事業者支援金を全希望者に
不備ループ 宮本岳志氏が改善要求
衆院予算委分科会
日本共産党の宮本岳志議員は16日の衆院予算委員会分科会で、コロナ禍で減収となった中小事業者に支払われる国の一時・月次支援金の申請書類を何度出しても突き返される「不備ループ」問題について質問し、希望者に支給される制度への改善を求めました。
宮本氏は、月次支援金の申請件数249万件に対して、給付件数は234万件で、約15万件が給付に至っていないと指摘。中小企業庁の飯田健太事業環境部長は、「10日時点で申請の取り下げが約11万件ある」と答えたのに対し、宮本氏は「決して納得して取り下げたわけではない。『不備メール』を繰り返されて、『政府の言うことは信じない』と吐き捨てるように語る人もいる」と告発しました。
宮本氏は、経済産業省の若手官僚2人による給付金詐取にふれ、「官僚が不正を働いたからといって、コロナ禍で売り上げ減に苦しむ業者に必要な給付金が遅れていい理由にはならない」と強調しました。
また、不正受給対策のための税理士や会計士などの登録確認機関による事前確認について、「現金取引で商売をしている小規模事業者にとって事前確認のためだけに金融機関に相談することはハードルが高い」と指摘。誰でも無料で事前確認できる仕組みをと求めました。宮本氏は、月次支援金の審査では現金取引の実態を示す通帳の写しや屋号の記載のある契約書がなければ事業実態がないと判断されるが、「税務上も事業実態がないと取り扱うのか」と質問。国税庁の星屋和彦課税部長は「これらの書類がないことのみをもって事業に該当しないと判断しない」と述べました。
(しんぶん赤旗2022年2月17日)
動画 https://youtu.be/AO73kF8U0oc
議事録
○宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。大臣、お久しぶりでございます。
今日は、この間、メディアを含めて大問題になっております一時支援金、月次支援金の申請に関わる、いわゆる不備ループについて質問したいと思います。
まず、大臣に確認をするんですけれども、萩生田大臣は、二月二日、予算委員会で我が党の笠井亮議員の質問に、不備ループといった実態があった事実を認めて、「中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、丁寧なサポートとなるように改善を重ねてきたところであり、最後までしっかり取り組んでまいりたい」と答弁されました。
どのような改善を行われましたか。
○萩生田国務大臣 月次支援金では、提出された書類からでは給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者には、事前の同意をいただいた上で、追加の書類提出を依頼しておりますが、こうした書類の提出を求めるに当たっては、不備メッセージの内容を細分化するなど、可能な限り分かりやすいものとする、また、不備に関する電話相談窓口の体制を拡充するなど、中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、これまでも改善を行ってきました。
これに加えて、定型的なメッセージでは不備解消が難しい一部の申請者には、事務局から直接電話をかけさせていただいて、不備解消の積極的なサポートを行う、あるいは追加書類の審査の体制を拡充するといった更に丁寧なサポートになるように改善を重ねてきたところであり、最後までしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 とにかく、この間の対応に関しては、怒りの声が山のように寄せられております。この分科会でもそういう議論がこれまでも続けられてきたと思うんですけれども。
そもそも、不備メールを受け取っても、何が不備なのかも分からない。中身を聞こうと中小企業庁に電話をかけても、当初は、事務局はデロイトトーマツがやっていることなのでこちらにかけてもらっても分からないということで、取り合ってもくれなかった、こういうこともありました。
大臣は、改善に努める、こうおっしゃるわけですけれども、これは中小企業庁に答えていただけばいいんですが、現在の一時支援金と月次支援金の給付の実績はどうなっておりますか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
一時支援金につきましては、約五十七万件の申請に対しまして、約五十五万件、申請の約九七%をお届けしたところでございます。
月次支援金につきましては、二月十四日時点で約二百四十九万件の申請をいただいておりまして、約二百三十四万件、申請の約九四%をお届けさせていただいております。
