クルーズ船問題指摘
宮本岳志氏 奄美小笠原特措法改正案で
衆院国土交通委員会は13日、奄美小笠原特別措置法改正案を全会一致で可決しました。
同特措法は、地域の特殊事情による不利益を解消するためのもの。日本共産党の宮本岳志議員は、同法に基づく航路・航空路運賃軽減事業の適用対象者拡大に、帰島を視野に入れた島出身者が含まれるのかと質問。国交省の麦島健志国土政策局長は、詳細は地域と相談して進めると答弁しました。
また宮本氏は、鹿児島県の奄美群島にある瀬戸内町でのクルーズ船誘致に言及し、国交省港湾局が米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」の要望を受け、奄美群島で寄港地候補を調査していたと指摘。奄美が2020年の世界自然遺産登録に向け、エコツーリズムなどの少人数型で質の高い体験利用を中心に据えるべく目指していると紹介しました。
宮本氏は「奄美の人々が待ち望む世界自然遺産登録が台無しになるようなことはあってはならない」と指摘。石井啓一国交相は、クルーズ船寄港地開発は「環境への配慮や地域住民の合意形成に十分配慮して進めるべきだ」と述べました。(赤旗2019/3/28)
大型船寄港地計画を追及
宮本質問 奄美守る力に
自然を守る会“反対運動に弾み” 島民から感謝のメール
「国会中継を拝見し宮本議員の的を射た追及を、会、一同有り難く感じております」―衆院大阪12区補選で市民と野党の統一候補として奮戦する宮本たけし候補(無所属)に、鹿児島県の「奄美の自然を守る会」から感謝のメールが届きました。(遠藤寿人)
宮本氏は今年3月13日の衆院国土交通委員会で、鹿児島県奄美大島への大型クルーズ船誘致問題を追及しました。人口三十数名の同島瀬戸内町西古見地区に世界最大22万トン、乗員乗客7000人の超大型クルーズ船の寄港地をつくる計画が進んでいました。
宮本氏は、同省港湾局が、米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」社の要望を受け、寄港地候補を調査していたことを暴露。「いつから港湾局は大手クルーズ船運営会社の下請け機関に成り下がったのかと情けなくなる」と喝破。「ロイヤル・カリビアン・クルーズ社から、クルーズ振興に関する指導を期待していると言われれば、たちまちその意向に沿って、奄美、徳之島に寄港候補地を選定する」と批判しました。
計画の背景には、政府目標「2020年までにクルーズ旅客500万人」にあう新たな寄港地の開発があります。
一方、奄美大島などは、20年の世界自然遺産登録を目指し、エコツーリズム等の少人数型で質の高い体験利用を観光の中心に据えようとしています。
宮本氏は「奄美の人々がこぞって待ち望んでいる世界自然遺産登録が台無しになるようなことだけはあってはならない」と強調しました。
奄美の自然を守る会の畑弘三事務局長の話 宮本岳志議員が、大型クルーズ船誘致計画問題について、公の場で国土交通省に対して、瀬戸内町民が知りえなかった情報を明らかにした事に感謝しております。(1)いったいこの計画はいつ、どこから、どういう経緯をたどってきたのか?(2)世界自然遺産登録申請をした環境省はこの真逆の開発計画を知っていたのか?(3)国交省と環境省はこの計画を共有していたのか?(4)瀬戸内町はこの計画を知っていたのか?―という重大問題を、宮本議員の追及で暴いていただいた。これによって、世界の宝としての奄美の大自然と住民の平穏な生活や文化を脅かす計画に対する反対運動に弾みがつきました。今後も国民目線での活躍期待しております。(赤旗2019/4/18)
動画 https://youtu.be/IVY1MKVI3s0
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今法案は奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情による不利益を解消するためのものであり、我が党も賛成の立場であります。
今回は奄美特措法について質問したいと思います。
前回の改正で、ソフト事業に使える交付金が創設されました。
昨年一月、奄美市議会が議決した要望書によると、航路・航空路運賃低減事業、農水産物輸送コスト支援事業などの条件不利性改善事業は一定の成果を上げていると述べた上で、さらなる拡充を求めております。
二〇一九年度からどのようなメニューが拡充されるのか、国土政策局にお答えいただきたい。
○麦島政府参考人 お答えをいたします。
奄美の交付金につきましては、今回の三十一年度予算案に盛り込みました拡充は大きく二つの柱がございます。
