大学の奨学金は給付制に(動画)
衆院予算委での質問を終えて(動画)
平成二十六年二月十七日(月曜日)
午前八時五十九分開議
出席委員
委員長 二階 俊博君
理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君
理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君
理事 林 幹雄君 理事 森山 裕君
理事 長妻 昭君 理事 山田 宏君
理事 石田 祝稔君
あかま二郎君 秋元 司君
井上 貴博君 伊藤 達也君
今村 雅弘君 岩屋 毅君
うえの賢一郎君 衛藤征士郎君
越智 隆雄君 大島 理森君
大野敬太郎君 金子 一義君
小池百合子君 小林 史明君
今野 智博君 佐々木 紀君
佐田玄一郎君 菅原 一秀君
鈴木 憲和君 瀬戸 隆一君
関 芳弘君 薗浦健太郎君
田中 英之君 高橋ひなこ君
津島 淳君 辻 清人君
東郷 哲也君 豊田真由子君
中村 裕之君 西川 公也君
根本 幸典君 野田 毅君
藤井比早之君 宮路 和明君
保岡 興治君 山本 幸三君
山本 有二君 大串 博志君
岡田 克也君 篠原 孝君
玉木雄一郎君 中根 康浩君
古川 元久君 前原 誠司君
山井 和則君 笠 浩史君
上野ひろし君 坂本祐之輔君
椎木 保君 重徳 和彦君
杉田 水脈君 園田 博之君
中田 宏君 中山 成彬君
西野 弘一君 浜地 雅一君
桝屋 敬悟君 佐藤 正夫君
杉本かずみ君 井坂 信彦君
柿沢 未途君 宮本 岳志君
青木 愛君 畑 浩治君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
財務大臣 麻生 太郎君
文部科学大臣
国務大臣 下村 博文君
厚生労働大臣 田村 憲久君
国土交通大臣 太田 昭宏君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(行政改革担当)
(規制改革担当) 稲田 朋美君
財務副大臣 古川 禎久君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 石井 裕晶君
予算委員会専門員 石崎 貴俊君
―――――――――――――
委員の異動
二月十七日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 瀬戸 隆一君
衛藤征士郎君 今野 智博君
大島 理森君 高橋ひなこ君
中山 泰秀君 佐々木 紀君
西川 公也君 東郷 哲也君
原田 義昭君 井上 貴博君
船田 元君 鈴木 憲和君
山本 有二君 大野敬太郎君
岡田 克也君 中根 康浩君
篠原 孝君 山井 和則君
玉木雄一郎君 笠 浩史君
古川 元久君 前原 誠司君
重徳 和彦君 園田 博之君
杉田 水脈君 上野ひろし君
西野 弘一君 中田 宏君
中野 洋昌君 桝屋 敬悟君
佐藤 正夫君 杉本かずみ君
柿沢 未途君 井坂 信彦君
畑 浩治君 青木 愛君
同日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 原田 義昭君
大野敬太郎君 山本 有二君
今野 智博君 衛藤征士郎君
佐々木 紀君 田中 英之君
鈴木 憲和君 小林 史明君
瀬戸 隆一君 中村 裕之君
高橋ひなこ君 大島 理森君
東郷 哲也君 根本 幸典君
中根 康浩君 岡田 克也君
前原 誠司君 古川 元久君
山井 和則君 篠原 孝君
笠 浩史君 玉木雄一郎君
上野ひろし君 杉田 水脈君
園田 博之君 椎木 保君
中田 宏君 西野 弘一君
桝屋 敬悟君 中野 洋昌君
杉本かずみ君 佐藤 正夫君
井坂 信彦君 柿沢 未途君
青木 愛君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
小林 史明君 辻 清人君
田中 英之君 豊田真由子君
中村 裕之君 岩屋 毅君
根本 幸典君 西川 公也君
椎木 保君 重徳 和彦君
同日
辞任 補欠選任
辻 清人君 津島 淳君
豊田真由子君 藤井比早之君
同日
辞任 補欠選任
津島 淳君 船田 元君
藤井比早之君 中山 泰秀君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十六年度一般会計予算
平成二十六年度特別会計予算
平成二十六年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○金田委員長代理 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。