○宮本(岳)分科員 一時支援金に関して言いますと、申請五十七万件に対して五十五万件ということですから、約二万件が支給されていないわけですね。その後の月次支援金は、申請件数二百四十九万件に対して二百三十四万件ということですので、約十五万件はいまだに給付に至っていない、こういう計算になりますね。
これも中小企業庁に聞きますけれども、その十五万件の内訳がどのようになっているか、申請の取下げ、審査中、不支給決定、それぞれの件数を答えていただけますか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
月次支援金、給付に至っていない約十五万件の内訳でございますが、二月の十日時点で、申請の取下げが約十一万件でございます。それから、審査中は約一万件でございます。不給付決定につきましては約三万件でございます。
○宮本(岳)分科員 取下げが十一万、不支給が三万と。まだ依然として一万件が審査中ということになっております。この十一万件の取下げというのも、決して納得して取り下げたという方ばかりではないと言いたいところですが、ばかりではないどころか、ほとんど納得しないまま取り下げている人が多いです。
私のところに来た話では、不備メールを繰り返されて、いつまでたっても支給されず、まるでばかにされているようで、もう愛想が尽きた、もう二度と政府の言うことなど信じない、こういう、吐き捨てるようにおっしゃって、もう取り下げたという人もいらっしゃいますし、それから、不支給という決定がされますと、後々やはり次からの分がもう全部同じようになるんじゃないかというので、取りあえず、審査中が長引いている人が、取り下げておいて、次の制度で心機一転、応募するのだという人も随分いらっしゃるというふうに聞くわけですね。
それで、事務局が指摘する不備の内容や追加提出を要求される資料が、本来必要と思われる範囲を超えているように、私もいろいろ話を聞いて思いました。なぜこのような、無理難題のような書類の提出を繰り返し繰り返し求めるのか。中には、これは一種の嫌がらせではないかと言う人がいるんですけれども、いかがですか、中小企業庁。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
月次支援金におきましては、その前の持続化給付金とか、あるいはこれまでの一時支援金でいろいろなノウハウを得ておりますけれども、様々不正が行われたことも事実でございまして、その不正受給防止の観点から、提出された書類では給付要件を満たすことが確認できなかった方には、帳簿の書類ですとか通帳、そのほか事務局が必要と認める書類の提出をお願いしてございます。
これは事務局からの依頼で御提出いただくことになっているわけですけれども、これは、申請時点で、あらかじめそういうことを、何かあったら出しますということは御同意をいただいた上で申請いただいてあるわけでございまして、やはり過去の給付金で不正受給が多発したことを踏まえまして、事業の実態、あるいはその事業を本当に継続しているのか、それから緊急事態宣言の影響が本当にあるのかといった確認を行うために提出をお願いしているものでございます。
いろいろ御指摘をいただいているのは承知をしておりますけれども、決して、私ども、不必要な書類を求めているわけではございませんので、御理解いただければと思います。
○宮本(岳)分科員 不正受給対策だと言うんですけれどもね。
給付金詐欺でいえば、元経済産業省の若手キャリア官僚の二人の詐欺事件、これこそ世間をあきれさせた事件でありました。ペーパーカンパニー二社を使って、持続化給付金の虚偽申請で、一社当たり二百万円、計四百万円をだまし取り、家賃支援給付金も二社合わせて千百五十万円、総額千五百五十万円にも及ぶ給付金詐欺でございました。
ちなみに、じゃ、この事案が、今皆さん方が求めているようなものを求めれば防げたかというと、こういう巧妙な詐欺に関していえば、そういった書類も過不足なくそろえると。まあ詐欺ですけれども、うそですけれども、そろえるということになるんでしょう。本当にやりきれない思いですけれども。
この事件に関しては、二〇二一年七月十九日付で、この二人は懲戒免職処分となりました。当時の梶山弘志経済産業大臣も、執行する側の役所としてはあるまじき行為だと言って謝罪をされました。これは聞くまでもないことですけれども、萩生田大臣も、もちろん、梶山前大臣と同じ、あるまじき行為という立場でございますね。
○萩生田国務大臣 先生御指摘の事案ですけれども、国民全体がコロナで苦しんでいる中、高い倫理観を持つべき元職員が、経済産業省所管の制度を悪用して、あるまじき詐欺行為を行い、有罪判決を下される事態に至ったことは極めて遺憾だと思っております。
