副文科相 無反省答弁
LGBT差別発言 宮本岳志氏ただす
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は5日、衆院文部科学委員会で、LGBTなど性的少数者に関する簗和生副大臣の姿勢をただしました。
簗副大臣は「LGBT理解増進法案」をめぐり「LGBTが種の保存に背く」と発言したと報じられました。同氏は3月の同委で、一般論として当事者を傷つけるものでないかと問われても、「仮定のことで答弁を控える」と拒否しました。
宮本氏は、文科省が生徒指導の議論・考え方などについてまとめた「生徒指導提要」を含む初等中等教育を担当する副大臣は「誰なのか」と質問。簗氏は「教育担当の私」と答弁し、「性的指向などを理由とする差別的取り扱いについては、現在では不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだに偏見や差別が起きている」「教職員自身の理解を深めるとともに、心ない言動を慎むことはもちろん、人権感覚を身に付けていくことが求められている」と提要の一部を読み上げました。
宮本氏は「副大臣は『差別的な取り扱い』は『不当なことであるという認識』を広げる先頭に立たねばならない」と主張し、「LGBT理解増進法案」をめぐり自民党内で議論が止まっていることは「望ましくないとの認識はないのか」と追及。簗氏は「多くの国民の意見、国会での議論を受け止めて進めていくことが重要」と答えました。
(しんぶん赤旗 2023年4月10日)
動画 https://youtu.be/7gXrbDj8K2w
配付資料 20230405文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回、三月二十二日の当委員会は、私立学校法改正案が議題でありましたが、簗和生文部科学副大臣のLGBT理解増進法案をめぐる発言と答弁が問題となりました。また、それに関連して、永岡大臣までもが、LGBTが種の保存に背くという発言が当事者の方々を傷つける発言であるかどうかについて、仮定のことなので答弁を控えると答弁したことが更に大きな問題となりました。
我々野党は、たとえ仮定の質問であるにしても、LGBTは種の保存に背くというような発言が許されるか許されないかについて定見を持たないようでは、永岡大臣自身の資質が問われかねず、そのような大臣の下で粛々と採決に応じるわけにはいかないと、私の質疑を終えたところで委員会を休憩し、理事会を再開して調整を行いました。
永岡大臣は、再開後、一般的に、何らかの発言が人を傷つけるのかどうかは、その発言された文脈によるものと考えるとした上で、一般論としては、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくないと考えますと答弁されました。
我々は一応、その大臣発言をもって質疑終局、採決に応じたわけですけれども、簗副大臣については積み残されたわけです。
午前中に柚木議員が確認したら、簗副大臣は、政府としては、個々の意見に対してコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、どのような発言も、その発言された文脈により人を傷つける可能性はあり、そのように相手を傷つけることは望ましくないと考えている、この考えは三月二十二日の当委員会における大臣の答弁と同じ趣旨だなどと答弁をされました。
しかし、前回の大臣発言については、委員長以下、当委員会の理事会で協議した上で、与野党の総意として確認したものであります。委員長、間違いないですね。
○宮内委員長 はい。
○宮本(岳)委員 国会が確認した答弁について、それも大臣の御発言について、副大臣に解釈してもらう筋合いはさらさらないんですよ。
大臣、あなたの前回の当委員会での休憩後の発言は、当委員会理事会の要請により発言したのか、それともお隣にいる簗副大臣に指図されて発言したんですか、どちらですか、大臣。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
前回、三月二十二日の委員会の再開後の私の発言でございますが、それは、与野党両筆頭始め、理事会の皆様方がこれを私にしっかりと言ってほしいと、私も異存なくそれを発言したということが事実でございます。
○宮本(岳)委員 当然ですね。
そこで、簗副大臣に聞きます。
あなたはまさか、前回の大臣答弁の趣旨の解釈権があなたにあると考えているのではないと思いますが、午前中の答弁はそういう趣旨ではないですね。
○簗副大臣 大臣と同じ趣旨のお話をいたしました。
○宮本(岳)委員 あなたが午前中に語ったことは、大臣と同じことではないんです。
大臣は、一般論ではあっても、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくないと考えますと答弁されました。
あなたの答弁は、一般論として、どのような発言も、その発言された文脈により人を傷つける可能性はあり、そのように相手を傷つけることは望ましくないと考えているというもので、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することについての評価は一言も語らなかったわけであります。
