全国民にカード強制
マイナンバー政策 宮本岳志氏が批判
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は21日の衆院総務委員会で、マイナンバーカードを多く普及した自治体に地方交付税を多く配分する国の政策が、カードを持たない人を公共サービスから排除することにつながると批判しました。
政府は、地方に配る地方交付税の「マイナンバー利活用特別分」を、カードの普及率が高い上位3分の1の自治体に割り増して配分します。その理由について政府は、コンビニエンスストアでカードを使って各種証明書を交付する際の手数料の割引策など「交付率が高いところほど、財政需要が大きくなる」傾向があるためだと説明しています。
宮本氏は、住民の利便性のためではなく、カードの利活用を促すためのものだとして「財政需要が際限なく膨れ上がる」と批判しました。
宮本氏は、マイナポイント事業に総額2・1兆円もの予算を使って取得をあおったものの、交付率はようやく63%だと指摘。世帯全員のカード取得を保育料無償化などの条件にする自治体まで出てきているとして「任意のカードを全国民に強要する政策が根本にある。ただちにやめるべきだ」と求めました。
松本剛明総務相は「全くそう思わない」と強弁。宮本氏は、持ちたくない国民にもカードを強制することは許されないと重ねて主張しました。
(しんぶん赤旗 2023年2月22日)
動画 https://youtu.be/mbJYeTvoHxg
配布資料 20230221総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、二月十六日の当委員会で、カード交付率が上位三分の一に達している市町村について、更にカード交付率が高い市町村ほど高い割増し率に算定する理由について、自治財政局長が適切と述べられた中身についてお尋ねをいたしました。
自治財政局長は、私ども、いろいろと調査の中で分析をしましたところ、カードの交付率が高いところほど財政需要が大きくなるというような傾向も見られる、こう述べて、例として、各種証明書のコンビニ交付サービスの軽減措置を挙げられました。
では、資料一を見ていただきたい。
地方公共団体情報システム機構、J―LISのホームページであります。「導入のメリット」にはコストの低減と書いてございます。
大体、政府は、マイナンバーカードの普及により行政を効率化すると言ってきたのではありませんか。コストを度外視した割引支援をする、こういうことですかね。
○原政府参考人 お答えいたします。
私ども、デジタル化、マイナンバーカードを進めてコストの縮減につながるという面がございましたが、それは、そこのデジタルの分野だけではなくて、それによって効率化した部分はほかに、地方団体は防災ですとか福祉ですとかいろいろな財政需要が生じておりますので、そちらの方に振り向けるということでございまして、その話と、このデジタル自身に住民サービスの向上のために財政需要がかかる、これは別物だというふうに理解しております。
○宮本(岳)委員 そこで聞くんですけれども、交付率が多くなればなるほど、各種証明書のコンビニでの交付が増え、財政需要が増えるというのは一体どういう理屈なのか。利便性ではなく、割り引くことで誘導する、利活用してもらうための策以外、何物でもないんじゃないんですか。
○原政府参考人 お答えいたします。
コンビニ交付は、住民の方が市役所とか役場に来なくても、身近な、コンビニですとか、あるいは今度郵便局にも広げますけれども、そういうところで身近にいろいろな証明書が取れるということで、住民の暮らしを便利にするということで取り組んでいるものでございます。
○宮本(岳)委員 じゃ、聞きますけれども、このマイナンバーカードの取得率の向上策とそれに伴う財政需要の積み増しは、マイナンバーカードの普及が進めば進むほど財政需要が膨れ上がるということを示しています。
つまり、利活用を促す財政需要が際限なく膨れ上がっても構わない、こういうことですね、趣旨は。
○原政府参考人 お答えいたします。
私どもは、今、マイナンバーカードの普及を前提としていろいろなデジタル経費、財政需要を把握しようとしておりますが、今後については、それぞれまた、それぞれの地方団体の取組状況やいろいろな財政需要をまた見ながら対応してまいりたいと思っております。
