懲戒処分の手続き中
空自暴力事件 宮本岳志議員に防衛省
衆院予算委分科会
防衛省は21日の衆院予算委員会分科会で、2018年に航空自衛隊那覇基地に配属された隊員に上官が暴言、暴力のハラスメントを行ったとされる事件について「事実関係の調査を終え、懲戒処分調査を行うべき事実が判明した」として「懲戒処分の手続きを行っている」と明らかにしました。日本共産党の宮本岳志議員の質問に対する町田一仁・人事教育局長の答弁。
隊員は別の上官に告発しましたが退職を強要され、21年に退職。岸信夫前防衛相は同年9月の記者会見で調査を明言しましたが、22年6月時点でも同省は「調査中」としていました。宮本氏は同隊員から相談が寄せられたことを明らかにし、速やかな対応を求めました。
宮本氏は、自衛隊のハラスメント相談件数は16年の326件から21年には2311件へと6倍以上増加しているとして、ハラスメントが要因とされる隊員の自殺と退職について調査を求めました。また、上官による隊員の退職理由の書き換えやハラスメント調査の隠ぺいが横行している事実を列挙して指摘。「ハラスメント問題は個人の尊厳・人権の問題だ」として「隊員の人権を守るために適切な調査、ハラスメントに対する厳格な対応が求められる」と訴えました。
(しんぶん赤旗 2023年2月22日)
動画 https://youtu.be/80AiXlqknBo
議事録
○宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。
自衛隊におけるいじめ、ハラスメントについて聞きたいと思います。
まず、防衛大臣に、いじめ、ハラスメントについての基本的な認識をお伺いいたします。
防衛省は、いじめ、ハラスメントを、個人の尊厳、人格を傷つける重大な人権侵害である、こう受け止めていただいていると思いますけれども、間違いないですね、大臣。
○浜田国務大臣 ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、自衛隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものだと考えます。
そのため、現在、私の指示に基づいて、全自衛隊を対象としたハラスメントに関する特別防衛監察を実施するとともに、防衛省ハラスメント防止対策有識者会議において、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント防止対策を、外部からの客観的な視点で多角的かつ入念に検証していただいているところと承知をしております。
防衛省・自衛隊としては、防衛力整備計画に基づいて、有識者会議の検討結果を踏まえた新たな対策を確立し、全ての自衛隊員に徹底させるとともに、さらに、時代に即した対策を行うよう不断の見直しを行い、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)分科員 当然の認識ですけれども、現実、実態はどうか。
先日、私に相談がありました。これはTBSにおいても報道されておりますけれども、二〇一八年に航空自衛隊那覇基地に配属された方、上官から日常的な暴言、暴力を受けたとおっしゃっております。宴席でこの上官から首を絞められて抵抗して押し倒したところ、翌日の電話で、死ねや、殺したる、鼻の骨も頭蓋骨も折るよ、全部折る、おまえの骨一本一本折ったろか、全部などと言われております。被害を受けた方は別の上官に相談したところ、けんか両成敗、ストレスのない職場とか環境づくりとかって、そんなもん、おまえ、理想じみたことをぐだぐだぬかすやつは大嫌いなんだよ、このまま変わらないんだったら辞めろと退職を迫られたと。この方は二一年に退職を決意されております。
この報道を受けて、二〇二一年九月の十七日に岸信夫前防衛大臣は記者会見の場で、現在調査中、事実関係に基づき適正に対処してまいりたいと明言をされました。
二二年六月五日の沖縄タイムスによれば、航空幕僚本部は沖縄タイムスの取材に対し、まずは現場部隊が調査し刑事事件に該当する場合は警務隊が捜査すると説明、男性のケースについては、空幕と現地で連携しているが調査中で詳細は控えると明らかにしなかったと報じられております。
