なにわ筋線は必要性ない
衆院国交委 宮本岳志議員が迫る
日本共産党の宮本岳志議員は8日の衆院国土交通委員会で、大阪市のなにわ筋線建設計画は必要性・緊急性のない事業であり、中止すべきだとただしました。
なにわ筋線は、JR西日本と南海電鉄共用の鉄道で、関西国際空港から新設する北梅田駅、新大阪駅までの乗車時間短縮などをうたい文句にした総事業費3300億円、国費770億円の巨大事業です。建設予定地の周辺には、すでに大阪メトロ御堂筋線などの路線が四つあります。
宮本氏は、関空から北梅田、新大阪までの短縮時間と、24万人の利用者のうち同区間の利用者の人数を質問。蒲生篤実国交省鉄道局長は「JRは5分、南海は9分。利用者は北梅田は900人、新大阪は1・6万人」と答弁。宮本氏は、時短の恩恵を受けるのは、利用者のわずか7%だと指摘しました。
宮本氏は、地元住民が切望し、大阪市議会が全会一致で採択した地下鉄第8号線(今里―湯里6丁目間)を、国の予算概算要求に盛り込まれながら頓挫させる一方で、なにわ筋線への3300億円もの投資はバラマキだと批判。石井啓一国交相は「地元自治体が検討し事業化したもの」としか答えませんでした。(赤旗2019/3/18)
動画 https://youtu.be/3JoKNSIqoq8
配布資料 2019030801 20190030802 2019030803 2019030804 2019030805
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、私の地元大阪で、国土交通省が地下高速鉄道整備事業の補助金まで出して進めようとしているなにわ筋線整備計画について議論したいと思うんです。
大臣は、先日の所信表明で、「社会資本整備については、厳しい財政制約のもと、安全、安心の確保を前提に、生産性の向上、経済活性化に資するストック効果の高いものに重点的に取り組みます。」と述べられました。
まず大臣に確認いたしますが、なにわ筋線の整備は、大臣のおっしゃるストック効果の高い社会資本整備と考えてよろしいですか。
○石井国務大臣 社会資本整備の効果のうち、ストック効果とは、整備された社会資本が機能することによって、整備直後から継続的かつ中長期にわたって得られる効果であります。
具体的には、移動時間の短縮等により経済活動における生産性を向上させる効果、生活環境の改善といった生活の質の向上効果、防災力の向上などの安全、安心効果が挙げられます。
なにわ筋線の整備につきましては、大阪の北部地域と南部地域の間の移動時間が短縮し、また、乗りかえ回数が減少する結果として、関西国際空港及び大阪南部と大阪都心の直結、関西国際空港と梅田、新大阪、京都とのアクセスと速達性の向上、大阪の南北都市軸の強化等の効果につながることが期待をされております。
こうした効果は、なにわ筋線が整備されることによって継続的かつ長期的に得られる効果であり、ストック効果の高い事業であると考えております。
また、なにわ筋線は、既存のJR線、南海電鉄線と接続して一体的な鉄道ネットワークを構築するとともに、JR西日本及び南海電鉄の両社が運行することによる投資面の効率化や施設運用面の工夫が図られることにより、ストック効果をより高める事業であると認識をしております。
○宮本(岳)委員 では、そういう事業なのかを検証してみたいと思います。
資料一を見ていただきたい。このなにわ筋線は、大阪都心部を南北に縦貫する、JRと南海電鉄共用の鉄道整備計画でありますが、JRは新設する北梅田駅と難波駅を結び、南海電鉄は新今宮駅から新設する新難波駅を経由して北梅田駅を結ぶというものであります。総事業費は何と三千三百億円。そのうち国が七百七十億円もの補助を行うことになっており、来年度予算案に初めてその一部が計上されております。
まず聞きたいのは、これは一体何のための事業なのかということであります。
なにわ筋線の建設予定地の周辺には、既に地下鉄、大阪メトロの御堂筋線、四つ橋線、堺筋線、谷町線など、大阪市中心部を縦断する路線が四つもあります。
大阪市は、事業目的や整備効果の一つとして、関西国際空港と新大阪駅、あるいは関西国際空港と梅田とのアクセスの改善を挙げておりますけれども、アクセスの改善とは、乗車時間が短くなる、また南海電鉄については乗りかえがなくなるということであります。
なにわ筋線整備後の利用人数はどのように見積もっているか、それから、短縮されるとする平均的な時間について、JR東海道線支線地下化による効果を含まない場合のJRと南海電鉄、それぞれについてお答えいただけますか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
なにわ筋線の利用人員見込みは、一日当たり約二十四万人と承知しております。
また、御質問にありました平均的な短縮時間につきましては、なにわ筋線が開業することによって、例えばJRを利用した場合、大阪―関西空港間で約五分、南海電鉄を利用した場合、大阪―関西空港間で約九分短縮すると承知しているところでございます。
