統計不正 作為的意図も
宮本岳志議員「国交省の調査不十分」
衆院委
日本共産党の宮本岳志議員は8日の衆院総務委員会で、国土交通省の統計不正問題での総務省の対応をまとめた統計委員会タスクフォースの「精査結果報告書」について、参考資料のぼかし処理部分の全面的な開示と集中審議を求めました。
宮本氏は、「マスキング(ぼかし処理)は統計委員会、総務省のどちらが提案したのか」と質問。同省の阪本克彦総括審議官は、「統計委員長に確認できていない」と答えました。
宮本氏は、「こういうことがあるから統計委員会タスクフォースの委員がきて、説明してもらう必要がある」と主張し、椿広計統計委員長らを招致しての集中審議を要求しました。
また、国交省の「検証委員会」調査報告書は、合算処理について、課長補佐が「意識になかった」とする一方、当時の係長は「課長補佐も本件合算処理を認識しており、相談の上で続けた」などと明記しています。宮本氏が「どちらの供述が事実なのか」と迫ると、国交省の大澤一夫審議官は、「事実の確定は現時点での相互関係からは困難」「われわれとしては報告書の表現をそのまま受け止める」などと報告書の文言を繰り返しました。
宮本氏は、「係長の供述が真実だった場合には、課長補佐は虚偽の供述をしたことになり、そこには作為的な意図が存在する可能性がある」とし、「確認できていない」ことが示されただけで国交省の調査は不十分だと強調しました。
(しんぶん赤旗2022年2月9日)
動画 https://youtu.be/9gtduZmmHr8
配付資料 20220208総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
大臣は、所信の冒頭で、昨年十二月以来の統計に係る事案と予算資料の誤りについて反省の言葉を述べられました。ところが、残念ながら先日も、わざわざ吉開政策統括官に私の部屋までお越しいただいて、わびていただくことになりました。
大臣は、緊張感を持って職務に当たりとおっしゃるわけですけれども、なかなか間違いがなくならないのはなぜだとお考えですか。
○金子(恭)国務大臣 昨年十二月二十四日の統計委員会で配付した参考資料におきまして、宮本委員のお名前を誤って記載しておりました。私自身もよく、恭之という字が間違えられやすくて、そのたびに不快な思いをしております。やはり、自分の名前を間違えられるということも含めて、本当に大変申し訳なく思っております。改めて、私からおわびを申し上げたいと思います。
誤りの原因は、資料の内容確認が十分行われていなかったことであり、具体的には、複数者によるチェック体制、それから、幹部職員から一般職員までの意識づけなどが不足していたのではないかと考えております。
再発防止のための取組を改めて徹底をし、一層の緊張感を持って職務に当たり、信頼の回復に努めてまいります。どうも失礼しました。
○宮本(岳)委員 私の名前の間違いぐらいは大したことないんですけれども、一国の統計、統計の中でも、総務大臣が指定する特に重要な統計である基幹統計に誤りや不正があれば、重大事態であります。
大臣に改めて聞きますけれども、統計法第一条は、この法律の目的をどのように定めておりますか。
○金子(恭)国務大臣 統計法第一条は、この法律の目的について、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を置くための基盤となる重要な情報であることに鑑み、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とすると規定しているものと承知しております。
○宮本(岳)委員 今日は、この精査結果報告書をまとめた、統計委員会企画部会の対応精査タスクフォースに御答弁いただきたいと要請したわけでありますけれども、かないませんでした。代わりに総務省が答弁するとおっしゃいます。
しかし、このタスクフォース報告書は、副題にもあるように、統計委員会が、今回の建設受注統計調査をめぐる事案について、総務省政策統括官室、つまり総務省の対応について精査したものであります。
これもちょっと大臣に聞くんですけれども、なぜ、チェックされる側の総務省が、チェックするタスクフォースに成り代わって答弁できるんですか。
○金子(恭)国務大臣 統計委員会の椿委員長は、学識者として研究などの本務がある中で、今回の精査に極めて多くの時間を割いていただいたところでございますが、本日、御自身が研究代表者を務めておられる会議が予定されており、御都合がつかないため、国会への出席はできないと伺っております。
このため、委員長の都合がつかないときのタスクフォースの活動に関する国会への御説明は総務省から行わせていただきたいと考えますが、その場合も、委員会の第三者性を尊重するため、事前に委員長の了解を得た上で御説明させていただくこととしております。
