平成二十六年十一月七日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 西川 京子君
理事 櫻田 義孝君 理事 冨岡 勉君
理事 萩生田光一君 理事 福井 照君
理事 義家 弘介君 理事 中川 正春君
理事 鈴木 望君 理事 浮島 智子君
青山 周平君 池田 道孝君
池田 佳隆君 石崎 徹君
石原 宏高君 小田原 潔君
大西 英男君 金子万寿夫君
神山 佐市君 菅野さちこ君
木内 均君 木原 稔君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小林 茂樹君 桜井 宏君
新開 裕司君 瀬戸 隆一君
野中 厚君 馳 浩君
藤丸 敏君 細田 健一君
前田 一男君 宮内 秀樹君
宮川 典子君 山本ともひろ君
渡辺 孝一君 菊田真紀子君
階 猛君 松本 剛明君
笠 浩史君 岩永 裕貴君
遠藤 敬君 椎木 保君
中野 洋昌君 田沼 隆志君
中山 成彬君 山内 康一君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君 山口 壯君
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文部科学大臣 下村 博文君
財務副大臣 宮下 一郎君
文部科学副大臣 丹羽 秀樹君
文部科学大臣政務官 山本ともひろ君
国土交通大臣政務官 大塚 高司君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 重孝君
政府参考人
(内閣官房地域活性化統合事務局長代理)
(内閣府地域活性化推進室室長代理) 富屋誠一郎君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 河村 潤子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 小松親次郎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 吉田 大輔君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 川上 伸昭君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 常盤 豊君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 田中 敏君
政府参考人
(文化庁次長) 有松 育子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山崎 伸彦君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 吉田 雅彦君
文部科学委員会専門員 行平 克也君
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委員の異動
十一月七日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 大西 英男君
木原 稔君 前田 一男君
新開 裕司君 藤丸 敏君
比嘉奈津美君 渡辺 孝一君
宮内 秀樹君 小田原 潔君
宮川 典子君 細田 健一君
菊田真紀子君 階 猛君
遠藤 敬君 岩永 裕貴君
柏倉 祐司君 山内 康一君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 宮内 秀樹君
大西 英男君 神山 佐市君
藤丸 敏君 新開 裕司君
細田 健一君 石崎 徹君
前田 一男君 木原 稔君
渡辺 孝一君 金子万寿夫君
階 猛君 菊田真紀子君
岩永 裕貴君 遠藤 敬君
山内 康一君 柏倉 祐司君
同日
辞任 補欠選任
石崎 徹君 瀬戸 隆一君
金子万寿夫君 池田 道孝君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 比嘉奈津美君
瀬戸 隆一君 宮川 典子君
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十一月六日
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)
平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第三〇号)
同月七日
公認心理師法案に関する請願(小川淳也君紹介)(第四八号)
公認心理師法案一部修正に関する請願(小川淳也君紹介)(第四九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)
平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第三〇号)
文部科学行政の基本施策に関する件
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○西川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうはまず、前回の一般質問に続いて、十月二十七日の財政審の財政制度分科会における財務省の主張について取り上げたいと思います。
