平成二十六年十一月十二日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 西川 京子君
理事 冨岡 勉君 理事 萩生田光一君
理事 福井 照君 理事 義家 弘介君
理事 中川 正春君 理事 鈴木 望君
理事 浮島 智子君
青山 周平君 池田 道孝君
池田 佳隆君 石川 昭政君
石原 宏高君 大岡 敏孝君
金子万寿夫君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
木原 稔君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
桜井 宏君 新開 裕司君
末吉 光徳君 野中 厚君
馳 浩君 藤丸 敏君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
山本ともひろ君 菊田真紀子君
松本 剛明君 笠 浩史君
遠藤 敬君 木下 智彦君
椎木 保君 中野 洋昌君
田沼 隆志君 中丸 啓君
中山 成彬君 西田 譲君
柏倉 祐司君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
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文部科学大臣
国務大臣
(東京オリンピック・パラリンピック担当) 下村 博文君
内閣官房副長官 世耕 弘成君
文部科学大臣政務官 山本ともひろ君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 重孝君
政府参考人
(内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
政府参考人
(復興庁統括官) 岡本 全勝君
政府参考人
(文化庁次長) 有松 育子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 福島 靖正君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 藤井 康弘君
文部科学委員会専門員 行平 克也君
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委員の異動
十一月十一日
辞任 補欠選任
比嘉奈津美君 藤井比早之君
宮内 秀樹君 星野 剛士君
同日
辞任 補欠選任
藤井比早之君 比嘉奈津美君
星野 剛士君 宮内 秀樹君
同月十二日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 大岡 敏孝君
桜井 宏君 石川 昭政君
比嘉奈津美君 金子万寿夫君
宮内 秀樹君 末吉 光徳君
椎木 保君 木下 智彦君
田沼 隆志君 中丸 啓君
中山 成彬君 西田 譲君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 桜井 宏君
大岡 敏孝君 熊田 裕通君
金子万寿夫君 藤丸 敏君
末吉 光徳君 宮内 秀樹君
木下 智彦君 椎木 保君
中丸 啓君 田沼 隆志君
西田 譲君 中山 成彬君
同日
辞任 補欠選任
藤丸 敏君 池田 道孝君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 比嘉奈津美君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案(内閣提出第二七号)
原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)
平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第三〇号)
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反対討論
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案の両法律案に反対の討論を行います。
本二法案は、原子力損害の補完的な補償に関する条約、CSCの締結に当たり必要となる国内原子力事業者からの負担金の徴収、条約の規定との整合性をとるための国内法整備を行うものです。
CSCの締結は、日米共同で原発の新増設を計画、検討中のアジア地域に原発輸出を推進するための法的基盤整備がその目的です。アメリカは、日本が締結すれば条約の発効要件を満たすことから、日本の参加をこの間強く働きかけてきました。
