大学への不当な政治介入
宮本岳志議員 「チーム甘利」を告発
衆院委で法案可決
日本共産党の宮本岳志議員は27日の衆院文部科学委員会で、「チーム甘利」と呼ばれる自民党の甘利明衆院議員(前幹事長)に連なる人物が大学ファンドにかかわる組織の要職を占めている実態を告発しました。
宮本氏が示したのは、『文部科学教育通信』2019年11月11日号に載った甘利氏のインタビュー。「国立大学は『知識産業体』の自覚を」と題した記事で甘利氏は、同氏が経済産業相時代に、政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の議員だった橋本和仁氏から、後に東大総長となる五神真氏や上山隆大氏を紹介され、大学改革について議論したとしています。また岸田文雄首相、林芳正外相、世耕弘成元経産相、茂木敏充幹事長を挙げ「これはみんなチーム甘利だ」とも語っています。
宮本氏は、政府の国際卓越研究大学法案が、大学ファンドから助成を受ける大学の選定にCSTIや文科相の諮問機関である科学技術・学術審議会の意見を聞かなければならないとしていると指摘。上山氏が現在CSTIの唯一の常勤議員で、五神氏が4月まで科学技術・学術審議会の委員を、橋本氏が大学ファンドの助成業務を担う科学技術振興機構の理事長をそれぞれ務めていることを示すと議場にどよめきが起こりました。
調査を迫る宮本氏に、末松信介文科相は「初めて拝見した。全く承知していない」と繰り返し、審議がたびたび中断。後日対応を理事会に報告することになりました。
宮本氏は「10兆円の巨額ファンドによる学術・研究への不当な政治介入は直ちにやめるべきだ」と訴えました。
法案は自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党の賛成で可決しました。
(しんぶん赤旗2022年4月28日)
動画 https://youtu.be/xXbGiyR_vTo
配付資料 20220427文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
冒頭、一点確認をいたします。
十五日の本委員会で、増子宏高等教育局長が、フランスの無償制度については、収入が高い人も低い人も同じように無償ということで、逆進性だという批判があるというふうな話も実は出ているなどという驚くべき答弁を行いました。
日本は、二〇一二年、国際人権A規約第十三条二項(b)、(c)の留保撤回をし、高等教育の漸進的な無償化は国際的な責務であります。
増子局長、先日の答弁は国際人権規約に基づく漸進的無償化を否定するものではありませんね。
○増子政府参考人 お答え申し上げます。
四月十五日の当委員会における私の答弁につきましては、フランスの準無償制をめぐる意見を紹介したものでございまして、高等教育局長として国際人権規約における高等教育の漸進的無償化の流れを否定したわけではございません。
○宮本(岳)委員 それは当然のことだと思います。
改めて、大臣にも確認したい。
我が国は国際人権A規約の十三条二項(c)の留保の撤回を行っており、高等教育無償化の漸進的な導入に向けて取り組む考えに変わりはありませんね。
○末松国務大臣 お答え申し上げます。
国際人権規約に定める高等教育の漸進的無償化の趣旨を踏まえ、今後とも、経済的理由により学生等が進学を断念することがないよう、教育費負担の軽減に努める考えです。
○宮本(岳)委員 では、法案の審議に入ります。
日本の研究論文数が低迷していることについて、文部科学省の科学技術・学術政策研究所は、日本と論文数が同程度のイギリス、ドイツと比較して日本の大学の特徴を明らかにし、現状分析をしております。配付資料一はその報告書でありますけれども、「最後に」で、日本全体の研究力を向上させるためには何が必要だと述べておりますか。
○千原政府参考人 お答え申し上げます。
科学技術・学術政策研究所の調査報告書によれば、「日本全体の研究力を向上させるためには、上位層の大学の研究力を活性化しながら、上位に続く層の厚みを形成するといった施策が必要であると言える。」とされております。
○宮本(岳)委員 科学技術・学術政策研究所の報告書は、今お話があったとおり、上位層の大学の研究力を活性しながらも、上位に続く層の大学の研究力の厚みを形成する政策が必要だと指摘しております。