○宮本(岳)委員 成り代わって答弁するというのは限界があると思うんですね。
例えば、この報告書には、本文とともに、四十八ページ以下に十八件に及ぶ参考資料が添付されております。しかし、参考資料十四から十六まで九ページにわたって、実に奇異なマスキング処理が施されております。これは、いわゆるノリ弁と言われる真っ黒塗りと同じことでありますけれども、黒く塗り潰していないだけでありまして、効果は全く同じ。私はこれをステルスノリ弁と名づけたわけでありますけれども。
配付資料一を御覧いただきたい。
報告書の九十二ページでありますけれども、左上に小さく想定問答と、後で書き入れた四文字、ありますけれども、これもちょっと大変恐縮でありますが、大臣、この資料、今私が申し上げた左上の想定問答というこの文字以外に、何か読める文字がございますか。
○金子(恭)国務大臣 申し訳ありません。私も、その程度しか理解できません。済みません。
○宮本(岳)委員 読める文字はない、ゼロですか。
○金子(恭)国務大臣 済みません。ほぼ解読できません。済みません。
○宮本(岳)委員 全く読めないと思うんですね。
それで、これは、統計委員会のタスクフォースが、参考資料はつけるんだけれども、別に中身は国民に理解していただかなくても結構だ、国会のチェックは受けない、こういうことでございますか、総務省。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
委員の配付資料は、報告書の本文で言及しております担当者間のメール及び添付ファイルのうち、参考資料についておるもののうち、添付ファイルの部分であると承知しております。
統計委員会の委員長に確認をしましたところ、報告書では、本文中にどのような資料に基づいて判断を行ったのかをまずできるだけ詳しく記述する、そして、本文の内容の理解に資する資料を巻末に補足的に添付した、そういうことでございました。
マスキングされている参考資料十四から十六につきましては、タスクフォースとして、ダブルカウントという文言を読み飛ばしたとする職員、これの主張を、注意を欠く不適切な対応である、そういった厳しい判断をタスクフォースで行ったことにつきまして、その判断の理解に資するため、それはどういったレイアウトの、どういった資料であったかということを示すために添付したものであるとのことでした。
○宮本(岳)委員 いやいや、資することにならないから言っているわけですよね。これを見て、一体何が分かるんですか、それは。
おっしゃるとおり、本文の中に出てくるものについて参考資料がついていることは、私が申し上げました。つけるならば、何ほどかの意味がある形でつけてもらわないと。
今私が申し上げた、ステルスノリ弁と言いましたけれども、このぼかしが入っている部分は、新たに書き加えた以外、つまり添付している資料そのものは、何一つ、一字たりとも読めないような資料であることはもう間違いないんです。先ほどの資料だって、大臣と確認したとおりなんですね。
さぞかしこれは気を遣う文章なのかと。まあ、こういう処理をされていますから、分かりません。それは、どのようなものであるかが分からぬわけですから。だから、私は、国民に知らせる必要はない、国会にチェックしてもらう必要はないということか、こう聞いたんですけれども、チェックしようがありません。困ったことだ、このマスキングを外してもらいたいなと思っておったんですけれども。
配付資料の二というものと、次のページの三というものを見ていただきたい。
この資料二は、タスクフォース報告書、参考資料十五に添付されている八十九ページ、九十ページの資料で、これは私、先ほど申し上げたとおり、全面ぼかしで全く読めないものになっております。恐らくどこか役所のポンチ絵、この話の流れでいうと、国土交通省のそういう説明資料だろうと思いますけれども。
そうしたところが、国土交通省を担当する、国土交通委員会を担当する我が党の議員から、いや、これはもう既に国土交通省が出しているものですよということで、資料三につけました。これが、国土交通省提出資料として私のところに届きました。
これは全く同じものだと思うんですけれども、総務省、そうじゃないですか。
○阪本政府参考人 先ほど拝見させていただいたものでございますので、確認はできておりません。
ただ、精査結果報告書には、資料として三ページのものがついておりますので、全く同じものかどうかという確認は、にわかにここではできません。そこは御容赦ください。
○宮本(岳)委員 このマスキングのかかっていないものを見ることができるのは、統計委員会そして総務省だけなんですね。国会も見れないわけです。国土交通省も見れないでしょう。
