「請負禁止」緩和を批判
宮本岳志氏 地方議員腐敗防止に逆行
衆院総務委
衆院総務委員会で6日、地方自治法一部改定案が可決されました。同改定案は、地方議会議員のなり手不足解消を口実に、自治体と取引のある事業者が地方議員を兼ねることを禁止する「請負禁止」の規定を緩和することなどを盛り込んでいます。自民党と立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党などが賛成し、日本共産党は反対しました。共産党の宮本岳志議員は「不正腐敗防止の規定の改悪は許されない」と批判しました。
宮本氏の質問に対して総務省の吉川浩民自治行政局長は、地方議員の請負禁止の規定が設けられた経緯について、地方議会は国会と違い、重要な契約や財産取得なども議決事項とし、「直接請負する行為をやめ、議員としての活動の信頼を高め、執行への疑いをなくすためのものだ」と説明しました。
宮本氏は、各地の自治体が不正防止に努めるものの「不祥事は根絶できていない」と述べ、請負禁止の規定を緩和すれば「行政による契約や取引行為を監視する議会で、請負業者たる議員による地位利用や談合が横行する恐れがある」と警鐘を鳴らしました。
さらに宮本氏は、改定案に基づく政令で、個人事業主の年間請負総額300万円以下を「請負」から除外することを想定している問題を追及。総務省の調査結果では、小規模団体の請負の「物品」「役務調達」の8割が年間発注300万円以下だと指摘し、ほとんどの事業者が地方議員を兼ねることができると批判しました。
(しんぶん赤旗 2022年12月7日)
漏えいなど5.6万人分
マイナンバー 過去5年間で
宮本岳志氏が追及
2017年度から21年度までの5年間で、約5万6541人分のマイナンバー(個人番号)情報が漏えいしたり、情報が入ったUSBなどが紛失したりしていることが、日本共産党の宮本岳志衆院議員の質問でわかりました。
6日の衆院総務委員会での質疑によると、個人情報保護委員会に寄せられた報告で、紛失は約3万5260人分、漏えいは約2万1281人分となっています。
100人分以上の紛失、漏えいや、不特定多数に閲覧される恐れがある「重大な事態」は29件ありました。
漏えいした事例では、「メールアドレスの宛先違いによりマイナンバー付きの個人情報が誤送付された」「地方公共団体から事務を受託した事業者が事務処理の誤りにより、他の地方公共団体に納品した」などとなっています。
(しんぶん赤旗 2022年12月11日)
差別的言動反省せず
宮本岳志氏 杉田政務官を批判
日本共産党の宮本岳志議員は6日の衆院総務委員会で、杉田水脈総務政務官が過去の差別的言動について反省しない問題をただしました。
杉田氏は2日の参院予算委で、過去の差別的発言の「表現を取り消す」とする一方、差別的だったかには一切ふれませんでした。
宮本氏は「差別的だと指摘された発言に関して時間をかけず精査して適切に対応すると述べたが、精査したのか」と質問。先に松本剛明総務相が「人を傷つけた拙(つたな)い表現についてはおわびし取り消すように指示した。順次精査し不適切と認められる発言については適切に対応する」と答弁。杉田氏は「配慮を欠いた表現を反省し、大臣の指示も仰ぎながら精査し対応したい」と述べるにとどまりました。
宮本氏は、杉田氏が国連女性差別撤廃委員会に参加したアイヌ民族や在日コリアンの女性たちをコスプレと侮辱した上で「左翼の気持ち悪さ」とネットに投稿した過去の差別的な言動にふれ、「表現の問題ではない、言った中身が差別発言だ」と批判。「配慮を欠いた表現」と言うだけで、差別的だったとは認めない杉田氏に、「自ら反省する態度に欠けている。政務官は務まらない」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2022年12月14日)
動画 https://youtu.be/-Z_-iC9WXkw
配布資料 20221206総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、杉田政務官の問題について質問したいと思います。
杉田水脈総務大臣政務官は、先日二日の参議院予算委員会で、過去に、LGBTQなどの性的少数者を生産性がないなどと月刊誌に寄稿したことや、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんなどとブログに投稿したことについて、傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消すと答弁をいたしました。また、差別的だと指摘されている他の発言に関しても、できるだけ時間をかけずに精査し、適正に対応したいと述べ、松本大臣からも、この件について、精査して適切に対応する旨の答弁がありました。
そこで杉田さんに聞くんですが、精査は終わりましたか。杉田政務官の他の発言のどれについて新たに謝罪し、撤回することになったのか、お答えいただけますか。
○松本国務大臣 恐れ入りますが、私が指示をいたしましたので、私から先に御答弁をさせていただけたらと思っております。