これは局長で結構ですけれども、調査の明言から一年半がたとうとしておりますけれども、調査の結果はどうなっておりますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの航空自衛隊那覇基地のハラスメント事案につきましては、部隊における事実関係の調査を終え、懲戒処分調査を行うべき事実が判明いたしましたことから、現在、航空自衛隊において懲戒処分の手続を行っているところでございます。
○宮本(岳)分科員 事実が判明したので懲戒処分に移行すべき事案だということであります。調査の明言からもう一年半がたっておりますから、速やかな対応を求めたいと思います。
二〇二二年、昨年十二月十三日、海上自衛隊の一等海佐がハラスメントを起こしたということで二階級降任、そして、そのパワハラの調査について、事実関係を部下隊員らに調査させた際、当該事実を認識し得る端緒があったにもかかわらず、これを無視して不十分な調査を行わせ、結果として当該部下隊員らに事実とは異なる調査結果を報告させたとして、上司である海将補の一階級降任の懲戒処分が実施されました。
この懲戒処分に関わり、海幕長が会見を行っております。この会見の質疑応答の場で記者が、事実上、故意に適切な調査をしなかった疑いがあるような不適切な調査があり、こうしたような隠蔽体質というようなことの改善ということは当然しかるべきだと。その点の改善策を問われて、今回、このように、故意か若しくは過失なのか分かりませんが、事実とは異なる調査結果が上がってきたということに関しては、特に調査を命ぜられた者、若しくはそれに当たるだろう者に対して、継続的に、公明正大な調査と必要性というものについては、今後継続的に教育するとともに、その調査に当たる上司からもしっかり監督するように、若しくは、海上幕僚監部からもしっかり指導すると答えております。
この海幕長の回答に対し、上司に指示をするだけではなくて、抜本的な解決、要するに、どこかで止まればもう外に出ないのではなくて、確実に外に出るような仕組みなど必要だとする記者に、海幕長は、少なくともダブルチェック若しくは客観的な調査というふうなものを、現在その仕組みができていると思っていますと述べておられるんですね。
つまり、防衛省としては、ダブルチェック、客観的な調査の仕組みができているからそれでよいのだ、そう読み取れるわけですけれども、これも局長で結構ですが、そういう認識ですか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
令和四年十二月十三日の海上幕僚長の記者会見におきまして、委員御指摘の発言の後に併せて、それで十分というふうには考えておりませんと発言させていただいているとおりでございます。
防衛省・自衛隊といたしましては、このような事案が生起したことは、従来行ってきたハラスメント防止対策の効果が組織全体まで行き届いていなかったことの表れであり、誠に遺憾であると思っております。
現在、浜田防衛大臣の指示に基づき、防衛省ハラスメント防止対策有識者会議におきまして、自衛隊内部の意識やこれまでのハラスメント調査の在り方を含むハラスメント防止対策について、客観的な視点で見ていただきまして、入念に検証していただいており、この対策を取ってまいり、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたい、このように考えているところでございます。
○宮本(岳)分科員 現状でいいわけないんですけれども。
そこで、そのハラスメントの相談件数について、ちょっと御答弁いただきたいと思うんですね。防衛省のパワハラホットライン、各機関等相談窓口への相談件数の合計を、過去五年間、どうぞ年次を追って件数を御答弁いただけますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
防衛省内部部局のホットライン及び各機関等相談窓口への各種ハラスメントの相談件数の合計は、平成二十九年度は三百二十六件、平成三十年度は六百二十五件、令和元年度は千七十四件、令和二年度は千四百六十八件、そして、令和三年度は二千三百十一件でございます。
○宮本(岳)分科員 まさに倍々のペースで伸びているということなんですね。
