がことし一月二十九日に自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟に宛てた要望書では、バリアフリー法改正及び関連施策についての要望事項として、可能な限り、改正法に移動の権利を明記するなど法律の目的を明確に規定してほしいなどの事項が並んでおります。残念ながら、さきのバリアフリー法改正では移動の権利は盛り込まれませんでした。
しかし、本法案は、第八条第三号で移動の利便性及び安全性の確保をうたい、第六条で法制上の措置が規定されております。
今後、こうした団体の要望にも応えて、移動の権利を始め、個別法をより充実したものに改正していく、そのことを促していく法案であると私は理解したいと思いますが、いかがでございましょうか。
○盛山委員 今、宮本先生が御指摘いただいた自民党の議連の事務局長を私は務めておりまして、その御要望は承りました。
ただ、今回のいわゆるバリアフリー法の改正は政府提出の法案ということでございまして、この移動の権利につきましては、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われました。また、改正バリアフリー法の立案に対する政府と関係者団体との検討会でも議論があったものと我々も承知をしております。
そして、それらの議論の場におきましては、移動の権利の内容等について、まだ実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとされまして、その法定化は時期尚早とされたところと承知しております。
本法案では、宮本委員御指摘のとおり、第八条第三号におきまして、障害者、高齢者等の移動上の利便性及び安全性を確保することをユニバーサル施策の策定等に当たっての留意事項として定めております。第六条に定める法制上の措置を含めまして、具体的な措置につきましては、この法案が成立、施行された後、政府で検討されることと期待しております。
○宮本(岳)委員 本法案によって、移動の権利を始め、個別法がより充実したものに改正されていくことを心から期待したいと思います。
次に、いわゆるLGBTと呼ばれる方々に対する認識について確認をしたいと思うんです。
今度の法案では、LGBTの方々は対象とされていないと伺っております。しかし、ユニバーサル社会と言うからには、当然、その社会にはLGBTの方々も含まれると考えるわけですが、そういう理解でよろしいでしょうか、小宮山委員。
○小宮山委員 宮本委員におきましては、関係の当事者の方々の話を聞いた上での質問ということで、ありがとうございます。
本法案が目指すユニバーサル社会とは、法案第二条第一号において、障害の有無、年齢にかかわらず、国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する社会をいうと定義されております。
このユニバーサル社会においては、LGBTの方々も当然その構成員であると考えております。
○宮本(岳)委員 ありがとうございます。
私は、本法案を審査する際に、中野区のユニバーサルデザイン推進条例の策定に向けて同区から諮問を受けた中野区ユニバーサルデザイン推進審議会の委員をされた方からお話を伺いました。
この審議会では、ユニバーサルデザインを定義する際には、誰もが、多様な人々がという表現のみではなく、その中にどういった人が含まれているのかが明確になるように、対象を具体的に列記する必要があると考えます、具体例として、高齢者、障害者、子育て世代、外国人、LGBT、女性があります、本人の特性としては、年齢、性別、国籍、障害の有無、性自認、性的指向が挙げられますなどの意見が出されております。
こうした地方自治体における条例制定の際の議論から見ても、ユニバーサル社会の名を冠するのであれば、LGBTの方々がその対象となっていくのは当然のことだと私は考えます。
さて、障害者の雇用の問題では、民間企業に率先して積極的に取り組むべき中央省庁で水増しされていたということが大問題になり、社会問題となっております。国土交通省でも六百二十九人が水増しされ、国税庁に次いで二番目に多いという恥ずべき実態が明らかになりました。
本法案は、第八条二号で、「障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保すること。」と規定されておりますが、障害者雇用の水増し問題に本法案はどのようにコミットするのでしょうか。お教えいただけますか。
○小宮山委員 委員御指摘のように、本法案第八条第二号では、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たっては、障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保することについて留意するように定めております。
今般の、先ほど指摘がありましたが、国の行政機関の多くでの障害者の法定雇用率を達成していないという状況が明らかになったということ、これは本当に猛省を促すところではございますが、そのような状況の中では、本法案第八条第二号の趣旨からすれば、極めて残念なことでもあります。
今後、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議で決定された基本方針に基づき、法定雇用率の速やかな達成、障害者の活躍の場の拡大に向けて取組が進められると承知しておりますが、その進捗状況については、本法案第十三条に規定するユニバーサル社会推進会議においても必要に応じて把握することが望ましいと考えております。
御質問ありがとうございます。
○宮本(岳)委員 障害者雇用の水増し問題は、それ自身、当委員会で集中審議すべき重大な問題だと思います。今後二度とあってはならないことでありますけれども、本法案が同様の問題を起こさない歯どめとなることを期待したいと思います。
本法案にかかわって、幾つか確認してまいりました。我が党は本法案にあえて反対するものではありませんけれども、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが重要であります。そうしてこそ、本法案も実効性あるものになると考えます。そのことを指摘して、質疑的発言を終わりたいと思います。
ありがとうございました。