以上であります。
○宮本(岳)委員 わずか五分間、九分間の時間短縮のために、なぜ三千三百億円もの巨費を投ずる必要があるのか。JRなら一分間短縮に六百六十億円、南海でも一分三百六十六億円という計算になります。全く理解ができません。
今、利用人数は一日二十四万人と答弁されましたが、これらの利用者のうち、関空から北梅田駅、関空から新大阪駅までを利用する人たちは一体何人おられるんですか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
なにわ筋線の利用者見込みは、関西空港と北梅田駅との間につきましては一日当たり約九百人の内数となります。また、関西空港と新大阪駅との間の利用者見込みは一日当たり約一・六万人の内数となります。
以上であります。
○宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。これは約二十四万人とされる利用者の内訳であります。二、なにわ筋線以南からなにわ筋線内利用者七・八万人、この中には北梅田で下車する利用者もいるということであります。そのうち関空の利用者は、今答弁があったように、下線を引いたところ、JRが三百人、南海が六百人、合わせて九百人。同様に、四が新大阪で下車する利用者も含まれる人数で、JRは六千人、南海は一万人でありますから、これは一・六万人ということになります。
わずか五分ほどの時間短縮や乗りかえ不要という恩恵でさえ、それを受けるのは九百人あるいは一・六万人未満。足し合わせても一万七千人。恩恵が及ぶのは約二十四万人とかいう利用者のわずか七%ということになります。ますます何のための事業なのかさっぱりわからないと言わなければなりません。
次に、新大阪駅へのアクセス改善という事業目的、整備効果について聞きますけれども、資料三を見ていただきたい。
なにわ筋線整備により大阪南部地域と新大阪駅までの所要時間が十分以上短縮するとされておりますけれども、これはどの路線を利用した場合と比べての時間短縮なんですか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
なにわ筋線の利用によりまして新大阪へのアクセスが十分以上短縮される路線やエリアに関しましては、南海電鉄を利用して、難波駅で御堂筋に乗りかえをし、新大阪駅へ至るルートの利用者を想定しております。
○宮本(岳)委員 南海に乗車して難波で乗りかえた場合を想定しているわけですね。
この下に当該エリアの駅の乗車人数は一日百四十万人とされておりますけれども、百四十万人全員が新大阪駅まで乗車するのか。そうでなければ、新大阪まで乗車するのは何人でありますか。
○蒲生政府参考人 先ほど申し上げましたルートに関しまして、この路線、エリア内にあります駅の乗車人員を合計いたしますと約百四十万人ということになりまして、一日当たり百四十万人のポテンシャルがあるというふうに考えておるところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、要するに、この百四十万人というのは、この資料三の赤い網のかかった部分にある、南海電鉄とそれに接続している泉北高速線の全ての駅の乗車人数を足し合わせただけの話であって、百四十万人全員が十分以上の短縮の恩恵を受けるわけではありません。
その人数はどれぐらいになるか。先ほどの資料二の4というのを見ていただいて、資料二の4のうち、下の段、南海電鉄なにわ筋線利用者というところにある四・二万人であります。百四十万人というのは全然桁が違うんですね。
次に、整備効果の一つとして挙げられている、キタエリアとミナミエリアの集客力向上と南北都市軸の強化というものについて聞きたいと思います。
大阪のキタエリアとミナミエリアは、既に今でも多くの客でにぎわっておりますけれども、今以上にどう集客力が向上するのか、それから南北都市軸はどう強化されるのか、定量的に説明ができますか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
なにわ筋線の整備によりまして、大阪北部、南部地域等から、キタエリア、ミナミエリアへの移動において、乗りかえ回数の減少、所要時間の短縮などアクセス性が向上することで、両地区の集客力や拠点性が向上し、町がより一層にぎわいを見せるなど、地域の活性化が図られると伺っておりますが、定量的な効果に関しましては把握していないところでございます。
○宮本(岳)委員 定量的な効果については把握していないという答弁でしたね。これは当たり前なんです。
国土交通省鉄道局が二〇一一年三月にまとめた、関西圏における高速交通ネットワークへの鉄道アクセス改善方策に関する調査。報告書が出ておりますが、4、調査のまとめというところではこう述べております。本調査は、総所要時間の変化、総費用の変化、乗りかえ利便性の変化等の利用者便益など、鉄道整備に伴う直接的かつ定量的な効果のみから費用便益分析を行っているところであるが、現状では定量的に分析することが難しい効果があると書いております。