では、聞きますけれども、本法案において、助成される国際卓越研究大学の数はどの程度を想定しておりますか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国と我が国の経済規模等を踏まえると、我が国において、数校程度の大学が世界と伍する研究大学となることが期待されております。CSTIの専門調査会において、そうした議論がなされております。
○宮本(岳)委員 どの程度の大学数を想定しておりますか。
○池田政府参考人 数校程度ということでございます。
○宮本(岳)委員 文部省自身の研究所の結論とは真逆だと言わなければなりません。
対象を数校に限定することの問題点について指摘する声は大変多いです。若手研究者らによって今年発足した日本版AAAS設立準備委員会、日本科学振興協会の研究環境改善ワーキンググループは、大学ファンドについての提言を今年の四月二十日に発表いたしました。
これは、文部科学省もこの提言を承知しておりますね。
○池田政府参考人 承知しております。
○宮本(岳)委員 私は昨夜もそのメンバーと意見交換をいたしましたが、大学ファンドの支援対象が数校程度に限定されていることについて、選ばれた大学と漏れた大学の格差を拡大させ、地方国立大、公立大、私立大の所属の教員のみならず、そこで教育を受ける学生の研究に対する意欲、活力を一層低下させること、選ばれた大学に在籍する学生、ポスドク、教員は選ばれなかった大学への異動を敬遠するため、人材の流動性が阻害される可能性があると指摘しておられました。
提言が指摘する意欲の低下、人材の流動性の阻害が生じるのではありませんか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の研究力向上のためには、一定の人材の流動性を確保しつつ、研究者が将来への見通しを持ち、研究に専念できる環境を整備することが重要と考えております。
このため、本法案では、国際卓越研究大学に対して、若手研究者の育成、活躍の促進や世界トップクラスの研究者の確保に関して事業計画を策定することを求めており、そうした事業に対して長期的、安定的に支援を行うこととしております。
具体的には、各大学において、優秀な若手研究者に対する研究室の立ち上げに向けた支援や積極的なテニュアの付与、グローバルな経験の付与などとともに、自校出身者の採用、いわゆるインブリーディングの抑制等による人事の多様性、流動性の確保を通じた、国内外の優秀な若手研究者が活躍できる環境整備などに取り組むことが期待されます。
こうした取組により、国際卓越研究大学が国際的な頭脳循環のハブとなり、世界中から集まった優秀な人材による新たな学問分野の開拓など、研究成果を創出するとともに、人材を生み育てる拠点となることを期待しております。
また、大学ファンドでは、国際卓越研究大学に限らず、全国の優秀な博士課程学生への経済的支援も実施することとしております。
さらに、これらに加えて、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講ずることとしており、こうした支援を通じて、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とも互いに切磋琢磨できる関係を構築することで、我が国に多様な研究大学群を形成していきたいと考えております。
文部科学省としては、大学ファンドを始め、こうした施策を総動員して、日本の大学全体の研究力強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 だらだらと答弁しなければならないほど、格差と集中、これを進めるということですよね。
地域中核、特色ある研究大学のパッケージ、今おっしゃいましたけれども、今年度予算でたった四百六十二億円ですよ。
そもそも国は、大学の経営基盤を削ってまいりました。国立大学の運営費交付金は、法人化後に一二%も削減をされてきました。
その一方、今回の法案では、数校に限定された国際卓越研究大学には約三千億円が配分され、一校当たり数百億円程度となります。数百億円という規模は、国立大学法人の中でも旧帝大など一部の大規模大学の運営費交付金に匹敵する規模であります。国際卓越研究大学とその他の大学との格差が恐ろしいほど拡大をいたします。