一つは条件不利性の解消ということで、航路、航空路の運賃軽減事業の対象の拡充、また輸送費、これは加工品とか原材料等々を支援対象にするということでございます。
もう一つ大きな柱は、成長戦略の促進という観点から、地元が雇用の拡充とか交流人口の拡充とかそういうソフト事業、特にソフト事業に取り組みやすくする環境整備ということで、国費率を上げると同時に、特別の交付税制度、特交措置を講ずるような新たな措置を予算に盛り込みをさせていただいているというところでございます。
○宮本(岳)委員 ありがとうございます。
麦島さん、お久しぶりでございます。国土交通省にお戻りのようでありまして。
今回、航空路・航路運賃軽減事業の対象に準住民が加わっております。
準住民の定義として、奄美群島外の学校等に在学し、奄美群島の住民に扶養されている学生とともに、知事が市町村と協議して別に定める者とございます。ここには移住、定住促進施策の一環として行う事業で島を来訪する人も入ることがあり得ると私は思うんですが、よろしいですか、それで。
○麦島政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の交付金の制度拡充におきます準住民でございますが、一つは、先生御指摘のように、島外の学校等に在学する者で、扶養されている方で住民票を移されているような方、これを対象にいたしたいというふうに思ってございます。
加えまして、今回の準住民の中では、例えば、将来の移住等々を念頭に置きながら、お試しでそこに渡航するというようなことも制度としては想定をしながら、予算案に盛り込みをさせていただいてございますが、交付金制度でございますので、地元がどのようなメニューに使いたいというふうに考えられるかということも今後十分踏まえながら、我々として交付金の執行に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○宮本(岳)委員 移住、定住施策の一環として行う事業で来訪する人の最有力候補は、島から出た住民の子弟だと思うんですね。帰省一般を全て指定することはできないと思うんですけれども、帰島して定住することを視野に入れ、その準備のために、現在まだ勤めたり生活している場所と奄美を行き来するような場合にも、知事が市町村と協議して定めれば、これは準住民として適用は可能でしょうか。
○麦島政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘の点につきましては今後十分詰めたいと思っておりますし、奄美の地域活性化という側面から、定住人口の促進という視点から見ると非常に重要な論点かと思いますが、一方で、そういう方々をどういう形でほかと不公平がないような形で取扱いをすることができるかということも含めて、その点なども含めまして、今後、地域とよく相談をしながら内容を十分詰めてまいりたいというふうに思ってございます。
○宮本(岳)委員 島を出た子女に帰島を促す上で、学生時代だけでなく働き始めても運賃の補助をして、気軽に帰島できるようにしてほしいという要望も聞いております。そうして、島の出身者が島の振興にかかわれるように、環境整備にぜひ力を注いでいただきたいというふうに思っております。
さて、今国会に本改正案が提出され、審議される予定であると聞いて、私は昨年の末に、妻とともに奄美大島に行ってまいりました。奄美パークにある日本画家田中一村の記念館を訪ねるとともに、奄美大島の豊かな自然と歴史文化遺産をしっかりと見てまいりました。
二日目には、島の南部にある古仁屋港から加計呂麻島へも渡ってみました。残念だったのは、加計呂麻島にある安脚場戦跡公園が、災害からの復旧中とのことで、道路も通行どめで、近づくことさえできない状況だったことであります。
安脚場戦跡公園は、連合艦隊の泊地を防衛するために旧日本陸軍が奄美大島要塞として砲台を設置し、一九四一年からは海軍によって砲台が整備された歴史遺跡であります。観光パンフレットにも載っており、私は、当日現場に向かうまで、そのような状況であることを全く知りませんでした。聞いてみると、もう二年近くも工事をしているという話でありました。
これは一体いかなることなのか、御説明いただけますか。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
先生御訪問いただきました安脚場につきまして、行かれた際に閉まっていたということに関しましては、大変、地域も含めまして、申しわけなく思っていると思います。
