保健所職員 過酷勤務
宮本岳志議員 是正を求める
日本共産党の宮本岳志議員は15日の衆院総務委員会で、保健所職員の深刻な長時間労働の改善を求めました。
宮本氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で、大阪府では保健所に電話がつながらず、医療にアクセスできず命を落とす事態が広がったと告発。厚生労働省の資料では、大阪府で死亡した人は人口比で全国1位、死亡者数も全国2位の「異常事態だった」と指摘しました。
そのうえで宮本氏は、全国保健所長会が実施したアンケートを示し、同副会長で大阪府枚方市の白井千香保健所所長が「第5波まで『波』が来るたび、超過勤務が月に200時間の職員もいた」「保健所はもうもたない」と語った報道を示し、勤務実態を把握しているかと質問。厚労省の担当者は「十分認識している」と答えました。
宮本氏は、大阪自治労連・大阪府職労の調査を示し職場の深刻な実態を告発し、異常な長時間労働が常態化していると指摘。総務省の2019年度の「地方公務員の勤務時間・休暇等の勤務条件」調査では、月100時間以上時間外勤務をする公務員が「0・3%、4万人弱」だったとして、20年度の集計結果を質問。総務省の担当者は、0・4%に増加見込みと答弁しました。
宮本氏は、過労死の危険がある長時間労働は放置できない、ただちに是正するよう求めました。
(しんぶん赤旗 2021年12月16日)
統計書き換えの見過ごし検証を/宮本岳志議員
日本共産党の宮本岳志議員は15日、衆院総務委員会で、国土交通省が基幹統計の一つである「建築工事受注動態統計」を書き換えていた問題について質問し、3年前に厚生労働省が「毎月勤労統計」を書き換えた不正が発覚した際、全ての基幹統計を一斉点検したにもかかわらず「なぜ発見できなかったのか」とただしました。
金子恭之総務相は「まずは国土交通省の方で実施状況を確認したうえで対応したい」と述べるにとどめました。宮本氏は「3年前になぜ見過ごされたか、検証する必要がある」と主張しました。
(しんぶん赤旗 2021年12月16日)
動画 https://youtu.be/VaPCpIQMbI0
配付資料 20211215総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 金子大臣、お久しぶりです。二年半ぶりに帰ってまいりました。日本共産党の宮本岳志です。
久しぶりの大臣との議論をこういう問題から始めるのは、私としても残念ですけれども、今朝の報道のために、急遽聞かざるを得ません。
国交省の基幹統計に書換えがあったとの今朝の新聞報道について、既に、午前の予算委員会では、斉藤国交大臣が書換えを認め陳謝し、岸田首相も再発防止に努めなければならないと述べました。
国の基幹統計をめぐっては、三年前に厚労省の毎勤統計の不正が発覚し、そのとき全ての基幹統計を対象に一斉点検が行われたはずであります。そのときになぜ見つけられなかったのか、統計を所管する総務大臣に是非お伺いしたいと思います。
○金子(恭)国務大臣 こういう形でまた議論のできることを大変うれしく思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回、私も新聞で承知したわけでございますが、それ以上詳しいことは今のところ分かりませんが、その後、統計局の方からお話を伺ったところでございます。
国土交通省からの報告は、会計検査院から統計の精度に係る指摘を受けたため、統計精度の改善を行っていくという内容であったと聞いております。会計検査院の指摘に沿って、国土交通省においてしっかりと統計精度の改善に取り組むという受け止めであったかと思います。
今後、先ほど予算委員会でも総理からもお述べになりましたように、統計の信頼を回復するため、総務省としてもしっかり、まずは国土交通省で事実状況の確認をした上で、私どもも対応していきたいと思います。
○宮本(岳)委員 三年前なぜ見過ごされたのかということをしっかり検証する必要があると思うんですね。
それで、令和二年一月から運用が改善されて、GDPに影響はない、こういう答弁がありましたけれども、本当にそうかということについてもこれから明らかになってくるだろうと考えます。しかし、今日は、これが本題ではありませんので、本題に入りたいと思います。
コロナ禍で全国で大いに不安が広がってまいりました。私の地元大阪でも、感染の急増の中で、保健所に電話をかけてもつながらない、救急車を呼んでも、そもそも医療にアクセスできないまま命を落とすという実態が広がりました。
今日、資料をお配りしましたが、資料一ですね、これは厚生労働省が作成していただいた資料であります。順位だけ私の事務所でつけたものであって、この数字は全部厚生労働省の、出していただいた表であります。
