森友疑惑追及緩めず 国有地値引き、大暴投 宮本岳氏「鑑定事前調整か」
宮本岳志議員は5日の衆院国土交通委員会で、学校法人「森友学園」に国が1億3000万円で国有地を売却した直後、同じ土地に13億円の不動産鑑定評価が出されていた問題を取り上げました。
13億円の鑑定評価を出したのは「財産プランニング研究所」の不動産鑑定士の熊澤一郎氏。同氏は、国有財産近畿地方審議会の委員でもあります。
宮本氏は、熊澤氏が2017年3月の国有財産地方審議会で、森友学園への国有地売却の際の不動産鑑定評価書で、近畿財務局から依頼を受けた不動産鑑定士の山本健爾氏が国から言われた撤去費用8億2000万円を土地価格から差し引いた1億3000万円という意見価額を「付記意見」として書き込んだことの重大さを指摘している点を紹介。
「熊澤、山本両鑑定士の鑑定はストライクゾーンを外しておらず、『8億2000万円引きで1億3000万円』こそ大暴投・デッドボールだ」と批判し「近畿財務局は、山本鑑定士と(事前に鑑定評価額についての)やりとりをしたのではないか」とただしました。
財務省の富山一成理財局次長は「(事前に山本)不動産鑑定士から不動産鑑定評価書の原稿が提出されており、その段階で鑑定評価の内容を承知していた」と認めました。宮本氏は関係者の参考人招致を求めました。(赤旗2018年12月12日)
動画 https://youtu.be/c9ROOJokYHI
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回に引き続き、森友問題の核心部分について聞きたい。
前回の質疑で私は、二〇一六年六月二十日、森友学園にわずか一・三億円で売り払われた国有地は、そのわずか五十日後の八月十日付で、株式会社財産プランニング研究所の熊沢一郎という不動産鑑定士の不動産鑑定評価によって十三億円という値段がついたこと、さらに、森友学園は、その二カ月後の十月十二日には、都市銀行であるR銀行との間で建物建設資金を使途とする十億円限度額の金銭消費貸借契約を結んだこと、さらに、それに伴い、本件土地につき、売買契約の解除や買戻し権行使がなされた場合には、森友学園に返還されるべき払戻金の請求権に、R銀行に第一位の質権を設定する契約を十月十四日付で取り結んだことを明らかにいたしました。
改めて確認いたしますが、国有地を売却した森友学園が十月十二日付でR銀行との間で十億円を限度額とする金銭消費貸借契約を結んだ事実を、近畿財務局も大阪航空局も知っておりましたね。これは両者にお尋ねいたします。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の質権設定につきましては、森友学園と金融機関の二者間で行われたものでございますけれども、この質権設定契約は平成二十八年十月十四日付で締結され、同日付の質権設定承認申請書が大阪航空局に提出されておりますので、当時の大阪航空局に確認をしたところ、御指摘の時点でそうした契約を結んだことを聞いたことがあるということでございました。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
財務省といたしまして公表しておりますいわゆる交渉記録によりますと、平成二十八年九月十五日の記録でございますが、第三者から、森友学園に融資する際の担保といたしまして、国が売買契約に基づく買戻し権を行使した場合に、森友学園が国に対して取得する売買代金の返還金の請求権に質権を設定したいという申出があり、融資実行の時期や融資額などについてやりとりが行われております。
この点について、改めまして近畿財務局の当時の担当者に確認をしたところ、売買契約上、指定期日である平成二十九年三月三十一日までに必要な工事を完了し、指定用途である小学校に供さなければならないとされており、資金計画の内容の変更が小学校開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があったことから、金融機関からの御相談に応じていたものである、この中で金融機関が森友学園に融資しようとしているおおよその金額の話は出ていたとの認識があるとのことでございました。
○宮本(岳)委員 両方とも認識していたということであります。
資料一を見ていただきたい。赤線部、概要の二ポツでありますが、本年九月十五日、森友学園に建物建設資金を融資するR銀行より、国に対し質権設定承認について事前相談、その後、登記名義人である国土交通省大阪航空局と調整し、十月十一日まで申請書面の内容等について事前調整済み、本日、質権設定承認申請書を持参し、大阪航空局担当者同席して申請書を受理し、同局が承認事務を行うこととしていたとあります。
蝦名航空局長に聞きますが、この交渉記録の記述されている事実に間違いはありませんね。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 この応接記録を見ますと、近畿財務局は池田統括以下三人の職員と、大阪航空局は安地補佐ともう一人の、五人が同席しております。
