五輪汚職 再発防止を
宮本岳志氏 円卓会議決議示し追及
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は22日、衆院文部科学委員会の閉会中審査で、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職・談合事件の全容解明と再発防止を求めました。
宮本氏は、五輪組織委員会の高橋治之元理事らが受託収賄容疑などで逮捕・起訴されたことを受け、スポーツ政策の推進に関する円卓会議が「我々は自分事として捉え、危機感を持って重く受け止める」と決議したことを示し、永岡桂子文部科学相にただしました。永岡文科相は「(決議と)同じ認識だ」と述べました。
スポーツ庁はこれまで、「組織委が責任をもって対応すべきだ」などと無責任な発言をくり返しました。宮本氏は「多くの国民に失望感を与える大問題を引き起こし、手をこまねいているだけか」と批判しました。
宮本氏は、テスト大会業務をめぐる談合について、組織委員会側が談合を調整していた疑惑をあげ、当該部局にスポーツ庁や文科省の出向者がおり、「これらの職員を調査したのか」と追及。角田喜彦スポーツ庁次長は「調査は行っていない」と答弁しました。
さらに宮本氏は、昨日(21日)公表された会計検査院の指摘も含め「問題を重く受け止めるのか」と認識をただしました。永岡文科相は談合疑惑について「仮に不正があれば誠に遺憾だ」「文科省として検察の捜査や東京都の調査を踏まえ、適切な対応を図る」と答弁。宮本氏は「森友学園問題では、司法手続きが進むもとでも政府として調査を行った」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2022年12月23日)
動画 https://youtu.be/S5FscrbdqC0
配布資料 20221222文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、統一協会問題について、臨時国会の宿題から始めたいと思います。
私は、十一月九日の当委員会で、資料一につけた一九九五年十一月七日の衆議院宗教法人に関する特別委員会の議事録から当時の文化庁が理事会に提出した事実が確認できる、宗教法人審議会の審議の概要についてと題されていたと思われる資料の提出を求めました。文化庁の合田次長は、「鋭意探してございます。見つかりましたら、これは衆議院の宗教法人に関する特別委員会の理事会に御提出したものでございますので、御提出を申し上げます。」と答弁をいたしました。
見つかりましたか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの資料につきましては、さきの国会における御指摘を踏まえ、継続的に文化庁において探索をしてございまして、平成七年当時の宗教法人法改正の担当者にも聴取するなど確認作業を行っておりますが、誠に申し訳ありませんが、現在なお、資料の特定には至ってございません。
○宮本(岳)委員 文化庁が当時、国権の最高機関たる国会に提出し、こうして議事録の中にも明確に残っている文書です。もちろん、文化庁内の決裁など、しかるべき手続を踏んで提出されたはずであります。そうした文書が、当時の特別委員会の委員部を引き継ぐ衆議院文書課にもないと言い、国会に対して提出した当事者である文化庁も、探しているが見つからないなどということがあってはなりません。
委員長、委員会として、衆議院文書課並びに文化庁に提出を求めていただきたい。
○宮内委員長 理事会で協議させていただきます。
○宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。
二〇一五年の統一協会の名称変更について、下村博文氏が文科大臣時代に関与したのではないかという週刊誌の質問状に対する回答であります。これは、今年七月十三日に下村氏のホームページに掲載され、今も掲載されております。
これは実に奇妙な文章でありまして、あなたは関わったのかと問われたら、当事者ですから自分を主語にして答えるはずなんですね。ところが、この文章は、「文化庁に確認をしたところ、」から始まっております。この文章によると、文化庁に確認し、「通常、名称変更については、書類が揃い、内容の確認が出来れば、事務的に承認を出す仕組みであり、大臣に伺いを立てることはしていない。今回の事例も最終決裁は、当時の文化部長であり、これは通常通りの手続きをしていた」と文化庁が回答したとなっております。その上で、「貴誌のご質問は全く事実に反することを確認」したと、まるで文化庁がこの週刊誌の報道が全く事実に反すると確認したかのようにさえ読める文章になっております。
そこで確認いたしますけれども、文化庁はこの赤線を引いた文章どおり下村博文事務所に回答したのか、そして、文化庁が週刊誌の報道内容が事実に反するということを下村博文事務所に対して確認してやったのか、お答えいただけますか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