大阪のコロナでの死者は、人口比で、これはもう紛れもなく全国一位、死亡者数も二位であります。テレビ番組で少し議論になりましたけれども、陽性者中の死亡者比率というものでは何かちょっとましなのだという議論がありましたが、これも紛れもなく、十番目でありますから、四十七都道府県の中で極めて深刻な状況であることに違いはありません。
厚労省、今日来ていただいておりますけれども、大阪が、命を落とされる方が最高水準の、やはり異常事態だった、この段階で。こういうことについては、私は動かし難い事実だと思いますが、厚労省、よろしいですね。
○宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。
委員が御配付いただいた資料、厚生労働省で作成したものでございますが、これにつきましては、十二月十三日時点の感染者数、死亡者数を、人口につきましては令和二年十月時点の各都道府県の人口で割ったという指標になっております。
感染状況に影響を与え得る数値、これは、人口の集積度合いや年齢構成等々が考えられますけれども、それぞれの地域で異なりますので、各指標を取り上げて比較、論評するのはなかなか難しいという面があることは御理解いただきたいと思いますが、数字といたしましては、やはり、今回の感染に当たりましては、人口の非常に集積の高い都市部の感染者数、死亡者数が、この表からも明らかになりますように、高い水準になっております。あと、北海道、沖縄というところも高い位置に来ているところがありますけれども。
その中で、大阪につきましては、今御指摘ございましたように、数字といたしましては、死亡者人口比では、十二月十三日時点の数字で取りますと、数字としては一番になっているという状況でございます。
○宮本(岳)委員 大阪が一番だということを今確認されました。
この背景には、大阪でも、また全国的にも、保健所あるいは医療の体制が本当に脆弱にされてきたということがあります。医療も深刻でありますけれども、今日は時間がありません、保健所の体制問題に絞って聞きたいと思います。
ここに、全国保健所長会が行った調査結果というものをお持ちをいたしました。これが全国所長会のやった調査結果なんですね。
それで、この全国保健所長会が昨年三月、四月に全国の全保健所を対象に行ったアンケートですけれども、資料につけておきました。資料二の一を見ていただきたい。相談センターの運営は、二十四時間対応、全て直営、これが七割であります、保健所のですよ。資料二の二、相談センター業務以外に、保健所にこれだけの仕事が殺到しております。資料二の三、自由記載欄ですけれども、赤い下線を引いておきました。人員が少ないため交代で休養を取ることができない、人員が少ないので担当課職員はほぼ全員が二十四時間対応せざるを得ないとございます。
全国保健所長会副会長、そしてこのアンケート調査を行った健康危機管理に関する委員会の委員長であります白井千香大阪府枚方保健所所長は、今年九月、朝日の取材に、第五波まで、波が来るたび、超過勤務が月に約二百時間になる職員がいたと証言し、保健所はもうもたない、こう語ったと報じられております。
厚生労働省はこういう保健所の実態をつかんでおりますね。
○宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。
委員から御紹介のありました保健所長会の調査、私どもも報道等で承知をしております。昨年の春段階で調査をされたものだと承知しております。
昨年の春以降、感染拡大する中で、各保健所、全国の保健所、大変多忙を極める中で大変御努力、御尽力いただいているということで、十分認識をいたしております。我々も、各自治体から、様々なチャネルを通じて状況を伺っております。
総務省を始め関係省庁とも連携いたしまして、この間、体制強化あるいは負担軽減についても取り組んでまいりましたけれども、引き続き取り組んでいくことが必要だと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 こういう現状の下で、大阪の保健所の現場からは、限界を超えている、助けてほしいという悲鳴が上がっております。十二月の三日に、大阪自治労連大阪府職労が大阪労働局に要請を行いました。第五波時に過労死ラインを超えた職員が百四十人を超え、時間外勤務が月百八十時間を超えた職員も複数いたという衝撃的な告発でありました。
これは厚生労働省に確認いたしますけれども、労働安全衛生法六十六条の八では、所定外労働時間が月八十時間を超えた場合、どのようなことが義務づけられておりますか。
○武田政府参考人 お答え申し上げます。
労働安全衛生法第六十六条の八におきましては、労働者の健康の保持を図る観点から、一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合に、医師による面接指導を行うよう事業者に対して義務づけているところでございます。
○宮本(岳)委員 まさに現場は、過労死ラインである八十時間を超えるような時間外勤務が常態化しているわけであります。