今後とも、信頼される経済産業省を目指し、職員一人一人が高い倫理観を持ち、前向きにそして真摯に日々の職務に取り組んでいくため、不断の努力を行ってまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 当然そういう立場だと思います。
しかし、経産省の官僚が前代未聞の許し難い不正行為を働いたからといって、それは、コロナ禍の下で売上減少に苦しむ業者に必要な給付金が届くのが遅れたり、諦めさせたり、そういうことをしてよい理由にはならない、これも聞くまでもないことですけれども、一応、確認のために、大臣、そうですね。
○萩生田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、この事案は極めて遺憾でありますが、不正対策の強化は、この事案に限らず、様々な不正事案を踏まえて、簡易迅速な支給とのバランスも踏まえながら講じてまいりました。
持続化給付金では、簡素な申請手続により迅速な給付を実現してまいりましたが、その反面、多くの不正受給が発生したのも事実です。
こうした教訓を踏まえ、昨年実施した一時支援金や月次支援金では、申請時に第三者による事前確認を必須とすることや、不正や無資格受給が疑われる一部の申請者に対しては追加書類の提出を依頼し慎重に審査するなど、不正防止対策を講じてまいりました。
他方で、大多数の申請者に対して迅速な給付を行っている点は一時支援金や月次支援金も同様でありまして、給付件数の約半分が申請から二週間以内に給付されております。
足下では事業復活支援金の申請受付が既にスタートしておりますが、引き続き、困難な状況に置かれている事業者の皆様に対して速やかに支援金をお届けできるように全力を尽くしてまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 事業復活支援金については、また後で聞かせていただきます。
もちろん私も、不正受給があってよいということは断じて思いません。不正対策が必要だということは当然のことであります。
しかし、その不正対策といえば、そのために登録機関による事前確認を、制度を入れた、こういう今御説明もございました。
これも確認いたしますけれども、中小企業庁、登録機関による事前確認というのは、不正対策という趣旨で入れたんですね。
○飯田政府参考人 御指摘の事前確認でございますけれども、今大臣も御答弁いただきましたように、持続化給付金で多くの不正受給が行われたということの教訓を踏まえまして、申請時の第三者による事前確認等を必須とするような、新たな不正対策として導入したものでございます。
具体的な事前確認の内容でございますけれども、商工会議所あるいは税理士などの登録確認機関におきまして、申請予定者が事業を実施しているか、給付対象を正しく理解しているか等に関して、書類や宣誓内容の形式的な確認というものを事前に行うこととしてございます。
○宮本(岳)分科員 ところが、その事前確認が申請のハードルを上げているのではないかという御意見をいただくわけでございます。
大体、小規模な零細事業者は、登録確認機関となる税理士とか会計士さんとの契約もほとんどありません。日常的な関係が大体ないわけですね。それから、税理士さんや会計士、行政書士さん等は、通常の業務もありまして、日常的な関係がない事業者の事前確認を行うことになかなかメリットがない。それから、特に税理士さんや会計士さんにとっては、一件当たり千円というこの報酬が見合っていないという声もあります。
商工会も事前確認を行っていただくわけですけれども、受けてくれるところもあるんですよ、しかし、会員でなければ断られるという事例もあるというふうに聞いております。
金融機関も事前確認をやっていただいているところがあるんですが、そもそも、日頃、現金取引の商売で、銀行を使っていないような小さな商売にとっては、事前確認のためだけに金融機関に相談するというのもハードルが高い。
現場で、実際の、小さいお商売のところでいうと、もう数々のこの事前確認というものが逆に申請のハードルになっている。そして、そういう会計士さんとか税理士さんのところへ頼みに行くと、もしかすると更に高い手数料を払わなきゃならないんじゃなかろうか、こういうためらいもあると。
こういう声は聞いておりますか、中小企業庁。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、事前確認、一時支援金、月次支援金の申請に当たりまして、不正防止を目的として行っているわけでございますけれども、今委員から御指摘ありましたように、一部の申請希望者の方から、身近な登録確認機関がないですとか、あるいは煩雑であるといった声があることは承知をしてございます。
