総務相の資格はない
公選法違反疑惑 宮本岳志氏が追及
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は17日の衆院総務委員会で、寺田稔総務相が支出しなければならない選挙運動費用を「寺田稔・竹原後援会」が支出していた公職選挙法違反の疑惑を追及しました。
同疑惑について、寺田総務相は16日の参院倫理選挙特別委員会で「支払先の口座番号を把握している竹原後援会がその口座を用いて取り次いだ。財源は私の自己資金」と述べ、竹原後援会の事務担当者にあらかじめ自身の資金を渡していたと答弁しています。
宮本氏は「選挙運動費用を後援会の名で払えば違法だ。後から理屈を考えているとしか思えない」と主張。竹原後援会をめぐる政治資金疑惑に関し、寺田氏が「別団体で収支報告をチェックする立場にない」などの弁明を繰り返しながら、今度は「迅速な支払いが行える」からとの理由で竹原後援会経由で選挙費用を支払ったなどと答弁している矛盾を突き、「竹原後援会は大臣の管理下にあるのか」とただしました。
寺田総務相は「取り次ぎを行ったことと竹原後援会との関係には影響はない」などと開き直りました。宮本氏は、後援会の事務担当者に支払いを承諾した文書の提出を要求。寺田総務相は「OKサインが出れば提出する」と答えました。
宮本氏は、寺田総務相が昨年の衆院選で地方議員らに違法に報酬を支払った疑惑も追及。政治資金規正法、公選法の所管大臣でありながら、数々の疑惑に苦しい言い逃れを重ねる寺田氏に「総務相を務める資格はない」と辞任を迫りました。
(しんぶん赤旗 2022年11月18日)
NHKコンサル料急増
宮本岳志氏 情報公開求める
衆院委
日本共産党の宮本岳志議員は17日の衆院総務委員会で、NHKの「コンサルティング」名目の契約総額が、2021年度に前年度比2・6倍の約35億円に急増したと「毎日」(11日付)が報じた問題をめぐり、前田晃伸会長に対し「公共放送としての自覚を取り戻し、情報の公開や提供を」と強く求めました。
「コンサル」名目の契約のうち、「随意契約」が11億円弱、「企画競争」が23・5億円弱。35億円のうち30億円余が野村総合研究所など大手経営コンサル5社に集中しています。宮本氏は、競争入札でない形で巨額の受信料が一部のコンサル会社に流れているとして、認識をただしました。前田会長は「コンサル料は30億円前後で推移しており、急増していない」との考えを表明しつつ、2021年度は43億円に上っていたと明らかにしました。
前田会長は10日の定例会見で「NHKの事業規模7000億円弱で、うちコンサル料は30億とか40億円とか」と述べています。宮本氏は「額が少ないからたいしたことはない、という考えなのか」と追及。前田会長は「金額の多寡ではなく、適正かどうかを判断すべきだ」と答えました。
宮本氏は「国民・視聴者からの信頼で成り立つNHKの性質を踏まえれば、NHKの情報公開や提供の責務は民間企業に比べても重たい」と情報開示を要求。前田会長は、開示自体は必要としつつ「開示の仕方を工夫する必要がある」と述べました。
(しんぶん赤旗 2022年11月18日)
動画 https://youtu.be/ky_wktKLqZc
配布資料 20221117総務委員会配付資料(委員会配布したもの)
配布が認められなかった資料 20221117総務委員会配付資料(配布拒否分)
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、寺田大臣にお伺いいたします。
週刊文春十一月二十四日付が、大臣の昨年の総選挙での選挙運動費用収支報告書の問題を報じております。今日は資料一として配付資料を準備いたしましたが、与党の反対で配付に至りませんでした。文春は、大臣自身が支出しなければならないはずの選挙資金のうち、合計で百六万円、九枚の振り込み明細が寺田稔竹原後援会名であった事実を示して、これは実際には竹原後援会が支出していた選挙費用を寺田氏が支出した形にする虚偽報告ではないかと指摘をいたしました。
昨日、参議院で野党議員に問われた寺田大臣は、これは取次行為を行っただけ、つまり口座を借りただけで、違法行為ではないと繰り返し、寺田大臣の任命した出納責任者から竹原後援会の事務担当者に対し支払い承諾をした文書が作成され、保管されている旨の答弁がありました。そして、承諾書提出の要求に対しては、弁護士の確認だけ取らせてくれとのことでした。