CSCは、原子力損害について原子力事業者の無過失責任と責任集中を定めており、相手国がCSC締結国であれば、原発輸出に際し、当該国で事故が発生しても、その賠償責任は、過失の有無を問わず、事故発生国の原子力事業者のみが負うものとしています。原発事故の賠償責任を原子力事業者に集中させ、原発機器メーカーには製造者責任が及ばないようにすることで、訴訟、損害賠償金支払いによるリスクを負わずに原発輸出を進める環境が整備されます。
現に、日本の原発メーカーは、海外への原発輸出に弾みがつくこの条約を歓迎しています。今後、日本が原発輸出を推進する上での環境整備を行うための法整備であるとともに、日本が加盟することで、条約を発効させ、途上国に加盟を促し、事業者責任集中主義の原子力賠償制度の法整備を諸外国に普及することがその狙いです。CSCは、損害内容等を我が国の原子力損害賠償法よりも限定しており、今後、被災者への賠償内容や除染の賠償範囲が狭められることも懸念されます。
原発輸出は、相手国及び周辺国に回復不可能な人権侵害、環境問題をもたらすもので、行うべきではありません。質疑で指摘したように、国内の事故での賠償もまともにできておらず、原発輸出を加速させることを前提とした条約の締結は認められません。その実施のための負担金の徴収、国内法の整備も同様です。我が国が優先すべきは、福島第一原発事故の被害者に対する完全な賠償であり、廃炉・汚染水対策であることを指摘し、討論を終わります。
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○義家委員長代理 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
昨日の連合審査に引き続き、ラグビーワールドカップ特措法案並びに東京オリンピック・パラリンピック特措法案について質問いたします。
まず冒頭、先日のフィギュアスケート中国杯の最終日に、公式練習で羽生結弦選手が中国選手と激突して頭部などを負傷したにもかかわらず、それを押して競技した件について聞きたいと思います。
幸い、帰国してすぐに受けられた精密検査では脳への異常は見つからなかったようでありますけれども、この件をめぐっては、羽生選手の競技への執念についてはともかく、それをとめられなかったスケート連盟や指導者の対応に、スポーツ関係者から疑問の声が上がっております。
陸上競技でオリンピック出場経験もあるスポーツコメンテーターの為末大氏は、脳しんとう後の演技は命にかかわるほどの危険があると言い、スポーツの現場では、強制的にでも、選手の将来に危険があるときは中止させるべきだと指摘をしております。また、ラグビー元日本代表の大八木淳史氏は、本人が決めたことだとは思うけれども、誰かがとめなあかんと指摘しています。
私はかねがね学校における柔道事故を取り上げて、加速損傷やセカンド・インパクト・シンドロームの危険性を指摘してまいりました。
既に脳しんとう問題に早くから取り組んできた日本ラグビーフットボール協会では、国際ラグビー評議会、IRBの規定に倣って「脳震盪ガイドライン」というものを定めております。IRBのガイドラインでは、選手に脳しんとうが疑われる場合、プレーを続けてよいことになっているか、また、選手の競技への復帰はどのように定められているか、スポーツ・青少年局長、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 国際ラグビーボード、IRBが定めております「脳振盪ガイドライン」におきましては、「脳振盪の疑いがあるアスリートはすべて、適切な救急対応の手順に従って、ただちにプレーをやめさせること。」となっております。また、受傷した競技者について、プレーをやめさせた後、「その日は」「復帰させてはならない。また、医学的な評価を受けるまで復帰させてはならない。」としております。
プレーへの復帰については、成人の場合は最低二十四時間の絶対安静、子供の場合は、症状がなくなってから最低二週間はプレーまたはコンタクトを伴う練習を休止することなど、具体的に明示されております。
さらに、医学的な評価の必要性や競技への段階的復帰プログラムの適用など、慎重な復帰のための方向が定められております。
また、日本ラグビーフットボール協会におきましては、このIRBのガイドラインに基づきまして、脳しんとうや脳しんとうの疑いがある競技者への対応を適正に行っているものと承知しているところでございます。
○宮本委員 IRBの「脳震盪ガイドライン」、ここに持ってきましたけれども、これでは、「脳震盪は、極めて深刻に取り扱われなければならない」、「脳震盪を起こした疑いのあるプレーヤーは、プレーから離れ、その試合に再び参加してはならない。」と明確に定められております。
