名称変更 資料開示を
統一協会問題 宮本岳志氏が要求
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は9日の衆院文部科学委員会で、永岡桂子文科相が存在を明らかにしている、2015年の統一協会(世界平和統一家庭連合)の名称変更に関わる資料の開示を求めました。
宮本氏は、下村博文文科相(当時)が統一協会の名称変更決定過程に関与した疑いについて、先月26日の同委員会で永岡文科相が、名称変更に関わる資料の存在を認めながら「行政の内部の意思形成過程に関する文書」を理由に開示を拒否していることに言及。宮本氏は、統一協会の支援を受けたことが明らかになった藤井裕久富山市長の「世界平和統一家庭連合が旧統一教会のことだとは知らず、不勉強だった」(毎日新聞、11月8日付)との文言を紹介し、「この名称変更は大いに人をだまし、隠れみのとしての効果があった。行政内部の意思形成過程に関わるからこそ開示すべきだ」と迫り、情報公開法に基づく裁量的開示を大臣に求めました。
宮内委員長参加認める
また、委員会に先立つ文科委員会理事会の場で宮本氏は、宮内秀樹委員長と統一協会の関係について指摘しました。18年9月、宮内氏は駐福岡韓国総領事館で統一協会の朴鍾泌氏と記念撮影を行った当時、朴氏が統一協会関係者との認識があったと発言。一方、19年4月に朴氏が地区長を務める福岡県宗像市で統一協会が開催した「ファミリーパワーフェスティバル」に参加したことについて宮内氏は、「関連団体と認識していた」とし、自民党本部に修正の追加報告をしていたことに触れ、「いったいどの団体と認識していたのか」とただしました。
これに宮内氏が答えられなかったことを明らかにし、宮本氏は「責任を持って理事会で答えるべきだ」と委員会で指摘しました。
宗教を所管する衆院文部科学委員長の宮内氏と統一協会の関係は、本紙が特報したものです。本紙10月28日付では、福岡県宗像市で統一協会が19年に開いた青年向け集会に宮内氏が参加していたことを指摘。10月31日付では、統一協会日本第5地区長の朴鍾泌氏、駐福岡韓国総領事(当時)と一緒に記念写真を撮っていたことを明らかにしました。いずれについても宮内氏は本紙の質問に回答していませんでした。
(しんぶん赤旗 2022年11月11日)
動画 https://youtu.be/eKpoo4RAOSM
配布資料 20221109文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今朝の理事会で、宮内委員長は、二〇一八年九月十四日、駐福岡総領事館の晩さん会で統一協会日本第五地区長、これは九州地区の責任者である朴鍾泌氏と記念撮影を行ったこと、委員長はこの朴鍾泌氏が統一協会関係者であることを認識していたと語られました。
ところが、その半年後の二〇一九年四月、同じ統一協会日本第五地区が開催したファミリーパワーフェスティバルで、統一協会本体の大きなロゴの入った演壇に立ち、挨拶をされました。半年前に統一協会であると認識していたその日本第五地区のイベントで挨拶をしておきながら、関連団体の会合と認識していたと言うけれども、私が、一体どの団体だと認識していたのかと尋ねたら、絶句してお答えになりませんでした。
委員長、追って理事会の場で責任を持ってお答えいただきたい。
○宮内委員長 理事会の場でお答えをしたとおりでございます。
予定の御質問を行っていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 既に朝から議論になっておりますけれども、前回の質疑で理事会に提出を求めていたいわゆる下村ペーパー、二〇一五年、統一協会が名称変更の申請をした際、申請を受理する前と、名称変更を認証する前に、当時の下村文部科学大臣に説明した際のレク資料が提出されておりません。
資料一を見ていただきたい。前回の質疑の会議録であります。
大臣は、開示できない理由として、法人の非公知の事実に関する情報を含むこと、かつ、行政内部の意思形成過程に関する文書であることを挙げられました。名称変更に下村大臣や政権の意向が影響を与えたのではないか。今まさにその意思形成過程こそが問われているわけであります。
先ほど牧委員からもあったように、情報公開法第七条には、不開示情報であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができるという裁量的開示が定められております。
大臣、裁量的開示を行うべきではありませんか。
○永岡国務大臣 お答えいたします。
行政機関の保有いたします情報の公開に関する法律では、行政機関の長は、不開示情報が記録されている行政文書であっても、特に必要があると認めるときは、請求した者に対しまして、所定の手続を踏んだ上で当該文書を開示することができるとする規定がございます。
○宮本(岳)委員 開示していただきたいんですね。
そこで、資料二を見ていただきたい。昨日付の毎日です。
傍線一、初当選した昨年四月の富山市長選で統一協会の支援を受けたことが明らかになった藤井裕久富山市長は、「世界平和統一家庭連合が旧統一教会のことだとは知らず、不勉強だった」などと釈明しておりますけれども、それは、この名称変更は大いに人をだます効果があったと身をもって証言したようなものであります。