本年七月十一日、下村議員事務所から当時の文化庁次長に架電があり、宗教法人の規則変更の認証に関する法的な枠組みや手続、平成二十七年の旧統一教会の名称変更に関する事実関係について問合せを受けたため、御指摘の書面に記載されているような旨の回答をしたことを確認してございます。
なお、この下村議員事務所からの問合せは電話で行われたと承知をしておりますので、今先生からお話がありました、具体的な紙面や雑誌からの誌面を確認した上でのお答えではないということを当時の文化庁次長にも確認をいたしてございます。
○宮本(岳)委員 実際には紙面を見て答えたものではないという答弁でありました。
この文章は、前段と後段で不自然な継ぎはぎになっております。後段の、名称変更は、文化庁決裁規程によって、手続上文化部長が決裁権者であることは事実であります。しかし、問題は、この最終決裁に至るまでの過程に、政治家、まさに当時の下村氏などが関わったのではないかということが問われているわけですね。
前段では、通常の名称変更であれば伺いを立てないということでありますけれども、申請の受理前と、そして認証の決定前、それぞれ大臣に説明、報告したのは、これは通常の手続ではなかったということでいいですね。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
宗教法人の規則の変更につきましては、今御指摘ございましたように、文化庁の専決によることとされてございますが、旧統一教会の名称変更については、社会的に注目度の高い法人に係る事案であったことを踏まえて、当時の下村文部科学大臣に、申請書を受理すること、あるいは認証を行うことを報告したものでございます。
専決の枠組みに変更はございません。
○宮本(岳)委員 これは当然、通常の手続とは違う手続をしているわけですよ。二〇一四年までは、この件は受理もしない、認証もしないという、これが前例となっておりました。それを覆して、二〇一五年には受理もしたし認証もしたんですから、通常の場合とは異なる対応であることは言うまでもありません。
では、なぜそのような通常の場合とは異なる対応が行われたのか、そして、文化庁が通常はやらないはずの大臣への報告をなぜわざわざ二度にわたって下村大臣に対して行ったのかが問われているわけですね。だからこそ、この報告に使った大臣説明資料が重要な意味を持つわけであります。
大臣は、十月二十六日の私への答弁で、申請を受理することの報告を行った際の資料が確認され、また、認証を決定することの報告を行った際の資料については、それ自体は確認できなかったけれども、それに担当者がメモ書きを追加したと思われる、極めて近い資料が存在することを認められました。そこまで認めておきながら、法人の非公知の事実を含むから開示しない、つまり、統一協会にとって知られてはまずい情報を含んでいるから提出できない、さらには、行政の内部の意思形成過程に関する文書であることから提出しない、こういう答弁をされました。
しかし、行政の内部の意思形成過程に下村氏がどう関わったのか、関わっていないのかを知るために文書提出を求めている国会に対して、行政の内部の意思形成過程に関する文書だから提出しないなどというのは、もはや国政調査権に対する妨害だと言わなければなりませんが、大臣、そうではありませんか。
○永岡国務大臣 宗教法人法の趣旨や情報公開法も踏まえまして、御指摘の資料の情報公開に当たりましては、宗教法人から所轄庁に提出をされております書類のうち、当該法人の非公知の事実に関する情報を含むものや、行政内部の意思形成過程に関する資料につきまして、不開示としております。
以上でございます。
○宮本(岳)委員 同じ答弁を繰り返されましたけれども、それがおかしいのではないかと私は申し上げたんですよ。
そもそも、行政内部での意思形成過程が問題になっているんだから、行政内部の意思形成過程が分かる資料を提出してくれと。これは押し問答をしても仕方がありません、私の方でこれは開示請求をさせていただきましたので、ちゃんと誠実な対応をお願いしたいと思います。
統一協会の養子縁組をめぐって厚労省が行っている調査で、統一協会の信者による養子縁組の実態を尋ねた二度目の質問書について、教団側が半分以上の質問に対し回答拒否と答えるとともに、厚労省に二枚組の抗議文を送付したとメディアが報じております。
厚労省は、回答の内容や抗議文の内容については答えられないとのことでありましたけれども、回答とともに抗議文を受け取ったことはお認めになると思うんですが、事実ですね。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の文書でございますけれども、まず、一つ目の御指摘の、旧統一教会からのいわゆる抗議文書というふうに報道等もされておりますが、こちらの方につきましては、十二月十六日の金曜日に担当部署の方に到達をしたところでございます。
また、御指摘の再質問書に対する回答書につきましては、十二月十九日の月曜日に受け取ったところでございます。
