レオパレス違法建築 2012年から不正把握か
衆院予算委 宮本岳志議員が内部資料入手
サブリース業界大手レオパレス21(東京都中野区)が開発・販売したアパートで屋根裏に設置し延焼を防ぐ壁(界壁)などの不正が発覚した問題で、同社が2012年から建築基準法違反の状態を把握していた疑いを、21日の衆院予算委員会で日本共産党の宮本岳志議員が独自入手した同社の内部資料をもとに明らかにしました。
宮本氏が入手した資料は、同社家賃改定事務局が12年に作成したもの。同社が「終了プロジェクト」と名づけ、大幅な家賃減額を示しオーナーから解約を申し出るようしむけていた問題でオーナーと訴訟になった際に作成された書類です。
宮本氏は、この裁判でオーナー側が12年11月、「界壁の不備」を争点に追加したことを受けて、同社は翌月たちまち和解交渉に転じたことを指摘。書類には「当社の一番の懸念は、現時点で『レオパレスが建築基準法違反』という記録が残ること」などと記載していました。和解案を100%受諾した場合に「本裁判において、建築基準法違反という文言は記載されない」「本裁判にかかわった弁護士らにオーナーが相談した場合、高い確率で建物検査をアドバイスされる懸念あり」などと記載されています。
宮本氏は「レオパレスは少なくとも12年以降から自らの物件に建築基準法違反が広く存在することを知っていたのでは」と追及しました。国交省は「コメントはさし控えたい」と答弁。宮本氏は「国会で徹底解明が必要だ」と訴え同社関係者の参考人招致を求めました。
同社の物件で、壁の中に燃えやすい発泡ウレタンが使用されていたことについて、宮本氏は建築確認制度が機能していなかったことを指摘。国交省は「下地材は施工された後の発見が難しい。工場生産されている部品は現場確認の際に確認することは困難」と認めました。宮本氏は「同社の関係工場の立ち入り調査など徹底的に原因を洗い出すべきだ」と要求。石井啓一国交相は「確認すべき事項について申し入れ、回答を求めている」と答弁しました。宮本氏は「レオパレス任せでは絶対に解決しない。徹底した調査を求めたい」と訴えました。
また宮本氏は「一刻も早く法律でサブリースの規制を行い、業者の登録を義務化して、違法行為があれば営業停止などの処分をするべきだ」と追及。石井氏は「実態を把握し、結果をふまえて法制化も視野に入れて検討をすすめていきたい」と答えました。(赤旗2019/2/23)
動画 https://youtu.be/wamGoSLuhyg
配布資料 20190221予算委員会配布資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
この間追及してきた森友問題も決して終わったわけではありませんけれども、これも私が二〇一三年以来続けて追及してきた、サブリース大手、レオパレス21をめぐる問題が大きな社会問題となっております。きょうはその問題を取り上げたいと思います。
レオパレス21社は、二月七日、違法建築をめぐって記者会見をし、プレスリリースを出しました。そこでは、新たに三十三都道府県の千三百二十四棟で天井や外壁が防火性能などを満たしていない施工不良があったと公表いたしました。その後、更に問題が広がっております。
これは大臣にお答えいただきたいんですけれども、一月末時点で何自治体の何棟に建築基準法違反が認定されましたか、大臣。
○石井国務大臣 レオパレス21社が施工した共同住宅のうち、現在までに建築基準法違反が確認をされているものは、昨年四月の二十七日及び五月の二十九日に公表された事案に係るものでありまして、本年一月末時点で、百七十三の特定行政庁から千八百九十五棟の違反を認定した旨が報告をされております。
○宮本(岳)委員 昨年末の数字で、百六十自治体、千四百八十八棟との報告でありましたから、わずか一カ月で四百棟以上もふえております。
既にレオパレスは、修繕工事のため、最大一万四千四百四十三人に順次引っ越しを求め、特に天井に防災上の不備がある六百四十一棟の物件に入居している約七千八百人近い人々に対し、三月末までの引っ越しを求めております。レオパレス居住者の間に困惑や不安が広がるのは当然のことだと思います。
去る二月の十六、十七の両日、大阪でレオパレス居住者向け電話相談が行われました。私はその場に行って話を聞いてまいりましたけれども、二日間で四十二件の相談が寄せられました。
例えば、五歳の娘さんと同居する二十代女性。元夫のDVから逃れるためにレオパレスに入居、レオパレスを選んだ理由は、家具、家電を購入しなくてよいこと、オートロックだったこと、レオパレスからは、退去の条件として、一、退去時の清掃費を無料にすることや、二、レオパレス指定の引っ越し業者なら引っ越し費用を一部負担することなどが提示されたというんです。
報道では、引っ越し代金は全額レオパレスが負担すると出ておりますけれども、しかし、現実には、このように、レオパレス指定業者を使っても一部しか引っ越し代を出さないなど、報道内容と異なる相談さえこの日まだ届いておりました。