簗副大臣、大臣と同じ趣旨というのであれば、大臣がおっしゃったとおり、LGBTは種の保存に背くといったことを当事者に発言することは、共生社会の実現という考え方に照らして、その当事者を傷つける可能性があり、望ましくない、この考えをあなたも共有するということでいいですね。答弁次第では、この先、質疑が続けられなくなります。
○簗副大臣 当然ながら、副大臣という立場ですから、大臣の発言された趣旨と同じであるということで先ほど来答弁をしております。
○宮本(岳)委員 全く同じであるということを今確認されました。
さて、簗副大臣にはもう一つ問題があります。しっかり聞いてくださいよ。あなたのために時間を割くんですからね。
資料一を見ていただきたいんですけれども、あなたは、一昨年五月二十日の自民党会合の中で、生物学上、種の保存に背く、生物学の根幹にあらがうといった趣旨の発言をしたことを報じる東京の記事であります。
簗副大臣が、この報道をめぐっては、当該の会議は非公開の形式で行われたものであり、その内容等やそれに関連する質問について答弁を差し控えると繰り返しておりますし、午前中もそう答弁されました。それは十分承知の上で聞くんですよ。
この会議は何についての会議であったのか。あなたも出席したんですから、議題は答えることができるでしょう。
○簗副大臣 この席では政府としての立場でお話をしておりますので、党の会議等については、政府の立場として、その内容等についてお答えは差し控えたいというふうに思います。
○宮本(岳)委員 世の中には既に知れ渡っているわけですよ。記事にもあるように、性的少数者への理解増進法案、LGBT理解増進法を議論する会議だったんです。したがって、非公開だから何も言わないと言って済まされるものではありません。
先ほどの資料一を見ていただきたい。「与野党の実務者協議で合意した性的少数者への理解増進を図る法案を議論する自民党会合」とあります。
私は、その与野党協議、与野党超党派議員でつくる、LGBTに関する課題を考える議員連盟のメンバーであります。私は、その超党派議連の役員会で、実務者協議での合意案を持ち帰った自民党の方々から報告を受けました。この二〇二一年五月二十日の会議で強固な反対意見が出され、持ち帰った人たちの中には涙を流して訴えた方もいらっしゃったと聞いておりますけれども、しかし、阻まれたまま、約二年間、一ミリも進んでいないと担当の方は語っておられます。
総理は、一昨日の参議院決算委員会の質疑で、LGBTなど性的少数者に対する理解増進に関して、多様性を尊重する社会に向け努力する方向性を国際社会にしっかり示さなければならないと述べられましたけれども、これは永岡大臣、永岡大臣も、この総理の答弁について、内閣の一員として、当然、同じ思いでよろしいですね。
○永岡国務大臣 四月三日の決算委員会で総理が発言されたとおり、文部科学省といたしましても、LGBTQについて、多様性を尊重される社会に向けて努力をしていくという政府の方向性を国際社会に対して示していくということは重要であると考えております。
○宮本(岳)委員 これも当然の立場だと思います。
この性的少数者への理解増進や差別の禁止について、特に簗副大臣は、その職責に関わる重大な責任があります。
資料二を見ていただきたい。これは、この度文部科学省が改訂した生徒指導提要の二百六十四ページ、二百六十五ページであります。
まず、文部科学省初等中等教育局に確認しますが、この生徒指導提要とはどういう文書ですか。
○藤原政府参考人 お答えいたします。
生徒指導提要につきましては、文部科学省ホームページにおきまして、「小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめ、生徒指導の実践に際し教職員間や学校間で共通理解を図り、組織的・体系的な取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として作成したもの」としているところでございます。
○宮本(岳)委員 そのとおり書かれております。
そこで、簗副大臣に聞きますけれども、この生徒指導提要を含む初等中等教育を担当する副大臣はどなたですか。
○簗副大臣 教育担当の私でございます。
○宮本(岳)委員 そのとおり、あなたですね。
では、簗副大臣に重ねて聞きましょう。
この生徒指導提要には、性的マイノリティーに関する大きな課題や現状についてどのように書かれてありますか。昨日通告したとおり、お述べいただけますか。
○簗副大臣 この生徒指導提要の二百六十四ページの記載を述べる、そういう御質問だと思いますけれども、このページには、「性的マイノリティに関する大きな課題は、当事者が社会の中で偏見の目にさらされるなどの差別を受けてきたことです。少数派であるがために正常と思われず、場合によっては職場を追われることさえあります。このような性的指向などを理由とする差別的取扱いについては、現在では不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだに偏見や差別が起きているのが現状です。」と記載をされております。
○宮本(岳)委員 「いまだに偏見や差別が起きているのが現状です。」と書かれております。ここで述べられていることは、性的指向などを理由とする差別的取扱い、例えば、LGBTは生物学上、種の保存に背くなどと発言することは、現在では不当なことであるという認識が広がっているが、いまだに偏見や差別が起きているのが現状だと提要には書いてあるわけですね。
