本国会召集日(平成二十六年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 神山 佐市君
菅野さちこ君 木内 均君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小林 茂樹君 桜井 宏君
新開 裕司君 冨岡 勉君
永岡 桂子君 野中 厚君
馳 浩君 比嘉奈津美君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 三宅 博君
中野 洋昌君 柏倉 祐司君
井坂 信彦君 宮本 岳志君
青木 愛君 吉川 元君
山口 壯君
平成二十六年二月四日(火曜日)
午後三時四十五分開議
出席委員
委員長 小渕 優子君
理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君
理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君
理事 義家 弘介君 理事 笠 浩史君
理事 鈴木 望君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 佳隆君
小此木八郎君 神山 佐市君
菅野さちこ君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 桜井 宏君
新開 裕司君 田中 英之君
武部 新君 冨岡 勉君
中谷 真一君 永岡 桂子君
野中 厚君 比嘉奈津美君
宮内 秀樹君 宮川 典子君
菊田真紀子君 細野 豪志君
吉田 泉君 遠藤 敬君
椎木 保君 田沼 隆志君
三木 圭恵君 中野 洋昌君
柏倉 祐司君 井出 庸生君
宮本 岳志君 青木 愛君
吉川 元君 山口 壯君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
内閣府副大臣 後藤田正純君
文部科学大臣政務官 冨岡 勉君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 倉持 隆雄君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 川上 伸昭君
政府参考人
(防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君
文部科学委員会専門員 久留 正敏君
―――――――――――――
委員の異動
一月二十七日
辞任 補欠選任
井坂 信彦君 井出 庸生君
二月四日
辞任 補欠選任
小此木八郎君 田中 英之君
木内 均君 武部 新君
永岡 桂子君 中谷 真一君
馳 浩君 佐々木 紀君
椎木 保君 三木 圭恵君
三宅 博君 田沼 隆志君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 馳 浩君
田中 英之君 小此木八郎君
武部 新君 木内 均君
中谷 真一君 永岡 桂子君
田沼 隆志君 三宅 博君
三木 圭恵君 椎木 保君
―――――――――――――
一月二十四日
教育委員会制度を廃止する等のための地方自治法等の一部を改正する法律案(中田宏君外四名提出、第百八十三回国会衆法第二五号)
地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(笠浩史君外二名提出、第百八十三回国会衆法第四五号)
二月三日
独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
――――◇―――――
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
本法案は、独立行政法人科学技術振興機構、JSTに、補正予算案に計上された革新的研究開発推進プログラム、ImPACTを実施するための基金を設立しようというものであります。
安倍首相は、昨年の九月十三日の第八回総合科学技術会議でも、このImPACTを、我が国の未来を開拓していく上で鍵となる国家重点プログラムだと位置づけて、強力に推進することを宣言いたしました。
そこで、文部科学委員会でありますから文科大臣にまずお伺いするわけですけれども、これはどんな研究にどれだけの支援をする予定なのか、お答えいただけますか。
○下村国務大臣 このImPACTは、総合科学技術会議がテーマを設定し、課題達成のためのプログラムマネジャー、PMを公募し、選定することとしております。具体的な採択課題ごとの予算規模は、あらかじめ一律に定めるものではなく、PM候補が提案してくる具体的な提案内容に応じて決まっていくものであります。
文科省としては、プログラムの成果が最大限得られるよう、JSTの持つ知見を活用し、総合科学技術会議と連携して取り組んでまいりたいと思います。
○宮本委員 先ほどから質疑を聞いておりましても、この中身がさっぱりわからないわけですよ。どういうテーマ設定がされて、どういう形でどういう研究がされるのか。
科学技術担当の山本大臣は、昨年十一月十四日の科学技術イノベーション予算戦略会議後の記者会見で、ImPACTについて、アイデアはやっぱり二十も三十もありますと答えておられます。
