国民に示せぬ文書か
放送法管理簿不記載 宮本岳志氏追及
衆院総務委
日本共産党の宮本岳志議員は6日の衆院総務委員会で、放送法をめぐる行政文書が「行政文書ファイル管理簿」に不記載だった問題と、放送法第4条の法的効果の解釈変更について追及しました。
公文書管理法は、行政文書ファイルの名称、保存期間など必要事項を同管理簿に「記載しなければならない」と定めています。松本剛明総務相は3月23日の参院総務委員会で、「当時の文書管理者が、記載の必要性の認識が十分でなかったと述べている」と弁明しました。
宮本氏は「行政文書との認識」が十分でなかったのか、行政文書と知りながら「管理簿に記載すべきとの認識」が十分でなかったのかと追及。松本総務相はいずれかだと認めつつ、「断定できる情報を持ち合わせていない」と答弁しました。
宮本氏は「行政文書だと認識していたら、違法な状況を容認したことになる」と批判。同文書の保存期間は20年だとの総務省の小笠原陽一情報流通行政局長の説明に対し、「2035年まで保存すべき文書がすっぽり抜けていた。国民に見せたくなかったからだと疑わざるを得ない」と迫りました。
また、1964年当時の郵政省が放送法第4条の「政治的公平」などの順守事項は「実際的効果としては多分に精神的規定の域を出ない」(答申書資料編)としていると指摘。解釈変更したのかとただすと、松本総務相は「郵政省における位置付けについて、改めて確認したい」として明言を避けました。宮本氏は「いいかげんな答弁だ。解釈を変えたかどうかは重大な問題だ」と強調しました。
(しんぶん赤旗 2023年4月9日)
動画 https://youtu.be/3FofmyX6BHM
配付資料 20230406総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、三月十六日の当委員会でも、小西洋之参議院議員が明らかにし、その後、総務省も行政文書であることを認めた政治的公平に関する放送法の解釈についての七十八ページに及ぶこの文書を取り上げました。その際に、私が、この文書が行政文書ファイル管理簿に記載されていたのかどうかを問うたところ、小笠原陽一情報流通行政局長は、確認した結果、行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかったと答弁をいたしました。この答弁を受けて、様々な場で、行政文書ファイル管理簿に記載がないから公文書ではないのだとか、やはり捏造文書だったのだなどという意見さえ散見されます。
まず、公文書管理法を所管する内閣府大臣官房公文書監理官に確認をいたします。
今回の放送法の解釈に関わるこの一連の文書は、行政文書ファイル管理簿に記載がないから公文書ではないということにはならないと考えますが、これを御確認をいただきたい。
○原(典)政府参考人 お答えいたします。
行政文書の定義につきましては、公文書管理法におきまして、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」と定められております。行政文書管理簿への記載がないことをもって行政文書に該当しないことにはならないと考えております。
○宮本(岳)委員 当然のことなんですね。
小笠原局長は、私への答弁で、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったことを認めた後、続けて、このような行政文書の管理が適切に行われていなかったことは大変申し訳なく思っておりますと謝罪をいたしました。
どこをどう読んでも、管理簿に記載されていなかったから行政文書ではないとか、管理簿に記載されていなかったことをもって文書の信憑性に疑いがあるというような結論は出てきようがないことをまずはっきりさせておきたいと思います。
更に内閣府に確認をしたいんです。
行政文書ファイル管理簿に記載がなければ、国民が情報公開を求めようにも、その存在すら知ることもできず、情報の開示を求めることができないのではないかと思いますが、そうじゃないでしょうか。
○原(典)政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府の所管ではございませんけれども、情報公開法第二十二条第一項におきまして、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、行政文書ファイル管理簿を公表しなければならないとされているものと承知しております。
○宮本(岳)委員 それもそのとおりだと思うんですね。
松本大臣は三月二十三日の参議院総務委員会で、管理簿に記載がなかったことは公文書管理法第七条違反と認めつつも、この時期の担当課の文書管理者に確認したら、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば、記載の必要性の認識が十分ではなかったかもしれないとのことでございました、こう答弁をされました。
そこで聞くんですけれども、この時期の文書管理者が言うところの、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないというのは、この文書が行政文書に当たるという認識が十分でなかったという意味か、それとも、この文書は行政文書だけれども、それをファイル管理簿に記載すべきかどうかの認識が十分ではなかったということか、どちらですか。
○松本国務大臣 論理的には委員のおっしゃるいずれかということになろうかというふうに思いますけれども、私どもの聞き取りの結果では今申し上げたようなところでございまして、どちらかであるかについてまで今断定できる情報を持ち合わせていないというところでございます。
○宮本(岳)委員 手を挙げましたけれども、同じですか、局長も。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、この時期の担当課の文書管理者に確認しましたところ、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないということでございました。