例えばとして、開発プロジェクトの促進やキタとミナミの拠点性の向上、両地区の集客力の向上や南北都市軸の強化などを挙げて、これらは現状では定量的に分析することが難しいと、はっきり国土交通省自身が述べているんですね。もちろん、大きな可能性が見込まれるとも言っておりますが、定量的な分析などできるわけがないんです。
三千三百億円もの総事業費をかけ、七百七十億円もの国費を投入する合理的な理由などあるわけがないと言わなければなりません。
整備効果の最後に、これがうめきた二期まちづくりにも位置づけられている問題について聞きたいと思います。
資料四、整備の緊急性の四つ目の丸には、「なにわ筋線の施工時期がずれると、うめきたまちづくりにも支障。」と書かれておりますけれども、うめきた二期まちづくり事業というものは、なにわ筋線とは別個に進められてきたはずであります。なぜ、なにわ筋線の施工時期とこれがかかわりを持つんですか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
現在のうめきた二期のまちづくりにおきまして行われている再開発でございますが、一方で、東海道支線の地下化の工事も行われておるところでございます。こちらはいわゆる都市関係の工事ということで行われておりますが、その際、道路の迂回をしているところでございます。
そういった意味で、この迂回道路との関係で、なにわ筋線の工事に関しましての調整がとれませんと、将来的になにわ筋線の工事におきまして必要となってくるものが、その後の再開発をしたものに関しての支障になり得るという趣旨だと思います。
○宮本(岳)委員 全くおかしな話なんですね。
うめきた二期まちづくり事業は、なにわ筋線よりも前に事業が決定しております。その工事に伴う迂回道路を後から出てきたなにわ筋線のシールド立て坑構築にも利用する計画になっているということなんですね。そういう話なんですよ。
そうすると、もともとなにわ筋線のシールド立て坑構築に必要な迂回道路の建設費用、設置費用というものは、この三千三百億円には含まれていないということですか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
東海道支線地下化事業の地上部の道路の迂回は、うめきた二期区域で都市再生機構が行っている土地区画整理事業において実施しているものでございます。したがいまして、なにわ筋線の事業費には含まれておりません。
○宮本(岳)委員 なにわ筋線建設のための迂回道路建設の経費は、なにわ筋線の事業費に計上してしかるべきものです。それを省くのは、総事業費を不当に低く見せかけるためだと言われても仕方がありません。
また、うめきた二期の遅延を招くおそれがあり、逸失利益の補償が生じる場合には事業費が増嵩する可能性がある、事前のレクでもそういうふうに聞きましたけれども、これもとんでもない言い分でありまして、なにわ筋線でうめきた二期がおくれるというのであれば、なにわ筋線をやらなければよいだけのことであります。
このような事業に総事業費三千三百億円、国費七百七十億円もの巨費を投じることは断じて許されない、事業者側から現在出されている申請は却下すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
しかし、そもそも、このなにわ筋線の計画というのは沿線住民から要望があったものなんですか。
○蒲生政府参考人 なにわ筋線の建設に関しましては、沿線の地元自治体や関西国際空港全体構想促進協議会等によりまして御要望をいただいております。
いずれにいたしましても、地元自治体において、なにわ筋線の整備の検討を行い、事業化に向けた判断をしているというふうに認識しておるところでございます。
○宮本(岳)委員 大阪府や大阪市、それから振興議員連盟とか、あるいは財界、経済界、和歌山市などからは要望が出ているそうでありますけれども、沿線住民からはそういう要望は私は聞いておりません。
なにわ筋線は、二〇〇四年十月の近畿地方交通審議会答申第八号、「近畿圏における望ましい交通のあり方について」の別紙二、「京阪神圏において、中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」に記載されたものでありますけれども、この答申には、大阪市交八号線延伸、すなわち地下鉄第八号線の今里から湯里六丁目間六・七キロというものも記載されておると思うんですが、間違いないですね。
○蒲生政府参考人 委員の御指摘のとおり、間違いございません。記載されております。