それで、いずれにいたしましても、これからの交流人口の拡大とか入り込みに対応しました受入れ環境の整備という観点からは、そういう、開いているか閉じているかという情報を含めて、情報発信というのは非常に重要な視点だと思います。
それは、地元の市町村のホームページ等々への公開に加えまして、例えば、今、奄美の空港におきまして新たな外向きの情報の発信のコーナー等々もつくりまして、空港に入られた方にその場で、群島内のいろいろな観光施設等々、今どういう状況かというような情報を発信できるような取組も進め始めているところでございますので、御指摘のようなところも含めまして、今後、情報提供のあり方については十分注意をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○宮本(岳)委員 それで、その安脚場の戦跡公園の復旧はどういう状況になっていますか。
○谷委員長 麦島局長、復旧の状況についてお答えください。
○麦島政府参考人 先生、大変申しわけございません、その点は御通告をいただいておりませんで、私、今、ちょっと資料等々持ってございませんので、改めまして御説明に上がらせていただきたいと思ってございます。
○宮本(岳)委員 いや、きのう通告いたしましたけれどもね。
二〇一七年八月発生の台風五号の影響で、土砂崩れの修復をずっと続けてきたと。三月中に工事が完了する予定だとおっしゃっているので、間もなく完了するやに、確認していただけますか。
○麦島政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘ということで、確認させていただきまして、御報告申し上げたいと思います。
○宮本(岳)委員 先ほど述べましたように、奄美大島南部の瀬戸内町付近は、戦前は要塞化が進められ、加計呂麻島の呑之浦には、特攻兵器である震洋の基地も置かれておりました。災害復旧に時間がかかったとはいえ、安脚場砲台は戦跡公園として整備されておるわけですけれども、多くの戦跡が手入れされることなく、荒れるに任されているという状況もあると聞いております。
これは大臣に少し御所見をお伺いしたいんですが、奄美の歴史を知る観光資源として、こういった戦跡をしっかり整備してこういうものを紹介していく、これは大事だと思うんですけれども、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 戦跡というのも、ある意味で観光資源の一つであるというふうに認識をしております。
○宮本(岳)委員 奄美大島は、豊かな自然のみならず、独自の文化、歴史を持つ地域であります。戦時中は要塞化が進められ、戦後はアメリカ軍の統治下に置かれ、島ぐるみの復帰運動を経て、一九五三年、日本に返還された歴史がございます。史実に直接触れることのできる戦争遺跡の保存と活用は、奄美の振興にとって非常に大切な視点だと思います。しっかりと支援をしていただきたいと重ねてお願いしておきたいと思います。
次に、大型クルーズ船の寄港問題についてお伺いしたい。
奄美の南部、瀬戸内町でクルーズ船誘致の話が持ち上がっていると聞きますけれども、港湾局長、詳細を承知しておりますか。
○下司政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの奄美大島の瀬戸内町におけるクルーズ船の寄港地の開発の状況について、私ども承知をしておる範囲でお答え申し上げます。
まず、国土交通省では、奄美大島と徳之島をモデルケースといたしまして、クルーズ船の寄港地の候補地検討に当たって評価すべき課題等を整理するとともに、候補地の評価と実現可能性等について概略検討を行うため、島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査を平成二十八年度、二十九年度にわたって実施をしてございます。また、その結果を平成二十九年八月にホームページ上で公表をいたしたところでございます。
この調査の中で、現地の水深、波浪の状況、漁業への影響、サンゴ礁等の環境への影響、ビーチなどの観光資源の存在、こういった点を踏まえて、九カ所を寄港の可能性のある候補地として選定をさせていただきました。
この候補地の一つとして、ただいま委員お尋ねの瀬戸内町の地域でございますが、西古見地区と呼ばれておる地域を候補地に挙げさせていただいたところでございます。
これを受けて、瀬戸内町は昨年十月に、クルーズ船寄港地に関する検討協議会を地元において設置をされたと承知をしております。瀬戸内町における寄港の効果でありますとか課題等を調査分析し、クルーズ船寄港地のあり方について現在議論を進めておられると承知をしてございます。