このようなことで、特段の意図があったというふうに承知しているところではございませんが、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことにつきましては、先ほど委員から御指摘もございましたが、大変遺憾に思っているところでございます。
○宮本(岳)委員 その答弁じゃ駄目なんですね。
私は、認識が十分でなかった、そうおっしゃるから、それは、この文書は行政文書だという認識がなかったのか、それとも、この文書は行政文書だが、それをファイル管理簿に記載すべきかどうかという認識があやふやだったのか、どちらだと言っているんですかと聞いたんです。聞き取ったんでしょう。どちらですか。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
ただいまの御質問ですと、今大臣がちょっと御答弁申し上げたとおりでございますが、論理的には今委員が御指摘になったようなところということだと思います。
ただ、今のところ、行政文書という認識という点についてなのか、あるいは、行政文書ファイル管理簿に記載すべきであった、その記載の必要性ということの認識であったのか、そこのところについての情報ということについて、十分ちょっと持っていないということでございます。
○宮本(岳)委員 それはおかしいんですよ。おかしいんです。
行政文書だという認識がなかったというならともかく、行政文書だという認識がありながら、行政文書ファイル管理簿に記載すべきかどうかの認識があやふやだったということは、公文書管理法七条を破っていいという認識を持っていたということですか。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
先ほど申し上げた、ちょっと一部繰り返しになって恐縮でございますが、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないということでございますので、ただいま、ちょっと委員が御指摘のような、そういった法律ということについて、それはちょっと違反ということを意図したものではなかった、そのところを先ほど、特段の意図があったとは承知しておりませんというふうに申し上げたところでございます。
○宮本(岳)委員 いやいや、続けて意図としたものではなかったと言うから、一層不審に思うんですけれどもね。
内閣府、答えていただけますか。行政文書だと認識しながら行政文書ファイル管理簿に記載しないということが許されますか。
○原(典)政府参考人 お答えを申し上げます。
公文書管理法に基づきまして、行政文書につきまして、行政文書ファイル管理簿に記載することが適切であると考えております。
○宮本(岳)委員 だから、これを行政文書だと認識していたとしたら、違法な状況を容認したということになるんですね。
これが、特段意図がなかった、こういうふうに大臣も答弁されているわけです。これは、特段の意図がなかったということを、ないということを何か証拠や根拠で確認されたんですか、大臣。
○松本国務大臣 今の御議論でありますが、おっしゃるとおり、行政文書であると認識をしていながら管理簿に記載をしないとすれば、所要の手続が取られていなかったということになりますし、今回、私どもも、経緯を確認をする限り、行政文書であるということで判断をさせていただいたものが、行政文書であるかの認識がきちっとなされていないとしたら、これもあれであるので、いずれにせよ、私どもとして、不適切な取扱いがあったことは甚だ遺憾であるというふうに申し上げてきたところでございます。
その上で、聞き取りを聞く限り、記載されていないとすれば、記載簿への認識がなかったのではないかという聞き取りの結果の報告が上がってきたことを踏まえまして、何らかの意図を持って、記載をしたものではないということで、そのように御報告をした次第でございます。
○宮本(岳)委員 この文書がファイルの中に共有されているということについて、あなた方は、二〇一五年五月以来現在まで、総務省はこの行政文書の存在を、現在までというよりも、国会で問題となった三月上旬まで存在を知らなかったんですか、知っていたんですか、局長。
○小笠原政府参考人 今のお尋ねのその行政文書について、そういった保存ということについてのお尋ねというふうにちょっと理解をいたしました。
お尋ねの行政文書、電子的に保存されていることに関する状況ということでございますが、政府における行政文書の電子的な管理についての方針に沿って、順次、行政文書ファイル管理簿上の分類に沿った、新たなフォルダの体系ということに移動させることとしておりました。
ただ、本件行政文書は、作成後、参照されること等がなかったため、新たなフォルダ体系への移動が行われないまま、古いフォルダ体系の下に保存されていたということでございます。
○宮本(岳)委員 いや、参照されることがなかったというのはちょっとにわかに信じ難いんですね。
資料一を見ていただきたい。
実は、うちの事務所で、二〇一五年五月十二日から二〇二三年四月五日、昨日まで、国会で、この放送法四条あるいは番組準則ということが議論された、オアでくくって検索した結果がこれなんですね。九十九ヒットしておりまして、放送法四条について答弁を作るとき、あるいは番組準則について国会で議論するときに、当然、今回のこの文書というのは参照されて、答弁の前提として共有するために共有フォルダに入っていたと思うんですね。
あれですか、全くこれを気づかずに、ひもづけていないどころか、気づきもせずに持っていたということですか。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
今委員、本日、資料でお配りになりました検索にかかった案件について、それぞれについて、そのときの質問に応じたお答えということでございます。
