地方の必要財源応えず
衆院 地方交付税法改定案が可決
地方交付税法改定案が24日の衆院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。日本共産党とれいわは反対しました。
同改定案は、補正予算で年度途中に増額する地方交付税のうち、一部を交付せず翌年度の地方交付税総額に繰り越すものです。共産党の田村貴昭議員は同日の衆院総務委員会の討論で、繰り越し優先のやり方に反対を表明。増額交付には地方単独事業に充てる交付税は算定されておらず、「地方が必要とする財源確保に応えるものになっていない」と批判しました。
改定案には、地方公務員の給与改定に対応する財政も含まれています。共産党の宮本岳志議員は同委員会の質疑で、鈴木淳司総務相が参院で、同省の通知に基づき「会計年度任用職員の給与の遡及(そきゅう)改定は今後とも基本とする」と答弁したことを挙げ、「現在、まだ給与改定実施を示していない自治体にも、引き続き促していくか」とただしました。鈴木総務相は「今後とも適切に対応いただくよう促したい」と答弁しました。
宮本氏は、総務省の昨年度の調査では、会計年度任用職員の教員・講師に期末手当を支給する地方公共団体は99・5%となっているにもかかわらず、滋賀県では今年度、支給された人は1%未満だったと指摘。「文部科学省は全国の状況をつかんで、改善をはかるための手だてをとるべきだ」と迫りました。
文科省の浅野敦行大臣官房学習基盤審議官は「状況を把握した上で、必要な対応を検討したい」と答えました。
(しんぶん赤旗 2023年11月25日)
動画 https://youtu.be/ivpaiHTsCmE?si=j89GjI1c3RxbMHoK
配付資料 20231124総務委員会配付資料
議事録
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今年八月八日に政府が発表したマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめでは、健康保険証情報を一度ひもづけしたマイナンバーカードの保険証利用登録の解除を可能とするといたしました。
先日の当委員会の所信質疑でこれをいつ行うのかと聞いた際、厚生労働省の日原審議官は、必要なシステム改修のための費用を確保いたしました上で必要な検討を行って、来年秋の保険証の廃止までには解除を希望される方が任意に解除の手続を行っていただけるよう進めてまいりたいと答弁されました。
そこで、厚労省に聞きます。今回の補正予算にマイナンバーカードの健康保険証利用の登録を解除するシステム改修予算が含まれていると聞いておりますが、その額は幾らですか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
今般の補正予算案では、マイナ保険証の利用登録解除を可能とするシステム改修を含めまして、保険証の廃止に向けた準備のため、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた各保険者や実施機関のシステム改修経費として、資格確認書や資格情報のお知らせを交付する機能などの改修に必要な経費としまして、二百四十九億円を計上しているところでございます。
○宮本(岳)委員 その中で切り分けてくれと言ったんですが、切り分けられないという答弁ですから、二百四十九億円がかかるという前提で話を進めさせていただきます。
その二百四十九億円は資料一につけておりますから、見ていただいたら、この赤で囲ったところがこの額なんですね。
それでは、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作ったときの額は一体幾らだったのか。これも厚労省からペーパーを出していただきましたけれども、平成二十九年度から令和三年度までの合計で、日原審議官、答えていただけますか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
制度設計当初のオンライン資格確認等システムなどの開発につきましては、今お話のございました平成二十九年度から令和三年度にかけて実施してございまして、その総額は四百六十八億円でございます。
○宮本(岳)委員 四百六十八億円です。内訳は資料二につけておきました。
先日の当委員会で、日原審議官は、マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除は任意の手続であるということを踏まえてそうする、こうおっしゃいましたね。
そこで、聞くんですけれども、では、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作った時点で既に任意の制度ではなかったですか。このときは任意じゃなかったんですか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
今お話のございましたマイナンバーカードの健康保険証としての利用登録でございますが、これは当初より任意の手続として設けられてございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですよね。最初から任意の制度なんですよ。ですから、当然、最初から利用登録をすることも解除することもできるようなシステムでなければおかしいですね。今明らかにしたように、四百七十億円近いお金をかけておきながら、最初から解除の仕組みを設けていなかったがために、今回、新たに、切り分けようがないんですから、二百五十億円の経費をかけてシステム改修をしなければならない。これは私は二重投資だと。
だから、一番最初にどういう発注をしたのかというものを明らかにしてくれということを求めてありますから、まだ出てきていませんから、必ず、最初にどういう発注がされたのか、なぜ登録はできても解除はできないというシステムをまずは四百七十億円もかけて作ったのかということは、説明責任を負って果たしていただきたい、これは申し上げておきたいと思います。
交付税法改正案には、地方公務員の給与改定に対応するための財源も含まれております。鈴木大臣は、十一月九日の参議院総務委員会で、我が党の伊藤岳参議院議員が、日本自治体労働組合総連合の調査で会計年度任用職員の約六割が年収二百万円未満となっている実態を示すと、大変な事実だ、しっかりと踏まえたい、こう御答弁されました。
資料三を見ていただきたいと思うんです。総務省は五月二日には給与能率推進室長の通知を出して、常勤職員の給与が改定された場合における会計年度任用職員の給与については、改定の実施時期を含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするようお願いしますと、会計年度任用職員の給与の今年四月までの遡及改定の実施も強調しております。
大臣は、参議院でも、会計年度任用職員の給与の遡及改定は今後とも基本とすると答弁されましたけれども、会計年度任用職員について、現在、まだ給与改定実施をしていない、示していない自治体にも、引き続き改定を基本として進めてくださいと促していく、そういうことで、大臣、よろしいですね。