これが同じものであるかを確認できるのはあなた方だけですから、確認して報告していただけますか。
○阪本政府参考人 検討させていただきます。
○宮本(岳)委員 先ほど示したように、こんな本当に意味のないようなマスキングを全てにかけると。これは、私は、はっきり言って、処理として非常識だと思うんですけれども、この全面マスキング処理は、統計委員会タスクフォースの委員が言い始めたことなのか、それとも、総務省の事務方が、こういう処理をした方がよいということを提案したことなのか。総務省、どちらですか。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
どのような資料をつけるかにつきましては、タスクフォースの委員の御指示に基づきまして、事務局を務めました、統計部門の経験のない総務省行政評価局の職員が整理した、そういうふうなものにつきまして、タスクフォースにおきまして加除等が行われ、決定されたものというふうに、委員長に確認をしたところ、伺っております。
また、マスキングは、報道機関の取材に関する情報など、公にすると、報道機関との関係、あるいは行政事務の適正な遂行に影響が出るおそれがある、そういった資料であるものの、報告書の理解に資するためには必要であろうと考えられたということから、この参考資料の十四から十六に限って行った、そういう話だと伺っております。
○宮本(岳)委員 資料の選定をタスクフォースがやったと。それは分かっているんですよ。それにこのような処理をするということについては、タスクフォースの方から出たのか、それともあなた方の方から提案したのか、どちらですか。
○阪本政府参考人 そちらにつきましては、委員長に確認をしたところ、まさに、その事務局を務めた職員とタスクフォースとの間で決定されたということで聞いております。
○宮本(岳)委員 だから、事務局を担当した職員が提案したのか、委員会の方から言ったのか、どちらですか。
○阪本政府参考人 申し訳ございません。その点までは、昨日、委員長に確認をできておりません。
○宮本(岳)委員 そういうことがあるから、私は、統計委員会タスクフォースの方々に来ていただいて、説明していただく必要があると申し上げたんです。
委員長、改めまして、椿広計統計委員長、タスクフォース座長をお招きして、国交省統計不正問題での当委員会での集中審議を要求したいと思います。
○赤羽委員長 宮本さんからの今お話しの前半部分につきましては、先ほど理事会で議論し、この委員長という職責上、国会からの要請については誠意を持って対応していただくということは確認をしたはずでございますし、非常勤の委員長でありますから、御都合もあるかと思いますので、その日程の選定については、現場の理事会で前広に決めるということは御了承いただけたものだというふうに承知をしております。
後半部分につきましては、追って、別途、理事会で検討をしたい、こう思っております。
○宮本(岳)委員 理事会、出ておりましたから、オブザーバーとして。その中身は分かった上で、改めて、今、要求させていただいたところでございます。
次に、国交省の検証委員会の調査報告書について、国土交通省に聞きたいと思います。
この報告書の十八ページでは、今回明らかになった合算処理について、二〇一一年九月まで在籍した課長補佐や、その後任の課長補佐は、合算処理は意識にはなかったなどと供述をしております。逆に、当時の係長は、課長補佐も本件合算処理を認識しており、課長補佐とも相談の上で本件合算処理を続けたと供述しております。
これはどちらの供述が事実なんですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
合算処理につきましては、平成十二年の調査を開始した時点から行っていたというふうに報告書では認定をされております。
○宮本(岳)委員 私は、この報告書の十八ページ、いいですか、国土交通省の方、持っていますね、十八ページを問題にしているわけです。
この十八ページでは、合算処理について、二〇一一年九月まで在籍した課長補佐や、その後任の課長補佐は、合算処理は意識になかった、こう供述しているが、逆に、係長は、課長補佐も本件合算処理を認識していて、相談の上で本件合算処理を続けたと供述していますが、どちらが事実なんですか、こう聞いたんです。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
報告書にありますとおりでございまして、その二人の供述が食い違っているというところでございます。
そういう意味で、課長補佐が本件合算処理を認識していたかについては、供述が対立するところもあって、事実の確定は現時点での証拠関係からは困難であるが、少なくとも、次の点は指摘できようというふうにございます。