例えば、放送法第四条ということのお尋ねでございますと、放送法四条の意義といった、あるいはその法的な意義といったように、その辺で御質問にお答えした場合、あるいは、政治的な公平ということについての、その当時の大臣の認識ということを御質問になった場合、そういった御質問ということであったというふうに承知をしております。
そのような場合、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この文書、御指摘の文書について、参照するということはなかったということであったというふうに御答弁申し上げたところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、参照することのない文書をなぜ共有フォルダに入れていたんですか。見ることができたんでしょう、担当部局、課は。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
先ほど御答弁申し上げたことと一部重なって大変恐縮でございますが、先ほど申し上げた新たなフォルダ体系というところに移動するということを、その文書を参照する必要がなかったということで、そのままちょっと古いフォルダ体系のところに残っていた、これが、今申し上げられることでございます。
○宮本(岳)委員 じゃ、聞きましょう。
この七十八ページのこの行政文書は、行政ファイル管理簿に記載するとすれば、公文書として分類するための時系列のどこに記載すべきものなのか、また、保存期間は何年のものなのか、お答えいただけますか。
○小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。
行政文書ファイル管理簿に関するお問合せでございました。
御指摘の行政文書につきましては、法令にのっとり、担当課の保存期間表の分類、あるいは、文書であることを踏まえまして、国会への御報告とともに、今国会審議文書の分類に記載する手続を行ったところでございます。
本件行政文書が今国会で御議論のあった文書であることを踏まえまして、国会への御報告とともに、こういった取扱いをさせていただいたところでございます。
それから、保存期間というところでございますが、今の担当課の保存期間表ということでありますと、今、国会審議文書ということになりますと、保存期間が二十年ということになっております。
○宮本(岳)委員 二〇一五年の文書ですから、二十年、二〇三五年まで保存すべき文書、それがすっぽり抜けていた。
私は、共有フォルダに入っていながら、これがファイル管理簿に記載されていなかったのは、まさに国民に見せたくなかったからではないのか、情報公開請求されたくなかったからではないのかと疑わざるを得ないと思います。そこは、国民の間にやはりそういう疑念が生じるのは当然のことだと思うんですね。
大臣は、これまでとにかく、放送法四条に関する解釈の変更はしていない、これを繰り返してこられました。高市さんをめぐったり礒崎さんをめぐる様々な議論とは関係なく、総務省の解釈の変更はしていないのだという答弁なんですね。
そこで、今日は、この前、議事録を示しましたが、昭和三十九年、一九六四年の九月八日に臨時放送関係法制調査会の答申が出された。資料二の左側はその資料編の表紙、右側は「放送関係法制に関する検討上の問題点とその分析」と題された、一九六四年一月に当時の郵政省が提出した政府の資料なんですね。
その郵政省提出資料には、資料三につけたくだりがあるんです。赤線部。個々の放送内容について、前記の四原則が守られていないことを挙証することは極めて困難であり、結局は、最終的には訴訟によらなければどうにもならない問題であろう、したがって、法に規定されるべき放送番組編集上の遵守すべき事項、言葉を換えて言うならば、法が事業者に期待すべき放送番組編集上の準則は、現実問題としては、一つの目標であって、法の実際的効果としては多分に精神的規定の域を出ないものと考える、要は、事業者の自律にまつほかない。
変更はしていないと言うのであれば、まずはこの方針、この郵政省の見解は現在も維持されているということでいいんですね。
○松本国務大臣 御指摘の、調査会の答申書の資料編に記載されている文言というふうに理解をしておりますが、私ども、これまでの議論を、私もこの機会に改めて過去の国会での議論等もずっと読ませていただきましたが、まず一つは、平成二十二年の例えば十一月二十六日の参議院総務委員会で、当時の平岡副大臣が、この放送法第四条一項のいわゆる番組準則について、従来から法規範性を有するものと考えていると答弁をさせていただいているとおりで、この放送法四条一項のいわゆる番組準則は、総務省としては従来から法規範性を有するものと考えているところでございます。
その上で、放送法第四条に定める番組準則に適合しているかどうかについては、個別具体的な事案に即して判断されるものでありまして、政治的に公平であることを含む放送法四条の規定は、まずは放送事業者が自主的、自律的に遵守をいただくものというふうに理解をしているところでございます。
○宮本(岳)委員 そんなことは聞いていないんですよ。法的規範性があるかどうかなんてことを議論するつもりはないんです。
確認したいのは、変えていないと言うんだったら、今読み上げたこの文書、これも変えていないんですね。変えたんですか。どっちですか。
○松本国務大臣 申しましたように、これは当時の郵政省が調査会へ提出する答申書の資料として出したものと承知をしておりますので、この文書自身につきまして、私も拝見をさせていただきましたが、これについて今私の方から、この考え方そのものについてはよく読ませていただいて、私もまた学んでいきたいというふうに考えておりますが、これ自身が郵政省の中における位置づけについてはまた改めて確認させていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたから、また改めてやるしかないんですけれどもね。そんないいかげんな答弁で済みません。やはり、変えたかどうかは重大な問題ですし、変えていないと言いながら、徐々に徐々に変わっている面があるからみんな心配しているわけで。改めてやりましょう。
以上で終わります。