奈良高校統廃合は強引
衆予算委分科会 宮本岳志氏ただす
日本共産党の宮本岳志議員は2月27日の衆院予算委員会分科会で、奈良県立高校統廃合問題について質問しました。
奈良県は、2015度までに耐震化完了との国の方針に反し、奈良高校の耐震化を放置しています。県は耐震改修済みの平城高校を廃校にし、その校舎に奈良高校を移転しようとしています。
宮本氏は、15年当時、奈良高校校長が耐震化を繰り返し求めていたにもかかわらず、県が高校の「適正化」を口実に工事を中止すると述べていた「打ち合わせ等記録」を暴露。「耐震化よりも高校の統廃合を優先させるのが文部科学省の方針か」とただしました。
柴山昌彦文科相は、「生徒の命を守ることが一義的に重要であり、一刻も早い耐震化を指導している」と答弁しました。
宮本氏は、統廃合のための「県立高等学校適正化実施計画」について、県議会での拙速な議決はせず関係者に丁寧な説明を求めた意見書を県議会が一顧だにせず否決したことや、高校生、父母、OBなどが統廃合反対の署名を2週間で2万6000人分も集め、その後も1万4000人分集めたことを紹介。全国にも例のないやり方で強引に統廃合を進めることを文科省は認めるのかと迫りました。
柴山氏は、地域でどのような対応がとられるか注視していきたいと答えました。(赤旗2019/3/6)
動画 https://youtu.be/af2479uBGkg
配布資料 20190227配布資料1~3 20190227配布資料4
議事録
○宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、まず、高等教育の無償化について柴山大臣と議論してみたいと思います。
国際人権A規約、社会権規約の十三条二項(c)には、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」が定められております。
日本政府は、一九七八年五月にこれに署名し、国会の承認を経た後の一九七九年六月に国際人権規約を批准いたしましたけれども、この規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されない権利を留保するという態度をとってまいりました。この留保はいつ撤回されたか、外務省、お答えいただけますか。
○長岡政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま委員の御指摘のありました社会権規約十三条2(c)の「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に関する留保につきましては、二〇一二年九月十一日に国際連合事務総長に通告をし、この日からこれに関連する義務を負うことになっております。
以上です。
○宮本(岳)分科員 これには長い歴史がございます。一九七九年以来、留保撤回を求める学生たちや父母、教員の運動が粘り強く続けられ、我が党の先輩議員たちも繰り返し撤回を求めてまいりました。
二〇〇九年に誕生した民主党政権が初めて留保撤回の姿勢を示し、二〇一二年二月二十一日の衆議院予算委員会、私の問いに対して、当時の玄葉光一郎外務大臣が、国連への通告については、具体的な期日について現時点で申し上げるのはまだ困難と言いつつも、所要の準備が整い次第、速やかに行いたいと答弁をいたしました。
それでも一向に国連に通告されず、とうとうこの第百八十回通常国会は閉会をいたしました。私が業を煮やして、九月十一日に外務省を呼び、通告がおくれている理由を説明せよと求めたら、やってきた当時の人権人道課の職員の第一声が、お喜びください、けさ、国連事務総長宛てに通告をいたしましたというものでございました。
外務省自身がホームページで掲げているように、二〇一二年九月十一日以降は、この規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されるということになります。そうである以上は、漸進的、つまり一足飛びではなく徐々にであるにしても、高等教育、すなわち大学はもちろんのこと、短期大学や高専、そして大学院に至るまで、やがては全ての学生の学費を無償化する国際的責務を負っている、この事実を大臣に確認をしたい。あわせて、その国際的責務を果たすためにどのような施策を行うおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、国際人権A規約では、高専や大学院を含め高等教育の漸進的無償化を図ることとされておりますけれども、ただ、無償教育の具体的な方法や、所得制限のない無償化を最終目標とするのかどうかということにつきましては特段の定めをしておらず、具体的にどのような方法をとるかについては加盟国に委ねられております。