すなわち、推計方法の変更の検討の過程で、本件統計室全体で、推計方法の変更を行うことについての情報を共有し、建設受注統計調査の業務フローの全てをもう一度点検し直しておきさえすれば、本件合算処理が行われていることを知り得たことは間違いない、そうであれば、推計方法の変更と合わせて、本件合算処理の運用を解消し、統計精度を高めるとの本件の目的を達することができたというふうに認定をされてございます。
○宮本(岳)委員 御丁寧に、その先まで読んでいただいたんですが。なるほど、これは両方が対立して、どちらが真実か分からないんですね。
そうでありながら、少なくとも、次の点は確認できようとして、今読み上げられた、すなわち以下のことを書いていると。この六行は、これはいい、当然だと思います。もっと慎重に情報を共有し、丁寧に点検していれば、本件合算処理を知り得たはずだ、こう書いてあるんです。ここで止まっているなら分かるんですが、問題はその先ですね。
なお書きをつけて、あえて統計的に大きな数字を公表しようとするなどの作為的な意図によって併存させることにしたとは認められず、とりわけ、時の政権のために本件二重計上を生じさせたこと(そのような介入があったことを含む。)は確認できなかったと書いてあるんですね。
これは絶対になかったということを言っているんですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
この報告書におきまして、先ほど議員御指摘の点につきまして、あるとおりでございます。
室長らが、導入を検討していた欠測値補完措置と本件合算処理を併存させれば本件二重計上が生じることを認識しつつ、あえて統計的により大きな数字を公表しようとするなどの作為的な意図によって併存させることとしたとは認められず、とりわけ、時の政権のために本件二重計上を生じさせたことは確認できなかったと認定されていると考えてございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、それが奇異なわけですよね。
作為や、政権の指示や介入などは、仮に確認できたら、その瞬間アウトなんですよ、こんなものは。そういうのが確認できてしまったら、その瞬間でこの結論はもうアウトという結果が出ると思うんですね。
確認できたことを書いているんなら分かりますよ。しかし、ここに確認できていないことをわざわざ書いているから、私は聞いているわけですよね。
なぜ、確認もできない、対立したままで、どっちに軍配を上げることもできないことをここには書いてあるんですか。
○大澤政府参考人 今回の不適切な処理につきましては、国土交通省におきまして、昨年十二月の十五日、総理の指示を踏まえて、同月二十三日に、統計の学者のみならず、元検事、弁護士を入れた検証委員会を設置いたしました。
検証委員会におきましては、関係者に対するヒアリング、国交省から提供された資料を基にして、本年一月の十四日に報告書として取りまとめられたものでございます。
そういった意味で、今回、第三者委員会という形を取って検証していただいたということでございます。この中でそのように委員の方々に事実を認定していただいて、今回、報告書として取りまとめられたということでございまして、我々国交省といたしましては、報告書の表現をきちんとそのまま受け止めて考えていきたいと考えてございます。
○宮本(岳)委員 こうなってくると、またこの第三者委員会の方に答弁に来てもらわなきゃならないことになりますけれども、そうなりますと話がどんどん広がっていってしまいます。
確認したいんですね。
今後、事実が、仮に、どちらかに確定して、係長の供述が事実だった場合、課長補佐は虚偽の供述をしたという結論になりますね。そこには作為的な意図が存在する可能性が出てきます。解明してみたら、政権からの介入や政権の忖度だって否定できなくなるかもしれません。
したがって、ここで言っている確認できなかったというのは、作為的な意図や政権の介入があったと確認できなかった、こう述べているわけであって、作為的な意図はなかったとか、政権の介入や忖度はなかったことを確認したというわけではないんですね。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
国土交通省といたしましては、先ほど申し上げたとおり、今回、この建設工事の受注動態調査の不適切処理につきまして検証委員会を設置して、その中でヒアリング、あるいは国交省から提供された資料を基にして報告書を取りまとめていただいたところでございます。