弁護士の確認は取れましたか。当委員会にも提出していただけますね。
○寺田国務大臣 委員御指摘の昨日の振り込み明細に係る支出については、既に答弁申し上げておりますとおり、支払い先の口座番号を把握している竹原後援会がその口座を用いて取り次いだものでございまして、その原資は私個人の自己資金であります。したがって、選挙収支報告には私の自己資金からの支出として計上しており、竹原後援会からの支出としては計上しておりません。
現在まだ確認中でございますので、確認が取れるまでお待ちをいただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 取れれば出していただけますね。
○寺田国務大臣 オーケーサインが出れば提出をさせていただく準備を、ただ、昨日も申し上げたとおり、個人名のところは個人情報で伏せることはあり得るかと思います。
○宮本(岳)委員 選挙運動費用を竹原後援会のお金で支払えば違法となる、それは先ほどおっしゃったとおりです。そのため、寺田大臣の資金をあらかじめ選挙用資金として寺田稔竹原後援会の事務担当者に渡していたという苦しい説明をしているわけですね。それを聞いておりますと、出てくる事実に合わせて後から理屈を考えているとしか思えないと思います。
そもそも大臣は、当初は、寺田稔竹原後援会について、別団体で、収支報告をチェックする立場にない、こういう答弁を繰り返してこられました。その竹原後援会の領収書の中に寺田稔名のものがあっても、それも違法ではないと言い逃れ、あたかも大臣の管理下にない別団体であるかのような答弁に終始をしてきたわけです。しかし、今度は、選挙費用として、そのお店を使った場合、迅速な支払いが行えるからという理由で竹原後援会経由で支払ったなどと答弁しております。
大臣、改めて確認しますが、この竹原後援会というものは大臣の管理下にあるのかないのか、どちらなんですか。
○寺田国務大臣 昨日も答弁させていただいたとおりでございまして、この竹原後援会というのはいわゆる国会議員関係政治団体でありまして、設立のときに私の方から同意を与えているものでございます。したがって、私の管理下にある団体、すなわち上下関係にあるものではございませんで、一個の独立をした政治活動の自由を有する政治団体でございます。
今回、支払いについて取次行為を行ったことと、私と竹原後援会との関係については、何ら影響するものではないと認識をしております。
○宮本(岳)委員 にもかかわらず、あらかじめ自分の資金を渡しておいて、そしてその口座から支払わせたということを言っているから、これはなかなか説明を納得しにくいなという話なんですね。
先ほど奥野総一郎議員も触れられましたけれども、選挙運動員には報酬を払ってはなりません。
資料二を見ていただきたい。
大臣の地元、広島県呉市の選挙管理委員会作成の選挙の豆知識というものであります。報酬は選挙運動員には原則として支給できないと明記されております。
さっきは、別の日だったという言い逃れをされておりましたけれども、同じ日だった事実が出てきたら辞めるか、こう問われて、仮定の質問には答えないと言うばかりで、責任を取るとはおっしゃいませんでした。
これは、大臣、どんなに新たな事実が出てきても、また新たな言い逃れを考えるだけで、決して責任は取らない、辞めない、こういうことですか。
○寺田国務大臣 御指摘の労務者報酬については、先ほども答弁したとおり、必要な調べはきちんとさせていただき、報告をさせていただきます。
もちろん、政治家としての出処進退でございますから、そこは、私自身が出処進退は判断をさせていただくべきものでございます。
○宮本(岳)委員 大臣、あなたは政治資金規正法あるいは公職選挙法の所管大臣でありながら、この間、繰り返し政治資金や選挙運動費用の問題を指摘されて、そのたびに後づけの苦しい言い逃れを重ねてきたと言わざるを得ません。もはやあなたに総務大臣を務める資格はないことは明らかであります。そのことを指摘しつつ、今日はNHK決算でありますから、決算の審議に入りたいと思います。