私も高校時代、ラグビーをやっておりまして、私の時代などは、魔法の水などと言って、脳しんとうを起こしても、やかんの水をかけてもらうというようなことをやっておりましたが、今日ではそんなことはもう許されない。とうの昔にそんなことはやられていないわけです。
柔道事故はもちろんでありますけれども、今、羽生選手のこの件をめぐって、学校の部活動などで、羽生選手を見習えというような空気が生まれてこないか心配だという声も寄せられております。
脳しんとうなど頭部損傷事故の危険性について、スポーツ医学の最新の知見に立って各スポーツ団体に周知徹底すべきだと私は考えるわけですが、スポーツ・青少年局長、その取り組みの状況はどうなっているか、お答えください。
○久保政府参考人 スポーツ事故等による脳しんとうの危険性については、関係者も広く一般的には認識しているところだと考えております。
文部省におきましても、国立スポーツ科学センター、JISSの研究員やドクターなどを含みます有識者会議を設置いたしまして、平成二十四年七月には学校における体育活動中の事故防止に係る報告書を取りまとめまして、その中で、脳への衝撃に対する安全の確保上のポイントや脳しんとうに係る症状等についても言及しているところでございまして、これにつきましては、ことしの三月に映像資料化も行っておりまして、関係団体等に対する周知等も行ってきているところでございます。
各競技団体に対する脳しんとうの危険性や対策等の周知に関しましては、それぞれが国際団体との連携を図って対策をとってきておられるものという前提で今まで進めてきておりましたけれども、今後、この国立スポーツ科学センターの知見を活用しながら、JOCや日本体育協会とも連携しながら、どういう形の周知が必要か、十分検討していきたいと思っております。
〔義家委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 もう一つ、この衝突事故をめぐっては、公式練習の安全対策が後退させられたという指摘があります。
国際スケート連盟は、グランプリシリーズの公式練習の滑走者を、二〇一一年から三年間、安全上の配慮から一組五人の十人としておりましたけれども、今期から二人ふやして十二人に戻しました。一組六人で滑る分、衝突の危険性が高まったと指摘をされております。
過去、日本人選手が衝突した事例は、いずれも一組六人による公式練習中でありました。二〇〇八年の全日本選手権では安藤美姫選手と村主章枝選手が接触して転倒、二〇一〇年のグランプリファイナルは高橋大輔選手と小塚崇彦選手が激突いたしました。
そこで大臣にお伺いするんですが、これ以上の事故や悲劇を生まない、当然でありますけれども、各競技団体に、やはり選手の安全対策を決して後回しにしないように改めて要請すべきだと私は思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○下村国務大臣 国際競技大会の舞台でこのような事故が起きたことは大変残念であります。
スポーツ事故の防止に関しては、一義的には各競技団体において注意を払うべき事項でありますが、文科省としても、これまで、スポーツによる脳損傷予防等について、関係団体に対し通知を発出するなど、注意喚起を行ってきたところであります。
スポーツ事故の防止に向けて、JOCや日本体育協会等とも連携しながら、関係団体等に対する要請等についても検討を行ってまいります。
○宮本委員 しっかりとお願いをしたいと思います。
さて次に、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会についてお伺いいたします。
ラグビーワールドカップは世界の人々から高い社会的、文化的な評価を獲得しているスポーツ大会であり、その活動を国が適切に支援していくことは当然であります。
とりわけ二〇一九年日本大会は、全四十八試合、九月六日の開幕戦と十月二十日の決勝戦が新国立競技場で行われるのを初め、全国各地の十から十二スタジアムで試合が開催されます。来年三月の開催都市の決定を目指して、現在、東京都を初め十四の地方都市が開催都市に立候補しております。
その立候補都市の一つに、私の地元大阪の花園ラグビー場があります。正式名称近鉄花園ラグビー場は、大阪府東大阪市の花園中央公園に隣接する日本初のラグビー専用スタジアムであり、一九二九年に開場いたしました。現在は近鉄が所有し、社会人ラグビーリーグであるジャパンラグビートップリーグに所属する近鉄ライナーズのホームグラウンドであります。全国高等学校ラグビーフットボール大会の会場としても有名で、西の花園、東の秩父宮と並び称されてまいりました。