自衛隊部内外のカウンセラーの相談件数、これを見ましても、二〇一九年五万四千五百八十三件、二〇二〇年五万一千七十四件、二〇二一年五万七千四百五十二件。これら全てがハラスメントではありませんけれども、ハラスメントの相談も含まれていると思います。
各種ハラスメントによる懲戒処分件数も、二〇一八年で八十七件、二〇一九年で八十二件、二〇二〇年で百十七件、二〇二一年で百六十八件と、これも、懲戒処分も増加しております。
更に言えば、これは相談があった上でハラスメントとして認定されたものだけなんですね。そもそも相談もできずにいる隊員、あるいは辞めてしまった方、ひどい場合には自ら命を絶ってしまった方などがいらっしゃる可能性がありますね。
二〇二一年度の自衛官の自殺者数と、そのうち、いじめ、ハラスメントを理由に自殺をした件数を示していただけますか、局長。
○町田政府参考人 お答えいたします。
大変申し訳ございません。今手元にちょっと資料がございませんで、改めて御回答させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○宮本(岳)分科員 通告をしたつもりなんですが。
二一年度の自殺者数は五十三名、また、自殺の多くは多様かつ複合的要因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きているということで、ハラスメント、いじめに特化して調査はしていないというお答えでありました。
ただ、多様かつ複合的な原因及び背景を有しているからといって、自殺の要因を自殺者一人一人についてちゃんと明らかにしていくことが必要だと思いますし、自殺者数の中でいじめ、ハラスメントを理由にという人の数をつかむことは非常に大事なことだと思います。ちゃんとそういう数をつかんで報告するということでよろしいですね、局長。
○町田政府参考人 大変申し訳ございません。
令和元年度、二年度、三年度の総数につきましてお答えさせていただきます。
令和元年度の自殺者数は、陸海空合わせて五十四名でございます。令和二年度は同じく五十九名、令和三年度は五十三名でございます。
大変申し訳ございませんでした。
○宮本(岳)分科員 これも本当に根絶されないわけですよ。
それで、もちろんプライバシーに配慮することは必要でありますけれども、本当にハラスメント、いじめをなくそうと正面から向き合うならば、数を明らかにすることはどうしても必要です。
それで、高い自殺率ということが言われておりまして、実は、スターズ・アンド・ストライプス、星条旗新聞であります、これは米軍の新聞でありますけれども、この星条旗新聞の二〇〇八年一月二十一日の記事というのがあります。最近の調査では、カウンセラーに助けを求めると答えた自衛隊員は僅か三%というふうにこの記事中に書かれておりまして、千先康二陸幕衛生部長当時は、自衛隊の死因の第一位は自殺と述べております。この記事では、二〇〇六年の米軍の自殺率は十万人当たり十七・三人、自衛隊の二〇〇六年四月から二〇〇七年三月の自殺者数を計算すると十万人当たり三十八・六人ということを数字まで挙げて、米陸軍の倍以上だ、こういうふうに星条旗新聞には書かれているわけですね。語っている人も、自衛隊の陸幕衛生部長がそこで語っているわけですから、勝手に米軍が語っているわけではないんですね。
要するに、人権侵害であるいじめ、ハラスメントがなくならない結果、多くの自殺者を出すことになっている。冒頭、浜田大臣も人権侵害だという認識を語られましたけれども、では、なぜ、こんなハラスメントが自衛隊からなくならないのかということについて、大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
○浜田国務大臣 今委員からも御指摘があったとおりでありますが、職種自体も上下関係があるわけでございますので、その中でどうしてもそういう傾向が出ているというのは、これはなかなか解決しないところであります。
我々とすれば、こういった原因を目の前に今数字として突きつけられているわけでありますので、委員の御指摘のとおり、しっかりとこれを形にして明確にしていくことというのはとても大切だと思っておりますので、その点も考慮しながら、今有識者会議で議論していただいているところでありますので、しっかりと対応したいというふうに思います。
