平成二十六年十月三十日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 鳩山 邦夫君
理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君
理事 土屋 正忠君 理事 寺田 稔君
理事 義家 弘介君 理事 渡辺 周君
理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君
青山 周平君 伊藤 忠彦君
伊藤 達也君 石川 昭政君
加藤 寛治君 金子万寿夫君
金子 恵美君 坂井 学君
末吉 光徳君 鈴木 俊一君
鈴木 淳司君 瀬戸 隆一君
高木 宏壽君 武井 俊輔君
とかしきなおみ君 中村 裕之君
林 幹雄君 福井 照君
三ッ林裕巳君 宮腰 光寛君
泉 健太君 奥野総一郎君
後藤 祐一君 篠原 孝君
寺島 義幸君 若井 康彦君
小熊 慎司君 村岡 敏英君
稲津 久君 濱村 進君
桜内 文城君 中丸 啓君
佐藤 正夫君 宮本 岳志君
小宮山泰子君
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参考人
(富山市長) 森 雅志君
参考人
(一橋大学大学院法学研究科教授) 辻 琢也君
参考人
(公益財団法人地方自治総合研究所所長) 辻山 幸宣君
参考人
(前横手市長) 五十嵐忠悦君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 畠山 裕子君
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委員の異動
十月三十日
辞任 補欠選任
木原 稔君 青山 周平君
宮川 典子君 中村 裕之君
小川 淳也君 泉 健太君
畑 浩治君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 木原 稔君
中村 裕之君 武井 俊輔君
泉 健太君 寺島 義幸君
小宮山泰子君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 末吉 光徳君
寺島 義幸君 奥野総一郎君
同日
辞任 補欠選任
末吉 光徳君 三ッ林裕巳君
奥野総一郎君 若井 康彦君
同日
辞任 補欠選任
三ッ林裕巳君 宮川 典子君
若井 康彦君 小川 淳也君
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本日の会議に付した案件
まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
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○鳩山委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、四人の参考人の皆さん、大変勉強になるお話をありがとうございました。私の方からもお礼を申し上げたいと思います。
まず、森参考人にお伺いするんですけれども、最初のお話でも、不公平感の漂う対策をやってきた、こういうお言葉もございました。
本年四月十一日の衆議院国土交通委員会にも森参考人は参考人として出席をされて、「駅から五百メートル圏域に質のいい居住空間をつくった方には補助金を出す。それはつまり、裏返して言いますと、六百メートルのところにつくった人には出さないという非常に不公平感漂う施策ですが、しかし、これぐらいをやらないと、誘導というのはなかなか実を結ばない」と。そういう意味では、確信を持ってやっておられるということだと思うんです。
しかし、そういうふうになってきますと、逆に、それ以外の場所に住んでおられる方々にとっては、住みなれた町に住み続けるのは諦めてくれ、はっきりそういう政策にならざるを得ないんじゃないかと思いますけれども、そのあたりのところは、参考人、どういうふうにお感じになっておりますか。
○森参考人 私たちの計画は、居住推奨エリアに住んでいる人の全人口に占める構成比を、仕事を始めたときには二八%だったわけですが、これを約四〇%にしたいというのが目標です。達成しても、六割は郊外に住むわけです。郊外居住を全否定しているわけでは決してありません。私自身も、専業農家の長男ですので、梨畑の真ん中に住んでおります。大型犬を飼いたい人もいれば、スキー場の近くに住みたい人もいれば、郊外にある工場に接近して職住接近で暮らしたい人も当然いるわけですから、そのこと自体は選択肢として一人一人の判断です。
しかし、居住推奨エリアに住んでいただく方が一定程度ふえていくということになれば、それだけ拡散を防いだことになりますので、除雪の延長を延ばすことを抑えたとか、ごみの収集エリアの拡散を抑えたとか、将来、市民に対して維持管理コストを一定程度抑えることになりますので、それが目標です。それは、全市民に利益として返ってくるというふうに捉えています。