そういった意味で、我々としては、繰り返しになりますけれども、この検証委員会の報告書、その内容につきましては、そこに記述された文字あるいは表現のとおり受け止めて、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○宮本(岳)委員 当委員会のように国土交通委員会でも、それならば、この報告書をまとめた方から、ここはどういう意図なのかということを聞こうじゃないかという話もあり得ると思うんですね。
なぜ、こういうふうに、ここで、確定、確認できていないことを書いているのかということがよく分かりません。
国交省は、二〇一九年の毎勤統計の不正事件を受けての一斉点検のときに、当時の係長が合算処理について報告した方がよいのではないかと相談した際にも、当時の課長補佐や企画専門官は消極的な態度を取りました。二〇一九年四月に着任した新任の課長補佐がすぐに気づいた。六月に室長及び企画専門官に対し、合算処理を取りやめるように訴えた際にも、公表はしないと発言したという供述がこの報告書にございます。
二〇一九年十一月、会計検査院が、都道府県に対する実地調査の中で、都道府県が国交省の指示に基づいて本件合算処理を行っていることを確認したと。結局、国交省が本気で動き始めたのは、会計検査院にその事実をつかまれた、それから動き始めたと言わなければなりません。
国交省、会計検査院の知れるところとなった後、報告書二十四ページには、統計室内でどのような検討をしたと書かれてありますか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
国交省の中でも、室内で意見がいろいろとあったようでございます。
検証委員会の報告書におきまして書いてあるとおりでございまして、合算処理をしない数値を公表すべきという意見と、従来どおり合算処理をして公表すべきという意見が対立をいたしました。このため、過月分は前月分のみを入れるといういわば折衷案を採用することとしたとされてございます。
その理由につきましても記述がございます。統計の継続性の観点から、過月分を全く入れない場合には数値の変動が激しくなるためである、このようにされています。
また、この点に関する対応上の問題点として、まずは、総務省統計委員会に報告をし、前月分のみの合算が適切か否か、合算せずに計上すべきかについて意見を確認した上で決定すべきではなかったかと思われるという評価もいただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 ここにもう折衷案と書いてあるんですよね、一か月にするのを。
ここは総務委員会でありますし、統計の専門家たる総務省も来ておりますから、これは折衷案になるんですか、総務省。
○阪本政府参考人 昨日お話を伺ったときには、委員長から見て正しいか正しくないか、御関心だというふうに認識をしておりましたので、委員長に確認をしたのですが、御指摘の折衷案につきましては、国土交通省から統計委員会に対しまして、これまでに具体的な内容の説明が行われておらず、判断を行うための材料を持ち合わせていない、そのため、委員長としての回答は差し控えたいとのことでした。
その上で、国土交通省の検証委員会の報告書にありますとおり、まずは、総務省統計委員会に報告し、前月分のみの合算が適切か否か、合算せずに計上すべきかについての意見を確認していただいた方が適切であったと考えているとのことでございました。
○宮本(岳)委員 折衷になりませんね。統計の精度を下げることに変わりはありません。
そして、ついに、二〇二〇年一月からは、会計検査院の国交省統計室への調査も始まりました。慌てて国交省は、課長や政策立案統括審議官、政総審も交えて、会計検査院への対応を検討しております。私が見たところ、どのように会計検査院を言葉は悪いがごまかすかという相談であります。
二〇二〇年四月から七月にも、国交省は会計検査院に六点にわたって回答しておりますけれども、この四点目には、二〇一三年四月以降の欠測値補完措置についての説明も行っております。これは事実ですね、国交省。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の会計検査院の対応につきましては、検証委員会の報告書にもございますように、令和二年の四月から七月までの間、会計検査院から照会等を受けていた国土交通省の建設経済統計調査室が回答したものとして記載がございます。
議員御指摘の4の点につきまして、平成二十五年四月分からの推計方法の変更についての回答でございます。
母集団への復元を実施するのに当たりまして、各標本ごとに定められる抽出率の逆数及び回収率の逆数を各標本の調査結果に乗じることとし、この作業を毎月の回収率に応じて実施する旨、説明したものでございます。この推計方法の見直しが合算問題と併存することで二重計上問題を引き起こすことになったものでございます。
