奨学金の返済について(動画)
平成二十六年三月十九日(水曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
石川 昭政君 小此木八郎君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
冨岡 勉君 永岡 桂子君
野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 泉 健太君
後藤 斎君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 田沼 隆志君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井出 庸生君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 西川 京子君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君
政府参考人
(復興庁統括官) 伊藤 仁君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 清木 孝悦君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 川上 伸昭君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(文化庁次長) 河村 潤子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 高島 泉君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鈴木 俊彦君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長) 宮川 晃君
―――――――――――――
委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 石川 昭政君
菊田真紀子君 泉 健太君
吉田 泉君 後藤 斎君
三宅 博君 田沼 隆志君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 神山 佐市君
泉 健太君 菊田真紀子君
後藤 斎君 吉田 泉君
田沼 隆志君 三宅 博君
―――――――――――――
三月十八日
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
文部科学行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、去る二月十七日の予算委員会の質問でも、大学生向けの給付制奨学金の実現を求めて、総理からも引き続き検討したいという答弁をいただきました。
長野県は全国で初めて、二〇一四年度から、入学一時金に相当する学生向けの給付型奨学金を創設いたします。上限額は三十万円で、三十人程度に給付し、他の奨学金との併給も可能と報じられております。
まず、学生向け給付制奨学金についての文部科学大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 今般の長野県を初めとする自治体において、経済的な理由により進学等を断念することのないよう給付型奨学金が導入されていることに対しては、積極的に評価し、こうした取り組みが広がることを期待しております。
現在、政府としては、大学生等に対する給付型奨学金については設けられてはおりませんが、成績優秀な大学院生に対する返還免除を実施するほか、平成二十六年度予算案においては、無利子奨学金の貸与人員の増員や、授業料減免等への支援の拡充を図るとともに、延滞金の賦課率の引き下げなど、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実など安心して奨学金の貸与等を受け大学等に進学できる環境を整備することとしております。
昨年四月より、学生等への経済的支援の充実を図るため、効果的な支援のあり方について検討を行っているところでございますが、今後とも、経済的理由により学生等が進学を断念することがないよう、大学生等の給付型奨学金の創設を目指し、大学等奨学金事業の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
○宮本委員 今お話しになった学生への経済的支援の在り方に関する検討会でありますけれども、昨年の四月一日、私は、予算委員会でこの日本学生支援機構の奨学金の問題を取り上げました。私の質問に対して下村文部科学大臣が、「真に困窮されている方に対して適切な対応を学生支援機構としても考える時期に来ているのではないか」、こう答弁をされました。
その質問の三日後の四月四日に今の検討会が立ち上げられて、昨年八月にはこの中間まとめが発表されました。
まず、これも前提を確認するんですけれども、この一連の動きは、少なくとも文部科学大臣も、現状の機構の奨学金制度にはまだまだ改善すべき問題点が存在する、こういう問題意識は共有していただいているというふうに考えてよろしいですね。