○宮本委員 全否定されないということですから、そうなりますと、やはり六割の方々がお住まいになられるわけですから、物の言いようでしょうけれども、不公平感が漂うと表現されましたけれども、不公平であってはならないわけであって、やはりそういうところにお住まいの方々の権利というものについても行政としてはきちっと責任を持っていく必要があると思うんですね。
それで、こういう議論が進む前提ですけれども、四人の参考人の方々が、最初にも、今日最大の問題は人口減少だと、人口減少をどうするかというところから話が始まるわけですが、私は、この人口減少の原因というものは、それ自身としてちゃんと議論しなければ、東京一極集中だから人口減少しているというわけじゃなかろうと思うんですね。辻参考人も、フランスの例、それからスウェーデンの例をお挙げになりました。これは何も、どこかの都市への一極集中を是正したから出生率が戻ったという話ではなかろうと思っているんです。
ですから、そういう意味では、これらの例から学ぶのであれば、やはり子育ての条件を国全体としてどうしたのかということがそれ自身として議論されなければならないと思うんですが、このあたりを辻参考人と辻山参考人にお伺いしたいと思っております。
○辻参考人 私が今回の地方創生の法案の新しいところと思うのは、これまでの国の施策というのは、どちらかというと社会動態対策、要するに、社会移動に関して何とかしよう、専らこういう施策だったと思います。それは、今回の法案の中でも一つ社会移動の点について問題提起はありますが、同時に、子育て環境も含めて、全体で、自然動態対策も含めて、人口減少問題について正面から立ち向かうというところが今回の法案の新しい点だと私は思っていまして、まさに今先生の問題意識にもかなった点がこの新しい点として出てきて、専ら社会動態対策に全てを起因させるという構成ではないと私は考えております。
○辻山参考人 私は、最初の陳述のときに、要するに、人口減少はやばいというスタートは問題だぞというふうに申し上げました。どれぐらい減ったら何が起きるかという議論もやられていないんじゃないか、そういう意味だったんですが、しかし、人口減少をいいでしょうとは思っていません。
千葉大の広井良典先生のように、定常型社会に向かうんだ、ごみごみしていないゆっくりした社会をもっと希望を持って受けとめようという意見もございます。しかし、恐らく、地方行政の現状は、人口減少とともにやはり緊迫化し、そして窮迫化してきたんだろうという気はいたします。
振り返ってみますと、戦後、日本の政策は、先ほど来幾つも出ていますけれども、過疎対策の前に、一部事務組合の活用というのがやられたんですね、広域行政として。それはどんな狙いを込めていたかといったら、人口の都会流出をとめようと。そこで言ってみれば人口のダムをつくろうというようなことを言って、それで政府が中心としてつけた予算は、実は道路予算だったんですね。道路予算で一時期そこは潤うんですけれども、嫌みではありませんけれども、その道路を伝って人々はまた出ていった、これの繰り返しだ。
今、広域行政圏そのものも廃止されておりますけれども、恐らく、そういう戦後政策の反省とか検証というようなことがやはりもう一回必要だなという趣旨でございます。
○宮本委員 私も全く同感でありまして、これまでやってきた政策の検証ということがやはり足りないんじゃないかというふうに思うんですね。
実は、当委員会、先日、徳島市で地方公聴会を開きました。そこには徳島知事の飯泉嘉門さんも参加をされておりました。それで、実は私、こういう話を聞きますと、つまり、人口が減って大変なことになるという話を聞きますと、平成の大合併ということを思い起こすんだ、あのときもこのままでは大変だといって合併をしたじゃないか、その結果どうなったのかということも、私、率直に問わせていただいたんですね。
知事からは、あのときの合併、やゆする者からは貧すれば鈍する合併と言われてやった、そうしないと生き残れないと言われてやったけれども、新しい市町村ができ上がった場合には、中核部分と周辺部分ができて、その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった、この点については少し厳しい状況だと。
この公聴会には、徳島の神山町、上勝町という二つの町からも公述人が来られていました。こちらは元気に頑張っていまして、知事は、むしろ合併しなかったところではどうなのかといえば、人口の少ないところは確かに厳しいんだけれども、しかし、それなりに頑張っているんだ、こういう非常に皮肉なお答えでありましたし、現実もそうなっていると思うんですね。
そこで、こういった点について、先ほど、人口が減ったら本当に破滅的なことになるのかということ自身から問わなければならないと辻山参考人からありましたけれども、こういう平成の大合併の検証、やはりこういうものをどう見るかということ、このあたりについて、辻山参考人と、それから首長を経験された五十嵐参考人に御意見をお伺いしたいと思います。