私も幹事を務めさせていただいているラグビーワールドカップ二〇一九成功議員連盟では、ことし一月二十九日、花園ラグビー場を今後の活動の西の一大拠点とし、ラグビーワールドカップ試合会場とすることを求める決議を行いました。
そこでお伺いしますけれども、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会に向けての近鉄花園ラグビー場の整備計画はどのようになっているか、スポーツ・青少年局長、お答えください。
○久保政府参考人 ラグビーワールドカップ大会の試合会場としてラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会に対しまして各自治体がどういう開催申請書を提出されたかというその内容については、承知していないところでございます。
しかしながら、競技施設を所有しておられます近鉄レジャーサービス株式会社から東大阪市が花園ラグビー場を譲り受けることで合意したということについては、組織委員会から伺っているところでございます。
○宮本委員 近鉄から譲り受ける、こういう話でありますけれども、実は、無償譲渡は上物だけでありまして、土地は実勢価格で買い取るという計画になっております。
具体的に土地は一体幾らで買い取るのか、それから、必要とされる耐震補強の費用がどれぐらいになるのか、その後のワールドカップラグビー開催のための整備にどれだけの費用がかかるのか、二〇一九年ワールドカップ大会以降のランニングコストが一体どれぐらいになるのか、このような計画の全容は今明らかになっておりますか。
○久保政府参考人 ラグビーワールドカップ大会の試合の開催に向けてさまざまな整備が必要なケースもあると承知しておりますけれども、立候補されたそれぞれの自治体が所有される競技会場の施設に係る経費につきましては、承知していないところでございます。
○宮本委員 実はこれは、当の東大阪市議会でも具体的な額というのは明らかになっておりません。
我が党東大阪市議会議員団は、市が示した花園買い取り案に反対の立場をとりました。しかし、それはラグビーワールドカップ日本大会に反対したわけでもありませんし、花園ラグビー場への誘致に反対したわけでもありません。我が党東大阪市会議員団は、議案への反対討論の冒頭、「我が党は、本市が二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップ日本大会の試合会場を花園ラグビー場に誘致することには賛同するものです。」とはっきり述べております。
しかし、敷地の購入代金や耐震補強や整備の費用、ランニングコストも明らかにならないまま、先に購入を約束するというやり方に対して、到底市民の理解が得られないという理由で反対をいたしました。
確かに、国会のラグビーワールドカップ成功議連は、国立競技場を東の拠点、花園ラグビー場を西の拠点として整備が必要との決議を行いました。しかし、東大阪市に花園ラグビー場を買い取れとか、所有、運営しろと決議をした覚えはありません。
そこでスポーツ・青少年局長に聞きますけれども、西の花園、東の秩父宮と並び称されるわけでありますが、東の秩父宮ラグビー場は一体どこが所有し運営しておりますか。
○久保政府参考人 秩父宮ラグビー競技場は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが所有しているところでございます。
○宮本委員 東の拠点と言われる新国立競技場、そして、今答弁のあった秩父宮ラグビー場もまさに国立の組織、国立霞ケ丘競技場の施設ということになります。
このような巨大な施設を政令市でもない一地方都市が抱え込んだらどのようなことになるか。その典型例が、愛知県豊田市が所有する豊田スタジアムであります。
豊田スタジアムは、二〇〇二年日韓サッカーワールドカップに向けて愛知県が一九九五年に開催都市に立候補し、豊田市がスタジアムを建設する計画を立てました。しかし、九六年の選考で愛知県は敗れ、誘致に失敗をいたしました。ところが、豊田市はその後もスタジアム建設計画を推し進め、スタジアム単体の建設費だけで三百四十億円もかけて、四万五千人収容、開閉式の屋根までついた豊田スタジアムを建設いたしました。
しかし、現状は市にとって大変なお荷物になっているということをお伺いいたしました。市の平成二十四年度決算によりますと、スタジアム本体の利用状況は、一年間にサッカーのプロの試合が十一日です。アマチュアの試合が十五日です。年わずか二十六日しか使われておりません。当然赤字でありまして、毎年九億円を超える市財政からの補填が行われ続けております。
