平成二十六年十一月十一日(火曜日)
午後一時三十五分開議
出席委員
文部科学委員会
委員長 西川 京子君
理事 冨岡 勉君 理事 萩生田光一君
理事 福井 照君 理事 義家 弘介君
理事 中川 正春君 理事 鈴木 望君
理事 浮島 智子君
青山 周平君 池田 佳隆君
石原 宏高君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
木原 稔君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
野中 厚君 馳 浩君
藤井比早之君 星野 剛士君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
山本ともひろ君 菊田真紀子君
松本 剛明君 笠 浩史君
遠藤 敬君 椎木 保君
中野 洋昌君 田沼 隆志君
中山 成彬君 柏倉 祐司君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君 山口 壯君
内閣委員会
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君
理事 平口 洋君 理事 近藤 洋介君
理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君
青山 周平君 大岡 敏孝君
鬼木 誠君 川田 隆君
小松 裕君 新谷 正義君
鈴木 馨祐君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 山田 美樹君
吉川 赳君 大島 敦君
福田 昭夫君 大熊 利昭君
河野 正美君 輿水 恵一君
濱村 進君 杉田 水脈君
松田 学君 三谷 英弘君
佐々木憲昭君
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文部科学大臣
国務大臣
(東京オリンピック・パラリンピック担当) 下村 博文君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
文部科学大臣政務官 山本ともひろ君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 重孝君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
政府参考人
(文化庁次長) 有松 育子君
内閣委員会専門員 室井 純子君
文部科学委員会専門員 行平 克也君
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本日の会議に付した案件
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)
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○西川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
そもそも二〇二〇年の夏季五輪については、我が党は東京招致について反対をしてまいりました。しかし、昨年九月七日にIOC総会で東京開催が決定した後は、そのIOC総会の決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めると同時に、開催に当たっては内外からさまざまな不安と疑問の声が出されておりまして、無条件の信任ではない、こういう立場を明確にしてまいりました。
国会では、昨年十月の衆参両院本会議での東京五輪成功決議に際しては、決議の提案者には加わらず、あえて反対しないという態度をとり、昨年十二月の衆議院文部科学委員会での成功決議については、「大会開催が、東日本大震災の被災地を含めた日本全体が活力を取り戻し更なる発展に向かう好機となる」との文言があったために、反対をいたしました。無条件に賛成はしておりません。
開催計画の見直し、新国立競技場の建てかえのありようなど、国民、都民の生活や環境と調和のとれた、簡素で無理のない取り組みとすることが求められていると思います。
そこで、新国立競技場の建てかえ問題を初め、東京オリンピックの開催には国民や都民からさまざまな不安や疑問、異論、懸念の声が出されております。オリンピック開催に対するこういったさまざまな声に謙虚に耳を傾けながら、開催計画についても見直すことなど、幅広い国民、都民の合意のもとでこの大会が開催できるように準備を進めていくことは当然だと私は思いますが、オリンピック・パラリンピック担当大臣の御見解を求めます。
○下村国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック大会の招致の実現は、国民の理解を得る努力を進めながら関係者が協力した招致活動が実を結んだものであるというふうに認識しております。