では、国際卓越研究大学に認定された大学はハッピーなのか。残念ながら、そうとも言えないんですね。
資料二は、日本学術振興会発行の「科学の健全な発展のために」の九十六ページであります。「ピア・レビューの役割」として、二つのことが述べられております。研究論文の学術誌への掲載や研究助成金の採択、科学者の採用や昇進、大学、研究機関の評価など、あらゆる場面で優れた判断を行うことができるのは科学者だけであること、そして、政治の介入は科学研究をゆがめることであります。そのためにピア、同業者がレビュー、審査することが重要であり、それを担ってきたのが日本学術振興会でありました。
日本学術振興会は、十三万人を超える専門家の審査員のデータベースを持っており、ピアレビューの原理を尊重する審査体制となっております。これまでの科研費やグローバルCOEプログラム、WPIやスーパーグローバル大学創成支援事業などの事業の採択の審査は、日本学術振興会が行ってまいりました。これは間違いないですね。
○池田政府参考人 そのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 一方、今回の国際卓越研究大学の助成すべき大学の選択の審査は、法案ではどのように進めることになっておりますか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の国際卓越研究大学の認定に当たっては、文部科学大臣の諮問機関である科学技術・学術審議会の意見を聞くとともに、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの意見等を聞いた上で、文部科学大臣が認定や認可を行うこととしております。
○宮本(岳)委員 科学技術・学術審議会は、文部科学大臣の諮問機関であり、文科大臣が任命する三十名の委員で構成されており、ピアレビューを尊重し、科学者コミュニティーの自律性を確保するような審査体制ではありません。
内閣総理大臣を議長とするCSTIの議員十四名、こちらはCSTIの方ですね、こちらCSTIの議員十四名の構成はどのようになりますか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
本来であれば内閣府から御答弁申し上げることかと存じますが、事実関係ですので、私から御説明をさせていただきます。
CSTIは、「会議は、議長及び議員十四人以内をもって組織する。」と規定されており、議員には、内閣総理大臣のほか、内閣官房長官、科学技術政策担当大臣等の閣僚と、それから有識者として、現在七名の有識者が国会の同意を得て任命されております。このほか、日本学術会議の会長の梶田会長が入っておられます。
○宮本(岳)委員 閣僚が六名、それ以外に内閣総理大臣もおりますけれども。その他の有識者議員も首相が指名するんです。
CSTIも、到底、同業者による審査や、政治介入を排するという意味で、ピアレビューを行う組織とは言えません。
法案第三条一項では、文部科学大臣が国際卓越研究大学の研究と研究成果の活用のための体制強化の推進に関する基本方針を定める、こうしております。
聞きますけれども、法案第三条第三項では、この基本方針についてどう規定されておりますか。三条三項。
○池田政府参考人 お答えいたします。
基本方針は、法案の第三条第一項で文部科学大臣が定めるとされ、第二項で、基本方針には次に掲げる事項を定めるものと……(宮本(岳)委員「三項ですよ」と呼ぶ)三項ですか。失礼いたしました。
「基本方針は、科学技術・イノベーション基本法第十二条第一項に規定する科学技術・イノベーション基本計画との調和が保たれたものでなければならない。」とされております。
○宮本(岳)委員 そこなんですね。つまり、国際卓越研究大学は、ピアレビューや科学者コミュニティーの自律性ではなく、科学技術・イノベーション基本計画に沿った基本方針に基づいて、つまり政府方針に基づいて研究と研究成果を活用するために、日本学術振興会の審査を外したとしか考えられないんです。
資料三を見ていただきたい。
今年四月十七日に放映されたフジテレビ系列「日曜報道 THE PRIME」についての新聞報道です。番組では、河野太郎議員と橋下徹氏が、科学研究費の使途や防衛省の研究開発費について議論をいたしました。河野氏はこの中で、学術会議が防衛費での研究否定を言い続けているならば、科研費は配分だけ各省庁に任せるということをやらなければいけないだろうなどと発言したと報じられています。