ここで受理する予定だった質権設定承認申請書というのは、資料二でありますけれども、前回も配付済みの書類であります。資料二の赤線部を見ていただきたい。森友学園は、R銀行に対する債務者学校法人森友学園の下記第一項借入債務、つまり十億円の金銭消費貸借契約及びこれに附帯する一切の債務の担保として、六月二十日に売却された国有地の売買代金返還請求権に第一位の質権を設定するという内容であります。
資料一をもう一度見ますと、この日、質権設定承認申請書を大阪航空局担当者が受理する予定だったものが、籠池氏から直接近畿財務局に質権設定承認をとめてほしいとの連絡があったこと、その理由は、十月十二日に銀行と金銭消費貸借契約を締結したが、学園側用に同契約書の作成を求められ、その契約書が作成されるまでは質権設定の手続をとめてほしいという要望だったことが見てとれます。
これは、その後、十月二十五日にR銀行から森友学園に原本保管証明書が差し入れられており、私はそれも入手いたしました。きょうは、その写しの一部を資料三、四につけてございます。
財務省、この流れは近畿財務局も深くかかわって進められてきた、こういうことでよろしいですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げましたが、近畿財務局としましては、売買契約上の指定用途である小学校として、資金計画の内容の変更が開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかといった点について関心を持ち、その把握をする範囲内で金融機関からの御相談に応じていたというものでございまして、そもそも森友学園は本件土地に係ります国との売買契約を締結した後でございますので、どういった資金調達をするのか、あるいは、その資金調達に際してどのような担保を提供するかといったことについては森友学園や金融機関の御判断であったと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 おかしいですね。
この十月十七日の前に、九月十五日に、R銀行が初めてやってきて近畿財務局と応接した記録がございます。その記録を見ますと、R銀行が、「以前池田統括より神戸に本件の類似例があると伺ったが、」云々、こういうくだりがありますが、これはまさに、事前にそういう類似例も示して相談に乗ってきたということではありませんか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
当時の近畿財務局といたしましては、二十八年の六月二十日に売買契約を締結し、所有権は森友学園に移っていた、そういった状況でございましたが、翌年、二十九年四月一日からの開校を、指定用途という意味で、実際にそのスケジュールどおりにできるのかという意味で、当該金融機関の方からの御相談なり、そういったものには応じていたという範囲内で、近畿財務局としてはさまざまなやりとりをさせていただいていたということでございます。
○宮本(岳)委員 九月十五日に、既に「以前」という形で語られているわけですから、池田統括がどういう話をしたか、調べて、報告いただけますか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
本人への確認も含めまして、可能な限りの対応をさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 では次に、国土交通省に聞きたい。
十一月二十六日の参議院予算委員会において、我が党の辰巳孝太郎参議院議員が、八億二千万円の値引きの根拠となった藤原工業作成の試掘報告書のデジタルデータを解析し、別の穴の写真として記載されているものが、実は同じ穴の写真である事実を突きつけました。
同じ穴の写真ならば、ごみの深さは同一のはずが、国の提出した報告書の記載では、ごみの層は、一方の穴は八十センチから二メートル七十センチ、他方の穴はゼロから一メートル二十センチとなっております。そして、大臣は、この報告書がでたらめである可能性についても認めざるを得なくなりました。
ところが、みずから調査しようとしておりません。国交省が責任を持って国会に提出したものであれば、その真偽を国交省みずから調査し、国会に報告するのは当然の責務ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点につきましては、前通常国会におきましても同様の御指摘をいただいておりましたので、当時の工事関係者に確認を行っておりますが、いまだ回答をいただけておりません。
このため、本年十一月十四日にも、工事写真ナンバー七とナンバー十、ナンバー十一が同じ試掘穴の工事写真ではないかという点について、重ねて説明を求める旨を工事関係者に対して求めているところでございますが、まだ回答は得られていないというところでございます。