まず、大臣に基本認識を聞きたいんですが、このレオパレス21の違法建築問題が国民生活に大きな影響を与える深刻な問題だ、こういう御認識はございますね、大臣。
○石井国務大臣 レオパレス21におきまして、同社が施工した共同住宅における界壁の不備に関する従来の事案に加えまして、今回、界壁、外壁及び天井が建築基準法に基づき認められている仕様に不適合である新たな事案の報告があったことは、極めて遺憾と考えております。
国土交通省といたしましては、賃貸共同住宅の入居者、所有者の安全、安心の確保、徹底した原因究明、再発防止策の検討に全力を挙げて取り組んでまいります。
○宮本(岳)委員 もちろん、居住者に何の罪もありません。レオパレス21が家賃や引っ越し代を負担するのは当然でありますけれども、家具や家電が据え付けられていない、レオパレス以外のアパートに越せば、エアコンやテレビも買わなければならなくなります。その分はどうしてくれるのかなど、切実な声が寄せられております。くれぐれも居住者に不利益がないように、しっかりと対処していただきたいと思うんですね。
そこで聞きますけれども、これは住宅局長で結構ですが、国土交通省がレオパレスの建築基準法違反を最初に知ったのはいつのことでありましたか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
レオパレス21が施工しました共同住宅における不備に係る情報を国土交通省が最初に知りましたのは、平成三十年一月十九日に、当時の担当課の職員がレオパレスオーナーの方から防火壁のないアパートがあるとの報告をいただいた、それが最初の発端となります。
○宮本(岳)委員 昨年一月十九日のオーナー会からの情報提供に対して、国交省はレオパレス21に問合せをいたしましたか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げました、昨年の一月十九日にオーナーの方から報告を受けた際には、所在地など物件が特定できる情報提供がなかったことから、国土交通省から、特定できる情報を提供いただけるようにお願いを申し上げました。その後、オーナーの側から、所在や物件名など、特定行政庁や会社側に照会するために当方として必要と考えておりました情報提供がなかったことから、当面、国土交通省としての対応はまだ行っていなかったところでございます。
その後、平成三十年四月二十七日、同年の四月二十七日ですが、レオパレスがこの関係についての公表を行うことになりますが、その直前に国交省に対して、建築確認図書に記載された界壁が施工されていない疑いのある物件が存する旨の報告がレオパレス21からあったことから、レオパレス21に対しまして、事実関係の確認等、その時点で指示を行ったものでございます。
○宮本(岳)委員 レオパレスから言ってきたから初めて指示をしたと。
レオパレスは、同社の違法建築の事実を初めて知ったのはいつだと国交省に報告をしておりますか。
○石田政府参考人 レオパレス21からは、平成三十年四月二十七日にプレスリリースに記載しておりますけれども、同年、平成三十年の三月二十九日及び四月十七日に対象物件の二名のオーナーから、小屋裏界壁に関して確認通知図書と現場との相違があるとの指摘を受け、社内確認をしたところ、一部の現場のみならず、広く小屋裏界壁が施工されていないことを認識した、これが初めだというふうに聞いております。
○宮本(岳)委員 そんな、去年に初めてわかったというようなものではないんです。それをこれからやりましょう。
そもそも、私がこのレオパレス21のサブリースのビジネスモデルの詐欺的手法を国会で初めて取り上げたのは、六年前、二〇一三年四月十五日の衆議院予算委員会第一分科会でありました。一部に、居住者はともかく、マンションオーナーも金もうけのためにレオパレスと組んだのだから、被害者面するのはおかしいなどと言う向きがありますが、そんな生易しい話ではありません。
レオパレス21社の業態は、ほぼ一〇〇%、サブリースであります。サブリースとは、不動産会社が貸し主から賃貸物件を借り上げて入居者に又貸しするものでありますけれども、多くの場合、三十年一括借り上げで家賃収入保証などと安定した収入があることを売りに、オーナーに莫大な借金を背負わせ、マンション建設を進めてまいりました。
ところが、レオパレスは、二〇一〇年ごろから、リーマン・ショック後の経営不振を乗り切るため、会社ぐるみで強引に、契約解除も辞さず、オーナーに家賃の減額を迫りました。これに終了プロジェクトという名前までつけて、契約から十年を超えたアパートは解約、十年未満は家賃の大幅減額を求める交渉をするように、会社を挙げて指示まで行っておりました。