○宮本(岳)分科員 いろいろやっておられるのは分かっているんですが、その有識者会議なんです。
有識者会議では、有識者の方々から、一般企業では到底起き得ないレベルのハラスメントが行われたものと考える、防衛省・自衛隊で起きているハラスメントが、一般企業と比較して悪質性が高いということであれば、何かしらの原因があるはずであり、そこを明らかにしなければならない、陸上幕僚長が指摘されているように、現場でのハラスメントの意識が希薄というのは、研修が失敗していることの証左などと指摘をされております。これは、自衛隊という組織の在り方の問題であるということだと思うんですね。
我が党は、大臣も御承知のとおりです、国民合意に基づく自衛隊の段階的解消と、憲法九条を生かした外交で平和をつくり出していくという外交ビジョンを示しております。しかし、このハラスメントの問題は、自衛隊の是非の問題ではなく、個人の尊厳、人権の問題ですね。防衛監察本部も、防衛省・自衛隊は階級といった明確な上下関係が存在するため特に注意が必要と認めているように、ハラスメントが起こりやすい組織体質なんですね。
だが、いじめやハラスメントは今まさに、今日も起こっている可能性がある。組織文化が変わるのを待ってはいられないわけです。隊員の人権を守るために、適切な調査、ハラスメントに対する厳格な対応が求められると思います。
長年、自衛隊の自殺、いじめ問題を追及している三宅勝久氏の著書「絶望の自衛隊 人間破壊の現場から」、こういう本が出ているんですけれども、この本では、代休を取ろうとしても取らせてもらえなかったという事例が出てくるんですよ。そして、未消化の休みを取りたいと言ったけれども、休みのことばかり言っていると職務専念義務違反で懲戒処分になるぞと言われたそうで、やむなく諦め、退職したという話が出てきます。
中途退職する自衛官は年間約五千人、そのうち、任官後四年以内に辞める自衛官が約七割というふうに聞いております。中途退職の理由を二〇一九年に初めて整理し公表したと聞いておりますけれども、直近の調査において、いじめやハラスメントを理由に退職した自衛官はどれくらいいるか、局長、お答えいただけますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
令和三年度の自衛官の中途退職者については、約五千七百名となっております。
○宮本(岳)分科員 うち、いじめやハラスメントが理由だった方はどれだけおられますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
中途退職者の退職理由は様々でございますが、先般のセクハラ事案で明らかになったように、ハラスメントを背景とした中途退職は一定程度存在すると考えております。
ハラスメントは、人の組織である自衛隊において、隊員相互の信頼関係を失墜させ、組織の根幹を揺るがす、決してあってはならないものだと考えております。そうしたことを各自衛隊員が改めて認識し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築してまいりたい、このように考えているところでございます。
○宮本(岳)分科員 就職や家庭の事情というものもあるんでしょうけれども、さきに述べた海上自衛隊員が退職する際に、休暇を取得できない、俸給に見合った待遇とは思えない、組織として隊員のオーバーワークを問題視していないと書いて退職願を上司に提出したところ、横浜地方総監に出すんだぞ、この文を見せられるかと言って受理を拒み、転職して自らのスキルアップを図ると薄く鉛筆で書かれたものを受け取り、それをなぞって提出したとこの方はおっしゃっております。こうした書換えが行われているとすれば、実態把握はもちろん、改善は見込めないと思うんですね。
局長、こうした書換えが間々行われているということは把握しておりますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
陸海空各自衛隊におきましては、隊員の心情把握、これを一層進めることを現在課題としておりまして、今委員も御指摘いただきました海上自衛隊におきましては、職場の中で部下の方が気軽に相談できる、ANIKIといいます、愛情、それからそれぞれの頭文字を取った制度、これで気軽に相談できる体制を取って、ハラスメントや、それから相談しにくい環境といったものをなくそうということに着手をしているところでございます。
