協議再開へ支援必要
映画著作権の帰属問題 宮本岳志氏要請
衆院文科委
日本共産党の宮本岳志議員は14日の衆院文部科学委員会で、1970年の著作権法全面改定当初から批判がある映画著作権の帰属問題について、関係者協議の再開に力を尽くすよう文化庁に求めました。
宮本氏は、改定前の著作権法では、当時の政府が、映画著作権は「監督が原始取得し完成と同時に映画会社に移転する」と整理し国会に臨んだと紹介。70年改定により、移転でも譲渡でもなく完成と同時に映画会社の帰属することとなった理由を問いました。
杉浦久弘文化庁次長は「多数の者が制作に関わり多額の投資がされている。円滑な流通の確保が必要」だったと説明しました。
帰属問題をめぐっては、70年の著作権法審議の参考人質疑で、当時の大島渚日本映画監督協会常務理事が、憲法29条が保障する財産権の侵害だと抗議しています。全面改定後も議論され、97年に文化庁は「映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会」を設置しましたが、2001年以降議論は進んでいません。
宮本氏は、議論が止まった背景に、当時の著作権課長や懇談会座長が、「著作権帰属の規定は憲法違反」という監督協会の一貫した主張の撤回を要求したことがあると言及。その上で、問題解決に向け文化庁の支援を要請しました。永岡桂子文科相は「対話を重ね丁寧に対応したい」と答えました。
宮本氏は、今回の著作権法改正案で導入される著作物の利用許諾に伴う裁定制度や海賊版被害救済制度について質問し、同改正案に賛成しました。
(しんぶん赤旗HP 2023年4月18日)
動画 https://youtu.be/s4lPLMw_mhM
配付資料 20230414文科委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
著作権制度は、著作物を利用する人たちが利用しやすいようにするとともに、著作権者、隣接権者の権利が損なわれないように、権利の保護と公正な利用のバランスが求められると思うんです。
我が党も、今回の改正は、基本的に賛成です。
権利者側からは、今回の新たな裁定制度が権利の切下げにつながるのではないかとの危惧も出されておりますので、まず、幾つか確認しておきたいと思います。
今回の法改正にある新たな裁定制度は、利用許諾を確認できなければ利用できないというこれまでの一般原則を転換するものなんですね。制度設計に当たっては、できるだけ権利者の意思を反映できるような運用、十分な配慮を求めるなどの意見があったと承知しております。
その上で、新制度は、著作権者等の意思を確認するための措置を取ったにもかかわらず、確認ができない場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することにより、裁定において定める期間に限り、当該未管理公表著作物等を利用することができる、こうなっております。
現行の裁定制度よりも簡易に迅速に使えるようにしようというのは一定理解するものの、例えば、連絡を取っても確認できないというのがどの程度の期間なのか、また、権利者の探索や意思の確認が、形式的に捜しましたよとか、拙速な扱いでは、とても認められないと思うんですが、これは、文化庁次長、いかがでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
著作権者からの返答がない期間につきましては、著作物の種類、その利用形態、許諾を得るための連絡手段によりまして、多様なケースが考えられるところでございます。
このため、実際の運用に当たりましては、制度の周知状況、利用者側のニーズ、著作権者側の負担なども総合的に考慮しながら、合理的と考えられる期間を設定するというふうに考えております。
新たな裁定制度の施行に当たりましては、著作権者に制度の仕組みを正しく理解していただくことが必要であると考えておりまして、本法律案が成立した際には、その施行までの間、分かりやすく制度を説明した資料やSNSなどを活用しながら丁寧に周知してまいりたい、このように考えております。
○宮本(岳)委員 悪意のある利用などの、著作権者の望まない利用といったことへの不安の声もございます。それらの声に応えて、著作権者の望まない利用に配慮した丁寧な運用が求められると考えますが、これもよろしいでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
新たな裁定制度について、悪意のある利用が行われてしまうのではないかとの御懸念があることは承知してございます。
新たな裁定制度では、まずは著作権者の意思を確認することを求めておりまして、その上で、著作権者の意思が不明な場合、文化庁長官が決定する仕組みとしておりますけれども、実は、ここはなかなか難しいところがございまして、この決定は法律上の行政処分にも当たります。そういうことから、公序良俗違反であるとか違法性が高いことが明らかな利用につきましては、実務上では裁定が極めて困難となる可能性が高いものと認識しております。
いずれにせよ、慎重な手続で、個別具体にしっかり判断していくということが求められていると考えております。
○宮本(岳)委員 探索をする上で、その前提となる、分野横断した権利情報データベースを構築するということになっております。