同時に、このImPACTを検討している最先端研究開発支援推進会議の内容は、実は、会議要旨も配付資料も非公開となっているんですね。
これは内閣府後藤田副大臣に聞きますけれども、一体どういう中身になるのか、お答えいただけますか。
○後藤田副大臣 お答えいたします。
総合科学技術会議におきまして、ImPACTの制度設計を行うに当たりまして、構想を練るための参考として、関係省庁等と意見交換を実施してまいりました。その際、プログラムの具体的な姿をイメージするため、事例的に研究内容のアイデアを収集、検討する作業を事務局を中心に実施してまいりました。
その結果、多様な技術的アプローチを可能とし、飛躍的なイノベーションの創出を促進するよう、また斬新で飛躍的な提案も受け入れられるよう、簡潔な表現で五つ程度の大くくりのテーマを設定し、公募を行うこととしております。正式には、先ほど来お答えしていますが、総合科学技術会議の近々の決定をもって公表する予定としております。
そして加えて、委員の御質問の中で、最先端研究開発支援推進会議の議事要旨の問題につきまして非公開云々の話がございましたが、これもやはり、ImPACTの全体像をしっかりお示しする際の、その中の議論、これは自由な意見の場とならなくてはいけないということでございますし、その議論の集約が見えないと、研究側、またその研究を通じて産業化、事業化する産業側の混乱を招く、こういう危険性も我々は注意しながら、タイミングを見てしっかりと公開をしていきたいというふうに思います。
例えば、アカデミアの方々と産業界の間で、やはりいろいろな意見の相違もその間あったと思います。それをしっかり調整して集約した上で、しっかりと政策として、理念として出さなければ世の中に間違った印象を与えてしまうということで、まとまったものはしっかりと公表してまいりたいと思います。
○宮本委員 五百五十億円の基金をつくると言いながら、その中身は、非連続的な云々とか斬新で飛躍的なという話を聞かされるばかりで、一体どういうことがやられていくのかということがさっぱりわからないわけですね、まだ現時点では。
それで、どんな研究を進めるのかがはっきりしない一方で、一つだけはっきりしていることがあります。
ImPACTはいわゆるデュアルユースがコンセプトであるということでありますけれども、デュアルユース技術を視野に入れたテーマ設定も可能とされている中には、国民の安全、安心に資する、こういう言葉が出てまいります。この国民の安全、安心に資するということの意味は、つまり、安全保障、防衛分野の技術も含めて、これはデュアルユースが可能、こういうことで内閣府、よろしいですね。
○後藤田副大臣 お答えいたします。
ImPACTは国民の安全、安心に資する技術と産業技術の相互に転用が可能なデュアルユース技術も含まれ得るということになっております。
これは、産業競争力の飛躍的な向上、社会的課題を克服する革新的イノベーションが創出された場合、多様な活用先の一つとして、国民の安全、安心に資する場合も想定されるという意味であります。
国民の安全、安心に資するということは、防衛、安全保障が含まれますが、本プログラムは、分野や組織の枠を超えた連携、融合によりインパクトの大きな飛躍的イノベーションを目指すものでありまして、防衛技術に特定した研究開発を目的とするものでも、特定の用途をあらかじめ排除するものでもございません。
○宮本委員 特定の用途をあらかじめ排除するものでもないという点、そして、大体、このImPACTが議論されるときに、先ほど柏倉委員も触れておられましたが、日本版DARPAということが言われてきたわけです。大体、六月七日閣議決定された科学技術イノベーション総合戦略では、「米国DARPAの仕組みを参考に、」と書いていますから、DARPAというものが念頭にあることは明らかなんです。
このDARPAという組織が一体いかなるものであるのか。私はここにJSTの研究開発戦略センター海外動向ユニットがまとめた米国DARPAの概要という資料を持ってまいりましたけれども、これははっきり、国防高等研究計画局、つまり、国防総省内の内部部局の一つであります。DARPAのミッションは、米軍の技術優位性を維持し、国家安全保障を脅かす技術的サプライズを防止するというのがDARPAのもともと設立の趣旨なんです。
なるほど、さまざまな、民間技術にも転用されて、画期的な、例えばGPSとかインターネットなどに結びついたとはいうものの、これが始まってやってきたことというのは、専ら、ステルス技術とか暗視技術とか防空ミサイルの精密誘導とか空中照準レーザー、無人航空機などの軍事技術を開発してきた、これははっきり、まさにJSTがそういうものだということを述べているわけですよ。
だから、そういう意味では、まさに防衛という分野は、これからこのImPACTを使って大いに進めていく分野になるんじゃありませんか。
○後藤田副大臣 御承知のとおり、我々はDARPAモデルを今回のImPACTの参考にさせていただいたということは事実でございますが、また、DARPAの中身につきましては、委員先ほどおっしゃったとおりでございます。