○宮本(岳)委員 藤原工業に直接それを求めましたか。
○蝦名政府参考人 御指摘の報告書に添付されております写真を撮影したのは工事事業者と思われますが、報告書自体は、設計業者が、工事の設計、監督を行っていた業者として、試掘報告書も含めまして、見積りに必要な一連の資料を取りまとめて当方に提出しているものと承知しております。
このため、当該設計事業者に対して、工事写真のナンバー七、ナンバー十及びナンバー十一が同じ穴なのではないかという点について説明を求めているところでございます。
また、当該設計業者からは、工事事業者への確認も含めて、今確認を行って、その上で回答するということを返事をいただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 そんなことをやっているからだめなんですよ。みずから調査するという立場に立たなきゃだめですよ。
これまでも国土交通省は、みずから確認しようともしない態度がたびたび批判されてまいりました。
例えば、この土地の不動産鑑定評価に当たって、不動産鑑定士に示された軟弱地盤対策費五億八千四百九十二万余円の算定根拠について、会計検査院報告は、昨年の十一月の報告で厳しい指摘をしております。
会計検査院に聞きますが、報告書八十二ページ、十五行目から二十二行目にどのように書いてありますか。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
委員お尋ねの報告書八十二ページには、
大阪航空局に確認したところ、大阪航空局は、近畿財務局からの依頼に基づき、森友学園側の工事関係者から提供された見積書を内容の検証を行わないまま近畿財務局に提出したとしている。そして、近畿財務局は、当該見積書が契約相手方である森友学園側の工事関係者から提供されたものであることを知りながら、その事実を説明せず、また、内容を十分に確認しないまま、不動産鑑定士に判断を委ねることとして、これを考慮することを条件とした鑑定評価業務を委託していた。このようなことから、両局において、予定価格の決定に関連した事務の適正な実施に対する配慮が十分とはいえない状況となっていた。
と記述しているところでございます。
○宮本(岳)委員 航空局は、工事関係者から出された資料をチェックもせずに財務省に出した。片や財務局も、十分確認もせず不動産鑑定士に丸投げした。
航空局、この会計検査院の指摘をどう受けとめておるんですか。
○蝦名政府参考人 御指摘の点につきましては、近畿財務局から地盤の状況に関する資料を提出するよう依頼があったことを受けまして、大阪航空局と近畿財務局が相談をして、大阪航空局から近畿財務局に対して、工事事業者から提供を受けた資料をそのまま提出をしたところでございます。
この件につきまして会計検査院から御指摘がございましたので、その御指摘については重く受けとめて、今後、契約相手方の資料を用いる必要が生じた場合には、必要な確認等を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 重く受けとめるのであれば、国交省みずから調査し、国会に報告するのは当然のことだと思います。
委員長にお願いしたい。
国土交通省の責任で、報告書についての調査を行い、当委員会に報告するよう求めていただきたい。
○谷委員長 ただいまの件につきましては、後日、理事会で協議いたします。
○宮本(岳)委員 さて、そこで改めて、前回の質疑の最後に私が指摘した、この森友の土地は一体幾らの土地なのかということであります。
財務省、国有財産評価基準によれば、単独利用困難な土地等の国の職員による評価が許される場合を除き、不動産の鑑定評価に関する法律第三条第一項に規定する、不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価によることとされておりますね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今委員御説明のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 この土地に関するプロの不動産鑑定士の鑑定評価書は、二〇一六年六月二十日の土地売却を前後して、二つございます。
一つは、売買時に近畿財務局が委託した山本健爾鑑定士が五月三十一日という日付で近畿財務局に提出した、正常価格九億五千六百万円というこの鑑定評価書。
もう一つは、前回私が明らかにした、八月十日付で森友学園に提出された、株式会社財産プランニング研究所熊沢一郎不動産鑑定士による平成二十八年八月一日時点の更地の正常価格十三億円というこの鑑定評価書。