このため、我が国における無償教育の漸進的導入に当たっては、財政や進学率などのその時々の状況を総合的に判断をするべきであろうというように考えます。
平成三十一年度予算案においては、給付型奨学金や無利子奨学金を始めとした貸与型奨学金を着実に実施するのに必要な経費を盛り込んでおります。
また、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を対象とする新たな高等教育費の負担軽減方策につきましては、平成三十年十二月に幼児教育・高等教育の制度の具体化に向けた方針を関係閣僚会議において取りまとめ、その方針に基づいて、今国会に大学等における修学の支援に関する法律案を提出したところでございます。
○宮本(岳)分科員 具体的な定めがないというお答えでありましたけれども、では、今あなた方が進めようとしている高等教育の無償化というものが、この国際条約の趣旨に合致するものであるかどうかについて聞きたいと思うんですね。
事前の説明では、先ほどお話しになった、法案提出するその中身ですけれども、授業料減免制度の拡充、あるいは給付型奨学金の支給等々の拡充に、国、地方合わせて最大七千六百億円の予算を投入する、こういう御説明でありました。
では、支援対象となる低所得世帯の生徒の高等教育の進学率が全世帯平均と同水準である八割まで上昇した場合、一体何人の学生が授業料減免や給付型奨学金を受けることになると想定しているのか、高等教育局長、お答えできますか。
○伯井政府参考人 お答えいたします。
高等教育機関への進学率は、今御指摘いただきましたように、全世帯では約八割であるのに対しまして、住民税非課税世帯、今回は住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯を支援対象としておりますが、住民税非課税世帯の進学率は約四割程度と推計しておりまして、全世帯の半分程度にとどまっているわけでございます。
今回の支援措置によりまして、低所得世帯の進学率が新入生から順次上昇して全体の進学率に達し、全員が要件を満たす大学等に進学すると仮定した場合、支援対象者は約七十五万人程度になるというふうに想定しております。
○宮本(岳)分科員 大学、短大、高専から専門学校に至る各高等教育機関の在学者総数は三百五十万人程度で推移をしております。今答弁ありましたように、たとえ七十五万人が無償化されたとしても、まだ二百七十五万人の学生が残るということになります。
では、聞きますけれども、その残る二百七十五万人、つまり全体の学生の大学の学費は、今、下がっているのかどうかということなんですね。
留保を撤回したのは二〇一二年でありますけれども、留保を撤回して漸進的無償化条項を受け入れた二〇一二年度と比べて、私立大学の平均授業料は直近の二〇一七年度で一体幾らになっておりますか。
○伯井政府参考人 お答えいたします。
私立大学の平均授業料でございますが、二〇一二年度は八十五万九千三百六十七円、二〇一七年度は九十万九十三円となっております。
○宮本(岳)分科員 私学では授業料が四万円以上も上がっております。
国立大学はどうか。法人化以降、ずっと標準額で推移してきた。一方では、運営費交付金が減らされる中でも授業料を上げずに頑張ってきた国立大学の中で、ことし、ついに二つの国立大学が十万円前後授業料を値上げすることを明らかにいたしました。下がるどころか、逆に上がっているというのが今の現状なんですね。
漸進的ですから、一足飛びに無償にならなくてもいいんですよ。しかし、無償にしていく、下げていく、やがては無償にしていくと言っているときに上がる、これで漸進的無償化と呼べるんですか、大臣。
○柴山国務大臣 今委員から御紹介をいただいたように、私立大学について、各大学の経営判断のもと、もちろん質の向上というところが非常に大きいと思いますけれども、緩やかな上昇が続いており、また、国立大学は、標準額を据え置いているものの、今御紹介のあったように、一部で経済的支援の充実とあわせた値上げを表明した大学も出てきていることは事実であります。