ただ、やはり国のなりわい、そしてまた憲法、これは全く異なるものでございまして、私どもは、DARPAの組織論、いわゆる組織における意思決定プロセス、これを参考にするということでDARPAモデルということを申し上げておりまして、やはりDARPAの意思決定のスピード、そしてプログラムマネジャーに裁量権を与えて、そこでその人間が研究者を集めて、そしてまた触媒としていろいろな機能を発揮して、スピード感を持って研究開発を進めそれを産業化に導く、こういう、組織論としてのDARPAモデルを参考にさせていただいたということでございまして、防衛計画の局である、こういうこととは全く別の議論として受けとめていただきたいと思います。
○宮本委員 そこで、きょうは資料をおつけいたしました。自衛隊・防衛省の関連紙と言われております朝雲、昨年十一月十四日付をつけております。
昨年十月二十九日、三十日の両日、都内で開催された防衛省技術研究本部の防衛技術シンポジウムでは、このImPACTが日本版DARPAとして紹介されたことが報じられております。
記事によりますと、この技術研究本部のシンポジウムでは、特別講演で、政策研究大学院大学の白石隆学長と角南篤准教授がImPACTの意義を、総合科学技術会議の久間和生議員がImPACTの具体的な内容と防衛省技術研究本部への期待を述べたと報じられております。
きょうは防衛省に来ていただいておりますが、これは事実ですね。
○外園政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十五年十月二十九日、防衛省技術研究本部が開催いたしました防衛技術シンポジウム二〇一三において、政策研究大学院大学の白石隆学長と角南篤准教授並びに総合科学技術会議の久間和生議員により特別講演を行っていただきました。
○宮本委員 記事の中に、どういう中身を述べたかが出てまいります。
このシンポで白石学長は「(民生・防衛共用の)デュアルユース技術が重要になる。武器輸出三原則の見直しで(国産装備の)マーケット拡大が見込める。米国の同盟国やアジア諸国も日本に期待しており、その司令塔となる総合科学技術会議には防衛大臣も入れてほしい」と語り、角南准教授は、「日本版DARPAでミッション型研究を行っていくには、日本版NSCに首相を補佐できる技術戦略担当を加えるべきだ」、こう語りました。そして、まさにImPACTの具体化を進める総合科学技術会議の久間議員は「デュアルユース技術を視野に、プログラムに取り組んでほしい。防衛省は人材が豊富。人の育成と優れた人材の発掘でも協力してもらいたい」と語っている。
まさに防衛省は、この期待に応えてImPACTにどうかかわるおつもりでいるのか。防衛省にお答えいただきたいと思います。
○外園政府参考人 お答えいたします。
いわゆる革新的研究開発推進プログラム、ImPACTは、特に防衛技術の発展を目指しているものではないと承知をしておりますが、国民の安全、安心に資する技術と産業技術の相互に転用可能ないわゆるデュアルユース技術の育成が含まれている可能性もあることから、防衛省としても注視してまいりたいと考えております。
○宮本委員 まさに防衛省としても注視すると。まさに否定されないわけですよ。
私は、こういうやり方、これは全部じゃないですよ、しかし、これが進められるならば、防衛省が進めたいハイリスクの研究をこの費用で肩がわりする、こういう結果にもなりかねない。全てが安全保障ではないと言うんでしょうけれども、日本版DARPAと銘打って防衛省が入り込む余地があることは否定できません。
このようなプログラムを進めるための法案には反対であるということを表明して、私の質問を終わります。
○小渕委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、アメリカ国防総省のDARPAをモデルに、総合科学技術会議がトップダウンで挑戦的研究開発を行う革新的研究開発推進プログラム、ImPACTを実施するものです。
しかし、質疑で明らかになったように、どのような研究テーマを設定し、何にどれだけの資金を投入するのか、検討過程さえも公開されてはいません。
明確になっていることは、ImPACTは、国民の安全、安心に資する技術と産業技術の、相互に転用が可能なデュアルユース技術を視野に入れることです。国民の安全、安心には当然防衛技術も入るし、防衛省技術研究本部が中心を担うことが既に報じられています。
昨年閣議決定された国家安全保障戦略には、「技術力の向上」として、「デュアル・ユース技術を含め、一層の技術の振興を促し、我が国の技術力の強化を図る必要がある。」「科学技術に関する動向を平素から把握し、産学官の力を結集させて、安全保障分野においても有効に活用するように努めていく。」とされており、ImPACTを活用して防衛技術の研究開発を大学などと共同して進められることは明らかです。
安倍内閣は、兵器開発と軍需産業による兵器の海外売り込みを成長戦略の一環として国家戦略と位置づけ推進し、武器輸出禁止三原則の全面的撤廃をも策しており、憲法の平和原則に照らして許されるものではありません。
以上、反対する理由を申し上げ、討論を終わります。