金沢大 学生寮存続を
宮本岳志氏「学生の声を聞いて」
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は10日の衆院文部科学委員会で、金沢大学の学生寮「泉学寮」が廃寮されようとしている問題で質問し「経済的に苦しい学生の学びを支える学生寮だ。寮存続を求める多くの学生の声を聞いてほしい」と訴えました。
泉学寮は金沢市の市街地にあり、寄宿料・寮費700円、光熱費などの必要経費は1カ月1万5000円程度。大学側は耐震強度の不十分さを廃寮理由の一つとしていますが、同大の耐震診断によれば大規模地震による倒壊や崩壊の危険性は低いことが判明しています。廃寮で学生たちが山の上の学生留学生宿舎に移れば、光熱費を含め負担は優に3万円を超えます。
大学側は学生に入寮時に退去の確約書をとっていますが、宮本氏は「3回生以下の寮生だけのことで4回生以上の学生から確約書はとっていないのは事実か」と追及。伊藤学司文部科学戦略官は事実だと認めました。
宮本氏は、学生の経済的負担軽減や福利厚生も学生寮の重要な意義の一つではと質問。伊藤戦略官は「教育的意義に加え、学生の経済的負担軽減の意義もある」と認めました。
宮本氏は「学生たち当事者と誠意を持って話し合うべきだ。大学にアドバイスを」と要求。永岡桂子文部科学相は「金沢大学もきちんと話し合いに応じていただきたい。大学にも問い合わせる」と述べました。
(しんぶん赤旗 2023年3月12日)
動画 https://youtu.be/P06TyxqyNys
配布資料 20230310文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まずは、統一協会問題であります。
二月二十八日の宗教法人審議会で四回目の質問内容が了承され、三月一日に質問を教団側に送付いたしました。回答期限は三月十五日とされております。報道では、解散命令請求の可否判断は四月以降とされております。
昨年十一月二十二日に第一回目の質問権の行使を行ってから、既に三回のやり取りがあり、三か月以上が経過しております。四月ということになれば五か月ですね。
今回、更に四回目の質問を行ったのはなぜなのか、これは文部科学大臣にお答えいただきたい。
○永岡国務大臣 旧統一教会に対します四回目の報告徴収、質問権の行使につきましては、一つ、組織運営関係事項、二つ、教会管理運営関係事項、三つ、信徒会関係事項、四つ、予算、決算、財産関係事項、五つ目、献金関係事項の五つの項目につきまして報告を求めております。
今回報告を求めている内容は、これまでに旧統一教会から提出されました資料等の精査を踏まえまして、更に具体的な分析を進めていく観点から整理をしたものとなっております。
○宮本(岳)委員 しかし、こうしている間にも、被害に苦しんでいる方々は多数おられます。新たな被害者も生まれかねないわけですね。既に、元信者の方々約五十人が、弁護団とともに、十六億円の献金返還を求めて集団交渉を始めました。
これは合田次長に確認しますが、報告徴収や質問権の行使について、教団側から回答を待たなくとも解散命令を請求することを、宗教法人法のたてつけとしては妨げておりませんね。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
報告徴収、質問の手続の途中でございましても、解散命令を請求するに足る事実関係が明らかになった場合には、所轄庁は速やかに裁判所に対して解散命令請求ができるという仕組みになってございます。
○宮本(岳)委員 五月七日には韓国で合同結婚式が予定されていると報じられております。それまでに何もしなければ、更に被害が拡大する可能性がある。
私は、今すぐ解散命令請求に踏み出すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○永岡国務大臣 解散命令の要件というのはしっかりと宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当するかどうかの判断に当たりましては、法人の活動に係ります十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げ、これが不可欠と考えております。
そのために、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応、これを着実に進めまして、その上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 報告徴収、質問権を行使するということは、その先には解散命令があるということは、この間確認されております。