○下村国務大臣 これは宮本委員もおっしゃったように、奨学金とは名ばかりの学生ローンだと私は思います。ぜひ本来の奨学金制度にできるだけ早く充実、移管をしていく必要があるというふうに認識しております。
○宮本委員 おっしゃるとおりだと思うんです。
そもそもこの学生向け奨学金というものは、十八歳の無職の学生に数百万円というような大金を担保もとらずに貸し付ける制度なんです。
教育の機会均等に寄与するという目的があるからこそこのような貸し付けが行われているわけでありまして、したがって、ここで問題になるのは、借り入れるときの目的や動機が確かに奨学のためであるかどうか、ここを見きわめて奨学金というものは貸与されているわけですよ。
これは高等教育局長に確認するんですけれども、そもそも奨学を目的ともしないような、浪費のための奨学金の貸与申請があった場合、日本学生支援機構はそんなものは認めていないと思いますけれども、間違いないですね。
○吉田政府参考人 日本学生支援機構によります奨学金は、あくまでも学資の確保ということでございまして、御指摘のような事例ですと、そういうのは入らないと思います。
○宮本委員 そもそも奨学金制度というものは学ぶために必要なものでありますから、学んだ結果、その金を返すことが可能な経済状態になるかどうかについては、あらかじめ確たる保証はありません。したがって、諸外国では、貸し付けでなく給付、つまり返済の必要のない給付型の奨学金が当然のものとなっているわけです。
ところが、我が国では、これを給付せずに貸し付けているところに覆いがたい矛盾が生じてくる原因があるわけです。
つまり、貸し付けるときの機会均等のための奨学金というきれいな言葉と、返済させるときの借りたものはどんな事情があれ返すのが当たり前というこの前の麻生財務大臣のような言い分との間の矛盾なんです。借りるときにはただの借金ではなかったはずなのに、返すときにはただの借金と同じ取り立て方になってしまっている、私はここに問題が生じていると思うんですよ。
では、現場ではどのような事態が起こっているか。現場では、いきなり膨らんだ延滞金を含めて一括請求が来たという相談が多く寄せられております。
平成二十年四月に大学に入学をして、二十四年三月まで月額八万円の有利子奨学金を借りた人の事例でありますけれども、利子は年率一・一七%、卒業の六カ月後、平成二十四年十月から四十四年九月までの二十年間、二百四十回、毎月一万八千四十三円を支払う返還計画でありました。
しかし、本人の手取り収入が十万から十五万だったため、返済ができずにいたところ、平成二十五年八月十九日に、返済期日到来分約十八万円、当月分一万八千円余りに、何と返還期日未到来分元本、利息含めて約三百七十万円、合計三百九十万円余りを支払え、こういう請求がありました。訴状によりますと、合計三百九十万円余りと、平成二十五年八月二十五日以降、完済に至るまで年一〇%の延滞金を払え、こうなっております。
返還日到来分十八万円が払えない者に、三百九十万円を請求して払えるわけがないんですね。これは、一体どういう法的根拠があってこのような無理な請求を行っているか。これも高等教育局長、お願いいたします。
〔委員長退席、義家委員長代理着席〕
○吉田政府参考人 法的な根拠ということになりますと、独立行政法人日本学生支援機構法施行令第五条第四項に、「学資金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、」「機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならない。」という規定がございます。それが根拠ということでございます。
○宮本委員 この施行令五条四項には、二つの要件が定められております。一つは、「支払能力があるにもかかわらず」ということですね。もう一つは、「割賦金の返還を著しく怠ったと認められるとき」、こういうことであります。
そこで聞くんですが、機構は、滞納者につき、施行令五条四項を適用するに当たって支払い能力の有無を確認しておりますか。
○吉田政府参考人 繰り上げ一括返還請求に係ります現在の運用では、機構と連絡がとれない返還者につきましては、支払い能力があるものとみなして、先ほど言いましたような一括の返還請求をしているわけでございます。
本来、支払い能力の有無の確認は、収入の状況などを、返還者側からの情報提供を受けて判断すべきものでございますけれども、そういうことが今なかなかできない、こういった事情がございます。
このため、機構側からの再三の督促にもかかわらず、何の情報提供もない者について、それをそのまま放置すること、これはやはり、返還者からの返還金を次の奨学生への貸与の原資としている奨学金事業の健全性にもかかわることから、返還未済額の全部の返還の請求を行っているところでございます。
○宮本委員 いやいや、その連絡がつくつかないということと支払い能力のあるなしとは何の関係もないんですね。
文科省の担当者は、連絡がつかなければ支払い能力があるかないかもわからない、こう言っておられましたけれども、仮にあるかないかわからないにしても、一体それがなぜ支払い能力があるという判断の、つまり施行令五条四項の発動要件になるのか、その説明になっていないわけですよ。