資料三は毎日新聞十一月十一日付の記事であります。「支出拡大 NHK甘いチェック」との見出しで、NHKでコンサルティング名目の契約総額が急増している実態を報じております。傍線部、「NHKの契約に関する公表情報に基づく毎日新聞の集計では、一九年度のコンサル名目の契約額は約九億六千万円だったが、前田氏が会長就任後の二〇年度は約十三億六千万円、二一年度は約三十四億九千万円と増加の一途をたどっている。」と報じられております。
資料四を見ていただきたい。NHKのホームページの契約情報の公表の二〇二一年度で、役務等の契約について、コンサルティング名目の契約を、四の一が随意契約、四の二が企画競争等に分けて、私の事務所で抜粋、集計したものであります。随意契約で十一億円弱、企画競争で二十三億五千万円弱。競争入札でないというこの二つを足し合わせると三十四億五千万円となり、確かに報道どおり約三十五億、非常に大きな額なんですね。
前田会長、この指摘をどう受け止めておられますか。
○前田参考人 お答え申し上げます。
コンサルティング業務など、百万円を超える役務提供の契約情報につきまして、NHKのホームページにおいて公開をいたしております。
コンサル関連といいましても、目的、内容は様々でございます。一件一件、必要性に基づいて契約しているものでございまして、コンサルというくくりで常時総額を把握をしているわけではございませんが、主要六社との契約額の総額は、二〇一八年、二〇一九年度はいずれも二十九億円弱、二〇二〇年度は三十一億円、二〇二一年度は四十三億円となっております。二〇二〇年度までぐらいは約三十億円前後で推移しておりまして、直近で増えておりますが、年々急増しているという、そういう実態ではございません。
コンサルティング業務といいましても、目的、内容は様々で、一件一件、必要性に基づいて契約をしておりまして、金額だけで是非を議論するというのは妥当でないと考えております。
また、こうした契約状況につきまして、会計検査院の検査を受けておりますが、指摘や意見をいただいたことはございません。
○宮本(岳)委員 その中身をNHK自らが、今私が足し合わせた額をおっしゃいましたけれども、大変膨大な作業なんです。やってみて、うちの事務所を挙げてやりましたけれども、そう簡単じゃないんですね。これは、自らちゃんと、これを足したらこういうことになる、今おっしゃった額をディスクローズしていただきたいんですね。私は今、競争入札でないものということで、企画競争を随契と同じように足し合わせました。
国の調達における扱いについてお尋ねしたいんです。これは会計検査院、今日来ていただいていますね。
企画競争については、保坂展人議員の二〇〇九年二月十三日の質問主意書に対する政府答弁において、「随意契約の中には、企画競争によるものがあるが、これは、複数の者に企画書等の提出を求め、その内容について審査を行うことにより、契約の相手方を決定するものである。」との見解が示されております。
この政府答弁によれば、国の会計における企画競争は会計法に規定する随意契約に該当するものとされているようでありますが、会計検査院、間違いないですね。
○宮川会計検査院当局者 お答えいたします。
国の調達における企画競争につきましては、会計検査院といたしましても、会計法に規定する随意契約に該当するものと認識しております。
○宮本(岳)委員 ですから、その総額が今述べたように増えている。前から多かったと言うんだったらそれも全部出してもらいたいんですが、少なくとも、二〇二一年四十三億、こういう額になってきているわけですね。
それで、コンサルへの過度の依存を指摘するのは毎日だけではありません。文芸春秋十二月号も、NHKからコンサルへ、疑惑の受信料四十九億円、余りに高額だとNHK幹部も絶句したとの記事を掲載しております。文芸春秋の記事を読ませていただきましたが、経営委員会の中でコンサル費が高過ぎると問題になったというふうに出てくるんですね。
今日はNHKの経営委員長にも来ていただいておりますが、経営委員会の中でコンサル費が高過ぎるという議論がなされましたか、森下さん。
○森下参考人 お答えいたします。
個別の案件につきましては、執行部が責任を持ってやる案件でありますので、経営委員会としては扱っておりません。
以上、お答えしました。
○宮本(岳)委員 そういう議論はされたんですか、されなかったんですか。
○森下参考人 お答えいたします。
個別の案件は、私どもに相談はありませんので、議論をしておりません。