○宮本(岳)委員 この八号答申が出た二〇〇四年や翌年の二〇〇五年ごろには、なにわ筋線など動く気配もありませんでした。当たり前です。大阪のキタとミナミエリアを結ぶ鉄道は、地下鉄御堂筋線、四つ橋線、堺筋線、谷町線と、既に四本も通っております。JR西日本や南海がこのような無展望な話にはとても乗れないという経営判断をしたのも当然のことでありました。
しかし一方で、地下鉄八号線、今里―湯里六丁目間の延伸の方は、二〇〇六年度の国土交通省の予算概算要求に盛り込まれた事実があります。このときの概算要求の内容はどういうものでありましたか。
○蒲生政府参考人 大阪市交八号線、今里筋線の今里―湯里六丁目間の延伸事業につきましては、鉄道ネットワークの拡大により交通利便性の向上及び沿線地域の活性化を図る事業として、平成十七年八月の平成十八年度概算要求において新規要求を行ったところでございます。
当時、当該延伸事業に係る総事業費は千三百十四億円、建設キロは約六・七キロメートル、事業期間は平成十八年度から平成二十七年度の十年間となっていたところでございます。
○宮本(岳)委員 地下鉄八号線は、答申第八号の翌年には国交省の予算概算要求に盛り込まれたように、地元で切望されている事業であります。
一方、なにわ筋線は、答申第八号から五年間、何の検討もされず放置され、二〇〇九年に、関西活性化に向けた今後の鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会で初めて検討しようということになりました。
なぜ五年間も放置されていたんですか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
近畿地方交通審議会第八号答申は、平成十五年三月に近畿圏における望ましい交通のあり方について諮問を行い、同審議会において議論を経て、平成十六年十月に答申として示されたものでございます。
答申では、なにわ筋線を含む各プロジェクトについて、「地域の地方自治体が連携して関係の鉄道事業者等との調整を進め、具体化を目指すことが適当である。」とされております。
一方、大阪を中心とした鉄道ネットワークの高度化が関西の活性化にとって重要であることから、平成二十一年四月に関西活性化に向けた今後の鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会が開催され、大阪府、大阪市、鉄道事業者を含む関係者間で意見交換が行われ、なにわ筋線について必要な調査を実施すること等により議論を深めることが確認されたところでございます。
委員御指摘のとおり、答申以後、懇談会が開催されるまで約五年経過しているところでございますが、その間におきましては、大阪市におきまして、なにわ筋線の事業化に向け、主に費用対効果や事業スキームについて検討を行っていたところであります。近畿運輸局におきましては、大阪市の検討状況を踏まえつつ、大阪市の相談にも乗りつつ、必要な助言等を行っていたところでございます。
○宮本(岳)委員 その懇談会で実務者レベルによる検討会を設置して、なにわ筋線等について必要な調査を実施するということで、国土交通省は、二〇〇九年から二〇一一年まで、関西圏における高速交通ネットワークへの鉄道アクセス改善方策に関する調査というものを行いました。
国土交通省がまとめたその調査結果概要を資料五につけておきましたが、5、調査のまとめというところにはどのようなことが書いてありますか、鉄道局長。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
調査のまとめにおきましては、ケース別試算を行った全三十ケースのうち、性格、費用便益比、収支採算性を踏まえ、比較的良好なケースとして、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケース、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内全駅停車・中間駅ノンストップ複合ケースを挙げているところでございます。
また、「今後のなにわ筋線整備に向けたより具体的な検討にあたっては、本調査結果等を踏まえ、なにわ筋線の整備に向けた便益を享受する地域の地方自治体が連携して関係の鉄道事業者等との調整を進め、事業化に向けた運行主体・運行形態等の検討を行い、具体化を目指すことが期待される。」と記載されているところでございます。
○宮本(岳)委員 全三十ケースも需要予測や費用便益分析、収支採算性の試算を行ったが、ことごとくうまくいかず、比較的良好な二ケースを挙げるにとどまっております。JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケース、概算建設費一千八百億円というものと、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内全駅停車・中間駅ノンストップ複合ケース、二千五百億円というものであります。