ただ一方、やはり、高等教育の漸進的無償化についての留保撤回以来、国立、私立ともに授業料減免への支援というものは充実をしてきていると承知をしております。給付型奨学金制度の創設を始め奨学金制度、こちらもやはりしっかりと負担軽減という観点で進められております。
今回、新たに高等教育の負担軽減方策を打ち出したことと相まって、中長期的に見て、質の向上とあわせて、非常に、必要な方々に対する漸進的無償化という方向性には私は沿ったものであるというように考えております。
○宮本(岳)分科員 授業料の減免等々の免除の措置が拡充している、これは別に異論はないんですよ。それがふえていることは事実ですね。ただ、全体として授業料が上がるというような状況が許されていいのかという問題提起をしているんですね。
全体は授業料が上がっているにもかかわらず、一部の貧困家庭の学生のみ無償化するという施策は、学生たちにいわゆるスティグマの感情、すなわち恥や罪悪感を持たせることにもなりかねません。これは国際条約の言う漸進的無償化ではなくて、私は、単なる救貧政策、救貧政策はもちろん必要ですけれども、これを無償化と呼ぶのは少し精神に反すると思うんです。
根本には、私学助成や国立大学運営費交付金がずっと減らされ続けてきたこと、この間は何とか持ちこたえているとか、私学助成は去年に比べてわずかにふえたとかおっしゃっているんですが、減る前に比べたらずっと減ったままになっていることは否定し得ないですね。
私は、私学助成や国立大学の運営費交付金を抜本的に増額して、少なくとも値上げするという事態はなくさないと、全体が上がっているのに、幾ら無料の学生が数がふえているといったって、それでは高等教育の無償化ということにならないと言わざるを得ないと思うんです。その政策の是非については、また法案が出てくるでしょうから、そこで議論されるでしょう。
まず、こういう方向をとっているその趣旨を聞きたいんですが、政府がこの高等教育の無償化ということを打ち出しておられるのは、我が国における急速な少子化の進展に対処するというのが目的ですね。これはまず確認を。
○柴山国務大臣 安心して子供を産み育てていく上で、子供が高校を卒業した段階で経済的に困難な状況であっても、意欲があれば大学などへ進学できる見通しが立つということは、極めて私は重要だと考えております。
このために、条件は、今御紹介をいただいたとおり、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対してということではございますけれども、大学等における修学への経済的負担を軽減することは、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与すると私は考えております。
○宮本(岳)分科員 我が党は、この財源を消費税増税で捻出することにはもちろん反対でありますけれども、少子化に歯どめをかけるために思い切った財源を振り向けることは必要だと思っております。
ところが、全くそれとは逆のことが奈良では起きているわけです。少子化を口実に公立高校を平気で潰そうという動きであります。
奈良県では、昨年六月の八日、突然、県立高等学校適正化実施計画案というものが示されました。魅力と活力あるこれからの学校づくりというような看板だけはかかっているんですけれども、結論は、今三十三校ある県立高校を三十校に減らすというものであります。
とりわけ、在校生や受験生、父母やOBなどに幅広い怒りを広げているのが、地域住民が減歩という形で学校づくりに協力してきた歴史を持ち、定員もいっぱいに満たされている県立平城高校をわざわざ閉校にして、その校舎に県立奈良高校を移転させるというむちゃな計画なんですね。
文部科学省に確認しますけれども、今の奈良高校のままで教育が続けられない理由はどこにあると奈良県は言っておりますか。
○平井政府参考人 お答えいたします。
奈良県教育委員会によりますと、現在の県立奈良高校の建物については、全十棟のうち五棟について耐震化が未完了となっているところでございます。
このため、県立奈良高校は、県内の高校再編に伴い閉校となる高校の既存校舎に移転することにより耐震化の未完了の建物の解消を図る計画と聞いてございます。
○宮本(岳)分科員 五棟は耐震化が未完了ということでありますけれども、しかし、奈良県が、辛うじて基準を上回っていると主張し、引き続き使用するとしている南棟という校舎のIs値は、二〇〇七年の調査で〇・三二。十二年前に辛うじて〇・三を上回っていたというだけの話なんですね。