私が六年前、実例を挙げてただしたのに対して、当時の森まさこ消費者問題担当大臣は、「非常に難しい問題」と言いつつも、「そのような悪質な事例があるとすれば、政府全体として何らかの解決に向かって進まなければなりませんので、所管の国土交通省としっかり協議をしてまいりたい」と答弁をいたしました。消費者庁、事実ですね。
○高田政府参考人 お答えいたします。
平成二十五年四月十五日の衆議院予算委員会第一分科会におきまして、森国務大臣から、「先ほどの答弁でも申しましたように、そのような悪質な事例があるとすれば、政府全体として何らかの解決に向かって進まなければなりませんので、所管の国土交通省としっかり協議をしてまいりたいというふうに思います。」との答弁をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 この終了プロジェクトの暴露は、このとき大きな話題となり、それを機に、レオパレスオーナーの皆さんがオーナー会を立ち上げるきっかけにもなりました。
そこで、配付資料を見ていただきたい。
昨日、レオパレス21自身が私に対して提出したレオパレスの内部資料であります。家賃改定事務局と書いているのは、終了プロジェクトを進めてきた担当部局であります。名前は伏せておきましたが、先日のテレビ東京の番組でも放映されていた、○○氏訴訟案件現状及び今後の方向性に関するレポートと題された文書であります。
資料一の経緯を見ると、終了プロジェクトに関して、二〇一一年十一月、あるオーナーから訴訟が提起されます。裁判では、解除権の濫用や解約時に空室で引き渡された損害などが争われてきたんですけれども、二〇一二年十一月に、オーナー側は、今回問題になっている界壁の不備という主張を追加いたしました。すると、翌月、二〇一二年十二月には、たちまち和解協議に応じております。
資料二を見ていただきたい。
三、懸念される事項とあります。今回、解除権の有効性とは別に建築基準法違反による建物瑕疵、損害賠償請求された、当社の一番の懸念は、現時点でレオパレスが建築基準法違反という記録が残ることとなっています。
そして、四、本裁判における当社の選択肢として、先方の和解枠組みを一〇〇%受諾するならば本裁判において建築基準法違反という文言は記載されないと記載され、その下には、本裁判にかかわった弁護士らにオーナーが相談した場合、高い確率で建物検査をアドバイスされる懸念ありとも書かれております。
ここに言うオーナーというのは、この裁判の原告ではありません。他のオーナーのことであることは明瞭であります。そして、建物検査をアドバイスされることを懸念しているということは、他の建物にも界壁の不備があることを自覚していたということになります。
これはつまり、レオパレスは以前から、少なくとも、二〇一二年以降はみずからの物件に建築基準法違反が広く存在することを知っていたということではありませんか、局長。
○石田政府参考人 御指摘の資料に関しましては、御紹介ありましたように、レオパレスの内部資料でございますので、国交省の方からその内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
○宮本(岳)委員 この文書は国交省として入手いたしましたか。
○石田政府参考人 この資料自体は入手をさせていただいております。
○宮本(岳)委員 当たり前ですよ。私が国交省に出させろと言ったらレオパレスが届けてきたんですから、あなた方は既に持っているはずなんですね。
資料二から三にある弁護士のアドバイスを見ていただきたい。
資料二の下には、本裁判以降、GN、ゴールドネイルの瑕疵について完全にふたをすることは不可能である。資料三の二つ目のポツ、一部上場企業でコンプライアンス遵守を表明している以上、ゴールドネイルの修繕については、今後プロジェクトを組んで進めるべき。四ポツ、確認申請と実際の施工が違う事実になった経緯の正式コメントを用意すべき。弁護士はここまで言っているんですね。このとき直ちにやっておけば、今回のような事態になっていないんですよ。
七年前、二〇一二年時点で既に、ゴールドネイルの瑕疵は隠せない、今後プロジェクトを組んで修繕を進めるべきだという認識が弁護士から出されているではありませんか。それをレオパレスは隠し続けてきた。
大臣、こんなことが許されていいんですか、大臣。
○石井国務大臣 委員が御紹介いただいたのはレオパレス側の文書でございますので、私どもが作成した文書ではございませんから、コメントは控えたいと思います。
○宮本(岳)委員 だからこそ、国会の場で徹底追及が求められる、徹底解明が求められると思います。
この文書は、七年前からレオパレスが違法建築を知っていて隠蔽してきたという事実を示すものであります。
徹底解明のために、委員長、当委員会にレオパレス21関係者の参考人としての招致を求めたいと思います。
○野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。