なぜ連絡がつかないということをもって、「支払能力があるにもかかわらず」というこの五条四項の発動要件にしているのか、お答えいただけますか。
○吉田政府参考人 先ほど申し上げましたように、支払い能力があるかどうかということについては、その返還者側からの情報提供がなければ判断できないわけでございます。
そういった事情がわかりませんので、そのときに、そのまま放置するということではなくて、やはりこれは支払い能力があるものとみなして一括請求の方をさせていただく、こういうこととしています。
○宮本委員 この事例でいいますと、一括請求された三百九十万円に対して年率一〇%の延滞金ということになりますと、年三十九万円の延滞金がこれは乗ってくることになるんです。
月額が一万八千円で、今既に年間二十万弱の支払いが滞っている人に、毎年毎年三十九万円の延滞金を乗せ続ければ、それこそ元金や利子どころかその延滞金すら支払えず、どんどん雪だるま式に債務が膨らんでいくだけだ、こういう事例ですよ。
これはさすがにぐあいが悪いということで、今回延滞金その他について改善がされるようでありますけれども、今後これは改善されるんですか。
○吉田政府参考人 延滞金の賦課率が従来は一〇%でございましたけれども、この平成二十六年四月以降につきましては、これを五%という形に引き下げて適用することとしております。
○宮本委員 こういう延滞になって一括請求を受けている場合、今回、一〇%から五%に引き下げると。あるいは、返済猶予も、この事例などは手取りが十万から十五万だったということですから、間違いなく返還猶予が受けられる年収のはずなんです。一括請求を受けた後でも、いやいや、実は猶予を受けられたんだということがわかった場合に、これを救済するということも聞きましたけれども、このあたりはきちっとやられるわけですか。
○吉田政府参考人 連絡がつかなかった方に連絡がつく状態になりまして、そこで延滞状態が存在するということになりましても、過年度、つまり、過去におきまして返還猶予の事由に該当する事情がある、例えば、経済困難を理由に返還が困難である、こういう方につきましては、独立行政法人日本学生支援機構に市町村等が発行する所得証明書等を提出していただくことによりまして、過去にさかのぼって奨学金の返還期限を猶予するという柔軟な対応をしているところでございます。
また、こうした対応によりまして、証明された期間における延滞金は解消される、こういう仕組みになっております。
○宮本委員 五年から十年に猶予期間を延ばして遡及適用する、その場合には、延滞金についても減額するという今答弁でありましたけれども、しかし、役所の所得証明は大体五年前までが一般的で、それ以前はとれないんじゃないですか。
○吉田政府参考人 御指摘のように、過年度の所得証明書等の発行期間は自治体によって違いがございます。したがいまして、返還猶予制度をさかのぼって適用できない期間が生じる可能性があることは事実でございます。
その場合、所得証明書等で確認できた範囲内で返還猶予制度を遡及適用して適用期間に生じた延滞金を解消したとしても、延滞状態が解消されないために返還猶予制度を適用できなかったというのがこれまでの取り扱いでございましたけれども、この平成二十六年四月からは、このような延滞の状態が残るものに対しましても、返還猶予制度を適用するように運用の見直しを行っているところでございます。
こういったところで、返還が経済的に困難な方に対する負担軽減を図ってまいりたいと思っております。
○宮本委員 一〇%の延滞金、これを五%に引き下げる、こういうことでありますけれども、今既に一〇%で延滞金を請求されている人についても、これは五%で再計算をするということになるんですね。
○吉田政府参考人 これにつきましては、過去に発生をしております延滞金についてはそのままでございまして、この平成二十六年四月以降に発生をする延滞金分について、先ほどのような形で軽減を図るということでございます。
〔義家委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 それはおかしいと思うんですね。一〇%が高過ぎるという認識で五%に引き下げたわけですから、過去の一〇%の延滞金もそれは高過ぎるということであれば、これまでの分についても当然減額すべきだと思います。そもそも、この延滞金というのは私は問題だと思うんですね。五%でも高過ぎますよ。廃止すべきだと思います。
聞きますけれども、日本学生支援機構の延滞金収入はどのようにこの間推移してきたか。平成二十年度から二十四年度まで、年度を追って答えていただく。またあわせて、この延滞金収入は、機構の経理上はどのような費目に計上されておりますか。
○吉田政府参考人 まず、延滞金収入の推移について御説明を申し上げます。
これは、無利子奨学金、有利子奨学金合わせまして、平成二十年度におきましては二十五億八千万円、平成二十一年度におきましては三十億二千万円、平成二十二年度におきましては三十七億一千万円、平成二十三年度においては四十一億二千万円、平成二十四年度においては四十三億二千万円、こういった推移をたどっているところでございます。
この延滞金収入は、日本学生支援機構の雑収入として計上をされておりまして、いわゆる奨学金貸与の原資としては充てられていないということでございます。