少し、先に申し上げますけれども、登録確認機関を見つけることが困難だという方もいらっしゃると思っておりますので、事務局のコールセンターにお電話をいただくという仕組みを設けております。
このお電話をいただきますと、全国各地に約四万五千機関、今委員言われましたように、金融機関とか商工会議所とか、いろいろあるわけですけれども、税理士先生とか、こういった登録確認機関から身近な機関の紹介を行わせていただいております。
それでも登録確認機関が見つけられない方につきましては、事務局が設置している無料の登録確認機関を紹介するということで、どなたでも事前確認を受けられるような体制をつくっております。
費用につきましても、無料で事前確認作業を行う方には、先ほど千円というお話がありましたけれども、国から事務手数料を支払ったりとか、行くことになっていまして、結果として、月次支援金の申請者に対するアンケートでは、約八割の方が無料で事前確認を受けたということで、お受けいただいております。
○宮本(岳)分科員 不正防止のために事前確認が必要だというのであれば、小規模事業者が誰でも無料で事前確認を受けられる仕組みが必要だと思います。
それから、千円ということでありますが、今度は少し、事業復活支援金では引き上げられるということも聞いたんですけれども、是非そういう取組を進めていただきたい。もし、追加して確認していただけるならば、おっしゃっていただけますか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
今、事業復活支援金についてお話がございましたので、少し御説明をさせていただきたいと思います。
現在申請を受け付けております事業復活支援金では、無料で事前確認を行う登録機関に対しましては、国からの事務手数料として、継続支援関係のある方、これは書類のチェック分量が少し少なくなりますので、これは従来どおり一件当たり千円でございますけれども、継続支援関係のない事業者への事前確認につきましては、一時・月次支援金の一件当たり千円から、今度は二千円に引き上げさせていただくことにしております。
○宮本(岳)分科員 それでは、登録機関に事前確認してもらえば不備ループと呼ばれる事態は避けられるのか。実態はそうでもないことが明らかになっております。
これは、私のところに寄せられた、登録確認機関となっている税理士さんからの相談事例であります。
申請者はスペイン出身の古物商でありまして、スペインではお父さんが骨董店を営んでおられ、御本人は、お父さんから仕入れた骨董品を日本で、フリーマーケットや市などで販売をしてまいりました。二〇二〇年以来、コロナで市が立たず、売上げが激減。昨年五月二十四日、一時支援金を申請。六月十七日に追加対応でこの税理士さんに事前相談して、七月十三日にはこの一時支援金三十万円は支給をされました。これは出たんです。
次に、月次支援金ですけれども、四月から六月は申請を失念した。それで、七月分を八月に、八月分を九月に、そして九月分を十月に申請したところ、十月四日には、七、八月分、二十万円が振り込まれたということであります。出たんですね。
ところが、九月分に関して、十二月十一日に十四日以内の追加対応を求めるメールが届いて、売上げや経費の支払いが確認できる金融機関発行の書類を出せ、売上げ及び経費に係る帳簿を出せと、賃貸借契約書や公共料金請求書、保険料の支払い書、ただし屋号、商号宛てを求めてきて、十二月の二十三日に追加資料を、これはその税理士さんが相談して提出をしたということでした。
その後、十二月の二十五日に、翌一月九日の期限を切って追加対応を求めるメールが更に届いて、十二月二十七日に、もう年の瀬も迫って督促メールが来て、正月、一月一日十時十五分に警告メールが来たと。
よくよく、後で分かったことですが、十二月三十一日付の本人限定受取郵便が到着していて、本人は気づかなくて、不在であって、一月四日に再配達でそれを知った。だから、正月も何の暦も関係なく、やいのやいのの催促が来たと。
一月六日にも警告メールが来たので、一月八日には追加資料をこれまた出したと。手元にある全ての領収書をスキャニングして、三十三ページ分、ウェブ提出し、領収書のうち提出できない事情についての申立て書も、登録確認機関となっている税理士さんの名前で提出したんですが、一月十三日に督促メールが二通来た後、翌日、十四日付で何と不支給決定通知が届いたと。これで、本当にこの税理士さんが怒り心頭なわけですよ。