実は、私は、この番組での発言を文字に起こしたものを一通り読ませていただきました。河野氏はこう言っております。私、防衛大臣だったときに、こういう問題があったので、今文科省が出している科研費を全部文科省と防衛省の共管にしてくれと、別に防衛省は配分には口出し、口を出さないけれども、共管にしてくれ、だから、学術会議の言うとおり、防衛省の予算で研究しませんという大学は科研費全部使えないよと、自分で金集めてやってください、そういうふうにすべきじゃないかということを言って、文科省が、いやいやという感じではありましたけれども云々、こういうふうに語っておられます。番組でですよ。これは重大な発言です。
河野氏が防衛大臣だったときに、科研費を防衛省との共管にしろという要求がありましたか。そして、それに対して文科省は、いやいやと答えたんですか。お答えください。
○池田政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような報道があったことは承知しておりますが、科研費担当課に確認したところ、当時の河野防衛大臣に対応した記録は確認ができませんでした。
○宮本(岳)委員 当たり前でありまして、防衛省の研究費をもらわない大学の研究者には科研費を与えるなと政治的な圧力をかけるなど、許されるわけがありません。大臣まで務めた者が、放言するにもほどがあると言わなければなりません。
配付した資料四を見ていただきたい。
これは、文部科学教育通信のナンバー四百七十一、二〇一九年十一月十一日号に掲載された連載、異見交論の第一回、甘利明衆議院議員が登場した回のものであります。タイトルは、「国立大学は「知識産業体」の自覚を」となっております。
甘利氏は、この中で次のように述べております。
橋本さんがある日、私のところに当時、東大理学部長だった五神真さんを連れてきた。「この人を東大総長にしたいと思っている。本命ではないけれど、きっとさせてみせます」と。さらに「甘利大臣の大学改革にも興味を持っていると思います」とも。そこで五神さんに、「あなたが総長になったら、私についてきてくれますか」と聞くと、「その節には一緒にやります」と言ってくれた。結局、五神さんは総長になった。
CSTI改革に不可欠の事務局長役も、橋本さんが政策研究大学院大学副学長(当時)の上山隆大さんを紹介してくれた。来てくれるかなと聞いたら、「大臣が説得したら、来てくれます」と言うので、上山さんに電話をかけた。改革に取り組んでいる、日本を変えたい、出世を諦めて私と日本を良くする方に回りませんか、と伝えたら、二つ返事でOKしてくれた。その後、上山さんと五神さん、橋本さんと一緒に話し合ってきた。文科省高等教育局長や官邸の和泉洋人補佐官たちも交えて、構想を練ってきた。
聞きますけれども、この上山隆大という人は、現在、CSTIの常任議員ではありませんか。そして、この東大総長を務められた五神真氏は、二〇一七年から今日、今年まで、科学技術・学術審議会の委員を務め、この四月から理化学研究所の理事長に就任したのではありませんか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
上山隆大氏につきましては、これも内閣府がお答え申し上げるべきことだと思いますが、事実関係ですので、私から、そのとおりでございますと御答弁させていただきます。
五神真氏につきましては、今御指摘いただいたとおりでございます。
○宮本(岳)委員 確認されました。
まさにCSTIの常任議員であり、そして、五神さんもこの間そういう役職にあったと。
もう一問、つけ加えて聞きたいと思います。
資料四で、五神さんや上山さんを連れてきたという、当時CSTIにおられた橋本和仁氏は、現在、JST、科学技術振興機構の理事長ではありませんか。
○池田政府参考人 そのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 では、十兆円ファンドというのは一体どこに設置され、今回の法案で、国際卓越研究大学への助成を行うのは一体どこですか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の大学ファンドが設置されておりますのは、今御指摘の科学技術振興機構でございます。