御指摘いただきましたようなことのないような組織にしてまいることが重要でございますので、そういった取組を引き続き続けていきたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)分科員 いや、私が聞いている話でも、そういうANIKIという制度をつくれば立ち所に改善するような、そんな甘い実態ではないというふうに聞いているんですね。
例えば、書換えについては、二〇二一年十一月、陸上自衛隊相浦駐屯地の水陸機動団に所属する三曹が自殺を図り、死亡した事件で、精神面の健康チェックシートに健康状態が悪いという趣旨の回答をしたところ、上司である曹長から書き直しを命じられ、数日後に自ら命を絶つという痛ましい事件になったと報じられました。書換えは、ほかにも複数人が求められたと。こんな弱音を書くなとか、自衛隊の隊員たるものが精神的にきついとかそんなことでどうするかと言われる。
だから、自衛隊の中の指揮命令系統みたいなところでは日頃からそういう、いざというときにはということに空気がなっていますから、そんなANIKIみたいなもので弱音が吐けるということになってりゃ苦労せぬわけで、むしろ、そういう系統を通じて上司から暴行を受けた、暴言を吐かれたというのが今続出しているわけであります。
隠蔽体質、閉鎖性は、悲しいことに防衛省・自衛隊の組織文化の一つではないか。
元自衛官の五ノ井里奈さんが性暴力を受けたことを告発いたしました。これは、五ノ井さんが勇気を持って顔と名前を出して告発したことで発覚した。このような告発をしなければ、隠蔽され、救われないということは許されません。
私に相談をされた方も、勇気を振り絞って告発したにもかかわらず、もみ消し、隠蔽しようという動きを感じ取れるので、激しい怒りが込み上げてきますと述べておられます。
この隠蔽、もみ消しというような事例は、枚挙にいとまがありません。
海上自衛隊の「たちかぜ」におけるいじめ自殺事件。二〇〇四年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士、当時二十一歳が外出中に自殺をいたしました。艦内での暴行、恐喝事案があったことが判明をいたしました。元二等海曹によるいじめが原因として、御遺族は、元二等海曹及び国に対し損害賠償を求め提訴。二〇一四年四月二十三日、東京高裁で、元二等海曹及び国の責任を認める判決が出され、国は上告せず、判決が確定しています。この東京高裁における裁判の中で、破棄し、存在しないとされていた艦内の実態調査アンケートの存在が内部告発により明らかにされました。
海上自衛隊「さわぎり」におけるいじめ自殺事件。一九九九年十一月八日、護衛艦「さわぎり」乗員の三曹が艦内で首をつり、自殺しているのが発見されました。直属の上司から、ばかかおまえは、三曹失格だ、仕事ができぬくせに三曹とか言うななどと侮辱的な言動を受けていたが、二〇〇〇年五月、海自佐世保地方総監部は、いじめはなかったとする調査報告書を公表しました。しかし、御遺族がこれを不服とし、国に対し損害賠償請求を行いました。国は、言動は指導、教育の範囲内と主張しましたけれども、福岡高裁は、侮辱的な言動によるストレスが原因でうつ病にかかり自殺したと認められると、上司の行為と自殺の因果関係を認定し、国に三百五十万円の賠償を命じたわけです。防衛省は、上告を断念しております。
航空自衛隊浜松基地いじめ自殺事件。航空自衛隊浜松基地で十年間にわたって先輩自衛官から暴言、暴行などのいじめを受け、二〇〇五年に男性自衛官、当時二十九歳が自殺した事件です。いじめの違法性は重大、自殺に相当の因果関係があるとして、原告側の主張をほぼ全面的に認め、国に対し総額八千万円余りの賠償を命じました。先輩隊員による殴る、蹴るといった暴力、人格を否定する、死ね、辞めろといった暴言や、不要の反省文百枚を書くことを強要し、同僚の前で朗読させるなどして自殺に追い込んだと。浜松基地では、調査チームをつくり、内部調査をしたと言うけれども、まとめられた調査報告書では、行き過ぎた指導だが、自殺との因果関係は特定できなかったとしているわけですね。