当日、月次支援金事務局の問合せコールセンター窓口に抗議の電話をしたんですけれども、要領を得ずに、二日後にコールセンター職員から電話があり、マイページに表示されている期日までに不備が解消されないと支給対象外となると。八日に提出した資料では駄目なのかと聞いても、私は回答できる立場にないと。審査部に直接連絡が取れますかと聞いたら、直接連絡は取れない、納得していただくほかはないと言われたと。
これは、不正防止のためにあなた方が登録確認機関とちゃんと位置づけている税理士さんからの訴えなんですね。そもそも登録機関の確認行為を信用していないのかと御本人は怒っておられるんですが、いかがですか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま事例を御紹介いただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、事前確認スキームは、繰り返しになりますけれども、あくまでも書類ですとか宣誓・同意内容の確認を形式的に行うものでございまして、その段階で申請希望者が給付対象であるかどうかということをその方々が行うわけではございません。
したがいまして、登録確認機関による事前確認を受けていただけでは、給付要件を満たしていると判断できるものではないケースもございます。
したがいまして、事前確認を経た申請であったとしても、これは税理士先生を含めて、そういった方々の御確認をいただいたものであったとしても、やはり事務局における審査というものは必要になりますので、物によっては不給付になることもあると思っております。
○宮本(岳)分科員 いやいや、事前確認をやってもそれは審査にならないことは分かっているんですよ。審査は、それはそちらでおやりになるんでしょう。
ただ、不正防止のために事前確認をした、そして、そういう資格を持った方々、税理士さんに限りません、行政書士さんとか会計士さんとかが、一応、間違いなくこの人は商売をやっている実態はあります、こういうことで幾ら説明の文書をつけても、不備メールの方は、何の説明もなく、やはり不備だといって送られてくる、直接話をさせてくれと言っても、審査部は教えられないと。これで登録確認機関の方々は怒るわけですよ、何のために我々を使っているのかと。こういう扱いをするんだったらそんな制度はつくるな、こう言うて怒っておられるわけですね。
そもそも、不備だ不備だとおっしゃるんですけれども、新型コロナの影響で大きな打撃を受けている零細な事業者の中には、銀行振り込みなどは使わずに現金商売をやっている、現金取引で商売を行っている事業者、屋号は持たずに事業を行っている事業者は少なくありません。
現金取引は銀行を通じないのだから通帳の写しは出せない、これは当たり前のことでありまして、また、事務所や店舗の契約が個人名になっていることがいっぱいあります、商売をやっていてもね。それをわざわざ解約してもう一遍、屋号名、商号名で家の貸借契約を結び直すわけにいかぬわけですから、それは出せない、屋号、商号の確認できる契約書は出せないのは当然だと思うんですけれども、なぜこれを認めないんですか、中小企業庁。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま、現金取引についての御指摘がございました。
主として現金による取引をしていることなどによって、提出いただいた書類では取引実態の確認が困難な場合、これは個人で普通に生活している方との見分けをする必要がございますので、こういったときにも、可能な限り事業実態を確認できて要件を満たす場合には、しっかりお届けするということを考えてございます。
そのため、審査に当たっていろいろな代替書類も、メールの中でいろいろやり取りさせていただいているわけですが、例えば、対象期間における事業に係る販売、購買が確認できる請求書、領収書、それから事業に関する家賃とか水道とか光熱費だとか、経費が確認できる通帳の写しですとか、こういうのがあれば提出をお願いしているところでございます。
また、売上げに関する書類というのは、これは売上げでございますので、個人の私生活において売上げというのは生じるものではないので、これは屋号を求めておりません。
一方で、経費に関するものは、何を買ったということにつきましては、やはり個人の私生活において生じたものと事業において生じたものを判別するために、屋号宛ての書類の提出を求めているところでございます。
○宮本(岳)分科員 しかし、実態は、それを切り分けるというのはほとんど不可能でありまして、これはちょうど、だから、そのお怒りの方が税理士さんですから、よく分かるんです。