財務省主計局の主張で、まず何よりも学校現場や保護者から余りにもひどいと怒りの声が上がっているのは、やっと始まった小学校一年生への三十五人学級を四十人学級に戻せと主張していることであります。京都新聞は一昨日十一月五日付社説で、「教育現場の現状を無視した説得力を欠く方針であり、財務省は撤回すべきだ。」と厳しく指摘をしております。
きょうは宮下財務副大臣に来ていただいておりますのでまず確認をいたしますが、きょう配付した資料、財務省主計局が十月二十七日の財政審に提出した資料の八ページ、下のグラフあるいは表、ここには「小学校における問題行動の発生件数の小一が占める割合」というものがついておりますけれども、これが、小学校一年生の三十五人学級には効果がないと財務省が主張する根拠になっているわけですか、副大臣。
○宮下副大臣 お答えいたします。
まず初めに宮本先生にお話しを申し上げたいのは、日本の財政状況は極めて厳しく、歳出の効率化を図らなければ、結局、子供たちに借金を負わせるという格好でツケ回しになる。そういう視点もあり、教育予算につきましても、やはり他の政策分野と同様に、政策効果についてはきちんとチェックしよう、そういうことでいろいろな切り口で分析をし、財政審にも、こういう面もありますよということで資料を提示したということであります。
それで、今回御指摘の提出資料でありますけれども、この小一、三十五人学級は、いわゆる小一プロブレムの対応のために導入されたというふうに理解しておりますけれども、それで、その政策効果としてそれが効果を上げているのかどうなのか見る必要があるということで、今回、ある前提を置いて分析をしてみたということであります。
相対的に小学校一年生に……(宮本委員「端的に、短く」と呼ぶ)済みません。小学校一年生に手厚い配置ということですので、そこで小学校一年生の比率が下がっていてくれているんじゃないかということで、全体に占める小学校一年生の問題件数の割合を出してみたんですけれども、残念ながら有意な差がないということで、必ずしも当初の目的という面で十分な効果を上げていない面があるのではないか。
そういう意味で一つの示唆をさせていただいたということであります。
○宮本委員 いや、事実にだけ答えてくれたらいいんですよ。この表が一つの根拠になっているんですね。イエスかノーかだけ。
○宮下副大臣 根拠というか、そういうペーパーですね。
○宮本委員 配付した資料一を見ていただきたい。右下のこの表というのが、財務省がここで述べている根拠なんですね。
この中身を見ますと、つまり、件数の増減にかかわらず、とにかく小一の件数を小学校全体の件数で割って割合を出して、それぞれを、平成十八年から二十二年、これが四十人学級の時代、それから三十五人学級導入後は平成二十三年、二十四年、それぞれの平均をとったというものでありまして、実は、この計算のもとになった表というのは文科省に出していただきましたけれども、資料二におつけいたしました。「財政制度等審議会が指摘する小学校における不登校・いじめ・暴力行為の推移」、これが、このグラフなり表なりの根拠になった表なんです。
これは一見していただいたらわかるように、例えばいじめの全体件数は、平成二十三年から二十四年にかけて三万三千余りから十二万近くへと四倍近くにふえております。これは、前回、民主党の笠先生が指摘になった、大津いじめ自殺事件が起こって、教育現場ではとにかくいじめを見逃さないという取り組みをやったものですから、このときは非常に敏感になって認知件数がはね上がったということなんです。
こういうばらつきが非常に大きい指標を、小一が占める割合だけをとって、しかも、三十五人学級の実施前は五年間、実施後はわずか二年間の平均をとって比較をする。こんなやり方は、三十五人学級の効果の検証という点では不適切だと私は思いますが、文部科学省、いかがですか。
○小松政府参考人 学級編制の標準につきましては、学校教育の特質に鑑みますと、今御指摘になりましたいじめ、あるいは表にございます不登校等、一定の条件のもとで数値が得られるというものとあわせまして、児童、教員の心理面など、そういう形での測定が困難なものと、多様な要素を総合的に勘案して判断し検討すべきものと考えます。
この一定条件につきましては、いじめ等の問題行動の件数については、その変動要因は、私どもの考えでは大変多面的でございます。家庭や地域の状況、あるいは子供一人一人に目が行き届く指導体制の整備、それから、今の教育上の関心、社会的関心の高まり等から、いじめを積極的に把握していこうとするような考え方が浸透する、こうした多くの要素に影響を受けるものでございます。
したがいまして、私どもとしては、問題行動の件数に占める小一の割合をもって少人数学級の効果をはかるということについては、難しいのではないかと思っております。
○宮本委員 当然ですね。
大体、財務省は、いじめ認知件数がふえているということから、小一、三十五人学級に明確な効果がなかった、あったとは認められないという結論を引き出しているんです。
財務副大臣に聞きますけれども、財務省は、いじめ認知件数が少なくなった方がよい、こうお考えですか。