○宮本委員 奨学金の原資としては充てられていないと。この延滞金は、四十三億に既に上っております。
議論すると、必ず、奨学金事業の返還金は基本的には次の学生への貸与の原資である、だから返還金の回収は大事だと、さっきもそういう答弁がありましたよね。
それならば、この原資を回収することが非常に大事になっているはずなんですが、この延滞金というものは、幾ら回収しても一円たりとも次の貸付原資には回りません。延滞金よりも元金の回収こそ一番ですね、元金を回収すればそれがまた次の貸与になるわけですから。そういうことになるわけです。ならば、滞納者の返還に当たっても、まず真っ先に元金から充当すべきであって、なぜ延滞金から充当しているのか。
先ほどの三百九十万円一括返還の例でいいますと、仮にあなた方が引き下げる年率五%に下げたとしても、年間約二十万円の延滞金になります。今十八万円が払えず滞納している人から二十万円を取り上げても、延滞金から充当すれば、延滞金ばかりが支払われて元金は一円も減っていかないということになりますね。つまり、次の貸付原資は一円もふえないんです。雑収入ばかりふえていく。
大臣、この制度が次の学生への貸与の原資だから返還金の回収は大切だ、そう言うのであれば、滞納者が納める返還金も、まず何よりも元本に充当して直ちに次の貸付原資にすることこそ本来の精神だと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○吉田政府参考人 まず、延滞金の使途でございますけれども、これは奨学金の原資ということにはなっておりませんけれども、日本学生支援機構が奨学金にかかわるさまざまな事業を展開する必要がございますから、その資金として使われているわけでございます。
それで、今御指摘の返還金の充当順位の問題でございますけれども、日本学生支援機構においては、これは民法四百九十一条におきまして、その規定に準じた形で、学生支援機構の業務方法書において充当順位を決めているところでございます。
文部科学省におきましては、現在、学生への経済的支援の充実に関する検討を行っているところでございます。この充当順位の点も一つの論点として考えられるかと思います。
○宮本委員 これは先ほど前提で議論したとおりですよ。最初はただの借金じゃなかった話から始まっているのに、いつの間にか民法四百九十一条で民間の借金の場合はこの順位だという話に行っちゃうからおかしくなる。だから、やはり建前は、貸付原資を一日も早く回収して次の人に貸すということであれば、本来の制度の趣旨でいえば充当順位も元本から充てるべきだというのは当たり前だ。ぜひ検討会で検討していただきたいというふうに思うんです。
さて、日本育英会から日本学生支援機構、こう名前が変わった二〇〇三年の法改正時に、機関保証というものが導入されました。その後、実は、この奨学金については人的保証から機関保証にどんどん移っておりまして、機関保証がふえ続けております。最新の実績で、機関保証は全奨学金貸与者の何%になっているか、これも局長で結構です、お答えください。
○吉田政府参考人 機関保証を選択している率でございますけれども、平成二十四年度の新規貸与者におけます選択率は四六・七%となっております。
○宮本委員 この日本学生支援機構の奨学金の機関保証というものは、日本国際教育支援協会という公益財団法人が一手に引き受けて行っております。
きょうは資料を配付しましたので、資料をごらんいただきたい。
この資料一の上の図を見ていただきますと、この財団法人は、日本学生支援機構と双子のような法人であります。この支援協会の機関保証事業は日本学生支援機構の学資貸与事業の保証のみでありまして、他の保証事業は一切やっておりません。下の円グラフ、収入、支出というものを見ていただくと、この財団法人の収入、支出の約八割は日本学生支援機構の機関保証事業が占めております。
一枚めくっていただいて、資料二を見ていただきたい。
平成十六年、二〇〇四年に二万八千件余りから始まった保証件数は、年を追ってふえにふえ、二〇一二年には百二十六万件、実に四十四倍に急増しております。この日本国際教育支援協会の機関保証を受けておりますと、返還が滞った際、日本学生支援機構の求めに応じて、元金、利子、そして延滞金まで一括で代位弁済してくれることになっております。
聞きますけれども、支援機構は、奨学金返済の遅延期間がどれだけに達したら代位弁済を請求することになっておりますか。
○吉田政府参考人 この公益財団法人日本国際教育支援協会の規定によりますと、延滞が十二月以上になった返還者につきまして、日本学生支援機構からの請求に基づき、審査の上、代位弁済を履行するとされております。
○宮本委員 ここに私、国際教育支援協会の業務方法書というのを持っておりますけれども、第十一条では、今お話があったように、「履行遅延の期間が一年に達したときは、機構からの請求に基づき、当該保証債務の残額について保証債務を履行するものとする。」第二項では、「前項の代位弁済は、機構から本協会に対する請求があった後、速やかに行うものとする。」一年で、請求されたら速やかに、延滞金まで含めて、さっき言った三百九十万を代位弁済しちゃうわけですよね。こういうことになります。