○宮本(岳)委員 中身は開示できないけれども、一応抗議文を受け取ったということは今確認をされました。
じゃ、大臣、文科省は、この間、統一協会から抗議文が届いているということについて、それはお認めになるんですか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権の行使を今やらせていただいているところでございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、旧統一教会との具体的なやり取りにつきましては、今後の報告徴収、質問権の適正な行使に支障が生じるために差し控えますが、私どもの行っている報告徴収、質問権は全く適法であるという立場にいささかの揺るぎもございません。
○宮本(岳)委員 それは行政がやっていることですから、適法であると思ってやっているんでしょうけれども。なぜそんなことさえ認められないのか。実に奇異だと思いますね。
統一協会は、養子縁組あっせん法違反の疑いで事実確認のために行われている厚労省の調査に対して、抗議文まで送ってきております。あっせん法には、許可を受けずに養子縁組のあっせんを行った場合は、一年以下の懲役、百万円以下の罰金という刑事罰もあるわけですね。これは、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為にほかならないわけです、それが事実とすれば。
大臣、もはやこれは、宗教法人法八十一条の第一項一号により直ちに解散命令を請求すべき事態だと思いますが、そうじゃないですか。
○永岡国務大臣 宗教法人法に照らしまして解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは、報告徴収、質問権の行使を通じまして、宗教法人の業務等に関して、具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにいたしまして、法律にのっとり必要な措置を講ずるべきものと考えております。
そのために、現在、報告徴収、質問権を行使するとともに、全国弁連等の協力を得まして収集した資料等によりまして、民事裁判の事例の把握、分析なども進めているところでございます。これら、迅速にしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 くれぐれも迅速に進めてほしいんですね。そして、適切にちゃんと対応していただきたいと思います。
次に、五輪の汚職、談合疑惑について聞きたい。
大臣は、十一月二十九日、当委員会において、スポーツ庁と日本オリンピック委員会が中心となってプロジェクトチームを立ち上げたと答弁されました。プロジェクトチーム立ち上げの目的は何ですか。これは角田次長。
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
組織委員会の元理事の逮捕、起訴事案につきまして、スポーツ界全体に及ぼす重大性に鑑みまして、まずは、本年九月に日本オリンピック委員会と札幌市におきまして札幌オリパラ招致のための宣言文を公表し、また、十月には、スポーツ庁、JOCを含むスポーツ団体五者が本件に関する決議を取りまとめたところでございます。
この決議を踏まえまして、スポーツ庁、JOCが中心になりまして、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定する、これを目的といたしまして、十一月、大規模な国際又は国内大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方検討プロジェクトチームを立ち上げたところでございます。
○宮本(岳)委員 資料三を見ていただきたい。
十月十七日にスポーツ政策の推進に関する円卓会議が決議した「今後の大規模な国際又は国内競技大会の円滑な開催に向けて」という文書であります。下線部、「仮に不正が行われていたとすれば、オリンピック・パラリンピック競技大会のみならず、スポーツの価値を大きく貶めるものであり、決して許されるものではありません。」そして、「我々は自分事として捉え、危機感を持って重く受け止める必要があります。」
この円卓会議にはスポーツ庁の長官も出席をしております。これは、大臣、同じ認識ということでいいですね。
○永岡国務大臣 はい、委員と同じ認識でございます。
○宮本(岳)委員 そうであれば、今後の対応を検討するためにも、そもそも事件の検証が不可欠であります。
ところが、スポーツ庁は、十一月十六日の衆議院内閣委員会で、我が党の塩川鉄也議員が、国自身が責任を持って検証せよと迫ったのに対して、高橋容疑者の事件は組織委員会が個別企業と結んだスポンサー契約に関連するものだから、組織委員会が責任を持って対応すべきもので、政府は今後の刑事手続を注視していきたいなどと繰り返すばかりでした。
角田次長、これでは、多くの国民に失望感を与える大問題を引き起こしておいて、スポーツ庁は注視、ただただ手をこまねいて見詰めているだけでよいのかということが問われますが、そうじゃないですか。