スポーツ・青少年局長、このような実態を承知しておりますか。
○久保政府参考人 今おっしゃられたような事態それから経緯につきましては、承知しているところでございます。
○宮本委員 経緯は大体承知しておられると。
それで、ワールドカップを招致してもこのような事態を生み出したのでは、何をしているかわからないと言わなければなりません。花園ラグビー場の計画も、きちんと内容が公表され、しっかり吟味しなければ、この豊田スタジアムの二の舞になるおそれも否定できません。
私は、豊田スタジアムのような巨大スタジアムは、政令市でもない一地方自治体の市営競技場ということではやはり荷が重過ぎると思うんです。それは、維持、運営に係る費用負担が市町村の財政規模に比べて巨額になるからであります。
西の花園を一大拠点にと言うのであれば、やはりこれは、高校ラグビーのレガシー、まさに歴史的な遺産でありますから、秩父宮のように、やはり国立で国が責任を持つというのも一つの考えではないかと思うんですが、スポーツ・青少年局長、いかがでしょう。
○久保政府参考人 先生のお考えは一つのお考えとしてはわからないでもございませんですけれども、今現在、国立競技場の建てかえ、それからナショナルトレーニングセンターの拡充等さまざまな事業を行っている。この財政状況が厳しいという中でさらに新たな国立の競技場施設を持つということは、難しいと考えております。
○宮本委員 確かに、私も国立競技場の建てかえ問題もわかっておりますから、財政的に余裕があるというふうには簡単に思っておりません。
しかし、レガシーとしてこれを守っていくという点で、私は、これまでの一鉄道会社の所有というだけでもなかなか厳しいというふうに思っておりまして、いかに国が支援するか、国がやはりそういうレガシーを守っていくかというのは、真剣に考えなければならないと思うんです。
昨日、私、大臣と議論を連合審査でいたしました。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議、ここで安倍首相から指示があったということを議論しましたが、この場では安倍首相は、ラグビーワールドカップ二〇一九についても、我が国にとって大きな意義を有するものであり、政府一丸となって準備を進めていく必要がある、こういう御指示があったと聞いております。
国立にするかどうかは別として、このような自治体の負担をできるだけ減らすために、やはり国が責任を持って支援すべきだと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 四月二十二日の第一回閣僚会議で総理が発言されたとおり、ラグビーワールドカップ大会の成功に向けて、政府一丸となって最大限努力していく必要があると考えます。
試合の開催地は来年三月に決定されることとなっておりますが、候補案は組織委員会が作成することとなっております。
花園ラグビー場は、開催都市に立候補した大阪府、東大阪市が試合開催会場候補として予定しているところでありますが、まずは、開催地としての要件を満たすよう準備を進めていただくことが重要であります。
仮に試合会場として選定された場合には、所有自治体東大阪市の要望を伺い、国の厳しい財政状況を踏まえながら、どのような支援が可能か、検討してみたいと思います。
○宮本委員 ぜひ国の支援が必要だと思うんです。
それで、先ほどの豊田スタジアムも二〇一九年ラグビーワールドカップの開催都市に立候補しております。前回の二〇〇二年サッカーワールドカップのときとは違って、今回はもうでき上がっているわけでありますから、有効活用することに私も異論はありません。
ところが、ワールドカップ組織委員会は、十月十七日、試合が開催されるスタジアムの地元自治体に総額三十六億円の分担金支出を求めるということを発表いたしました。十から十二カ所の開催地を予定していることから考えれば、三十六億円といえば、平均して一カ所三億から四億の負担となります。スポーツ・青少年局長、これは事実でありますか。
○久保政府参考人 この七月に開催されました組織委員会の理事会におきまして大会全体の収支計画案が提出されまして、その中で、開催都市分担金として、開催都市に対して総額三十六億円の拠出をお願いすることが承認されたと承知しております。
○宮本委員 我が党の豊田市議団からは、自治体が分担金を負担しなくてはならないのなら、今になって告知するのではなく、立候補を募る前に言うべきだとの声が寄せられております。
これは確認するんですが、この分担金、これは立候補の条件になっているのか、それとも、あくまでお願いベースのことなのか。青少年局長、いかがですか。
○久保政府参考人 これは条件になっているわけではございません。