文部科学省のホームページの「耐震補強早わかり 地震に負けない学校施設」に掲げられているIs値の目安によると、Is値が〇・三より大きければ地震に対して倒壊又は崩壊する危険性はないと言えるのか、また、文部科学省では、公立小中学校の耐震改修の補助要件として、地震時の児童生徒の安全性等を考慮して、補強後のIs値をおおむねどのように定めているか、御答弁願えますか。
○平井政府参考人 お答えいたします。
耐震改修促進法の告示におきましては、地震に対し倒壊又は崩壊する危険性の低いとされる基準については、構造耐震指標、いわゆるIs値ですけれども、〇・六以上とされてございます。
一方、文部科学省では、地震時の児童生徒の安全性の確保はもとより、災害時には地域住民の避難場所等々になることから、公立小中学校等の施設については、補強後のIs値がおおむね〇・七を超える補強工事に対して国庫補助を行っているところでございます。
○宮本(岳)分科員 Is値〇・七を超えて初めて安全と言えるという答弁でありました。
昨日も、政府の地震調査委員会が新たな地震の長期評価を発表いたしました。日本海溝沿いは三十年以内にマグニチュード七から八ということが話題になっていますが、南海トラフは何とマグニチュード八から九ということであります。父母や教員が心配するのは当たり前であります。
そもそも、奈良県は、奈良県を代表する進学校であり、二〇二三年度に創立百周年を迎える伝統校でもある奈良高校が、既に二〇〇七年の耐震診断で耐震化が全く不十分であることをわかっていながら放置してまいりました。
文部科学省は、公立学校施設について、耐震化を何年度までに完了するように要請してきましたか。
○平井政府参考人 公立学校施設は、児童生徒の学習の場であるとともに、地震時などの災害時には地域住民の避難所等となることから、耐震化については安全性を確保することが極めて重要と考えてございます。
このため、文部科学省では、平成二十三年に改正しました公立学校施設等の整備に関する施設整備基本方針におきまして、構造体の耐震性の確保されていない施設については、平成二十七年度までの五カ年間で、できるだけ早い時期に耐震化を完了させるという目標を記載し、取組を進めてきたところでございます。
なお、平成三十年四月現在、公立学校施設の耐震化率は九九%となり、構造体の耐震化はおおむね完了しているところでございますけれども、個別の理由によりやむを得ず完了していないものについては、一刻も早い耐震化の完了に向けて、さまざまな機会を捉えて、早期の取組を指導しているところでございます。
○宮本(岳)分科員 九九%と言っている残りの一%に属する話なんですよね。平成二十七年ですから二〇一五年までに終えろという要請をしているのに、ことし、二〇一九年ですから、既に四年経過しているわけですね。
文部科学省は、毎年、学校の耐震改修状況フォローアップ調査の結果を公表しております。二〇一八年四月一日現在で、奈良県はいつまでに公立高校の耐震化率を一〇〇%にすると報告しておりますか。また、その理由について何と書いてありますか。
○平井政府参考人 お答えいたします。
文部科学省が実施しました平成三十年度耐震改修状況フォローアップ調査におきましては、奈良県では、県立高等学校の耐震化が完了する予定年度については未定とされてございます。
また、耐震化が完了しない理由につきましては、学校全体の整備に係る検討に時間を要しているためと報告されてございます。
○宮本(岳)分科員 まだ未定なんですよ。
そこで、大臣、お渡しした資料を見ていただきたい。
「打合せ等記録」と題したその資料は、奈良県自身が情報公開請求に対して公表した資料であります。
資料一の日付は、平成二十七年五月二十六日、「奈良高校の耐震改修状況について」という件名が書かれております。奈良高校の校長、事務長と、奈良県教育委員会の学校支援課職員との生々しいやりとりが書き込まれております。
耐震改修予算の状況を尋ねる校長に対して、学校支援課の香河課長は、「業者委託の予算は、平成二十七年度には付かなかった。」と冷たく語り、「財政課には引き続き予算要求を行っていく。」と言いつつも、「適正化配置の動きによっては、具体的な検討がどこまでできるか……。」などと述べております。