委員からもございましたが、私自身、国会の審議をずっとお聞きをさせていただく中で、やはり、御指摘をいただいたものの中で、人を傷つけているものなどについて対応が必要だと考えましたところでございます。
杉田政務官本人も、人を傷つけるような拙い表現について、これは、人を傷つけたことを重く受け止め、反省をする、こう申しておりましたので、そのことを踏まえて、政務官と私でも話をし、人を傷つけていることを重く受け止め、反省をしている、そういった拙い表現についてはやはりおわびをして取り消すようにということで、私から指示をさせていただいたところでございます。
具体的には、民族衣装をやゆするような表現であるとか、LGBTの方に関わるところで生産性がないといった表現を使ったことであることは既に申し上げたとおりでございますが、その他の発言についても、既に御議論の先日の予算委員会でも俎上にのせていただいたものも含めて、政務官ともよく話をし、できるだけしっかりと、順次精査を行ってまいりたいと思っております。
発言などは様々過去の背景や経緯もあるかというふうに思います。ただいま私がその全てを承知しているわけではございませんが、不適切と認められる発言などについては適切に対応してまいらねばならぬ、このように考えており、政務官本人ともよく話をしてまいりたいと思っております。
○杉田大臣政務官 過去の私の発言等に関する厳しい御指摘について重く受け止め、そして、配慮を欠いた表現を反省しております。
他の発言等につきましても、人々を傷つけている可能性のあるものや、明らかに内閣の方針に反しているものなど、私の過去の発言等について、松本大臣の御指導も仰ぎながら、できるだけしっかり精査を行い、適切に対応したいと考えております。
○宮本(岳)委員 まだ精査は終わっていないんですね。
先ほど質疑がありましたから私も改めて気づいたんですけれども、チマチョゴリやアイヌの民族衣装について述べられたこのブログですけれども、最後のところは、「左翼の気持ち悪さ、恐ろしさを再確認した」「彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです。」と、こうお書きになったわけですね。政務官には「なぜ私は左翼と戦うのか」という著書もおありになる。
左翼と、それは、論戦していただくのは結構ですけれども、さしずめ私は左翼でしょうけれども、これは杉田政務官に率直に聞きますが、私は気持ち悪いですか、それから、日本国の恥さらしですか。
○杉田大臣政務官 個別に、どなたが左翼であるとか、そのようなことはこの場ではコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 こういう話なんですね。
私はずっと聞いておりまして、大臣も、拙い表現であるということをおっしゃる。それから、政務官も、私自身の表現がまずかったことを重く受け止めていると。表現じゃないんですよ。おっしゃっている中身が差別発言なんですよ。そういう自覚はありますか。
○松本国務大臣 まず、委員御自身のことにつきましては、私ども、こちらで各委員の方からの御質疑を受ける立場でございますので、委員のことについてそれぞれ申し上げるのは差し控えることは御容赦いただきたいと思います。
その上で、私ども自身が、表現で、拙い表現であること、人を傷つけるような発言を取り消すようにと申しましたのも、私どもは、言葉、表現を通して皆さんにお伝えをさせていただいているということで、そのように申し上げさせていただきました。
表現そのものが不適切であるということを申し上げていることで、発言の是非、内容についての理解をいただけたらというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 二日の予算委員会でも、これは福島さんとのやり取りでしょうが、まさに差別と認めて撤回、謝罪するということでよろしいですかというのに対して、杉田政務官は、それも含め、しっかり精査して対応してまいりたいと思いますと御答弁であります。精査しましたか。どう対応するんですか。
○杉田大臣政務官 繰り返しになりますが、過去の私の発言等に対する厳しい御指摘について重く受け止め、配慮を欠いた表現を反省をしております。
ただ、そのブログの中におきましても、例えば、在日の方々であるとか、アイヌの方々であるとか、また、生産性がないの論文の中におきましてのLGBTの方々において、差別はあってはならないというふうに、私自身、その当時からも、今もずっと思っておりますし、そういった差別はなくしていかなければならないというふうに思って、今もこの職責に当たっておるところでございます。
また、国会においても様々な厳しい御指摘をいただいておりまして、先ほども申し上げたとおり、松本大臣の指示を仰ぎながら、一つ一つ精査をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○宮本(岳)委員 これは反省そのものが疑問ですね。
表現について、拙い表現についてはお認めなんだろうけれども、そして、指摘をされていることはお認めなんだろうけれども、自ら反省するという態度に欠ける。だから、大臣がわざわざ先に立って露払いのような御発言をしなきゃならないという状況で来ている。私は、こういう方に政務官は務まらないと、これははっきり申し上げておきたいと思います。