○角田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事案につきましては、現在、刑事手続中の事案であり、また、公正取引委員会による調査が行われているところでございます。その経緯等につきましては、今後の手続や調査の中で明らかになっていくものと承知しております。その過程を注視をしていくべきものと考えているところでございます。
また、今回の事案に関する責任の所在につきましては、当事者である清算法人の組織委員会が責任を持って対応すべきものと考えているところでございます。
他方、今回の事案が組織委員会のガバナンス体制等とどのような関連があったかにつきましては、刑事手続や守秘義務に抵触しない範囲内においてという制約はあるものの、組織委員会の元職員からのヒアリング等を通じまして、今後の国際大会の運営透明化、公正化に向けて、スポーツ庁と日本オリンピック委員会が中心になって設置いたしましたプロジェクトチームにおいて議論を行うこととしており、今後の再発防止策も策定してまいりたいと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 ガバナンスに問題があったなんて当たり前、もうはっきりしたことなんですよ。
この間の国会での答弁で、星野審議官でしょうか、この東京オリンピック二〇二〇の公式報告書というものから引用して、ガバナンスやあるいはコンプライアンスについて述べられました。
今日は、資料四にその写しもつけております。ここにはガバナンス改革も書いています。みなし公務員規定を始めとするコンプライアンス体制の推進も大いにやってきたと書いていますよ。じゃ、一体なぜこんな事態が起こっているんですか。
○角田政府参考人 御答弁申し上げます。
繰り返しでございますが、この元理事が逮捕、起訴された案件につきましては、現在、刑事手続中でございますし、また、公正取引委員会による調査が行われておりますので、その中で経緯等につきまして明らかになっていくものと考えているところでございます。現在、刑事手続の途上にあることから、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたのでまとめに入りますけれども、実は、このテスト大会の業務をめぐる談合事件では、五輪組織委員会側が談合調整していたという疑いが深まっております。組織委員会で発注業務を担ったのは大会運営局でありますけれども、この運営局は、できる前、大会準備運営第一局ということでありました。
資料五は、スポーツ庁から提出を受けた、組織委員会へ派遣された職員数一覧でありますけれども、談合調整に関わったとされる局にスポーツ庁や文部科学省から出向しております。これらの職員は関わっていないかどうかを調査しましたか。関わっていないとすれば、なぜ事前に止められなかったんですか。
○角田政府参考人 お答えいたします。
東京オリンピック組織委員会に対します政府からの派遣の職員は、資料にございますように、十七省庁から百四十八名でございました。出向先につきましては、総務局、企画財務局、あるいは国際局、警備局、スポーツ局、さらには大会運営局など、多岐にわたっているところでございます。
先ほどの御質問、職員に対する聞き取りということでございますけれども、現在、公正取引委員会におきまして調査をされている途上でございますので、私どもとしてそういった聞き取りは行っていないというところでございます。
○宮本(岳)委員 もう最後にしますけれども、森友問題だって私はやってきましたけれども、司法手続が進んでいる、同時並行でちゃんと役所の調査はやったんですよね。
大臣、昨日、会計検査院のこの報告が出ました。この中でも新たな指摘がされております。この中身に立ち入って今日はもうできませんけれども。会計検査院の指摘を始め、重く受け止める、このことを是非大臣の口から聞かせていただいて、今日はこの質問を終わりたいと思います。
○永岡国務大臣 五輪汚職問題及びテスト大会等の選定におけます談合疑惑につきまして、仮に不正があったとすれば誠に遺憾であると考えておりまして、オリンピック・パラリンピック競技大会を始めとするスポーツの価値を大きくおとしめると考えております。
元理事が逮捕、起訴された事案を受けまして、先日、スポーツ庁、日本オリンピック委員会が中心となって、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定するプロジェクトチームを設置をいたしました。今後我が国で開催されます大規模な競技大会において参考となる適切な運営体制の構築に向けまして指針案を示す、作成することとしておりまして、しっかりと対応させていただきたいと思っております。
さらに、文部科学省といたしましては、今回の入札におけます不正行為に関する今後の東京地方検察庁と公正取引委員会の調査や東京都の調査も注視をしながら、適切な対応を図ってまいります。
○宮本(岳)委員 しっかりやってください。
終わります。