組織性、悪質性、継続性については、既にこれまでの裁判例で証明されていることだと思うんですね。
解散命令の発出を確実なものにするために、先ほど、五回目もあり得るという話がありましたが、更に質問権の行使が必要であったとしても、被害者を救い、これ以上被害者を生まない、広げないためには、一番の道は解散命令を早く請求することだと私は思います。
一方、これまで行使してきた報告徴収、質問権でありますけれども、どのような質問がなされたのか。その質問内容について議論された宗教法人審議会の議事録は公開されるんですか、合田次長。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使につきましては、宗教法人審議会において審議するに当たり、審議の内容を明らかにすることは報告徴収、質問権を効果的に行使する観点から望ましくないため、宗教法人審議会の議事についての申合せにおきましては、必要と認めるときは、宗教法人審議会の御判断により、必要な期間、議事要旨を公開しないことができるとなってございます。
そのため、旧統一教会に関する審議の議事要旨につきましては、解散命令請求が行われた場合は裁判所の判断が確定するまでの期間、あるいは、一連のプロセスにおいて旧統一教会から文部科学省等に対して訴えが提起された場合はその裁判が最終的に確定するまでの期間などに該当する場合には、その間議事要旨を公開しないということが全会一致で決定されたところでございます。
したがいまして、議事要旨については、今申し上げました審議会の申合せ及び取決めに基づいて取扱いがなされる必要があると考えてございます。
○宮本(岳)委員 裁判で決着がつくまで出さないという話なんですね。
一昨日、私が要求していたこの平成七年の、宗教法人審議会の審議の概要についてという文書がやっと開示されました。
この文書は、一九九五年の国会、オウム事件を受けての宗教法人法改正案を審議した衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に対して、当時の文化庁が示した資料なんですね。当時も、国権の最高機関たる国会が宗教法人法改正案を審議するに当たって、その改正案について審議した宗教法人審議会の内容を何一つ分からないままではその役割を果たせないとの議論の上に、要求して、当時も提出させたものであります。
今から二十八年前の国会でさえ、文化庁は、議事録の公表はできなくとも、これ、二十五ページあるんです、二十五ページに及ぶ宗教法人審議会の審議経過についてというこの文書を開示しているわけですね。
ところが、今回は、質問項目も、その回答の概要も、何一つ公開しておりません。
今回の統一協会問題については、その被害の深刻さや二世問題など、当時同様、国民の関心も高いです。加えて、国民の知る権利の内容も当時に比べて大きく前進をしてまいりました。
今回も、国会の審議を実りあるものにするためには、議事録や必要な資料を適切な形で開示して、国民的な議論に資するように取り計らうのは当然ではないか、こう思います。
そこで、少なくとも、議事録の公開の在り方を宗教法人審議会で議論していただきたい、少なくともそのことを検討していただきたい。大臣、いかがですか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
今般、宗教法人審議会におきまして、旧統一教会に対する報告徴収、質問権の行使について御審議いただいているところであり、その議事要旨については、権限の効果的な行使や、解散命令を請求した場合の裁判への影響などの観点から、審議会において慎重に考慮した結果、必要な期間、公開しないこと等をお決めいただいたものでございます。文化庁としては、この取扱いをしっかりと尊重し、踏まえてまいりたいと考えております。
なお、過日、平成七年の宗教法人審議会の審議の概要として、同年の衆議院宗教法人に関する特別委員会の理事会に提出したと思慮される資料を、既に国会に提出した公知のものとしてお示ししたところでございますが、当該資料は個別具体の権限の行使に関することではなく、宗教法人法という制度に関する議論を行った際の議事概要であることから、今般の宗教法人審議会の議事要旨と同様に扱うことはできないものと認識をいたしてございます。
