平成二十六年十一月十三日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 田村 憲久君
理事 平井たくや君 理事 平口 洋君
理事 近藤 洋介君 理事 木下 智彦君
理事 高木美智代君
青山 周平君 岩田 和親君
越智 隆雄君 大岡 敏孝君
勝俣 孝明君 川田 隆君
小松 裕君 新谷 正義君
鈴木 馨祐君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 松本 洋平君
宮澤 博行君 山田 美樹君
吉川 赳君 泉 健太君
郡 和子君 福田 昭夫君
河野 正美君 高橋 みほ君
山之内 毅君 輿水 恵一君
濱村 進君 杉田 水脈君
松田 学君 三谷 英弘君
佐々木憲昭君 宮本 岳志君
畑 浩治君
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内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
参考人
(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長) 小室 淑恵君
参考人
(独立行政法人労働政策研究・研修機構副主任研究員) 内藤 忍君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室室長) 矢島 洋子君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
十一月十三日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 宮澤 博行君
福田 昭夫君 郡 和子君
山之内 毅君 高橋 みほ君
佐々木憲昭君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 博行君 岩田 和親君
郡 和子君 福田 昭夫君
高橋 みほ君 山之内 毅君
宮本 岳志君 佐々木憲昭君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 鬼木 誠君
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本日の会議に付した案件
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第二二号)
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○井上委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、三人の参考人の皆さん、まことにありがとうございます。私からもお礼を申し上げます。
我が党は、ことしの七月の二十二日に、「女性差別撤廃条約批准国としての責任を果たし、女性差別の改善へ、条約の全面実施を 女性差別撤廃委員会への政府報告にあたって」という政策提言を発表いたしました。同時にこれは、政府に申し入れもいたしました。
御承知のように、国連女性差別撤廃条約が一九七九年に国連で採択されてから、ことしで三十五年になります。日本が批准して、来年で三十年を迎えます。この間、世界各国は、条約に基づいて女性差別の改善と男女平等の前進へ努力を続けてまいりました。
日本でも、この三十年間に、働く女性が三百五十万人増加するなど、さまざまな分野へ女性の進出が広がっております。にもかかわらず、女性の政治、政策決定参加でも、雇用の平等でも、実質的な改善は十分に進んでおらず、日本の男女平等度は二〇一三年の資料では世界百五位と、世界の努力と到達点から大きく取り残されていると言わなければなりません。
女性差別撤廃条約は、批准した国の政府に、定期的に条約の実施状況の報告を義務づけておりまして、日本はこれまで六回提出し、ことしの七月が第七、八回の報告書の提出期限でありました。
これまでの日本の政府報告に対して、女性差別撤廃委員会からは、差別をなくすための日本政府の対応のおくれ、不十分さが繰り返し指摘をされ、改善が求められてまいりました。前回の報告に対する最終見解、二〇〇九年では、約二十分野四十六項目に及ぶ懸念と改善すべき課題が指摘をされております。
ところが、この五年間、明らかな改善が認められるのは、婚外子差別撤廃の民法改正など、ごく一部にすぎません。この問題に長年取り組んできたNGOの皆さんからは、女性差別撤廃委員会の勧告に政府が応えていると思われるものは一つもない、こういう厳しい評価まで出る始末であります。
そこで、内藤参考人にお伺いしたいんですが、政府の取り組みがこのように進まない原因について、どのようにお考えになりますか。