今日は国税庁に来ていただいているんですけれども、月次支援金の審査では、現金取引で得た金銭を入金した通帳の写しや、屋号の記載のある契約書がなければ、事業実態がないと判断されるということでありますけれども、税務上も、これは同じ、事業実態はないと取り扱っているんですか、国税庁は。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として申し上げますと、所得税法上の事業とは、自己の計算と危険において営利を目的として対価を得て継続的に行う経済活動と解されております。
委員御指摘の事業の税務上の取扱いにつきましては、現金取引で得た金銭を入金した通帳の写しや、あるいは、屋号の記載のある契約書につきましては、事業の実態があるか否かの判断材料の一つとなり得るものではありますけれども、これらの書類がないことのみをもって、事業を行っていないと判断されるものではないと考えております。
○宮本(岳)分科員 さきの事例での登録確認機関となっている税理士さんが怒るのは当然なんですね。日頃は税務のプロとして、税の専門家であり、税務では、通帳の写しなどなくても、屋号や商号の入らない契約書でも認められているのに、なぜ、この月次支援金の実務では、税理士が確認したと申立て書をつけても、やはり何度も不備メールが送られてきて不備ループに陥ると。
税理士法には、故意であれ過失であれ、税理士が真正の事実に反して税務書類の作成を行えば懲戒処分が定められていると思いますが、国税庁、事実ですね。
○星屋政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、税理士が真正の事実に反して税務書類の作成を行えば、故意であれ過失であれ、税理士法に規定する懲戒処分の対象となり得るとされているところでございます。
○宮本(岳)分科員 私に相談したその税理士さんも申請者も非常に傷ついて、一度月次支援金で不支給となったら、もう事業復活支援金も、申請してもはねられるのではないかと心配し、新たな支援金の、今度の支援金の申請も、現時点でためらっておられます。
不備ループに陥って月次支援金の申請を取り下げた人の中には、ここで不支給になったら、今後全てに不支給のレッテルが貼られるのではないかと心配して取り下げた人もいると聞いております。
これは中小企業庁、誤解があると聞きましたが、そうですか。
○飯田政府参考人 今、御質問は、月次で不支給になっても今回は支給できるか、そういう御質問で。
これは別々の審査でございますので、昔不支給になったからといって、今回申請できないとかそういうことではございませんで、要件を満たせば支給可能でございます。
○宮本(岳)分科員 先ほどの事例は、一時支援金も月次支援金も、一部支給されているわけですね。最後のやつだけがトラブったわけですが、こういう場合でも、今度のファーストステップ手続、これは利用可能ですか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
一時支援金又は月次支援金の受給実績がある方でございます。その後に所得の変更があったりですとか、あるいは合併があったりとか、こういった申請主体に変更があった場合は別でございますけれども、そうでない場合には、事前確認を省略することができます。
○宮本(岳)分科員 随分突っ込んだやり取りもしてまいりました。
最後に、萩生田大臣にお伺いするんですけれども、大臣は、一月二十八日の会見で、この不備ループに関しても更なる改善を指示されたというふうにお伺いをしております。是非、大臣の改善への決意をお伺いして、私の質問を終わります。
○萩生田国務大臣 事業復活支援金では、申請者の負担を減らすために、既に一時支援金や月次支援金を受給したことがある申請者については、商工会議所や税理士等による申請書類や申請者の宣誓内容に関する形式的な確認を行う手続である事前確認そのものを省略するなど、可能な限り、申請手続を簡略化しております。
また、事業復活支援金では、これまでの支援金の経験を踏まえ、追加の書類の提出を求める際には、求める書類や不備の内容を一層明確化すること、それから、現金取引の場合などにおいて、事業実態を確認するための書類提出の例を、不備解消プロセスの中で通知するのではなく、あらかじめ示しておくこと、それから、不備解消相談窓口の体制を増やしました。審査部署との連携を強化するなど、更なる改善を重ね、申請者の御負担にも十分に配慮しながら対応していく予定です。
引き続き、こうした改善が現場においても十分に浸透するように、中小企業庁からも事務局をしっかりと指導し、支援を必要とする方々に迅速かつ適切に支援金がお届けできるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 以上で終わります。誠にありがとうございました。