少なくとも、現時点においては、個別分野におけるデータベースが充実しているところは全体のうちでも一部分にとどまっており、分野横断データベースの構築は容易ではないと考えられます。
仮に、これを構築するとなった場合に、その費用は相当な額に上ることが予想され、運営主体をどうするか、その運営経費をどのように調達するのかといった課題が考えられます。また、十分な精度のデータベースを構築し、それをメンテナンスして、日々管理運営していくためには、これまた相応の経済的基盤が必要です。
分野横断権利情報データベースの構築、管理運営については適切な公的支援が行われるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
昨年度文化庁にて開催いたしました有識者から成る研究会の報告によりますれば、今後構築すべきシステムは、分野ごとのデータベースを前提として、それらと連携することにより情報検索が可能となる分野横断権利情報検索システムとすることが適当と示されたところでございます。
このシステムの運用主体と運営基盤の確立につきましては、今回の法案による新たな権利処理方策において位置づけられる窓口組織の在り方などを踏まえつつ、今後検討を進めるべき課題として挙げられております。
こうした取りまとめを受けまして、文化庁におきましては、本年度、システムの構築に向けた調査研究を行うこととしておりまして、御指摘の、システムの構築に向けた支援の在り方についても検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 では、次のテーマに入るんです。
さて、昨年十一月の二十七日に、「月はどっちに出ている」「血と骨」など在日コリアンの物語をリアルに描いた作品で知られる崔洋一監督がお亡くなりになりました。私は、謹んで崔さんの御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。崔監督は日本映画監督協会の理事長も務めておられ、私は、超党派の文化芸術振興議連や映画議連の場などで、日本の映画監督の著作権問題について繰り返し崔監督からお話をお聞きしてまいりました。今日は、故崔洋一監督の遺言を果たすつもりで質問したいと思うんです。
日本で最初に著作権の保護を規定したのは一八六九年の出版条例でありますけれども、最初に著作権法が施行されたのは一八九九年、明治三十二年のことでありました。文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、いわゆるベルヌ条約への加盟に合わせて制定されたものです。
この旧著作権法において、完成された映画の著作権は誰が原始取得することになっていたか、文化庁次長、お答えいただけますか。
○杉浦政府参考人 当時の規定では、著作者という形となります。
○宮本(岳)委員 著作者はすなわち映画監督ということで、映画監督が原始取得するものであると。ただ、映画著作権は映画完成と同時に映画会社に移るものとする意見で統一していたとされております。
資料一を見ていただきたいんです。二〇一六年二月二十六日、崔監督御健在のときに行われた日本映画監督協会創立八十周年記念シンポジウムのパンフレットの写しであります。右側の下線部、旧著作権法では、「完成された映画の著作権は映画監督が原始取得するものであるが、」「映画著作権は映画完成と同時に映画会社に移るものとする意見に統一して、国会に臨んだ」とございます。
現行の著作権法は、一九七〇年に旧著作権法の全部を改正して制定され、一九七一年一月一日に施行されました。
今度は、先ほどの資料一の左側を見ていただきたい。第十六条では著作者に映画監督を含めながら、著作権者については第二十九条で、映画の著作物の著作権者は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の作成に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属するとなっております。
つまり、映画の著作権は映画製作者、これは映画会社のことでありますけれども、映画会社に帰属するということになっているんですね。旧法のように移転とか譲渡でさえなく、帰属するというんですから、その瞬間に、元から映画会社に帰属しているという書きぶりになったんですね。
なぜこういうふうに七〇年改正で変えたのか、これも文化庁次長、お答えいただけますか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
映画の著作物の著作者は、現在の著作権法第十六条にもありますとおり、映画の制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に寄与した者となります。著作権法第二十九条では、映画の著作物の著作権の帰属につきまして、原則として、映画の著作物の著作者が映画製作者、映画会社や製作委員会等でございますけれども、この映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属することを定めてございます。
映画の著作物につきましては、多数の関係者が制作に関与するとともに、多額の投資が必要でございまして、円滑な流通の確保、投資回収等の観点からこのような規定が設けられたと承知しております。
○宮本(岳)委員 そういう答弁が繰り返されてきたんですね。
ただ、これは改正時から、映画監督側からの大きな批判が沸き起こったのは当然のことなんです。