総務省は、毎年、地方公務員の勤務時間、休暇等の勤務条件について調査をしております。平成三十年度と令和元年度は既に発表されておりますけれども、そこでも、時間外勤務の時間数が月に百時間以上という人が、〇・三%、四万人近くいると報告されております。令和二年度の調査結果は今集計の途中とのことでありますけれども、この百時間以上の人は増えるのか、減るのか、見通し、答弁していただけますか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、令和二年度の状況は現在集計中でございますので、現時点での仮集計の値になりますが、月百時間以上の時間外勤務をしている地方公務員の割合は、令和元年度の〇・三%から、令和二年度は〇・四%と、増加するというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 〇・三%でさえ四万人近くでありますから、〇・四%となれば、もう間違いなく四万人を超えるんですね。〇・三から〇・四にというのは、「〇・」とついていますから小さく思われるかもしれませんが、比率は非常に高いものになると思います。早くその結果を出していただきたいと思うんですが。
百時間を超えたら、一か月でも直ちに産業医の面接が義務づけられているぐらいの、過労死の危険の迫った状況なんですよ。これは本当に放置できない、直ちに解消されなければならないと思いますけれども、これは総務大臣に、この改善への御決意、お考えを聞かせていただきたい。
○金子(恭)国務大臣 宮本委員には、現場の非常に厳しい状況について御報告いただきました。
新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、厚生労働省において、昨年度より、保健所の体制強化策として、都道府県単位での専門人材派遣の仕組みの活用、自治体間の職員の派遣の調整、職員派遣等に必要となる経費に対する財政支援を実施していると承知しております。
また、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、感染症の拡大時に円滑に業務ができるよう、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を、コロナ禍前に約千八百名だったものについて、令和三年度から二年間かけて、一・五倍の二千七百名に増員するために必要な地方財政措置を講じることとしております。
総務省としては、これを踏まえ、早急に保健所の体制強化に取り組んでいただきたい旨、各地方団体に対して周知を行っており、今後とも、厚生労働省とも連携しつつ、必要な支援に努めてまいります。
○宮本(岳)委員 今日は時間がありませんのでこれで終わりますけれども、保健所体制の脆弱化の背景には、我が党は反対いたしましたけれども、一九九四年に保健所法が改定されて地域保健法になり、それが一九九七年に実施されたことがあります。これを機に保健所数が激減をいたしました。これらの問題については来国会で引き続き議論することを申し上げて、今日の質問を終わります。
ありがとうございました。
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反対討論
○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等改正案に対する反対討論を行います。
今回の地方交付税法の改正は、当初予算における所得税等の国税収入見込みを超える税収が生じたため増額となった地方交付税四兆二千七百六十一億円の使い方を決めるものです。年度途中に増額となった地方交付税は、その全額を地方自治体に交付するというのが地方交付税法の趣旨であります。
ところが、本法案によって、二一年度分として地方に追加交付するのは、政府の経済対策に伴う地方負担分に対応するものにとどまり、調整額の復活分を含めても四千七百億円にすぎません。
残りの三兆八千億円のうち、臨時財政対策債の償還分一兆五千億円、交付税特別会計借入金への償還分八千五百億円を充てていますが、これらを除いた一兆二千六百五十一億円に上る額を、来年度、二〇二二年度の地方交付税に繰り越しています。
これは、法律の趣旨に反するやり方であり、認められません。年度途中で生じた増額分は、全額、地方自治体に交付することを強く要求します。
しかも、政府の経済対策は、コロナで困窮する国民への支援は極めて不十分です。給付金は年収百万円の非正規労働者を対象外としています。看護、介護、保育などのケア労働者の賃上げ幅は余りにも不十分です。事業者への持続化給付金や家賃給付金の再支給も必要です。
先ほど大阪の問題を取り上げましたが、コロナ禍で脆弱さが浮き彫りになった保健所など、地域の公衆衛生体制や医療体制を復元し拡充していくことは急務です。社会保障関係費の自然増分を十分に反映するなどの対策を緊急に取るべきです。
以上、討論を終わります。