○宮本(岳)委員 何かまともに答えていただけないんですが。
資料五を見ていただきたい。
これは、昨年六月九日に開催されたNHKの第八十四回入札契約委員会の議事概要。主な審議内容及び点検結果の二つ目に傍線を引いておきました。複数のコンサルティング業務委託契約について、外部委託の必要性やメリット、人材育成、成果等についてどのような検証を行っているか説明を求められております。
森下さん、これは事実ですね。どのように説明したんですか。森下さんでは分からないのかな。
○森下参考人 お答えいたしますが、ちょっと今、質問の趣旨がよく分からなかったんですが。
○宮本(岳)委員 昨年の六月九日に開催されたNHKの第八十四回入札契約委員会の議事概要、これを読みますと、複数のコンサルティング業務委託契約について、外部委託の必要性やメリット、人材育成、成果等についてどのような検証を行っているか説明を求められた、こういう記述があるんですが、これは事実ですね、どう説明したんですかと聞いております。
○森下参考人 お答えいたします。
私ども経営委員会では、決算、あるいは中間決算、あるいは事業報告等で管理をしておりますが、同時に、今御質問ありましたような場でも、説明は、全体としては受けました。
以上、お答えしました。
○宮本(岳)委員 ちょっと聞き取りにくかったんですが。
説明はしたか、していないか、どっちですか。
○森下参考人 お答えいたします。
NHKと関連団体の取引の公表に際しましては、NHKと外部の契約の状況について定期的に報告を受けて内容を確認している、そういう趣旨でございます。個別の案件については対応しておりません。
以上、お答えしました。
○宮本(岳)委員 毎日では、二一年度の契約額のうち、約八七%に当たる約三十億四千万円が、デロイトトーマツコンサルティングや野村総合研究所など、大手経営コンサル五社に集中と書かれております。私の事務所でも先ほどの二一年度のコンサル契約についてまとめてみたわけでありますが、とにかく膨大な数であります。
資料六を見ていただきたい。
前田会長は、十一月十日の会見で、記者から、コンサル料について特に問題がないということであれば、きちんとした数字を示してもらえないかと、さっき、数字、合計額だけ出ましたけれども、と問われて、NHKの企業規模は七千億円弱で、そのうちコンサル料は三十億円とか四十億円とかそういう指摘ですが、アップダウンがありますので、それだけを取って正しいとか正しくないとかいう議論はやめた方がいいなどと語られました。
前田会長は、七千億円の事業規模に比べて、コンサル料の三十億円、四十億円は額が少ないから大したことはないという考え方ですか、会長。
○前田参考人 お答え申し上げます。
金額に対して、多いとか少ないとか、そういう議論はやめた方がいいといったことでございます。適正かどうかということを判断することが必要だと思います。
○宮本(岳)委員 適正かどうかを明らかにしていただきたいという声が、多分メディアから出ているんだと思うんですね。
それに続けて会長は、私は銀行でずっと企業内容の開示をやってきたが、そういう開示の仕方はしたことがないし、求められたこともないとまで語られていますね、会見でね。
私は、これは、民間でそうであったとしても、NHKの会長としての御発言とすればいかがなものかと言わざるを得ないんですね。国民・視聴者からの受信料で賄われ、国民・視聴者からの信頼で成り立つNHKの性質を踏まえれば、一般的に、NHKは、その業務について、国民・視聴者に対して十分に情報を公開し、情報を提供すべきだと考えます。また、そういったNHKの情報の公開や提供の責務は民間企業のそれと比べても当然重たいと考えるんですけれども、総務省情報流通行政局長、いかがですか。
○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
NHKの運営は、国民・視聴者の皆様に負担いただく受信料によって支えられております。
このような受信料制度の性質に鑑みますと、一般論として申し上げれば、NHKにおいて、業務の透明性を高め、国民・視聴者の理解を高めることは重要というふうに考えております。