それで、改めて岸田内閣の任命責任は極めて重いということを申し上げなければなりません。今日は、これまた、こればっかりやっているわけにいきませんので、次のテーマに移りたい。
資料一、東京新聞十二月一日付の記事を御覧いただきたい。
保団連の調査、マイナ保険証、四割で不具合という記事であります。
十一月二十八日の当委員会においても紹介をした保団連の調査を基に書かれた報道記事でありますけれども、同調査では、二六%の診療所、病院でオンライン資格確認が導入されているわけですけれども、ところが、オンライン資格確認システムが稼働後、導入が済んだ病院、診療所の約四割で不具合が起きたというものであります。
この記事の冒頭では、去る十一月十四日に、オンライン資格確認をする医療機関向けのサイトで、現在、顔認証つきカードリーダーを導入されている医療機関、薬局において、カードリーダーが起動しない事象が発生されていることを確認していますというお知らせが掲載されております。
厚生労働省に聞きますけれども、この一部のメーカーのパソコンで基本ソフトの更新を実施すると、マイナ保険証を読み取る顔認証つきカードリーダーがエラーを起こすという不具合の原因は分かりましたか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
本年十一月に、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムが原因でオンライン資格確認用の端末のアプリケーションが開けず、これと連動している顔認証つきカードリーダーが使用できない医療機関等があったという報告を支払基金及び国保中央会から受けてございます。
これらの事象がありました医療機関等につきましては、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムを削除するということによりまして、現在、既に顔認証つきカードリーダーが使用可能となってございます。
この事象とこの方法につきましては、十一月十四日に医療機関等向けポータルサイト及びオンライン資格確認専用サイトにおいて周知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 今言ったじゃないですか、周知しているって。だから、原因は分かったかと聞いているんです。
○日原政府参考人 先ほどお答え申し上げましたが、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムが原因だったというふうに承知をいたしております。
○宮本(岳)委員 よく分からぬ話ですね。
では、聞きましょう。オンライン資格確認で不具合が起きている間、現行の保険証があれば本人確認は現行保険証でやれるわけですが、これ、マイナ保険証しか持っていない人、あるいは、やがての想定ですが、現行の保険証がなくなった場合はどう対応するんですか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
カードリーダー等の機器が使用できなくなりました場合につきましては、患者の方のマイナンバーカードの券面から氏名、性別、生年月日、住所の四情報を記録していただきまして、機器などの復旧後にオンライン資格確認等コールセンターに電話をいただきまして、システム障害モードを起動した上で情報を入力することで資格確認は行うことができることとしているところでございます。
○宮本(岳)委員 わざわざこれを記録して控えて対応するということになるんですね。健康保険証がなければ、一たびトラブルが起こったら、結局、医療機関側の資格確認も従来以上の手間を要するということになります。
九月二十三日付京都新聞には、これは資料はありませんけれども、住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録、想定外、解除できずという滋賀県栗東市の報道がありました。
住民が希望していないのにマイナンバーカードと保険証を誤ってひもづけたが、一旦登録されたマイナ保険証の登録は削除できる仕組みがないというものであります。記事によると、厚生労働省は、マイナ保険証の削除手順を整備していない、ひもづけによる不利益がなく、こうした削除要望が出ると想定していなかったと語ったというんです。これは事実ですか、厚労省。
○日原政府参考人 マイナンバーカードと健康保険証の利用登録につきましては、一旦利用登録をいただいた後の取消し処理はできない取扱いとなってございます。
なお、登録されたことによりまして、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用が強制されるというものではございません。また、医療機関等における薬剤情報などの閲覧につきましても、御本人の同意があった場合に限られるものでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、不利益がないというこの言いぐさは、そもそも、全然事実と違うと思うんですよね。