東京大会を成功させるためには、しっかりと国民の理解と協力を得ていくことが必要不可欠であり、そのためには、御指摘のように、国民の声に真摯に耳を傾けること、これは当然のことだと思っています。
私のもとにも、これまでに、全国の地方自治体等さまざまな立場の方々からさまざまな御提案や御要望、御意見をいただいているところであり、これらの声については、必要に応じ、組織委員会や東京都とも情報を共有しながら取り組んでいるところであります。
今後も、こうした国民の声を聞きながら、二〇二〇年東京大会の成功に向けて引き続き努力をしてまいります。
○宮本委員 そこで聞きますけれども、安倍内閣として東京オリンピック・パラリンピック大会をどのように位置づけているのか。そこには、経済成長の弾みにする、こういうことも考えておられるのか、オリンピック担当大臣にお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、東京一極集中を加速させるものではなく、日本全体を元気にし、さらなる発展を目指すための大きなチャンスと捉えることが重要であると考えています。新たな日本の創造を果たすような総合的な対策をオールジャパンで推進することにより、東京大会の効果を日本全国へ波及させるべきであると考えます。
このためには、日本各地の豊かな地域資源を積極的に活用しつつ、スポーツを通じた国際交流やオリンピック・パラリンピック教育の実施、そして文化芸術等のプログラムの実施、これを二〇一六年リオ・オリンピック・パラリンピックが終わった直後から幅広く展開をして、日本全国での機運を盛り上げていきたいと考えております。
文科省としては、地方創生の視点も踏まえながら、こうしたオリンピック・パラリンピック・ムーブメント、これを全国へ波及させるためのさまざまな取り組みを二〇二〇年に向けて検討してまいります。
○宮本委員 文化についてもしっかり取り組んでいく、議論があったと思いますが、そのことに私たちは異論はもちろんないんです。
ただ、ことし四月二十二日の二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議の第一回の会合で安倍首相から指示があった。世界に日本を発信する最高のチャンスとして、我が国が活力を取り戻す弾みとするんだ、地域の活性化、観光振興等に資することを重視して取り組んでいくと。
だから私たちは、オリンピックというのはスポーツを通じて国際平和と友好を促進するというものであって、これを経済成長の弾みにするというのはやはりそうじゃないんじゃないかということを申し上げているわけですし、こういう姿勢から、国民や都民の中には、オリンピック開催にさまざまな疑問や懸念が寄せられているという面もあると思っております。
それで、今回のオリパラ特別措置法案は、これまでの東京オリンピック、札幌オリンピック、長野オリンピック、サッカー・ワールドカップの特別措置法とは違って、内閣に全大臣から構成される推進本部を設け、基本方針を作成、専任の担当大臣を置くというふうにしております。
そこで、過去のオリンピック大会において、今回のような、全閣僚が参加する推進本部のような会議体が設けられたことがあるかどうか、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 過去の大会の例では、一九六四年の東京大会の際にはオリンピック東京大会関係閣僚懇談会が設置されておりましたが、主要関係閣僚がメンバーでございまして、今おっしゃられたように、全閣僚がメンバーというわけではございません。ただ、主要閣僚はメンバーに入っておられるということでございます。
○宮本委員 オリンピック・パラリンピックの大会の成功に東京都、組織委員会とともに国が支援をする、これは必要なことだと思います。各省庁にまたがる行政事務の総合調整を行う、これもあり得ることだと私たちは考えます。しかし、先ほども答弁があったように、全閣僚が参加する会議体というものは、これまでのオリンピック開催に当たっては設置されていなかった。これは事実としていなかったわけです。
そこで官房長官にお伺いするんですけれども、あえて本法案で全大臣が構成員となる推進本部を設置する理由はどういうものでありますか。
○菅国務大臣 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に当たっては、まさに政府として取り組む事項というのが多数にわたっているというふうに考えます。
先ほども申し上げましたけれども、前のオリンピックの際には訪日の外国人訪問客が三十五万人、これが二千万人と私どもは予測をしています。さらには、当時予測をされなかったサイバー攻撃、ロンドン・オリンピックでは二週間の間に二億一千二百万回攻撃があったとも言われております。