○宮本(岳)委員 助成を行うのはどこですか。
○池田政府参考人 ファンドの運用益を、JSTが、ファンドの運用を行いまして、その結果を踏まえて、今回の法案に基づいて助成をすることになります。JSTが助成業務を行うことになります。
○宮本(岳)委員 この橋本さんが理事長を務めるJSTが、大学ファンドを設置し、そして、その運用益を助成すると。助成する際のまさに審査、それは、従来のピアレビューという手続ではなくて、CSTI等々が関わってやるんだと。CSTIの常任議員には上山さんなどが関わっておって、自分たちで決める、こういう話なんですね。
もう一度、資料四を見ていただきたい。その前段のところです。
甘利さんは、橋本和仁JST理事長も、林芳正外務大臣も、岸田首相も、茂木自民党幹事長も、世耕元経産大臣も、「これはみんな「チーム甘利」だ。」と言っておりますね。この対談で述べております。
大臣、これはもう政治家ですから、大臣に聞くしかないんです。
これは、チーム甘利というような一部のグループが、学術の中心であるべき大学を私物化し、橋本氏のJSTに十兆円ファンドを積み上げて、閣僚や上山氏らも加わるCSTIがまさに巨額の資金を配分しよう、そういう話ではないんですか、大臣。
○末松国務大臣 いや、宮本先生、お答え申し上げますけれども、こういう今、冊子につきましても、初めて拝見をいたしまして、資料で、私自身は全くこのことは承知をいたしてございません。
○宮本(岳)委員 私、ここに、これは国立国会図書館から取り寄せたものですから、国会図書館にはございます、間違いなく。それは、文部科学教育通信というものでありまして、ナンバー四百七十一、二〇一九年十一月十一日ということで、自民党、当時税調会長の甘利明氏が、国立大学は知識産業体の自覚を持て、こういうふうにはっきり言う表題での、ジャーナリストとの対談企画になっております。
この中身を、大臣、改めて確認をして、こういう事実があるのかないのか、明らかにしていただけますか。
○末松国務大臣 先生、去年の一月にJST法が改正になりまして、そして今回、この国際卓越大学法案を出しておるわけなんですけれども、このことにつきましては、全く私、関係のない話でございまして、純真な目でこの国際卓越研究大学の法案を出しておるわけでありまして、先生がどのようにお思いになるのかということにつきましては、私がどうこう申し上げることではございません。
第一、この卓越大学法案につきまして……(宮本(岳)委員「調べなきゃ、それは。調べなきゃ通らない」と呼ぶ)私自身は承知をいたしてございません。
○宮本(岳)委員 いや、大臣が御存じかどうかということを聞いているんじゃないですよ。だから、調べてくれと言っているんですよ。
しかし、大臣は純真な思いでこの法案をとおっしゃるのは分かるけれども、甘利さんはそうじゃないことを述べているから言っているんじゃないですか。もしも、こんなことが事実としてあったとすれば、チーム甘利でやったんだと、橋本さんも上山さんもやったんだとすれば、私の言ったとおりじゃないですか。これは、調査はちゃんとしていただかなければ、こんな法案をこのまま通すわけにいきません。
○末松国務大臣 ちょっと、このことにつきまして、先生、大学ファンドの創設について政治主導で行われたのではないかというお話でございますけれども、政府内におきまして大学ファンドの必要性が本格的に議論をされ始めたのは、令和元年八月の内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の議論であったと承知しています、CSTIですね。この議論の中で、諸外国のトップレベル大学の状況を踏まえ、我が国においても十兆円規模の国家基金を造成して、その運用益を活用することで、大学に対して安定的な研究基盤経費を支給する旨の提案をなされております。
一方、同趣旨の議論は、従前より自民党の知的財産戦略調査会や科学技術・イノベーション戦略調査会、自民党及び公明党の部会等、与党においてなされておりまして、世界に見劣りしない規模のファンドの創設に関する提言をいただいたと承知をいたしております。知的財産戦略調査会は平成三十年五月十五日でございます。