○宮本(岳)委員 さて、まさにそのゴールドネイルを含むネイルシリーズでありますけれども、この商品はツーバイフォーと呼ばれる工法を用いております。
ツーバイフォー工法は、均一サイズの角材と合板を接合して、柱や、はりのかわりに、壁、床、天井、屋根部分を構成し、それらを組み合わせて箱状の空間をつくるというものであります。つまり、あらかじめ工場で作製した部品を現場に持ち込んで組み立てていくというものであります。いわばプラモデルのようなイメージですね。
ことし二月七日のレオパレス自身の公表によっても、このネイルシリーズ、九百十三棟のうち九百四棟を調査してみたら、界壁に不備がなく合格したのはたった六棟。残る九九・三%に何らかの界壁の不備があったと。これがこのネイルシリーズの結論なんですよ。
これは、施工に違反があったというようなものではありません。設計段階から建築基準法違反があったということではありませんか、局長。
○石田政府参考人 現在、レオパレスの方から公表しております二月七日の発表におきましては、遵法性の知識や意識の低さから起因したものと考えているけれども、具体的な原因究明に至っていないこと、また、実態把握と原因究明を行っていく旨が全体として示されております。
御指摘のネイルシリーズに関しまして、その個別の発生原因について、今のところレオパレス21からは発表、回答は出ておりません。
国土交通省としましては、こうした不備の発生の理由等について、一カ月以内に原因を究明して報告するよう今現在求めているところでございます。
提出された報告内容につきましては、国交省に設けます外部有識者委員会においてその内容を検証させていただきたいと思っております。
○宮本(岳)委員 こんな七年前からずっと隠し続けてきて、いまだにそのことを明らかにしないような、そのレオパレス自身に解明させて結果を待っているというんじゃだめですよ、それは。
この界壁の不備というのが、いかに、どういう重大な問題か、界壁とはどういうもので、どういう機能があるか、簡潔に御説明いただけますか、界壁。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
共同住宅の界壁につきましては、建物全体の構造を支える一部であることに加えまして、隣接する住戸間におきまして、生活音が容易に伝わることがない遮音性能の確保、また、火災の際の延焼拡大の防止など、建築物の安全性や良好な生活環境を確保する上での役割を果たすものでございます。
○宮本(岳)委員 重ねて、今の建築基準法の規定では、共同住宅の界壁はどう施工されなければいけないか。耐火機能にかかわる建築基準法施行令百十四条一項を読んでいただきたい。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
今お話ありました建築基準法施行令第百十四条第一項におきましては、「長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。」と定めているところでございます。
○宮本(岳)委員 界壁がないと、一旦小屋裏に火が回れば、瞬く間に天井全体が燃え広がって火の海になります。だから、界壁がないなどというのは論外でありますけれども、形だけあればよいというものでもありません。当然、すき間なく界壁が設置されていなければ命にかかわるというのが法律の規定なんですね。
なぜ、レオパレス21のネイルシリーズのマンションの九九%、ほとんど全てに命にかかわる界壁の不備があったのか。これはなぜ見抜けなかったんですか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
今回発生しました案件は、平成八年から十三年に建築をされております。当時は、平成十一年に導入された中間検査制度もまだ定着しておらず、完成検査率も低い水準でございました。現在では、当時と比べて完成検査率も上がり、共同住宅の中間検査も対象としておりますが、当時はそれと比べてかなり検査の状況が低かったこと、また、今回問題になっております下地材の、下にあるものの仕様などは、内外装が施工された後では、中間検査や完了検査での現場検査の際に確認することが困難な面がございます。
そのため、この点に関しましては、確認審査等に関する指針におきまして、中間検査、完了検査の際に、その施工前に施工された工事について、工事監理の状況を記録した書類等で、建築確認を受けた設計図書のとおり施工されているかどうかを確かめるということになっております。
ただ、このような検査及び工事監理の仕組みで今回のような関係のものがきっちりと違反を防止できるかどうか、その点は、先ほど申し上げました委員会におきまして精査をいただく必要があると思っております。
○宮本(岳)委員 このネイルシリーズについては中間検査が入る前のものであった、だから中間検査していないんだという答弁でありますけれども。