次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず冒頭、この間の大雪により甚大な被害が伝えられ、亡くなられた方も出ております。私は、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、政府には、人命最優先で万全の対策をとるように求めておきたいと思います。
さて、私は、昨年の本委員会でも、大学学費、授業料の異常な高騰と奨学金の問題、日本学生支援機構の奨学金がまるで学生を借金地獄に追い込むような制度になってしまっている事実を指摘いたしました。
その三日後の昨年四月四日、文部科学省は、学生への経済的支援の在り方に関する検討会を設置して、四回の検討会を経て、昨年八月三十日、「学生への経済的支援の在り方について」という中間まとめを発表いたしました。
この中間まとめでは、「学生等の経済状況」として、次のように指摘をしております。
近年の経済状況を背景に、我が国の家庭の収入が減少する一方で、大学等の授業料は上昇しており、また私立学校においては、入学時に必要な費用の負担感について「重い」と感じている家庭が九割以上に及んでいるとの調査結果もみられるなど、高等教育の費用は、家計にとって、実感を伴って重い負担となっている。
また、特に近年、低所得層だけでなく、中所得層においても教育に係る費用が負担となっているという指摘もある。
こう書いているわけですね。
まず、総理の認識をお伺いするんですが、こういう現状を認識していただいていますでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 高等教育における家庭の負担について言えば、例えば、子供二人を大学に通わせた場合、家庭に占める教育費の割合が非常に大きくなるわけでありまして、家庭にとって大きな負担となっているというふうに認識をしております。
教育の機会均等は大変重要な要請であり、政府としては、家庭の経済状況によって大学への進学が妨げられることのないよう、これまでも、奨学金や授業料免除を通じた家庭の教育費負担の軽減策を講じてきたところでありまして、今後とも、大学等の奨学金事業や授業料減免等を通じて、学生等の経済的負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
○宮本委員 日本政府は、一昨年の九月に、大学に至るまで段階的に学費を無償にしていくということを取り決めた国際人権規約、A規約の第十三条二項(c)、これを三十三年ぶりに受け入れたわけです。
文部科学大臣はもう何度も、政権がかわってもこの条項は遵守する、こういう旨の答弁をされておりますけれども、これは確認ですが、総理も同じ立場ということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 近年の教育における家庭の経済的負担の軽減に資する諸施策が講じられてきたことに伴い、一昨年、国際人権規約における高等教育の漸進的な無償化に関する留保を撤回したところでありまして、これは、議員がおっしゃるように、ずっと留保していたわけでありますが、その留保を撤回いたしました。
国際人権規約の趣旨を踏まえて、家庭の経済状況によって学業を断念することがないように、引き続き経済的支援の充実に努めていきたい。当然これは、撤回は維持をしていくということでございます。
○宮本委員 そこで、世界の趨勢が高等教育の無償化に向かう中で、我が国の学生支援がいかに貧困か。
このパネル一をごらんいただきたいんです。これは、国立国会図書館の資料に基づいて、OECD三十四カ国の授業料無償化と大学生向けの給付制奨学金の有無について一覧表にしたものであります。
一目瞭然でありますけれども、両方が丸の国々、スウェーデンやノルウェー、フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、大学授業料が無料の上に、返済の必要のない給付制奨学金が支給されております。こういう国々では、学生は、学費どころか生活費まで公的に支えられて勉学に打ち込んでいるわけです。アイスランドには給付制奨学金はありませんが、授業料は無料であります。オランダから韓国に至るまで、授業料無料化がバツの国々では、返済の必要のない給付制奨学金があります。授業料無償化もなければ給付制奨学金もない、奨学金は全て借金、両方バツというのは、先進国では見事に日本ただ一つというのが現状です。
これは文部科学大臣に、おおむねこれは事実ですね。
○下村国務大臣 OECDのこの調査において、データが確認されている加盟国においては、大学授業料が無償ではなく、かつ給付型奨学金もない国は確認されていないということでは、おおむねそのとおりでございます。