この名称変更が行政内部でどのような経緯をたどったのか、本当に政治の力は一切関係ないと言えるのかどうか、これは非常に大事なことでありまして、それを明らかにするためには、一つは、行政内部の意思形成過程に関する文書であるとたった今大臣がお答えになった下村ペーパーを開示していただくか、前回私が求めたように、下村博文氏御本人に当委員会で答えていただくか、あるいは、そのペーパーを使って下村氏に説明した当時の文化庁次長有松育子氏に参考人として当委員会でお答えいただくか、その三つのうち、どれかしかありません。
委員長、理事会で御協議いただきたい。
○宮内委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○宮本(岳)委員 昨日、宗教法人制度の運用等に関する調査研究協力者会議、いわゆる協力者会議の第二回目が開かれました。そこには、平成七年、一九九五年法改正時の国会議事録の抜粋や、宗教法人審議会の報告など、一九九五年の宗教法人法改正時の議論にも遡った議論がされております。
それならば、国会論戦だけでなく、法案について意見を聞いたという宗教法人審議会の議事録、百二十七回から百三十一回を公開すべきではないかと聞いたら、議事録は公開を前提としていないから公開しないとのことでありました。
そこで、改めて確認したい。
昨日集まっていただいたような協力者会議の委員の方々、あるいは今後開かれるであろう宗教法人審議会の委員の方々が、審議のために先ほどの法改正時の宗教法人審議会の議事録を確認したいとおっしゃった場合には、委員の先生方にはさすがに見ていただくんですね。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律では、不開示情報に当たる情報として、国の機関の内部における審議、検討、協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものとしてございます。
先生さっき御案内のとおり、公開することを申し合わせていない審議会の議事内容につきまして、この不開示事由に該当すると考えることから、仮に委員の先生方から情報公開の請求がございましても、不開示の取扱いになるものと考えてございます。
○宮本(岳)委員 耳を疑う答弁ですね。聞き間違いかと思いました。
我々国会議員は、過去の議事録を確認するのは当然であります。現在の宗教法人審議会の委員には過去の議事録を見せないと。本当なんですか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
当時の宗教法人審議会の委員の先生方は、この審議会の議事内容が公開するということが前提ではないということで御審議を賜っていたところでございます。
したがいまして、先ほど来申し上げましたように、情報公開法の不開示事由に該当するというふうに考えられることから、仮に情報公開請求があったとしても、不開示の取扱いとさせていただくことになろうかと存じます。
○宮本(岳)委員 開示するということは申し合わされていなかった。ならば、非開示にするということを申し合わせたんですか。
○合田政府参考人 御案内のとおり、第百二十七回から百三十一回までの宗教法人審議会につきましては、この次の会議から開示をするということで決定をして取り扱ってございますが、それまでは開示をするという決定はいたしていないということでございます。
○宮本(岳)委員 開示をすると決めていなくても、非開示にするとも決めていないんですよ。当然これは開示すべきだと思うんですね。
議事録は公開を前提としていないと言うけれども、資料三を見ていただきたい。一九九五年十一月七日、宗教法人法改正案を審議した衆議院宗教法人に関する特別委員会の会議録であります。
傍線部を見ますと、一九九五年十一月二日の理事会に、第百二十七回から第百三十一回の宗教法人審議会及び特別委員会の審議概要を提出したと答弁をしております。国会の議事録にはっきり明記されているのですから、ないなどということは許されません。
私は、この審議概要の提出を求めましたが、文化庁次長、見つかりましたか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、平成七年の衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に対しまして、第百二十七回から第百三十一回までの宗教法人審議会及びその下に設置されました特別委員会の審議の概要資料を政府から提出したことを示す議事録があるのは御指摘のとおりでございます。
当該資料におきましては、私ども事務方において鋭意探してございますが、少なくとも現時点では確認されていないことから、現在、お示しすることは困難でございます。資料の探索を継続したいと考えてございます。
○宮本(岳)委員 公文書の管理、どうなっているんですか。
大臣、見つかり次第提出していただけますね。