○宮下副大臣 御指摘のように、また、今の御答弁にありましたように、いじめ認知件数の増加に関しましては、実際の発生件数がふえている可能性ももちろんありますけれども、認知率が上がっているという可能性ももちろんあって、そこら辺は変動が大きい数字だというふうに思いますが、一方、暴力行為とか不登校についてはかなり外形的にわかる話でありまして、その点について言えば、比率はほとんど変わっていないということは言えるのではないかということであります。
○宮本委員 いや、質問に答えていないですよ。いじめ認知件数が減っていない、つまりふえているということをあなた方は論じているわけですから。
これは、我々教育を担当している者であれば、いじめ認知件数がふえているということは、いじめは決して許されることではありませんけれども、どの学校でもどの子供にも起こり得るものだということで、私たちは随分、これをしっかりいち早く把握し迅速に対応するということを心がけてきたわけです。その結果、認知ということがされるようになった、こういう面があるわけです。
大臣に改めてこの原則論を聞きますけれども、いじめ認知件数がこうやってふえるということが財務省の言うように悪いことなのか、ぜひ大臣から御答弁いただきたいと思います。
○下村国務大臣 文部科学省では、大津市の中学生が自殺した事案を受け、平成二十四年八月に、従来の調査とは別途、いじめの緊急調査を行うとともに、その結果を踏まえて、いじめの早期発見や十分な対応等について、学校や教育委員会に対して改めて指導を行いました。
こうした中で、文科省が従来実施している問題行動等調査において、小学校におけるいじめの認知件数は、平成二十三年度の約三万三千件から平成二十四年度に約十一万七千件と大きく増加したわけでございます。
その要因について文科省が都道府県教育委員会等に聴取を行って分析したところ、学校において、ささいなことでもその訴えに積極的に対応したり、アンケート等の工夫、改善を行った、また、教育委員会において、より積極的な対応を学校に指導した、さらに、社会的な意識の高まりにより子供や保護者から学校への相談がふえたなど、平成二十三年度以前と比べて、学校、教育委員会等において、いじめを積極的に認知していこうとする考えの方が浸透したということがうかがえると思います。
いじめは決して許されないことでありますが、どの学校でも、どの子供にも起こり得るものであります。文科省としては、ささいなことでもその訴えを認知し、早期に対応することが重要と考えます。
○宮本委員 当然のことだと思うんです。財務省の論拠は、教育現場の常識から考えても、全く根拠が薄弱だと言わなければなりません。
一方、不登校については、なるほど副大臣おっしゃるとおり、これは発生件数なんです。いじめは気づかないとか見て見ぬふりをするということが可能でありますけれども、不登校は発生件数が数としてはっきり出てきます。不登校に気づかないとか見て見ぬふりをするということは不可能であります。
このように考えると、財務省が示した今回の資料、数値は全く逆のことを示しているとも言えると私は思うんです。いじめの件数がふえているのは認知が進んだということでありまして、小学校一年生のクラスでは、三十五人学級の導入によりクラスサイズが小さくなって、いじめや暴力行為がちゃんと教員の目にとまり、発見、認知できるようになった。そして、発生件数である不登校については、わずかでありますけれども、減っているということが示されております。
これは文部科学省に聞くんですけれども、全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級は、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導が可能になるし、教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連絡が可能になるという点で、いじめなど子供の問題を見過ごさず、発見、認知する上で効果を発揮していると私は思うんですけれども、そうじゃないですか。
○小松政府参考人 現場においてさまざまな取り組みが行われているところでございますが、例えば全国連合小学校長会が調査をしたもので、私どもの手元のものを見ますと、学級担任の先生方からは、きめ細かい指導の面が充実したというのが九八・三%、校長先生からは、教員と児童の関係が緊密化した、あるいは家庭との緊密な連携が可能となったというようなことが、いずれも九割台の高い数値であらわれております。
個別の案件も含めまして申すべきかもしれませんけれども、数値的にいいますと、そういった非常に高い比率で変化が認識されているというふうに理解しております。
○宮本委員 現場からはこうしてほぼ一〇〇%の方々が、きめ細かな指導ができるようになったとこう語っているわけですよ。一方で財務省は、認知件数がふえたということをもって、三十五人学級に明確な効果があったとは認められず、こんなペーパーを出しているわけですよ。
副大臣、これは全く事実誤認じゃないですか。いかがですか。
○宮下副大臣 いじめについての認知については、大臣からの御答弁もありましたように、やはり、新たな取り組みがこういう結果をもたらしているという面は十分あると思います。