ただ、我が国も、授業料減免制度もある、また給付型ということについては、いろいろな奨学金制度や、大学が独自にやっているところもあるということで、国としては、そういう、おおむねということについてはそのとおりでございます。
○宮本委員 おおむね事実とお認めになりました。
しかも、我が国の大学の学費は異常に高いんですね。
文科省の最新の調査でも、二〇一二年度の私立大学の平均授業料は年間約八十六万円です。入学金などを含む初年度納付金は百三十一万五千八百八十二円に達しております。お金がないなら国公立に行けばよいという人がおりますけれども、国公立も決して低くはないんです。国立大学の初年度納付金は標準で八十一万七千八百円、下宿でもすれば百万円を超えるという状況です。
しかも、このパネルを見ていただきたいんです。これは読売新聞一月二十二日付に掲載されたものでありますけれども、四月からの消費税の引き上げを前に、私立大学を中心に、四月から授業料、学費の値上げが相次いで予定されていることが報じられております。
先ほど総理は、人権規約の段階的に授業料無償化を進める条項を遵守する、こう答弁されましたけれども、総理、この状況をどうお感じになりますか。
○下村国務大臣 御指摘の点については、事実としてはそのとおりだと思います。
政府としては、平成二十六年度の予算において、国立大学法人運営費交付金については、対前年度比三百三十一億円増、これは三・一%増の一兆一千百二十三億円、それから、私立大学等経常費補助金については、対前年度比九億円増、〇・三%増でありますが、三千百八十四億円を計上しております。
このうち、授業料減免等については、国立大学は、前年度比十三億円増、これは四・八%増ですが二百九十四億円、それから、私立大学は、前年度比十一億円増、一六・一%増でございます八十一億円を計上するなど、経済的支援の充実に努めているところでございます。
今後とも、国際人権規約の趣旨を踏まえ、さらに経済的負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
○宮本委員 前年度比でふやしたという、今御答弁がありました。なるほど、ふえているんですけれども、次のパネルを見ていただきたいんですね。
ふやしたとおっしゃるんですけれども、国立大学の運営費交付金が去年に比べてふえているのは、この間、七・八%も大学教員の給与を減らしてきた分を戻したのが影響している、これが大きいんですね。法人化後の運営費交付金の推移は、このように一貫して減り続けております。
私立大学では、経常費に対する私学助成の補助割合ですが、下の折れ線グラフを見てください。一九八〇年には二九・五%、このピークであったのを最後に、年々減り続けて、今では、とうとう三分の一、一〇・四%にまで減ってしまっております。
私学助成の法律をつくったときには、できるだけ早く私学経常費の半分まで補助をふやすことを国会の附帯決議で、これは超党派で決めているわけですね。ところが、現実は逆行している。これでは、漸進的無償化といっても、これはかけ声にすぎない。逆に、学費がこうして上がっていても、ただただ手をこまねいて見ているだけだと言われても仕方がないんじゃないですか、文部科学大臣。
○下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、対前年度比で比べれば、意欲的に予算をふやす努力をしてまいりましたが、それ以上に、ことしは有名大学を中心とした学費値上げもあるということ、それから、当初、宮本委員が御指摘をされましたが、文科省の調査でも、この十年間ぐらいで親御さんの収入が減ってきているということもあって、客観的に見ると、やはり厳しくなっている状況というのは確かにあるというふうに思います。
ですから、ぜひ、意欲のある、能力のある子供が経済的な理由で大学進学等を断念しなくてもいいような環境づくりについて、文部科学省としてもっと努力する必要があるというふうに認識しております。
○宮本委員 国際人権規約や世界の常識から比べれば、大学学費がこうやってこれほど高くなっている、その結果、我が国の高等教育を受けようとする若者は莫大な借金漬けにされてしまったと私は言わざるを得ないと思うんですね。
このパネルを見ていただきたいんです。
家計の所得が減り続ける中で、今や、年間百万円を超えるような学費を親が簡単に負担できる状況ではなくなりました。だから、奨学金を借りるというのは、一部の低所得家庭だけの話ではなくて、中所得層にも及んでいるわけです。