私は、この九億五千万円と十三億円との違いをもって、どちらが正しいかという議論をするつもりはありません。私は、この二つの不動産鑑定評価書をプロの不動産鑑定士の方に見ていただいて、検討いたしました。その方の所見でも、鑑定は野球のストライクゾーンのようなものだ、高目低目の違いはあっても、この二つはどちらもストライクゾーンは外していないというものでございました。
不動産鑑定評価基準を所管する土地・建設産業局に確認しますけれども、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて行った鑑定評価というものは、この不動産鑑定の評価基準、二から三ページに載っている第三節、不動産の鑑定評価によると、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であって、その社会的、公共的意義は極めて大きいと明記されておりますが、間違いないですね。
○野村政府参考人 たった今のお尋ねでございますが、今手元の現物を見ましたところ、委員の御指摘に相違ないと思います。
○宮本(岳)委員 この熊沢一郎不動産鑑定士が、二〇一三年九月から二〇一七年九月まで四年間、国有財産近畿地方審議会の委員であった事実を富山次長は前回の質疑でお認めになりました。
その委員については、学識経験のある者を任命していると言いつつ、熊沢一郎氏が不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長を歴任されているということが理由として語られましたから、その不動産鑑定士としての高い技量や識見が委員選任の理由なのだと私は思いますが、次長、よろしいですか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
熊沢一郎氏は、不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長などを歴任をされているということで、不動産に関する見識を有しておられるということから、平成二十五年九月から平成二十九年九月まで約四年間、国有財産近畿地方審議会の委員をお願いしたところでございます。
○宮本(岳)委員 前回の質疑で、私は、この熊沢委員が、この豊中の国有地を森友学園に定期借地契約で貸し付けた後、十年以内に売り払うというスキームを議論し、確認した、二〇一五年二月十日に開催された第百二十三回国有財産近畿地方審議会の時点でも委員であったことを指摘いたしました。
この熊沢鑑定士・委員は、第百二十三回近畿地方審議会に出席しておりましたか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
平成二十七年二月十日に開催されました第百二十三回国有財産近畿地方審議会には、当時委員でございました熊沢氏は出席をしておりませんでした。
○宮本(岳)委員 そうなんです。百二十三回には欠席をしております。
ただ、その後、第百二十七回地方審議会というものがやられております。これは、私は忘れられませんで、昨年の二月十五日から、私、財務金融委員会で森友問題の質問を始めました。麻生財務大臣に近畿地方審議会に報告すべきだということを繰り返し申し上げて、大臣がとうとう、報告させたいということで、大臣のそういう御発言もあり、その結果、昨年の三月に第百二十七回地方審議会が開かれ、報告された。このいきさつに間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の第百二十三回国有財産近畿地方審議会におきまして、森友学園を相手方とし、十年間の事業用定期借地による時価貸付けを行うとともに、売買予約により十年以内に森友学園が国有地を時価で買い受けるとの処分方法についても御審議いただき、御了承をいただいたものでございます。
そうした経緯から、その後の本件土地の売却につきましては、既に地方審議会で了承いただいている処分方法の、すなわち、売払い前提の定借による貸付けという処分方法の範囲内であることから、二十八年六月の売却時に改めて地方審議会には付してはいなかったところでございます。
しかしながら、森友学園への本件土地の処分につきまして、昨年二月より国会で質疑が行われる中、宮本委員より御指摘をいただいたことも受け、麻生財務大臣からの御指示を踏まえ、森友学園への本件土地の処分の状況等につきまして、昨年三月二十三日開催の第百二十七回国有財産近畿地方審議会において報告を行ったものでございます。
○宮本(岳)委員 その第百二十七回地方審議会の議事録、熊沢委員の発言部分を資料五に、そして、熊沢委員が発言の中で「いろいろ最終的な重大な部分になる」と指摘した別添資料六の二十三ページ、付記意見というものを資料六につけておきました。