その上で、総合的に、当初の目的でありました小一プロブレムに対して効果があったのかないのか、もちろんこれは一つの切り口でありまして、これだけでなく、総合的に判断をしていく、議論をさせていただくというのが必要ではないかなと考えております。
○宮本委員 いや、もう本当に撤回すべきだと。それは、ここでもう一度あなたに撤回するかと聞いて、撤回すると答える権限は持っていないんでしょうけれども、撤回すべきだということは申し上げておきたいと思うんです。
わずか八十六億円の金を浮かせるために、せっかく始まった三十五人学級まで子供たちから取り上げる。それも、自分たちの都合のいいように数字を解釈して、無理やり自分たちの理屈をこじつける。牽強付会というのはこういうことを言うんですよ。
大臣、大臣はこの財務省の方針が明らかになった直後の大臣会見で、こういう財源論だけでこの国を誤るようなことをしてはならないとおっしゃいました。これは当然のことだと思います。
しかし、私は大臣にも一言申し上げなくてはなりません。
昨年、私は大臣と、予算折衝で財務、文科両省間で取り交わされた確認文書について議論をいたしました。私が確認文書の三項目に「国・地方の財政状況等を勘案し、」という文言があることを指摘して、財源論で少人数学級が左右されてはならないと質問をすると、大臣は、「項目としては財政状況等も入っておりますが、これは確認的に記載したということで、これについては、麻生財務大臣との話の中で、私は、拘束されないというふうに認識をしたい」と答弁をされました。
その後、予算委員会でも重ねて私が問うたにもかかわらず、それでも大臣は、「最初から、財政状況があるから少人数については一切だめということでなくて、まずは学力それから学習状況の結果を踏まえてということですから、これは何ら問題ない」とまで答弁されたわけです。
今日、このような財務省の主張が出てきているわけですから、私は、あなたの言明に反してやはりこういった姿勢が、何ら問題ないどころか大きな問題だったのではないかと思うんですが、大臣いかがですか。
○下村国務大臣 それは適切なお考えではないと思います。
財務省からすれば、財政状況というのは考えなければならないというのはそのとおりですが、何を優先順位にするかということの中、教育においても、削減していいのかということについては根本的な哲学の問題として間違いであると私は思っております。
今回策定した新たな教職員定数改善計画において、文部科学省としては、十年後の学校のあるべき姿を見据え、今までの教育的なやり方ではなく、アクティブラーニング等の教育の質の向上や、教員に加えて多様な専門性を持つスタッフを配置し、一つのチームとして学校の教育力と組織力を最大化することを目指し、必要な教職員定数を盛り込んでおります。
文科大臣として、教育政策としてあるべき姿を描いて必要な予算を要求し、粘り強く財務省と折衝を行い、実現に向けて最大限努力という姿勢は、これからも従前と変わりなく進めてまいります。計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けても最大限努力をしてまいります。
○宮本委員 二言目には財務省財務省と言うんですけれども、財務省の姿勢も大問題だと思いますが、財務大臣も文科大臣も同じ安倍内閣の閣僚なわけです。少なくとも、総理にはこの問題をきっちり判断する権限があるわけですよ。
下村大臣は、二〇二〇年のビジョン、私は大風呂敷だと思うけれども、こう言ってそういうものを打ち上げる。財務省は、ふやすどころか削り込めと号令をかける。この両方で二手に分かれてあれこれいつまでもやっているというのでは、まさに茶番だと言われても仕方がありません。きちっと内閣として、やはり教育にしっかり金をかける、こういう立場で統一して進めていただきたいと思うんです。
さて、残る期間で私はカジノ議連のことについて聞きたいと思います。
去る十月十六日、参議院文教科学委員会で、我が党の田村智子議員にカジノはばくち、賭博であるという認識はあるかと問われて、大臣は「そのとおりだと思います。」とお認めになりました。これは間違いないですね。事実ですね。
○下村国務大臣 そのようにお答えしました。
○宮本委員 その後の議論を見ておりますと、青少年に対する悪影響を排除している、あるいは、依存症の人や犯罪歴のある人は入れないという言い分が繰り返されております。
私は、青少年がどうこうと言う前に、そもそもばくちというものを、大人に対してであっても文部科学大臣が推奨すべきものなのかというのがこの問題の中心問題だと思うんです。
きょうは法務省に来ていただいておりますが、十月八日の参議院予算委員会で、我が党の大門実紀史議員がそもそもなぜ賭博は刑法で禁じられているのかと問うたのに対して、法務大臣はどう答弁しておりますか。
○上冨政府参考人 御指摘の答弁におきまして法務大臣は、
お尋ねの現行の刑法の趣旨について答弁いたします。
賭博行為は、勤労その他正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであります。そして、国民の射幸心を助長し勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれすらあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされております。