これは、日本学生支援機構の学生生活調査からとったグラフでありますけれども、今から十八年前、一九九六年に奨学金を借りていた学生は、昼間部で二割だったものが、何と二〇一〇年度には、このとおり、五〇・七%、半数を超える学生が奨学金を借りている。
その結果、半数の学生が背負っている借金の額がどういうふうになっているかといいますと、これを見てください。「学生への奨学金の貸与額と返還額について」という資料をおつけいたしましたけれども、これは、先ほどの検討会の第一回目に文部科学省自身が出した資料ですよ。ここに赤い線で書いているところ、大学学部四年間奨学金貸与を受けた場合、要返還額は総額三百万円、大学学部から大学院博士課程まで奨学金を受けた場合、要返還額は総額一千万円近くとなる、文科省がそう言っているわけですね。
総理、今日、我が国では、若者が真面目に勉強しようとしたら、恵まれた家庭でもない限り、社会に羽ばたくその初日から数百万の借金を背負わされる。学問を続ければ続けるほどその額がふえて、大学院博士課程まで進めば、何と一千万円の借金を背負って社会に出なければならない。
これは総理に聞きたいんですが、我が国がそういう国のありようでよいのか。どうお感じになりますか。
○安倍内閣総理大臣 今御指摘の給付型の奨学金でありますが、確かに、そうした形で給付をする、そのことによって、後で、経済的に困難を抱える学生の皆さんが返済に追われることがないということは、当然、事実だろうと思います。多くの諸外国で導入されていることなどが指摘をされているのも事実でありますが、財源を初めとする諸課題があって、導入するにはさらに検討をしていく必要がある、財源の問題において。
そこで、平成二十六年度の予算案においては、無利子の奨学金や授業料の減免を充実するとともに、卒業後、厳しい経済状況に置かれて奨学金の返済が困難となっている人たちに対しては、返還猶予の期間の延長や延滞金の率の引き下げなど、救済措置を充実していくこととしております。
今後とも、大学等の奨学金事業や授業料減免等を通じて、学生等の経済的負担の軽減に努めていく考えであります。
○宮本委員 こういう、借金がなかなか返せる状況にない。三百万、一千万というけれども、そうしたら、学生は、真面目に頑張っていれば、五年、十年でそれが返せるような、そういう正規雇用に必ずつけるかといえば、そういう状況でないわけですね。この中間まとめでも、雇用情勢の悪化が返済に非常に障害になっているということが書かれております。
低賃金の非正規労働者がふえたのは、これは自然現象じゃありません。これは、この間、労働法制の規制を緩和して、そういう状況を広げてきたわけですよ。
昨年の質疑でも、私は、日本学生支援機構の奨学金が、学生に返済の保証もないのに過剰な貸し付けを行い、卒業後は、滞納したら一〇%もの延滞金を上乗せし、返済猶予期間も、去年は、いかなる事情があれども五年までとしており、三カ月滞納で個人信用情報機関、ブラックリストに登録する、九カ月滞納すれば法的措置をとる、返還金の厳しい取り立てで自己破産に追い込む、こんなむごいやり方があるか、こういうことを指摘いたしました。
文科大臣、これを受けてこの中間まとめが出て、新年度は少し改善するようですが、どういう点を改善いたしましたか。
○下村国務大臣 経済的理由によりまして学生等が進学を断念することがないよう、奨学金等の経済的支援を充実することは非常に重要な課題であるというふうに思います。このため、より効果的な学生への経済的支援のあり方について、文部科学省において、御指摘のように、平成二十五年四月以降、検討を行ってまいりました。
昨年八月のこの中間まとめを踏まえまして、大学等奨学金事業について、平成二十六年度の予算において、まずは無利子奨学金の貸与人員の増員を図る。有利子から無利子に、できるだけこれから変えていくようにする。
それから二つ目には、経済困難を理由とする返還期限猶予制度の制限年数を、御指摘のように五年まででしたが、これを十年に延長する。それから、そもそも、延滞金賦課率、これは一〇%で、やはり高かったわけですね。これを五%、半分に引き下げをする。また、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実、こういうふうな改善充実を図ったところでございます。
現在、同検討会においては、大学等の関係者からヒアリングを行うなど、引き続きさらなる検討を進めておりまして、この検討会の議論を踏まえ、学生等の経済的支援の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
私自身も、学生支援機構の前、日本育英会、これは給付型奨学金が、当時は半分返せばいいというのがあって、大学まで進学できたという経緯がございます。これは昭和五十八年までありましたが、ぜひ、こういうものが復活できるように努力してまいりたいと思います。