○宮本(岳)委員 とにかく、きちっと議論していただいて、当然、国民の知る権利に資するようにしていただきたいと思います。
次に、学生寮の問題を取り上げたいんですね。
大臣は一昨日、所信で、少子化問題や格差解消のためにも、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要と述べられ、幼児期から高等教育まで切れ目ない形で、教育の無償化や負担軽減を着実に実施すると述べられました。
そこで、資料一を見ていただきたいんです。今年三月末をもって金沢大学の学生寮である泉学寮、白梅寮が廃寮されようとしていることを報じる朝日の記事であります。
寮生からの訴えを受けて、私は、今年一月十九日、金沢大学泉学寮へ伺って寮生の皆さんから話をお聞きし、翌日は馳浩石川県知事、御存じのとおり元文部科学大臣、とお会いをし、その後大学関係者とも面会し、学生の皆さんの声を直接届けてまいりました。
この泉学寮の最大の魅力は、寄宿料、寮費が一月七百円。光熱費等の必要経費を合わせても一万五千円程度であります。寮は町中にあるのでアルバイトもしやすいということでした。しかし、廃寮になると、現在は町中にはなく、キャンパスのある山の上の学生留学生宿舎へ移らなければならない。寮費も、北溟宿舎二万六千八百円、先魁宿舎でも二万二千円以上、光熱費を含めると優に三万円を超えてしまいます。
学生たちからは、勉強したいが、学生留学生宿舎へ移るとバイトを増やさざるを得ない、バイトをするために大学へ来たのではない、勉強に専念したいとか、双子の兄弟で二人同時に大学入学、一人は東京の私学に進学したため七百円の泉学寮に入寮することにしたなどと、切実な声が出されました。寮生は一人親家庭、浪人経験者が多いという声も聞きました。
大臣が、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要とおっしゃるのであれば、この学生たちの声に耳を傾けるのは当然だと思いますが、大臣、それはお認めいただけますね。
○永岡国務大臣 金沢大学では、学生寮の泉学寮及び白梅寮というのでしょうか、につきまして、大学側では、コンクリートの劣化等の老朽化が進行しておりまして、建物の安全性を維持することが困難であることから、令和四年度末に廃寮することを決定しているという旨、これは私も承知をしております。
金沢大学におきましては、これまで、寮生への説明会の開催ですとか、寮長との懇談会を開催するなど、学生に対しまして説明を実施してきたと聞いております。
引き続きまして、学生たちの意見を聞きながら丁寧な対応を大学には行っていただきたい、そう考えております。
○宮本(岳)委員 金沢大学当局は、学生には入寮の際に退去の確約書を取っているとおっしゃるわけです。それは現三回生以下の寮生だけのことであって、四回生を含む四回生以上の学生からは確約書などは取っていないことが確認されております。昨日、文科省も私の目の前で金沢大学に問い合わせて、四回生以上は取っていないと確認しておりますが、これは間違いないですね。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
金沢大学泉学寮及び白梅寮の廃止を決定をいたしました平成三十一年二月時点では、既に平成三十一年度学生募集要項で学生寮の案内を行っていたことから、平成三十一年度入学者、現在の四年次生でございますが、については、標準修業年限である四年間の在寮を保証した上で、廃寮日を令和四年度末に設定をしたと聞いてございます。
また、平成三十一年度、四月以降入学の寮生については、廃寮日について入寮許可書への記載により通知をしており、平成三十年度以前入学の寮生にも、廃寮決定通知から一定期間を確保した四年後に廃寮日を決定することで配慮を行っている旨を聞いているところでございます。
○宮本(岳)委員 確認書、確約書を取ったか、取っていないか、それのみ答えてください、再度。
○伊藤政府参考人 いわゆる確認書という形では、現三年次以下の学生については、入寮時に令和五年三月三十一日までに退去する旨の確約書を提出をいただいてございますが、それ以前の入寮者には、この形での確約書の提出はいただいてはございませんけれども、先ほど申しましたように、廃寮日について入寮許可書への記載により通知をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 つけ加えなくていいんですよ。取っていないんです。三回生以下の学生と四回生以上では明確に違うんですね。だから、全て取っているという議論はそもそも成り立たないんです。