御本人は明確に、保険証の登録はしないでほしい、こういう御意向だった。任意の制度であるにもかかわらず、誤って登録してしまった。これは市役所も認めているわけですね。そのときに、元に戻す仕方がない、整備する予定もない、不利益はないはずだ、そう言われたって、御本人はそれは嫌なんだと言っている場合に、これはそのまま放置するわけにいかぬでしょう。いかがですか。
○日原政府参考人 一旦利用登録された後の取消し処理、これはできない取扱いとなってございまして、システムの仕組み上もできないこととなってございます。
繰り返しになりますけれども、登録されたことによりまして、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用は強制されるものではないということでございまして、取消し処理ができないことによる不利益は生じないものと考えてございます。
○宮本(岳)委員 全然言いぐさがおかしいですよ。本人は登録しないでほしいと言っているんですから、不利益は生じています。
それで、資料二を見ていただきたい。これは、デジタル庁のホームページに掲載されている、業種別のマイナンバーカードの未取得理由の調査結果なんです。
赤い下線部、未取得理由のトップは、情報流出が怖いから三五・二%、次が、申請方法が面倒だから三一・四%、三番目に、マイナンバーカードにメリットを感じない三一・三%となっております。
既に六割から八割が取得したり申請中の上位五業種、トップはさすがに国家公務員でありますけれども、マイナンバーカード未取得理由のトップが、情報流出が怖いから。その下の、郵便局員や地方公務員の未取得理由のトップが、マイナンバーカードにメリットを感じない。笑い話みたいな話でありますけれども、これが国民の本音なんですね。
大臣、そうだと思いませんか。やはり、個人情報の流出が不安だという声が高い。お認めになりますか、大臣。
○松本国務大臣 個人情報が流出してはならないのは既に御案内のとおりであります。
ただ、このマイナンバーカードの仕組みにおいての個人情報の流出のリスクについては、しっかりと対応していただかなければなりませんし、既に様々な対応がなされていると思いますので、十分にマイナンバーカードを安心して使っていただけるように、この安全性などについても、メリットも含めて、多くの皆さんに御理解をいただけるように、我々も努力を重ねたいと思っております。
○宮本(岳)委員 そうおっしゃるんですね。
しかし、資料三を見てください。共同通信の十二月三日の配信記事であります。
個人情報保護委員会は年次報告で、二〇一七年度から二一年度の五年間で、少なくとも約三万五千人分のマイナンバーに関連する情報が紛失、漏えいしたとの報告を公表いたしました。
今日は個人情報保護委員会に来ていただいておりますけれども、二〇一七年から二〇二一年の五年間で、マイナンバーに関する情報の紛失が何人分で、漏えいは何人分となっているか、その合計も含めてお答えいただけますか。
○三原政府参考人 お答え申し上げます。
個人情報保護委員会では、過去五年間で二十九件の重大な事態に該当する紛失及び漏えい等について報告を受けてございます。
このうち、紛失の本人数につきましては約三万五千二百六十人分、誤送付等を含めました漏えいの本人数につきましては約二万一千二百八十一人分、合計約五万六千五百四十一人分となってございます。
○宮本(岳)委員 マイナンバーとマイナンバーカードって別の話なんですけれども、しかし、そのマイナンバーですら、今、こういう形で、五万六千人以上分の漏えい、流出が報告されている。
マイナンバーカードの取得はあくまでも任意であります。二〇一六年一月の交付開始から七年近くたつのに、普及率はようやく半分。先ほどのアンケートでも明らかなように、まさに個人情報漏えいの危惧も強いので普及が進まないんですね。任意だというのであれば、正確な情報提供を行って、国民が正しく判断できるようにするのは当然のことだと思います。
前回、私、厚生労働省とやり取りをいたしました。保険証が廃止されれば医者にかかれなくなるのではないかとみんなが心配していると、保険証廃止に伴って、マイナンバーカードを作らなければ医者にかかれなくなるんですかという議論をやったら、これは、とことんぎりぎりとやれば、御答弁は、保険料を納めていれば保険診療を受けられるのは当然という答弁が出ておりますから、それはそうなんでしょう。
しかし、世間はそのことを知らされていないんですね。私は、これはちゃんと、そういう誤解があるとすれば、この誤解については、いやいや、それはマイナンバーカードを作ってくださいということは政府は言うているけれども、何も医療が受けられなくなるということはないんですよということを、もちろん私たちは言っていますよ。しかし、ちゃんと、厚生労働省を始め、国も説明すべきじゃないですか、もっとこの誤解を解くべきじゃないですか。いかがですか、厚労省。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