こうした議論を踏まえまして、令和二年の七月に、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇において、世界に伍するファンドの創設が閣議決定文書において明記されまして、昨年の通常国会において成立しました国立研究開発法人、JST法の一部を改正する法律等によりまして、大学ファンドを設置することに至ったものでございます。
長々、失礼をいたしました。
○宮本(岳)委員 駄目ですよ。ちゃんと調査すると、そして、これが事実かどうか明らかにするとおっしゃっていただかなければ、到底、このまま審議を続けるわけにいきません。
○義家委員長 速記を止めてください。
○義家委員長 速記を起こしてください。
末松文部科学大臣。
○末松国務大臣 先生、御理解いただきたいのは、あくまでこれは文部科学省としてこの法案を提出をいたしておるものでございまして、これについては是非御理解をいただきたいと思ってございます。
これは、ちょっと私は承知をいたしてございませんから。(宮本(岳)委員「できないですよ。ちょっと筆頭、お願いします」と呼ぶ)
○義家委員長 速記を止めてください。
○義家委員長 速記を起こしてください。
この資料の件については、この委員会で大臣自身、初めて目にしていることでありまして、後刻、理事会に大臣の対応を説明していただくという形で、どうぞ宮本委員、お引き取りください。
○宮本(岳)委員 是非理事会できちっと、どういうふうにするかは協議の上、進めていただきたいというふうに思います。これは、大臣にとっては、もちろん今初めて聞いたということでありましょうけれども。
最後の資料五を見ていただきたい。
去る四月二十日に出版されたばかりのこの岩波新書、「学問と政治」の序文であります。この本は、芦名定道、小沢隆一、宇野重規、加藤陽子、岡田正則、松宮孝明の六人の先生方が、まさに日本学術会議の会員としての任命を拒否された先生方の最新刊であります。
「はじめに」は、この問題は現在進行形であると切り出した上で、この学術会議任命問題は私たちの社会の向かう先を占う試金石なのであると言い、岸田政権は実質的にまだ何も応えていないと告発をしています。
十兆円もの巨額のファンドによる学術研究への不当な政治介入を直ちにやめることを強く求めて、私の質問を終わります。
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討論
○宮本(岳)委員 冒頭、先ほどのチーム甘利をめぐる疑惑は、徹底解明を求めるものです。
私は、日本共産党を代表して、国際卓越研究大学法案に反対の討論を行います。
本法案は、世界と伍する大学づくりとして、国際卓越研究大学の制度を設け、国による認定の要件、事業計画の認可について定めるものであるとともに、認可を受けた大学には十兆円規模の大学ファンドの運用益による支援を行うものです。
二〇二一年一月の大学ファンドの創設について、我が党は、高等教育機関として安定した運営が求められる大学への支援を、リスクを負う運用益で行うべきではないこと、政府の求める改革に取り組む数校への限定的支援では問題の解決にならないことを理由に反対いたしました。
本法案は、こうしたファンドの運用益を用いて、過去に例のない巨額の支援を僅か数校のトップ大学に行い、これまでにない規模で選択と集中を進めるものとなっています。高等教育に格差と分断を生み出すものであり、賛同できません。
また、本法案は、助成を受ける大学に対して、稼げる大学へと変質を迫り、自主性、自律性、多様性が尊重されるべき大学を、教育、研究の場から、産業イノベーション創出の場へと、大きく変える危険があります。稼げる大学を優先すれば、外部資金の更なる獲得、短期的に成果が見込まれる研究分野への過剰な偏重が進み、さらには、資金獲得の必要性から軍事研究を容認することも懸念されます。
国際卓越研究大学は、経営と教学の分離などのガバナンス改革も要件とされています。本法案により、学内の教職員の意見を排除した経営組織によって大学全体の運営を進め、自主自律に基づく大学運営、大学自治の破壊をこれまでにない規模で進めるもので、断じて容認できません。
今、広範な大学関係者からも、稼げる大学法案に反対との声が広がり、ネット署名は瞬く間に一万三千人に達しようとしています。
今行うべきは、大学の選択と集中政策の失敗を反省し、高等教育全体への公的支援を抜本的に底上げすることであることを申し上げ、反対討論といたします。