資料二の一を見ていただきたい。その改正が議論された昭和四十五年、一九七〇年四月一日の衆議院文教委員会著作権法案審査小委員会、参考人質疑の会議録であります。参考人として出席した協同組合日本映画監督協会の常務理事だった大島渚監督の意見陳述であります。
先ほどの資料二の二枚目ですね、中身が出てきますけれども、二枚目で、参考人の大島渚監督は、著作権は財産権に属するもので、財産権は憲法二十九条によって守られている、ところが、今回の著作権法二十九条というものはその財産権を奪うものだとまで言っております。同じ二十九条ということ、くしくもということで、著作権法二十九条で憲法二十九条に保障された財産権を奪うのかという告発になっているんですけれどもね。
だから、なぜこういう法改正をしたのか。それまでは、原始的にはですよ、監督にあったもの。もちろん、先ほど次長が述べたように、その後、映画会社がいろいろしないと駄目だというのは、もう前からそうなっているんですよ。でも、それは、一旦自分が受け取った著作権を移転したり譲渡したりするならまだしも、一度ももらわずに帰属させられるというのに物すごく屈辱感を感じると監督さんたちはおっしゃっているんですけれども、これはなぜなんですかね、次長。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども委員の方から経緯をおっしゃっていただいたとおりのところだと思いますけれども、いずれにしましても、私ども承知していますのは、映画の著作物につきましては、多数の関係者が制作に関与するとともに、多額の投資が必要であり、円滑な流通の確保、投資回収等の観点からこのような規定が設けられた、当時そのように法律が作られたというふうに承知しております。
○宮本(岳)委員 もうこれ以上重ね問いしませんけれども、いや、別に、七一年以前も多額の費用は必要だったし、それ以前もたくさんの方が関わっていたわけですから、ここで変えるということは大変物議を醸すのは当然のことだと思うんですね。
これだけの怒りを持って受け止められた七一年改正ですから、その後も映画監督の著作権問題は、折に触れて議論になってまいりました。
一九九二年三月三十日に公表された著作権審議会第一小委員会のまとめでは、映画監督等の権利についてどのように書かれておりますか、文化庁次長。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
平成四年の著作権審議会の第一小委員会のまとめにおきましては、このように書いてございます。「なお、映画監督等の権利についても、実演家の権利の場合と同様、著作権審議会においても、関係者の検討協議の状況を見守りながら、映像に関する権利関係の検討状況にも留意しつつ、継続して検討を行うのが適当であると考える。」でございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですね。これを受けて、一九九二年五月二十二日の、映画の二次利用に関する調査研究協議会の第一回会合が開かれました。
この映画の二次利用に関する調査研究協議会は、約二十回の議論を重ねたけれども、関係者の見解の差が大きく、意見調整に努めたが、その差の解消には至らなかった、至らずに終了した、こう記されております。
一九九六年頃から、WIPO、世界知的所有権機関では、実演家の権利保護強化を目指す新条約が協議されておりまして、日本政府代表も参加しておりました。実演家の権利が強化されれば、バランスの上からも、映画監督等の権利についても見直しが進むだろうとの見通しがこのとき強まったわけですね。そこで、一九九七年に文化庁は、映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会、略称映像懇を発足させました。
聞きますけれども、この映像懇での議論は、最終的にどのようになりましたか、文化庁次長。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の平成九年の、有識者、映像関係者から構成される映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会におきまして議論が重ねられ、その結果、当事者間において、法改正、契約秩序構築の在り方について案を作成し、協議を進めることで合意されたと承知しております。
○宮本(岳)委員 それは合意をされましたか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
その後、検討されておりましたけれども、映画関係者の当事者間で、法改正や契約秩序の構築の在り方について協議を進めていましたけれども、その後、進捗はない状況でございます。
○宮本(岳)委員 進捗はないんです。なぜ進捗がないのかということを少し調べてみたんですけれども、二〇〇一年四月に監督協会と面会した当時の著作権課長が、著作権法二十九条は憲法違反などという主張は到底受け入れられないと言明し、その後、同じく、映像懇ワーキンググループの座長も、著作権法二十九条一項の規定は憲法違反であるという主張を前提にした話合いは続けられないと発言をいたしました。
しかし、著作権法二十九条が憲法違反だという主張は、今皆さん聞いていただいたとおり、七〇年改正時の大島渚さんも語っているとおり、これは映画監督協会の一貫した主張であって、このときにわかに持ち出したものではないんですね。
