議事録
宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法、地方交付税法等改正案に反対の討論を行います。
まず、地方税法等改正案についてです。
国民の実質賃金や年金は減り続け、物価高騰で貧困と格差は一層深刻化しています。今大切な地方自治体の役割は、住民の命と暮らしを守り、福祉の増進に努めることです。
地方税法を改正するなら、生計費非課税の徹底、富裕層、大企業に対する応分の負担、困窮者への税負担軽減など、所得再配分機能の発揮こそ求められています。ところが、本法案では、そうした措置は見当たりません。これでは、住民の命と暮らしを守ることはできず、到底、地方自治体の役割を果たすことはできません。
また、税理士法改正で創設される税務相談停止命令制度が地方税にも適用されることも重大です。地方税においても、曖昧な基準による強力な権限行使や自主申告運動潰しにつながりかねません。
次に、地方交付税法等改正案についてです。
本法案は、社会保障費の抑制と地方公務員の削減、アウトソーシング路線を継続するものとなっており、反対です。
政府が続ける一般財源同水準ルールは、地方自治体に、毎年増加する社会保障費の増を、給与関係費や投資的経費の削減で吸収せざるを得ない状況を押しつけています。
児童福祉司や保健師の増員のための財政措置は、限られた範囲内にすぎません。
集中改革プラン以降、地方公務員を二十三万人も削減し、深刻な長時間勤務を招くとともに、年収が二百万円にも満たない非正規職員が増え続けていることも重大な問題です。
新型コロナ対策など脆弱さが浮き彫りとなった地方の行政基盤の再構築には手をつけようともしないまま、マイナンバーカードの普及促進のために、カード交付率を普通交付税の算定に用いるやり方を導入していることは極めて重大です。この仕組みにより、自治体はカード普及競争に駆り立てられることとなり、さらには、カード所有の有無によって行政サービスの提供に差をつけていくことさえ始まっています。これは、本来地方の固有財源であり、財源保障と財政調整が役割の地方交付税を国策推進に利用するもので、断じて許されません。
国は、自治体が役割を発揮できるよう、法定率の引上げなど財政確保に責任を果たすべきことを強く求めて、反対討論といたします。