○宮本委員 そういう改善だけでは実は不十分なんですね。実態をしっかりと見ていただきたいんです。
実は、この奨学金問題に取り組む奨学金問題対策全国会議には本当に悲痛な声が寄せられているんですね。ここに持ってきました。
失業中です。返済猶予の利用を繰り返してきましたが、年数を使い切って、もう猶予ができないと言われました。連帯保証人である父のところに請求が来ています。おじも保証人になっており、迷惑をかけたくありません。自分が死んで支払いを免れるなら、死んでしまいたい。
あるいは、大学卒業後、就職しましたが、うつ病になってやめました。返済猶予の五年を使い切り、減額返還制度を利用することになりました。最長十年間の減額を毎年申請しても五十四歳までかかります。パートの手取りは九から十万円。減額後の返済額は一万六千円ですが、延滞すると減額が認められなくなります。とても結婚や出産は考えられません。
私大に通っていました。学費がとても高く、奨学金とアルバイトでやりくりしていましたが、奨学金という名の借金がふえていくのが怖く、アルバイトをふやせば授業もままならなくなり、大学をやめました。今後、私のように途中で勉学の道を閉ざされる人が出てくるのがかわいそうでなりません。
総理、これが実態なんですよ。大学をやめた、結婚、出産は考えられない、死んでしまいたい。今日、我が国の奨学金制度というのは、まさにそういう状況を生んでいる。
総理、これで本当に我が国に未来があるとお考えですか。総理。
○安倍内閣総理大臣 確かに、この十数年、経済の厳しい状況が推移する中において、奨学金を受けた学生が返済において大変困難な状況にあるという方々もおられるということは私も承知をしておりますし、今、宮本委員からも御指摘がございました。
その中において、それでは不十分だということかもしれませんが、延滞金の率の引き下げ等の救済措置を充実していくことにおいて、さらに対策を充実していきたいと考えているわけでございます。
また、今後、そうした実態等の調査もしっかりとする中において、そうした学生、また今後の奨学金のあり方等々についてもさまざまな検討を行っていきたい、このように思っております。
○宮本委員 給付制奨学金が本当に待ち望まれている、これはもうどこに聞いてもそういうことですよね。総理も給付制奨学金について言及をされました。
ただ、今の時点で、給付制奨学金にこの間頑強に反対してこられたのは私は財務省だと伺っているわけです。これだけ深刻な実態があるのに、なぜ給付制の奨学金について財務省は、必要性は見出しがたいと、こんなひどいことを言うんですか。財務大臣。
○麻生国務大臣 まず最初に、幾つかの前提条件を、宮本先生、話しておかないかぬと思いますが、一定の収入ということを得ることになった人たちにも返済を求めない、全額ただだということになりますと、求めないということになりますと、これは公平ですかね。まず第一点。
それから、やはり、過去の貸与者から返済されたものを原資にしてまた貸しているわけですから、それが返ってこなくなるということになると、貸すお金は減りますから、貸与される学生の数は減ります。それは果たして後の人にとって幸せですかねという点が二つ目。
そして、今言われましたように、卒業しても仕事がないという、この二十年間のデフレ不況のおかげで、少なくともいろいろな問題が起きていることは確かですけれども、そこで、所得連動返済型という無利子奨学金制度というのができている。これは平成二十四年度からできていると思います。所得が年収三百万円以下の人はその分は返さなくていいというふうに新しく制度がなっているというのはもう御存じの上で聞いておられるんだと思いますけれども、今までの分を、かなりそこらのところはこの内閣になってから大幅に変えている、私どもはそう思っております。
いずれにしても、私どもは、こういったようなものというのは厳しい状況の中においても返すというのがやはり我々としては大事なところなんであって、ちょっと極端な例を引かれるとあれですけれども、少なくとも、日本も国家として、これまで世界じゅう、世界銀行等々から借りた金をただの一回も滞ったことがなく返し切った、百九十三カ国で唯一の国ですから、こういった基礎があるんだと思いますけれどもね。
○宮本委員 そんなことを言っているから、こういう状況になるんですよ。
ではあれですか、スウェーデンやノルウェーやドイツやフランスは不公平な国なんですか。世界では圧倒的な国々が、奨学金は給付制でやっているんですよ。そんな、借りた金は返すんだというようなことばかり言って、結局、先ほど私が申し上げたようなところへ若者たちが追い詰められていっている。これはゆゆしき問題であるし、一刻も早く給付制奨学金に道を開くべきだと私は思うんですね。