○内藤参考人 御質問ありがとうございます。
私もその理由を知りたいところです。そのフォローアップというのを私も拝見しておりますが、どういったところに原因があるか、そういったところも今後はきちんと追及していかなければならない。NGOもそうですし、我々研究者も、どういったところにそのハードルがあるのか、政府が達成できない理由はどこにあるのかということをきちんと研究していかなければならないのかなというのを、今、御意見をお伺いして思いました。
○宮本委員 やはり政府が行うべきは、間接差別の原則禁止を含む均等法の抜本的な改正、それから雇用形態や区分の違いによる女性差別を容認する指針の規定の廃止、ILOの百号条約に基づく同一価値労働同一賃金の原則の法制化等々、実効ある法整備、措置を一刻も早くとることだと思うんですね。
この点についての、これまた内藤参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○内藤参考人 御質問ありがとうございます。
今おっしゃっていただいた中で、特に最後の実効ある仕組み、そこのところは私も関心を持って研究しているところでございます。
今回の本法案でも、エンフォースメント、実効性確保のところで行政の指導、勧告等が記入されております。その関係で、こういった実効性確保、まあ均等法等に代表されるような実効性確保のあり方ですけれども、こういったことがどういう効果をもたらしているのか、こういった研究をきちんとしていかなければならないのではないか、今後の法制度の整備に当たってやっていかなければならないのではないかというふうに思っております。
○宮本委員 ありがとうございます。
非正規雇用が、働く女性の五四・五%を占めております。一層の不安定雇用化を進めて、女性が働き続けることを困難にするようなやり方というのは許されないと思うんですが、今国会にも、労働者派遣法の、私たちは改悪と考える法案が出されております。私たちは絶対に許されないと思っております。派遣労働者の正社員化、派遣やパート労働者への差別をなくす均等待遇の原則に立った法整備、こういったものが必要だと思うんですね。
今度は小室参考人にお伺いしたいんですけれども、非正規雇用の女性の雇用環境の実態に関する所見をお伺いするとともに、解決のためにどういうところから着手すればよいかというような点について、ぜひ小室参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
○小室参考人 ありがとうございます。
私は、非正規労働について専門ではないので詳しくないですけれども、それを断った上でということなんですが、私が実態の中で起きているなというふうに思っていることは、女性の百三万円の壁があります。この百三万円の壁に、女性たちみずからが自分の年収を抑えようとすると、低い賃金でも本人たちは構わないという形で仕事をするようになります。そうすると、実は同じ仕事をしているパート仲間で、本来はその仕事で食べていきたいと思っている人の時給まで抑えられてしまっているという現状が起きています。
こういった配偶者控除というようなことは、実は、女性に影響を与えているだけではなくて、その周りで、本来はその仕事で食べていきたいと思っている人の賃金まで下げているというような傾向があるなということについては、こういったことを改善していくことが非正規労働の方の賃金が上がるということにもつながってくるというふうに思っております。
それからもう一点は、やはり正規、非正規関係なく、本来は時間当たりの生産性が高ければきちんと評価をされるべきなんですけれども、そういったことが、現在だと、スタートがどっちで入ったのかということで全て決まってしまっている。これは、評価のつけ方が期間当たりの生産性であるということと大きく関連していると思いますので、こういったことが、しっかり評価の形が変わってくることによって、実はあの人は正規労働になってもらった方がいいねというようなことに企業の側も気づいてくるという形になるのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○宮本委員 ありがとうございます。
そこで、女性差別撤廃条約なんですけれども、条約では、子育ては男女及び社会全体がともに責任を負うことが必要であると明記をしております。この立場から、前回の最終見解は、日本で育児や家庭責任を女性が中心に担い、女性がキャリアを中断し、パート労働になっている問題について懸念を表明し、両立支援の取り組みの強化と保育施策、育児休業制度の拡充というものを求めました。