と答弁しているところでございます。
○宮本委員 国民の射幸心をあおり、勤労の美風を損ない、国民経済に悪影響を及ぼす、これは、賭博の、法務省がそのとき答弁した答弁なんですね。
大臣、きょう私は、青少年への悪影響が排除できるかどうかを論じているんじゃないんです。大臣自身が賭博であると認め、その賭博行為は、「国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、」つまり、「健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」とこれは最高裁判決でも確定判決が出ているわけですけれども、こういうものであるということを大臣はお認めになりますか。
○下村国務大臣 IRの件であるというふうに思いますが、これは世界百カ国以上導入している中で、なぜ導入されているのかということについては、今の懸念もありますが、それをさらにクリアするような社会的なセーフティーネットなり工夫する中であるからこそ百カ国以上で導入されている。
我が国においても、そのような創意工夫を行うことによって青少年へのマイナス影響がないような工夫はできると思います。
○宮本委員 いやいや、そらさないでくださいよ。青少年に悪影響を及ぼさないようなセーフティーネットという話はもう聞いたんですよ。幾らどんなふうに防御しても、そのど真ん中でやられているその行為自身が、法務省答弁あるいは最高裁大法廷判決にあるように、「勤労の美風を害する」、つまり刑法で禁じられているような行為なんだということは、判決もあるんですから認めざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
○下村国務大臣 いや、それは、先ほどの答弁のように、参議院でもそういうふうにお答えしています。ただ、工夫の仕方があるということを申し上げているわけです。
○宮本委員 大臣、私と大臣では道徳に対する考えは、それは大きく違います。しかし、子供たちに伝えるべき市民道徳については、つまり青少年に悪影響を及ぼしてはならないものについては、もちろん大人自身も守り、範を示さなければなりません。文科大臣が、まさに最高裁が「怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」と言っているようなことを推奨していたのでは、私は、子供に示しがつかないと思うんです。
だからこそ、安倍総理も去る十月八日の参議院予算委員会でカジノ議連について、御指摘もごもっともかもしれないので最高顧問はやめさせていただくと答弁をした。にもかかわらず、その直後に下村大臣は、総理とは別の機会にシンガポールに行って見てきた、こう述べた上で、顧問をやめるつもりはないと開き直ったわけですよ。
これはまさか、総理がやめると言ったのはおかしいと総理の判断に異を唱えるおつもりがあったということじゃないと思うんですが、そうですね、異を唱えるつもりはないですね。
○下村国務大臣 それは、総理には総理のお考えがあり、私には私の考えがあるということです。
○宮本委員 ならば、じっくりと考える必要があると思うんですよ。しっかり検討する必要がある。
先日の参議院文教科学委員会でも大臣は、顧問はそんな大したポストではない、そういう答弁もされているわけです。
いや、大したことがないと言うのであれば、幾ら悪影響を広げないようなセーフティーネットをやっても、そのど真ん中で現に大人がやることについても、まさに法務省の答弁、あるいは、最高裁の判決ではそれは勤労の美風を損なうものだとこれはもう確定しているわけですから。別に、一議員がそういうことを検討しようと言うんだったらいいですよ。文部科学大臣ともあろう者が、それを進めていいんだ、総理もそういう御指摘もごもっともなのでやめると言っているものを、別に異を唱えるわけではないが、私は私で検討すらしないというようなことは僕はおかしいと思うんです。
しっかりとやはりこの際検討する、検討すると言うぐらいは当然だと思うんだが、いかがですか。
○下村国務大臣 ちょっと経緯が違いまして、最高顧問というのは、総理なり総理経験者のポストという認識で議連がつくられたので、つくられたというか、それの最高ポスト、最高顧問ということで位置づけたんだと思います。
顧問というのは、私が別に文科大臣であったから顧問ということではなくて、もともと議連の役員をしておりましたが、内閣に入ったので役員から外れて全く何もないということに対しては、私に対してちょっと遠慮もされて、顧問という名前だけつけたのではないかと思います。
それは議連の判断でありますから、あえて私の方からやめると言うようなポストではないということを申し上げているわけであります。
○西川委員長 宮本岳志君、既に質問時間は終了しておりますので、よろしくお願いします。
○宮本委員 はい。
いや、これだけ申し上げても検討するともおっしゃらないのは、私は本当に驚きですね。これだけ指摘しても一顧だにしない、勤労の美風を害するような賭博の推進にかかわり続けると言うのであれば、大臣には道徳を説く資格はないということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。