では、今は中間検査が入りました。しかし、今回のレオパレスの違法建築には、界壁の不備以外にも、部品である壁の中に、本来は耐火性のグラスウールやロックウールでなければならないのに、燃えやすい発泡ウレタンが挟まれていたというものもあるんですね。
今回のように、工場から出荷される段階で既に壁の中に発泡ウレタンが挟まれている、こういう事例であれば、目で見る目視の建築確認で見抜けるんですか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども少し触れさせていただきましたが、下地材などの仕様は、内外装が施工された後では発見がなかなか難しくなりますし、工場生産されている部品、これについて、中間検査や完了検査といった現場検査の際に確認することは困難な面もありますことから、工事監理が適切に行われることがそもそも一番、まずは重要と考えております。
ただ、今回の事案の原因究明の結果を踏まえまして、現在の検査及び工事監理制度のあり方について検討する必要があると考えております。
国土交通省として設置いたします共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会、ここにおきまして、今般の事案に係ります原因究明結果の検証及び再発防止策等について検討していただくことにしておりまして、国土交通省においては、そのいただいた提言を踏まえて必要な対策を講じていきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 今回のこの事件を受けて、レオパレスのオーナーの方々からは、検査済み証をもらうことで建物の安全性を我々は信用していたんだ、それでも違法建築がはびこるとすれば我々は一体何を信じたらいいのかという悲痛な声が上がっております。
今、見抜くことは難しい、建築確認のあり方についてもというお話がありましたけれども、これはちょっと大臣に、改めて、今回の事例を受けて、この建築確認の不備についてしっかりとただしていくと。よろしいですか。
○石井国務大臣 今局長が答弁いたしましたように、部材の仕様、これは内外装材が施工された後ではなかなか検査では見抜きにくいという面がございます。
工事監理は適切に行うということが重要なんですけれども、これらの検査及び工事監理のあり方について検討する必要があると考えておりまして、国土交通省として設置をいたします共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会におきまして、今般の事案に係る、事業者の方に原因究明結果を求めていますから、それをこの検討会において検証するということ及び再発防止策について検討いただくこととしておりますので、いただいた提言を踏まえて必要な対策を講じていきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 実は、今回の部材のこういう違反というものは、工場の中で行われていることですから、建築現場の確認じゃいかないわけですよ。いざとなったら、そういう部材をつくっている、部品をつくっている、壁の中にそういうものを挟み込んでいる工場を立ち入って調査するということもしなきゃわからないわけですね。
レオパレスはこういう事態を起こしたわけですから、少なくとも、レオパレスに関しては、工場に立入検査を行うことや作業員への聞き取りなど、やはり国土交通省としてしっかり原因を洗い出すべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました委員会の有識者の先生方、こちらとも御相談をさせていただいて、今現在、レオパレスに対して、単に原因究明の結果を出せというだけではなく、こちらとして確認をすべき事項について向こうに申入れをし、その回答をいただくことを求めているところでございます。
○宮本(岳)委員 レオパレス任せでは絶対に解決いたしません。徹底した調査を求めたいと思います。
これだけ大切な、命にもかかわる界壁を、事もあろうに、昨年の国会で建築基準法三十条を改定することによって、遮音性に関しては設置しなくてもよいという規制緩和が行われました。もちろん私は反対しましたけれども。
この法改悪は、昨年六月二十七日に公布をされまして、ことし六月二十六日までに施行されることになっております。また、それに合わせて、施行令を変えて、界壁の耐火性についても規制緩和するということになっております。そんなことをして本当に大丈夫なんですか、局長。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
今ほど御紹介のありました改正でございますが、単に緩和をするというものではございませんで、天井裏の界壁をなくすかわりに、天井部分にそれに見合う性能を求めるということをあわせ行うことによる合理化を図ろうというものでございます。