さらには、「昨年度は、知事から教育委員会に対して「平成二十六年度中に適正化配置を決めること」という指示があり、その影響で、改築校等の検討事業の業者委託の予算がゼロ査定になった。」とあります。それに対して奈良高校の松尾校長は、「生徒の命に関わることなので、できる限り早く取り掛かってほしい。」と述べた上で、更にやりとりがあり、二枚目、資料二の最後に、再度、校長が、「生徒の命に関わることなので、本来は改築の方が大事だと思う。早急な検討について、よろしくお願いする。」と重ねて生徒の命を心配しております。
この「打合せ等記録」に生々しく記されているやりとりは、平成二十七年、つまり文部科学省が耐震化の完了を求めた期限を迎えて、全く耐震化がおくれていることから、しきりに生徒の命を心配する奈良高校の校長に対して、教育委員会は、知事の指示などを理由に、学校の適正化配置の検討が先だなどといって取り合おうとしていないという実態であります。
大臣、これが文部科学省の方針なんですか。文部科学省は、耐震化よりも高校の統廃合を優先せよなどと指示してきたんですか。
○柴山国務大臣 当然のことながら、学校施設は生徒が一日の多くを過ごす学習の場でありますから、安全、安心で適切な学習環境を確保することがまず最優先であろうと私は考えております。
先ほど答弁をさせていただいたとおり、個別の理由により耐震化が完了していない自治体もあるため、文部科学省としては、一刻も早い耐震化の完了に向けて、さまざまな機会を捉えて、早期の取組を指導しているところであります。
今、適正化のための計画が策定をされていないということを紹介をしていただきました。設置者である地方公共団体がいろいろと地域の実情を考慮してそういうことを判断しているというのはわかるんですけれども、ただ、今申し上げたとおり、まず生徒の命を守るということが一義的には重要であるというように考えておりますので、とにかく早急に対応、決着をしていただきたいというように思いますし、文部科学省として何かそれに、工事をおくらせているというようなことは断じてありません。
○宮本(岳)分科員 当たり前の話ですね。そんなことを文部科学省が言うわけないんですね。
次に、資料三を見ていただきたい。
平成二十七年十二月十六日の日付が入った「打合せ等記録」であります。これも奈良県が公表した開示資料です。「奈良高校屋内運動場の平成二十八年工事中止について」という件名がついております。
知事部局である営繕課の職員と教育委員会の学校支援課との打合せの記録でありますが、左側の打合せ内容の二行目に「平成二十七・二十八年債務工事は中止する 吉田教育長指示事項」とあります。さらに、その下、「平成二十八・二十九年債務工事も現状では債務負担行為要求はできない」となっております。
右側の打合せ結果、学校支援課の主事が、「来年度の工事を見合わせることになった。現在のところ、再来年度以降の結論は、まだ出ていない。」と言うと、営繕課の係長が、「それは、お金の問題か、それとも統廃合の問題か。」と聞き、教育委員会サイドは、「適正化の話で、色々と検討が必要になった。」と述べ、財政の問題ではなく高校の適正化計画のためだとはっきり語られております。
この奈良県の県立高等学校適正化実施計画というものは、総務省が全国の自治体につくらせている公共施設等総合管理計画のもとに策定される個別施設計画という位置づけだと聞いております。
総務省に来ていただいておりますが、総務省は地方自治体に、公共施設等総合管理計画を策定するに当たっては、生徒の命にかかわる学校の耐震化よりも学校の統廃合を優先させよなどと指導しているんですか。
○多田政府参考人 お答えを申し上げます。
公共施設等総合管理計画につきましては、公共施設等の全体の状況を把握する、長期的視点に立って総合的かつ計画的な管理を行うための計画というふうな考え方で各自治体の方に策定を要請してございますが、その中では、議会や住民への十分な情報提供等を行いながら進めていくことが望ましいということで私ども考えているところでございます。
○宮本(岳)分科員 当然ですね。しかし、この奈良県の県立高等学校適正化実施計画というものは、内容もそうですけれども、進め方も余りにもひどいんです。
昨年六月八日に初めて県が記者会見で案を公表し、県議会に提出するや、わずか二十日後の六月二十八日には、県議会文教くらし委員会で、我が党などの反対を押し切って採決を強行いたしました。
資料四を見ていただきたい。