ただ、昨年十月に組織委員会が公表されましたガイドラインの中で、大会運営のための財務的支援を求めることがあるということを記載されているという状況でございます。
○宮本委員 既に豊田スタジアムの建設費に三百四十億円注ぎ込まれております。毎年九億円もの赤字補填が必要になっている開催都市にさらに三億も四億も分担金というのは、確かに大変な負担となります。
最後に大臣にお伺いするんですが、今回の二〇一九年ラグビーワールドカップはできるだけ開催都市の住民に負担をかけないようにしなければならないと私は思いますけれども、最後に大臣の御所見をお伺いいたします。
○下村国務大臣 基本的には、今回の開催都市については手挙げ方式でありますから、それぞれの自治体が責任を持って対応していく必要があると思いますが、しかし、それぞれの自治体が住民の理解を得ることについて、その自治体の責任において適切に対応する必要があるというふうに思います。
国としては、それぞれの自治体からいろいろな御要望等あれば、それぞれの自治体に応じて、可能な範囲内で、対応できるところはきちっと対応してまいりたいと思います。
○宮本委員 ラグビーワールドカップ特措法案は、寄附金付郵便葉書等の特例発行や、国家公務員を組織委員会に派遣することによって、二〇一九年ラグビーワールドカップ大会の準備、運営に資金や人的な面で支援しようというものであり、我が党は賛成であります。
しかし、その開催計画は適切なものでなければならず、地元自治体に過大な負担を押しつけて、仮にも負のレガシーを残すようなものであってはなりません。しっかりと国として支援するとともに、くれぐれも住民合意のもとに進めることを求めて、私の質問を終わります。
反対討論
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、平成三十二年東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会特別措置法に反対の立場から討論します。
二〇二〇年の夏季五輪の東京招致について我が党は反対してきましたが、昨年九月七日にIOC総会で東京開催が決定した後はIOC総会決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めると同時に、東京招致については内外からさまざまな不安と疑問の声が出されており、無条件の信任ではないという立場で臨んできました。開催計画の見直し、新国立競技場の建てかえのありようなど、国民、都民の生活や環境と調和のとれた、簡素で無理のない取り組みとすることが強く求められています。
本法案は、二〇二〇年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会開催のため、国家公務員の組織委員会への派遣、競技施設として使用する国有財産の無償使用などを可能にしています。この部分については、これまでもオリンピック大会、サッカーワールドカップ大会において同様の内容を特別措置法で定めており、大会への資金、人的、物的な支援として必要なことであり、特に問題とはなりません。
ところが、本法案は、これまでの特別措置法とは違って、上記の措置に加え、内閣に全大臣が構成員となる推進本部を設け、基本方針を定めるとともに、内閣法を改正し、二〇二〇年度末、二〇二一年三月三十一日までの間、国務大臣を増員し、専任の担当大臣を置くとしています。
安倍内閣は、既に閣議決定により全大臣が構成員となる閣僚会議を設置し、昨年九月から担当大臣も任命しています。質疑でも明らかにしたように、安倍内閣は、オリンピック開催を、世界に日本を発信する最高のチャンス、我が国が活力を取り戻す弾みとなると位置づけており、さらには、輸送手段の整備と称して東京外郭環状道路など三環状道路の整備を挙げ、オリンピックを好機として大型公共事業などを推進していくことが議論されています。
本法案で、推進本部を設置し、基本方針の策定を法律で位置づけ、大臣を増員してまで専任の担当大臣を配置することは、オリンピックを名目とした都市再開発や大型公共工事の推進、投資など、成長戦略をより強力に推進する体制をつくろうとするものにほかなりません。
オリンピックを成長戦略に位置づけるやり方は、オリンピック精神に照らしても、また、簡素で無理のない取り組みを求める国民や都民の声にも逆行するものと言わざるを得ず、賛同することはできません。
なお、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案については、大会準備、開催への必要な支援であり、賛同することを申し添え、討論を終わります。