私は、この試算には忘れられない思い出があります。今から八年前の統一地方選挙、大阪府議会議員選挙の告示日の夜に、関西テレビが大阪の各党討論会を行いました。共産党からは私が出席し、当時大阪府知事だった橋下徹氏も出席しておりました。番組終了間際で私がなにわ筋線二千五百億円の無駄を指摘すると、突如として当時の橋下氏が私をうそつき呼ばわりし、千八百億円だと言い放ちました。その際、私はこの千八百億円という数字がどこから出てきたのか非常に不審でありましたけれども、このJR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケースというものだったわけであります。
そして、この調査報告書が出された六年後、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄の五者が合意に至りました。そして、その事業費は、私をうそつき呼ばわりした二千五百億円どころか、今や三千三百億円に膨れ上がったというのですから、あのとき橋下さんが口にした千八百億円などという数字こそ、今となっては何の現実性もないわけであります。
地下鉄八号線は、二〇〇五年十一月、当時の関淳一大阪市長が、市の財政を理由に、突然、補助採択要望を取り下げてしまいました。しかし、住民の要求は強く、その五年後の二〇一〇年十月、大阪市議会で、地下鉄八号線、今里―湯里六丁目間の早期整備を求める決議が全会一致で上げられております。決議では、鉄道整備は本市のまちづくりや環境対策などの観点から重要な施策であると考えるので、平成二十二年度末で累積欠損が解消することとなっている地下鉄事業の経営状況も踏まえつつ、引き続き、本市の財政収支の状況を見きわめ、地下鉄第八号線の早期整備に努められることを強く要望すると記されております。
地下鉄八号線をないがしろにしておいて、なぜ今ごろになってなにわ筋線の復活を進めるんですか。
○蒲生政府参考人 近畿運輸局の答申におきましては、幾つかの検討を進めることが望ましい路線を設定しておりますけれども、その中で、地域におきます検討が深まって、国の方に整備に関しましての意向が伝えられてきたものが今のなにわ筋線だと想定しておりますし、その検討に当たりましては、我々の方としても、必要な助言や、そういった専門的な観点からのアドバイスなども行ってきたという経緯がございまして、そういったものと関係者間の検討の機運が盛り上がった形の結果として、今なにわ筋線が先行して動いているんだというふうに承知しております。
○宮本(岳)委員 検討が深まって、望ましいことが明らかになったから進み始めた。必要性や緊急性が極めて乏しい事業であることは、先ほど私が論じたとおりであります。住民が切望している地下鉄八号線は頓挫させておいて、長い間ほうっておいたなにわ筋線をよみがえらせるのは極めて奇怪だと言わなければなりません。
大臣、冒頭に確認したインフラのストック効果について、国土交通省はホームページ上に説明動画をアップしております。その動画では、小さくつくって大きく生み出すとか、無駄なく、コンパクトに、コスト抑えてなどとうたわれております。そして、わざわざ、ばらまきじゃありませんとの文言まで大きく掲げております。
しかし、あなた方がそのストック効果のもとで進めようとしている事業は、なにわ筋線の半分以下で建設可能で、大阪市議会では、自民党や公明党はもちろん、大阪維新の会まで含む全会一致の決議が上がった地下鉄八号線をとめて、三千三百億円のなにわ筋線を進めるという、まさにばらまきだと言わなければなりません。
大臣、これでは羊頭を掲げて狗肉を売るようなものだと言われても仕方がないんじゃないですか。
○石井国務大臣 大阪の鉄道ネットワーク、どういった順序で整備をしていくかということは、住民の代表である地元自治体がよく検討されて事業化の判断をしているものと認識をしております。
○宮本(岳)委員 住民代表の大阪市議会が全会派一致で決議を上げた八号線についても指摘をいたしました。
大阪では、大阪都構想なるものをめぐって、知事と市長が同時に辞職し、クロス首長選挙とか入れかえ選というようなことをやろうとする動きが出ておりまして、きょうにも知事や市長が辞職表明するとも報じられております。
そのような強引なことをしてまで彼らが進めようというのが、二重行政の解消とかいう話であります。大阪市と大阪府があるから二重行政、大阪市大と大阪府大があるから二重行政、図書館も水道も、病院に至るまで、府立と市立の二つがあるのは無駄だという理屈であります。しかし、そうだとすると、このなにわ筋線というものは何なのかと言わなければなりません。
大阪は、東京とは違い、碁盤の目のように地下鉄網が整備されてまいりました。大阪のキタエリアとミナミエリアを結ぶ地下鉄は、既に四本もあるわけであります。この上なにわ筋線をつくれば、二重どころか五重ではありませんか。このような無駄で無意味な過剰投資は直ちに中止することを強く求めて、私の質問を終わります。