まず、防火性の話がございました。これにつきましては、防火性の天井の部分、小屋裏の方に行く前のその天井の部分につきまして、必要な耐火性のある強化石こうボードの重ね張り等を求めることによって、今の基準と同等の安全性を確保しようというものでございます。
防音につきましても、同じように、吸音性のあるもの、そういったものを天井にちゃんと施工することによって、界壁がなくなることとあわせて行っても同等の遮音性を確保する、そういった改正を行おうとするものでございます。
○宮本(岳)委員 つまりは、天井の建材に遮音性や耐火性があれば界壁がなくてもよいという改正をしようというんでしょう。よくもそんなことが言えるものだと私は思うんですね。
住宅局長に改めて確認しますけれども、今言った、ことし二月七日の住宅局のプレスリリースで、レオパレス21の施工した共同住宅には、もちろん、界壁の不適合、これはありますよ。同時に、同じプレスリリースで、天井の材質について不適合が報告されておりませんか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
本年の二月七日にレオパレスが公表した三つの今回新たに発見された案件の中の一つが、天井部分の施工の不備でございます。
その内容は、本来二種類の天井のボードを張るべきところを、その二種類のうち片一方しか張っていなかったり、若しくは、本来定められていた二種類とは違う二種類を張ったものがあったというものでございます。
○宮本(岳)委員 あなた方のプレスリリースに書いているじゃありませんか。
「「強化せっこうボード十二・五ミリと化粧せっこうボード九・五ミリ」又は「化粧せっこうボード九・五ミリ」となっており、平成二十七年国土交通省告示第二百五十三号(一時間準耐火構造)に規定する仕様の一つである「強化せっこうボード十二ミリ以上とロックウール吸音板九ミリ以上」と異なるもの」であった。これがプレスリリースの、あなた方が発表した中身ですよ。レオパレスがまさにいい実例ですよ。
界壁でごまかしをするような企業は、天井の建材だってごまかすんです。界壁という、目で見て確認できるものでさえ違法を見抜けなかったあなた方が、建材の耐火性能というような、まさに目で見てもわからないとみずから認めるようなものを、ちゃんとやれば大丈夫だとどうやって確認するんですか。
こういう重大な建築基準法違反事件が明らかになった以上、このままこれを施行するということはとどまるべきだ、改めて再検討すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 レオパレスは現行の建築基準法に不適合だという件でありますが、委員の指摘のは、新しく改正するのがどうかということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、今般のレオパレスさんの事案を踏まえまして、国土交通省で検討会を設けまして、そこでしっかりと対策を講じさせていただきまして、今回新たに改正する予定のものも含めて、しっかりと確認をしていくという方策をとらせていただきたいと思っています。
○宮本(岳)委員 そういう意味では、その有識者会議でのきちっと検討を抜きにこれを施行するということはないというふうに受けとめていいですか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の改正につきましては、これはまさしく、政令の内容を含めまして、求める性能の規定でございます。そこの改正となります。
ただ、今回レオパレスで起きましたのは、現在求められている性能の施工をいわば十分にやっていないということでございまして、施工をどう確保するか、ちゃんとした施工を確保するかというところが一番の肝要な部分でございまして、その部分を委員会においてきっちり検討いただこうと思っております。
そういった意味では、性能自体は、先ほど申し上げましたとおり、今回の改正でも同等のものを確保する内容でございますので、その確保した内容をいかに、あと施工の面で確保するか、そこについてきっちり検討した上で対応したいと思っておりますので、性能自体の改定自体は今回の予定の形で進めたいと思っているところでございます。
○宮本(岳)委員 検討した上でやるというんですから、検討が終わるまではやってもらっては困るんですよ。大体、見抜けなかったんですから、きちっとやってくださいね。
さて、レオパレスは、一〇〇%近くサブリースで成り立ってきた企業であります。
最後に、サブリースをめぐって報じられている、新たな投資詐欺まがいの事例について質問したいと思います。
フラット35という民間金融機関と住宅金融支援機構が提携した最長三十五年の全期間固定金利の住宅ローンがあります。