そもそも、日本政府は、二〇一二年九月十一日、長らく留保してきた国際人権規約、A規約十三条二項(c)、高等教育の漸進的な無償化条項の留保を撤回する旨を国連事務総長に通告いたしました。今では、無償教育の漸進的な導入、つまり段階的な学費無償化は、日本政府の国際的な責務となっております。
泉学寮廃寮の話を聞いた私の地元の金沢大学卒業の医師からは、自分も金沢大学の寮出身だが、寮があったから進学できた、安い寮をなくさないでほしいという訴えが寄せられました。寄宿料七百円という安い寮があったから、安心して進学できたという話なんですね。
大学の学生寮には、集団生活による教育的効果、コミュニケーション能力の育成、外国人留学生との混住による異文化交流など様々な意義があることは十分分かっています。しかし、同時に、学生の経済負担の軽減、福利厚生も学生寮の重要な意義の一つであると考えますけれども、これは文科省もよろしいですね。
○伊藤政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、学生寮には、学生の集団生活を通じたコミュニケーション能力の向上や、日本人学生と外国人留学生との共同生活を通じた異文化理解、外国語能力の向上など様々な教育的な意義に加え、低廉な寄宿料によります学生の経済的負担軽減の意義も有しているというふうに認識をしてございます。
○宮本(岳)委員 経済的に困窮する学生の福利厚生施設としての寮を存続してほしいというのが、学生や寮生から寄せられている、またOBから寄せられている熱い願いなんです。
私は、泉学寮で学生たちの話を聞いた翌日、馳浩石川県知事と面会をいたしました。こうした学生の思いや実情を伝えるとともに、県営住宅に学生が一定の条件の下で入居できるよう検討しているということを確認をいたしました。しかし、検討は進んでいるんだけれども、年度内、つまり寮生の退寮期日予定日である三月三十一日までには間に合わないとの見通しでありました。そこで、その後、金沢大学事務方に話を聞くと、既に県営住宅の活用についての県との協議を始めていると一月二十日時点でおっしゃったわけであります。
確認しますが、このように、国立大学と都道府県当局、自治体が連携協力して学生の学びを支えることは大いに喜ばしい、よいことだと思いますが、これもいいですね。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
一般論としてでございますが、大学が、自治体と連携し、学生に対して住環境支援を行うことは、学生の修学機会を確保するなどの観点から望ましいものであると、文部科学省としても考えております。
○宮本(岳)委員 当然ですね。
さらに、私に対応してくださった金沢大学の職員のお一人は、本省の児童生徒課生徒指導室におられた方でございました。この度、初等中等教育の生徒指導提要の改訂作業に当たって、子どもの権利条約、子供の意見表明権についてしっかり書き込んでいただいた方でもありました。
私からは、今年一月十八日に開催された国大協の総会では、各国立大学の学長から、物価高騰を反映する仕組みを考えてほしい、大学の努力を超えているなど、次々と悲鳴のような声が上がったことを大学に紹介しておきました。
これも確認します。確かに、国大協の総会で、各学長からそういう声が上がりましたね。
○伊藤政府参考人 一月十八日に開催されました国立大学協会の会議におきまして、光熱水費の高騰などにより大学の経営が圧迫されている状況にあるという趣旨の、複数の発言があったというふうに承っております。
○宮本(岳)委員 物価高で国立大学の経営が大変ならば、学生の生活はもっと大変になっているという想像力を持ってほしいと私は訴えたんです。大学側は、廃寮は既に四年前、二〇一九年に決まっていることだと、大臣冒頭におっしゃったような、ちゃんと前々から決まっているとおっしゃる。しかし、自分たちだって今悲鳴を上げざるを得ないような、従来の延長線上でない物価高騰、新型コロナの影響、これが起こっているわけですよ。だから、運営費交付金を、従来の延長上じゃ駄目だ、何とかしてくれとおっしゃっている。
これは、本当に、そのことを考えれば、大臣がおっしゃるように、経済事情によらず、誰もが質の高い教育を受けられることは大変重要と言うのであれば、この問題に、もうちょっと、ちゃんと学生たちの立場に立って対応する必要があると思うんですが、大臣、思いを共にしていただけますか。