○永岡国務大臣 御指摘の、宗教法人の制度につきましての審議を行っていた頃を含めまして、それ以前の回の公開を前提とした会議になっておらず、委員においてもその合意がなされていないことから、会議の議事録等を公開することは困難であると考えております。(宮本(岳)委員「いや、違うよ。全然聞いていないじゃないか。ちょっと委員長、止めてください。趣旨が通っていない。ちょっと止めてください。今のはおかしいんだ。時間がないんです」と呼ぶ)
○宮内委員長 永岡文部科学大臣、再度御答弁をお願いいたします。
○永岡国務大臣 同じお答えでございます。(宮本(岳)委員「何で。駄目だよ、止めなきゃ駄目ですよ。時計を止めてください。駄目ですよ」と呼ぶ)
○宮内委員長 じゃ、時計を止めてください。
〔速記中止〕
○宮内委員長 速記を起こしてください。
永岡文部科学大臣。
○永岡国務大臣 鋭意探してまいります。(発言する者あり)見つかった場合には、公開等、理事会で御判断いただければと思います。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
鋭意探してございます。見つかりましたら、これは衆議院の宗教法人に関する特別委員会の理事会に御提出したものでございますので、御提出を申し上げます。
○宮本(岳)委員 当然です。
それで、昨日、第二回会議が開かれました。宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使についての基準案が示されました。法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたことについて疑いがある場合、報告徴収、質問権の行使ができるといいます。疑いとは、風評等によらず、客観的な資料、根拠に基づいて判断することが相当として三つの場合を挙げて、客観的な資料か根拠が認められなければならないとしております。
そこで、阿部参考人にお聞きいたします。
疑いといっても、そこまで厳密に客観的な資料や根拠が必要であるならば、七十八条の二に定めた報告徴収、質問権を行使するまでもなく、いきなり宗教法人法第八十一条の解散命令請求を行うべきだと私は考えますが、阿部参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○阿部参考人 先ほど申し上げましたように、全国弁連では、質問権を行使せず、解散請求を端的にしてほしいということで、従前から求めております。その理由としましては、悪質性、継続性、組織性というものも、それは実態としては統一教会は満たしている、そういう判断になります。
ただ、政府が現在、質問権を行使するということで手続を進めている以上は、それを速やかにやっていただきたいということです。
その理由としましては、若干補充をしますと、まず、時間がかかればかかるほど被害が拡大するということです。被害救済が遅れるということです。
二点目としましては、統一教会側に証拠隠滅のチャンスを与えるということです。
過去に統一教会は、証拠隠滅というものを現に行っております。二〇〇九年の新世事件という刑事事件があったんですけれども、そのときは、渋谷の教会に捜索が入りまして、その当時、教団本部から信者に指示があって、関連する書類を、不利な書類をシュレッダーにかけたり、土に埋めたり、あとは、一晩中かけてそういう廃棄作業を行ったり、そういう作業を本部が指示して信者に行わせたということも元信者の方の供述で分かっておりますので、今回の質問権行使に関しましても、時間をかければそういうチャンスを与えるということになります。
もう一点としましては、財産隠匿のチャンスも与えるということです。
なので、重ねてにはなりますけれども、できるだけ速やかに解散請求を行っていただきたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 まさにそのとおりだというふうに思います。
確認しますが、これは報告徴収、質問権が終わってからでないとできないというんじゃなくて、途中でも八十一条一項に基づく解散命令の請求を行うことは可能ですね。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
報告徴収、質問の手続の途中であっても、解散命令請求に足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対して解散命令を請求することは可能であり、検討してまいります。
○宮本(岳)委員 次に、資料四を見ていただきたい。統一協会のダミー団体、世界平和統一家庭連合の友好団体が昨年の衆議院選で自民党候補者に署名を求めたという推薦確認書の画像であります。赤い傍線の三項目めには、「「LGBT」問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う」という項目があります。
今日は井出副大臣に来ていただいておりますけれども、あなたに示された推薦確認書にもこの項目はありましたね。
○井出副大臣 まず、過去に私が関連団体と接点がございましたことは、何度も申し上げておりますが、反省をし、被害に向き合ってまいりたいと思います。