報告書においては、会計検査院の対応について見ても、本件統計室は、二重計上になっていることについて、明確な説明を避けていた、会計検査院に対して平成三十一年の一斉点検の際に本件合算問題を報告しなかった理由を報告するに当たり、本件二重計上問題を正直に伝えないまま、本件合算問題だけに事柄を矮小化した、対外的に、二重計上の事実を明らかにせず、令和三年四月分からの推計方法の変更に潜り込ませて、二重計上の問題が表沙汰にならない形で収束させようとしたと認められる、これを隠蔽工作とまで言うかどうかはともかく、幹部職員において、責任追及を回避したいといった意識があったことが原因と考えざるを得ないと、厳しい御指摘をいただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 会計検査院は、二重計上を、私に対して、認識していなかった、会計検査報告を出す時点でも認識していなかった、こういう御回答でありました。今日来ていただいていますけれどもね。
それは、今るる述べたように、ごまかそうとした形跡があるということを今おっしゃったんだと思います、国交省の側からですね。二重計上とは明確に言いませんでしたと。
ただ、問題は、それでごまかされてよいのかという問題が残りますね、会計検査院としては。合算処理に限らず、まさに欠測値の補完措置を行っていたことは既に国交省から回答されているわけですから、これは会計検査院は分からなかったで済むんですか。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
今回の検査におきましては、五十の基幹統計調査を含む二百九十八統計調査について、調査票の集計方法等が調査計画に沿って実施されているかなどに着眼して横断的に確認しておりまして、特定の統計調査の集計方法が統計そのものにどのような影響があったかといった、具体的な統計処理に係る更なる詳細な分析は行っておりません。
したがいまして、今回の検査におきまして、建設工事受注動態統計調査について、いわゆる二重計上になっていたということは把握しておりませんでしたが、過去の調査周期に係る調査票の情報を、調査計画に定められた本来の調査周期ではなく、提出時点における調査周期の調査票の情報に含めて集計していたことについて確認しておりまして、その旨を報告書に記述しているところでございます。
○宮本(岳)委員 だんだん時間が迫ってきましたので、この辺りで切り上げざるを得ないんですけれども。
この二重計上、ダブルカウントというものがどこまで認識されていたかということは、争いがあるわけですよね。
例えば、このタスクフォースの報告書の、まさに先ほど申し上げた、マスキングがかかったメディアとのやり取りの資料ですね、八十六ページ、八十七ページ。ここにはダブルカウントという言葉が何度も出てくるというふうに言われているんですが、どこにどんなふうに出てくるのか、前後の文脈は分からないままなんですよ。だから、参考資料をつけてもらって、なるほど、そのとおりでしょうとタスクフォースがおっしゃっていることは分かるけれども、我々はなるほどねと言えない。だって、分からないから。
大臣、最後に、せめてこの資料、こういう資料ぐらいはマスキングを外して国会がちゃんと見られるようにすべきじゃないですか。
○金子(恭)国務大臣 ただいま宮本委員から、様々な不適切な事案についてのお話がございました。国土交通省そして総務省、それぞれの答弁も聞かせていただきました。
最終的には、やはり第三者の専門家で、有識者で組織をします国土交通省の検証委員会、そしてその後チームもつくっておられると聞いております。
また、総務省では、国土交通省の検証委員会から報告を受ける前に、自ら総務省の中でのタスクフォースをつくって、今、国土交通省からの資料を、報告書を精査をしているところでございます。また、統計委員会の中に特別検討チームをつくって、しっかりとやろうという体制にもなっております。
また、これから、今お話がございましたが、統計委員会の椿委員長等とも御相談をしながら、どういう対応ができるのか、検討させていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 大臣、かつて私は、国土交通委員会の理事会で、大臣や赤羽委員長と、森友案件についての資料開示を求めて様々な議論をしたのを思い出します。幾ら反省の言葉を口にしようが、緊張感を持ってと繰り返していただこうが、全て本当に洗いざらい明らかにすることなしに国民の信頼は取り戻せないということを申し上げて、今日は私の質問を終わりたいと思います。