続いて、二百六十五ページの上から六行目には、まず教職員自身に何が求められると書いてありますか。簗副大臣、お読みください。
○簗副大臣 御指摘の箇所については、これは生徒指導提要二百六十五ページになりますけれども、「まず教職員自身が理解を深めるとともに、心ない言動を慎むことはもちろん、見た目の裏に潜む可能性を想像できる人権感覚を身に付けていくことが求められます。」と記載をされております。
○宮本(岳)委員 「心ない言動を慎むことはもちろん、」これは教員にそういうことが要請されているわけですね。
LGBTは生物学上、種の保存に背くなどという言葉は、紛れもなく、慎むべき心ない言葉、心ない言動です。たとえ非公開の会合の場であっても許されるものではありません。もしもそう語ったとすれば、まともな人権感覚を身につける努力が求められるわけであります。
簗副大臣が生徒指導提要の内容に完全に納得、同意しているのであれば、差別的取扱いは不当なことであるという認識を広げる先頭に立たなければなりません。せっかく与野党で合意した理解増進法案に差別は許されないという文言が入ったからといって、これを攻撃し、二〇二一年五月以来、約二年も一ミリも進んでいないと自民党の担当者に語らせるような現実、これはゆゆしきことだと思います。
これは望ましいことではないという認識を簗副大臣はお持ちでしょうか。
○簗副大臣 今の御質問は法案についてということでございましょうか、進んでいないというのは。もう一度、済みません、質問を。
○宮本(岳)委員 かかっている当該の法案ではありません。理解増進に関する法整備が進んでいないことは望ましいことではないという認識はお持ちですね。
○簗副大臣 今委員御指摘の、法案ではないと今おっしゃいましたけれども、議員立法として法案が今議論されているということを承知しておりますので、その点に関しましては、各党で国会の中でお決めになることでありますので、私としてはコメントを差し控えたいというふうに思います。
○宮本(岳)委員 分かっていないですよ。二年間、一ミリも動いていないんですから、出ていないんですよ。五月二十日の会議で止まったままになっているんですよ、誰が反対したのか分かりませんけれども。それは困ったことじゃないですか、法整備を進めるべきじゃないですかと聞いているんです。いかがですか。
○簗副大臣 繰り返しますけれども、具体的な法案については国会で御審議いただくものでありますが、総理が御発言をされたとおり、多くの国民の皆さんの意見や国会での議論をしっかりと踏まえた上で進めていくことが重要である、そのように認識をしております。
○宮本(岳)委員 せめてもの救いですね。
では、先ほどの永岡大臣の御答弁、総理と同じだという点においては簗副大臣も全く同じと答弁いただけますか。
○簗副大臣 大臣が答弁をされたとおり、同じように思っております。
○宮本(岳)委員 最初からそういうふうに言えばいいんですよ。それを、渋々のようなことを言うから誤解されるんじゃないですか。
これは改めて聞く必要があると思うんですけれども、問題は、既にこの文科省の生徒指導提要にも書き込まれ、差別的取扱いは不当なことであるというこの当たり前のことを書き込んだ法案が、なぜ二年もの長きにわたって一ミリも動かず、たなざらしになっているのかという問題であります。
資料三を見ていただきたい。昨年五月十五日付の国際勝共連合の機関紙、思想新聞であります。同性婚の容認やLGBTへの理解増進の法案や条例を文化共産主義と呼んで敵視し、産経の政治部編集委員やモラロジー道徳教育財団の教授まで引っ張り出してきて攻撃を加えております。
既に明らかになっているように、統一協会が選挙で政治家を支援するに当たってサインを求める推薦確認書には、同性婚合法化などを慎重に扱うことなどの項目が並んでおります。
念のために簗副大臣に確認いたしますけれども、あなたは統一協会と接点を持っておりますか。また、確認書などにサインをしたことがありますか。
○簗副大臣 これまで申し上げてきましたとおり、旧統一教会と関わりを持ったことは一切ございません。また、推薦確認書を提示されたこともなく、サインをしたこともございません。
○宮本(岳)委員 LGBT差別が許されないと書けば文化共産主義だというのであれば、文科省の生徒指導提要も共産主義の一種だということになってしまいます。まさに荒唐無稽な論だと言わなければなりません。
もしも自民党が、選挙支援と見返りの統一協会の影響によって、与野党実務担当者の間でやっと合意にこぎ着けたものをちゃぶ台返しをして二年も放置してきたのならば、ゆゆしき事態だと思います。
大臣、よもやそのような事実はないと私は信じたいんですけれども、そして、大臣も、議員立法の扱いそのものは、この場で大臣から答弁は不適切だとおっしゃると思うんですけれども、少なくとも、先ほども確認したように、LGBTの差別的な取扱いを禁止する法整備、提要にも書かれていることですから、こういう法整備を進める必要があるという認識については大臣も共有していただけますか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
やはり、具体的な法案につきまして、これは議員立法でございますので、国会で御審議いただくものではございますけれども、総理が発言されたとおり、多くの国民の皆さんの意見や国会での議論をしっかりと踏まえた上で進めていくことが重要である、そういうふうに考えております。