○宮本(岳)委員 今後のことは分からない、こういうことですね。今はやっているけれども、今後はどうなるか分からない。
この間の様々な政策の推移、この間、議論してまいりましたけれども、インセンティブという形で最初入るんですけれども、やがては、それが当たり前になったときには、財政需要というふうにみなされなくなるというのはこの間の常でありますから、私たちは、こういうやり方、とりわけカードを持つ者と持たない者で受益に差をつけるというのが今の国の推進策なんですね。
そこで次に聞くんですけれども、先日、二月中に申請があったマイナンバーカードのマイナポイントの申込みを五月まで延長するという報道がありました。
マイナポイントに使った費用を、ポイントの原資、事務費などの経費に分けて御答弁いただけますか。
○大村政府参考人 お答えいたします。
マイナポイント第一弾の予算額については、約二千九百七十九億円でございます。また、マイナポイント第二弾の予算額につきましては、総額で約一兆八千百三十四億円ということで総務省の予算はなっております。
このマイナポイント第二弾の事業の予算でございますが、ポイント原資といたしましては一兆七千七百二十五億円、そして、国のシステム改修費が三十六億円、キャッシュレス決済事業者のシステム改修等で約七十億円、自治体によるID設定支援事業等で約九十三億円、事業者によるID設定支援等で約百七十一億円、国の広報費で約七十五億円というふうになっているところでございます。
○宮本(岳)委員 それを全部一つずつ読んでいただかなくても、資料二で配付してありますから、確かにそのとおりの数字でありました。総務省から提出を受けたものでありますけれども、総額で二兆一千百三十三億円に上る予算がこれに費やされてまいりました。
マイナンバーカードの申請件数と交付枚数、J―LISから自治体に発送された枚数、そして交付取りやめ件数は、二月十九日時点、直近の数字でどうなっておりますか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカードの有効申請受付件数は、二月十九日時点で約八千七百八十四万件、交付枚数は、同日時点で約七千八百五十一万枚となっております。
また、J―LISから自治体への累計の発送件数は、同日時点で約八千八百五十四万件、累計の交付の取りやめ件数につきましては、二月十七日時点で約二百六十九万件となっております。
○宮本(岳)委員 これも資料三につけてございます。見ていただきたい。
まず聞きたいんですけれども、有効申請受付枚数と交付枚数の間に一千万近い差があるのはどういうわけですか。
○吉川政府参考人 有効申請受付件数と交付済枚数の差は、有効に申請を受け付けておりますものの、J―LISから市町村に対して、未発送である、又は、発送済みですが住民に対して未交付のものがあるということによるものでございます。
○宮本(岳)委員 これは、この開きというのは、今言ったように、申請したものの結局渡っていないものですね。
総務省は、この中に亡くなった方も入っていると言うんですけれども、あるいは、この最後の交付の取りやめ件数二百七十万枚というのがあるんですけれども、亡くなった方ばかりではありませんね。
予算を使って取得をあおってきたんですけれども、今の時点で人口に対する交付率を出しますと、ようやく六三%、六割ちょっとなんです。十人に四人は取得もしていないんですね。
そのときに、自治体にはカードの交付率で地方交付税の配分を差別する。結果、この間議論してきたように、岡山県備前市のように、世帯全員のマイナンバーカードの取得を条件に、外れた家庭からは無償化を取り上げるという罰のような政策が導入されようとしております。
これは、結局、義務でもなく任意のカードをほぼ全国民に強要するような政策に根本原因があると思うんです。私は直ちにやめるべきだと思いますが、総務大臣、そう思われませんか。
○松本国務大臣 我が国が発展をしていくために必要だと考えておりますので、全くそう思いません。
これまでも申し上げてきたように、マイナンバーカードは、デジタル社会の基盤となるツールでございます。
その上で、先ほども局長から御答弁申し上げましたが、有効申請受付件数と交付枚数は、いわば時間差の問題でございますので、順次、有効申請受付件数に近いところまで交付をさせていただくことになろうかというふうに思っております。