つまり、みずから二〇一六年八月十日にはこの土地を十三億円と評価した熊沢不動産鑑定士は、売却時の山本不動産鑑定士の九億五千六百万円という鑑定評価額に異を唱えておりません。やはりそこから、大阪航空局がごみの撤去処分費用として積算した八億一千九百万円を差し引いて、一億三千四百万円などという意見価額を付記意見として書き込んだことが重大だ、こう言っていると思うんですね。富山次長、間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今お話のございました百二十七回の国有財産近畿地方審議会におけます熊沢委員の御発言の中には、今委員が御指摘をされた部分もございますが、さらに、熊沢氏の方からは、「一応こういう形で信頼できる資料が出ているので、これについて考慮した意見価格を出しました」といったような御発言もございまして、全体を読みますと、熊沢氏がこの意見価額を付したということを全面的に否定をされているというものではないというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 いや、全面的に否定はしていないですよ、もちろん。
山本健爾鑑定士の名誉のために言っておきますが、山本鑑定士も、この五月三十一日に近畿財務局に提出した不動産鑑定評価書において、一億三千四百万円という意見価額を書き込んだのは、あくまで鑑定評価で決定した更地の価額九億五千六百万円から、依頼者が提示した地下埋設物撤去及び処理費用八億一千九百万円というものを仮に引けば意見価額になると付記意見を付しただけだと。
会計検査院の昨年十一月の報告書八十二ページでも、参考事項として記載された意見価額は、鑑定評価額とは異なるものであり、鑑定評価額に求められるような中立性や信頼性の水準を確保することが求められるものではないと書かれておりますが、会計検査院、これは間違いないですね。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
委員お尋ねのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですよ。このごみの費用を引いた額を正常価格であると言った不動産鑑定士は一人もおりません。
この熊沢という人は、何の条件もつけず十三億だと言い、山本さんは、当然、近畿財務局から依頼されましたから、参考価格というものは後で出していますけれども、この人が決めた額もまた九億五千六百万です。
大体、山本鑑定士は、大阪航空局の八億一千九百万などというこの概算額は、依頼者側の推測に基づくものが含まれていて、他の専門家が行った調査結果等としては活用できなかったとまで言っているわけですね。
つまり、九億五千六百万円も十三億円も、高目低目の違いはあれども、ストライクゾーンに入っている。しかし、八億二千万円引きで一億三千四百万円などというものこそ大暴投、デッドボールだと言わなければなりません。
近畿財務局は、有益費としてあらかじめ支払った一億三千二百万円を下回らない形で不動産鑑定評価額から八億一千九百万円を差し引けば、ほぼその額に落ちつくように、山本不動産鑑定士ともやりとりがあったのではないか。
売却に当たって、二〇一六年五月三十一日に不動産鑑定評価書を山本鑑定士から受け取るまでに、一切不動産鑑定書を見ていない、鑑定評価額は知らなかったと言い切れますか、財務省。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
本件土地の売却に係ります鑑定評価につきましては、不動産鑑定評価業務に係る仕様書におきまして、鑑定評価書の原稿を五月二十日に提出することとなっておりました。不動産鑑定士より、統括官部門に対しまして、五月二十日に鑑定評価書の原稿が提出され、その後、五月三十一日に不動産鑑定士から鑑定評価書の正本が提出されているところでございます。
そういった意味で、五月二十日に不動産鑑定士から鑑定評価書の原稿が提出されておりまして、その段階で鑑定評価の内容を了知しておったものでございます。
加えますと、この原稿におけます鑑定評価額は九億五千六百万円、意見価額は一億三千四百万円でございまして、五月三十一日に不動産鑑定士から提出されました正本と同様の内容でございました。
○宮本(岳)委員 それはもちろん、原稿と最終的なものとの間に違いが生じていると、これはもうあからさまに値を下げたということになりますから。
しかし、きょう資料七につけたように、会計検査院もまた、あらかじめそれを知っていたということを述べておりますから、これは逃れようもない話なんですね。
あなた方は、先に大阪航空局の八億一千九百万円が決まっていて、後から不動産鑑定を委託したんだから、一億三千万程度に調整することは不可能だ、こう言い張ってまいりました。
しかし、今初めて、九億五千六百万円という鑑定評価額も、一億三千四百万円の意見価額も、事前に知らされていたということをお認めになりました。一億三千四百万円という売却価格が決まるまでに山本鑑定士と近畿財務局の間でどのようなやりとりがあったのか、しっかり語っていただかなくてはなりません。
私は、山本健爾不動産鑑定士とあわせて、熊沢一郎不動産鑑定士の参考人招致を求めて、きょうの質問を終わります。