日本映画監督協会は、著作権法二十九条は憲法違反であるという主張を撤回せよという要求については、当然のことながら拒否をいたしました。その結果、そこで止まって進捗がないというのが、どうやら、最終的なやり取りの結論のようであります。
私は、今から九年前の二〇一四年四月の四日、当委員会、衆議院文部科学委員会で、実はこの問題を取り上げたことがあります。
資料三を見ていただきたい。そのときの会議録です。
当時の下村博文文科大臣も、著作権を映画監督に与えることについては、関係者の合意形成の状況や、映画の円滑な市場流通への影響を踏まえて、今後必要に応じて検討を行うべきものと答弁をされました。私は、このとき既に、十年以上も止まったままだと指摘をして、しっかり協議の場を設けよと求めております。
聞きますけれども、その後、協議は動きましたか、文化庁。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
映像関係者の当事者間で、法改正や契約秩序の構築の在り方について議論を進めるということにつきましては、その後、進捗はない状況でございます。
○宮本(岳)委員 この時点で十年以上止まっていたが、それから更に九年ですよ。既に二十年以上も止まったまま進捗がない。
では、映画製作者団体と映画監督協会は、水と油、顔も会わさず、口も利かないかというと、そうでもないんです。
私は、先日の超党派映画議連で、日本映画製作者連盟、映連と日本映画監督協会が並んで説明をする場に居合わせました。
資料四を見ていただきたい。映像制作の持続的な発展に向けた取引ガイドラインというものの表紙でありますけれども、映連も監督協会も含む十一団体の連名になっておりまして、一番下の一般社団法人日本映画制作適正化機構、略称は映適というらしいですけれども、映適を発足させることの説明でした。
この映適の発足のきっかけになったのは、経産省が二〇一九年に実施した映画制作現場実態調査の結果と、二〇二〇年三月に出た映画制作の未来のための検討会報告書だというふうに聞きました。
今日は経産省に来ていただいておりますけれども、この一般社団法人日本映画制作適正化機構というものがつくられ、このような取引ガイドラインを作成したのは、どういう趣旨でどういう経緯なのか、まずは経産省から御説明いただけますか。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
経済産業省が二〇一九年度に行った調査の中におきまして、委員が御指摘されました調査でございますが、映画制作現場におきましては、フリーランスが、正規社員に比べて収入や雇用の安定性、労働時間について不満度が高い、発注書や契約書が交付されていない者が多いといった課題が明らかになったところでございました。
こうした動きも受けまして、映画業界において、映画制作現場の適正化に向けた自主的な取組が進められ、二〇二三年四月には、適正な制作現場において作られた映画作品の認定を実施する日本映画制作適正化機構が事業を開始するとともに、適正な取引や制作現場における就業時間等のルールを定めた、映像制作の持続的な発展に向けた取引ガイドラインが作成されたものと承知しております。
経済産業省としましては、映画業界において、映画制作現場の適正化に向け、こうした自主的な取組が進められてきたことは高く評価できるものと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 確かに、この現場実態調査結果を見ましても、現場で働く人の七五%程度はフリーランスで、フリーランスの収入は、二〇一八年の総収入で、最も多いのが僅か三百万円台でした。だからこそ、現場から、とても食べていけない、若い働き手が入ってこない、入ってもすぐ辞めていくと悲鳴のような声が上がっております。
しかし一方で、働き方改革や映画制作現場の適正化に名をかりて、映画関係者の著作権を始めとする権利が奪われたり制約を受けたりするのでは本末転倒だと思うんですね。
先日の議連の席でもこのガイドラインが示されたんですが、このガイドラインに含まれている、制作会社、フリーランスとの契約ひな形、ビローのスタッフ向けというものの中に、スタッフは、発注者又は発注者が指定する者による著作物の利用に関して、著作者人格権を行使しないという一文が入っているのが気になって、現在、映画監督はこの著作者人格権というもののみが残されているので、これを行使しないというのにサインして判こを押しちゃいますと大変なことになる、そういう心配はないんですかと聞くと、映画監督やシナリオ作家はこれには対象にならないという答弁をいただいたところであります。
そこで経産省に聞くんですが、経産省が作ったものじゃないので経産省がこれをあれこれ論じることはできないにしても、このガイドラインは、日本映画制作適正化機構で作ったものだけれども、今後まだ改善、改良の余地がある、こういうことでよろしいですね。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
今後とも、映画制作現場の更なる適正化に向けた取組につきましては、現場を取り巻く環境変化も踏まえながら、本ガイドラインの在り方も含めまして、映画業界において継続的に議論が行われていくことを経済産業省としても期待しているところでございます。