○宮本(岳)委員 その後、瀬戸内町がこの場所に寄港することを希望する船社を募集したと聞いておりますが、どういう船社が応募してきたか、おわかりですか。
○下司政府参考人 お答え申し上げます。
第二回の同協議会におきまして、その議論の中で、具体的に寄港に関心を示すクルーズ船社から考え方を聞いてみようということが議決をされて、それを受けて、第三回、二月に開催されておりますが、その場に、ロイヤル・カリビアン社が、寄港に関心がある旨意向表明した上でその協議会に参加をし、プレゼンテーションをされたというふうに承知をしてございます。
○宮本(岳)委員 もちろん、私はクルーズ観光船全てに反対しているわけではありません。観光に限ったことではありませんけれども、奄美の振興において、自然環境への配慮、住民合意が大前提だというのは言うまでもないと思うんです。とりわけ、奄美、沖縄では今、二〇二〇年の世界自然遺産登録を目指した取組が進められております。
そこで、環境省に聞きますけれども、奄美、沖縄世界自然遺産登録に向けた経緯と今後のプロセスを説明していただきたい。
○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に関しましては、諮問機関であるIUCNからの延期勧告を踏まえまして、必要な作業を進めた上で、先月一日に推薦書を再提出させていただきました。今後は、来年の夏ごろに開かれる世界遺産委員会において世界遺産への登録の可否が審議される予定でございます。
環境省といたしましては、関係機関や関係自治体等とも十分な協議を重ね、IUCNの指摘に真摯に対応してまいりました。確実な登録に向けて、引き続き万全を期してまいります。
○宮本(岳)委員 この世界遺産登録は、アマミノクロウサギ、イシカワガエル、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ等々の生物多様性に注目し、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島を資産として推薦しているものであります。昨年五月に、IUCN、世界遺産委員会から延期勧告が出されて申請を一旦取り下げましたけれども、ことし二月に新たに申請を提出いたしました。この夏には、今お話があったとおり、改めて現地調査が入り、今が非常に大事な時期であることは間違いありません。
観光で多くの人に訪れてもらいたいことに異論はないわけでありますが、一方で、オーバーツーリズムによる自然環境の破壊や、外来種が入り、生態系に重大な被害を及ぼす危険性も高くなります。
環境省に重ねて聞きますけれども、日本政府の推薦書の持続可能な適正利用の推進というところでは、世界遺産登録による知名度向上に伴う観光利用の増加とそれに対する利用の適正化は、遺産価値の保全と持続的利用における最重要課題の一つである旨を指摘するとともに、鹿児島県が二〇一六年三月に策定した奄美群島持続的観光マスタープランにおいては、奄美群島の自然環境や文化の特徴を踏まえ、エコツーリズム等の少人数型で質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据えていくことを目指している事実が紹介されていますけれども、事実ですね。
○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。
推薦地に関しまして、御指摘のように記載してございます。
○宮本(岳)委員 そこで、港湾局に聞くわけですが、先ほどのロイヤル・カリビアンというところのクルーズ船、そして、あなた方が想定したのは、世界最大、二十二万トン、乗組員も含めれば七千人という超大型クルーズ船でありますけれども、こういうクルーズ船の寄港地を奄美大島につくるということが、なぜ、少人数型で質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据えるというこの鹿児島県の方針に沿うことになるんですか。
○下司政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘、二十二万トン級という具体的なお話でございますが、ロイヤル・カリビアン社が現時点において奄美大島に具体的な開発計画を保有しておる状況とは承知をしてございません。クルーズ船を寄港させる寄港地として関心を示されているという段階でございます。