○永岡国務大臣 金沢大学では、これまで、寮生への説明会の開催や、また寮長との懇談会を開催するなど、学生に対して累次にわたり説明をしてきたと聞いております。
また、私は存じ上げておりませんでしたけれども、馳知事とも議員はお話合いがあったというふうに伺いまして、大変驚きましたとともに、随分と積極的なのだなというふうには感じさせていただきました。
引き続きまして、やはり、学生たちの意見を聞きながら、しっかりと丁寧に対応していっていただきたい、そう考えておりますので、そちらの方も金沢大学の方にはお話はさせていただきたいと思っております。
○宮本(岳)委員 個々の事情があるなどといって放置すれば、経済的事情によって学びが続けられなくなる状況が生まれると思うんですね。
この泉学寮は、四月以降の用途が決まっているわけではありません。直ちに取り壊す、そして土地を処分するというような話でもありませんでした。慌てて放り出す必要があるわけではないんですね。
私は、初等中等教育における生徒指導提要でも、子供の意見表明権とか、規則制定への子供の参画などを掲げる時代なのだから、学生、寮生の声をしっかり聞くことは当然だ、よく話し合ってもらいたいというふうに申し上げました。
最後に残った理由は、大地震に耐えられない、危険だという、大臣が冒頭おっしゃったことなんですけれども、耐震強度の不安ですね。
あしたは、各委員がおっしゃったとおり、東日本大震災から十二年。耐震化は大切であります。
しかし、資料二を見ていただきたい。これは文科省からいただいた資料でありますが、大学が二〇〇四年に行った耐震診断で、泉学寮のIs値が〇・二三と耐震性が不足していたため、二〇〇九年に補強設計を行い、二〇一〇年に耐震改修工事を完了し、Is値は〇・七一を確保したとなっております。
国土交通省の基準で、一般の建物はIs値〇・六以上、こうなっているんですけれども、これでも、大規模な地震に対して倒壊や崩壊の危険性が低い建物とされておりますが、しかし、学校施設は更に、〇・七以上としております。この理由について、文科省、お答えいただけますか。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
学校施設について〇・七以上の基準を適用している理由でございますけれども、一般的に、御案内のように、学校施設は、児童生徒、学生の教育、研究や生活の場であるとともに、被災時には地域の避難所としての役割も担っております。
こうした学校施設の特性を考慮し、一般建築物であればIs値〇・六以上を耐震改修の目標とするところでございますけれども、学校施設につきましては〇・七以上を求めているというところでございます。
○宮本(岳)委員 より安全を考慮して〇・七以上になっているんですね。〇・七一ですから、クリアしているんです。古いということでいうならば、泉学寮よりも、私のおります衆議院議員青山宿舎は三年古いので、ぼろいだけで危ないのなら衆議院議員の方が危ないんですね。大地震には耐え得るということであります。
学生も、永久に存続せよと言っていないんですよ。学生たちも、せめて退去の確約書を書いていない四回生が卒業するまでとか、新たな住居が決まっていない寮生が住居を見つけるまで、県営住宅にスムーズに移行できるまで寮の存続を求めているんですよ。ところが、大学の対応は冷たいんです。
資料三を見ていただきたい。私が大学を訪ねた日の僅か十一日後の一月三十一日に教育担当の副学長名で出された「泉学寮・白梅寮の廃寮」という文書であります。令和五年三月三十一日の十七時をもって廃寮とするから、在寮生は同日同時刻までに退寮を完了せよと書いてあります。最下段には、期限までに退去しない場合には、金沢大学学生懲戒規程に基づき、何らかの不利益処分がなされる可能性がありますとまで書いてあります。
他方で、寮存続を求める声が広がり、寮生だけではなく、卒寮生、大学教員、学生、超党派の県議、市議らの支援を受けているとのことで、昨年四月に始めた署名は四千百三十二筆に達し、今年二月二十七日には大学に提出をしたそうであります。
文部科学省は、初等中等教育については子供の意見表明権、こういうふうにうたっておりますけれども、高等教育局は学生の声に耳を傾ける必要はない、こう考えておるんですか。
○伊藤政府参考人 御指摘の寮につきましてでございますが、先ほど施設部長から御答弁申し上げたとおり、耐震性の観点は一定の耐震性が確保されていると考えられますが、金沢大学においては、コンクリートの劣化や経年による電力、給排水設備の老朽化が進行している状況であることから、今後、大地震等により建物の安全性を維持することが困難と考え、計画的にこの整備を進めているところでございます。