ところで、そういう形で全額代位弁済が終わった後で、先ほどの例のように、まだ十年の返済猶予期間を使い切っていないじゃないか、もう一度猶予を受けて延滞金は減額してもらいたいということがわかった場合、先ほど新年度から弾力運用すると答弁されたような、猶予期間の遡及適用や延滞金の減額を受けることができるか。局長、いかがですか。
○吉田政府参考人 これは、日本学生支援機構が行う学資の貸与に関する保証に関する業務方法書というのが日本国際支援協会の方では定められておりますけれども、この中ではまだ、今先生御指摘のような、日本学生支援機構の方での制度改正のものは必ずしも反映されていないという状況でございます。
○宮本委員 いやいや、その保証債務が元金、利子、延滞金に至るまで三百九十万と確定して、この協会が一括弁済した、その一括弁済が終わった後で、いやいやそれはちょっと実は違うんだ、猶予が受けられたんだといった場合に、代位弁済の後で事態を変えることができますかと聞いているんです。
○吉田政府参考人 日本国際教育支援協会が行いました代位弁済、これ自体は、その後で返還者の方の事情で返還が困難であるという事情が判明したといたしましても、日本国際支援協会自身が行いました代位弁済を取り消すことはできません。
○宮本委員 確定しちゃうわけですよ、これは。もちろん、確定した後で、その三百九十万円、実は借金がチャラになるわけじゃありません、今度は支援協会から三百九十万円一括返還の請求がされます、本人に対しては。
しかし、支援機構の間には、先ほど、検討会で検討していただいて、一旦一括請求を受けた場合でも後から融通をきかせてちゃんと弾力的に運用しますよと言ってくれているんですが、一括代位弁済がされてしまうと、もはやこれは動かなくなっちゃうんですよ、延滞金まで含めて。
そして、返し方は相談に乗るそうであります。分割返済も相談に乗る。あるいは、経済的に困窮、特別な事情がある場合には、返済猶予というものもこの協会もちゃんと定めているとは聞いておりますよ。しかし、総額についてはもうここで固まってしまうんですね。
あわせて聞きますけれども、では、代位弁済後に協会に対して返済がまた始まった、これがまた延滞した、おくれたという場合に、何%の遅延損害金が上乗せされることになっておりますか。
○吉田政府参考人 これは、日本国際教育支援協会の業務方法書の十二条によりますと、一〇%の遅延損害金の支払いを求めることができるとなっています。
○宮本委員 結局一〇%ですよ、これは。延滞金を五%に引き下げるとか、猶予期間を十年に延ばして弾力的に延滞金の減額をするとか、あたかも返還困難者を救うようなことを言うけれども、今どんどん機関保証がふえている。四六%ですから、もう半分近く機関保証になっている。一年たったら代位弁済を求め、保証機関である支援協会に債務が移ってしまえば、もう支援機構の側は延滞金まで含めて一〇〇%回収、こうなるんですよ。
今、回収率八十数%というふうに支援機構は言っていますけれども、その中には代位弁済を受けた数もカウントされておりますね。
○吉田政府参考人 その方もカウントされております。
○宮本委員 大臣、冒頭、問題意識をお持ちだ、共有していただいている、だから検討会が立ち上がった、八月まで議論してきて中間まとめが出た、それを反映した予算も組んだ、こういうふうにお話しになりました。
しかし、幾ら検討しても、まさにこういう実態、実際は、代位弁済という制度があって、そっちへ移っちゃえば支援機構の方はもうおしまい、一〇〇%回収済み、こうカウントされている。ところが、実際、当人との関係では、代位弁済後も一括で、しかも、そうなっちゃうとこの数字は動かない、三百九十万の場合はもう三百九十万が確定しちゃう。そして、それがおくれたら、支援機構の本体の方は五%に引き下げたと言うけれども、支援協会の方の遅延損害金は相も変わらず一〇%でまた積み上がっていく。こういう制度になってしまっている。
私は、こういう実態をリアルに先生方にわかっていただかなくては、検討会は救済策は立てられないと思うんです。私は、検討会の場に、現場の実務にかかわっている、携わっている弁護士さん、司法書士さんなどに加わっていただいて、こういうリアルな実態をどんどん出して先生方に議論していただくことがどうしても必要だと思うんですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、返還困難者に対する対応については、より充実する方向で今進めているところでございます。
その中で、日本国際教育支援協会における課題については、今、宮本委員からお話がありました。
これは、今の御提言を検討させていただきたいと思いますが、まずは景気をよくし、そして、借りたものは返さなきゃいけないという、やはりモラルハザードをさらに増長させるようなことがあってはならないというふうに思いますし、その上で、真に困窮している方々に対する適切な対応については考えたいと思います。
○宮本委員 麻生さんともそういうやりとりになったんですけれども、諸外国では、だからこそ貸していないんですよ。借りたものは返さなきゃならないと言うけれども、日本が貸し付けているからそういうことになるのであって、やはり給付で本来やるべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。