そういう意味で、そういう状況の中、円滑な入国だとか、あるいは無線LANなど、新しい、当時考えられなかったそういう環境整備、テロもそうですし、感染症対策とか、そういうものを考えたときに、やはり、政府を挙げて二〇二〇年のオリンピックを成功させるために全構成員としてこの本部をつくるということでありますし、そしてまた、今回新たに選任をする、今法案でお願いをします担当大臣が全省庁をぜひ調整をしてこの大会を何としても成功したい、そういう思いであります。
○宮本委員 なるほど、現在、いろいろな省庁の施策が二〇二〇年オリンピックに向けて並べられております。
例えば、ことし三月二十七日に開催された二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会関係府省庁連絡会議の東京都との連絡協議会幹事会のリストというものを私はここに持ってきましたけれども、この中には、先ほど官房長官が述べられたテロ対策などもありますけれども、「輸送手段の整備」として「三環状道路の整備」というものがこれは入っているわけですけれども、オリパラ担当大臣、これは間違いないですね。これは担当でもいいです。
○下村国務大臣 入っております。
○宮本委員 この三環状道路というものは、圏央道、外環、中央環状の三つをいうのでありまして、外環道、東京外郭環状道路の建設計画などは、地下十六キロを通す計画に総額一兆六千億円、何と、一メートルつくるのに一億円というとんでもない道路計画であります。全閣僚から成る推進本部をつくって、オリンピックの名のもとに上からこのような事業を推し進めるなどということは、断じて許されないと言わなければなりません。
さらに本法案は、内閣法を改正し、二〇二〇年度末までの間、国務大臣を増員し、専任の担当大臣を置くとしております。確かに、前回の東京オリンピックなどでも担当大臣は任命されておりますけれども、過去のオリンピックで担当大臣が任命されたのはどの大会で、それぞれ、任命された期間、専任であった期間はどの程度であったのか、内閣官房にお答えいただきたい。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
過去にオリンピック担当大臣が置かれておりましたのは、昭和三十九年の東京大会と昭和四十七年の札幌冬季大会でございます。
昭和三十九年の東京大会の際には、昭和三十七年六月一日から昭和三十九年十一月九日までの約二年五カ月間、オリンピック担当大臣が置かれておりました。そのうち専任の大臣が置かれていた期間は、昭和三十九年七月十八日から十一月九日までの約四カ月間でございます。
また、昭和四十七年の札幌冬季大会の際には、昭和四十三年十二月十日から昭和四十七年七月七日までの約三年七カ月間、オリンピック担当大臣が置かれておりました。そのうち、専任の大臣が置かれていた期間はございません。
以上でございます。
○宮本委員 東京オリンピックで二年五カ月、札幌オリンピックで三年七カ月、専任で置いたのは東京大会前から四カ月弱というのがかつての前例ですね。
現在でも、オリンピック・パラリンピック担当大臣は既に下村大臣が任命されております。他の法律で、例えばIT基本法とか、今国会に出ている地方創生の担当大臣が設けられておりますけれども、専任させるために大臣の増員というようなことは行っておりません。
官房長官にお伺いしますが、なぜ今回、オリンピック・パラリンピック担当をわざわざ専任にして、しかも大臣の数までふやさなければならないのか、その理由についてお答えいただけますか。
○菅国務大臣 まず、オリンピック・パラリンピック大会という、世紀のこれは大事業だというふうに思います。そして、我が国が、国際社会、少子高齢化時代、そうした中にあって、世界から二〇二〇年に多くの外国の方を日本に受け入れてこの大会を開催するという、そういう意味で我が国が、文化的にも、もちろんスポーツの面においても、あるいはこの国のあり方、そうしたものを踏まえる上でも極めて大事な大会であるという考え方のもとにこのような仕組みをつくらせていただきたいということであります。
○宮本委員 世紀の大事業で大事だ、こういう話でありますが、内閣の他の重要な行政事務についても兼務で担われている現状があります。オリンピック・パラリンピックの準備だけを特別視することはできないと思うんです。
専任で担当大臣を置かなければならない必然性に乏しく、むしろ、専任させることで、先ほど指摘した推進本部の設置とあわせ、オリンピックを名目とした都市再開発や大型公共工事の推進、投資など、あなた方の言う成長戦略をより強力に推進する体制をつくろうとするものにほかならないと言わなければなりません。
オリンピックを成長戦略に位置づけるやり方は、オリンピック精神に照らしても、また、簡素で無理のない取り組みを求める国民や都民の声にも逆行するものであることを指摘し、私の質問を終わります。