先ほど御答弁申し上げましたが、地元の協議会でロイヤル・カリビアン社がプレゼンテーションをした内容を拝見しましても、寄港に当たっての地元との共生のあり方、地元の地域産業へのインパクト、効果をこうやって与えたいというような考え方、そういったものが示されたと承知をしておりまして、具体的に船の大きさでありますとかそういった規模が示されておるとは承知をしてございません。
したがって、二十二万トン級というようなものを前提として、影響がどうなのかと世界遺産登録との関係について問われましても、なかなかお答えするのが難しゅうございますが、いずれにいたしましても、推薦書にお示しをされております周辺管理地域に西古見地区は該当いたしますので、周辺管理地域の要件としまして、推薦地の環境に影響を与える脅威の排除、低減、地域の生物多様性の保全と地域社会の持続的発展との両立の実現等を行うこととされておりますので、この周辺管理地域の目標に沿った形での寄港地開発を進めることが重要であると認識をしてございます。
○宮本(岳)委員 事実確認ですが、あなた方が奄美大島、徳之島における寄港候補地と九つ挙げたものは、最大どういう船が泊まることを想定して選んだんですか。
○下司政府参考人 寄港候補地の選定に当たりましては、船の航行の安全性の観点から、水深十二メートル、これは、委員おっしゃるとおり、最大級の船舶に該当いたしますが、そういう船も安全に停泊ができるという条件で、七百数十メートルの回頭水域、あるいは水深が十二メートル確保できるという条件のもとで候補地の選定をしたという経緯でございます。
○宮本(岳)委員 そういう想定でこれは選んでいるんですよね。
それで、これは環境省に改めて聞きますけれども、延期が適当とされた昨年五月のIUCNの勧告において、推薦地の価値に影響を与える脅威としてどのような指摘がなされておりますか。
○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。
推薦地の価値に影響を与える脅威として、ノネコ、ノイヌを含む侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されてございます。
○宮本(岳)委員 まさに、侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されております。
私は幸運にも加計呂麻島でアマミノクロウサギに遭遇したんですけれども、私でも遭遇できるほど逃げ足の遅いウサギでありました。人が持ち込んだ野良猫や野良犬によって簡単に捕らえられ、殺されてしまうので、島を挙げて対策をしておりました。
港湾局、世界遺産申請にこれだけ気を使わなければならないときに、なぜこのような大型クルーズ船の寄港地候補をわざわざ奄美大島や徳之島に九カ所も選定したのか。
政府は、この選定に先立って、旅客やツアーを企画、運営する企業からの要望、関与があったのかとの質問主意書に対して、昨年六月二十三日の答弁書で、船社から、クルーズ船の日本への寄港の増加、その一環として特に奄美群島への寄港の増加について要望を受けた事実を認めております。
そこで、具体的に聞きますが、奄美群島への寄港の増加について要望した船社は何という企業か、いつ、どのような要望を受けたのか、答弁していただけますか。
○下司政府参考人 お答え申し上げます。
要望があった船社はロイヤル・カリビアン・クルーズ社でございます。要望の内容は、寄港地としての奄美について多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する指導を期待しているという趣旨の要望でございました。
なお、日付に関しましては、二十八年度であったことは承知しておりますが、ちょっと今、日付までは、後ほど確認させていただいて、お答え申し上げたいと思います。
○宮本(岳)委員 ロイヤル・カリビアン社から、寄港地としての奄美について多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する指導を期待していると言われて、国土交通省港湾局は、瀬戸内町西古見地区を含む九カ所の寄港候補地を選定し、一昨年八月十四日に発表いたしました。
港湾局の発表の何と翌日、八月十五日には、瀬戸内町は西古見集落で住民説明会を行っております。地元報道によると、この日と九月六日の二回の住民説明会で、西古見地区の住民三十六人中二十八人の賛同を得たとされております。