○宮本(岳)委員 是非とも、よりよいものに、くれぐれも全ての関係者の権利がしっかり守られるようにしていただきたいと思います。
最後に、資料五を見ていただきたい。action4cinema、日本版CNC設立を求める会のホームページに掲載されている、諸外国の映画支援機関についての比較表であります。
左端、CNCと書いてセーエヌセーと読むんですけれども、フランスでは、映像表現に係る業界の実態の調査及び研究並びに提言等を通じて、業界全体の適正化及び国際競争力向上のための活動等を所管する統括機関が存在します。総予算九百十三億円をもって、映画等に支援をしております。
右から二番目の韓国にもKOFICという組織があり、総予算二百六十九億円で支援をしております。
日本版CNC設立を求める会は、まさにこのフランスのCNCや韓国のKOFICのような国立映画映像センターを設立しようという団体であり、業界団体及び関係各省庁に対する働きかけを行い、その設立の実現を図ることを目的としております。
文化庁は、この日本版CNC設立を求める会というものを御存じですか。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
CNCというのは、フランスの国立映画映像センターと言われるものでございまして、一九四六年につくられました、フランスにおける映画振興の中核組織というふうにされております。フランス文化省監督の下の公設法人という扱いでございまして、大統領令によって直接任命を受けた総裁の下で、いろいろな権限があるというふうに聞いております。
劇場ですとか、公共放送とか、ビデオのVODといったところからの販売の収益が、先ほど御紹介のあった九百十三億円を支えまして、そして、それを映画、オーディオビジュアル、デジタル化、それから様々なゲーム等々のいろいろな形へ複合支援している、こういうふうに聞いております。
○宮本(岳)委員 このCNCの実現を目指す、設立を求める会という方々は、日本でもそういうものをつくってほしい、当初は日本では実現不可能な夢として議論の机上に上がることはありませんでした、しかし、それでは駄目だということで立ち上がったというんですね。
これはちょっと大臣に一言聞きたいんですけれども、こういうふうにやはり世界でやっているわけですから、日本でもやはりしっかりこういうことを研究もし、検討もして、実現不可能な夢に終わらせてはならない、やはり日本も映画の支援についてしっかりとした支えの体制を取っていく必要があると私は思うんですが、いかがですか、大臣。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。
文部科学省は、映画を含めた文化芸術分野におけます取引、就業環境の改善につきまして、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを公表いたしまして、研修会の実施などの取組を進めてまいりました。
また、映画関係者との対話を通じまして、若手映画作家などの人材育成ですとか、映画作成などへの支援などに取り組んできたところでございます。
今後とも、関係者との対話を重ねながら、これからの施策、これは推進してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 映連と映画監督協会が協議した映像懇が止まって二十年余りたったわけです。今、新たに、日本映画制作適正化機構での、映像制作の持続的な発展のための議論も始まっております。また、日本版CNC設立を求める会などの新しい動きも始まっております。それが、日本映画監督協会や映連、適正化機構との協議も始めていると聞いております。
日本映画の持続可能で多様な新たな発展をかち取るために、今こそ、働き方改革にとどまらずに、著作権を含む権利の問題でも、関係者の忌憚ない話合いを進めるべきだ。二十年止まっているものを、何で止まったのかという最初のいきさつをちょっと私、調べましたけれども、それは誰がいいとか悪いとかじゃなくて、この際、日本映画のためにしっかりそういう話合いを進める。この点で、文化庁はなし得るべきことがあればやるべきだと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○永岡国務大臣 先ほども申し上げてまいりましたけれども、文部科学省は、映画関係者とも対話を重ねながら、共に施策を組み立ててきたところでございます。
やはり、文化芸術分野には、業界内に様々な課題があるものと認識をしております。これらにつきましては、芸術家の自主的な取組や、それから業界内の関係者間の協議や議論も大切にしてきたところでございます。
文部科学省といたしましては、映画業界についても同様に、まずは業界内の課題の解決に向けました議論を注視しながら、対話を重ねて、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 そういう動きが始まれば、経産省も協力は惜しみませんね。一言だけ。
○藤田政府参考人 文部科学大臣から御答弁がありましたとおり、業界内における様々な課題について、議論も踏まえながら、経済産業省としましても、関係者との対話を重ねながら、文部科学省とも連携しつつ、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 終わります。ありがとうございました。