こうした国民・視聴者から十分御理解をいただけるよう、NHKにおかれましては、情報の公開、提供に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 放送法の第八十四条の二第一項は、協会やその関連法人に関する情報の提供を義務づけるとともに、第二項において、情報の公開に関する施策の充実に努める努力義務を規定しておりますね、局長。
○小笠原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点につきまして、放送法八十四条の二第一項につきましては、協会やその関連法人に関する情報の一般への提供を義務づけるとともに、第二項におきまして、協会の諸活動について、情報の公開に関する施策の充実となる努力義務を規定しております。
NHKにおかれましては、この規定の趣旨を酌んで、情報の公開、提供に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 だから、なぜそんなことを尋ねられるのかよく分からないというようなことを言っていたら駄目なんですよね。
会長、今の総務省の答弁に照らしても、会見での発言は不誠実、不適切ではありませんか。発言を撤回し、真摯に国民に対する情報の公開や提供に取り組むべきではありませんか。御答弁を求めます。
○前田参考人 お答え申し上げます。
私は、NHKの情報開示を余りしなくていいと言った覚えは全くございません。民間に比べて、公共放送ですから、開示をした方がいいと私は思っております。ただ、開示の仕方については工夫が要るということでございまして、今回のコンサル料も百万円以上は実は全部開示しているんですね。これくらいの厚さのを出しているんです。
でも、これは確かに、御指摘のように、それを全部一々足さないと分からないんですよね。
でも、これは多分、過去の経緯でこういう開示をしたので、この開示の仕方を工夫する必要はあると思います。そこはそのとおりだと思います。
○宮本(岳)委員 是非、改善してください。きちっと自ら集計して明らかにしていただきたいと思います。
私は、今年三月のNHK予算審議の際にも、議事録の開示問題を始めとして、視聴者・国民への説明責任を放棄する経営委員会、執行部の姿勢は余りにも無反省であることを指摘して、国会承認に反対をいたしました。
改めて、NHKが公共放送としての自覚を取り戻し、情報の公開や提供に真摯に取り組むことを強く求めて、質問を終わります。
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討論
○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一八年度及び二〇一九年度決算に反対の討論を行います。
NHK決算では、当該年度の予算の執行状況とともに、NHKの経営姿勢が、視聴者・国民の信頼に支えられる公共放送として、放送法にのっとり、国家権力からの独立、放送の自主自律などの基本姿勢を貫くものであるかどうかが問われます。
二〇一八年十月二十三日、NHK経営委員会が当時の上田良一会長を厳重注意するという事態が発生しました。これは、かんぽ不正販売問題を報じた同年四月の「クローズアップ現代+」に対する日本郵政グループからの抗議に対して、NHK執行部が、予定していた第二弾の放送番組を取りやめ、しかも、経営委員会が、日本郵政グループの不当な介入を視聴者対応とすり替えて、会長のガバナンスの問題という形で行ったものです。
ところが、当該議事録は公表されず、この事実が明らかになったのは厳重注意から約一年後の二〇一九年九月の報道でした。放送法に背を向けて、経営委員会が議事録を非公開とし、視聴者・国民、そして国会にも隠され続けていることは極めて重大と言わなければなりません。
日本共産党は、二〇一八年度のNHK予算には賛成しました。しかし、その決算期において、経営委員会が、経営委員は個別の放送番組に干渉してはならないと定める放送法に違反して、NHK会長に厳重注意を、しかも秘密裏に行っていたことは極めて深刻な問題です。二〇一八年度NHK決算には反対とするものです。
二〇一九年度決算期にも、この問題が国会で繰り返し取り上げられてきました。しかし、NHK会長への厳重注意の議事録公開に背を向け、NHKに対する視聴者・国民の信頼を揺るがす事態を生んだ執行部、経営委員会の責任は明確にされていません。したがって、二〇一九年度決算についても反対です。
以上で討論といたします。