○宮本(岳)委員 いや、別に、必ず議法でしなければならないというわけじゃないんですよ。閣法で出していただいたらいいんですからね。本当に進めたいと思うのであれば、総理もそこまでおっしゃるんですから、閣法で是非提案していただいたらいいと私は思います。
その際、当然、生徒指導提要の中で、そういう差別的な取扱いをすることは不当だというのは当然のことになりつつあるけれども、まだ差別が残っていると書いているわけですから、やはりそういう不当な差別は駄目よということを、ちゃんと閣法で出していただくべきだと私は思っております。
さて、そこで、肝腎の統一協会なんです。
私はこの間、繰り返し、一刻も早い解散命令の請求を行うべきだと求めてまいりました。
文化庁はこの間、四回にわたって、宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行い、三月十五日には四回目の回答を受け取りました。しかし、三月の二十七日には、更に五回目の報告徴収、質問権の行使について宗教法人審議会に諮り、答申を得た上で、三月二十八日には五回目の報告徴収、質問権の行使を行いました。
これは一体なぜ五回目も行ったのか、何のためにこの五回目の報告徴収、質問権の行使を行ったのか。これは次長でいいです、御答弁いただけますか。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
旧統一教会に対する五回目の報告徴収、質問権の行使につきましては、組織運営関係事項、予算、決算、財産関係事項、献金事項、示談等の関係事項、教会管理運営関係事項、信徒会関係事項の六事項について報告を求めてございます。
今回報告を求めている内容は、これまでに旧統一教会から提出された資料の分析を踏まえながら、細部に至るまで問題点を明らかにする観点から整理したものでございまして、合計で二百三項目の報告徴収を求めているというものでございます。
○宮本(岳)委員 細部に至るまで問題点を明らかにする観点からということは、細部に至るまで明らかにすべき問題点があるということにほかなりません。
文化庁が統一協会に宗教法人法七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行っているということは、宗教法人法八十一条第一項第一号及び第二号前段の事由に該当する疑いがあると認めて行使に当たっているということですね。
そして、その権限を適正に行使するためには、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」や「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」に該当する疑いがあると判断できなければならず、今回の五回目の質問権の行使の観点を踏まえれば、統一協会には細部に至るまで明らかにする必要のある問題点があるという認識だと思います。
これは、これも文化庁次長でいいですよ、そのような認識で間違いないですね。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
旧統一教会に対する報告徴収、質問権を行使しているのは、ただいま御指摘がございましたように、旧統一教会や信者等の行為に関する不法行為責任を認めた判決が多数あり、民事判決の判決において認められた損害賠償額も多額に及ぶことから、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められているからでございます。その点を事実関係を踏まえ適正に、かつ厳正に判断するためにも、細部にも至る事実関係の把握が必要であると考えてございます。
すなわち、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じて、旧統一教会の業務に関して細部にも至る具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにするための丁寧な対応を着実に進め、その上で、法律にのっとり厳正な必要な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 これは当然のことなんですね。「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」や「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」に該当する疑いがあるという判断がなければ、この七十八条の二に基づく報告徴収、質問権の行使を行うことはできません。
ところが、資料四を見ていただきたい。三月二十七日付で私が文化庁長官から受け取った行政文書不開示決定通知書であります。
今度は、前回の下村博文大臣レクのペーパーではなく、二〇一五年六月二日、統一協会が名称変更を申請したときの文化庁宗務課と統一協会の面談記録であります。前川喜平元文部科学事務次官も証言しているとおり、中身が変わらないのに名称だけ変更するというのは駄目ですよとの話で九回にわたって引き下がってきた統一協会が、この二〇一五年六月二日は一転して強気に出た。今回は引き下がらない、受理されなければ法的に争うというようなことを言い、法律家の判断も得ていると語ったとされる際の面談記録であります。だから申請を受け取らざるを得なかったという説明でありました。