○鈴木(淳)国務大臣 会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとり、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎とするなど、適切に決定する必要がございます。
給与改定につきましても、改定の実施時期を含め、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することが基本であると考えておりまして、令和五年十月に改めて地方公共団体に要請したところでございます。
今後とも、地方公共団体におきまして適切に対応いただきますように促してまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 当然のことでありますけれども、私は、総務省のこの姿勢を率直に評価したいと思っております。
そこで、今度は、会計年度任用職員へのボーナスの支給、特に期末手当の支給について聞くんですけれども、資料四につけたのは、総務省からいただいた令和四年度会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査の結果の抜粋なんですね。
それぞれ総務省に数字を確認するんですけれども、この二〇二二年度の調査で、会計年度任用職員への期末手当の支給の有無は、教育部門の教員、講師では、支給する団体は何%で、期末手当を支給しない団体は何%になっておりますか、公務員部。
○小池政府参考人 地方公共団体に対し、昨年五月に、会計年度任用職員に関して昨年四月一日現在で期末手当を支給するための規定が整備されているかどうかを調査したところ、資料にございますように、九九・五%の団体において、会計年度任用職員である教員、講師に対し期末手当を支給するための規定を整備しているとの回答があったところでございます。
○宮本(岳)委員 九九・五%という数字が出ていますね。
支給九九・五%、支給しない〇・五%と聞かされれば、会計年度任用職員として教壇に立っておられるほとんどの教員、講師の先生方にも、当然、期末手当、ボーナスが支給されているのだろう、支給されない人は〇・五%、百人に一人もいないのだろうと思います。しかし、事実は全く逆なんです。
資料五を見ていただきたい。今年七月一日付の京都新聞の記事です。傍線一、「滋賀県が三十日に支給した夏のボーナス(期末手当・勤勉手当)で、公立学校の非常勤講師で支給対象になった人は一%未満にとどまったことが分かった。」とあります。記事では、知事部局で働く会計年度任用職員九百十二人のうち九割強の八百三十六人にボーナスが支給されたが、非常勤講師で支給されたのは僅か六人だけで一%未満だった、こうなっていますね。
私も驚いて、この記事の内容を改めて文部科学省に調べていただきました。
文部科学省に来ていただいております。滋賀県教育委員会からの聞き取りによると、滋賀県における会計年度任用職員の公立学校の非常勤講師のうち、令和五年六月期の期末手当の支給実績は小学校と中学校それぞれ何人で、六月一日現在の非常勤講師数はそれぞれ何人ですか。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
今先生御指摘いただいた令和五年六月期の期末手当の支給実績は、小学校で四人、これは六月一日現在の非常勤講師数で四百四十一人中四人、中学校におきましては六月一日現在の非常勤講師数二百六十八人のうち二人となっております。
○宮本(岳)委員 記事どおり、六人なんですね。四百四十一人中四人なら一%未満です。中学校も、二百六十八人中二人なら、これも一%未満ですよ。
鈴木総務大臣は、十一月九日の伊藤岳議員の質問に対して、会計年度任用職員の六割近くが年収二百万円以下という実態を突きつけられて、年収二百万以下の方が半数以上かと思いまして、ある面では愕然としたと語っていただきました。ここには鈴木大臣の率直なお人柄が示されていると、私も議事録を読みました。
そこで、大臣に聞きたいんです。学校現場の会計年度任用職員にも九九・五%にはボーナスが出ていると思っていたら、支給されているのは一%未満で、九九%の人にはボーナスが出ていない、これについて、大臣、どう思われますか。
○鈴木(淳)国務大臣 改めてその事実を承りましたので、しっかりとこれについては検討を促していきたいと思います。
○宮本(岳)委員 御存じなかったと思うんですね。お恥ずかしながら、この記事を読むまで私も知りませんでした。総務省も知らなかったし、県教委に問い合わせていただくまでは文部科学省さえ知りませんでした。
記事では、学校には夏休みなど長期休暇があり、出勤する日が週二、三日だけ、勤務時間は任用期間全体で平均を出すため、授業がない夏休みなどの長期休暇がある非常勤講師は要件を下回ってしまうケースがあると、教育現場の特殊性についても触れられております。
最後の傍線二を見ていただきたいんですね。赤い傍線二を見ていただきたい。県教委によると、他府県では複数校での勤務時間を合算してボーナスを支給しているなどの事例があるといい、滋賀県も検討を約束しております。
そこで、文科省に再度聞くんですが、教員の特殊性を踏まえて待遇が確保されているのか。文部科学省は、今回は滋賀県教委に聞いていただいたんですが、全国の状況をつかんで改善を図るための手だてを取るべきではないかと思いますが、文部科学省の御答弁をいただきたい。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
会計年度任用職員も含め、地方公務員の給与については、地方公務員法に定める給与決定原則を踏まえ、各地方公共団体において適切に決定することが必要であります。その上で、公立学校の非常勤講師に対する期末手当の支給については、全ての都道府県、政令市において制度化されているものの、御指摘いただいた滋賀県においては支給実績はほとんどないという状況であると承知しております。
文部科学省としては、まずは各地方公共団体の非常勤講師に対する期末手当の支給状況や制度の運用状況を把握した上で、関係省庁とも連携しながら必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○宮本(岳)委員 我が党は、先日、非正規ワーカー待遇改善法の提案を発表いたしました。そこでも、会計年度任用職員制度は期末手当を支給するなど非正規の待遇改善を名目として二〇二〇年四月から導入されたものですが、実際には待遇改善につながっておらず、公務労働の多くを非正規公務員が担うことを固定化する役割を果たしていますと述べました。
恒常的な仕事は正規公務員が担うことを原則に、今こそ公共の役割を取り戻し、必要な正規公務員を増やすとともに、国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善を進めることを強く求めまして、私の質問を終わります。