奈良市議会の意見書であります。前段では奈良市民の間にもさまざまな意見があることを指摘した上で、この意見書の結論は、「六月定例県議会で議決せず、関係者の理解を得られるよう丁寧な説明を行うこと」を求めているんです。実に真っ当な意見書だと言わなければなりません。
この意見書は、昨年六月二十五日、奈良市議会で全会一致で可決され、地方自治法九十九条の規定により、奈良県議会に提出されました。
ところが、県議会は、この奈良市議会の意見書を受け取ったわずか三日後、県議会の文教くらし委員会を開いて、この意見書を一顧だにせず否決いたしました。さらに、その五日後の七月三日には、ついに県議会本会議での採決まで強行したのであります。
文部科学大臣、公立学校の廃止や統廃合などという、在校生はもちろん、卒業生や受験生にもかかわるような重要な問題は、本来、奈良市議会の意見書も指摘するように、関係者の理解を得られるよう丁寧な説明を行うことは当たり前だと思うんですが、いかがですか。
○柴山国務大臣 一般論としては全くおっしゃるとおりでありまして、学校の統廃合に関しては、設置者である地方公共団体が、児童生徒や保護者のニーズ、進学動向、児童生徒の安全や通学の便、学校の規模など、地域の実情を十分考慮しつつ適切に判断すべきであるというように考えております。その際、設置者である地方公共団体において、地域の声に耳を傾けて丁寧に説明を行うことも大切であるというように考えております。
今回は、先ほどお話があったように、老朽化というファクターがありまして、ちょっと非常に事情が複雑であるというようには考えておりますけれども、そういう中で、やはり可能な限り丁寧に説明を行うことは必要であるというように一般的には言えると思います。
○宮本(岳)分科員 関係者への丁寧な説明など全くなされておりません。
廃校が強引に推し進められようとしている平城高校関係者への説明は、PTAなどが強力に要請して、やっと昨年六月十七日にたった一回開催されただけであります。しかも、計画に変更はないの一点張りだったと聞いております。
だからこそ、この計画が明らかになって以降、制服姿の高校生たちが駅に立ったのを始め、父母やOB、多くの関係者が集めた署名は、わずか二週間に二万六千筆を超えました。その後も新たな署名が次々集められて、一万四千筆分を、先日、永山初等中等教育局長にお渡ししたはずであります。
奈良高校を平城高校の校舎に移すといっても、県の計画でも二〇二二年度からですよ。この先まだ三年間も耐震化せずに過ごさせるつもりなんです。三年間といえば、ことしの新入生は耐震化しないまま卒業するということでしょう。
けさ、奈良から届いた報告では、奈良高校では、名物のぺらぺらスリッパを上履きとして指定していたが、建物が倒壊してもすぐに逃げられるよう、運動靴の上履き使用を認めた、また、ヘルメット、防災頭巾の持参も認めたため、机の横にかけている生徒もいる、こんな報告まで届いております。
奈良県は、奈良高校の耐震化を放置し、公共施設等総合管理計画の策定を奇貨として、何の落ち度もない平城高校を廃止し、耐震化済みのその校舎に奈良高校を移すという、全国に例のないやり方で強引に統廃合を進めようとしております。
文科大臣、こんなやり方を文科省は認めるんですか。
○柴山国務大臣 先ほどお話をさせていただいたとおり、地域の声に耳を傾け、丁寧に説明を行うことが大切であります。また、Is値〇・三未満という本当にゆゆしきこの校舎の耐震化ということも極めて重要でございます。
その上で、地域でどのような対応がとられるかということについては、今、現時点で、私も確たる方針を国として持っているわけではありませんので、引き続きしっかりと注視していきたいと考えております。
○宮本(岳)分科員 しっかりつかんでいただきたいと思うんですね。
奈良県のやっていることは、奈良高校現地での耐震化改築なら四十二億円かかるところを、平城高校への移転なら三億円で済むなどという実に陳腐なそろばん勘定です。しかし、奈良県に金がないわけではありません。一方で、同じ奈良市内に不要不急のバスターミナルを四十五億円もかけて建設しようとしているわけです。
無駄な大規模開発を推進するためには子供の命や安全も、学校も犠牲にして恥じない、そんな県政や、この計画に賛成した県議会議員には、来る地方選挙で必ずや県民の厳しい審判が下るであろうということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。