これは非常に大事な面談記録でありますけれども、なぜ開示できないんですか、次長。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の不開示決定は、行政機関情報公開法に基づいて行ったものでございます。同法第五条第二号イでは、公にすることにより法人の権利等を害するおそれがあるものは不開示情報に当たると規定してございまして、ここに言う法人は全ての宗教法人を含むものとされてございます。
この規定に基づき、国の行政機関と宗教法人の関係において、一般に法人の非公知の事実は不開示情報に当たると考えられ、どの宗教法人についても同様の対応をしているところでございまして、今回の不開示決定は、御指摘のように殊更に旧統一教会の権利や利益を守ることを意図したものではございません。
旧統一教会につきましては、先ほど来お話がございましたように、宗教法人法に定める解散命令事由に該当する疑いがあると判断をして、報告徴収、質問権を行使してございます。このことは情報公開法の一般原則とは別の問題でございまして、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げを着実に進め、法律にのっとり厳粛に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 何か不都合があるんですか。この文書には、「不開示とした理由」、三行ですよ。そんなだらだらと書いていないじゃないですか。「法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、」不開示だと。
この私の情報公開請求、当該法人というものは、ここに出ているとおり、宗教法人世界基督教統一神霊協会の規則変更についてですから、当該法人は全て統一協会と読み替えていただけば、ここに書いていることは明確なことだと思います。この不開示理由は、統一協会の権利、統一協会の競争上の地位その他統一協会の正当な利益を害するおそれがあるから国会には見せないと書いてあるんですね。
自分たちの報告の徴収や質問権の行使に当たっては細部に至るまで調べると言いつつ、国会に対しては、統一協会の正当な利益とか競争上の地位を守ってやるために、国権の最高機関たる国会の国政調査権を拒否する、そういうことですか、次長。
○合田政府参考人 お答え申し上げます。
これは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、宗教法人法に基づく私どもの報告徴収、質問権、これは宗教法人法に基づいて適正に行っているところでございます。それと情報公開法の一般原則とは別の問題でございまして、先ほどお示しをいただきました、開示請求をいただいた文書というのは、旧統一教会と文化庁との平成二十七年の応接録でございまして、不開示決定の理由におきましては開示請求の請求文書に関する宗教法人を指して当該法人との文言を用いてございますが、先ほど申し上げたとおり、この扱いというのはどの宗教法人にも同様に対応しているところでございまして、今回の不開示決定は、殊更に旧統一教会の権利や利益を守ることを意図したものではございません。
○宮本(岳)委員 統一協会について聞いているんじゃないですか。何でそんな話になるんですか。
前回の下村レクペーパーは、国の機関の内部における検討過程を知るために開示を求めていたにもかかわらず、国の機関の内部における検討に関する情報だからといって不開示にしました。今回は、統一協会の正当な利益を守ってやらねばならないからといって不開示にする。こんなことで国民の納得が得られますか。
これでは、簗副大臣がLGBT理解増進法に不熱心だったのも、種の保存に背くとの発言まで取り沙汰されるのも、やはり統一協会との関係があるのではないか、だから及び腰で、一切必要な情報開示もせず、解散命令の請求もしないのではないかと疑いの目で見られても仕方がありません。
大臣、これは否定できますね。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
旧統一教会につきましては、宗教法人法に定めます解散命令事由に該当する疑いがあると判断をして、報告徴収、質問権を行使しておりまして、このことは情報公開法の一般原則とは別の問題でございます。
法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げを着実に進めまして、法律にのっとりまして厳粛に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、国民は今、岸田政権を注視しております。とりわけ、地方選挙を前にして、統一協会や国際勝共連合と政治家との癒着に厳しい視線を注いでいます。
それは当然のことでありまして、霊感商法や巨額献金で集めた金を韓国の教祖や本拠地に送るばかりか、政治家と癒着して、性的マイノリティーと言われる方々の自分らしく生きたいという願いや、今、日本国民の間に広がる、多様な生き方を認め合おうという大きな流れを妨害し、政治をゆがめているからです。
今こそ、毅然として、統一協会に対し、宗教法人法第八十一条一項に基づく解散命令の請求を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。