その整備に当たりましては、廃止の決定等の経過の中でも、平成三十一年の段階で寮生説明会を実施するなど、寮生に対する説明を丁寧にさせていただくとともに、退去学生への支援策といたしまして、設備等がより充実し、角間キャンパスへの通学費用が不要である学生留学生宿舎、先魁や北溟への優先的入居を支援したり、また、学生留学生宿舎へ入居する学生に対しては、特定の日時に引っ越し業者を大学が手配し、一括で学生寄宿舎への物品搬送を費用を大学が負担して行うなど、丁寧な対応をしているというふうに承知をしております。
○宮本(岳)委員 そんなことはとっくの昔に論じた後でしょう。
それで、やはり大学、学生とも話し合う必要があると、大臣もおっしゃっているとおりですけれども、やはり、経済的に困窮している学生や家庭的な事情のある学生など、学びの保障のためには、話を聞いて、誠意を持って話し合うべきだと思うんです。学生たちは、特に学長さんに会ってもらいたい、そういう願いを持っているんです。それは大学の判断でしょうけれども。
是非、それは命令したりできないことは重々分かっているんですけれども、寮生と学長とよく話し合ってみてほしいという助言といいますかアドバイスを、大臣、ひとつやっていただけませんか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
引き続きまして、やはり、学生たちの意見を聞きながら、金沢大学もきちんと話合いに応じていただきたいと思いますし、また、丁寧な対応、これを行っていただきたいと考えておりますので、大学の方には、少々、これはちょっと問合せをさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 最後の問いなんですが、実は、これは大学だけの問題じゃないんですよ。
こういう問題の背後にあるのが、やはり運営費交付金が、さっき、国大協の総会で意見が出たと。それは、お金がふんだんにあれば、こんな問題は、それはお金を糸目をつけずに使えば解決できることですが、そうでないところに一つの大きな問題があると思うんですよね。
それで、運営費交付金がどういう推移をしているかという資料を最後に、資料五につけました。これは、はっきりしているのは、平成十六年、二〇〇四年度には一兆二千四百十五億円あった運営費交付金は、減らされ続けてきて、今参議院で審議中の二〇二三年度予算案では一兆七百八十四億円、千六百億円以上もこの間に減らされてしまったわけです。昨年と比べても二億円減っているんです。
大臣は所信で、国立大学法人等の運営費交付金や施設整備補助金など基盤的経費を安定的に確保してまいりますとおっしゃったわけですけれども、これでは国立大学法人のやはり大学運営そのものが到底成り立たない。そして、そのしわ寄せが学生たちや寮生に行きかねない。
この点で、運営費交付金をもっともっと増やす必要について、大臣、当然そういうお考えをお持ちだと思うんですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○永岡国務大臣 国立大学法人の運営費交付金というものは、平成二十七年度以降、毎年度、同額程度を確保しているところでございまして、法人化以降の各大学の経営努力に伴う外部資金の増加等に伴いまして、全体の経常収益というのは、実は年々増加しております。
また、光熱費を始めといたします物価高騰への対応というのは、基本的には各大学の自助努力におきまして対応していくものでございますが、国立大学は、光熱費価格が本当に高騰する中で、これは理工系なんですけれども、常時稼働をします施設というのを多く有していることなどを踏まえまして、全ての国立大学に、令和四年度の第二次補正予算等におきまして、緊急的に激変緩和としての支援を行ったところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続きまして、国立大学が安定的そして継続的に教育研究活動、これを実施できるように、必要な支援、努めてまいります。
○宮本(岳)委員 時間が参りましたから終わりますけれども、大臣は、基本的には各大学の自助努力とおっしゃるわけですけれども、その自助努力でいかないほどの事態が起こっているというのが国大協で出された学長さんたちの声でありますから、しっかりこれに応えていただくように申し上げて、私の質問を終わります。