防衛大学在学中にいじめを受け、うつ病を発症した元学生が、国と当時の上級生に対し損害賠償を求める裁判をしております。いじめの内容が書かれた資料の開示を求めておられますけれども、この資料の開示はやっておりますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘いただきました資料の開示につきまして、事実関係がどうなっているかということを調べて、後ほど報告させていただきたいというふうに思います。
○宮本(岳)分科員 これは既に報じられておりまして、資料開示を求めましたら、自衛隊は、廃棄した、こういうことで、紛失又は誤廃棄したというふうに御遺族には返しているということでございました。
「たちかぜ」のときも最初は廃棄したということでありますし、役所が廃棄したといって資料を出さないのは、私は痛いほど様々な役所で体験をしてきましたから、もうそういうことはあってはならないと思うんですね。
被害者、御遺族は、内部調査では公正な結果が期待できないと述べております。私が相談を受けた方も、今は同じ部隊内の隊員が調査をしており、隠蔽される可能性もあると述べ、公正な調査、処分を求めております。内部調査では明らかにならないから、五ノ井さんのように顔や名前を公表して告発するか、又は裁判に訴えるしかないということなんですね。
大臣は、大臣指示で、全ての案件について適切に対応するよう措置せよとおっしゃるわけですけれども、実際に起こっていることや告発がもみ消されているという実態もまたあるわけですよ。また、アンケートを上官の目の前で書かされる、知っていることを詳細に書こうとすれば時間がかかって、何か書いているなということが上官に分かってしまう。こういうことではもう到底書けないわけであります。こうしたアンケート調査を行う場合にも、匿名であることなど、プライバシーの配慮に心がけるべきだと思うんですが、これはひとつ、大臣の御見解をお答えいただきたいと思います。
○浜田国務大臣 今委員から御指摘のありましたこと、我々は重く受け止めなければならないと思っておりますし、今後、調査の仕方についても、今、特別監察等々、第三者的な視点から、プライベートを守りつつ、そしてまた、そういった対応をできないようにしっかりとした情報管理をしながらやらせていただいているところでありますので、更に一層戒めていきたいというふうに思っております。
○宮本(岳)分科員 第二回有識者会議の議題は、各自衛隊の勤務環境・勤務態勢に関する特性とハラスメントに対する問題認識でございました。会議に資料が提出されておりますけれども、陸上自衛隊のハラスメント防止施策として、ハラスメントの相談対応、事案対応はどのようになっておりますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
陸上自衛隊の相談に関しましては、いわゆる部隊の中隊長を核とした指揮系統の相談、そして、ハラスメント、これはセクハラも含めてでございますけれども、セクハラ相談員、ハラスメント相談員といった方々の指定、この二系統を通じまして被害者の方々の相談を受けるという体制になっております。
○宮本(岳)分科員 相談は、それは窓口で受けるんです。対応は、指揮系統をもって対応するとなっているんですね。
海幕長は会見で、不祥事案が起きた場合には公明正大に透明性を持って調査すると同時に、高級幹部の選抜要領を検討するということもおっしゃっているんですけれども、つまり、日頃の指揮命令系統では見過ごすわけですよ。横の人や下の人からちゃんと聞かないとパワハラという実態が出てこないということも、今回の事案が示しているわけですね。
私は、しっかりとこの点も踏まえて、指揮命令系統ではない形で対応できることを考えないと、職場のその指揮命令系統でいじめやパワハラが現に起こっていて隠蔽もされているわけですから、有識者の検討結果を受けて、自衛隊内でのいじめやハラスメントの根絶のために予断を持たずに改善する、この防衛大臣の決意をお伺いして、今日、私の質問を終わりたいと思います。
○浜田国務大臣 先ほど来お話をいただいたところ、いろいろな問題があったことは事実でありますので、我々とすれば、二度とそういうことを起こさないように、今後しっかり対応してまいりたいと思います。
○宮本(岳)分科員 ありがとうございました。
終わります。