その上で、御質問のことなんですが、推薦確認書を私に示されたときに、いや、それはちょっとと言って、すぐにお断りをしてしまったので、中身、詳細を見ておりません。ですので、具体的にこれがあったかと言われても、ちょっと今お答えできる状況ではございません。
○宮本(岳)委員 もう一度、資料二の、昨日の毎日に戻っていただきたい。
赤い傍線二、先ほどの藤井富山市長は、「教団には男性は男性、女性は女性の役割を果たすという教義があり、同性パートナーシップ制度や性教育に関する政策に影響を及ぼしたい狙いがあったのかもしれない。」と語っておられます。
続けて、傍線三、「国政では、教団側が二一年衆院選で複数の自民党候補者に政策への賛同を求める「推薦確認書」を提示し、「同性婚に関する制度化に慎重であるべきだ」などの内容が含まれていたことが発覚。」としております。
では、彼らはなぜこのような強烈な危機感を持って政界工作に出たのか。
資料五を見ていただきたい。それは、昨年三月十七日に札幌地裁において、同性婚を認めないのは、合理的根拠を欠く差別的取扱いに当たり、憲法十四条一項に違反すると認めるのが相当であるという判決が出されたからです。ここに、私、その判決も持ってきております。これは画期的な判決だと思います。
文部科学省は、二〇一五年四月三十日、初中局児童生徒課長通知、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」や、この教職員向けのリーフでも、「悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる「性的マイノリティ」とされる児童生徒全般に共通するものであることを明らかにしたところです。」と書いてあります。
そこで、大臣に確認いたしますが、文部科学省は、性同一性障害、つまり、トランスとその他の性的マイノリティーの間に差別はなく、LGBT全てに対してきめ細かな対応が必要だという立場だと思うんですが、間違いないですね。
○永岡国務大臣 宮本委員にお答えいたします。
文部科学省といたしましては、児童生徒の悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる性的マイノリティーとされる児童生徒全般に共通するものと考えております。
これまでも、性的マイノリティーとされる児童生徒への相談体制の充実等につきまして、教職員の理解を促すためのリーフレットの作成、周知するなど、必要な支援等が学校でなされるよう努めてまいりました。
加えまして、生徒指導の基本書でございます生徒指導提要の改訂案におきましては、性的マイノリティーとされる児童生徒への学校の対応につきまして、日頃から児童生徒が相談しやすい環境を整えるとともに……(宮本(岳)委員「分かりました」と呼ぶ)分かりましたか。ありがとうございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、差別していないことを確認したかっただけなんです。していないですよね。
ところが、資料六を見ていただきたい。統一協会と一体の国際勝共連合の機関紙である思想新聞、昨年四月一日号です。
三月十七日に判決が出ると、直ちに、「司法の暴走」などと言い、挙げ句の果てには「文化共産主義」などという悪罵を投げつけております。
しかし、これが共産主義なら、文部科学省も文化共産主義、超党派LGBT議連も、馳浩石川県知事や自民党の稲田朋美衆議院議員も共産主義者ということになってしまいます。
文部科学大臣、文部科学省は文化共産主義なんですか。
○永岡国務大臣 そういうことはございません。
○宮本(岳)委員 荒唐無稽な議論ですね。しかし、昨年、実際にこの荒唐無稽な議論が政治を大きく後退させたから問題なんです。
最後に、資料七を見てください。昨年六月一日の中日新聞です。
私は、超党派議員でつくるLGBT議連のメンバーだからよく存じ上げております。昨年、せっかく与野党実務者で合意したLGBT理解増進法案が、自民党の党内手続の段階になって頓挫をいたしました。
もう読み上げませんが、傍線部を見ていただけば、馳浩衆議院議員や、あるいは稲田朋美特命委員長が、まさに、自民党内の手続、三役預かりになって、そのまま止まってしまったということになっております。
そして、このような動きの後、昨年の総選挙に向けて自民党などの各議員に示されたのが例の推薦確認書なんですよ。
大臣、これは、海外に本拠を置く統一協会、勝共連合が、自民党議員と政策協定を取り交わし、選挙での支援と引換えに、超党派議連で自民党も含めて合意したLGBT理解増進法さえ葬り去ったとすれば、実に重大な問題だと思いますが、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わります。
○宮内委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
○永岡国務大臣 あと少しでLGBTの理解増進法、合意成るかと思いましたが、それが果たせなかったというのは、今に思いましてもちょっと残念な気はしております。
○宮本(岳)委員 終わります。