議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
質疑でも申し上げたとおり、この法案は、地方議会関係者や自治体関係者を招いた参考人質疑など、慎重に議論すべき法案であったにもかかわらず、僅か三時間の審議で終局したことにまず抗議いたします。
本法案は、八十九条第三項に、「議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。」と加えます。総務省は、理念規定である第三項は直ちに懲罰の対象条文にはならないと説明しますが、法文化を契機に、地方議会が条例で誠実な職務遂行義務に反する具体事例を定めれば懲罰の対象となり得るもので、反対です。今でさえ、物言う議員への圧力として懲罰動議が悪用されるケースがありますが、八十九条の規定の挿入によって、悪用されることは絶対ないかとの私の問いに、大臣は可能性を否定できませんでした。
立法過程にも問題があると言わざるを得ません。第三十三次地方制度調査会で地方議会の役割及び議員の職務等の明確化を求めた全国都道府県議会議長会の主張の背景には、地方議員の職務に応じた処遇の確保があります。決して心構え規定ではありませんでした。しかし、総務省は誠実規定を提案し、委員からは法律で定めることへの疑問が投げかけられていたにもかかわらず、その方向でまとめてしまいました。
次に、第二項では、議会は、この法律、地方自治法の定めるところにより、重要な意思決定に関する事件を議決するとしていますが、地方議会の議決対象をゆがめ、地方議会の役割の矮小化につながる懸念があります。
そもそも、地方議会や議員の職務の在り方は、地方自治そのものであり、本来、憲法の地方自治の本旨に基づき、住民自治と団体自治の原則の下、その地域の住民と議会が自らの問題として取り組み、議会での質疑、討論を活発化することなどによって議会の存在意義を明らかにし、その内容を豊かにしていくべきものです。法律に議会の在り方などを書き込むという発想そのものが、地方自治の精神と相入れないばかりか、政府が地方議会議員の心構え規定を閣法で提案するという点も地方自治の本質に関わる原則問題を含んでいます。
なお、パートタイムの会計年度任用職員に対して勤勉手当の支給を可能とする規定の整備は、処遇改善に資する当然の措置であると表明して、討論を終わります。
国会質問データ
-
- 2023年04月14日
- [ 国会質問データ ]
地方自治法の一部を改正する法律案 反対討論 :211-総務委員会