結局、この背景にあるのは財政なんですよ、もちろん。財源なんですね。思い切って教育予算をふやさないからです。下村文部科学大臣は、文科委員会で、我が国の教育予算をOECD並みにするには、GDP、国内総生産比で二%、十兆円ふやさなければならないと言い、プラス十兆円になれば、高校だけでなく大学の私学まで含めて、全ての学生が無償に近い形で教育を受けられる、こう答弁をいたしました。
財務大臣、あなたのようなことを言っていたら、百年たったってそんなときは来ませんよ。いかがですか。
○麻生国務大臣 基本的に、借りたお金は返すというのは当然だと思います。私は、まず基本的に、日本人の良識として、これが一番肝心なところだと思いますので。では、返した人と返さない人との差というのは、借りたお金は返さなくていいのかというのはいかがなものですかねということになりますので。
そんなことを言うと、おまえ、金持ちだからそんなことを言っているんだろうとか言いたそうな顔をしているけれども、そういうことではなくて、これは真面目な話、借りたお金を返すというのはすごく大事なことだと思っていますので、私どもは、三百万円の年収がなければ返さなくていいというようなことで新しくルールを変えているというのは、そういう背景であります。
○宮本委員 総理、これは、私ははっきりさせなきゃならない問題があると思うんですね。
私、ここに、二〇一二年総選挙での自民党の、これは選挙公約ですよ、重点政策二〇一二。これは、J―ファイルでなく、総務省に届け出ていると総理がいつもおっしゃる公約の方の文書ですよ。我々が選ばれた前回の総選挙ですよ、政権を奪還したときの自民党の総選挙では、ちゃんと「大学における給付型奨学金の創設に取り組みます。」と書いているじゃありませんか。麻生さんの言うとおりだったら、では、自民党はそういう不公平を助長するような政策を掲げて前回総選挙を戦ったということになるじゃありませんか。
総理、これは総理が、やはりこういうふうに公約した以上は、検討したい、やりたいとここではっきり答弁していただきたい。
○安倍内閣総理大臣 先ほどは麻生副総理の人生観としての基本的な考え方を吐露されたわけでございますが、確かに、我が党は、給付型の奨学金について検討するということを申し上げているわけでございます。
今まさに、財源という大きな課題の中において、どのようにその方向に近づいていくかということにおいて、先ほど麻生大臣からも答弁しておりますが、もう既に、いわば三百万円以下の方々については、これはその後の延滞が認められているわけでございまして、今後、この財源を確保していく上において、給付型について検討をしてまいる考え方でございます。
同時に、やはり、他方、今まで、奨学金を借りた人たちが返し、そして次の人たちが使う、これは、ある意味、そういう意味において、しっかりと収入を得た人たちがその部分を次の若い人たちに回していくということは、それは一つの考え方として麗しい姿ではなかったか、こう思うわけであります。
かつて、西鉄のピッチャーの稲尾が高校に通う上において奨学金をもらっていたわけでありますが、彼は、西鉄と契約したら、契約金をもらったその足で奨学金を全額一気に返しに行って、一度に返す必要はありませんよと言われたけれども、私が今全部返せばまた次の人がもらえるでしょうと言ったという話もあるわけでございます。
他方、今経済状況がこういう中において、そうした困窮する学生がその中において勉学を諦めなくていいような状況もつくっていくためにさまざまな仕組みを充実させていきたい、こう考えております。
○金田委員長代理 宮本君、時間が少なくなりました。まとめてください。
○宮本委員 三百万以下の所得連動返済型の奨学金をつくったのは民主党政権でしたね、そのときは。民主党も、政権交代選挙では学生の給付制奨学金を掲げたんですよ。しかし、たった一回概算要求しただけで、やらなかったんですね。自民党も、政権奪還するときには掲げるけれどもやらないというんだったら、民主党と一緒だということになってしまいます。
大体、来年度予算案には高校生向けの給付制奨学金が盛り込まれております。この予算はせいぜい二十八億円、地方の負担分まで含めたって八十四億円ですよ。八十四億のお金があれば、例えば同じ規模の学生向けの給付制奨学金はできるわけですね。
大企業には八千億円もの復興特別法人税の前倒し廃止、あるいは思いやり予算といえば何千億円と出しながら、学生にはわずか八十四億円も出せない。これでは若者の未来は守れないということを申し上げて、私の質問は終わります。