一昨年十二月議会では、集落住民と町内四経済団体からのクルーズ船誘致の陳情書を採択、県に対して誘致に伴う支援を要請いたしました。これに対し住民から疑問の声が上がり、昨年三月議会で町長は計画を白紙に戻すと表明し、改めて検討協議会を設置したという経過がございます。
調査結果公表の翌日に、早速、その一つの地区で住民説明会を開催するなどということは、国と瀬戸内町があらかじめ示し合わせていなければやれるわけがないんです。これは事前に連絡をとり合って瀬戸内町が行ったことですね。間違いないですね。
○下司政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど私が御説明申し上げました国交省が実施した調査でございますが、この調査の実施に当たりましては、現地の調査も行ってございます。当然、現地の関係者の協力を得て調査を実施したところでございます。
このため、調査結果の内容についても、必要に応じて、現地の関係者、例えば瀬戸内町等に対して情報共有を行っておりますので、瀬戸内町については調査の進捗状況等について把握、承知をある程度しておったかというふうに考えてございます。
なお、調査結果の取りまとめに当たりましては、これは国土交通省の判断で九カ所の選定を行いました。
○宮本(岳)委員 港湾局は候補地を選定するに当たって、寄港候補地の条件というものを掲げております。
係留施設の設置水深が十二メートル以上であることとか、静穏度のよい場所であることとか、サンゴ礁がないなど環境への負荷が小さいこと等々を挙げております。
改めて環境省に確認いたしますが、この港湾局が示している寄港候補地の条件というものは、環境省と協議した上で、これなら世界遺産申請との関係で大丈夫と環境省がお墨つきを与えたものですか。
○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。
当該資料につきましては、国土交通省において検討がなされたものと承知しておりまして、その作成過程で当省は特段の協議等を受けているものではございません。
○宮本(岳)委員 この条件というようなものは、環境省もあずかり知らないような代物であります。
私は、先ほども述べたように、クルーズ観光船一般を否定するつもりはありません。しかし、瀬戸内町も含めて、奄美大島の人々がこぞって待ち望んでいる世界自然遺産登録が台なしになるようなことだけはあってはならないと思うんです。
港湾局が訪日クルーズ旅客二〇二〇年五百万人を掲げてクルーズ船受入れのさらなる拡充に突っ走る背景には、明日の日本を支える観光ビジョンで訪日外国人旅客者数二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人などと掲げたことがあると思うんですね。
そこで、大臣に基本的認識をお尋ねするんですが、観光先進国も結構でありますけれども、それは、自然環境を破壊したり、そこに暮らしている人々をないがしろにすることではないと思うんですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 クルーズの振興を通じました訪日クルーズ旅客の拡大は国土交通省の重要政策の一つであり、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
環境への配慮や地域住民の合意形成は、クルーズ船の寄港地開発に際して重要な要素であり、こうしたことに十分配慮して進めるべきものと考えております。
○宮本(岳)委員 もちろん、この問題は本特措法の改正とは直接かかわりません。我が党は、本改正案には賛成をいたします。しかし、私は、いつから港湾局は大手クルーズ船運営会社の下請機関に成り下がったのかと情けなくなりました。
ロイヤル・カリビアン・クルーズ社から、クルーズ振興に関する指導を期待していると言われれば、たちまちその意向に沿って、奄美、徳之島に寄港候補地を選定する。しかも、一昨年の七月二十六日には、この同じロイヤル・カリビアン・クルーズ社は、熊本県八代港とのカップリングで、国土交通省から国際旅客船拠点形成港湾としての指定を受けております。さらには、昨年六月二十九日には、鹿児島港も国際旅客船拠点形成港湾に指定され、ことし三月九日には、鹿児島県がやはりこのロイヤル・カリビアン・クルーズ社と協定を締結した経過がございます。八代、鹿児島、そして奄美と、超大型クルーズ船が運航される可能性が大だと言わなければなりません。
くれぐれも、国民から、住民よりも企業の意向を優先していると不信の目で見られることがないように、しっかりと情報公開し、説明責任を果たした上で、あくまで住民合意で進めるべきことを強く求めて、私の質問を終わります。