国交省に確認しますが、このフラット35を利用して、第三者に賃貸する投資用物件の取得資金とすることは許されておりますか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
フラット35におきましては、申込人とフラット35を取り扱っております金融機関の間で締結する金銭消費貸借契約証書におきまして、借入金の使途を本人又は親族が居住するための住宅の取得資金又は取得資金の借りかえに限定しております。
したがいまして、賃貸用の住宅など不動産投資用の物件の取得資金に使うことは許されておりません。
○宮本(岳)委員 許されていないんですね。
ところが、二月の十八日の毎日によると、サブリースを悪用した、若者をターゲットにした新たな投資の勧誘が横行して、被害者が出ているという報道があります。
投資用物件には使えないはずのフラット35を悪用するために、その物件の住所に住民票を移させ、自己居住用に購入したかのように偽ってローンを組ませております。
記事によりますと、ある業者の元社員は、二十代から三十代を中心に中古マンションを売っていた。客の平均年収は三百万から四百万円。我々からすれば、売れてしまえばそれでいいと語ったということであります。
このフラット35を使ったこういうやり方をヤドカリ投資法と呼んで、これを指南するようなこういう本まで販売されているという現状がございます。
こういうフラット35を悪用した、そしてサブリースを装った投資にこれを使うというようなことは、このまま決して放置しておけるものじゃないと思うんですけれども、石井国土交通大臣に御所見をお伺いしたい。
○石井国務大臣 フラット35について申し上げたいと思いますが、委員が今、ヤドカリ商法というふうにおっしゃいましたけれども、フラット35の融資を実行した後、住所をまた変更してしまうというやり方のことかと思います。
そもそもフラット35は、融資実行後、転勤や転職等の諸事情により一時的に転居される場合は、従前は、事前に機構が承認する手続としておりました。その後、リーマン・ショック等の社会経済情勢下における返済困難者への対応を図るために、機構は、この手続について、事前承認から届出へと見直しをいたしました。
この措置は、転居により所得が回復するまでの間、融資を受けた住宅を賃貸して、その家賃収入により返済の継続をしやすくするといった趣旨で行ったものでありますけれども、こうした手続を利用して、フラット35が、本来の融資目的と異なり、賃貸用の住宅など不動産投資用の物件の取得資金に利用されることは、これは遺憾であります。
機構に対しましては、実態を踏まえつつ、適切に対応を検討するよう指導してまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 当然、こういう穴を塞ぐための手だてを講じていただきたい。
なぜ、レオパレスといい、フラット35の悪用といい、サブリース業者による被害がとまらないのか。それは、サブリースを規制する法律がないからであります。
一刻も早く法律でサブリースの規制を行い、業者の登録を義務化して、違法行為があれば営業停止などの処分をするべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 賃貸住宅管理業の法制化に関しましては、平成二十九年九月より検討会を開催いたしまして、現状、登録制度はございますけれども、この登録制度も任意の制度でありますから、登録制度の法制化を含め、今後の賃貸住宅の管理業のあり方について検討を進めてまいりました。
この検討会におきまして、賃貸住宅管理業の枠組みについて、より実効性のある形で制度の構築、改善を図っていくことが必要とした上で、投資用不動産をめぐるトラブルが多発していることに鑑み、実態を詳細に把握した上で、法制化に向けた検討を進めるべきとの提言が取りまとめられたところであります。
国土交通省といたしましては、多様化しているトラブルの実態を把握し、その結果を踏まえつつ、引き続き、法制化も視野に入れて検討を進めてまいりたいと存じます。
○宮本(岳)委員 今回の問題でいえば、レオパレス21の物件に居住されている方々の安全を図ることと、被害の救済、補償が第一であります。さらには、だまされてきたオーナーの皆さんも被害者であります。レオパレスに、その社会的責任を果たさせなければなりません。
昨年六月十九日の国土交通委員会質疑でも私は指摘しましたけれども、借地借家法の運用がこの問題の解決を阻む大きな原因になっております。サブリース業者が建物の賃借人に含まれることで、弱者保護のための借地借家法が、情報力も交渉力も優位にあるレオパレスなどサブリース業者を守る結果となっているんです。これを改める必要があります。
石井大臣が法規制も視野に入れて検討すると言うのならば、サブリースに対する法的規制を真剣に検討することを強く求めて、私の質問を終わります。