マイナンバーカードと健康保険証、この一体化を進める中におきましても、国民の皆様が必要な保険診療等を受けられる環境の整備、これに取り組んでいるということ、また、そういう環境整備をしていくということ、こちらにつきまして、国民や医療関係者の皆様の理解を得られるように、きめ細かく、そうした周知も図りながら丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。
○宮本(岳)委員 これは当然のことなんですね。
デジタル庁の尾崎大臣政務官に最後にお伺いいたします。
あなた方はこの誤解を正そうとしているように私からは見えないんですね。それどころか、あわよくば、医者にかかれなくなるという誤解が広がったままで、国民が諦めて、仕方がなくでもマイナンバーカードを作ってくれればもうけものだなどというこそくな考えを持っているんじゃないかと見えてしまう場面があるんですね。よもやそんなことをお考えじゃないと思うんですが、否定していただけますか。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
マイナンバーカードと保険証の一体化によって様々なメリットがある、そのように考えております。ただ、マイナンバーカードと保険証の一体化に向けましては、やはり、きめ細かい環境整備とともに、何といっても国民の皆様の御理解を得ることが不可欠だ、そのように考えております。
こうした観点から、デジタル庁におきましては、ホームページなどにおきまして、マイナンバーカードと保険証の一体化について、メリットのみならず、国民の皆様の御不安、すなわちデメリットと感じられ得る点についてもお答えを掲載することなどを通じまして、国民の皆様の御理解を深めていただこうと努めているところでありますし、また、こうした御説明にとどまらず、一時的になくした場合はどうするかといった、そのような課題につきましても、その対処策などを検討するため、関係省庁による検討会を設けて検討を進めることといたしているところです。
広く国民の皆様方の声を踏まえまして、令和六年秋に向けて、円滑に移行できるよう努めてまいりたい、そのように考えております。
○宮本(岳)委員 時間ですので終わりますが、任意というのであれば、くれぐれも強制と取られることのないように強く申し上げて、質問を終わります。
―――――――――――――
○宮本(岳)委員 本法案で改正を予定する請負禁止の規定について聞きます。
請負禁止の規定は、一九五六年の地方自治法改正で規定をされております。自治行政局長に、この改正理由について、御答弁いただけますか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
昭和三十一年の地方自治法改正におきまして請負禁止の規定を設けた際の提案理由によりますと、改正の趣旨は、地方議会は、国会とは異なり、重要な契約や財産の取得等についても議決事項としており、その意味で、当該団体に対して直接請負をする行為をやめて、議員としての活動の信用を高め、又は執行への疑いをなくすこととしたものとされております。
○宮本(岳)委員 そうなんですね。まさに執行への疑いをなくす、議員としての活動の信頼を高めるというものなんです。
そこで、今日の、これは資料は今日は配っていないですが、東京新聞でありますが、東京都江東区の指名競争入札をめぐる区議のあっせん収賄事件を受けて、区が議員らの要望や働きかけがあったことを記録する口利き記録制度の導入を検討しているという記事が載っておりました。
ただ、これを読んでおりますと、あらゆる働きかけを記録する自治体でも不祥事は防ぎ切れないと。岐阜市は、一八年度から、市に寄せられる要望を毎年八千件以上も記録した。それでも、一九年に、市発注工事の入札情報を職員が業者に漏らした贈収賄事件が起きたと。これはなかなか、根絶なんてできていないわけですよね。
もしもこの状況の下で議員の請負を解禁し、また、請負事業者が地方議員になれることになれば、本来、行政による契約や取引行為を監視しチェックする役割を持つ議会の場において、請負事業者たる議員による地位利用や談合が横行することさえ懸念されると思うんですが、これは、法案提案者、いかがですか。
○あかま委員 今、宮本委員の方から、各地方議会にあってそのような事案というものがある中で、今回の自治法改正がそれを誘発するのではないかという御懸念が質問されたんだと思っております。
今回の、議員個人のいわゆる請負緩和というものでございますけれども、このことは、まず、喫緊の課題である議員のなり手不足に対応するものであり、いわゆるそうした議員、宮本先生、利権という言葉がどうか、それらを増やすということとなっていないこと、また、この後の議論にもあるかもしれませんが、緩和する個人の請負の上限額というものは十分低廉なものというふうになっておるものと考えております。
以上です。
○宮本(岳)委員 今回の改正の出発点が地方選挙での立候補者を増やしたい、こういうお話から始まっていることは分かっているんですよ。ただ、そこを変えれば、一九五六年の国会が改正をして今回の規定を入れた、その立法趣旨に照らしてどうなのかということを見極めないと、全然別の問題ですから、全然別の、請負の禁止ということと立候補者を増やしたいということとは。幾らこちらの思いがあったとしても、五六年の改正のこの趣旨がないがしろになっていいというものじゃないんですよね。