にもかかわらず、この五年間、待機児童問題はますます深刻化していると言わなければなりません。育児休業制度の休業中の所得保障は改善されましたけれども、保育所不足や育児休業がとりにくい職場環境などを背景に、女性の休業取得率は、昨年度七六・三%にとどまりました。男性の取得率はわずか二・〇三%であります。
政府が進める子ども・子育て新制度は、保育に対する国や自治体の責任を後退させ、保育の営利化、保育条件の低下と格差拡大を招き、条約の求める保育の公的保障の立場と逆行するものだと私たちは考えます。この点に関する、今度は矢島参考人のお考えをお聞かせいただければありがたいです。
○矢島参考人 夫婦で子育てすることと保育所の問題と両方というふうに捉えてよろしいでしょうか。(宮本委員「はい、そうです」と呼ぶ)ありがとうございます。
まず、夫婦での子育てというのは、女性の活躍においても非常に重要だと思っております。
私が調査した中でも、短時間勤務の制度の希望というのは非常に女性に高いわけですけれども、それが、やはり夫の労働時間が長い人ほど、女性が短時間勤務で働きたいというような傾向がありまして、ずっと短時間勤務でないといけないのかとなりますと、夫が時々は保育園のお迎えに行くとかそういうことができれば、女性ももう少ししっかりと働けるということは確実にあると思います。
保育園のお迎え実態なども調査していますと、最近は、送りに行く方は比較的男性がふえてきたというような傾向はありますが、お迎えはどうしても女性というような分担が多く残っておりまして、そうすると、やはり早く帰らなければいけないのは女性だけみたいな形もございます。
そういった視点からも、やはり夫婦での子育て、育児休業というのは、確かに今とっている方は短くて、それだけではなかなか、子育てしていることになるのかということもありますが、子供を育て始める最初にその経験を共有していただいて、男性に子育てをするというスイッチを入れていただくということがとても重要だと思いますし、その先に女性たちが望んでいるのは、やはり平日に子育てに一緒に参加してくれるということだと思います。
また、済みません、保育所の待機問題は本当に深刻な問題で、特にゼロ、一、二というところが深刻ですけれども、やはり、特に一歳で確実に入れるようになれば、ゼロ歳は育児休業をとっていたいという女性は非常に多いんですね。それが、余りにも保育所が足りないので、ゼロ歳のうちに入所させようということで育児休業を早める方も出てきている。そのためにゼロ歳児保育ニーズが高まって、社会的にもコストが大きくなるという悪循環に陥っておりますので、やはりここは、一歳で確実に入れるということが制度上の整合性からいっても非常に重要なポイントではないかというふうに考えております。
以上です。
○宮本委員 大変耳の痛い話でありまして、私のところも、妻がフルタイムで働いておりまして、子育てを、これは私も、保育所、送り迎えという名目でやりましたけれども、おっしゃるとおり、送る方は熱心でありましたが、迎えは専ら妻がやはり多かったように思いますね。
それで、最後に内藤参考人にお伺いするんですが、女性差別撤廃委員会は、条約の実効性を高めるために、女性の権利侵害を国連に個人で通報できる制度を定めました女性差別撤廃条約の選択議定書の批准を強く促進しております。既に百カ国以上が批准しており、主な先進国の中で未批准というのは、日本と、女性差別撤廃条約そのものを批准していないアメリカだけになっております。
国内でも批准を求める運動が広がり、二〇〇一年からことしまでの間に、参議院では、選択議定書の速やかな採択を求める請願が十四回採択をされております。
政府は、早期批准を求める日本共産党の国会質問に、選択議定書の意義は認めるという答弁をしておりますけれども、国内の法や制度との整合性を理由に、慎重な検討を要するという態度をとり続けております。国際条約よりも国内事情を優先するというのは問題だというふうに思いますけれども、国際ルールに立った一刻も早い批准が必要だと思うんです。
また、ILOの百十一号、雇用における差別禁止、百七十五号、パートタイムなどの、日本が批准していない国際条約の批准を進めて、世界の基準に基づく男女平等の確立を図るべきだと私たちは主張しております。
ぜひ、この差別撤廃条約の選択議定書の批准の必要性について、内藤参考人の御意見を最後にお聞かせいただきたいと思います。
○内藤参考人 御質問ありがとうございます。
女性差別撤廃条約の選択議定書の批准及びILOの百十一号、百七十五号の批准に関しての御質問だったと思います。
これは全く私の見解ですけれども、私としては批准した方がいいというふうに考えております。
○宮本委員 ありがとうございました。
以上で終わります。