○辻山参考人 議員が感じておられるように、というよりも、徳島での発言ですか、合併しなかったところなんだと。
さきの安倍総理の所信表明演説で名前が出てきている、よくやっている自治体、ほとんど合併していません。その関係については御承知なんだろうかとかと私たちも話題にしたんですが、なぜそんなことが起きたんだろうかというと、結局は、合併というのはどこかに寄り添っていくという行為になりますので、自分で立っていくという気持ちをそのときに捨てるわけですね。そして、せいぜい、大きくなった町の発展と、旧町村、我が地域を見捨てないでもらいたいというぐらいの関心しかない。
やはり、そういう意味では、合併しなかった、その決断をしたときに、恐らく住民たちの合意も取りつけているはずなんですね。私は、実は、合併をしない宣言をした矢祭町に学生を連れて調査に参りまして、調べたんですね。そうしたら、住民の方たちの回答率が高いのは、私たちが町の行政や地域のことに力を出す、こういう答えだったんですね。
やはり、合併を契機としてそういうことを既に住民たちが決意し、合意したということの大きさ、それが今御紹介になったような自治体になっているんだろう。ただし、そこでやられているんだから、全国の町でも頑張ればできるよというわけにはなかなかいかないです。特に大きな合併をしたところは、いろいろと悩みを抱えるだろうなという気はしております。
以上です。
○五十嵐参考人 私ども、八つの自治体で合併いたしまして、今現在も大変難渋をいたしております。金でつられた合併というわけでは決してなかったのでありますけれども、私は、合併することによって地域の自治体経営のマネジメント能力は高まるだろうと思いました。それで推進しましたけれども、見事に八市町村それぞれの組織風土、組織文化、レベルのばらばらに翻弄された八年間でございまして、これは当分続くだろうと思います。
そういう意味で、その欠点を克服するために、私は、総務省さんも推奨された地域づくり協議会なるものを八つの地域につくりまして、年間総額二億円の予算をつけて、地域のさまざまなソフト事業、一部ハードを含む事業は地域で予算をつくってくれ、私は全部のむということでやりました。それを最初は一億で始めましたけれども、それを七年やりました。
だけれども、それには議会の議員の皆さんの関与は一切排除する中で進めました。しかし、残念ながら、その地域づくり協議会の委員になった方の意識とレベルもばらばらでございまして、相当うまく機能したところと機能していないところがございます。しかし、これは、これからもしっかりやるべき、合併した新市にとっては地域内分権は必要だというふうに思いますので、それは決して間違っていなかったと思います。
ただ、合併しなかったらどうかというと、私は、そういう選択は、多分、今日に判断してもあり得なかっただろう、いろいろ困難はあっても合併すべきであったというふうに思っています。
以上です。
○宮本委員 私は、やはり首長さんは財政という点では随分御苦労いただいている、国が地方に本来保障すべき財源がこの間きちっと本来の役割、責任を果たすことになっていないという状況のもとで、ずっとこういう議論が繰り返されてきたと思うんですね。
それで、ではそういう形でどんどん地方の財源が減っていっていいのか、それから、少子化だって、東京が少子化だからできるだけ東京に行かない方がいいと言うけれども、東京の出生率が低いままでいいのか。ここにそもそも迫っていかないと、幾らやってみたって、これはずっと永遠に続くわけですよ。
これは最後に森さんに聞きたいんですけれども、今、中枢部に集めてということで頑張っておられる、富山を何とか北陸地域でということで頑張っておられるが、金沢の大事さ、札幌の大事さ、仙台の大事さということもおっしゃいました。
もしこの調子で続けば、やがて、では今度は金沢に、札幌にという話になり、そしてそれもさらに苦しくなれば、結局最後は、東京、名古屋、大阪というまさにスーパーメガリージョンだけしか残らないんじゃないか、こう思うんですが、市長はどうお感じになりますか。
○森参考人 先ほど私、冒頭に申し上げましたが、東京で暮らしている限り、二LDKしか買えないと思いますよ。これで子供を三人持てといったって、そういう家庭は生活できないです。それを、少し離れた地域であっても、そこに雇用があって、文化も育っていて、魅力的な空間をつくって、住んでいる人の幸福感というものをつくり上げることができれば、そこに人が暮らすということは十分考えられます。同じような費用負担で四LDKぐらい買えるところを伸ばしていくということが、東京で子供をふやすことよりも容易だという認識に立っております。
○宮本委員 ありがとうございました。
以上で終わります。