ですから、請負禁止の規定を緩和しても大丈夫だと、この規定が守られる担保があるのか、これはどのように法案提案者は考えておられますか。
○奥野(総)委員 議員お尋ねの件でございますけれども、まず、この法案の目的は、多様な人材の確保と、それから、議会運営の公正、事務執行の適正の確保の両面で見て、ふさわしい額を定めることが必要であるというふうに上限額については考えているところであります。
具体的には政令で定めることとしていますが、個人の企業は、年間売上高の全国平均の二割程度の水準である三百万円と規定することがひとまず適当であると考えておるところでございます。これは、請負関係への関与が間接的な議員が取締役等に就いている法人については全業務量の五割までの請負が認められていることを踏まえ、関与が直接的な個人にあってはそれよりも十分に低い水準に抑えようとするものであります。
また、この後御審議をいただく委員会決議案においては、議員の職務執行の公正、適正を損なうこととならないよう、各地方公共団体において議員個人による請負の状況の透明性を確保するための対応について、政府が必要に応じて適切な助言を行うことを明記する予定でございます。
各自治体において、必要に応じ、議員個人の請負状況について公表等の措置が講じられるものというふうに理解しているところでございます。
さらに、問題が疑われる事案が起きた場合には、地方自治法百二十七条に基づきまして、議会が違反の有無を決定し、違反する旨が決定された場合には議員が失職するという厳しい措置もあるところでございます。
以上により、一定の歯止めがあるというふうに考えているところでございます。
最後に、本法案は、このほかに、多様な人材の確保のために、立候補休暇制度についても、政府が、雇用する労働者が容易に立候補することができるよう就業規則に定めることを促すこと、そして、さらには法制化、国政等も含めて法制化について検討を加えることとしているところでございます。
以上です。
○あかま委員 今、奥野委員の方から御説明、担保措置ということがございましたけれども、宮本先生の方、恐らく五六年改正の、議員としての活動の信頼性を高め、また執行への疑いはなくすという重要な条文についてのコメントが欲しいんだろうというふうに思っております。
地方自治法第九十二条の二の規定は、議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保することを趣旨とするものであると認識をしており、本法案の改正というものが、その趣旨を変えようとするものでないことを御理解いただきたいというふうに思います。
○宮本(岳)委員 いや、なかなかそんな説明はつかぬだろうと僕は思いながら聞いているんですけれどもね。
それは、五六年の改正時の、先ほどの説明、そのとおりですよ。地方議会は、重要な契約や財産の取得等も議決事項なんですね。だから、議決する議員とその請負業者とがこれは一緒だと、それは様々な問題が生じるというのは当然のことであって、先ほど申し上げたように、請負事業者たる議員による地位利用や談合が議会の内部で横行するというおそれがある、私たちはそのことはどうしても拭えないと思っております。
総務省に聞きますけれども、議員の兼業禁止規定の該当した事例、ございますか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
総務省の調査では、地方自治法第九十二条の二に該当するとして、議決により失職した近年の事例といたしまして、平成二十九年度に二件、平成二十八年度に三件となっております。
○宮本(岳)委員 やはりあるんですね、それは。
三百万円以内という話も聞いておりますけれども、総務省のサンプル調査によりますと、小規模団体の請負の業務委託工事のうち八割が三百万円超、物品、役務調達の八割が年間発注三百万円以下というふうに聞いております。
つまり、物品、役務調達の大半が除外されることになります。八割方は除外されて議員として議会に出られることになると。これは、議員としての活動の信頼を高め、また、執行への疑いをなくすという点では、懸念が生まれることは明瞭だと言わなければなりません。そうじゃないですかね、法案提案者。
○あかま委員 宮本委員の御懸念というものに対して、先ほど動議者、奥野委員の方からも一定の担保というもの、これをしつらえ、また、政令で規定する予定である請負の上限額三百万、個人事業主の総売上げの二割という話でございますけれども、この水準というものは非常に低廉であるということ。三百万というふうに契約金額だけ聞くとでございますが、経費であるとかその他を引くと、いわゆる利益という部分は更に少ないものになる中にあって、そのことが議員が何かということのインセンティブにはならないものというふうに考えております。
以上です。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたけれども、三百万以下が物品や役務調達では八割を占めるわけですから、地方議員のなり手不足などを理由に、不正、腐敗防止のための規定を緩和することは断じて許されないということを申し上げて、私の質問を終わります。