その上で、先ほどもお話をいただきましたが、この機会に改めて申し上げれば、マイナポイントについては、二月中に御申請いただいた方が、その後交付を受けて、マイナポイントの御申請をいただくのは五月末まで、これまでは、申請受付とマイナポイントの申請までの間が二月取っておりましたのですが、今回は最後ということで、三か月取らせていただいたということを御説明をさせていただいたところでございます。
また、マイナンバーカードの交付率を交付税の算定に反映させることについてお話がございましたが、先ほど局長からも御説明申し上げましたように、コンビニなどの証明書の交付などですと、やはり手数料もありますので、こういった件数が伸びれば財政需要が伸びる部分があるということは御理解をいただきたいと思います。
また、当然コストの削減のお話も申し上げておりますが、マイナンバーカードによって、いわばコンビニ交付などが進むことは、住民の方に、利便性の向上によって、いわばメリットを享受をしていただく部分があるということになろうかというふうに思っておりますので、行政自身が効率化する部分と、住民の皆様にお届けするサービスの質が向上する部分と、全体としてのコストはトータルとしては効率的になるのではないかと私どもは考えております。
その上で、様々な形でデジタル社会を推進していくことが必要だということで、この基盤となるツールとしてのマイナンバーカードの普及は、国民、住民の皆様に資するものであると同時に、また、様々な将来の発展にもつながるものだということで、普及促進は先につながるものの一つのステップとして皆さんにお願いをしていますが、その理解を深めていただく意味でも、マイナポイントなども必要な経費としてお願いをさせていただいているところですので、是非、御活用も含めて、御理解をいただきたいと思っております。
○宮本(岳)委員 全く意見が違うんですね。それは、あなたと私で意見が違うのは当たり前ですけれども。
じゃ、この政策がどうなっていくかは検証しなきゃなりません。例えば、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートだというふうに語られるわけですけれども、パスポートはなければいけないわけですね。じゃ、行政が、任意の制度ですよ、パスポートだと言って、それで住民サービスになるはずだ、相手にとってもよいはずだとおっしゃった。おっしゃったけれども、それはあなたがそう思っただけであって、また政府がそう思っているだけであって、一人一人の国民は、それでハッピーかどうか決めてもらう必要はないんですよ。それが任意の制度というものの趣旨なんですよ。
それを、任意のままであるにもかかわらず、全国民を目標に、押しつけるから、全ての矛盾の根本がここにあるということを私は申し上げたわけでございます。
あなたがるる答弁されましたので、次のテーマに行く時間がなくなってしまいました。私は、次に、公務員の過労死の問題、前回に続いてもう少しきちっとやろうと思ったんですけれども、時間がありません。
今日、でも、せっかく公務員部長に来ていただいていますから、私の方からお願いしていたメンタル疾患による長期病休者の問題、とりわけ過労死白書の百六十九ページに何を書いているかというところだけ、読んでいただけますか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの該当ページには、
職種別の主な業務負荷状況については、義務教育学校職員では「住民等との関係」、義務教育学校職員以外の教育職員では「仕事の量」、警察職員では「仕事の量」及び「対人関係等」、消防職員では「異常な出来事への遭遇」及び「対人関係等」、その他の職員(一般職員等)では「仕事の量」がそれぞれ最も多くなっている。
というふうに記載をされております。
○宮本(岳)委員 公務員部長は、前回、職員の数を減らしたことと精神疾患、メンタル疾患の増大とに相関関係が認められないかのような答弁をしましたが、過労死白書にはそのように書かれているわけですね。
今日はもう時間がありません、今、終了というのが来ましたので。次回、今後、必ずこの問題をやりますからね。私は、公務員を減らし過ぎたという認識がなければこの問題の解決には当たれないということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。